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幼児期の身体表現教育における「定型性」の意味 : 戸倉ハルの遊戯作品分析を手がかりに

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Academic year: 2021

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(1)75. 幼児期の身体表現教育における「定型性」の意味 一戸倉-ルの遊戯作品分析を手がかりにキーワード:幼児期,身体表現,定型性,戸倉-ル,遊戯作品. 名須川知子* (平成12年9月20日受理) 問題と目的 平成12年度から新しい幼稚園教育要領が施行されて いる。領域「表現」には, 「自分なり」に表現すること と,その表現の結果ではなく「表現しようとする意欲を 受け止めて」幼児が表現を楽しめるように,と内容の取 り扱いに明示されている(I)。それは,幼児の表現活動が 身体表現ばかりではなく,音や描画を表現媒介としたも のであれ, 「あらわす」意欲に焦点をあてたものと言え よう。しかし,幼児の表現活動は,外界の様々な環境か ら取り入れたものや人とのかかわりから生じ,その多く は「模倣」することから起こる(2)。身体表現活動におい ても,かつて「与える」ものであり, 「させる」内容で ある遊戯が批判された。それは,他の表現分野とは異な る意味で「作品主義」とされ, 「外からわくにはまった 『おゆうぎ』」(3)として戦後指摘された。にもかかわらず, 遊戯は昭和40年代後半まで,幼児教育界では行われて いくのである。その中心が戸倉-ルの遊戯作品であった。 戸倉は戦前から唱歌遊戯作品を発表し,昭和2年から 18年の暗く閉塞状況の社会情勢の中で,身体による表 現教育を守ろうとし, 「自由」 「愉快」 「伸び伸び」といっ たような躍動的な透明感あふれる作品を創作していた。 その後,戦時下の統制のダンスの存亡の危機をかいくぐ り,戦後は戸倉の遊戯への理念がさらに発展する。戦後 の戸倉は,亡くなる前の昭和43年まで遊戯作品集やダ ンス作品集を30余冊出版し, 600余作品を発表する。 また,毎年の全国講習会を通して当時の幼児教育界に大 きな影響を与えていくのである。また,戸倉は,昭和2 8年全国女子体育連盟を結成し,初代会長となった。昭. 戸倉は,昭和24年の著書の序で「さきに文部省から指 導要綱が出ました。従来の行進遊戯,唱歌遊戯という名 前をがらりとすてて,一躍ダンスとなりました」と記し, 「まことによろこぼしい事」と述べている(5)。 このダンスという新名称について, 「ダンスとは,我々 の心に内在するリズムを創造的に自己表現したもの」と 定義づけ, 「このリズムを言葉であらわせば,文章や詩 になり,色で表わせば絵画になり,音で表わせば音楽に なる」と説明し, 「身体を素材としたものがダンスにな る」と述べている(6)。この主張は一貫して継続され, 「われわれの思うことをからだであらわすとダンスにな る(中略)つまり,われわれの思想感情を肉体の美的感 覚をもって律動化したものである」とし,ダンスを「か らだの作文」と名付けている(7)。 では,幼児を対象とした遊戯の名称はどのようなもの だろうか(8)。戸倉は, 「幼稚園において遊戯,遊び,リ ズム遊戯と呼ばれているものは,いずれもつまりは『ダ ンス』です。」と述べている(9)。しかし,幼児の唱歌遊 戯にあたるものの名称には「ダンス」をっかっていない。 また, 「幼稚園のダンスは未分化のものである」とし, 「表現を主として,それをリズミカルにとりあっかって いる」のであり,表現としては, 「表現対象そのものを 如実にあらわするもので,直接表現」がふさわしいとし ている(10)。このことについて「幼稚園や小学校では,ダ ンスの初歩的なものを,遊び・リズム遊び・表現遊びな どの名のもとに行っています。そしてこの時代の子供に 適応させているのです」(ll)のように,名称はいずれも 「遊び」をっけたものとなっている。そこでは, 「幼稚園. 和期の女子体育分野の第一人者であり,その功績は現在 でも高い評価を受けている(4)。. の遊びは,幼児の心と身体とに合ったダンスを与えるよ. 本研究では戸倉の作品を分析することによって遊戯の 特性を見出し,作品としての表現における「定型性」の 意義を考察し,現代の身体表現教育の方法としての定型 性についての示唆を得ることが目的である。. び」として幼児の動き,振りを提示している12。その理. うに」とされ,今回分析対象とした殆どの曲集が「あそ 由としては, 「児童の生活,特に低学年において生活の 大半が『遊び』である」からだと述べ, 「先ず遊びの中 から題材を見出し,これをリズミカルに整理したものが, 必要である」と述べている。このように,先にダンスと. I.戸倉ハルの遊戯観 (1)遊戯から「ダンス」の名称へ 戦後大きく変わったことは, 「ダンス」という名称が 教育指導要綱に使われたことである。この点について, ・兵庫教育大学第1部(幼年教育講座). いう教材があるのではなく,まず子どもの生活とその中 のリズムから教材を考えていこうとしている姿勢があら われている(13)。 以上のように,戸倉は,ダンスを身体の作文である,.

(2) 76. に合ったダンス,すなわち,生活と密接に関連している. 「曲は,ことばの自然な旋律とリズムを生かし,日常の あそびの中にあらわれてくる表現や動作をとり入れて,. 「遊び」が重要であることを示しているのである。. 子どもにたやすく理解されるように簡単に」119)といった. としながらも,それに至るまでに幼児,児童の心と身体. ものや, 「言葉の中に,自然にリズムがつき,抑揚がで (2) 「遊び」におけるリズムと表現 幼児期にふさわしい遊びとしてのダンスはどのような. きて歌になって行くもの」や「子供の心を素直にそのま ま歌っているうた」を大切にすることを述べている(20)。. ものであるのか。戸倉は, 「リズムを身体であらわした. 特に,先にふれられている「わらべうた」については,. ものがダンス」と明記しているが,そのようなものとし. 「歌の中には,たくさんの呼びかけが一曲の中に何回も. て,幼児の遊びにリズムを見出している。すなわち, 「生活の中にリズムを見出し,合理的生活態度を養成す. あって,わらべうたでなければ見られない面白さがあり ます」といったものや, 「わらべうたは,その土地によっ. る基礎となるもの」として,具体的には,鬼ごっこ,ま. て歌詞や,旋律や,リズムに多少の違いがみられます。. りつき,なわとび等をあげている(14)。さらに,遊びとリ. (中略)子供たちにも,単純なこれらの遊びが,本当に. ズムについて, 「子供の遊んでいる姿を考えてみるとき,. 喜ばれ,その生活の中に,しっくりとけこんでいます。」. つねに歌いながら遊び,遊びながら歌っている姿を見つ. とされている。このように,長く歌い伝えられてきたわ. けるでしょう。これこそ自然にリズムを体得している姿 です。 (中略)子供の遊びには,その遊びそれぞれに,. らべうたには,遊びとして面白い楽しいものがあり,戸 倉は,その良さに十分気づき「かねがね全国の郷土豊か. そのもののリズムをもっております」と述べており,具. なわらべうたを集めてみたいと思っていた」と述べてい. 体的にままごとの中の静かな細かなリズムとまりつきの. る(21)。ここで,戸倉の考えていた身体の動きの特性につ いて,まとめてみよう。戸倉は「子どもはうごくものが. 活動的なはずんだリズムの違いを述べている。また,普 楽との関連からも, 「音楽を聞くと,子供はそのリズム. もっともすきであり,うごかない表現は,なかなかむず. に合わせて,自然に首を振ったり,体を動かしたりして. かしい」(22)とし, 「かたちやうごきの特徴をっかみやすい. きます。これは子供が体を通して音楽を聞いているので. ものが,もっとも表現しやすい。」と述べている。そこ. す」(15)と述べ,遊びとリズム,身体とリズム,音楽とリ. であそび,すなわち動きとしては「そのものの様子を端. ズムへと関連して,幼児にふさわしいダンスとしての遊. 的にあらわすとともに,その動きを大きくしてみた」(23). びを考案していくのである。このように,戸倉の幼児の. としている。このことも,幼児が単純で動きの特徴があ. 遊戯作品の生み出し方は,幼児の生活である遊びにリズ. り,動きやすいものに加えて, 「何時でもどこでも繰り. ムを見出し,そのリズムを使った作品,すなわち, 「遊. 返したくなるような楽しさを」願って動きを考えたとさ. びの動作が詞によってリズムカルに運ぶ」ための曲,歌. れている。. 詞を伴う遊びを作り出しているのである。. 以上のように,戸倉のいう幼児期にふさわしいダンス. また,戸倉は,子どもにふさわしい遊びとして, 「か. の内容は,幼児の生活に取材した「遊び」の中にリズム. んたんなあそび,日常生活から取材されているも. を明確に意識したものであり,生活の中からの題材選択,. の」(161を提言している。まず,作品の題材については. 言葉のリズムから曲への展開,身体での大きな動き等を. 「遊びの題材の選択に十分注意を払わなければなりませ. 含めたものである。また,それらの生活題材,遊び,リ. ん。」とされ, 「簡単なもので,幾回も繰り返してできる. ズム,歌,動きがひとつになった日本古来の「わらべう. もの, (中略)身近な親しみのあるものを,短い言葉で. た」の発掘が提示されている。このことは,幼児におけ. 端的にあらわしているものや昔から伝わる『わらべうた』. るダンスとしては,遊び,歌,動き,すなわち音楽と動. のようなものを選ぶとよい」と述べている(17)。さらに,. きの併用が意味されているものと受け取る事が出来よう。. 「子供達の知っているものを種々取材して,自然の美し さ,動植物との親しみ,機械への憧れなどに子供の眼を 向けさせ,情緒的な感情を滴養する」ようなものを示し ている(15)。このような,子どもの生活の周囲に見られる, 子どもの関心の高いものを作品の題材として選ぶことを. (3)創作と既成作品の関係 戦後頻繁に見られた言葉として「創作」がある。戸倉 は, 「ダンスは私どもの身体の作文であります。こう考 えますと,創作しなければいのちのないものであります。」. 考慮することに並行して曲についても述べている。例え. と述べ,身体の作文である限り,創作することの重要性. ば,ながく親しまれてきた曲の「その歌曲のもつリズム. を述べている。しかし,続けて「その創作ということは. のおもしろさ,メロディーの美しさ,さらに詩の心を. いうに易しく,なすに難いものであります」(24)と記して. 心として,ことばなしに,子供の夢をのせて動作した. いる。一方,創作は「感激がすぐ作品になるところにダ. い」(18)と言うように,その曲のもっているものを生かし て,作品創作にあたっていることがわかる。例えば,. ものであるといえましょう。」(25)とし, 「内在するリズム. ンスの創作があります。つくるものではなく,生まれる.

(3) 幼児期の身体表現教育における「定型性」の意味. 77. の表現であるから,そこには生命が感じられなければな. 間,周囲の人々, ⑧行事, ⑨物語, ⑲生活に関連する物,. らない。創作を行う場合は又その雰囲気をっくる事が大. に分類した。その結果,全体を通して②小動物,虫に関. 切である。」とし,音楽,請,物語等の力を借りて雰囲. するものは153作品(25i ⑥遊びに関する題材によ. 気をっくり,感情を表出する事が示されている(26)。 このように創作の意義を述べているものの,実際の手. るもの147作品(24.8%)が多く,全作品中の約半数となっ ている。その次には, ⑤生活に関する事柄の題材が57. だてとしては,「創作,創作とやかましく云われている. 作品(9.6である。. が,基礎的な身体をっくり,又基本的な練習なしには創. (参の小動物,虫に関するものとしては,幼児にふさわ. 作は出来ない」(27)とし,創作の前に「よいものを鑑賞し,. しい題材として前述したように, 「子供達の知っている. よいものを身につける事は必要なことである。(中略) よい作品を行い,鑑賞する事も必要であり,又それは表. もの」 「動きの特徴をっかみやすいもの」とあるように, うさぎやかえる,からす,すずめ,ちょうちょなど当時. 現技術を習得する意味で,参考として既成作品を練習す. の日常生活の中で身近にあり,幼児自身も関心のもって. る事も是非必要な事である」(28)としている。また,「『創. いるもの,さらにそれらの動きが感じられるものを作品. 作はまづ模倣から』といわれていますが,私も全く同感. の題材として多く採り入れている。その種類は小動物,. であります。ダンスの場合も,模倣から入ることが最も. 鳥類,虫などであるが,それらの名称だけではなく,. よいと思っております,その一つとして既成の作品を与. 「わたしのひつじ」 「ばったみつけた」など,親しみのも. えるわけであります。」と述べている(29) 。さらに,「私は 『ダンスはその人の心なり』といいたいのであります。. てる題目となっている。また, ⑥の日常の子どもの遊び. 既成作品に依る指導は,生徒の心を一層高め,より豊か. こ」 「すなあそび」 「かけっこ」など日々の生活の中のも. にするためにも,大きな貢献をするものであると思いま. の, 「はないちもんめ」 「かごめかごめ」のような古来か. す。」と述べている。. ら伝わるわらべうた遊びに関するものが多く紹介されて. から取材したものは, 「まりなげ」 「たこあげ」 「おにごっ. 以上のように,戸倉は,ダンスにおける創作の重要性. いる。これも前述したように戸倉が「子どもがたやすく. は認識しながらも,まずそこに至るまでの表現力の養成. 理解できるように」 「日常のあそびの中にあらわれてく. と,表現技術の習得,さらに作品を通した作者の心情理. る表現や動作をとりいれる」といった言葉からも伺われ. 解等について既成作品のもっ意味について繰り返してい. ることである。さらに,簡単な外国のフォークダンスも. る。「秋に蒔かれたたねが,春になって目を出しすくす. 紹介されている。次に, ⑤の生活に関する題材としては,. くと伸びて行くのは,たねそのものがもっている養分の. 「おべんとう」「ごあいさつ」「さようなら」といった日. 力に他なりません。これと全く同じようなことがダンス. 常生活の流れにそった内容を歌や遊びであらわしている. の創作の場合にいえると思います。既成作品こそ,その. もの, 「おふろ」 「よいこのは(歯)」などの生活習慣に. 養分の一つであると思います。」(30)と述べているように,. 関するものが見られる。. まず,既成作品を学び,そこで創作への力を養うことが 明示されているのである。. 以上,題材は,戸倉が述べているように,幼児が目に することのできる身近にあるものなど生活から取材した ものや,また興味関心があるもの,さらに,その題材か. Ⅱ.遊戯作品の身体表現の特性. ら動きがイメージされるものが多く採用されていること. 戸倉は,戦後昭和24年に遊戯集を発行して,その後. が明らかとなった。. 晩年の昭和43年まで30余冊の本を執筆しているが,覗 在入手できたものは29冊である。その中には,共同執. (2)表現方法の特色. 筆,翻訳,伝記等も数冊含まれるが,その殆どが遊戯作. 対象とした595作品について主に身体の動きに着目し,. 品の紹介である。その内容は,原則として,「曲」と. 以下の6つの観点から考察した。その内容は, 1)事物. 「歌詞」と「あそび」の3構成から成る。本章では,「あ. の様子を具体的な身体の動きであらわしているもの, 2). そび」の部分に解説のある14冊の遊戯書(31)から合計595. 実在しないものの表現方法, 3) 「一一の心情をあらわ. 作品を対象にあそび,すなわち遊戯の方法についての記. す」といった,心持ちをあらわし,感情を介するもの,. 述を検討し,(1)作品題材の特色,(2)表現方法の特. 4) 「一一の形をつくる」 「---の振りをする」といっ. 色,について各作品ごとに分析した。. た「あて振り」に関するもの, 5)あそび方の中で「自 由に」という言糞が使われている箇所について,である。. (1)作品題材の特色 作品には,すべて題目がついており,その内容を(D自 然現象,自然物,②小動物,虫,③植物,④乗り物,⑤ 生活に関する事柄,⑥日常の子どもの遊び,⑦友達,仲. 1)事物の様子を具体的な身体の動きであらわしている もの 全体として両手をっかって鳥の羽の様子をしたり,負.

(4) 78. の頭と尾の様子をするという場面が多く,その表現をし. というようなその状況がわかるような具体的な指示となっ. ながら「走る」 「スキップ」 「両足跳び」といった全身の. ている。このような細かな動きの工夫が示されている一. 動きを使ってあらわすものが見られた。また, 「水をく. 方,パターン化した動きも見られる。例えば馬の手綱の. みとる様子」など,日常的な動作をあらわす言葉も多い。. 様子は5冊6カ所にみられた。その動きは, 「両手を前. その場合は,あえて詳細な動きの様子は説明されていな. に出し,馬のたづなをとった様子」 「両手を前にのばし. いが,その内容から動きが予想されるようになっている。. て馬の手綱をとる」といったことに集約され,馬の手綱. これらをさらに, ①心情をあらわすもの, (塾人間の日常. をとるポーズの模倣が行われ,型式化された動きとして. 的な行為をあらわす様子, ③動物の様子, ④鳥の様子,. みることができよう。その他,多くみられたものは,. ⑤植物の様子, ⑥自然界の様子, ⑦物の様子,というよ. 「おみこしの様子」であり, 「互に向き合って両手でこぶ. うなその様子をあらわしている内容について分析した。. Lをっくり体前であつめて」や「二人で向かい合い左手 と右手,右手と右手をとって体前に交叉しおみこしの感. 1) -①心情をあらわす身体の動き これは,例えば, 「なかよしの様子」をあらわすこと や「いい子」や「おともだち」のようすを示す振りが出. じをだす」のようにいずれも手を使っておみこしの様子 をあらわし,二人以上の者が向かい合ってこぶLであら わすことが示されている。. されている。その動きは「なかよし」は, 「互に肩に手 をかけてまるくなり,なかよしの様子」とか, 「いいこ」. 1) -③動物の様子. は「互に両手で軽く肩をたたきながら頑を左右に振って. 動物は,普段幼児が目にする身近なものが題材となっ. 見合って」というように, 「肩をたたく」という動きが. ている。例えば,かめ,おたまじゃくし,かえる,あひ. 仲の良い様子や,いい雰囲気で,というような様子をあ. る,犬,もぐら,うさぎ,ぶた等の小動物,ぼった,ト. らわしているのである。またそれらに似たような心情と. ンボ,ちょうちょ,てんとう虫,かたっむり,蛍のよう. して「おともだち」の表現は, 「手を体前に交叉して左. な虫の身体表現が提示されている。例えば, 「かたっむ. 右を見て,おともだちをあらわす」といったように,. り」の表現は, 「両手を軽くにぎってひたいにおき,そ. 「いいこ」の表現と同じように二人以上の仲間でその振. こから上に角をだし,かたっむりが両手を軽くにぎって. りを行い,左右の仲間を「見合う」という行為によって. 目のところに近寄せパッとひらいて目をだす様子」 「両. あらわされている。これは,仲の良い,お友達といった. 手を後ろにまわしておうちをしょった様子」というよう. 親愛の情をあらわす方法として,肩をたたき合うことや. な手,指による細かい動き方が示されている。また,. 見合うことが使用され,関わることを示す動きが提示さ. 「蛍」も「指を開閉し蛍のひかっている様子」 「片方づっ. れている例である。. 交互に後から前にまわしながら光っている様子」という ような,指や掌を使って,蛍の特性である光をあらわそ. 1) -②人間の日常的な行為をあらわす様子. うとしている。一方,はねる,とびつく,しゃがむといっ. この内容は42種類以上みられた。例えば, 「お話する. た運動によるもので, 「兎は両腕を頭上にあげて耳を作. 行為」 「聞く行為」 「呼ぶ行為」などの行動一般のものか. りそれをふりふり,あたりをピョンピョンはねる」「か. ら「歯をみがく」 「顔を洗う」 「食べる」 「ねむる」など. えるは木にとびつく」 「でんでんむしになり両手で角を. 生活習慣のもの, 「凧の糸をたぐる」 「おみこし」 「馬の. 作りしゃがむ」のように身体全体の動きでそのものをあ. 手綱をとる」 「水鉄砲」 「せみとり」 「相撲」などの遊び. らわしている。いずれも形を模倣するのではなく,小動. や,その他「背負う」 「赤ちゃん」など人間の行動その. 物や虫の動きでその様子をあらわそうとしている。これ. ものや,他の人間の行動から得たものもみられる。. らは,作者が作品の中で動物の動きに生命を感じ,それ. それらの異体的な身体の動きとしては,日常的なもの. を作品の振りとして生かそうとしていると言える。つま. は,その振りを模倣するというマイム的な表現もみられ. り,小動物や虫の細部にわたる描写を振りにするのでは. た。さらに,例えば「お話しする」では, 「片手をあげ. なく,そのものがもっている生命を幼児の身体の振りに. ておろす」や「五指を開閉させてなにかを話しをしてい. 託そうとしていると言えよう。子どもはその小動物や虫. る様子」 「両手を口元にとる」 「手を肩にとりうなづいて. になりきってそのものを楽しみ,活動出来ると考えられ. 話し合う様子」といったそれぞれにふさわしい動きによ. る。. る工夫がみられる。また, 「凧の糸をたぐる」様子の動 きは, 5冊中10カ所みられた。それらの表現は,例え. 1)-④鳥の様子. ば「両膝をかるく屈伸しながら両手でたこの糸をたぐる」 や「両手を軽くにぎって体前で下から上にくるくるまわ し糸を捲く様子」 「ぴくぴく糸を引いて凧を動かす様子」. 烏のようすの表現方法を整理した。その結果,雀,ツ バメ,小鳥の様子について「両手を左右にあげて軽く上.

(5) 幼児期の身体表現教育における「定型性」の意味. 79. 下に動かしながら雀の様子」 「子っばめは-小節に一回. ひらき,星のきらめく様子」等,手や指の動きであらわ. 両手を前後にふって羽の様子をする」 「両掌を下に向け. す方法が提示されている。 「月」では, 「片手をまるく頭. て斜上にあげ烏の様子」というように,鳥の種類に関わ. 上にあげ三日月の様子」を示したり, 「雨」では「片腕. らず,両手・腕を羽に見立てた動きの指示が随所にみら. を上にあげてはおろす動作を交互にして雨の降る様子を. れる。この羽の動きについては, 「両手を肩の高さにあ. する」 「両手を頭にとって雨にぬれた様子」のような頭. げて羽ばたく」 「両手を左右にあげて羽をひろげた様子」. のような上の方を意識した動きで雨の様子を振りであら. などの他, 「羽ばたきしながら静かにしゃがむ」といっ. わそうとしている。また,雪が降る様子については5カ. た両腕の動きである羽に関連した身体全体の動作を伴う. 所あり,例えば, 「互に両手をあげて細かくふりながら. ものも提示している。しかし,両手を使ったものは羽だ. 下におろして雪のふる様子」 「左手を上にあげてひらひ. けをあらわすのではなく, 「右手を上にし,左手を下に. ら動かしながら雪のふる様子」 「両手を頭上にあげ,手. して雀のくちばしをっくる」 「両手のくちばしでえさを. をこまかく振りながら下におろして雪のふる様子」とい. みんなにあたえる様子をする」などくちばしの用途も果. うような手を使った細かな雪の降る表現方法が提示され. たす。これらの手でつくられたくちばしではその他,. ている。さらに, 「波」では「前進,後退をして波のよ. 「向き合ってこまかく動かす」 「くちばしを動かし,なく. せてくる様子」 「互に手をつないで軽く前後にふり波の. 様子」などの様子をあらわす動きが示されている。また,. 様子」 「手を下ろしながら小走りで下がり波がひく様子」. 「鳩」の様子は, 「両手を後にあげ体をすこしまげて鳩に. のように手,腕などによる動きであらわそうとしている。. なる」 「腰を低くして鳩の様子」 「はとが手をとり合って. また, 「風」では「小走りでまわり合い最後にすわって. 前から上にあげながら進む」など全身で表現する振りが. 落葉が地上に散りしいた様子をする」 「風にふかれてお. 示されている。いずれも鳥の様子を両手での羽,〈ちば. にごっこする落葉の様子」のように, 「走る」という動. し,しゃがむといった身体の動きで示しており,大きな. きで風の様子をあらわしている。. 動きで身近な題材の鳥の特性を捉えて振りにしているの を見出すことが出来る。. 以上のように,自然界の表現の振りでも,太陽,星, 雨,雪は手,掌や指を使った細かい動きであらわし,波, 小川,風は走ることやグループで連手して大きな動きで. 1) -⑤植物の様子 植物は,植物の成長,つぼみ,種子,綿毛などそれら. あらわしている。ここにみられる大きな身体の動き方は, 戸倉作品の動きの特質である。. の状況の表現を示している。例えば, 「草がのびてだん だん大きくなった様子」 「上にあげながらしずかに立ち 上がり,芽を出し茎がのびた様子」 「軽く頭を前後に動. 1)-⑦物のようす 様々な日常にある物を題材として,そのものの様子を. かして左右を見てつぼみをあらわす」, 「円心にうずくま. 身体の動きであらわしている。例えば,料,ヘリコプター,. り花のつぼみの様子」などである。また「綿毛」では,. 汽車,車などの乗り物,時計の振り子,電話のベルなど. 「五指を軽く開閉して綿毛が飛んでいく様子」や, 「種子」. の日常品,また,だるま,てるてるぼうず,シャボン玉,. では, 「小さくなってしゃがむ」など全身でその植物の. おもちゃ,楽器,花火,凧,つみきなどの子どもの遊び. 成長の様子をあらわしている。また, 「木の葉」では,. に関する玩具等の様子を動きで表現する方法が提示され. 「五指をひらいて顔の前にあげ,掌の木の葉を見せ合う 様子」 「両肘をまげて手首を軽く動かして木の葉がヒラ. ている。その内容は, 「舟」は5カ所にみられたが,例 えば「両掌を合わせて前に出し,おふねの様子をする」. ヒラする様子」のような表現は,五指を使い,身体の動. 「7-8人1組で腰をおろし足をひらき,たてに重なっ. きによる繊細な表現方法となっている。また,植物でも. て舟をっくる」 「両掌を体前で合せて舟になる」のよう な掌を合わせることで船首をっくり,その形をあらわそ. 「花」そのものをあらわすのではなく,花をっくって何 かを表現するものが多い。この理由として,植物の様子. うとしていることがわかる。次に「-リコブタ-」は,. そのものをあらわすことは動きとして取り扱いにくいこ. 「両手を頭上にあげヘリコプターの様子」というように,. とが挙げられるのではないかと思われる。. 両手で形をあらわしている。また, 「汽車」では「五指 をひろげて,うでを体側にとってまわし汽車の様子」を. 1) -⑥自然界の様子. あらわすよう提示している。ここでは,汽車の車輪を五. 自然界からの題材は,お目様,星,月,雨,雪,波,. 指を開いた状況で示している。以上のように,それぞれ. 小川,風である。例えば「お目様」では, 「両手を両耳. の乗り物の特色を捉えて振りとしてあらわしていること. 脇にとってきらきら動かしながらお日さま」の様子をあ. がわかる。また, 「時計の振り子」の様子の振りが5カ. らわしたり, 「星」では, 「五指をきらきらさせて星の様. 所ある。例えば「両手を体前にひろげ,左右にふって時. 子をあらわす」 「両手をにぎって上にあげ,ぱっと手を. 計の様子」のように手を使った振り子もあるが「上体を.

(6) 80. 軽く左右にまげて振り子の様子」というような身体で振. 全身でそのものになりきってあらわす場合もみられた。. り子をあらわす振りもある。さらに,時計或いは電話の. 全体として,大きく動きの方向性を示唆するようなもの. 「ベル」の表現は, 2カ所あったがいずれも「両手を両. が多く,細かい動きの指示はそれほど見られない。これ. 耳元にとって手首をまわしベルのなっている様子をする」 である。手首を頻繁に動かし回すことでベルのなってい. は,倉橋との座談会で「幼児の表現は一刀彫のようであっ てほしい」という言葉と合致するものである。戸倉は,. る様子をあらわすのは感じが出ている。次に,子どもの. この言葉に胸打たれたとあるが,その思いを持ち続けて. 遊びに関する物では, 「だるま」や「てるてるぼうず」. 幼児の表現の振りを考案していったように思われる。. といった人形の様子に取材したものがある。 「だるま」 では「両手を組んで胸にとって体を左右にまげ,だるま. 2)実在しないものの表現方法. の様子」といった形態を模倣し,その動きをするもので. 実際の動きを振りにするのではなく,実際にそこにな. あり, 「てるてるぼうず」は「両手を組んでてるてるぼ. いものをあらわす方法である。あたかもそこにあるかの. うずのようにすわる」のように3カ所共てるてるぼうず. ように見せる振りである。ここでは, 1)と同様に手や. の様子として両手を組んですわるポ-ズであらわしてい. 指を使った振りが最も多く見られるが,さらに詳細に分. る。また, 「シャボン玉」では「両手を口もとにあて指. 析すると, 「指さし」 「両手」 「見る」といった項目に分. を閉じたり開いたりしながらしゃぼんだまをとばす様子」. けられた。. の他「右手の五指を動かし,シャボン玉を飛ばす様子」. まず, 「指さし」で実在しないものをあらわす方法は,. といったものが示され,いずれも手の動きが特徴的であ. 11カ所あり,最も多くみられるものである。その内容. る。さらに「両手を頭上に丸くとり,最後に両手を降ろ. は,例えば「右手で斜上を指さしておろし,むこうのお. してシャボン玉が消えた様子」というようなシャボン玉. やまを表す」や「左手の掌を上にして体前にさLだし,. の消える様子についても両手をおろす,といった振りで. あられを表す」というような,指し示した方向にそのも. あらわしている。 「おもちゃ」では,おもちゃの兵隊の. のがあたかも実在しているように表現するものである。. 様子について説明されているものが3カ所,その他五人. これらは,片手の指を使ったものであるが,次に「両手」. 雅子,びっくり箱の振りが示されている。例えば「膝を. を使ったものとしては, 「両手を左右にかるくふり,風. まげずにおもちゃの兵隊の様子をしながらかたく歩く」. がふく様子」のように,風という見えないものをあらわ. 「右手で鉄砲をかつぎ左手でその肘を支える」といった. す方法として示されている。さらに, 「見る」という方. 動き方が示されている。 「楽器」では,太鼓をたたく,. 法は, 「逃げられたせみとりは,せみのとんで行く方を. ラッパを吹く,横笛を持つといった楽器を演奏する振り. 見る」 「つないだ一方の手を高くあげてその方を見て,. をマイム的に行うことであらわしているものと, 「両手. とおくのおやまを表す」といったようなその行方を追う. を左右にひろげて大きな太鼓の様子」 「両手を寄せて小. ような視線であたかもそれが実在するかのようにあらわ. さなたいこを作る」といった楽器そのものをあらわす方. したり,見ることでそこになにかがあるようにあらわす. 法が示されているものがある。 「花火」を題材としたも. 方法である。これは,先の指さしと根本的には同じ振り. のは,花火のひらいた様子について「両足でとびあがり,. であり,ここでは指さしの代わりに視線を使用する方法. 両手を上に挙げて五指を開く」ことであらわしたり,. である。時には,その内容を歌詞で補うこともあり,動. 「小走りでさがって花火のひらいた様子」 「自由に両手,. きと歌詞の双方でひとつの状況をあらわしていることが. 片手を出して花火の様子」というような全身を使った表. わかる。このように実在しないものの表現は,なにもか も見える形によって表現しようとしているのではない。. 現の方法が示されている。さらに「小走りで二人以上寄っ て集まり花火の玉となる」ような,群になって花火を表. また,この方法は数少ないが,身体の外でも表現し得る. 現する方法も提示されている。 「凧」では, 「両手をみぎ ひだりにあげて後ずさりし,次第に凧のあがる様子をす. 可能性を示したものである。作品の中にそこはかとない. る」や, 「つみき」では, 「右拳を床におき,その上に他. ると言えよう。単純な動きの振りだけに終始しない動き. 児の右拳を重ね動作を加えてつみき並べする」というよ うに,いずれも両手をひろげて凧の様子をあらわしたり,. の香りともいうべき作品の品性を感じさせる役目を果た. 情緒を感じさせ,戸倉作品の作風を示しているものであ. している。. 拳をつみきに見立てて表現することを示している。 以上,作品の説明の中で「一一一の様子をあらわす」. 3) 「---の心情をあらわす」といった,心持ちをあ. という内容が多くみられたが,それらの記述を取り上げ,. らわし,感情を介するもの. 題材別に身体の動きの振りをみると,それぞれの題材の. 動きに伴う感情,心情を説明し,その心情をあらわす. 特性にふさわしい動きであらわしていることがわかる。 それは,主に,両手,両腕を使う動きが多いが,中には. 身体の動きの表現方法について分析した結果,感情の種 類は, 「やさしい気分で」 「のどかに」 「仲よく」 「たのし.

(7) 幼児期の身体表現教育における「定型性」の意味. 81. く」 「うれしそうに」 「元気いっぱい」 「工夫させて面白. ユーモアのある気持ちを充分もっているものである。. く」 「よろこび」 「おどろき」 「ふしぎな」 「許諾的な」. 「願い」は,幼児の感情や,気持ちそのものをあらわし. 「こっけいな」 「願い」 「その他」に分けることが出来た。. たものであり,例えば「雨であそべない子供達のあした. まず「やさしい気分で」は, 「花子はぽちの頭やせな. の天気を願う」 「自分の家にサンタクロ-スがきてくれ. かをやさしくなでる」や「ままごと遊びのようにやさし. ればいいなあという気持」といった思いをもって振りを. い気分で」と表現されている。 「のどかに」は, 7冊の. 行うものである。その他の感情としては,例えば, 「う. 教材集に見られたが, 「のどかに動作させる」の他, 「月 を見ながらのどかにうたいながらたのしむ」というよう. 登場人物の気持ちを考えながら振りを行う指示がされて. に振りに伴う歌い方に付随した提示がされている。 「仲. いることや, 「おひなさまの気分を充分ださせること」. よく」では, 「おうまとこうまの仲よし気分を出すこと」 「お友達のような心持ちで」といった気持ちが振りに示. といったような振りを通してその感じ,雰囲気が出せる. されている。 「たのしく」では, 「雪のふる様子をたのし. での「お風呂の加減を見る手や足の動作はその気持を十. く」 「表現としても子供の心のままに楽しく行わせる」. 分出す」ようなその振りをただ表面的に模倣するだけで なく,その気持を込めて行う大切さを指摘している。. のように,個々の動きの感情だけでなく,表現の全体的. さぎとかめの心持ちを充分に出させる」のようなお話の. ように配慮することが挙げられている。また,生活場面. な指示として「楽しさ」についてふれている。 「うれし. 以上のように,感情を介する振り,すなわち単なる身. そうに」では,例えば「鳩がうれしそうに歩く」「入園. 体の運動ではなく感情を伴う「動き」としての振りといっ. のうれしさを話させる」 「すずめは,はばたきながらお. た戸倉作品の特質をここにみることが出来た。これは,. じいさんのまわりを嬉しそうにとびまわる」というよう. その気持をもって振りを行うことで身体の動きを通して. に,雀の振りをただ行うだけではなく, 「嬉しそうに」. 幼児の心に働きかけるものであるとも言えよう。幼児は,. という感情を込めて振りをすることが示されている。こ. この作品を気持を込めて行うことでその心持ちになり,. のことは「嬉しそうにかけ足する」という指示にも同一. 共感することができる。教師がその意図を明確に意識す. にみられる。 「元気いっぱい」では, 10冊の教材集にみ. ることで単なるリズム遊戯に終わらない心情豊かな表現. られた用語である。最も多くみられたものは, 「元気よ. となるであろう。しかも,幼児にその気持ちを押しつけ. く歩く」であり,これは5冊の本にみられた。また,. るのではなく,歌いながらそのものになって振りをする. 「両手を元気にぶりながらスキップ」 「四股を踏む動作,. ことで自然にその気持ちが感じられていく。つまり,振. 相撲をとる動作は元気にする」 「元気にひこうきのよう. りに感情が溶かし込まれており,実際に遊戯を体験する. すをよくださせる」のように,活発な動きを引き出す方. ことでその気持ちを味わうことが出来ていくのである。. 法として述べられている。 「工夫させて面白く」では,. その意味でも,この感情を介した振り,すなわち作品の. 「おじいさんと雀の様子を子供に工夫させて面白く行わ. 心といったものは戸倉作品の核心とも言うべきものであ. せる」 「互にのぞき兄をするところを面白くさせる」と. る。. いうように,同じ動作でも少しでも面白くできるように, 工夫することが望まれている。 「よろこび」も5冊9カ 所にみられた表現であるが,例えば「お節句のよろこび. 4)内的な「あて振り」に関するもの 「鳥になる」 「両手で花をっくる」という歌詞そのも. をたたえさせる」 「まりをもったよろこびをあらわす」 のような,その振りをよろこびをもって行うように示さ. のを身体の部位を使って表現するものである。これは,. れているものの他, 「かけ足でまわって喜ぶ様子」のよ. であるが,ここでは,その状況,様子を表すことよりも,. 1)の「一一一の様子をあらわす」表現と関連するもの. うに,よろこびをかけ足でまわる,といった動きであら. 身体で形あるものやそのものに「なる」ものを抽出して. わす方法が示されている。 「おどろき」 「ふしぎな」は,. いる。従って,歌詞にあててマイム的な振りをっけたも. いずれも-事例ずつであり, 「かえるの声に耳をそばだ. のとして「あて振り」という言葉が用いられている。そ. てておどろいた気持」をあらわすことや, 「自然の美し. れらの記述について抜き出し,あて振りの種類について. さ,自然のふしぎさ」という内容である。たのしく,元. さらに分析した。その結果,各教材集に共通にみられた. 気に,よろこんでといった表現とは異なり,子供がいろ. ものは, 「花をっくる」 「実をっくる」 「-一一になる」. いろな現象に不思議な感情をもつといった異なった感情. であった。それらの事例について以下に述べる。. のあらわしを含めたものであり,感情の幅を拡げたもの. まず「花をっくる」では, 28カ所に説明があり,義. となっている。 「譜譜的な」 「こっけいな」は,わらべう. も多くみられたのは, 「両手で頭上に花をつくる」であっ. た遊びの振りの中で「請託的にゆっくりまわる」や「か. た。また, 「両手のひらで頭や胸のところに花を作る」. いぎゃく的な心持で動作で表現させる」のように感情表 現の質が異なる。しかし,子供はこのようなおどけや,. 「両手で花をっくってかがむ」のようないずれも両手を 使って花をっくる方法が示されている。さらに, 「両手.

(8) 82. で体前に桃の花をっくる」のような花の種類を想像する. ンタクロースになって」「きんたろう,ももたろうになっ. あらわし方もある。また「花を左,右,左に静かにゆら. て」歩いたり様々な動作をすることが示されている。最. す」や「体前に桃の花をつくり,左右にゆれる」のよう. 後に「乗り物」では,汽車,飛行機,ヘリコプターが題. な両手でつくった花を動かす内容も提示されている。. 材として扱われている。その内容は,例えば「両手を体. 「っぼみをっくる」も花と同じく「両手で体前につくる」. 側にとって汽車になる」といった1)でみた「--の様. 内容である。 「実をつくる」では,花と少し異なり「親. 子」にも似た動きの指示がされているが,さらに「一人. 指と人さし指とをまるくして,びわの実をっくる」や. できしゃになって走る」のように,そのものになったも. 「両手をふくらませて合わせ体前に木の実を作る」とい. のとして「走る」といった動きが加味されているもので. うような,実の様子を指や手であらわした内容である。. ある。. 次に「---になる」という表現は,その題材は, 「動. 以上, 「一一一なる」といったものは,直接のあて振. 物」 「鳥」 「虫」 「植物」 「生活」 「あそび」 「乗り物」に分. りではないが,内面的にはその気持に当てて振りをっけ. けられる。それぞれについて例を示す。. るということでは, 「あて振り」といえよう。そこには,. 「動物」では,犬,描,あひる,さる,たぬき,もぐ ら,うさぎ,くまになるといった内容であるが,例えば,. 1)でみた様子をあらわす振りに比べて大雑把で, 1) はど丁寧な動きでのあらわし方が提示されていない。一. 後にだしてかるくふり尾のようすをする」 「両手を床に. 方で子供がそのものになりきって出来る自由さがあると も言えよう。あて振りは,外面的な模倣になるとはっき. ついて犬になる」のような具体的な動きを伴う指示がさ. りと形が決まり,自由の余地のないものとなるが,この. 「ぽち(犬)は両手を前にとってちんちんしたり片手を. れている。また, 「鳥」では,小鳥,とんび,すずめ,. ように内面的なもののあて振りは,自由を獲得できる可. はと,ひよこが題材としてとられている。なかでも小鳥 は多く使われ,例えば「両手を左右にあげて小鳥になる」. 能性がある。しかし, 「一一一になる」といってもどの ような動きでその振りを行ったらよいのか,確かに動き. というように烏の振りが示されており,これは1)の様. 方の見当はつけにくい。ここに,定型性と自由な表現の. 子をあらわす表現方法と同じである。しかし,ここでは. 問題が含まれている。すなわち,まったく自由な振りは,. 大きく動きの状況が示されているだけであり,まず「鳥. どのように動いていいのかわかりにくい。しかし,事細. になる」ことを示唆している。従って「すずめになる」. かに動き方を指示されると動きを表面的になぞってしま. といった指示だけのものも見られる。 「虫」では,題材. うことになりやすい。このあたりを戸倉はよく心得てい. としては,とんぼ,ちょうちょ,せみ,てんとうむし,. たのではないだろうか。戸倉の作品における動きは一見. でんでんむしになるように示されている。なかでもちょ. 振りの型がきまっているようで,実は非常に自由度に富. うちょは様々な作品に使われているが, 「曲に合わせて. んだものと考えられる。そこで,戸倉作品の特色でもあ. 軽くちょうちょになって歩く」のように,ちょうちょの. る定型の中の「自由性」についてさらに検討するために,. 形よりもまず「ちょうちょになって」歩くことが要求さ. 遊戯作品の中で使用されている自由性について次に整理. れている。また, 「両手を左右にあげてとんぼになる」. した。. のように,表現の方法を指示しているものがある。 次に花以外の「植物」は, 5カ所であって,その記述 は僅かであった。その内容は例えば, 「両手で頭上にはっ. 5) 「自由な」という言葉が使われている箇所 戸倉作品の中でも振りの形が「自由に」といった子ど. ぱをっくり大根になる」 「両手を胸に組んでどんぐりに. も達の裁量に任せられている内容について整理した結果,. なる」のような両手を使うことで,そのものになりきる. 「自由な」といった言葉やそれに準じた「任意に」 「思い. ことを示唆しているものや,単に「高い木になる」のよ. 思いに」 「随意に」等の言葉が全14冊にみられた。そこ. うな指示もある。 「生活」では,日常から取材したもの. で,その用語がどのような名詞に付されているのか分析. であり,例えば「金魚,おかあさん,花子になっておふ. した結果, ①方向性, ②表現, ③隊形に付されていた。. ろに入る」のような行動を示したものもある。しかし,. その他その内容をあらわしている用語として, ④自由に. これはお風呂に入るということよりも金魚やおかあさん. する, ⑤まかせる, ⑥すきなものになる, ⑦工夫する,. や花子になる,といった方に重きをおいているものであ. ⑧考える, ⑨創作する,が見られた。. る。「あそび」では,凧,シャボン玉,だるま,こま, 人形,花火,まりになる等が見られた。その内容は, 「たこになって走る」のように走るという運動をするの. 5) -①方向性 ここでは, 「自由な方向へ」 「思い思いの方向へ」 「好. に加えて,凧になりきることが指示されている。また,. きな方へ」 「任意の方向-」 「随意に」というように言葉. 「こまになってぐるぐるまわる」にも同様なことが言え. は異なるが,その意味するところは同じ記述がみられ,. よう。以下,人形でも「キューピー,フランス人形,サ. それらは殆どの教材集に見られる。例えば, 「自由な方.

(9) 幼児期の身体表現教育における「定型性」の意味. 向へ走る,歩く」 「好きな方へ歩く,走る」という記述. 83. となるであろう。. は10カ所にみられた。また, 「体前で両手をくみ軽く任 意な方向に走る」や,かたっむりになって「随意に行く. 5)-(まかせる. 所(肋木に登る,台上に上がる,ピアノの下)へ」等の. これは, 「自由に」という表現と同じ意味であるが 「子供にまかせて行うとおもしろい」や「子供の自由な. 記述がある。このような記述は総計で24種類であった。. 表現にまかすとよい」といったような,ただ自由に行わ. 5) -②自由表現 ここでは, 「自由表現」の言葉が使用されている箇所. せるだけではなく,子供を十分信頼して「まかせる」こ とで,よりおもしろいものが出てくるといった教師側の. を抽出した結果,振りの説明の中で24カ所の記述がみ. 期待がみられる。記述は, 2カ所でありその数は少ない. られた。その内容は,例えば「きのこ,どんぐり,落ち. が,戸倉作品の中で使用されている意味は大きい。. 葉について自由に表現させる」 「ちょうちょや花の表現 は出来るだけ子供の自由にさせたい」というような具体. 5) -⑥好きなものになる. 的な自然物や虫などの題材に使われている。そこでの表 現は子供の自由に任せられており,振りの方法や動きの. これは「自分の好きなものになる」ということであり, 例えば「手又は足を少し動かしてなりたい人形になる」. 指定はない。これら24カ所の特色は,いずれも容易に. 「キュ-ピー, -びなどすきなものになってとびあがる」. 子供が動きを想像しやすく,またその題材が動きをとも なったものが多いことである。例えば「びわのみのゆれ. 「円周のものはいわれた所の何でも好きなものを表現す る」というような記述である。全体で17カ所に見られ. るところを自由に表現する」のように,その物から身体. た。これらは,先の「自由に動く」ということに比して. の動きを簡単に思い浮かべられるようなものである。. さらに「そのものになる」ということからも自由度が高 い。子供は自分の好きなものになりきって自らの身体を. 5) -③隊形 作品の振りの説明では,まず集団でどのような隊形を. 動かすことで,そのもののイメージも十分湧き,楽しく 表現できるのではないかと恩われる。. 形づくるかということが示されている。そこには,円形 や縦列になるといった指示があるのだが, 12冊の教材. 5) -⑦工夫する. 集には「自由な隊形で」といった指示がされている。つ. ここでは, 「工夫」という言葉が使用されている記述 を抜き出したところ, 38種類の使い方で45カ所にあっ. まり,最初に全員で隊形をつくらないで,個人で好きな 場所でその振りを行うというものである。例えば「自由. た。これは, 「自由に---する」という言葉に次いで. 隊形でちょうちょの子供をきめる」といったような,隊. 多い。その内容は例えば, 「表現は子供に工夫させると. 形は自由であるが,そこでちょうちょの役の子供と花の. おもしろい」といった表現全般に関するものの他, 「二. 役の子供を決めて,お花の間をちょうちょが自由にとん. 羽の小鳥が話をする様子を工夫させる」 「線香花火のよ. でいくといった方法である。このように,隊形を自由に. うすを子ども達に工夫させる」のような異体的な状況の. することで,子供は振りのことだけを考えて,十分に自. 指示の中で,振りの方法については自分達で考える内容. 分の振りに集中して動くことが出来る。. のものである。また, 「ひよこのおうちはみんなに工夫 させる」のような集団で工夫することも示されている。. 5) -④自由にする 振りの説明の中で「自由にする」という言葉が使用さ. 5)一⑧考える. れている箇所は, 67カ所であり,その数は非常に多い。. 次に,工夫することに関連する言葉として「考える」. しかし,この言葉は様々な「自由に一一一する」といっ. がある。例えば, 「山や窓は子どもに自由に考えさせて. たことをまとめたものであり,例えば「自由に犬の様子. 行なうと面白い」 「雨の動作を考えさせる」などである。. をしてすわる」や「自由にたこになり,空にあがっていっ. これは前述の「工夫させる」と同義である。振りを考え. たり,まわったりする」 「自由に周囲の花をっみにいく」. ることによって,例えば「かさをさしてあるくところを. というような動作に対して「自由に」という副詞が使わ. 考えさせおもしろく表現させる」のように,表現をよ. れているのである。その動きの種類は「歌いながらたぬ. り面白くするためにも「考える」ことが提案されている。. きの腹づっみを自由にさせる」 「曲に合せて自由に凧を あげたり,まりつきの表現をする」 「カニになって自由 に遊ばせるとおもしろい」というような異体的な楽しそ. 5) -⑨創作 「工夫する」 「考える」の言葉は, 「創作する」という. うな動きが指示されている。動きそのものも楽しめるが,. 言葉と関連している。つまり,動きを創作することは,. それを自分の自由にできるところが,喜んで動けるもの. すなわち表現を工夫し,動きを考えることであるからで.

(10) 84. ある。しかし,戸倉作品の解説の中で「創作」の言葉が. こそが戸倉の「振り」であった。戸倉は, 「振り」を数. 明確に使用されているのは, 「遊戯を創作させる」と. 多く創り出すことによって,幼児に動きを通した感情を. 「小さなグループをつくりこどもに自由に創作させると. 体験させ心情を錬磨させ,結果的には動きを単に幼児の. よい」という箇所で使用されているだけである。 「工夫. 衝動的なものとしない感情を伴った品性あるものとして. する」 「考える」という言葉の多さから,動きの創作へ. いる。しかもそこには「自由」さによって幼児自身によ. の途が考えられていたのではないかと予想される一方で,. る味付けを行う余地をつくり,個性をださしめ,幼児自. 「創作」の言葉が2カ所だけにしかみられなかったこと. 身がもっている生命性を存分に発揮させようとしたもの. は,幼児期では, 「創作」という言葉が難解であると戸. であることが伺われる。すなわち,定型性の中に幼児自. 倉自身が考えていたと推測される。 以上, 「自由」の言葉は,戸倉の作品の中で多く使用. らが自由に表現できる余地を多く有していたのである。 以上のような戸倉作品の特徴をあらわす「遊び,生活,. されていることが明らかとなった。そこには,戸倉は動. 心情,リズム,自由」は幼児の身体による表現活動とし. き方の大きな流れだけは指示するが,それ以外のところ. て,これから伸びていく幼児の心と身体に柔軟な,いか. は幼児にまかせ,工夫させて考えさせる余地をもたせて. ようにも表現できる可能性をもったものとしていくため. いる。それはつまり,一刀彫りで彫られた振りに息を吹. の基本となるべきものであろう。 さて,ここで幼児期の身体表現において,戸倉作品を. き込み,生命を与えるものは幼児自身であるということ である。このことは,子どもにとっては意識的に出来る. 手がかりに,定型性の意味を考えてみよう。ここでは,. ものではないが,教師の手助けと教師の振りへの意味の. 定型怪を「型」という名称で示す。まず,問題点として,. 捉え方によって可能なものとなるのである。従って,敬. 表現する形を第一義とするため,そのものの気持ちや心. 師はここでの「自由」という言葉の使用を深く吟味して,. 情が疎かにされることである。これは, 「させる保育」. 戸倉が振りに対してどのように考えていたのか,その思. として現在でも批判されているものである。しかし,形. いを知って,理解して子どもに振りを与えることが肝要. を模倣すると同時にそのもののイメージを明確にもてる. となろう。. ようにすることで,幼児の表現は変化するのではないか と考えられる。次に,型を学ぶことの効用として次の3. 総括. 点をあげることが出来る。第1に型を学ぶことは,表現. 戸倉の遊戯作品は既成作品であり経験の追体験ではあ. する方法を学ぶことでもあり,より柔軟な身体の動きを. るが,その作品が子どもの生活から産出されている。こ. 生み出すものである。例えば,古典バレエのトレーニン. こに,子どもに作品を踊らせるような作品主義ではなく,. グ法がそれであり,わが国の伝承的な芸能の訓練法にも. 子どもにまず目を向けて,子どもの中にあそび,普,動. 見出す事が出来る。すなわち,いかようにも表現するこ. きを見出し,作品としてつくりあげていった戸倉の創作. とが可能な表現体としての身体を開拓する目的で,型と. の姿勢が見出される。また,戸倉作品の分析から,振り の動きの特性を明らかにすることが出来た。すなわち,. しての方法が確立しているのである。そこでは,型を身 につけることで,型を出ることが可能になる。第2に,. 戸倉作品は題材にふさわしい動きが常に考えられ,全身. 表現方法としての手がかりとしての型である。思ったこ. による大きな動きであらわすと同時に両手,両腕による. とをそのまま身体の動きであらわすことは,一見自由性. 細かな心情をあらわす振りで構成されている。さらに,. の保証であるかのように考えられるが,実際は自由とい. 実在しないもののあらわしも振りとしてみられ,動きに. う名の元の不自由さである。つまり,どうやって自分の. 情感を併せて表現する方法も多く見られた。つまり感情. 思いを相手に表現していいのか,という点である。幼児. を含めた振りを実践することで幼児の心へ働きかけるこ. は,ある程度の方法を知ることによって,そこから自分. とができるからである。振りの中に感情が溶かしこまれ. なりの創意工夫する意欲をもっのである。第3に,心と. ていると考えられる。また,その表現は一刀彫のように. 身体のかかわりである。すなわち,自分の使ったことの. 大雑把なものであり,そのことは結果として幼児自身が. ない身体の筋肉感覚を通して,自分たちが遊びの中で自. 考え工夫する余地を十分に残していると言える。すなわ. 然に味わっていた感情の追体験をすることが可能となる。. ち,型は決められているが,その中に生命を吹き込むの. 戸倉は,それを気持ちの陶冶と述べていた。つまり,保. は幼児自身の感情,心情であり,その思いがしっくりく. 育者が幼児に教育的意図をもった心情体験を身体の動き. るような題材を戸倉は子どもの遊びや生活の中に見出し. を通して教示する方法である。現在でも頻繁に行われて. たのである。また遊びや生活の中にリズムを発見し,そ. いるお話に沿った身体表現活動はその部類に属する。. れを振りの型として提示したのである。換言すると,リ. 以上のように,幼児の身体表現内容において,幼児自. ズムは幼児の生命体であり,幼児の動きの躍動感の源で. 身の内的なものは尊重されるという前提で,ひとつの保. ある。それは,心と動きが融合されたものであり,それ. 育内容方法として,形ある表現形態を教示することで得.

(11) 幼児期の身体表現教育における「定型性」の意味. られる効果を顧みる必要があるのではないか,と思われ る。少なくともわが国の教育制度の発足以来昭和40年代 後半まで継続してきた身体活動としての遊戯の価値は再 考され,これからの保育内容に反映していくべきもので あると思われる。. <註> (1)文部省: 『幼稚園教育要領』 1999年12月 (2)拙著「幼児期における身体表現の芽生え」兵庫教 育大学研究紀要第16巻第1分冊83-91貢 (3)坂元彦太郎: 『幼児教育の構造』フレーベル館 1964年29頁 (4)戸倉-ルの略歴は,拙著「保育内容『表現』の史 的変遷-昭和前期.戸倉ハルを中心に-」兵庫 教育大学研究紀要第20巻第1分冊122貢 を参照 (5)戸倉-ル,鈴木綾子: 『小学校ダンスの実際指導』 学芸図書出版社(復刻版) 1949年序 (6)同上, 3頁 (7)戸倉-ル: 「2.幼稚園のダンスについて」周郷 悼,酒田富造編『幼年教育のための音楽リズム』, 国民図書刊行会, 1957年, 141頁 (8)戸倉-ル,小林つや江: 『一年生の音楽とリズム 遊戯』教育科学社, 1949年,序 (9)戸倉ハル: 「保育の技術」 『現代保育講座2 (上)』 1956年,はしがき. (10)前掲書(7) 161頁 (ll) (12)前掲書(9) (13)前掲書(5) (14)前掲書(7) 4貢 (15)前掲書(5)はしがき (16)前掲書(5) 150貢 (17) (18)前掲書(9) (19)戸倉-ル:『いろはあそび』チャイルド本社, 1958 年,まえがき (20)前掲書(7) 141頁 (21)戸倉-ル,小林っや江: 『わらべうたとあそび』 不味堂, 1951年,はしがき (22)前掲書(5) 162頁 (23)戸倉-ル,小林っや江: 『うたとあそび第2集』 不味堂, 1958年,まえがき (24)戸倉-ル: 『学校ダンス創作集』東京スミ商会, 1951年,序にかえて (25)同上 (26) (27) (28)前掲書(7) 5-6貢 (29)戸倉-ル: 「創作への道」 『学校ダンス創作集第 二集』東京スミ商会, 1954年 (30)同上. 85. (31)分析対象の595作品は,以下の14冊の遊戯書か ら抽出した。本論文中の記述箇所の引用は,紙面 の都合上割愛した。 ①戸倉-ル,小林っや江『一年生の音楽とリズム遊 戯』教育科学者1949昭和24年) (参戸倉-ル,小林っや江『保育資料うたとあそび』 不味堂1950 (昭和25年) (診戸倉-ル,小林っや江『わらべうたとあそび』不 味堂1951 (昭和26年) ④戸倉-ル,小林っや江『-ンドカスクのゆうぎ』 不味堂1952 (昭和27年) ⑤戸倉ハル,一宮道子『おててつないで』不味堂 1955 (昭和30年) ⑥戸倉-ル「保育の技術(上)」 『現代保育講座2』 金子書房1956 (昭和31年) ⑦戸倉ハル『いろはあそび』チャイルド本社1958 (昭和33年) ⑧戸倉ハル,小林っや江『うたとあそび第2集』 不味堂1958 (昭和33年) ⑨戸倉-ル,サトウハチロー『こどもの歌あそび』 チャイルド本社1959 (昭和34年) ⑲戸倉ハル,一宮道子『こどもの行進曲』チャイル ド本社1959 (昭和34年) ⑪戸倉-ル,小林っや江『小学校音楽共通教材う たい方とダンス』不味望1959 (昭和34年) ⑫戸倉-ル,小林っや江『3才児の歌とあそび-3 つの音をテーマとした-』ひかりのくに. 1960 (昭和35年) ⑬戸倉ハル『年中行事のうたとあそび』チャイルド 本社1961 (昭和36年). ⑭戸倉-ル,小林っや江『子どものうたとリズムあ そび』 (花の巻)ひかりのくに1967 (昭和42 午).

(12) 86. Meaning of the ''Fixed Form''on the Body Expression Education of Young Children -A clue to Analysis of the works with Play and Songs by Haru Tokura-. Key. words・'Body. Expression,. Fixed. Form,. Haru. Tokura,. works. with. Play. and. Songs,. Young. Children. Tomoko NASUKAWA The purpose of this study is to clarify the characteristics of plays and songs works produced since mid1920s to mid-1960s by focusing on the expressiveness of body movements regarding their ideals and contents, besides casting light on the role and significance they played on the body expression education of our. country. Works used as reference materials for this study are the play guidebooks on plays and songs, the collection of play works by Haru Tokura in mid-1920s to mid-1960s. For the method of study, their ideals about plays were collated, and play works referred to in these collections were extracted and were analyzed mainly from the viewpoint of expressiveness of body movement. In other words, regarding around the turn of the century, themes of works, characteristics of gesture movements by body movement, and methods of composition of works by movement were studied. H.Tokura criticized then prevailing plays as being excessively elaborate in skills, fine movements, and excessive use of limb movements, and stressed the necessity of aiming at plays like carving with a single knife" as indicated by Kurahashi in 1933. Plays created by H.Tokura are based on large movements by using whole body, while expressing fine feeling with hands and palms, thus proposing to leave a room for small children to exert their ingenuity in plays. This trend became further evident in her works after. the end of WWII, where movements by using whole body and limbs, changes in movements on the spot, changes in position by shift movements, and expression of dynamism by jump-like movements are seen. For method of expression, methods of expressing feelings conceived from themes directly in works were used, instead of assigning mimic gestures to texts. Plays and songs of H.Tokura have contributed to our nations body expression education by playing the following roles: 1) To purify life of small children by turning themes conceived from actual scenes of life into works:_ 2) To emphasize the educational value of expressiveness of movement by nurturing good feelings by actually experiencing movements and rhythms, 3) To have focused on rhythm inherent to movements of small children, 4) To have provided gestures with rich expressiveness by adding feelings to body movements, and 5) Existing works served as the basis for creating works to express ones inner image with body movement, by allowing mastering many body lang uages and nurturing flexible body materials..

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