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金融論(2013年度) Keida's Website slide fe unit01

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金融論

unit 1 金融取引とは

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貨幣と金融取引:貨幣経済

われわれは、生きていくためにさまざまな財を消費する必要 がある。

これらの生活に必要な財をそれぞれの人が自分で生産してい る経済を、自給自足経済 (autarky, barter economyではない、 と思う) と呼ぶ。

自給自足経済では、各自が食べるもの、着るもの、履くもの などすべての財を自分で生産し、自分で消費している。 各個人が独立して暮らすことができる。

でも、効率が良くない。

各自がさまざまな財を生産するよりも、少数の財の生産に特 化したほうが、たくさんの財が生産できる。

技術も速く習得できるため。

アダム・スミスが『国富論』で分業の利益と呼んだもの。

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貨幣と金融取引:貨幣経済

分業が進んだ経済において、各個人が生産している財は、そ の人の生活に必要な財の一部でしかない。

その他の必要な財を他の人から調達する必要がある。 ある人が米を生産していて、麦が欲しいとする。 麦を生産していて、米を欲している人を探す。 もし見つかれば、物々交換ができる。

このような経済を、物々交換経済 (exchange economy) 呼ぶ。

物々交換経済では、自給自足経済よりも、分業によって財の 生産は向上するだろう。

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貨幣と金融取引:貨幣経済

しかし、物々交換経済では、欲望の二重の一致(double coincidence of wants) を必要とされる。

「麦を保有していて、米を欲している人」と「米を保有してい て、麦を欲している人」が出会わなければならない。(図 1-1) もし、「麦を保有していて、米を欲している人」と「米を保 有していて、麦以外のものを欲している人」が出会っても、 交換は成立しない。

このような場合を、欲望の一重の一致(single coincedence of wants) と呼ぶ。(図 1-2)

財の種類が多ければ、欲望の二重の一致の成立を期待するこ とは困難になる。

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貨幣と金融取引:貨幣経済

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貨幣と金融取引:貨幣経済

このような物々交換にともなう財の交換の手間を省くため に、貨幣が考案された。

貨幣とは、どのような個人でも、自分の保有している財を手 放すことの対価として、喜んで受け取る特別な財である。 もし、このような意味で貨幣が経済に存在すれば、財の交換 はより円滑に行われることになる。

たとえば、「麦を保有していて、米を欲している人」は、「米 を保有している人」を探せばよい。

「米を保有している人」に会ったら、貨幣と米を交換すれば、 米を手に入れることができる。

つまり、貨幣という特別な財が存在すると、欲しい財を保有 している人を探すだけでよく、欲望の一重の一致で交換が成 立する。

貨幣が経済に存在し、財と貨幣が交換される経済を貨幣経済 (monetary economy) と呼ぶ。

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貨幣と金融取引:貨幣と一般的受領性

通常の財は、その財を消費することで、人々は満足を得る。 一杯のコーヒー

コンビニのお弁当

貨幣は、このような通常の財と異なり、それ自体を消費する ことが目的となる財ではない。

貨幣は、貨幣以外の財と交換するために保有されている。 このような財を交換手段(medium of exchange) と呼ぶ。 貨幣の本質は、それが交換手段として用いられるということ である。

このことは、逆に言い換えることができて、交換手段として 用いられている財を貨幣と呼んでいることになる。

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貨幣と金融取引:貨幣と一般的受領性

では、どのような財が交換手段として用いられ、貨幣となる のだろうか。

通常の財と交換する時に、誰でも喜んで受け取ってもらえる 財であれば、どんな財でもよい。

この、誰でも喜んで受けとるという性質を、一般的受領性 (general acceptability) と呼ぶ。

一般的受領性を持っている財は、貨幣と呼んでよい。

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貨幣と金融取引:貨幣と一般的受領性

貨幣を受け取る人は、受け取った貨幣を消費するのではな く、誰かに支払って別の財を消費できるから、受け取る。 したがって、その貨幣に一般的受領性があることを信じて、 貨幣を受け取ることになるが、この貨幣を受け取る行為自体 が、実は、一般的受領性を支えている。

つまり、経済に存在するすべての人が、貨幣の一般的受領性 を信じていれば、その結果として、貨幣に一般的受領性が備 わることを意味する。

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貨幣と金融取引:貨幣と一般的受領性

貨幣もはじめは、金や銀など保存に適した財が、その財の価 値を基礎に貨幣として流通しはじめたが、貨幣の本質は一般 的受領性を備えていることであり、今日みられる紙幣のよう に、その物の価値と貨幣で購入できる財の価値が大きく異な る場合でも、紙幣によって購入できる財の価値が信用されれ ば、一般的受領性を備え、貨幣として流通するようになる。

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貨幣と金融取引:分業と貨幣経済

分業を行うことによって、限られた資源から多くの財を生産 できるようになる。

分業が高度化してくると、人々は生活に必要なほとんどのも のを、他の人から調達する必要が生じる。

財の数が多くなれば、欲望の二重一致が成立する可能性は小 さくなっていき、交換のためにかかる費用が分業による利益 を追い越してしまう。

しかし、経済に貨幣が存在すると、貨幣を媒体に交換が円滑 に行われ、人々は分業の利益を享受することができる。 貨幣が導入されると、よりいっそう分業が促進され、そのこ とが、また貨幣の必要性を高めることになる。

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金融取引:貨幣の貸借

貨幣経済においては、貨幣を保有していると、財を購入する ことができる。

このような貨幣の財を購入できる力を購買力(purchasing power)と呼ぶ。

貨幣を貯蔵することによって、購買力を貯蔵することがで きる。

物々交換経済において、リンゴを生産した人は、リンゴが腐 る前に他の財と交換してしまう必要があった。

しかし、貨幣経済において、リンゴを貨幣に交換した後は、 将来の財の購入のために、貨幣を貯蔵しておくことが可能に なる。

このような貯蔵された貨幣は、資産 (asset)を形成し、将来 の財の購入のために使用される。

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金融取引:貨幣の貸借

この蓄積された資産は、将来、家や車などの高価な財の購入 にあてることができる。

しかし、経済には、蓄積した資産の総額より高価な財を、 今、購入したいと思う人も存在する。

たとえば、家は大変高価な財であるので、家を買えるまで資 産を蓄積するには人生の大半を費やしてしまうこともあり える。

それまで待てない人は、他の人が蓄積した資産である貨幣を 借りるという取引を行うことができる。

この貨幣の貸借が、典型的な金融取引(financial trade) ある。

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金融取引:貨幣の貸借

貨幣の貸借について考える。

この場合には、貨幣は資金 (fund)とも呼ばれる。

したがって、貨幣の貸借取引は、資金の貸借取引と呼んで よい。

資金を借りる主体は、現在の購買力を得ることになる。それ によって、現在の財を購入することができる。

この借りた資金は、将来のある時点で返却する必要がある。 返却時には、借り手から貸し手に貨幣が移動する。(1-4) つまり、貨幣の貸借取引は、現在の貨幣と将来の貨幣を交換 する取引であると考えることができる。

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貨幣と金融取引:貨幣経済

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金融取引:金融取引と資源配分

このような取引を行う理由はどこにあるのか?

借りた貨幣を返す必要がなければ、誰でも貨幣を借りたいと 思うが、借りた場合には将来返す義務が生じるので、将来返 却できる見込みがなければ、貨幣を借りることはできない。 貨幣を貸した人は、もし貨幣を貸さなければ、その貨幣で財 を消費できたはずである。

その消費を諦めて貨幣を貸すので、それに対する対価を要求 する。

その対価は利子 (interest) と呼ばれる。

貸した元々の金額は、元本 (principal)と呼ぶ。

貨幣を借りた人は、元本と利子の両方を返却する必要がある ので、利子を支払ってでも貨幣を借りたい人が、貨幣の貸借 取引において借り手となる。

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金融取引:金融取引と資源配分

このような個人として、新たに事業を起こす企業家を考える ことができる。

画期的な新商品を考えついた個人を考えてみよう。

この個人が、新商品を製造して販売する事業を起こすには、 資金が必要。

機械を購入したり、販売員を雇ったりするための資金。

この資金を自分で貯めるには時間がかかる。

もしかしたら一生かかっても貯めることはできないかもしれ ない。

その場合には、この新商品は日の目を見ないで埋もれてし まう。

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金融取引:金融取引と資源配分

この商品を売り出せば、かなりの利益が見込めるとすると、 資金を借りて、その借り入れた資金で事業を起こすことがで きる。

また、返済した後の残りの利益は、自分の所得となって、よ り多くの財を購入することができる。

つまり、金融取引が行えることによって、現在資金の足りな い企業家が事業を起こし、新しい財が経済に生まれ、その財 を多数の人々が享受できる道を開くことになる。

金融取引を行える経済と、そのような取引が行えない経済を 比べると、前者の経済の人々の満足度はより高くなると考え られる。

つまり、金融取引が経済の資源配分を効率化することになる。

参照

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