環境省「平成 23 年度地球温暖化対策技術開発等事業」
移動販売車 EV 化事業
実証報告書
つくば市
環境都市推進課
目
次
1
背景及び目的
...1
2
実証体制及び概要
...2
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活動記録
...6
1
1
背景及び目的
地球温暖化対策の 1 つとして,運輸部門の CO2 排出量の削減が喫緊の課題となっている。乗用
車においては,日産「リーフ」や三菱「i-MiEV」といった電気自動車(EV)やハイブリッド車の
普及が進みつつあるが,トラックにおいては,一部でハイブリッド車が市販されているものの,
EV 化については未だ研究開発段階にある。
移動販売車 EV 化事業(以下「本事業」)は,この開発段階にあるトラックの EV 化に着目し,環
境省「平成 23 年度地球温暖化対策技術開発等事業(委託事業)
i
」における「配送用トラックの
EV 化技術の開発・実証」として,株式会社東京アールアンドデーが採択を受け,EV 化技術の開発
及び早期普及を目的として取り組むものである。また,EV 化したトラックを用い,過疎化や超高
齢化社会,買い物弱者など日本が抱える課題に対し,移動販売による小売り事業サービスの可能
性,非常用電源用等,電動車輛としての特徴の活用について検証をする。
つくば市では,市民,企業,大学・研究機関,行政が一体となり,オールつくばで連携して低
炭素社会づくりに取り組むため,2030 年までに市民一人あたり二酸化炭素排出量 50%削減を目標
に「つくば環境スタイル(2008 年)」を打ち出した。2009 年には,全員参加と協働を目標の一つ
に,5 年計画の具体的アクション 51 施策を定め,低炭素の取組を進めている。この推進の柱の 1
つに,研究学園都市ならではの取組みとして『実験低炭素タウン』を掲げ,環境技術の普及拡大
のための実証の場づくりやイノベーションの創出に取り組み,シンプルライフ・シンプルエネル
ギーの実現を目指している。
つくば市と東京アールアンドデーは,平成 22 年 5 月より伊藤忠商事株式会社と共同で進めてい
る「Green Crossover Project」(クリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの実証
プロジェクト)において協力関係にある。本事業を通じてさらに先進的な取り組みを進めるべく,
本事業を「つくば環境スタイル」の 1 つの柱である『実験低炭素タウン』の一環に位置づけ,積
極的にサポートし,運輸部門の CO2 排出量削減に向けた EV 化改造キットの早期普及可能なビジネ
スモデルの構築,また,今後買い物弱者問題が顕在化することが懸念される郊外地域において,
移動販売の運営モデルの構築を検証していく。
i 地球温暖化対策技術開発等事業について
環境研究・環境技術開発の推進戦略を踏まえ,エネルギー起源二酸化炭素削減技術の開発成果の社会還元を
加速しグリーンイノベーションを推進するため,技術開発の成果を社会実装する実証研究,他の環境問題との
間のトレードオフを解消する研究開発,その他早期に実用化が必要かつ可能なエネルギー起源二酸化炭素の排
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実証体制及び概要
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実証体制
本事業では,東京アールアンドデーと財団法人エネルギー総合工学研究所と共同での実施とな
った。公道実証試験となる移動販売の運営には,つくば市に本社を置き,スーパーマーケットを
運営している株式会社カスミの協力を得た。伊藤忠エネクス株式会社,伊藤忠商事株式会社から,
EV 化改造ビジネスモデル検討として,「リチウムイオン電池」「太陽電池」が提供されたほか,Green
Crossover Project で設置した充電インフラ(ファミリーマートつくば研究学園店)を活用した。
また,本事業では,公道実証試験として移動販売を実施するため,販売地区の住民理解や販売
場所の確保が必要となる。そこで,つくば市が対象となる区会(区長)との連絡や販売場所の確
保等,販売対象地区との事業調整を行ったほか,本事業について,区会回覧や市 HP,つくば環境
スタイルパンフレット等での PR を実施した。
本事業の協力体制と各社の役割は,図 1 のとおりである。
図 1 実証の協力体制及び各社の役割
㈶エネルギー総合工学研究所 共同実施者
・走行試験の評価
協力者
㈱カスミ
・公道実証試験への協力
伊藤忠エネクス㈱ 協力者
・EV化改造ビジネスモデル検討へ
の協力
協力者
伊藤忠商事㈱
・EV化改造ビジネスモデル検討へ
の協力 つくば市
・地元との事業調整
(区会との連絡や販売
場所確保等)
・事業PR
(区会回覧,市HP,つく
ば環境スタイルパンフ
レット等)
㈱東京アールアンドデー 技術開発代表者
・全体統括
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2-2
実証の概要
2-2-1
トラック仕様
本事業では,小型トラック市場で流通量が多い車種として,「いすゞ・エルフ ワイドロング」
を採用した。移動販売車の仕様は,表1のとおりである。
表1 移動販売車仕様(計画値)
ベース車両 いすゞ・エルフ ワイドロング(SKG-NPR85AN)
寸法(全長×全幅×全高) 6,160mm×2,180mm×2,950mm
乗車定員 3人
車輛重量 4,960kg
積載量 2,350kg
車両総重量 7,475kg
モータ最高出力 110kW
変速機 M/T
駆動用電池形式・容量 リチウムイオン電池・EnerDel社製 48kWh
一充電走行距離(計画値) 100km
荷室(店舗側)消費電力 2.5kW(冷蔵庫および冷凍庫付)
太陽光発電出力 0.4kW
架台架装メーカー オオシマ自工株式会社
2-2-2
販売場所及びスケジュール
本事業では,商品調達及び夜間の普通充電を「カスミ万博記念公園駅前店」で,日中の急速充
電を「ファミリーマートつくば研究学園店」
ii
で行うため,販売場所については,EVトラックの
エネルギー使用率を考慮した上で,市内において比較的高齢者率が高く,住宅が密集している茎
崎地区の住宅団地を対象とした。
平成24年3月より,販売を伴った実証を開始し,当初は「森の里」「自由が丘」「宝陽台」の3
地区を対象とした。その後,走行距離と販売回数を増やすことによる影響や効果などを比較・検
討するため,平成24年6月より販売地区に「桜が丘」「城山」「梅ヶ丘」「あしび野」「富士見台」
を追加し,全8地区での実証となった。
販売場所の位置図は図2,販売スケジュールは表2のとおりである。
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表 2 販売スケジュール
平成 24 年 3 月 5 日~平成 24 年 6 月 1 日
地区名(販売場所) 販売時間 月 火 水 木 金
森の里
(森の里広場)
11:00~12:00 ○ ○ ○
14:30~15:30 ○
自由ヶ丘
(自由ヶ丘公民館前)
11:00~12:00 ○
14:30~15:30 ○ ○
宝陽台
(宝陽台公民館玄関前)
11:00~12:00 ○
14:30~15:30 ○ ○
平成 24 年 6 月 4 日~平成 25 年 1 月 31 日
地区名(販売場所) 販売時間 月 火 水 木 金
森の里
(森の里広場)
10:30~11:00 ○ ○ ○
14:30~15:00 ○
自由ヶ丘
(自由ヶ丘公民館前)
10:30~11:00 ○
14:30~15:00 ○ ○
宝陽台
(宝陽台公民館玄関前)
10:30~11:00 ○
14:30~15:00 ○ ○
桜が丘
(桜が丘公民館駐車場)
15:30~16:00 ○ ○
城山
(城山保育所駐車場)
11:30~12:00 ○ ○
梅ヶ丘
(梅ヶ丘集会場)
11:30~12:00 ○
15:30~16:00 ○
あしび野
(あしび野多目的広場)
15:30~16:00 ○ ○
富士見台
(団地入口駐車場)
3
活動記録
本実証が発表された平成 24 年 10 月 17 日から,販売を伴う実証が終了となった平成 25 年 1 月
31 日までの活動記録は,表 3 のとおりである。
表 3 活動記録一覧(平成 24 年 10 月 17 日~平成 25 年 1 月 31 日)
時 期 内 容
H23
4 月上旬
東京アールアンドデーが採択
環境省「平成 23 年度地球温暖化対策技術開発等事業」に,「配送用トラックの EV
化技術の開発・実証」として,東京アールアンドデーが採択
10.17 各社プレスリリース
東京アールアンドデーをはじめ,協力会社各社において,プレスリリースを実施
つくば市も同時に,つくば市記者会へ情報提供を実施
9 月 販売地区の選定
EVトラックのエネルギー使用率を考慮した上で,市内において比較的高齢者率
が高く,住宅が密集している茎崎地区にて検討
茎崎地区の中でも,世帯数が多い「森の里」「自由が丘」「宝陽台」の区長と連絡
調整し,販売場所として3地区を選定
H24
1 月
EVトラック完成
車両の改造,テストコースによる試験・評価を経て,EVトラックが完成
1.18
~
1.20
EV・HEV駆動システム技術展への展示
「第 3 回 EV・HEV 駆動システム技術展(東京ビッ
グサイト)」に実際に移動販売に用いる EV トラック
を展示
2.1 販売を伴わない公道実証開始
販売を伴う実証に向けて,公道での実走テストを実施
3.2 EVトラックお披露目会の開催
販売を伴う公道実証が開始されることを受け,つくば市役所にて,「EV トラック
のお披露目会」を開催
3.5 販売を伴う公道実証
7
5 月 追加販売地区の選定
3地区での公道実証を経て,走行距離と販売回数を増やすことによる影響や効果
などを比較・検討するため,販売地区を追加選定
同じ茎崎地区内において,3地区に次いで世帯数の多い(住宅が密集している)
地区として,「桜が丘」「城山」「梅ヶ丘」「あしび野」「富士見台」の区長と連絡調
整し,追加販売地区として5地区を選定
6.4 販売地区の追加
「桜が丘」「城山」「梅ヶ丘」「あしび野」「富士見台」を追加した全8地区を販売
対象に実施
H25
1.31 販売を伴う公道実証終了
※移動販売の様子
※移動販売の実績(2012 年 7 月度)
1 日あたり: 売上高 3.8 万円
客数 50 人
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考察
本事業は,環境省の「平成 23 年度地球温暖化対策技術開発等事業(委託事業)」に採択された
東京アールアンドデーが,「配送用トラックの EV 化技術の開発・実証」事業として,依然研究開
発段階にあるトラックの分野において,EV 化技術の開発及び早期普及が可能なビジネスモデルの
構築を目的とするとともに,買い物弱者対策として移動販売による小売り事業サービスの可能性
について検証する事業である。
トラックの EV 化による CO2 削減量については,「配送用トラックを EV 化することによりディー
ゼルエンジン車に対して 0.35kgCO2/km の排出量削減
iii
」につながることが確認されている。(平
成 24 年度成果は,現時点で未公表)このことからも,既存トラックを EV 化改造する技術は,EV
化が進まないトラック分野において,今後大いに期待できるものと考えられる。本事業で連携し
た実績を踏まえ,引き続き本市で事業展開可能性を模索し,市域への展開拡大を進めるべく,今
後,技術開発を支援するセクションとの連携がより一層図られることが望まれる。
EV 化したトラックによる移動販売では,電池容量により走行距離が限られ(特に本事業は日中
の充電を販売地区と離れた場所で行ったため),販売に大きな影響があったと考えられる。「移動」
「充電」により,「販売場所」や「販売箇所数」が限られてしまうとともに,営業時間も大幅な短
縮を余儀なくされ,事業採算性にも負の影響を与えた。しかし一方では,充電インフラの整備に
対して,ある一定の範囲をカバーする観点での整備を進めるだけでなく,利用用途や住民の拠点
となりうるような,実用面を考慮した積極的な充電インフラ整備の在り方を示唆しているともい
える。
移動販売サービスに対しては,対象地区の広報に掲載されるなど,“満足している声が多く”,
買い物弱者問題に向けたビジネスモデルとなりうることが窺えた。しかし,本事業では事業採算
性が確立されたサービスとはいえず,自立した運営モデルを確立するため,今後も移動販売のビ
ジネスモデルを検討していくことが望まれる。
上述したとおり,トラックの EV 化技術の展開可能なビジネスモデルにおいても,買い物弱者問
題に対する移動販売のビジネスモデルにおいても,本事業を通じて確立されたものを示したとは
いえないが,地球温暖化対策問題,買い物弱者対策問題において,それぞれ解決の端緒を開いた
のではないだろうか。
iii 平成23年度配送用小型トラックのEV化技術の開発・実証成果報告書より
公道実証試験での電力消費量の測定結果から,実際の業務使用時にはエネルギー消費率は JC08 モード試験時
の 50%程度になると想定でき,配送用トラックを EV 化することによりディーゼルエンジン車に対して