KONICA TECHNICAL REPORT VOL. 14(2001) 1 はじめに LCD用偏光板の保護膜として使用されるTACフィル ムは、写真支持体用途と比較して更に一段と厳しい品質 が要求されるが、我々は市場要求である薄膜化を追求し、 従来膜厚比1/2となる薄膜TACフィルムの市場投入に 至った。薄膜TACフィルムは光学的な物性等の優位性 を有するが、その薄さゆえにキャスト性や搬送性等解決 すべき課題も多い。今回の報告はそれらを総括すると共 に、外観品質として重要な評価項目である平面性につい て新たな計測技術を開発したので紹介する。 2 薄膜TACに要求される品質項目 TACフィルムを薄膜化する際に留意すべき品質とし て以下のような項目がある。 2.1 外 観 一般にフィルムの平面性が劣化してくる傾向が見られ、 これが偏光板自身の濃淡ムラ等の欠陥を発生する場合が あり平面性を維持しつつ薄膜化することが望まれる。 2.2 光学特性 薄膜化は透明性の観点からは有利であるが、以下の点 に留意が必要である。 紫外線吸収性能 偏光板保護フィルムとしてのTACフィルムには偏光 子中のヨウ素、染料の劣化を防止する目的で紫外線吸収 機能を持たせている。薄膜化しても、紫外線吸収性能を 維持する必要がある。 複屈折特性 TACフィルムは、その低複屈折性ゆえに偏光板の保 護フィルムとして用いられているという特徴がある。薄 膜化は複屈折特性には有利であるが、一部偏光板におい てはTACフィルムの複屈折性を考慮して設計されてい るものもあり留意が必要である。 2.3 機械物性 薄膜化すると偏光板に加工した際に、偏光板自体の機 械強度の低下や寸法安定性の劣化を引き起こすことがあ るため、これらの性能維持が望まれる。 3 薄膜TACプロセス対応 次に外観及び光学特性に求められる品質を確保するた めの薄膜TACプロセスでの対応を述べる。(Fig.1) 3.1 外 観 フィルムの平面性(凹凸、うねり等)は搬送方向及び幅 方向に大別され、各々その要因と対応が異なる。 搬送方向 薄膜では特に剥離後の搬送時の影響が大きく、フィル ムに加わる搬送方向と幅方向各々の力と温度を制御する ことで平面性を確保している。 幅方向 キャスト及び剥離時に発生し、振動や乾燥風等のキャ スト膜に外乱を与える要因の抑制が必須となる。 また、適正な剥離力を与えるような条件選定に留意が 必要である。 3.2 光学特性 剥離後の搬送及び温度条件で決定される要素多いが、 平面性を損なうことなく前述の搬送方向と幅方向の力及 び温度を制御することで、製膜フィルムの収縮率を調整 し最適な光学特性値を得る。(Fig.2) 77 Fig.1 TAC film production
LCD用薄膜TACフィルムと計測技術開発
Development of thin TAC film for LCD and measuring technology
後 藤 洋 之* 清 水 和 之* 高 田 昌 人*
Goto, Hiroyuki Shimizu, Kazuyuki Takada, Masato
Konica produces an exceptionally thin TAC film used to protect the polarizing film on LCDs. In dealing with the critical optical properties of this TAC film, one concern is the casting process during film production and the film flatness obtained during casting. To more successfully monitor and improve TAC film flatness, we have developed a new way to measure that flatness. Reported here is a description of this technique.
KONICA TECHNICAL REPORT VOL. 14(2001) 4 計測技術 外観品質の重要な要素として平面性がある。これは製 膜過程での膜収縮や外乱によって発生し、微弱な凹凸と して現れる。従来、平面性評価にあたっては直視やスク リーン投影による目視評価でのランク付けを行ってきた が定量的な判断ができないことや、平面性向上につれて より微妙な判断が求められるようになってきたため新た に平面性計測技術を開発し実用化した。 4.1 光学系の構成と計測原理 縦マルチモードレーザー光をガルバノミラーで走査し てTACフィルム表面に照射、その反射光を凹面鏡で受 光センサーである光電子増倍管(PMT)に1点集光する 光学系を採用した。(Fig.3) また、受光面前面に集光されたレーザービームのほぼ 半分を遮光するナ イフエッジを配置したこ とにより TACフィルムの凹凸に応じた集光位置の変化を光量変 化として捉えている。 4.2 処理方法 平坦に支持されたTACフィルムを一定速度で搬送し ながら各走査ごとの情報を取り込み、2次元の画像情報 として処理した後、凹凸の度合いを判断する平面性判定 処理と微弱なうねりの中からスジ状の凹凸を抽出するス ジ抽出処理を行いその結果を出力する。(Fig.4) 平面性判定処理 2次元の凹凸情報から目視で認識可能なピッチを有す る帯域の情報を選択抽出し、全領域での平均振幅を算出 することにより平面性指数としてランク付けする。 スジ抽出処理 移動平均と加減算を組み合わせたフィルタリング後、 凹凸のピーク検出を行い一定範囲内のピーク点の振幅/ 位置変動範囲が所定の条件である場合スジと判定する。 A4サイズの試料でデータ取り込みから判定結果出力 までに要する時間は約30秒程度で、レーザービーム走 査方向のサンプリングポイント数(分解能)を必要に応じ て減らすことにより更に短時間での判定が可能である。 下記にLCD用薄膜TACフィルムの平面性改良の過程 において本技術を用いて評価した際の取り込み画像の出 力例を示す。(Fig.5) 5 まとめ LCD用偏光板保護膜としてTACフィルム薄膜化を追 求し、新規薄膜TACを市場投入した。また、レーザー を用いた光学的計測手段と凹凸抽出アルゴリズムを組合 わせた汎用性の高い平面性計測技術を開発した。 今後、更なる高品質に対する要求に答えられるような 製膜技術、計測技術の開発を推進していきたい。 78
Fig.2 Improved flatness for improved properties
Fig.3 Optical configuration for measuring flatness of TAC film
Fig.4 Algorithm for measuring flatness of TAC film