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第4章 イギリスの最低賃金制度 資料シリーズ No50 欧米諸国における最低賃金制度|労働政策研究・研修機構(JILPT)

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第 4 章 イギリスの最低賃金制度

1 最低賃金制度

(1) 制度(導入)の経緯、歴史1

労使自治の原則が労使関係に浸透していたイギリスでは、政府による賃金政策は、あくま で労使間の合意による賃金決定を補完するためのシステムとして位置づけられてきた。その 最初の形は、庶民院における 1891 年の「公正賃金決議」(Fair Wage Resolution)で、これ は政府が民間から財・サービスの調達を行う際に、競争に参加する企業に対して当該産業に おける労使合意に基づく賃金水準か、もしこれがなければ、標準的な賃金相場の順守を求め るもの。またこれと並行して、より広範な最低賃金制度の設置に向けた取り組みが、社会改 革論者のウェッブ夫妻を中心に 1890 年代から進められ2、その結果、1909 年に産業委員会法 が制定され、これに基づく産業委員会(Trade Boards:公労使三者構成)が、賃金水準が特 に低い複数の産業部門に設置されるに至った。

一連の制度が対象としたのは、もっぱら低賃金かつ劣悪な労働環境に置かれた、いわゆる 苦汗労働者だった。産業委員会は、これらの産業で適切な労使関係が醸成され、賃金交渉が 自律的に行われるようになるまでの経過的なシステムとして考えられていたという。しかし、 労働組合によるこれら産業の組織化は進まず3、結果として特に戦後、同種の組織の設置はむ しろより多くの産業に拡大することとなった。1945 年賃金審議会法により、賃金審議会

(Wages Councils)と改称されたこれらの組織は、最低賃金額以外にも有給休暇や手当額の 設定に関する提案の機能を新たに付与され、さらに 1975 年雇用保護法によって、審議会自体 が「規制命令」を発することが認められるとともに、その命令は労働条件全般を対象とする ことができるようになった。

最終的に、保守党政府によって 93 年に廃止されるまで、審議会の対象産業・職業分野にお ける最低賃金を決定してきたが、その存在意義や実効性については従来から疑問の声もあっ た。一つには、設定される賃金水準が抑制される傾向にあったため、次第に平均的賃金と乖 離したことがある。労働党政府は 74 ~ 79 年の制度改革において、賃金審議会から公益委員 を除いた「法定合同産業審議会」(Statutory Joint Industrial Council)を設置するなど、 労使による団体交渉を通じた賃金決定に移行するための措置を行ったが、普及しなかった。 また、履行確保の措置が実質的にほとんど行われておらず、また罰則も事実上ほとんどなか

1 以下は、主に Coats(2007)及び小宮(2007a)、(2007b)および Brown(2005)による。

2 オーストラリアで先んじて最低賃金制度が導入されていたことが、イギリスにおける導入を後押ししたという

(Brown(2005))。なお当時は、i)最低限の生活を営むために必要な水準の確保、ii)男女の役割の別から、男 性は家族の扶養を前提とした賃率、女性は単身の生活の維持に相応しい水準の賃率として、男女間に差をつけ るべきことが主張されていた。

3 Coats (2007)によれば、当時の労働組合は、苦汗産業で組織化が進まなかった要因の一つとして、産業委員会 あるいは賃金審議会による一定の賃金水準の保障がある場合、労働者の労働組合への加入のインセンティヴが 薄れるためと考えていた。このことが、最低賃金額の設定が実質的な賃金(賃上げ)の上限として働いてしま う可能性とあいまって、労組が最賃の制度化に反対する主な理由となった。

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ったことも、同制度が存在感を主張できなかった理由だった。

79 年に政権についた保守党政府は、86 年に制度を改革し、賃金審議会提案の対象となる労 働者のうち 21 歳未満を対象から除外、提案内容を単一の基本賃率のみとするなど、審議会の 権限に大幅な制限を加え、続く 93 年に制度自体を全廃した。保守党政府は廃止の理由として、 賃金審議会が労働者の賃金水準を彼らの限界生産性以上に引き上げているため、企業が雇用 を削減せざるを得ない事態になっていることなどを主張した。この後、全国最低賃金制度が 設置される 99 年までの間、政府による賃金規制のない時期が続き、この間、低賃金層の雇用 者に占める比率は急速に増加したが、賃金審議会の廃止が低賃金層の雇用拡大に結びついた という明確な証拠は得られていないという。4

一方、労働組合側は 70 年代には、団体交渉の拡大が賃金審議会を代替すると考えており、 全国一律に適用される制度は云うに及ばず、政府による賃金規制自体に懐疑的だった。これ には、賃金審議会の決定する最低賃金額が甚だ低かったことや、履行確保の体制が不十分で あったことなども一因といわれる。しかし 80 年代に入って、経済のサービス化や政府による 反組合的政策の影響などから、労組が弱体化し、未組織の非正規労働者の増加にともない賃 金格差が顕在化するなどの状況が発生していた。傘下の労働組合の間(特に、経済のサービ ス化で非正規労働者が増加する以前から賃金水準が低かった公共部門)には、すでに 70 年代 から、既存の賃金決定システム(すなわち自律的労使交渉ならびに賃金審議会による規制) が低賃金部門における妥当な賃金水準の確保のために機能していないとして、政府による介 入を支持する産別もあったといわれるが、ナショナルセンターの英国労組会議(TUC)が、賃 金審議会に関して従来の見解を訂正したのは 82 年になってからだ。機械工や運輸部門など、 当時まだ相対的に強い交渉力を有していた傘下組織を中心に、多くの労働組合の間では政府 による賃金規制に関して消極的な意見が未だ一般的だったという。ようやく 86 年に、これら の労組が従来の見解を転換したことを受けて、TUC は、全国的最低賃金の支持を公式に表明、 労働党もこれを政策目標に掲げるに至った。

労働党は当初、最低賃金額を「所得の中央値の 5 割」で固定する方式を採用、92 年の総選 挙でもこれを主張したが、失業状況が悪化する中で、保守党の「最賃制度の導入は、雇用に 対する悪影響を及ぼす」との主張や、広範な企業からの反対に効果的な反駁ができず、選挙 にも敗北を喫した。当時、労働党の雇用担当広報官だったトニー・ブレア(94 年に党首に選 出)はこの結果をうけて、労使などのソーシャル・パートナーで構成される低賃金委員会の 提案に基づいて最賃額の決定を行うシステムへの方針転換を決めた。TUC などは「中央値の 5 割」方式にこだわったが、労働党の説得により最終的に支持にまわった。

97 年に総選挙に勝利して、労働党政権が成立した後、最低賃金制度の根拠法にあたる 1998 年全国最低賃金法と、制度実施に関する具体的な規則を定める 1999 年全国最低賃金規則が相

4 Coats(2007)。なお、小宮(2007a)によれば、当時、使用者団体の英国産業連盟(CBI)も賃金審議会の廃止 に反対していた。その理由は、審議会廃止により労使関係が悪化して労働者が過激な組合活動に走ることや、 労組側が全国最低賃金法を支持することへの危惧だったという。

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次いで成立、これに基づいて、イギリスでは初めて、全国・全産業一律に適用される全国最 賃制度が 99 年 4 月より導入されることとなった。

Brown(2005)によれば、政府の最低賃金制度導入の意図は大きく二つある。ひとつはもち ろん低賃金層の賃金水準の適正化により貧困問題に対応することで、これには 93 年の賃金審 議会の廃止以降に低賃金層の賃金水準が顕著に低下し、賃金格差が拡大したことが重要な要 因となっている。とりわけ、90 年代までにかけて戦後最悪といわれるほど急速に増加した貧 困家庭の児童5の問題が念頭に置かれていたという。同時に、財政上の問題も政府の制度導入 の強い動機になっている。保守党政府が 88 年に、就労連動型の給付制度(in-work benefits) として導入した家族税額控除(Family Credit)は、一定時間以上の就業を条件に所得補助(税 還付)を行う制度で、貧困層の就労促進や貧困児童の問題を緩和する効果があったといわれ る。しかし、賃金水準の下限が撤廃されたことにより、多くの雇い主が従業員の賃金を抑制 して、この給付制度を最大限利用させるという傾向を生んだという。結果、受給者の拡大と ともに、財政負担が急激に増加したため、妥当な水準の賃金の支払いを、応分の負担として 企業に課すことが最低賃金制度導入の重要な目的として示された6

新たな全国最低賃金制度は、原則ほぼすべての産業および地域を一律の最低賃金額でカバ ーし、また自営業者のうち従属的な就業形態の者も新たに適用対象に含める、といった適用 範囲の広さにおいて、従前の賃金審議会制度と大きく異なる。

(2) 最低賃金の種類

現行の最低賃金制度は、22 歳以上の労働者に適用される基本賃率(adult rate)以外に、 基本賃率と同時に 1999 年から設置されている 18 ~ 21 歳向け(development rate)と、2004 年 に新たに設置された 16 ~ 17 歳向けの賃率の3種類で構成されている。7

5 家計所得が平均の 50%未満の家庭の児童の比率をみるもの。この比率は、60~70 年代を通じて 10%前後で安 定していたが、90 年代末には 25%と著しく増加している。当時の財相であったブラウン現首相は、児童の貧 困(child poverty)の問題を重視していたという。

6 労働党の 1997 年の総選挙のマニフェストは、賃金水準の下限を設定することの必要にふれ、納税者が間接的 に企業を助成していることになる、社会保障給付費用 40 億ポンドの相当部分が、最賃制度の導入によって削 減されるだろう、としている(小宮、2007b)。また Brown によれば、低賃金委員会における制度導入時の最賃 額の提案に際しては、生活賃金としての賃金水準はさほど議論にならなかったという。これは、可処分所得の 相当部分が、賃金所得以外の各種給付からきている点を考慮したことによる。また関連して、生活の維持に必 要な賃金水準は、家族構成などによって様々に異なるため、一律に適用される最低賃金でその多様性に対応す るのは難しいと考えられたことも一因となっている(Coats(2007))。

7 なおこれとは別に、農業労働者向けの最低賃金制度が 1948 年に導入され、現在も継続している。イングラン ドおよびウェールズ、スコットランド、北アイルランドの 3 地域がそれぞれ別途の制度を運用しているが、い ずれも経験や資格、雇用契約上の職務等に基づいて賃率を設定するもの。例えばイングランド・ウェールズ地 域の例では、6 段階のグレードと、年齢区分等を併用したグレード制度を 2007 年から導入。適用する賃率は、 最低グレード(Grade 1:Minimum Rate)で義務教育年齢以下の労働者に適用される 2.76 ポンドから、最高グレ ード(Grade 6:Farm Management Grade)で 22 歳以上の 7.70 ポンドまで 19 に分かれる。農業賃金委員会

(Agricultural Wages Board)が、賃金額を決定し、農業監督官(Agricultural Inspector)が履行確保を行 う。同制度は、全国最低賃金制度を下回ってはならないことが法律で定められている。

以下では、全国最低賃金制度を扱うこととするため、本制度については説明を割愛する。

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(3) 根拠法令

最低賃金制度の根拠法は、1998 年全国最低賃金法8(以下、1998 年法)で、適用される労 働者の範囲や賃率を決定する方法(政府の諮問機関である低賃金委員会の設置・運用やその 責務・担当大臣の権限など)や履行確保の方法のほか、雇用主の運用上の義務、労働者によ る申し立てに関する手続きなどを定めている。

また1998 年法 2 条の規定により、担当大臣が 1999 年最低賃金規則9(以下、1999 年規則) を施行することを通じて制度が実施される。1999 年規則には、最低賃金額や対象とする労働 者の種類、異なる就業形態の労働者に対する最低賃金の計算方法や、雇用主に課される記録 保持義務の詳細などが規定されている。毎年の最低賃金額の改定や、適用範囲・算定方法な どに係る変更等は、1999 年規則を改正する各年の規則の施行によって行なわれる。例えば、 2007 年 7 月に成立した 2007 年「1999年最低賃金規則」(改正)規則10には、2007 年 10 月から の最低賃金額の改定のほか、最賃額の算定に際して、住居提供に係る費用徴収分として繰り 込むことのできる上限額の改定などが盛り込まれている。

(4) 担当官庁機関

所管省庁は、法制度の策定・賃率の決定がビジネス・企業・規制改革省(Department for Business, Enterprise and Regulatory Reform、旧貿易産業省)、履行確保などの実施が歳入 関税庁(Her Majesty's Revenue and Customs、旧内国歳入庁)として分担されている。

(5) 決定方式

前述のとおり、低賃金委員会が、政府の諮問をうけて改定額やその他の制度改正を提案、 これを踏まえて担当大臣が決定する。低賃金委員会は 1998 年法に基づいて設置され、時間当 たりの最賃額のほか、参照期間11の設定、最賃額算定の対象となる賃金の範囲、適用除外と すべき労働者の種類など、またこれ以外に大臣が必要と認めて諮問する事項の検討を行うべ きことが定められている( 5 ~ 6 条)12

委員は、委員長および委員 8 名の計 9 名で構成される。労使同数の規定はなく、1997 年の 発足時には公益委員の委員長以下、公益 2 名と労使各 3 名で構成されていたが、現在は、委

8 National Minimum Wage Act 1998

9 National Minimum Wage Regulations 1999, SI 1999/584

10 National Minimum Wage Regulations 1999 (Amendment) Regulations 2007, SI 2007/2318

11 支払われた賃金が最賃額の水準を満たしているかの算定に用いられる期間。通常は賃金が支払われる間隔を 指し、一カ月を上限に、それより短い場合はその期間。

12 低賃金委員会は当初、臨時に設置された機関と位置付けられていたが、2001 年から常設となり、より長期的 かつ独自の調査等の実施が認められることとなった。

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員長が使用者側から任命されている13。また、委員会が諮問に定められた期間内に最賃額を 提案することができない場合、担当大臣が独自にこれを決定することができる( 7 条)。

(6) 決定基準

最賃額の決定基準に関する明確な法的規定はないが、1998 年法は、低賃金委員会が「イギ リス経済全体およびその競争力」への影響を考慮のうえ、提案を行うべきことを定めている

( 7 条)。

低賃金委員会は担当大臣からの諮問をうけて、①制度導入以降の雇用・所得等に対する影 響、また経済情勢・雇用状況・平均賃金の上昇率など②最賃の影響を受けやすい低賃金業種 の企業へのアンケート調査および地方のヒアリング③外部に委託した研究の成果④政府・労 使などの関係組織からの意見聴取などの結果-をもとに、適切な改定額の提案のための検討 を行う。

毎年の報告書では、最低賃金制度の所得水準、労働市場および企業に対する影響が分析さ れ、生産性や労働時間、教育訓練の状況などに至るまで、広範な項目が考慮されている。報 告書の記述などから、改定額の決定においてとりわけ重視されていると考えられるのは、雇 用の増減や平均賃金額・中央値の伸び率、また物価上昇率などである。

なお、制度導入時の最低賃金額の設定にあたっては、新たな規制を課すことによる雇用へ の悪影響が最も懸念され、これを最小限に抑制することが目指された。このため、生計費な どの観点ではなく、制度の導入が直接影響を及ぼしうる労働者の数と、平均賃金に対する比 率が水準の設定において検討された14

(7) 最低賃金額

1999 年から 2007 年までの最低賃金額の推移は、次表のとおり。なおこの 3 月、2008 年 10 月 からの改定額が示された。新たな額は、22 歳以上の基本賃率が 5.73 ポンド(21 ペンス、3.8 % 増)、18 ~ 21 歳向けが 4.77 ポンド(17 ペンス、3.6 %増)、16 ~ 17 歳向けが 3.53 ポンド(13 ペンス、3.8 %増)。

13 なお、賃金審議会も公労使三者構成という点では同様だが、Coats によれば、労使間で合意に至らない場合に 事態を収める方法として、公益委員は使用者側に賛同することが専らだったという。現在の低賃金委員会の 内部での議論については、議事録等は公表されていないが、Brown や Coats をはじめ過去の委員が主張すると ころでは、委員はなべて協調的な関係にあったという。なお、これも法的規定に基づくものではないが、同 じく委員を務めた Metcalf(1999)によれば、委員はそれぞれの出身組織の利害を主張するのではなく、それ ぞれ公労使を代表する個人として委員会に参加していた。

14 Low Pay Commission (1998)。同報告書によれば、1997 年春時点で、制度導入時の最賃額である 3.60 ポンド 未満の 21 歳以上の労働者は 237 万人で、同年齢層の雇用者全体の 11%だった。また、過去に有効だった最低 賃金額として、賃金審議会が 93 年の廃止時点で設定していた低賃金業種における最低賃金額を参照、それ以 降の賃金上昇率による 98 年時点の水準を 3.72 ポンドと試算している。

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最低賃金額の推移(1999~2007年)

出典:National Minimum Wage: Low Pay Commission Report 2008 (Low Pay Commission, 2008)

(8) 適用範囲

1998 年法 1 条 1 項によれば、最低賃金法の適用対象となる条件は、①労働者であること② 英国内で契約に基づいて就業していること15③就学年齢を超えていることで、基本的には一 部の例外を除いて、国内で就業する全ての労働者に一律の最賃額が適用される。

なお、イギリスの領海およびこれをまたぐ領域において雇用され、自然資源の採掘等に従 事する(Offshore Employment)労働者にも適用される(1998 年法 42 条)。なお、海員につい ては、雇用が全くイギリス外のものであるか、または通常の居住場所がイギリスでない場合 を除いて、適用が前提となる(同 40 条)。

(9) 適用除外・減額措置

政府のガイドラインによれば、正規労働者以外の適用対象労働者として、パートタイム労 働者、臨時雇い労働者、短期契約労働者などが含まれるほか、派遣労働者、在宅労働者、出 来高払い労働者(pieceworker)のうち雇用契約下で就業していないため必ずしも同法の「労 働者」の範疇に含まれない者についても、実態に応じてこれを労働者とみなし、適用対象と する(1998 年法 34 ~ 35 条)。一方、適用除外となる労働者は、義務教育終了年齢前の労働者、

「本来の」(genuinely)自営業者16、徒弟労働者の一部、住み込み語学学習者(au pair)、

15 DTI のガイドラインなどには、「合法的に」就業していること、との文言がみられるが、少なくとも 1998 年法 1999 年規則の規定はこの点を明記していない。

16 久保(2003)によれば、「本来の」自営業者とは、「あらかじめ定められた料金を受け取ることで、特定のサ ービスや任務を遂行するという契約のもとで働く者」のこと。具体的には、歳入関税庁に「自分の収支を提出 し、税金や国民保険料の支払いを自分の勘定として支払い、付加価値税(VAT)を登録し、仕事に必要な道具 や設備を自分で所有し、いかなる他の個人からも命令や指導される立場にない者」を指す。

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軍隊従事者(防衛省の雇用者を除く)、慈善団体やコミュニティの設置した住民団体等のボラ ンタリー団体(voluntary organisations)など17で働く労働者(voluntary worker)など。 また、就業する船の漁獲量に応じて報酬が支払われる漁師や、囚人等も適用除外となる。 徒弟労働者については、① 19 歳未満② 19 歳以上で、徒弟期間が 12 カ月以下の場合は適用 除外となる。1998 年法では当初、26 歳以上の労働者について適用除外を認めていなかったた め、上記②の規定は、26 歳未満の徒弟労働者に対してのみ適用されていた。しかし、翌 99 年 の改正で、26 歳以上の労働者についても、①新しい雇用主に雇用されてから最初の 6 カ月間

②就業の直前までホームレスや所得補助(生活保護に相当)の受給者であった労働者に対し て、就業に関連して宿泊所(shelter)が提供される場合③訓練等の一環として就業している 場合、④就業支援プログラムの一環として就業する場合⑤高等教育あるいは継続教育の一環 として就業する場合―などは、同様に適用が除外されることとなり(1998 年法 3 条および 1999 年規則 12 条)、加えて 2006 年の制度改正で、徒弟期間が 12 カ月以下の場合に関する年齢 制限が廃止されたため、26 歳以上の徒弟労働者も適用除外となることが定められた。 一方、減額措置については上記のとおり、18 ~ 21 歳および 16 ~ 17 歳に関して基本賃率と は別途の最賃額が、基本賃率に対する比率等によってではなく、独立に設定されている18。 なお、22 歳以上で新しい雇用主の元で働く労働者が、最初の 6 カ月間に政府が認める訓練 を計 26 日以上受講する場合は、この期間に限り 18 ~ 21 歳向けの賃率を適用することができ るとの制度が設けられていたが、2006 年雇用均等(年齢)規則に基づき、2006 年に廃止され た。この制度は、最低賃金制度の設置当初、雇用されにくい層の雇用と訓練を促進する目的 から、低賃金委員会が提言して制度化されたもので、22 歳以上層の雇用がより廉価な若年層 に脅かされるとの懸念に配慮したとみられる。しかし、実際の利用がほとんどみられなかっ たため、低賃金委員会は制度の簡素化という観点から廃止が望ましいと判断した。

(10) 最低賃金の範囲

1999 年規則は、最低賃金の算定に用いる際の賃金の範囲を次の通り定めている。すなわち、 参照期間(一ヵ月、もしくはそれより短い間隔で賃金が支払われている場合はその期間)に 関して支払われた税・社会保険料等の控除前の金銭のうち、①先払い等でないもの②年金で ないもの③雇用契約外の報酬として、裁判所等の命令によって支払われたのでないもの④解 雇手当でないもの⑤業務改善提案制度(suggestion scheme)に係る手当でないもの―など( 8 条)。また、⑥現物支給も賃金の支払いとはみなされない。ただし、雇用主が住居を提供して

17 このほか、非営利社団法人(associated fund-raising body)、法律に基づいて設置された組織(statutory body:低賃金委員会もその一つ)など。

18 最賃制度の導入以降、2004 年の制度改正まで、16 歳(義務教育終了後)~17 歳は適用除外とされていた。低賃 金委員会は制度導入当初の提言において、16~17 歳層は教育や職業訓練を受ける機会をこそ提供されるべき であり、あくまで就業の準備段階にあるという意味において、通常の労働力とは異なるととらえていたこと から、適用除外が相応と判断していた。しかし、実態としてこういった層が、極端な低賃金・低技能のフル タイムの仕事に従事しているという状況をふまえ、搾取の歯止めとするために、当該層への最賃制度の適用 を提言することとしたという(Low Pay Commission(2004))。

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いる場合の家賃徴収分は賃金として算定に含めることが認められている( 9 条および 31 ~ 37 条)。徴収額には上限額が設けられており、最賃額同様、改定の対象となる(2007 年の上限 額は、4.30 ポンド/日)。

なお 1999 年規則は、時間当たり賃金額の算定の基礎となる労働時間の捉え方に関連して、 次の 4 つの報酬労働の形態を区別している。すなわち、①働いた時間に応じて賃金が支払わ れる「時間労働」(time work)②年間を通じた基本労働時間とこれに対する定額の報酬の支 払いが契約上規定されている「給与時間労働」(salaried hours work)③製品や販売・取引 等の数量に応じて報酬額が決定する「出来高労働」(output work)④定められた時間や数量 の規 定 等 が な く 、 必 要 に 応 じ て 、 も し く は 労 働 者 が 働 け る と き に 働 く 「 不 測 定 労 働 」

(unmeasured work)―の 4 種だ( 3 ~ 6 条)19

「給与時間労働」と「時間労働」については、算定の基礎となる労働時間が比較的明確に 確定される。うち、「給与時間労働」については、所定外労働時間や業績等による賃金額の変 動は考慮されず、基本時間と定額の報酬に基づいて時間当たり賃金額が算定される。また、

「時間労働」については、文字通り賃金支払いの基準となっている労働時間が算定の基礎と なるが、これには待機時間や仕事上の移動時間、訓練の時間等を含めることとされている20。 一方、「出来高労働」および「不測定労働」については、労働時間の扱いが必ずしも明確で はない。このため、前者については、同一の雇用主のもとで働く平均的労働者の時間当たり の業務量(製造数もしくは処理数)で最低賃金額を割り戻し、これに 1.2 を乗じたものを、 業務一単位当たりの公正な対価(fair piece rate)の下限として設定するべきことが、2005 年の制度改正により規定された。また後者については、雇用主と労働者の間で一日平均のみ なし労働時間を設定するか、もしくは一日の実働時間を記録することを求めている。

(11) 決定・改定の方法

低賃金委員会による最低賃金額の改定に関する検討結果は、報告書にとりまとめられて政 府に提出される。これをうけて、担当大臣(ビジネス・企業・規制改革相)が1999年規則を 改正する規則を施行、この中で最賃額等の改定を盛り込むことにより、改定が実施される。 これまでのところ、低賃金委員会の改定額案がそのまま大臣によって承認される形で、ほぼ 毎年改定が行われている。

(12) 罰則・履行確保措置

履 行 確 保 を所 管 す る 歳 入 関 税 庁 は 、 国 内 に 16 チ ー ム 、 計 80 名 の 監 督 官 ( compliance officer)を設置、ヘルプライン(電話)や郵便、ウェブサイトを通じて、最賃違反に関する 申し立てや通報をうけて、雇用主に対する立ち入り検査を行う。事業主には、従業員の労働

19 各形態に関するより詳細な規定は、小宮(2007a)を参照。

20 なお、「出来高労働」のうち一日の労働時間が設定されているものについては、「時間労働」の範疇で扱われ る。

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時間や賃金支払いの記録について最低 3 年の保持が義務付けられており(1998 年法 9 ~ 11 条 および 1999 年規則 38 条)、監督官は立ち入り検査に際して、この記録や必要な情報の開示と コピーの取得、またそれについて説明を求め、これらを実施する必要に応じて事業所内の任 意の場所に立ち入るなどの権限を付与されている(1998 年法 14 条)。なお雇用主に対して、 従業員から請求があった場合も同様に記録の開示が義務付けられている。

検査の結果、違反が認められた場合は、監督官は雇用主に対して履行通告を発行し、最低 賃金の支払いと、最長で過去 6 年分まで遡及した未払い分の賃金の支払いを命ずることがで きる(1998 年法 19 条)。雇用主が支払い義務を履行しない場合は、監督官は罰則通告(違反 の対象となる労働者一人当たりにつき、履行通告からの日数に最賃額の 2 倍を乗じた罰金を 科す旨の通告)を発行する(これに対して、雇用主は 28 日以内に雇用審判所(Employment Tribunal)等に異議申し立てを行うことが認められており、雇用審判所は相応の理由がある と判断した場合、通告を撤回させることができる(1998 年法 22 条))。

これらの手続きによって解決がみられない場合、監督官は雇用審判所もしくは民事の裁判 所に訴訟を提起するか、あるいは悪質な雇用主21に対しては、賃金不払いとして刑事訴追を 行うことができる(1998 年法 31 条)。なお、労働者が直接、雇用審判所あるいは裁判所等に 訴え出ることもできる22

いずれの場合においても、違反がないこと(例えば、自営業者とみなされて最賃未満の報 酬を受けていた労働者が、「本来の」自営業者にあたること)を証明する責任は雇用主(雇用 関係にない場合は発注者)にあることが法律で定められている。また労働者には、訴訟を理 由に不利益な取り扱いを受けない権利が保障されている。

2 最賃賃金の状況

(1) 適用される労働者のデータ

最低賃金の適用対象となる労働者の実数について、正確な推計は公表されていない。労働 力調査(Labour Force Survey)によれば、2007 年第 3 四半期の雇用者数は 2,530 万 6,000 人 で、これに自営業者 385 万人のうち一部(「本来の」自営業者ではない者)を加えた労働者数 から、適用除外労働者数を除いたものが、適用対象の労働者数となる。雇用者のうち、適用 除外となる者の相当数は、徒弟労働者と軍隊従事者が占めると考えられるが、2005 年の政府 資料によれば、19 歳未満の徒弟労働者および徒弟期間が 1 年未満の労働者数約 17 万人、また 軍隊従事者は、2004 年の防衛省統計によれば約 20 万人で、その他の適用除外労働者(教育の

21 以下の場合、刑事罰に問われ、それぞれについて最高で 5,000 ポンドの罰金が科される:①最賃額の支払い 拒否もしくは故意の不履行、②労働者に関する記録の保持を怠る、③改ざんされた記録の保持、④改ざんさ れた記録や情報の提供、⑤監督官に対する意図的な妨害、⑥監督官に対する情報提供の拒否もしくは不履行。

22 なお、イングランドおよびウェールズ、スコットランド、北アイルランドでは、司法制度にかかわる組織名 称等が若干異なるが、基本的には同等の手続きによる。また、雇用審判所への申し立てに際しては、助言斡 旋仲裁局(Advisory, Conciliation and Arbitration Service)がまず斡旋に努めるべきことが定められて いる。

(10)

一環として就業している学生や、一部の漁師など)を加えても、40 万人程度と想定できる。 このため、雇用者の大半が適用対象となっているとみられる。

また、年齢等により減額措置が適用される労働者については、公表されている労働力調査 の集計データから、最賃制度に沿った年齢区分データが入手できない。このため、労働時間・ 所得統計調査(Annual Survey of Hours and Earnings:ASHE)の 2007 年のデータを参照す ると23、雇用者数 2391.3 万人のうち、16 - 17 歳が 34 万 3,000 人(雇用者全体の 1.4 %)、18 - 21 歳が 148 万 1,000 人(同 6.2 %)で、適用対象となる労働者の 9 割以上が 22 歳以上であること がわかる。

(2) 未満率、影響率

統計局が、労働時間・所得統計調査のデータをもとに毎年公表している「低賃金推計」(low pay estimates)によれば、2007 年の最低賃金未満の労働者は 29 万 2 千人で、雇用者数の 1.2 % に相当する。また、約 8 割近くを 22 才以上層が占める。また影響率については、平均で 4 ~ 5 % 程度、約 100 万人前後で推移している。ただし、ここ 2 ~ 3 年は、改定の都度、影響率が微増 する傾向にある24

なお、低賃金委員会の推計では、制度導入の前年(1998 年)の最低賃金(£3.50)未満の 雇用者の比率は 5.6 %だった。現在の未満率(1.2 %)との対比から、制度導入移行、低賃金 層が実質的に減少している状況がうかがえる。

年齢区分別の状況(2007 年)

2006 年 10 月改 定額

(~2007.9)

未満率 (%)

未満者数

(千人)

2007 年 10 月改 定額

(~2008.9)

影響率*

(%) (千人)

平均/計 1.2 292 4.5 1144

22 歳以上 £5.35 1.0 231 £5.52 4.3 1020

18~21 歳 £4.40 2.5 45 £4.60 7.3 101

16~17 歳 £3.30 4.1 16 £3.40 6.7 23

出典:National Minimum Wage: Low Pay Commission Report 2007 (Low Pay Commission, 2007)

* 最低賃金を改定した後に、最低賃金の額を下回ることとなる労働者が全労働者に占める割合(低賃金委員会推 計)。なお委員会は、①基本賃率の適用年齢を現行の 22 歳から 21 歳に引き下げる提案をしており、このため影響 率の推計は同提案が受け入れられた場合を想定して 21 歳を基本賃率分に含む。また② 10 月に改定が施行される 時点の賃金水準を、現行の賃金上昇率と物価上昇率を用いて推定したうえで、これに対する影響をみている。し たがって、実際に影響を受けることになる労働者の比率とは、若干の誤差がある。

23 同調査は、労働力調査と異なり企業調査であることから、労働者数の推計値についてはあくまで目安として 扱われるべきことが注釈されている。

24 ただし同推計は、最賃の適用除外層(徒弟労働者など)を除いていないため、この層を多く含む若年層の未 満率・影響率双方が実際より高く推定されている可能性が大きい。

(11)

低賃金委員会の 2008 年の報告書によれば、最低賃金以下の賃金水準の雇用者の約 3 分の 2 が女性で、就業形態別ではパートタイムが 6 割を占める25。また、人種別にはパキスタン・バ ングラデシュ系を中心とするエスニック・マイノリティ、年齢別には 65 歳以上の高齢者層(特 に女性)や 22 - 25 歳もしくはそれ以下の若年層、あるいは障害者などの雇用者層の間で特に 比率が高い。企業規模別では小規模企業ほど低賃金労働者を雇用する傾向にある( 1 ~ 9 人 規模で 10 %以上、10 ~ 49 人規模でも 8 %)。

加えて、低賃金委員会は毎年の報告書で、特に賃金水準の低い 10 業種を「低賃金業種」と して取り上げ、雇用・賃金の動向を含めて最低賃金の影響を分析している。委員会によれば、 これら 10 業種に従事する最低賃金もしくはそれ未満の賃金水準の労働者は、イギリス全体の 最賃以下の賃金水準の労働者の約 7 割を占めるという。業種別には、理髪業、清掃業、飲食・ 宿泊業(Hospitality)などで低賃金労働者の比率が特に高い。また絶対数では、小売業(335 万人)、飲食・宿泊業(181 万人)、ソーシャル・ケア(育児・介護等の公的なサービス: 116 万人)の 3 業種で、これら 10 業種の低賃金労働者の 4 分の 3 を占めている。

なお、外国人労働者の間で比率が高いとの見方が一般的だが、統計上は把握されていない。

「低賃金業種」における最低賃金以下の労働者数および業種毎の労働者に占める割合

出典:National Minimum Wage: Low Pay Commission Report 2008 (Low Pay Commission, 2008)

(3) 違反率

最賃未満の賃金水準の労働者のうち、適用除外対象者を除いた労働者の実数は不明のため、 違反率についても明らかにされていない。しかし、未満率の低さなどから、遵守状況は概ね 良好との見方が一般的だ。

歳入関税庁の 2007 年の業務報告では、申し立てや通報をうけて雇用主に対して実施された

25 労働時間・所得統計調査の 2006 年のデータに基づく低賃金委員会の推計によれば、女性パートが半数近く

(47%)を占めるほか、男性フルタイム(21%)、女性フルタイム(19%)、男性パートタイム(13%)。

(12)

検査等は約 4,500 件、うち 3 割強に当たる 1,500 件について何らかの違反が発見されたが、未 払い賃金の支払いに関する履行通告が発行された(すなわち即座に支払いが行われなかった 等)のはこのうち 71 件で、さらに罰則通告はわずかに 2 件にとどまっている。これらの多く については、最賃制度に関する雇用主の不十分な理解により生じているものとみられる。な お、ここ数年の推移としては、最賃違反(最賃額を下回る賃金の支払い)に関する申し立て 件数自体は増加しているが、一方で検査の実施件数や、これを通じた違反摘発件数および明 らかになった未払い額の総計は、むしろ減少傾向にある。

ただし、歳入関税庁による履行確保体制は非常に限定的であることから、このような摘発 等の状況が実態を正しく反映しているとはいえないとの指摘もある26。低賃金委員会も、実 態が把握されにくい最賃違反の可能性について、従来から懸念を表明している。これは例え ば、従業員が税控除の資格を得ることを目的に、雇用主と共謀して最低賃金以下の賃金に甘 んじ る よ う な ケ ー ス だ 。 ま た 、 外 国 人 労 働 者 や 派 遣 労 働 者 な ど の 立 場 の 弱 い 労 働 者

(vulnerable worker)に対する違反が増加傾向にある可能性も、併せて指摘している。外国 人労働者は、英語能力の不足から自らの権利に無自覚なことも多く、雇用主がこれにつけこ んで、最賃未満の賃金しか支払わないといった事例が、ヒアリングなどで報告されていると いう。

最低賃金の履行確保に関する歳入関税庁の活動状況

出典:National Minimum Wage: Low Pay Commission Report 2008 (Low Pay Commission, 2008)

(4) 最低賃金と平均賃金との比較

1999 年に導入された 2 区分(22 歳以上、 18 ~ 21 歳)の最賃額は、2007 年までにそれぞれ 53 % の増加で、この間の物価上昇率と平均賃金上昇率を上回る伸び。この間、平均賃金は名目で 4 割程度増加しているため、平均賃金に対する比率は、22 歳以上の基本賃率で 35.7 %から 39.6 %と 3.9 ポイント増にとどまっている。これに対して、中央値に対する比率は 4.7 ポイ ント増で、2006 年の改定により初めて 50 %を超えており、中間層の賃金分布が相対的に低位

26 Brown(2005)

(13)

にシフトしている可能性が推測される。

一方、若年向け最賃額の当該年齢層の賃金の中央値に占める比率は、18 ~ 21 歳で 73.5 %、 16 ~ 17 歳でも 6 割強で、基本賃率に比して高い27

最低賃金額(22 歳以上)の推移

* 労働時間・所得統計調査に基づく、低賃金委員会の推計。なお、最賃額の改定は通常毎年 10 月に実施される が、同調査は 4 月時点のものであるため、上記は各年の改定額について、翌年 4 月の賃金水準と比較している(例 えば 99 年の 35.7%は、2000 年 4 月の平均賃金に対する比率)。また、2004 年と 2006 年にそれぞれ集計方法が変 更されており、このためこの前後の数値は接続していない。

出典:同上

賃金水準の構成に関する変化は、賃金階層ごとの賃金上昇率と中央値の上昇率の差をみた 次の図から窺うことができる。92 年~ 97 年には、賃金水準と賃金上昇率が比例関係にあった

(低賃金層ほど賃金水準が伸び悩み、逆に中央値をはさんで賃金が高い層ほど上昇率も高か った)のに対して、続く 2004 年までの時期には、低賃金層と高賃金層の両端で高い上昇がみ られ、以降 2007 年まではこの差が緩やかになりつつあるものの、中央値をはさんですぐ上の 階層では、相対的な賃金水準が低下していること観察される。

27 2006 年の最賃額についての低賃金委員会の推計による(2007 年報告書。なお、同報告書では、16~17 歳層に ついて具体的な数値を示していない)。

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 最賃額(£) 3.60 3.70 4.10 4.20 4.50 4.85 5.05 5.35 5.52 5.73

増加率(%) 2.8 10.8 2.4 7.1 7.8 4.1 5.9 3.1 3.8

未満率(%) 0.9 0.9 1.3 0.9 1.0 1.0 1.0 1.0 対平均賃金

比率(%)*

35.7 34.7 36.5 35.9 37.7 38.5 38.5 39.6

対中央値比率 (%)*

45.4 44.2 47.2 46.5 48.1 49.4 49.7 51.1

(14)

賃金階層別の賃金上昇率の推移(中央値の上昇率との差)

出典:同上

一方、低賃金層においても、賃金水準が最も低い層における急速な改善によって、低賃金 層の圧縮が生じている。結果として、最低賃金レベルの賃金を支払われている労働者は年々 増加する傾向にあり、2007 年の改定に際しては、22 歳以上層で 2.4 %(56 万 5,000 人)、また 18 ~ 21 歳層と 16 ~ 17 歳層ではそれぞれ 3.0 %( 5 万 3,000 人)と 3.4 %( 1 万 3,000 人)に 達している。

最低賃金水準の雇用者の比率

(単位:千人、%)

2006 2007

16~17 18~21 22~ 16~17 18~21 22~ 最低賃金を受け取

る雇用者数 7 59 444 510 13 53 565 631

雇用者全体に占め

る比率 1.9 3.1 1.9 2.0 3.4 3.0 2.4 2.5

未満率 3.9 2.3 1.0 1.2 4.1 2.5 1.0 1.2

全雇用者数 361 1,925 23,023 25,309 388 1,795 23,150 25,333 出典:"Low Pay Estimates 2007",Office for National Statistics 付属資料

次表は、これを男女別に、賃金額ごとの分布(2007年)でみたものだ。男女とも、最低賃 金額の賃金水準(2007 年 4 月時点の基本賃率である 5.35 ポンド)にある雇用者が多いが、 特に女性の 22 歳以上層では、男性の 2 倍以上の 380 万人に達している。一方、21 歳以下層に ついては、絶対数自体も小さいが、男女間の差もさほど顕著に表れていない。

(15)

性・年齢別、低賃金雇用者の時間当たり賃金額別分布(2007 年)

男性 女性

単位:千人

0 50 100 150 200 250 300 350 400

£2.90 £3.30 £3.70 £4.10 £4.45 £4.80 £5.20 £5.50 £5.90 £6.30 £6.70

0 50 100 150 200 250 300 350 400

£2.90 £3.30 £3.70 £4.10 £4.45 £4.80 £5.20 £5.50 £5.90 £6.30 £6.70

16-17 18-21 22+

* 女性 16~17 歳層の 3.30 ポンド未満の雇用者数については、利用可能なデータが示されていなかったため、男 女計と男性から逆算した数値を便宜的に用いた。

出典:同上

(5) 税制及び社会保障(公的扶助)との関係

先にみたとおり、政府は最低賃金制度の導入に際して、低所得層への所得補助給付の一部 を適正な賃金の支払いを通じて企業に負担させ、これによって財政負担を軽減するという効 果をもたらすことを大きな目的の一つとして掲げている。ただし同時に、最低賃金制度は政 府が実施している「福祉から就労へ」という就業促進プログラムの一環として位置づけられ、 低所得層への就労に関連付けた税額控除制度(Working Tax Credit28)の実施とならんで、 失業者や無業者などにとって就労が魅力的となるような賃金・所得に関する施策ともなって いる。つまり、最低賃金額を適正な水準に保つことで、求職者給付(失業手当)や就労不能 給付(障害者手当)などの受給者を就業に振り向け、これを通じて一方では社会保障支出の 削減、他方ではいわゆる社会的排除によって就業・教育などの面で不利な立場に置かれた人々 の状況を改善することが志向されているといえる。

なお、現在の最低賃金額の水準は、総じて所得補助や求職者給付など各種給付制度の週当 たり支給額より高いといえる。このため、基本的には給付水準と最低賃金額が関連付けて論 じられることはない。主な給付制度による給付額は以下のとおり。

28 世帯の条件や就労状況などから基準となる額を算定し、これを超過する収入額の一定割合を支給する制度。

①子供を養育している者については、16 歳以上で週 16 時間以上就労していること、②それ以外の者について は、次のいずれかの要件を満たすこと:i)25 歳以上で週 30 時間以上就労していること、ii)16 歳以上で週 16 時間以上就労しており、就職に当たって不利となる障害を有し、かつ障害給付を受給していること、iii)申 請者又はその配偶者が 50 歳以上で、不就労による給付(求職者給付、所得補助等)の受給要件を満たしてい る状態から就労へ復帰して週 16 時間以上就労していること。

(16)

主な給付制度の給付額(2006 年、単位:ポンド/週)

求職者給付 18歳未満 34.60

18~24歳 45.50

25歳以上 57.45

就労不能給付 28週以下 59.20

70.05

53週以上 78.50

所得補助単身者 16~17歳 34.60

18~24歳 45.50

25歳以上 57.45

カップル 両者とも16~17歳 34.60

両者とも16~17歳、一人が障害者 45.50 両者とも16~17歳、子供が一人 68.65 一人が16~17歳、一人が18~24歳 45.50 一人が16~17歳、一人が25歳以上 57.45

両者とも18歳以上 90.10

一人親 16~17歳 34.60

16~17歳(特別な場合) 45.50

18歳以上 57.45

45.58

  加算金 16.25

45.08 26.35 46.75 83.95 24.50 34.95 11.95 17.25 29週以上52週以下

被扶養児童・若年者(20歳未満) 家族加算金

障害児童加算金

   〃  (カップル) 重度障害者加算金(単身者)    〃  (カップル) 介護者加算金

重度障害者加算金

年金受給者加算金(カップル) 障害者加算金(単身者)

出典:『世界の厚生労働 2007』厚生労働省(2007)

一方、当初掲げられていた財政改善の効果については、明確な累積効果は明らかにされて いないが、低賃金委員会の報告書には、毎年の最賃額の改定がもたらす財政改善の効果が推 計されている。例えば 2008 年の改定に関しては、社会保障給付に関する支出削減効果と、税 や国民保険料などの増収分を併せて、2 億 4,500 万ポンドの政府財政への寄与が期待されてい る。

(17)

2008 年 10 月の最低賃金額の改定による財政効果の推計(2008 年度)

出典:National Minimum Wage: Low Pay Commission Report 2008 (Low Pay Commission, 2008)

(6) 最低賃金の引き上げの影響

以上から、最低賃金制度の導入は、低賃金層の賃金水準の改善を通じて、所得の再分配効 果をもたらしたとの見方が一般的だ。また、賃金水準に関してその恩恵を最も被ったのは、 低賃金層の半数近くを占める女性パートタイム労働者であるといわれ、この層の賃金水準の 改善を通じて、男女間の賃金格差が縮小されたところが大きい。

雇用についてはどうか。制度導入に際しての議論では、保守党や企業などが、雇用が大幅 に削減されると主張し、また、より低い水準が設定される若年層に労働需要がシフトするこ とにより、基本賃率を適用される 22 歳以上層の労働者が職を失うとの懸念が提示されていた。 しかし、導入から 9 年あまりを経て、これまでのところ主張されたような全般的な影響はみ られていない。この間の雇用水準は、長期的な景気の好調に支えられて拡大、就業者数はイ ギリスで初めて 3,000 万人に届こうとしており、うち約 1 割にあたる約 300 万人分は 1997 年 からの増加分だ。

低賃金委員会が労働力調査のデータからまとめたところでは、ここ数年の雇用増の大半は、 最低賃金の影響をより受けやすいとみられる小規模企業(50 人未満)において生じており、 逆に中規模企業(50 ~ 249 人)や大規模企業(250 人以上)では、雇用の減少がみられると いう。2006 年の第 3 四半期から 2007 年の第 3 四半期にかけての雇用の増減は、小規模企業の 約18 万 5,000 人増に対して、中規模企業と大規模企業ではそれぞれ 1 万 1,000 人と 10 万 4,000 人だった。小規模企業では雇用者の 4 %が最低賃金レベルの賃金水準にあり、中規模企業の 3 %や大規模企業の 2 %と比べて高いことを考慮すれば、最低賃金の雇用に対する悪影響はほ とんど生じていないと考えることができる。

一方、低賃金委員会の報告書は、最低賃金制度の企業の収益や生産性などに対する影響に

(18)

ついても、大まかな分析を試みている。これによれば、企業収益は順調に向上しており、最 低賃金による棄損の形跡はみられない。また生産性についても、例えば低賃金業種として委 員会が注視する小売業や飲食店・宿泊業などでは、全産業の平均以上に生産性が上昇してい る状況にある。なお、委員会に寄せられた研究成果のうちには、一部企業において最低賃金 の引き上げによるコスト増を価格に転嫁している状況がみられるとの指摘もあったという。

(7) 最低賃金の引き上げに伴う(中小・零細)企業への施策

既にふれたとおり、最低賃金制度の導入は企業に対して一定の負担を強いることを大前提 としており、このため制度の導入や最低賃金額の改定などに関連して、企業におけるコスト 増を相殺することを目的として実施されている減税策や優遇施策等はない。

3 最低賃金を巡る最近の議論、話題等 (1) 見直しの動き

毎年の改定額に関する検討は、必要に応じて引き下げる可能性を含め、労働市場への影響 をみながら行われてきたという。長期的な景気拡大が踊り場に差しかかっているとの認識が 共有されていることもあり、大幅な引上げは 2006 年で一段落して29、2007 年及び 2008 年につ いては平均賃金の上昇率を下回る改定となった。

低賃金委員会は 2007 年の報告書で、最賃額の大幅な引上げに替えて企業におけるコンプラ イアンスを高める必要を主張、政府も同様の意向を示し、履行確保を所管する歳入税関庁の 関連予算を 50 %引き上げて、監督官の増員や広報活動30などによる制度の周知の徹底を促す こととした。また、派遣労働者や外国人労働者などの立場の弱い労働者に対する搾取の問題 への対応についての議論が既に一昨年から進められており、この関連では、例えば住居費等 の賃金からの徴収に関するルールの厳格化や、最賃違反に対する即時の罰金の適用および罰 金額自体の引き上げ、また履行確保の強化の一環として、未払い賃金の算定方法の見直し(遡 及分を現在価値に換算)や監督官の権限の拡大などもはかられる予定だ31

さらに、2007 年には新たにボランタリー団体の労働者に対する最賃の適用に向けた制度改 正のため、コンサルテーション(関係者等からの意見募集)などを実施、法制化に向けた作 業が進められている。実費相当の金銭を受け取って活動に従事するいわゆる「ボランティア」 とは異なり、こういった組織で労働者として就業する人々に最賃制度を適用することを目的 としてる。

29 ただし 2007 年の報告書は、引き上げ幅を抑制した点ついて、最賃額の水準が高くなりすぎたためではなく、 あくまで過去数年の引き上げ幅が大きかったことから、一旦これを抑制する必要があると判断した、として いる。

30 最低賃金に関するキャンペーンバスが地方都市を巡回し、現地で相談を受けるといった試みが既に昨年から 実施されている。このほか、宿泊業や保育業などいくつかの低賃金業種に対して、個別にガイドラインを作 成し、ポーランド語など複数の言語に翻訳して提供されている。

31 これらは、今国会に提出されている Employment Bill に盛り込まれている。

(19)

このほか、関連する動向として、政府内部では地域別最低賃金に関する議論が進められて いるといわれる32。地域によって賃金水準の相場が異なることが、政府に見直しを促す大き な理由となっている。全国一律の最低賃金額の設定には、シンプルでわかりやすい制度にす るという政府の狙いがあったといわれ、また一面において地域間の賃金水準の格差を是正し てきたところもある。しかし、これに対する批判も導入以前から見られ、同様の論調は近年 まで続いている。例えば、中小企業が多く加盟する FSB の 2004 年の意見書では、引上げの影 響を受ける企業の割合が地域によって全く異なることを指摘、スコットランド・ウェールズ 及びイングランド北部では企業全体の約 4 分の 1 が影響を受けるが、イングランド南東部で はこれが 20 分の 1 にすぎないとして、地域に見合った水準の最賃額の適用を求めている。政 府内部で当面の議題にのぼっているのは、北アイルランドなど一部の地域についてのみとも いわれるが、詳細について明確な方針は示されていない。

(2) 労使の意見、学識者の議論など

最賃制度に対する近年の労使の関心は、最低賃金の水準に関するものが中心となっている。 低賃金委員会が改定額の検討に際して毎年実施している関係者からの意見聴取に対して、 使用者側から毎回寄せられる見解は、最賃引き上げによって生じるコストが企業の経営に大 きな負担となっており、これを捻出することが年々難しくなっている、というものだ。例え ば、小売業の業界団体である英国小売業協会は、2006 年の最賃額 6 %引き上げによるコスト 増は業界全体で 17 億ポンドにのぼり、人件費の増加が従業員の生産性の上昇分を上回ってい ることから、競争力が損なわれていると主張している。またコンビニエンス・ストア協会も、 人件費の増加がそもそも小さい利益をさらに侵食している、との声を寄せている。あるいは、 人件費以外の原材料などに関するコスト増への対応の必要なども、使用者の間からは聞かれ る。CBI は、雇用などへの影響をみるためにも、改定の間隔を(例えば隔年などのかたちで) あけるべきではないか、と主張している。

一方、労働組合側の主張は、企業の利益率は記録的に増加しており、最賃の引き上げは企 業にとって十分対応可能な水準にあるというものだ。むしろ、例えば介護産業では、低劣な 賃金水準を理由とする高い離職率が、新たな従業員の訓練によるコストを増加させており、 在宅介護業界などではこのコストが 7,800 万ポンドにもおよぶとしている。

また、労働組合側は現在の最低賃金の水準に不満を持っており、先にも触れた「生活賃金」 という考え方に基づいて、最賃額の 7 ポンド前後への引き上げを主張している。さらに、イ ンターンシップや職業経験プログラムを通じて就業している若年層に対して、最賃未満の賃 金の支払いや、あるいは無給で就業させるなどの最賃適用違反が多発しているとの批判もあ

32 Daily Telegraph ウェブサイトの 2007 年 7 月 23 日付の記事。

http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/07/22/nwage122.xml

(20)

る。多くは、制度に関する知識不足から行われている違反であるといわれる33

加えて、年齢区分に応じた減額措置に関しても、若年層に対する差別的な処遇を容認して いるといった批判もあり、労働組合の間では、18 歳からの基本賃率の適用を求める声もある。 しかし、現状でも厳しい若年層の雇用状況からは、現実的な選択肢ではないとの見方が強い34。 なお年齢区分に関しては、低賃金委員会も制度導入の当初から一貫して、21 歳層を基本賃率 の適用範囲に含めることを主張しているが、政府は現在に至るまでこれを取り入れていない。

一方、最低賃金制度の影響に関する研究者などによる検証も、多岐にわたる問題に関して 行われている35。特に関心が集まっているのは、雇用と賃金水準に対する影響だ。

このうち、雇用に関してはほとんどの研究成果で、悪影響は生じていないとの結論に達し ている。低賃金業種あるいは若年層など、とりわけ最低賃金の影響を受けやすいとされるグ ループに絞った研究においても、目立った雇用の減少効果はみられないとの結果を報告する 論文が多い。Metcalf(2007)は、雇用への影響が抑制された要因として、①職場組織の見直 しや訓練などの企業努力による生産性の向上②価格転嫁③企業収益の縮小による吸収、④雇 用ではなく労働時間による調整が行われた―などが有力であるとしている。しかし、例えば 教育訓練や企業収益などについては、最低賃金制度の影響はほとんどみられないとする研究 もあり、また労働時間による調整についても、若干の減少傾向はみられるものの、使用する 統計によって結果が異なるといった結果を報告する論文もあるなど、いずれの要因がより説 明力を持つかについて、賛否は分かれる。

また賃金水準への影響については、低賃金層の賃金水準の改善効果があったとする研究が 大半だ。ただし、その効果を限定的にとらえる(ごく一部の低賃金層についてのみ改善効果 があったとする)研究から、より広範に上位層にまで波及効果があったとする研究までみら れ、これに関しても評価は必ずしも一定していないことが窺える。

最低賃金制度の企業への影響に関しては、Incomes Data Servicesが 2006 年に興味深い調 査を実施している。同調査は、小売業、飲食店、保育などの低賃金業種に対して、2005 年の 最低賃金額の改定に対して具体的にどのような対応を行ったかを尋ねており、その結果は以 下のようなものだ。すなわち、①多くの企業で、賃金改定時期を最低賃金の改定に合わせて 10 月とした②多くの業種では、慣行として 18 歳層の採用時の賃金水準に基本賃率(22 歳以 上)を適用しているが、飲食店業では、逆に年齢別の賃金制度を新たに設けて、18 ~ 21 歳層

33 特に、メディア産業やファッション産業、建築業などでこの傾向が顕著だといわれるが、昨年、同種の事例 が庶民院でもあったことが明らかになり、歳入関税庁の指導を受けるなど、この問題が特定の産業のみに固 有の状況とは言えない広がりを持っていることをうかがわせる。なお委員会は、徒弟労働者に関する適用除 外についての検証を諮問事項に盛り込むよう、2007 年報告で政府に要請したが、政府は若年層に対する教育 訓練を強化する(またその一環として、徒弟制度自体も拡充する)との政策方針から、若年層が教育から離 れることを助長しかねないとしてこれを却下したという。しかし、2009 年改定に係る諮問には、徒弟労働者 に関する事項を含むとの方針を政府は明らかにしており、委員会はこれを歓迎している。

34 Coats (2007)

35 この分野の研究成果を概観する最近の論文として、Burrell (2007)、Metcalf(2007)など。

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