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改訂前後の「地学基礎」教科書の比較検討 研究発表一覧 第46回関東理科教育研究発表会千葉大会

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Academic year: 2018

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……… 第46回関東理科教育研究発表会

1.はじめに/他教科と比較しての地学(教科書)の多様性

 2011、2012、2014年の本会において「新教育課程における「地学基礎」教科書の比較」、「「地学基礎」教 科書と他科目教科書との比較検討」および「「地学」教科書の比較検討」と題した発表を行った。どれも、 教科書の強調語句を抽出してその多寡および共通性を比較するという手法を用いたもので、2011年は「地学 基礎」教科書どうしの比較、2012年は「生物基礎」教科書どうしの比較および「地学基礎」との比較検討、 2014年は、「地学」教科書どうしの比較および「地学基礎」教科書からの連続性の検討を行った。結論とし ては以下のようになる。

 ・「地学基礎」の5種の教科書の傾向は、(e1) その教科書でしか強調されていない語句の割合は21 ~ 44% である (e2)2冊以上で共通する語句は37%である

 ・「生物基礎」の9種の教科書の傾向は、(b1) その教科書でしか強調されていない語句の割合は、多くの 教科書で15%である (b2)2冊以上に共通する語句は58%である

 ・「地学」の2種の教科書は、(e3) その教科書でしか強調されていない語句の割合は60%程度である (e4) 両方の教科書で共通する語句は40%程度である (e5)「地学基礎」「地学」が同一の出版社だと語句の共通 割合は45 ~ 50%程度、「地学基礎」「地学」が異なる出版社であっても35% ~ 43%の共通割合である  地学科目教科書に見られる特徴として、以下のことが言えよう:(e1) (b1) (e4) より、生物基礎に比べ、地 学基礎・地学教科書のほうが重要語句の幅広さがある。(e2) (b2) (e3) より、生物基礎教科書より地学基礎・ 地学教科書のほうが詳細部分の多様性がある。

 これまでも、地学を専門としない教員から、地学という科目(もしくは「地学基礎」「地学」教科書)の 多様性が指摘されていた。上記の比較検討で、その量的な多様性が明らかにできたと思われる。

 さて、2011年の発表は平成23年検定済教科書に掲載されている強調語句を抽出して多寡および共通性を比 較したものであった。本年度は(改訂や新訂となった、新版の)平成28年検定済教科書の強調語句をこれまで と同様の手法を用いて比較検討する。加えて、語句数・共通割合が平成23年検定済教科書と、それから5年 経過しての平成28年検定済教科書(を含む平成29年度採択可能教科書)でどのように変わったかを検討したい。

2.「地学基礎」教科書の比較方法

 東京書籍株式会社、実教出版株式会社、株式会社新興出版社啓林館、数研出版株式会社、株式会社第一学 習社(以下、出版社名は略記)から平成28年2月22日に検定済となった「地学基礎」教科書(を含む平成29 年度採択可能教科書)の本文および囲み記事において、ゴシック体で強調されている語句(以下「強調語句」) を比較した。手法はこれまでと同様である(割合の値を比較検討するためである)。

 なお、例えば、銀河面について「円盤部」(2社)、「円盤」、「円盤部(ディスク)」「ディスク」の表記の ゆれがある。概念は一致しているが、字面のまま比較しているために、これらの重要語句は“異なる”と判 断される。よって、語句の個数および割合には誤差が含まれることになる。

3.結果および検討

 平成28年検定済の「地学基礎」教科書ごとの強調語句の個数 (an) および、その教科書だけに含まれる強 調語句の数 (bn) およびその割合 (cn) を表1にまとめた。なお、表中には、旧版の強調語句数 (ao)、その教 科書だけの語句数 (bo)、割合 (co) も網掛け部分に付記している。

改訂前後の「地学基礎」教科書の比較検討

群馬県立伊勢崎高等学校 

武井 伸光

 

(2)

67 ………

千葉大会

表 1  強調語句の個数、その教科書だけに含まれる強調語句数(およびその割合)

表中bn, cn, bo, co欄の()内の値は、平成29年度採択可能教科書内で比較した値である

 新版(教科書番号306 ~ 310)の教科書においては、5社全ての強調語句数 (an) 合計は1500語である。平 均はちょうど300語であるので、第一学習社の436語が平均語数の1.45倍と多く、東京書籍の173語は平均の 0.58倍と少ない。その教科書だけの強調語句数 (cn) は、29語~ 128語にとどまる。5社を合計しても306語 である。

 網掛け部分の旧版と比較すると、5社全ての強調語句数合計は1453語 (ao) から47語増加 (+3%) している のに対し、その教科書だけの強調語句の合計は453語 (bo) から306語と3分の2程度に減っている。つまり、 その教科書だけで強調している語句が少なくなり、5社どの教科書でも同様な語句が強調されるようになっ たことが分かる。これは、割合 (cn) (co) の値を見ても明らかで、旧版は少ないものでも21%、多いものでは 44%にも上ったが、新版においては11%から29%にとどまっている。

 さて、上記の全強調語句合計1500語および1453語は単純に旧版、新版の語数を加えた値である。これには 重複する単語もカウントされている。その重複をなくし1語にまとめ、かつ平成29年度に採択できる教科書 の語句で比較したほうがより実情に即しているだろう。

 重複なしの重要語句全て(和集合)は、平成23年検定済の旧版(教科書番号301 ~ 305)=平成28年度ま での採択教科書では852語であり、平成29年度に採択できる教科書(教科書番号303, 304, 306 ~ 310) (※)で は790語(-7.2%)であった。前段で述べたように語句の絶対数としても減少し、本段で検討したように重複 しない語句数としても減少している。このことから、数量・重複度合いからも精選されたことが分かる。 ※啓林館と数研出版は旧版の教科書(教科書番号303,304)も平成29年度の採択選択肢として残っている。

他3社は旧版 (同301,302,305) は採択できず新版のみである。

4.まとめ

・平成28年検定済の「地学基礎」教科書(5社5冊)の強調語句を比較検討した結果、80%程度の語句が共 通であることが分かった。これは平成23年検定済の旧版(37%)とくらべ大幅な上昇であり、内容の共通 性が高まったと言える。

・平成29年度以降に採択できる「地学基礎」教科書(5社7冊)の重複を含まない強調語句の数は、それま でに採択した教科書と比べて7%程度の減少となった。内容が精選されてきたと言える。

・今回の改訂において、重要語句からみた5社教科書の内容は収斂してきている。

出  版  社 東京書籍 実教出版 啓 林 館 数研出版 第一学習社 合 計 全強調語句数 (an) 173 265 312 314 436 1500

その教科書だけの強調語句数 (bn)

36 29 49 64 128 306

(35) (26) (17) (26) (114) (218)

割合 (cn) (bn÷an)

20.8% 10.9% 15.7% 20.4% 29.4%

(20.2%) (9.8%) (5.4%) (8.3%) (26.1%)

旧版の全強調語句数 (ao) 145 520 223 279 286 1453

旧版のその教科書だけの語句 (bo) 30 228 54(37) 69(39) 72 453

割合 (co) (bo÷ao)

20.7% 43.8% 24.2% 24.7% 25.2%

(16.9%) (14.0%)

参照

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