集団移転でコミュニティの継承を目指す

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集団移転でコミュニティの継承を目指す

大学院工学研究院・大学院工学院 教授

も り

すぐる

(工学部環境社会工学科建築都市コース)

専門分野 : 建築計画,都市計画,環境行動デザイン

研究のキーワード : 設計,地域,人口減少,縮退,コミュニティ

HP アドレス : http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~g20927/kenchikukeikaku/

今、最も力を入れている研究は何ですか?

「まちの整体」という視点を提唱しています。地方で未利用・低利用なまま抱えられて いる公共施設群の再編を軸にしながら、人口減少の時代を見据え、生活基盤環境の質的な 適正化を図ろうというものです。

地方の小都市は、国レベルの高度成長・人口増加における生産と消費に追従すべく、こ

れまで必死になって筋肉をつけてきたといえます。筋力を上げるためなら、中央からのドー

ピングも積極的に受け入れました。しかし当然、そのような不自然な筋肉増強は本来の骨 格には見合いません。筋肉とのバランスを欠いた骨格は、生産と消費に酷使されることで 様々な歪みを生じることとなりました。そして、低成長・人口減少への変化の中で次第に 痩せ細り、ごまかし続けてきた歪みも、生活に支障をきたす痛みや病となって現れはじめ

たのです。「まちの整体」は、地方都市の歪みを本来もっている骨格へ整え、老いが進みな

がらも適切な代謝を維持し、大手術や投薬に頼ることなく最期まで自力で食べて歩ける身 体へと改善しようという戦略です。適正な身体を自己管理しながらも遂には自力で食べて 歩けなくなったとき、そのまちは人生を全うしたといえるでしょう。

縮退という言葉を耳にしたことがあるかと思います。例えば限界集落という見方でいえ ば、北海道では近い将来消滅すると予想される集落は百数十にのぼります。しかし、この ような消滅という衝撃的な未来予想図でさえも、国全体が人口減少しているのだから仕方 がないと、妙に世間は納得しているところがあります。はたしてそうでしょうか。先の比 喩に絡めると、ドーピングが切れたあとの急激な衰弱と治療と称した大手術や投薬による 寝たきり状態、その行く末としての消滅ではないでしょうか。

写真 東日本大震災により被災した気仙沼市小泉地区

出身高校:兵庫県立尼崎北高校

最終学歴:大阪大学大学院工学研究科

土木建築

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私たちの生活へどのように関わってきますか?

私たちは今、東日本大震災という現実に直面しています。縁があり、気仙沼市小泉地区

のコミュニティの継承を目指した集団移転の計画に携わることになりました(写真)。

被災地の中には、震災前から既に過疎化が進んでいた地域も少なくありません。小泉地

区もその一つです。「まちの整体」は既存の更新が前提ですが、集団移転は全く新しい身体

として生まれ変わることになります。被災しなくとも数十年後には、まちをたたむのか否 かの選択を迫られたかもしれません。そのような小泉に、たとえ新しい身体を得たとして も何十年・何百年とまちを持続できるポテンシャルはあるのでしょうか。正直悩ましいと ころです。しかし、小泉の人々が目標と意欲をもって生まれ変わりを望むのであれば、専 門家として全力で支援したいと考えています。

小泉地区のまわりに100世帯以上の集落は決して多くはありません。復旧や再建が進ん

だとしても、近い将来に限界集落として孤立する地域も増えるはずです。いよいよその場

所で生活が困難となったときに人々に頼られるような新生小泉を目指したいです(図)。

これから何を目指しますか?

日本の地方小都市のあり方として挑戦的に検討したい将来像をもっています。これから の急速な人口減少を見据えると、大都市や中核都市へ人口が移動し、弱小都市は消滅して いくと想定するのが一般的なリアリティだと思いますが、あえてそれとは異なる将来の可 能性を描いてみたいです。それは、日本各地で小規模のまちが自立的に持続していくよう な時代、大都市・中核都市は大幅に人口が減少するが、地方の小都市は「まちの整体」に 取り組み、身体に見合った規模を維持していくというあり方です。

図 気仙沼市小泉地区の集団移転の整備計画図とデザイン・コンセプト

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参照

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