競技会で用いられる 3DViewer における
災害状況を示す表現方法の考察
山本将広 市野義和 吉田昂生 伊藤暢浩（愛知工業大学）
マルチエージェント分野及び防災分野に対する取り組みと して RoboCupRescue Simulation( 以下、RCRS) がある。 RCRS は、地震災害が発生した仮想都市において災害救助隊 が都市の価値をどれだけ維持できるかの競技を通して、学術 および防災分野の研究を促進する学術的なプロジェクトであ る。また、競技会は各国の地方大会から世界大会まで様々な 規模の大会で開催されており、 競技の実行過程を表示システ ムを用いて視覚的に提示することにより、効果的に防災意識 を向上させる効果もあると考えられる。しかし、現在 RCRS の競技会で使用している 2DViewer は、開発者がエージェン トの行動を容易に考察できるように平面で表現しているため、 ルールを熟知していない人々には表現の抽象度が高く、理解 することが困難である。そのため、RCRS の競技会では十分 に災害状況を伝えることができているとは言い難い。そこで 本研究では、RCRS の研究
成果としての競技内容を効 果的に見せることができ、 RCRS の競技会で一般の 人々が災害状況を理解でき る 3DViewer を設計し、 実装する。
1 背景と目的
背景と目的から、提案するシミュレーションを実現するた めに、一般の人々が直感的に理解しやすい表現方法と競技の 進行状況を表示するシステムを導入する。
(1) 直感的に理解できる表現方法
RCRS の競技会は世界規模で開催されており、広く一般的 に公開されている。競技会の場はより多くの人に RCRS に興 味をもってもらうことが可能であると考えられる。しかし、 現在競技会では 2DViewer によって競技の様子を公開してい るが、一般の人々はシミュレーションで何をおこなっている のか理解できないため、競技に興味を持つことが困難である。 この問題に対し、一般の人々がエージェントの行動や被害状 況の理解を促すために、エージェントや災害の新たな表現方 法を導入する。
(2) 競技会の運用に向けたシステム
現在の 2DViewer では、その時点のスコアのみ表示をして いるため、RCRS の競技の進行状況を示す情報が不足してい る。この問題に対して、一般の人々が競技の進行状況を理解 することを可能にするシステムを導入する。
2 提案手法
(1) 各エージェントの表現方法
すべてのエージェントの移動はアニメーションによって表示し ている。また、消防隊は消防車のモデルを用いて表現し、消火活 動を消防車のモデルから火災に向かって水色の曲線を表示するこ とで表現する。救急隊は救急車のモデルを用いて表現し、救助活 動を救急車が市民を搬送しているようなアイコンを表示すること で表現している。土木隊はショベルカーのモデルを用いて表現し、 瓦礫撤去活動をアイコンと撤去する瓦礫に向かって赤枠を表示す ることで表現している。災害状況の表現方法では、火災は炎と煙 の画像をアニメーションさせることで表現している。また、瓦礫 は 3D モデルを使用することで表現している。
(2) 競技の進行状況を表示するシステム
3DViewer にシミュレーションの進行状況を表すデータを具体 的に示すことにより、一般の人々の理解を促す。そのために、シ ミュレーションの進行状況を表すデータをグラフにより表示す る。グラフには、競技の進行状況に関係するスコアや市民の生存 者数、燃えている建物の数、マップ上の瓦礫の数などのデータを 表示する。
3 災害状況を示す表現方法
本研究では RCRS の競技会で一般の人々が競技内容を理解で きる 3DViewer を目指した。そして、評価をおこなうために愛 知工業大学のオープンキャンパスで学生や親を対象にして、新し く導入した競技内容の表現がわかりやすいか評価するために、ア ンケートを実施した。アンケートの結果を下記に示す。
4 評価方法・結果
今回おこなったアンケートの結果から、土木隊の瓦礫撤去活 動と道路の閉鎖状況の表現の改善や変更をおこなう必要である と考えられる。また , 競技内容を効果的に見せるための機能の追 加を考えている。
