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中学校給食指導における“残量ゼロ・チェック”運動がもたらす教育的効果に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)中学校給食指導における“残量ゼロ・チェック”運動がもたらす            教育的効果に関する研究                           専 攻  学校教育学                           コース  学校心理学.                           学籍番号 M10033D                           氏 名  阪井範州 の意識をとらえる。. 【問題と目的】.  近年の食をめぐる状況の変化に伴う様々な問題.  方法:A市立B中学校生徒894名(男子456、. に対処していくため、平成17年『食育基本法』. 女子438)及び教職員39名を対象に質問紙法を. が公布された。これを受けて、平成20年『学校. 用いて調査した。松本・深澤(2007)を参考に、4. 給食法改正』がおこなわれ、食育の観点からの見. 件法を用いて生徒用26項目を設定した。教師用. 直しが行われ、学校給食が学校教育の一環である. として、・生徒と共通項胃の他、教育者としての指. という、従来から持っ意義がより明確となった。. 導の観点を含めた合計23項目を設定した。さら.  ところが、公立中学校の完全給食実施率は地域. に、それぞれに学校給食全般や残量ゼロ・チェッ. 差が大きく政府統計の総合窓口r都道府県別学校. ク運動に関する自由記述欄を設けた。2010年9. 給食実施状況」(平成20年度生徒数比)によると. 月、担任教師を通して説明、配布・回収した。. 兵庫県は33.9%で44位、大阪府は7.9%で最下.  結果と考察:生徒用質問26項目を最尤法・プ. 位である。こうした中、食育を含む学校給食の指. ロマックス回転による因子分析をおこなった。そ. 導内容は現場の各中学校における自主的な取り組. の結果3因子が抽出され、第一因子を「給食への. みに任されている。. 意識関心」、第二因子をr給食受容」、第三因子を.  松本・深澤(2007)によると、学校給食を通じ. 「人間関係の向上」と命名した。因子ごとに学年. てマナーや食育の指導を充分に行えている中学校. と性別の2要因分散分析をおこなったところ、3. は少なく、改善策として栄養やバランスの良い食. 年生は112年生に比べてr給食への意識関心」. 事に対する理解や実践力を高めるための授業や、. が有意に高く (F(2,853)=6.09,ρ<.01)、「給食受. 栄養職員を中心とした配布物などによる家庭との. 容」は有意に低かった(F(2,853)=7.21,ρ〈.01)。. 連携が必要だと論じている。. 3年生にとって調査時期の9月は多くの生徒がク.  佐藤(2006)は給食時間の子どもは、家庭の食. ラブを引退しており、学校での生活時間が減り、. 事を映す鏡であると指摘し、小学校を対象にして、. 受験に向けての勉学が中心になり始めている。こ. 学校給食を通して食を変え、生活を変えた実践例. の時期は何でも食べて空腹を満たしエネルギーに. をあげている。中学校における給食指導について. するだけの給食ではなくなってきたと考えられ. はホームページなどに取り組み例が上がっている. る。そのため、「給食への意識関心」は高いが「給. が、残飯のI’量”に関するものが多く、給食残量を. 食受容」は低かったと考えられる。女子は男子に. なくす取り組みに関する心理的側面についての検. 比べ学年に関係なく給食時を「人間関係の向上」. 討はなされていない。そこで、“残量ゼロ・チェ. に役立てようとすることがうかがえ(F(1,853). ック”運動に対する心理的側面を解明し、今後の. =26.22,ρ<、001)、牧野(2009)による「会話ス. 中学校学校給食の教育について検討する。. キル」「状況判断スキル」が学年に関係なく、女. 【研究1】. 子は男子に比べてどちらも有意に高い研究結果と.  日的:クラス対抗による残量調査週間である“. 一致した。. 残量ゼロ・チェック”運動に対しての生徒と教師.  教師への質問23項目では、19項目で平均2.7. 一74一.

(2) 以上高い値が示され、残量ゼロ・チェックを有効. 年度1年生と2011年度2年生のマイナスイメー. に活用した給食指導を進めている結果であった。. ジの減少(λ2(1):46.19,ρ<.001))があり、集.  生徒自南記述では、1年生に事さや売食を否定. 団が教育によって変わる可能性を示した。また3. する記述があり(7.24%)、時間の不足(12,17%). 年生のクラブ活動時間の影響による共通性と、2. や量の多さ(13.16%)が主な理由となっていた. 学期以降の生活変化による学校給食への受容変化. が、学校給食を受容する態度も見られ、感謝の意. と意識の変化が考えられ、2010年度3年生だけ. を表すものが多かった(28.62%)。教師の自由記. が、特別な集団であった可能性もうかがえた。. 述では、生徒とともに考えながら指導していくプ. 【総合考察】. ラスイメージの態度と提案が記入24名中の半数.  『残しては申し訳ない、もったいない、自分の. 以上からうかがえた。. 健康維持・増進のためだ』と思えることで、嫌い.  以上のことから、生徒と教師は同歩調で残量ゼ. なものは食べたくないという衝動を抑えるr衝動. ロ・チェックを肯定的に受け入れ、教師は配慮の. 自己監視装置」(山名2003)を生徒自身の中にっ. ある柔軟な取り組みに努めているといえよう。. くれぱ、ゼロ・チェックがプラスに働き、売食し. 【研究2】. たり仲間を助けて食べた自分を褒めることになる.  目的:研究1の結果、3年生になるとr給食へ. と考えられる。しかし、中学生にもなれば食に対. の意識関心」は高いが「給食受容」は低かった。. して、誰もが関心を持ち、自分なりの考えを持つ. そこで学年の特性なのか、集団による違いなのか. ようになる。そこで、集団が教育によって変わる. を2011年度2年生と2010年度1年生、2011年 度2年生と2010年度2年生を比較し、研究1の. 可能性を示した結果を踏まえて、食育指導を発達 段階に応じた系統的・言十画的な指導を行うこと. 妥当性を確認することを目的とする. で、給食指導と残量ゼロ・チェックをプラスの教.  方法:2011年度2年生321名(男子163、女子 158)を2011年4月、研究1と同様に調査した。. 育的効果に導くことができるといえる。今後の課. 題として、2012年度3年生を追跡調査して、1年.  結果と考察:研究1と同様に3因子による年度. 生からの教育による変容の解明があげられる。. 学年×性別の分散分析をおこなった。r給食への. 【引用文献】. 意欲関心」は2010年度、2011年度ともに変わり. 松本晴美・深澤早苗(2007)山梨学院短期大学r家庭の. がなかった。「給食受容」は2011年度2年生が.  食生活環境と学校の調理方式が中学生の食意識・食行. 2010年度1年生よりも有意に高く(F(1,60g)=8.68,.  動、給食に対する評価および健康状態に及ぼす影響』. ρ<.Ol)、2010年度2年生よりも有意に高かった.  日本家政学会誌58No.11681−692.. (F(1,605)=6.O1、ρ<.05)ことから集団による違. 牧野幸志(2009)r中学生を対象としたコミュニケーション・スキル訓. いがみられた。「人間関係の向上」は女子特有の.  締の開発(1)中学生のコミュニケーション・スキル、精神的健康. 意識の高さが年度、学年に関係なくあり、楽しい.  の性差、学年差の検討」経営情報研究第17巻第1号1−16. 会話が弾む給食を期待、心がけていることが示さ. 佐藤由美(2006)「食農教育」農山漁村文化協会発行47. れた(2010年度1年生と2011年度2年生F(1,60g).  増刊号10−23.. ;20.65,ρ<.001)、(2010年度2年生と2011年度. 政府統計の総合窓口「都道府県別学校給食実施状況」. 2年生F(1,605);1943,ρ<、OOl)。.  表6(平成20年度公立中学校生徒数)2011.12記載.  2011年度2年生の自由記述にも学校給食や残.  http〃www.e−stat.gojp/SGl/estat/List.do?lid. 量ゼロ・チェックに対するイメージが、マイナス. 山名淳(2003)「増殖する教育の物語」矢野智司・鳶野党. からプラスに変化しており、1,2年生の学年や.  己編「物語の臨界」世織書房pp.115・150.. 年度を超えても変わらないものと、変わるもの (2010年度2年生と2011年度2年生のプラスイ. 主任指導教員 小林小夜子. メージの増加(x2(一)=33.74,ρ〈.001))や2010. 指導教員   小林小夜子. 一75一.

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