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経済学部 進学振り分けガイダンス
統計紹介
加藤 賢悟
2014年12月17日@駒場
本人の略歴
2001年 東京大学教養学部文科1類入学 2003年 経済学部進学
2005年 経済学研究科修士課程進学 2007年 修士課程修了 博士課程進学
2009年 博士(経済学)取得 広島大学数学専攻の 助教に赴任 途中MITに在外研究
2013年以降 東京大学経済学研究科の講師、その あと准教授 現在に至る
広島にいたことの証明
本人の興味
専門は数理統計学、計量経済学。
細かく言うと、高次元統計モデルの解析と、それに 必要な確率論的ツールの開発に関心がある。
猫も好き。
詳細は個人ページを参照。 私の名前でググると...
統計学って何？
データを分析する方法論に関する学問。
固有の数学体系がある。どのような方法が最適か？ 数学の分野では確率論と密接な関係
データのタイプ、分析の目的に応じて、チャレンジ ングな問題が現れる。
広い応用と、深い理論
計量経済学=統計学の手法を用いた経済データの 分析
Stein現象
X1, . . . , Xnをd次元の多変量正規分布Nd(µ, Id) からの独立な標本とする。平均ベクトルµをデータ から推定したい。
直感的には標本平均
X¯ = 1 n
∑n i=1
Xi
がよさよう。
Charles Steinは1956年に、次の事実を指摘した。 µの推定量µˆの良さを2乗リスク
Eµ[∥ ˆµ − µ∥2]
で測ると、d ≥ 3のとき、X¯ をちょっと原点に縮小 した推定量(James-Stein推定量)はX¯ よりよい推 定量となる！
現代の統計学に広いインパクト。証明に使われる Steinの等式は確率論においても重要な役割を果た す(正規近似のSteinの方法)。
統計学コースの紹介（私以外）
国友直人 統計学、計量経済学、計量・数理ファイ ナンス
矢島美寛 統計科学、計量経済学 久保川達也 数理統計学
大森裕浩 計量経済学、ベイズ統計学 下津克己 統計学、計量経済学
学内協力教員
市村英彦（経済）、丸山祐造（空間情報）ほか。
関連する学部講義 (I・II の分類は省略)
専門科目１：「統計」
専門科目２：「数理統計」、「計量経済学」
選択科目：「数学I」（線形代数）、「多変量解析」、
「応用統計」、「経済データ分析」、「経済統計」、「人 口統計」etc.
上級科目：「上級計量経済学」、「上級数理統計」
参考書 (今年度のシラバスより)
「統計」— 中村隆英ほか「統計入門」東大出版、田 中勝人「統計学」新世社、「統計学入門」東大出版
「数理統計」— 竹村彰通「現代数理統計学」創文社
「計量経済学」— Jeffrey Wooldridge
“Introductory Econometrics” South-Western Pub
もうちょい啓蒙的な読み物
スティーブン・レヴィット「ヤバい経済学」— デー タの海から隠れた因果関係や不正を見つけ出す。 例：相撲の八百長
ディヴィット・ザルツブルグ「統計学を拓いた異才 たち」— 統計学の歴史。
伊藤清「確率論と私」— 確率論の先駆者の回顧禄。 竹内啓「偶然とは何か」— 統計学において多大な 貢献。Wikipediaにエピソードが豊富。
とりあえずやっておいたほうがよいこと
教養課程で提供される、解析、線形代数の講義を履 修しておくこと。
専門科目１「統計」は本郷進学後の統計学関連の講 義において前提とされるので、真面目に勉強する べし。
もうちょっと勉強してみたい人は
経済学研究科統計学コース。修士課程(2年)、博士 課程(3±年)。
体系的な統計学に関するコースワークを備えた国内 では希少なプログラム。
研究者志望でなくとも、修士課程で専門的なトレー ニングを受けることはキャリアに有益。
ホームページ(「東京大学 統計学コース」でグ グってみよ)に統計学コースに関する情報(大学院 生、就職情報など)あり。
