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<企画論文>エネルギー・環境政策の将来展望

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Academic year: 2021

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<企画論文>エネルギー・環境政策の将来展望

著者

松枝 法道

雑誌名

産研論集

39

ページ

1-2

発行年

2012-03-24

URL

http://hdl.handle.net/10236/9798

(2)

1 -  エネルギー政策、環境政策の分野においては、数々の問題が今日大きな物議をかもしだして いる。特に、国際的には地球温暖化問題、国内では東北地方太平洋沖地震によって引き起こさ れた大津波による福島第一原子力発電所の事故がもたらした電力供給の問題がそれぞれの筆頭 に挙げられるだろう。今回の特集では、この二つの問題を中心にしながら、漁業資源、資源ご みの処理とリサイクルといったトピックスも含めた幅広いテーマに関して、各分野を専門とす る研究者に現状の分析とそれに基づく政策提言を行っていただいた。以下、それぞれの論文の 内容を簡単に紹介したい。  まず、朴論文では、原子力発電所の事故によるコストとリスクの議論を行った上で、福島第 一原子力発電所の事故を受けての賠償スキームに触れた後、今後の電力政策において重要であ る目標をどのように達成するべきかという提案を詳細に行っている。その結論にもあるように、 平時における安定的な電力供給という観点だけでなく、災害に対してより強靭な電力供給体制 を築くという観点からも、市場を用いた需給調整を活用する制度を早期に構築することが提唱 されている。  続く、松岡論文では、原子力発電所の事故を受けて高まる再生エネルギーへの期待の中で、 日本では太陽光発電のかげに隠れて欧米ほどは注目されてこなかった風力発電の可能性につい て、最先端の技術的知見をふまえて詳細な議論が展開されている。風力発電のさまざまな問題 点を認めながらも、日本の電力供給において風力発電が貢献する上でどのような技術的、およ び、政策的可能性が存在するのかが整理して紹介されている。  それに対して、豊田論文は、エネルギー市場の需要サイドに注目した研究である。特に、エ ネルギー・環境政策がエネルギー需要を決定する消費者の意識にどのような影響を持っている のかが、東日本大震災の前後で比較されている。そこでは、震災後の消費者の意識の変化をさ まざまな観点から多角的に調査した結果が報告されており、非常に興味深い。  一転して、工藤論文は温室効果ガスの排出削減を整合的に評価するために必要なカーボン・ アカウンティングの手法の国際的な規格化・基準化の動向を詳細にわたって紹介している。こ ういった動きは温室効果ガスの排出削減を国際的に協調して実施する上で必要不可欠となるだ けでなく、社会的に理解されれば消費者行動と、それに関連する事業者の自発的な行動にも影 響があるのではないかという指摘は大変重要だと考えられる。  東田論文は、一定の海域で漁業を共同して営む権利である共同漁業権の利用関係のあり方が 企画論文

エネルギー・環境政策の将来展望

松 枝 法 道

(3)

2 - 産研論集(関西学院大学)39 号 2012.3 漁場の資源価値にどのような影響を持っているのか、さらには、それが埋立て・開発の意思決 定にどういった影響を与えるのかを考察している。モデル分析の結果が示唆する点として、共 同漁業権の「持分」が確定されることが資源管理をより効率的なものとし、漁業補償が必要と なる埋立て・開発の意思決定にも社会的に望ましい効果を持っていることが示される。現行の 日本における共同漁業権の実態を考えると、政策的にも非常に重要な指摘といえよう。  最後に、松枝論文はいわゆる「資源ごみ」が経済学的にはどのように区別されるべきかを明 らかにし、政策的な議論を行う上での誤解をできるだけ減らしたいと意図されたものである。 ごみ処理・リサイクル活動に関する基礎的な経済学的考え方を簡単に紹介した後、資源ごみの 処理、および、リサイクルに関係する現行の容器包装リサイクル法は、社会が希少な資源を節 約するべくリサイクルを行う水準やその方法を選択するのを結果的に阻害しているという主張 が展開される。  扱うテーマもスタイルも大きく異なるこれらの論文の中から、読者それぞれが自ら興味を抱 く一本を見つけてじっくり読んでいただくことを切に願っている。

参照

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