1 三角関数
ここでは、ベクトルの考え方を知っていることを仮定して、三角関数の加法定理を導く ことにしよう。三角関数のうち cos (cosine, 余弦) と sin (sine、正弦) は、一般的に 図 1 のように原点を中心とする半径 1 の円上で、点 (1, 0) から 反時計回りに角度 θ だけ移動 した点のデカルト座標 (直交座標) 系での座標を (cos θ, sin θ) とすることにより定義され る。なお、半径 1 の円を単位円 (unit circle) と呼ぶ。また、tan (tangent, 正接) は sin と cosを用い、
tan θ = sin θ
cos θ (1.1)
で定義される。単位円上の点 (x, y) と原点との距離は 1 であるので、円の方程式は x2+y2 = 1 と表される (原点、点 (x, y)、点 (x, 0) の 3 点を頂点とする直角三角形に三平方の定理 (ピタゴラスの定理) を用いる)。従って、点 (cos θ, sin θ) は円 x2+ y2 = 1 の点なので、
sin2θ+ cos2θ = 1 (1.2) が成り立ち、さらに 両辺を cos2θ で割ることにより、
tan2θ+ 1 = 1
cos2θ (1.3)
が成り立つことが分かる。
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図 1: 単位円と三角関数の定義
次に三角関数を計算する際に基礎になる加法定理を考える。三角関数は点 (1,0) を 1 回 させたときの座標で定義されたが、加法定理は 2 回回転させたときの座標を表すもので ある。図 1 を見てみよう。点 (1,0) を原点を中心に反時計回りに角度 α 回転させ、続け て反時計回りに β 回転させたときの座標は定義から、 (cos(α + β), sin(α + β)) と表され る。原点から点 (cos(α + β), sin(α + β)) へのベクトルを
⃗r= (cos(α + β), sin(α + β)) (1.4)
としておこう。さて、cos(α + β), sin(α + β) は sin α, cos β 等でどのように表されるべき か? というのが加法定理の言っていることである。
ここで、x 軸、y 軸、ベクトル ⃗e1 = (cos α, sin α), ⃗e2 = (− sin α, cos α) の方向にそれぞ れ傾いたとしてしまおう。⃗r は ⃗e1 から反時計回りに角度 β だけ回っているので、三角関 数の定義から ⃗r = (cos β) ⃗e1 + (sin β) ⃗e2 と書ける。⃗e1, ⃗e2 の成分を代入し整理すると、
⃗r= (cos α cos β − sin α sin β, sin α cos β + cos α sin β) (1.5) となる。Eq. (1.4) と Eq. (1.5) により、同じベクトルが 2 つの方法で表された。このとき ベクトルの全ての成分が互いに等しい必要があるので、
cos(α + β) = cos α cos β − sin α sin β
sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β (1.6) が成り立つ必要がある。これが三角関数の加法定理である。
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図 2: 三角関数の加法定理
実際には三角関数の公式はオイラーの公式を用いるのが極めて便利である。オイラーの 公式を理解するには微積分の公式を理解すると便利なので、次に微分・積分の公式をやっ た後に取り扱うことにする。
2 微分の公式
べき乗の微分については、以下の公式が成り立つ。 d(tn)
dt = nt
n−1 . (2.1)
この公式は n が実数の時にも成り立つ。合成関数の微分の後の例 1. に、有理数乗に対す る証明を記す。特に n が自然数の時の証明を Appedix A に記す。
三角関数については以下の式が成立する。 d
dtsin t = cos t, d
dtcos t = − sin t, d
dt tan t = 1
cos2t (2.2) である。初めの 2 つの式の導出は
limt→0
sin t
t = 1 (2.3)
と、三角関数の加法定理による。また、最後の式は下に述べる商の微分による。
指数関数については、まず自然対数の底 e (ネイピア数) を定義する必要がある。e の定 義としてはヤコブ・ベルヌーイによる
e ≡ lim
t→∞
( 1 + 1
t )t
(2.4) が高等学校の教科書でよく見られる定義であるが、ここでは、これと等価なオイラーに よる
∆t→0lim
e∆t− 1
∆t = 1 (2.5)
の定義を採用する。e = 2.7182818284590452353602874 · · · と続き、無理数の中でも超越 数に分類される数である。et の t による微分は、上の定義を採用すると、
d(et)
dt = lim∆t→0
et+∆t− et
∆t = e
t lim
∆t→0
e∆t− 1
∆t = e
t (2.6)
となり元に戻る。
複雑な導関数の計算には以下の公式を用いる。なぜその公式が成り立つかは長くなるの で、 Appendix A に示す。a, b は時間によらない定数、f(t), g(t) を時間の関数とすると、 以下の公式が成り立つ。
d(af (t) + bg(t)) dt = a
df(t) dt + b
dg(t)
dt . (2.7)
d(f (t)g(t))
dt = f (t) dg(t)
dt + df(t)
dt g(t) . (2.8) d( f (t)
g(t) ) dt =
df(t) dt g(t) −
dg(t) dt f(t)
(g(t))2 . (2.9)
特に f(t) = 1 の時、df(t)
dt = 0 なので、 d
( 1 g(t)
) dt = −
dg(t) dt
(g(t))2 (2.10)
が成り立つ。さらに、u = u(x), x = x(t) の時、t の微小な変化 ∆t に対して、∆t → 0 の 時 ∆x = x(t + ∆t) − x(t) → 0 とすると、合成関数 u = u(x(t)) の t についての微分は、
d(u(x(t))) dt =
du(x) dx
dx(t)
dt (2.11)
である。
例1. 有理数乗の微分
y= xmn は分数乗の定義から yn = xm である。両辺を x で微分すると、Eq. (2.1) から、 nyn−1dy
dx = mx
m−1
である。y に y = xmn を代入して整理すると、 dy
dx = m
nx
m
n−1 (2.12)
を示すことができる。
また、t が x の関数としても書けるとき (それぞれの x の値に対し t が唯一つに決まると き) 、x = x(t) に対し、t = x−1(x)と書ける (前の x−1 は関数の記号であり、後ろの x は引 数であることに注意。) この時、 x−1 は x の逆関数であるという。この時、x = x(x−1(x)) であるので、合成関数の微分を使って両辺を x で微分すると、1 = dx
dt
d(x−1)
dx である。 従って、逆関数 x−1 の x についての微分は
d(x−1) dx =
1 dx
dt
(2.13)
となる。
例 2 . 対数関数の微分
y= ex の時、対数関数 log は x = log y で定義される。前段の議論を踏襲して、x = log y (自然対数 (natural logarithm) の略で ln とも書かれる) を x で微分すると、
1 = d(log y) dy
dy dx である。指数関数の性質 Eq. (2.6) から dy
dx = y であったから、 d(log y)
dy = 1
y (2.14)
である。
2.1 ベクトルの微分
一次元でない一般の運動では位置は位置ベクトルで表される。速度ベクトルはベクトル のスカラー倍の演算を用いて、一次元の場合について
v = lim
∆t→0
∆r
∆t (2.15)
と書ける。この式を
v ≡ dr
dt (2.16)
と定義する。ここで直交座標系を考え、∆r = (∆x)ex+(∆y)ey+(∆z)ez とする。ex, ey, ez
は それぞれ x, y, z 軸の正方向の単位ベクトル (長さ 1 のベクトルを単位ベクトルと呼ぶ) で、成分表示すると、
ex = (1, 0, 0), ey = (0, 1, 0), ez = (0, 0, 1) (2.17) である。すると、
v = lim
∆t→0
∆r
∆t
= lim
∆t→0
1
∆t((∆x)ex+ (∆y)ey + (∆z)ez)
= lim
∆t→0
( ∆x
∆tex+
∆y
∆tey+
∆z
∆tez )
∴ v = dx dtex+
dy dtey+
dz
dtez (2.18)
となる。ここで dex dt =
dey dt =
dez
dt = 0 を用いた。この式は デカルト座標系においては、
「ベクトルの微分を計算するには、それぞれの成分の微分を計算すればよい」ということ を示している。加速度ベクトルは、
a = dv dt =
d2x
dt2 (2.19)
であり、
a= lim
∆t→0
∆v
∆t (2.20)
である。Eq. (2.18) を導いた時と全く同様に a= dvx
dt ex+ dvy
dt ey+ dvz
dt ez = d2x dt2ex+
d2y dt2ey+
d2z
dt2ez (2.21) が成り立つ。
また、この subsection 中のここまでの議論とスカラー関数についての微分の公式から、 α, β を時間によらない定数として、
d
dt(αA(t) + βB(t)) = αdA(t) dt + β
dB(t)
dt , (2.22)
d
dt(f (t)A(t)) = df(t)
dt A(t) + f (t)dA(t)
dt , (2.23)
d
dt(A(t) · B(t)) = A(t) · dB(t) dt +
dA(t)
dt · B(t) , (2.24)
d
dt(A(t) × B(t)) = A(t) ×dB(t) dt +
dA(t)
dt × B(t) (2.25) が直ちに従う。
2.2 オイラーの公式
ここでは、微分方程式を解く際に非常に強力な武器となる公式
eiθ = cos θ + i sin θ (Eulerの公式) (2.26) を説明する。本当は大学の解析学 (微分積分学) で習う Taylor 展開からまず複素指数関数 を定義したほうがよいが、ここでは簡単に、合成関数の微分から導かれる指数関数の微分
d(eαt) dt = e
αtd(αt)
dt = αe
αt (2.27)
を α = i の時にも成り立つとして、すなわち d(eiθ)
dθ = ie
iθ (2.28)
が成り立つとして導いてみる。
まず f(θ) = (cos θ − i sin θ)eiθ とする。すると、積の微分公式と三角関数の微分と、 Eq. (2.28) を用いて
d(f (θ))
dθ = (− sin θ − i cos θ)eiθ+ (cos θ − i sin θ)ieiθ
= −(sin θ + i cos θ)eiθ+ (sin θ + i cos θ)eiθ
= 0 (2.29)
これは f(θ) が定数関数であることを表している。従って、f(0) = (1 − i0) · 1 = 1 である から、
f(θ) = (cos θ − i sin θ)eiθ = 1
この両辺に (cos θ + i sin θ) を掛けて、Eq. (1.3) を用いると、Eq. (2.26) を導くことがで きる。
Euler の公式で、θ を −θ にすると、e−iθ = cos θ − i sin θとなる。従って、これと Euler の公式から三角関数が、
cos θ = e
iθ+ e−iθ
2 , sin θ =
eiθ − e−iθ
2i (2.30)
となり、複素指数関数と関係付けられる。
また、これらの公式と指数法則 ez1+z2 = ez1ez2, (ez1)n = enz1 を用いると、三角関数に 関する様々な定理はその殆どを導くことができる。以下の例 3, 4 ,5 では、α, β, θ 等の角 度を表す変数は実数とする。
例 3. 加法定理
eiα+iβ = cos (α + β) + i sin (α + β) (2.31) である。一方、eiα+iβ = eiαeiβ から
eiα+iβ = eiαeiβ = (cos α + i sin α)(cos β + i sin β)
= (cos α cos β − sin α sin β) + i(sin α cos β + cos α sin β) (2.32) Eq. (2.31) と Eq. (2.32) は同じものを計算したものなので、等しい複素数を表している。 従って、それぞれの実部と虚部が等しく、Eq. (1.6) が成り立つことが分かる。
例 4. 倍角の公式
e2iθ = cos 2θ + i sin 2θ 一方、
e2iθ = (eiθ)2 = (cos θ + i sin θ)(cos θ + i sin θ)
= (cos2θ− sin2θ) + 2i cos θ sin θ 従って、2 倍角の公式
cos 2θ = cos2θ− sin2θ, sin 2θ = 2 cos θ sin θ (2.33) が成り立つ。同様に、
e3θ = cos 3θ + i sin 3θ であり、
e3iθ = (eiθ)3 = (cos θ + i sin θ)3
= (cos3θ− 3 cos θ sin2θ) + i(3 cos2θsin θ − sin3θ)
= (4 cos3θ− 3 cos θ) + i(3 sin θ − 4 sin3θ) なので、3 倍角の公式
cos 3θ = 4 cos3θ− 3 cos θ, sin 3θ = 3 sin θ − 4 sin3θ (2.34) が成り立つ。
例 5. 半角の公式
Eq. (2.30) から計算する。 sin2( θ
2 )
=
[eiθ2 − eiθ2 2i
]2
= −2 + e
iθ + e−iθ
−4 =
1 − cos θ 2 cos2( θ
2 )
についても同様に計算すると、
sin2( θ 2
)
= 1 − cos θ
2 , cos
2( θ
2 )
= 1 + cos θ
2 (2.35)
が成り立つことが分かる。
3 積分の公式
べき乗の関数の積分については、Eq. (2.1) より、以下の公式が成り立つ。
∫
tn dt = 1 n+ 1t
n+1+ C (n ̸= −1, Cは積分定数) (3.1) また、対数関数の微分から
∫
t−1 dt = log |t| + C (C は積分定数) (3.2) また、三角関数、指数関数、対数関数の積分は次のようになる。
∫
cos(ωt) dt = 1
ω sin(ωt) + C ,
∫
sin(ωt) dt = −1
ωcos(ωt) + C ,
∫
eωt dt = 1 ωe
ωt+ C ,
∫
log t dt = t log t − t + C (それぞれ C は積分定数) (3.3) それぞれ、右辺を微分すると、左辺になることを確かめてほしい。
複雑な積分の計算は以下の公式を用いて行う。関数の設定は導関数を導いた時と同じで ある。この公式の導出 (というには大げさだが) も Appendix A に示してある。
∫
(af (t) + bg(t)) dt = (aF (t) + bG(t)) + C (Cは積分定数) . (3.4)
∫
u(x) dx =
∫
u(x(t))dx(t)
dt dt . (3.5)
∫
f(t)dg(t)
dt dt= f (t)g(t) −
∫ ( df (t) dt g(t)
)
dt . (3.6)
A 公式の導出
A.1 微分公式
ここでは、数学的な厳密さはかなりの程度無視して、微分の公式が定義式から理解でき ることを味わってほしい。1 では指数 n は自然数、3 – 5 では a, b は時間によらない定数、 6 では f(t), g(t) を時間の関数とする。
1. Eq. (2.1) (べき乗の微分) d(tn)
dt = ∆t→0lim
(t + ∆t)n− tn
∆t
= lim
∆t→0
tn+ ntn−1· ∆t + O(∆t2) − tn
∆t
= lim
∆t→0
ntn−1· ∆t + O(∆t2)
∆t
= lim
∆t→0nt
n−1+ O(∆t)
= ntn−1 (A.1)
ここで、O はエトムント・ランダウによって導入された、Landau の記号と呼ばれ る記号である。O(A(t)) は t がある極限値をとった時、何か複雑な多項式が実際に 後に続くとしても、高々 A(t) の定数倍になるという記号である。例えば、O(A(t)) (t → 0)を式で表現すると、
limt→0
O(A(t))
A(t) = c (cはある有限の定数) (A.2) である。また、t → 0 の時、t2 より t の高い次数しか表れない式は t より小さいと 考えられる。 このような時、これらの式を o(t)(t → 0) と表すこともある。一般に、 o(A(t)) (t → 0) と書くと、
limt→0
o(A(t))
A(t) = 0 (A.3)
の意味である。また、t が 0 だけでなく、他の極限値 (∞ や有限値 c) にいく場合で も同様の記号を使うことがある。
2. Eq. (2.2) (三角関数の微分) d(sin t)
dt = ∆t→0lim
sin (t + ∆t) − sin t
∆t
= lim
∆t→0
sin t cos ∆t + cos t sin ∆t − sin t
∆t
= cos t (A.4)
但し、2 番目の等号に移る際には、加法定理 Eq. (1.6) を、3 番目の等号に移る際に は、 lim∆t→0cos ∆t = 1と Eq. (2.3) を用いた。
d(cos t)
dt = ∆t→0lim
cos (t + ∆t) − cos t
∆t
= lim
∆t→0
cos t cos ∆t − sin t sin ∆t − cos t
∆t
= − sin t (A.5)
但し、2 番目の等号に移る際には、加法定理 Eq. (1.6) を、3 番目の等号に移る際に は、先ほどと同様に lim∆t→0cos ∆t = 1 と Eq. (2.3) を用いた。
tan の微分については、sin, cos の微分と Eq (2.9) から、
dtan t dt =
d dt
( sin t cos t
)
=
dsin t
dt cos t − dcos t
dt sin t cos2t
= cos
2t+ sin2t cos2t =
1
cos2t (A.6)
3. Eq. (2.7) (微分の線形性) d(af (t) + bg(t))
dt = ∆t→0lim 1
∆t[af (t + ∆t) + bg(t + ∆t) − (af (t) + bg(t))]
= lim
∆t→0
1
∆t[a(f (t + ∆t) − f (t)) + b(g(t + ∆t) − g(t))]
= a lim
∆t→0
f(t + ∆t) − f (t)
∆t + b lim∆t→0
g(t + ∆t) − g(t)
∆t
= adf(t) dt + b
dg(t)
dt (A.7)
4. Eq. (2.8) (積の微分) d(f (t)g(t))
dt = ∆t→0lim
1
∆t[f (t + ∆t)g(t + ∆t) − f (t)g(t)]
= lim
∆t→0
1
∆t[(f (t + ∆t)g(t + ∆t) − f (t + ∆t)g(t)) +(f (t + ∆t)g(t) − f (t)g(t))]
= lim
∆t→0f(t + ∆t)
g(t + ∆t) − g(t)
∆t + lim∆t→0
f(t + ∆t) − f (t)
∆t g(t)
= f (t)dg(t) dt +
df(t)
dt g(t) (A.8)
5. Eq. (2.9) (商の微分) f(t)
g(t) = ∆t→0lim 1
∆t
( f (t + ∆t) g(t + ∆t) −
f(t) g(t)
)
= lim
∆t→0
1
∆t
( f (t + ∆t)g(t) − f (t)g(t + ∆t) g(t + ∆t)g(t)
)
= lim
∆t→0
1
∆t
( [f (t + ∆t) − f (t)]g(t) − [g(t + ∆t) − g(t)]f (t) g(t + ∆t)g(t)
)
= lim
∆t→0
(f (t + ∆t) − f (t))
∆t
g(t) g(t + ∆t)g(t)
− lim
∆t→0
(g(t + ∆t) − g(t))
∆t
f(t) g(t + ∆t)g(t)
=
df(t) dt g(t) −
dg(t) dt f(t)
(g(t))2 (A.9)
6. Eq. (2.11) (合成関数の微分)
u = u(x), x = x(t) の時、時間 t の微小な変化 ∆t に対して、∆t → 0 の時 ∆x = x(t + ∆t) − x(t) → 0 とする (dx
dt は有限値)。微分の定義から、 dx
dt = limt→0
x(t + ∆t) − x(t)
∆t
なので、∆t → 0 の時、
∆x = dx
dt∆t + o(∆t) (A.10) となる。また、この時
u(x + ∆x) = u(x) +du
dx∆x + o(∆x) (A.11) でもある。Eq. (A.11) を Eq. (A.10) に代入すると、
u(x + ∆x) − u(x) = du dx
dx
dt∆t + o(∆t) (∆t → 0) . x について詳しく記すと、
u(x(t + ∆t)) − u(x(t)) = du dx
dx
dt∆t + o(∆t) (∆t → 0) . (A.12)
これは d(u(x(t)))
dt = du(x)
dx
dx(t)
dt (A.13)
であることに他ならない。
A.2 積分公式
f(t), g(t) を時間の関数、F (t), G(t) をそれぞれ f(t), g(t) の原始関数とする。この時、 原始関数の定義から dtdF(t) = f (t), dtdG(t) = g(t)が成り立つ。また、1. では a, b をそれ ぞれ時間に寄らない定数とする。2. では、2 つの関数 u(x) と x(t) の合成関数 u(x(t)) を 考え、u(x) の原始関数を U(x) とする。
1. Eq. (3.4) (積分計算の線形性) Eq. (2.7) より、
d
dt(aF (t) + bG(t)) = adF(t) dt + b
dG(t)
dt = af (t) + bg(t) . 従って、不定積分の定義から
∫
(af (t) + bg(t)) dt = (aF (t) + bG(t)) + C (Cは積分定数) (A.14) である。
2. Eq. (3.5) (置換積分法)
U(x) = U (x(t))であるから、この関数を t で積分できる。Eq. (2.11) から、 d
dtU(x(t)) = u(x(t))dx(t) dt なので、これを積分すると
U(x(t)) + C = U (x) + C =
∫
u(x(t))dx(t)
dt dt (Cは積分定数)
である。ここで、原始関数の定義から U(x) + C = ∫ u(x) dx となるので、
∫
u(x) dx =
∫
u(x(t))dx(t)
dt dt . (A.15)
3. Eq. (3.6) (部分積分法)
Eq. (2.8) の両辺を積分すると、 f(t)g(t) =
∫
f(t)dg(t) dt dt+
∫ ( df (t) dt g(t)
) dt 従って、これを整理すると
∫
f(t)dg(t)
dt dt= f (t)g(t) −
∫ ( df (t) dt g(t)
)
dt (A.16) が成り立つ。