長野市・信州新町・中条村合併後調査報告について(概要)
企画政策部企画課
1 趣旨
平成 22年1月 1日の信州新町及び中条村との合併から1年8カ月が経過し、合併後、初めて1 年を通した決算(見込)がまとまりました。
そこで、現時点での合併の効果や財政状況などについて、お知らせするものです。
2 行政サービスの向上
旧市・合併地区の市民ともに利用可能な行政窓口・施設が増加したり、おでかけパスポートの利 用可能地域が拡大したりするなど、市民の利便性の向上が図られました。
合併地区の市民にとっては、合併に伴い廃止・縮小されたサービスもありますが、長野市の制度 が適用されたことにより、上下水道料金の軽減、移動図書館の巡回など、新たなサービスも実施さ れています。
■住民票の写しの交付実績 ( 平成2 2 年1 0 月の1カ月間)
地区
旧長野市地区の市民が合併地 区の支所で 請求
合併地区の市民が旧長野市地 区の本庁・ 支所及び他の合併 地区の支所で 請求
信州新町 1 7件
中条 5件
5 8件
3 合併をいかした事業の取組
アート&グルメをキャッチフレーズにまちづくりを進めてきた信州新町と日本の原風景とも言 える虫倉山の懐に抱かれた美しい棚田が広がる中条地区の魅力が長野市に加わるなど、有形無形の 資産を引き継いだことにより、その魅力をいかしたまちづくりに取り組むことができるようになり ました。平成22 年度は、長野市と信州新町にゆかりのある 日本のアンリ・ルソー 洋画家 横 井弘三 の番組制作・放映や特別展覧会の開催、虫倉山開山祭などを合併記念事業として開催しま した。また、平成 23 年度は「信州新町イヤー観光キャンペーン」を開催しています。
合併地区では農山村における滞在・体験(グリーンツーリズム)を通じた都市部との交流や棚田 オーナー制度も実施されており、こうした取組の市域全域への波及効果が期待されています。
4 人件費(特別職)の削減など
合併により、旧町村長、旧町村議会議員をはじめとした特別職は失職したため、人件費年額約1 億円の経費削減となります。さらに、合併地区から1名ずつ選出されている市議会議員定数の特例 措置が、次期市議会議員等選挙以後なくなるため、年額約2千万円の経費削減が加わります。
また、合併後の平成 22 年度職員数 2,884 人を 30 人削減し、平成 27 年度には 2,854 人にする計 画です。
5 国や県の財政支援
(1)国の財政支援
国の財政支援として、普通交付税や特別交付税により、平成 22 年度に約 13 億6千万円が交付 されました。
(2)県の財政支援
県の財政支援として、合併後の均衡あるまちづくりを進めるために実施した事業に対し、市町 村合併特例交付金により、平成 22 年度に3千万円が交付されました。
H23.9.1
■市町村合併特例交付金を活用した事業( 平成2 2 年度)
1長野市地域防災計画修正事業( 災害時支援体制等の検討) 2暮らしのガイド ブック作成事業( 生活情報誌の作成、全戸配布) 3総合観光情報提供事業( 観光パンフレ ット等の作成)
4長野市の太古を訪ねる地層・ 化石教室事業( 学習講座の開催)
5日本のアンリ・ルソー 横井弘三の世界( 番組制作・ 放映、特別展の開催) 6良好な 景観の維持・ 形成事業(屋外広告物の規制等の検討)
6 合併前後の財政状況
おでかけパスポート事業など、長野市の制度を合併地区に適用したことにより、合併前に比べ経 費が増加した事業もあります。
しかし、人件費の削減など、合併によるスケールメリットをいかした効率的な行政運営と事務事 業の選択と集中を推進したことなどにより、合併前(平成 20 年度)の3市町村全体と合併後(平 成22 年度)の長野市との普通会計歳出決算額を比較すると、国の経済対策や子ども手当などによ る特殊要因を除くと、1億円の経費削減を図ることができました。
■財政状況の比較( 普通会計)
長野市 1 ,4 5 4億円
( 住民1人当たり) 3 8 5 千円
信州新町 4 5 億円
( 住民1人当たり) 8 2 3 千円
中条村 2 5 億円
( 住民1人当たり) 1 ,0 4 7千円
計 1 ,5 2 4億円
( 住民1人当たり) 3 9 5 千円
特殊 要因*を 除く
長野市 1 ,4 5 5 億円 1,37 6 億円 1 ,3 8 2億円
( 住民1人当たり) 3 7 8千円 3 5 8千円 3 5 9 千円
3 8 4 ,4 5 4 人
*特殊要因( 国の補正予算による経済対策、 子ども手当、緊急雇用対策のほか妊婦健康診査等 に係る経費)
住民基本台帳人口 (平成2 0 年4月1 日現在)
住民基本台帳人口 (平成2 2 年4月1 日現在)
3 7 8 ,1 6 3 人 5 ,4 4 7 人 2 ,4 0 3 人 3 8 6 ,0 1 3 人 9 6 1千円
1 ,37 7 億円 3 5 7千円
合併前( 2 0 年度) 歳出総額 地方債( 借入金) 残高
1 ,31 3 億円 3 4 7千円
4 1 億円 7 4 9千円
2 3 億円
合併後( 2 2 年度)
歳出総額
地方債( 借入金) 残高
7 まとめ
「合併=自治体の最大の行政改革」であり、人件費の削減など、合併によるスケールメリットは、 将来にわたりその効果は続きます。
今回の合併により市域の4分の3を中山間地域が占めることとなり、合併以前から既に課題であ ったこの中山間地域の魅力と活力を更に高めながら、市民が安心して生活できるまちづくりを進め る必要があります。
そのためには、今後の地方分権の受け皿としての行財政基盤をさらに強化するとともに、地域の 活性化を引き続き進めながら、住民と行政が協働し、「自分たちの地域は自分たちでつくる」とい う都市内分権の理念の下に、持続・発展する地域社会を実現し、“ながの”の存在感を向上させる まちづくりを進めていくことが必要です。
8 その他
詳細は、「長野市・信州新町・中条村合併後調査報告」(市ホームページに掲載)を参照してくだ さい。