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砂糖キビ生産地域・中種子町における黒毛和種繁殖雌牛の増加要因と当面の課題について

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Academic year: 2021

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砂糖キビ生産地域・中種子町における黒毛和種繁殖雌牛の

、 増加要因と当面の課題について

柳 田 宏 一 (1992年9月20日 受理)

Factors Affecting the Increase of Cow Number in the Area of Sugar-Cane-Production (Nakatane Town)

and the Present Problems of This Town

Koichi YANAGITA 緒   看 鹿児島県の繁殖用雌牛飼養頭数は平成2年度/昭和55年度比で121%に増頭した。主な繁殖地 域での増頭率は9%から91%で,地域的に偏りが大きく,特に,南西諸島の砂糖キビ生産地域で の増頭率が高い値を示した。そこで,鹿児島県で最も高い増頭率を示した種子島の中種子町を調査 地に選定し,近年の繁殖牛の増頭要因と当面の課題を明らかにしようとした。 本調査は平成2年から3年の間に行なわれた熊毛地域草地等効率利用促進プロジェクト調査の中 で著者が担当した部分を取りまとめたものである。本調査を実施するにあたり,御指導・御援助を 賜ったプロジェクト調査担当者各位に深謝致します。 調査方法 平成2年から平成3年の間に熊毛地域草地等効率利用促進プロジェクト調査(農林水産省九州農 政局主催)の一環として,中種子町の繁殖経営農家の実状を現地調査した。町内の農業の全体的な 把握は農業センサスのデータを用いた。粗飼料生産に関連する農業機械の普及状況については平成 元年度に,粗飼料供給状況については昭和60年度に,繁殖牛飼養での問題点及び堆肥の需給状況 については平成2年度に,それぞれ中種子町がアンケート調査した結果を用いた。 調査結果と考察 第1図に中種子町の繁殖雌牛頭数の推移を示し,種子島の他の市・町と比較した。中種子町と西 之表市では顕著な増頭がみられたが,水田面積の割合が高い南種子町では増頭がみられなかった。 第2図に中種子町における作物の種類別収穫面積の推移を示した。稲は急速に減少し,いも類は 55年度まで減少したがその後やや面積が増加しつつあった。砂糖キビを中心とした工芸作物は,

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50年度まで減少したが, 55年度にかけて増加し,平成2年度にかけて再び減少傾向を示した。一 方,飼料作の増加は認められず,極めて低い水準で推移した。 第3図に中種子町における主要作目の租生産額構成比の推移を示した。米やいも類は横ばいかや や減少傾向を示した。また,砂糖キビを中心とする工芸作物は明らかに減少傾向を示した。それに 対して肉用牛の租生産額構成比は米,いも類及び工芸作物の租生産額構成比の減少を補完する形で 増加した。 0    5 3    2 0    5 21 ( 慣 + )   点 ( サ 0 0 0 T )   蟹     値 S60 年  度 第1図 種子島の1市2町における繁殖雌牛 頭数の推移 -中種子町・-・西之表市・-南種子町 S45         S50         S55         H 2 年度 第2図 中種子町における作物種類別の収穫 面積の推移 -いね-・いも類-・工芸作物-飼料作物 50 o o o o T f C O C O             ' -H ( % )   当 増 軽 藤 棚 羽 車 +4+4...-....4++∼-...-...+o++ 二二三  rJl蝣 - I  一一一 S55 S60 年  度 S63 第3図 中種子町における主要作目の租生産 額構成比の推移 -莱-・・いも類・-工芸作物-肉用牛 第4図に中種子町における耕地面積規模別農 家数の推移を示した。 2ha未満の農家数は全て 減少傾向にあり,特に0.5Ac未満の農家数は昭 和60年以降急速に減少した。 2haから2.5haの 農家数も明らかな減少が見られた。 2.5/iaから 3haの農家数は減少ないし横ばいの傾向を示し た。 3haから5haの農家数は50年度から60年 度にかけて増加したが, 60年度以降の増加は 鈍化した。 5ha以上の農家数は少ないものの, 45年度以降確実に増加した。このように経営 規模でみると現在の中種子町における増減の分 岐点は2.bhaから3haにあると考えられた。 第5図に中種子町における繁殖雌牛飼養規模 別農家数の推移を示した。 1頭から2頭の農家 ヽ-サ^ササ-ーサJヽ● 500 400 巳  コ Ln-ft 300 皿 200 100 S45      S50      S55      S60     H 2

年  度--0.5/ia未満・- 0.5-1.0/m -1.0-1.5/ia --1.5-2.0/ia

S45      S50      S55      S60      H 2 年  度

-2.0-2.5ha未満・- 2.5-3.0/m - 3.0-5.0/ia --5.0/ia以上

第4図 中種子町における耕地面積規模別の 農家数の推移

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数は急速に減少し, 3頭以上の農家数は増加した。特に, 5頭から9頭の農家数の増加が顕著であっ た。また, 10頭から19頭及び20頭以上の農家数も確実に増加した。しかし,増頭の主力は3頭 から9頭程度の規模であった。 第6図に集落内の繁殖雌牛飼養頭数と諸要因との関係を示した。集落の農家率が50%程度まで の集落では頭数はそれほど多くなく,農家率が60%から70%程度の集落が頭数が多く,更に農家 率の高い集落では頭数は少ない傾向を示した。昭和60年から平成2年の間の集落別の人口増減と 繁殖雌牛頭数の増減との関係を見ると,多くの集落で人口が減少し 牛の頭数が増加する傾向が見 られた。しかし,人口減少がなく,兼業農家数が増加した集落においても家畜頭数が増加する傾向 も見られた。集落別の畑作面積と繁殖雌牛飼養頭数との関係をみると,畑作面積の大きい集落ほど 飼養頭数が多い傾向を示した。集落の水田率と雌牛飼養頭数との関係をみると,集落の水田率が高 いほど飼養頭数は少ない傾向を示した。従って,繁殖経営農家は繁殖部門を,主として畑作との結 合で経営効率を高めようとする傾向が強いことが推測された。 500 400 Eu ln. 、 ノ 300 3& 200 1n lOO O S55 S60 年  度 第5図 中種子町における繁殖雌牛飼養頭数規模別の農家数の推移 -1から2頭・-3から4頭 -・5から9頭 --10から19頭 一 -20頭以上   o o o o o i n o m o t o ( X I               < N I               -H               -H m w ? v i J m i 員 E Z ( 慣 )   感 慨 鴬 野 ♯ 掌 理 淑 ●  ● ヽ「 20        40        60 集落の農家率(%) ) ) ● ● ) A ト ● ● ● ● ) ● ▲ ■■ ● ▼■ ▼ ド ) ) ● ) I. I L - 4 0 ■ 4 0■ - 8 0l ■ 集落の人口増減数(人) 0     2     4     6     8    10    12 集落別畑作面積(1000α) 0        20        40        60        80 集落別水凹率(%) ( 慣 )   顛 暦 ♯ 著 潜 淋 0    0    0    0 5    0    5    0 00      -I      -I 第6図 集落内の繁殖雌牛飼養頭数と諸要因との関係

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第7図に中種子町の畜産農家における乗用トラクターの馬力別普及台数を示した。乗用トラクター は20から30馬力を中心に普及率は高かった。 第8図に畜産農家100戸当たりのトラクターアタッチメントの普及状況を示した。これまでの繁 殖雌牛の増頭にも拘らず,粗飼料収穫に用いるアタッチメントであるモーア,フォーレ-ジハーベ スター,コーンハーベスター,テッダーレーキ及びへイベ-ラー等の普及率が極めて低かった。 第9図に中種子町における家畜飼養で問題になる点に関するアンケート調査結果を示した。これ によると,最大の問題は粗飼料確保であった。 第10図に中種子町における昭和60年度の飼料供給状況を示した。畑からの飼料供給がかなりあ 300 250 石200 ヽー 150 1□ 100 50 0 1 -15   -20  20-30  30-40  40-60 馬力(馬力) 第7図 中種子町における馬力別乗用トラク ターの普及台数 ライム マニュア ソワー  スプレッダー モーア フォーレ-ジ コーン    テッダー  へイ ハーベスターハーベスター レーキ   ベ-ラー アタッチメントの種類 第8図 中種子町における畜産農家100戸当 りのアタッチメント普及状況 o o o o o o o o o evj n .=; ( d )   顛   僻   嘩 第9図 アンケート結果からみた中種子町に おける繁殖雌牛飼養での問題点 るものの,飼料供給の中心は砂糖キどのトップ からであった。昭和60年度のデータであるた め,近年の状況とは幾分異なると思われるが, 基本的な状況は変わっていないと考えられた。 第11図に平成2年度における堆肥の需要につ いてのアンケート結果を示した。中種子町にお ける堆肥の需要は,これまでの畑作面積の拡大 により,かなり高いことが推測された。 o o o o o     蝣     o t o l o           ォ #           m           < n >           ^ h ( ? )   N C I ト 水  出     畑     いねワラ   ト ッ プ 区分 第10図 中種子町における粗飼料供給状況 需要が多い需要が少ない 第11図 アンケート結果からみた中種子町で の堆肥の需要状況

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以上の調査から,種子島の中種子町における繁殖雌牛の急速な増頭は,畑作の収益停滞と米の減 反による収益減少を,経営規模を拡大しながら,子牛生産部門を拡大することで補完しようとした 結果もたらされたものであることが推測される。また,畑作部門の拡大は堆肥の需要を高めていた。 これまで砂糖キどのトップに依存する傾向が強かった中種子町の繁殖雌牛の飼養は,昭和55年以 降も飼料作面積の増加を伴わない中で急速な増頭がなされた。このため近年粗飼料確保が困難な経 営が多くなっていた。当面の粗飼料確保の問題を解決する方法はそれぞれの経営で多様であるが, 全体的にみると,繁殖農家の経営を圧迫しないかたちでの粗飼料生産用アタッチメント類の装備を 強化することが必要であると考えられた。また,バガス,糖蜜,焼酎カス及び澱粉カス等島内の未 利用資源をサイレージ化して活用することも必要であると推察された。

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