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三島由紀夫『憂国』論(二〇〇九年度卒業論文要旨集)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 三島由紀夫『憂国』論(二〇〇九年度卒業論文要旨集). Author(s). 大西, 毅. Citation. 札幌国語研究, 15: 60-60. Issue Date. 2010. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2537. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 三島由紀夫﹃憂国m論. 近代文学研究室 五〇二八 大西. 毅. 安部公房﹃砂の女﹄論. 近代文学研究室 六四二七 神澤. 俊. に、飛び立ちたいと願う自由もあれば、巣籠って、誰からも邪. 本研究は、安部公房の ﹃砂の女b の箱書きにある﹁鳥のよう. 魔されまいと願う自由もある。︵中略︶ 色も、匂いもない、砂. 本研究ではまず、﹃憂国﹄ における武山中尉の ﹁大義﹂が天 れが﹃憂国﹄ の舞台となった昭和初期における﹁大義﹂と変わ. 皇への忠義尽くすことであることを明らかにした。そして、そ. との闘いを通じて、その二つの自由の関係を追求してみたのが、. の自由とその関係について考察したものである。. この作品である﹂という記述に注目し、安部公房の考える二つ. りないことが分かった。 また、武山中尉の﹁憂国の至情﹂とは、皇軍相撃という事態 を招いた国を憂える心情であった。だが、作品の中で武山中尉. たいと願う自由﹂を、砂の穴に住む女が﹁誰からも邪魔されま. ほんのいっとき逃れるために﹂砂の村を訪れた男が﹁飛び立ち. 従来の研究では、外界から﹁義務のわずらわしさと無為から、. 六事件に決起した青年将校たちのように具体的な行動によって. の﹁大義﹂と﹁憂国の至情﹂は観念にすぎず、これらが二ニー 表れているわけではなかった。. 件勃発後、自宅で﹁割腹自殺﹂したが、それ以外の事実ほ明ら. の点を捉えなおした。モデルとなった青島中尉は、二二一六事. う自由﹂とは精神に拠るものであり、﹁誰からも邪魔されまい. 指していることになる。作品分析を進め、﹁飛び立ちたいと願. らの脱出という、外界と砂の穴の中ではそれぞれ異なるものを. しかし、そう考えた場合、男の自由は、義務からの解放と穴か. いと願う自由﹂を、それぞれ象徴していると考えられてきた。. かになってはいない。一方、﹃憂国﹄ の武山中尉は国を憂いた. しかし、本研究ではさらに﹃憂国﹄ のモデルの存在から、こ. 人物として措かれていることから、三島が青島中尉に﹁憂国の. と願う自由﹂とは肉体に拠るものであることを明らかにした。. えると、この作品は彼の憂国の物語だといえ、この作品が青島. つまり、﹃憂国﹄をモデルとなった青島中尉の物語として考. い関係であることを明らかにした。. 関係なく穴を離れていったことから、二つの自由は両立し得な. の結果、最終場面で男が自らの意志で穴に戻り、女が意志とは. の関係から、これら二つの自由の関係についても考察した。そ. また、安部公房のエッセイ¶砂漠の思想﹄を参考に、男と女. 至情﹂を想像し、彼の死の決意から死に至る過程を、¶憂国﹄. 中尉の置回の物語であるからこそ、この作品の表題が ﹃賓国﹄. によって物語化したと考えられるのである。. なのではないかと考えられる。. 60.

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