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IV.調査結果の分析:大学生のジェンダーに関する意識と学校教育経験との関係性

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大学生のジェンダーに関する意識と学校教育経験との関係性

近畿大学 非常勤講師 棚田 洋平  1 はじめに  あらゆる人権侵害や差別をなくするために、教育・啓発や研修の推進が不可欠であることは言う までもない。実際、各地の自治体等で実施されている市民の人権に関する意識調査の結果をみれば、 「差別や人権侵害の問題」を解決する方策として「学校教育」「社会教育・生涯学習」の役割に期待 する市民の割合は高い ⑴  しかし、人権に関する教育・啓発の「効果」を測定することはなかなかに難しい。本稿では、近 畿大学の学生を対象とした「ジェンダーに関する意識調査」の結果より、性や男女平等・ジェン ダーなどにかかわる教育が、学生の性やジェンダーに関する意識・態度等にどのような影響を与え るのかについて明らかにする。具体的には、学生のこれまで(小学校・中学校・高校)の性や男女 平等・ジェンダーにかかわる教育経験と、大学生としての現在における性やジェンダーに対する意 識・態度等との関係性についてみていく。  その際、2010 年にも同様の調査を実施しているため、その結果との比較も行う。 2 性別による教育経験の違い  まず、回答者数とその性別による内訳をみておこう。今回の調査の回答者は合計 1,767 人で、 その性別による内訳は「女:608 人(34.4%)、男:1,144 人(64.7%)、その他:5 人(0.3%)、 無回答・未記入:10 人(0.6%)」となっている。それに対して、2010 年調査の回答者の総数は 1,080 人 で、 そ の 内 訳 は「 女:391 人(36.2%)、 男:674 人(62.4%)、 そ の 他:8 人 (0.7%)、未記入・無回答:7 人(0.7%)」であった。なお、以下の記述において、結果における 性差について言及する際には、「その他」「無回答・未記入」の数字については母数がわずかであっ たため省略していることを断っておく ⑵  それでは早速、調査の結果についてみていくことにしよう。「あなたは、これまでに学校で、性 教育・男女平等にかかわる教育・ジェンダーにかかわる教育を受けたことがありますか」(問 3)と いう問いに対する回答結果は、図 1 に示したとおりである。小学校より、中学校・高校での教育経 験が「ある」と回答する割合が高い。前回調査と比較すると、「小学校で受けた」「中学校で受けた」 ⑴ 例えば、同和問題に限ってはいるが、大阪府の調査では、「同和問題を解決するために、次にあげる施策や対応は、ど の程度効果的だと思いますか」という設問において、「学校教育・社会教育を通じて差別意識をなくし、広く人権を大 切にする教育・啓発活動を積極的に行う」ことを「非常に効果的」「やや効果的」と回答する者の割合は合計 56.3% で もっとも高い(大阪府「人権問題に関する府民意識調査」、2010 年)。同様の質問は、昨年度の近畿大学の学生を対象 とした人権意識調査でもたずねており、そこでは 72.6% という割合を示し、やはりもっとも高い(近畿大学人権問題 研究所『2015 年度 近畿大学学生人権意識調査報告書(部落問題編)』、2016 年)。 ⑵性別について回答する際に「女」「男」ではなく、「その他」を選択する学生が各年ともにわずかではあるが確実に存在 している(2010 年:0.7%、2016 年:0.3%)という事実を見過ごしてはならない。中には、「その他」を選択せずに 「無回答・未記入」とした者もいるだろうし、「女」「男」をあえて選択した者もいただろう。とりわけ、性やジェンダー に関する経験・意識の調査においては、かれらの存在をふまえた調査手法や分析が求められる。

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と回答する学生の割合は、2010 年より 2016 年のほうがそれぞれ 13.9%、6.3%低い。「高校 で受けた」とする学生の割合は、それぞれ 70%弱であまり変わりはない。他方で、「受けたことは ない・覚えていない」との回答はこの 6 年で約 7% 増えている。 図 1 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験【%】(複数回答)  この結果について男女別でみてみると、2010 年・2016 年ともに、各学校段階における教育 経験は女性のほうが「ある」とする者の割合が高い(表 1)。この「受けた」かどうかは実際の客 観的な経験ではなく、「『受けた』ことを記憶している」という主観的な経験である。そういう意味 では、女性のほうが、性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育について「自分事(わがこと)」と して感じやすく、「受けた」と記憶している者が多いのかもしれない⑶。裏を返せば、この数字は、 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育に対する、男性の「他人事(ひとごと)」意識を表して いるとも言えよう。  2010 年から 2016 年の変化としては、「小学校で受けた」割合が男女ともに激減しており、女 性は− 9.6%、男性は− 15.9% となっている。男性に関しては、「中学校で受けた」割合も低く なっている(− 8.5%)。それに対して、「高校で受けた」という割合は男女ともに微増している。 「受けたことはない・覚えていない」という回答も男女ともに増えているが、とりわけ男性の増加 率は高い(+ 7.7%)。 表 1 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験(各年の性別比)【%】 2010 年 2016 年 全体 女 男 その他 全体 女 男 その他 小学校で受けた 57.1 66.0 52.4 62.5 43.2 56.4 36.5 20.0 中学校で受けた 75.2 81.1 72.1 87.5 68.9 79.6 63.6 60.0 高校で受けた 68.2 76.0 63.9 62.5 69.2 78.8 64.6 40.0 受けたことはない・覚えていない 11.1 6.4 14.1 0.0 17.8 10.0 21.8 40.0 無回答・未記入 0.5 0.0 0.4 0.0 0.5 0.2 0.3 0.0 43.2 68.9 69.2 17.8 0.5 57.1 75.2 68.2 11.1 0.5 小学校で受けた 中学校で受けた 高校で受けた 受けたことはない・覚えていない 無回答・未記入 2016年 2010年 ⑶ この男女差は、近畿大学に入学してくる女子学生/男子学生の層の違いに起因するのかもしれないが、そのことについ ては今回の調査項目では把握できないため、何とも言えない。

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 他方で、「性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育を受けた」という学生のうち、小学校・中 学校・高校いずれにおいても「受けた」という者がいちばん多く、その割合は全体の 37.6% であ る。次いで、中学校・高校(20.2%)、高校のみ(10.8%)、中学校のみ(7.2%)、小学校・中学 校(3.6%)、小学校のみ(1.6%)、小学校・高校(0.3%)の順となっている(表 2)。男女別で みると、「小・中・高で受けた」という割合は、女性のほうが男性より 15% ほど高い。 表 2 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験(校種別)【人】 女 男 女 男 小中高 305 359 小中 23 40 55.9% 40.3% 4.2% 4.5% 中高 125 232 小のみ 13 15 22.9% 26.0% 2.4% 1.7% 高のみ 47 144 小高 2 4 8.6% 16.2% 0.4% 0.4% 中のみ 5.7%31 10.9%97 100%546 100%891  図 2 は、小・中・高いずれも/いずれかにおいて、性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育を 「受けた」者にその学習内容についてたずねた結果について男女別に示したものである。その結果 によれば、性にかかわる学習内容(「思春期の変化、月経、射精」「生殖のしくみ」「HIV / AIDS、 性感染症」「避妊、中絶」「多様な性」)を挙げる者の割合はおしなべて女性のほうが高い。また、性 差別構造にもとづく問題(「DV、デート DV」「セクシュアル・ハラスメント」「女性解放運動」「性 差別」)や家族のありよう(「社会における家族のありよう」「育児」)、法律・制度(「条約、法律」 「男女共同参画社会」)についても、女性のほうが挙げる割合が高い。これらの結果が示しているこ とは、こうした学習内容を男子学生が受けてこなかったというわけではなく、「自分事(わがこと)」 として感じられなかったため、「受けていない・覚えていない」という印象になってしまっている 可能性である。その他の項目については、男女間で大きな違いはみられない。 84.9 77.8 79.4 70.7 27.3 29.9 15.1 44.2 25.2 28.0 32.4 37.7 25.2 48.0 31.7 30.6 43.1 49.5 52.1 0.5 65.1 58.7 62.7 54.1 22.6 28.4 15.3 36.4 23.7 26.0 26.4 31.1 23.0 43.3 29.4 24.7 38.5 33.0 41.0 1.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 男 女 思春期の変化、月経、射精 生殖(受精)のしくみ HIV/AIDS、性感染症 避妊、中絶 多様な性(同性愛、LGBT、性別違和など) 「女らしさ」「男らしさ」 買売春、援助交際 DV、デートDV 恋愛における対等な人間関係 結婚 社会における家族のありよう 育児 キャリア、労働 セクシュアル・ハラスメント 性的虐待、性被害 女性解放運動 性差別 条約、法律(女性差別撤廃条約や男女雇用機会均等法など) 男女共同参画社会 その他

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 以上、本節では性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験・学習内容について、男女差や前 回調査からの変化をみてきた。それらをふまえて、次節では、教育経験と性やジェンダーに関する 意識との関係性についてみていくことにしよう。 3 教育経験・学習内容とジェンダーに関する意識・態度  本節では、性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験・学習内容と、性やジェンダーに関す る意識・態度等との関連性についてみていくことにする。  まず、教育経験について、先の問 3 の回答結果をもとに、小・中・高いずれにおいても「性や男 女平等・ジェンダーにかかわる教育を受けた」という層を教育経験について「いずれも有」とし、 小・中・高のいずれかの段階で少なくとも一度以上は「受けた」という層を「いずれかで有」とし た。なお、後者には前者を含む。くわえて、「受けたことはない・覚えていない」との回答につい ては「(教育経験)無」とした。  それぞれの母数と性別比は表 3 に示したとおりである。これら三つの教育経験ごとに、「ジェン ダー意識(問 10)」「暴力に関する考え(問 9)」「結婚観(問 19)」「差別に対する考え(問 21)」 との関係性についてみていく⑷ 表 3 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験ごとの内訳【人】 総数 女 男 その他 無回答・未記入 いずれも有 665 305 359 1 0 100% 45.9% 54.0% 0.2% 0.0% いずれかで有 1424 546 891 3 4 100% 38.3% 62.6% 0.2% 0.3% 無 314 61 249 2 2 100% 19.4% 79.2% 0.6% 0.6%  まず、三つの教育経験とジェンダー意識(問 10)との関係性についてみていこう。図 3 をみて もわかるとおり、性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験があるほど、伝統的なジェンダー 観を肯定する割合は低い。ただし、「(D)結婚したら、妻が夫の姓を名乗るのは当然だと思う」「(F) 男性は少しぐらい強引に女性をリードする方がよい」「(I)育児・介護休業は、男性より女性がとっ た方がよい」「(J)子どもが 3 歳くらいまでは母親のもとで育てる方がよい」「(T)重い荷物は男 性がもつべきだ」の 5 項目については、教育経験ごとの違いはほぼみられない。また、「(R)男性 に向いている仕事/女性に向いている仕事がある」という考えを肯定する割合については、教育経 験があるほど高くなっている。   ⑷ 本節以降の「肯定的回答」の割合は、各設問に対して「そう思う」「ややそう思う」と回答した者の割合をあわせた数 字である。

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図 3 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×ジェンダー意識【%】 (A)「男性は仕事、女性は家事・育児」と役割分担をする方がよい (K)デートなどでは、男性が金銭面の負担をするべきだ (B)女の子は女らしく、男の子は男らしく育てる方がよい (L)体育会系のサークルのマネージャーは女性がやる方がよい (C)妻や子どもを養うのは、男性の責任である (M)男性は、家庭をもって一人前だといえる (D)結婚したら、妻が夫の姓を名乗るのは当然だと思う (N)女性の幸福は結婚にあるので、女性は結婚する方がいい (E)職場で、来客にお茶を出すのは女性がした方がよい (O)家事や育児の能力が低い女性はのぞましくない (F)男性は少しぐらい強引に女性をリードする方がよい (P)共働きなら家事の負担は半分ずつするのがのぞましい (G)夫の親を妻が介護・看護するのは当然だと思う (Q)妻の転勤が決まったら、別々に暮らすのもよい (H)男性の方が女性より、管理職としての資質がある (R)男性に向いている仕事/女性に向いている仕事がある (I)育児・介護休業は、男性より女性がとった方がよい (S)男性はよわみをみせてはいけない (J)子どもが 3 歳くらいまでは母親のもとで育てる方がよい (T)重い荷物は男性がもつべきだ  次に、教育経験と暴力に関する考え(問 9)との関係性を示したのが、図 4 である。これをみる と、「(A)恋人から束縛されてもいい」「(B)恋人がいる人は、異性の友人と親しくしてはいけな い」「(C)恋人が、自分以外の異性との交友関係や相手の行動をチェック したり制限するのは、好 きな証拠だから仕方がない」「(K)性的関係では男性がリードすべきだ」については教育経験によ る違いはみられないが、その他の項目については、程度の差はあるものの、教育経験があるほど、 暴力を否定する意識・態度にあることがうかがえる。 20.1 32.3 58.2 42.7 36.9 41.9 15.8 20.3 47.0 54.3 33.5 38.9 25.4 20.0 28.3 80.8 46.1 86.5 17.8 65.3 22.5 46.1 61.2 43.1 38.6 40.7 15.7 22.7 47.9 55.3 37.6 43.2 28.3 22.3 29.6 79.4 45.4 84.3 19.7 68.1 29.6 48.4 66.5 39.7 44.0 39.7 20.6 26.9 48.5 56.1 48.8 47.1 33.5 28.2 38.1 72.9 39.6 79.0 32.1 69.6 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 (A) (B) (C) (D) (E) (F) (G) (H) (I) (J) (K) (L) (M) (N) (O) (P) (Q) (R) (S) (T) いずれも有 いずれかで有 無

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図 4 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×暴力に関する考え【%】 (A)恋人からは束縛されてもいい (H)恋人であれば、二人の気持ちや考えは同じでなければならない (B)恋人がいる人は、異性の友人と親しくしてはいけない (I)たとえ暴力をふるったとしても、謝ったら許してあげるべきだ (C)恋人が、自分以外の異性との交友関係や相手の行動をチェック    したり制限するのは、好きな証拠だから仕方がない (J)暴力を受けても別れないのは、愛し合っているからだ (D)恋人同士なら、思わず手をあげることがあっても、嫉妬や愛情    表現なら仕方がない (K)性的関係では男性がリードすべきだ (E)恋人がキスやセックスを要求したら、相手は応じるのが当たり    前である (L)性暴力の被害者にも落ち度がある (F)連絡が来て、すぐに返信がないと怒るのは、愛されている証拠だ (M)服装や髪型は恋人の好みに合わせたほうがよい (G)恋人同士でも、相手の携帯電話を勝手に見るのは、悪いことだ (N)恋人なら、恋人を何よりも優先させるよう相手に強制するのも   愛情だ  次に、ジェンダー意識ともかかわるが、結婚観(問 19)と教育経験との関連性を示したのが図 5 である。ほとんどの項目において、教育経験があるほど、伝統的なジェンダー意識にもとづく結 婚観に肯定する割合は低くなっている。しかし、「夫婦別姓は認められるべきだ」「結婚しても婚姻 届を提出する必要はない」「結婚は家と家とが結びつくことでもあるので、家族の同意が尊重され るべきである」といった、「家」意識にもとづく婚姻制度に関連する 3 つの項目については、教育 経験の有無にかかわりなく同程度の割合を示している。 29.5 15.9 30.9 5.2 15.5 17.5 83.4 6.4 19.9 10.2 36.0 21.4 15.4 3.8 26.4 13.5 26.9 5.7 17.9 17.4 80.8 6.9 22.3 10.0 36.8 20.4 16.2 4.8 28.6 16.7 27.6 11.2 20.1 22.8 74.2 10.9 24.8 14.5 33.5 27.8 19.6 10.2 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 (A) (B) (C) (D) (E) (F) (G) (H) (I) (J) (K) (L) (M) (N) いずれも有 いずれかで有 無

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図 5 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×結婚観【%】  最後に、差別に対する考え方(問 21)と教育経験の関係をみてみよう。図 6 に示されていると おり、いずれの項目においても、教育経験があるほど差別の解消に向けて積極的な意識・態度に あったり、差別に対する正しい認識があると言えよう。 図 6 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×差別に対する考え方【%】 38.6 35.8 59.7 62.7 75.0 25.2 69.9 94.6 58.7 41.5 39.6 61.7 62.4 73.7 25.0 72.6 93.9 61.1 45.8 45.6 65.0 59.8 61.4 26.0 69.8 88.9 58.8 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 誰でも人は結婚する方がいい 結婚したら、子どもを持つのは普通だ 結婚したら、離婚すべきではない 夫婦別姓は認められるべきだ 同性どうしの結婚も法的に認められるべきだ 結婚しても婚姻届を提出する必要はない 結婚・出産すれば、家庭生活を中心にする方がいい 結婚は当事者の問題であり、二人の意思が尊重される べきである 結婚は家と家とが結びつくことでもあるので、家族の同 意が尊重されるべきである いずれも有 いずれかで有 無 94.4 89.8 77.2 29.2 58.8 89.7 51.8 92.6 90.2 78.2 32.9 60.2 88.9 56.5 83.0 80.1 72.1 40.6 64.3 82.6 57.2 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 性にもとづく差別をなくすために、行政は努力する必 要がある 男女共生社会を実現するために、学校で人権教育 を進めることがだいじだ 性にもとづく差別は法律で禁止する必要がある 性にもとづく差別の原因には、差別される側に問題 があることも多い 性差別だという訴えを、いちいち取り上げていたらき りがない 性にもとづく差別の問題に無関心な人にも、差別問 題についてきちんと理解してもらうことが必要である 最近は女性の方が、男性よりも優遇されている いずれも有 いずれかで有 無

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 以上でみてきたとおり、学校における性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験は、性や ジェンダーに関する意識・態度等の形成に少なからず影響しているであろうことがうかがえる。た だし、本節の冒頭の表 3 で示しているとおり、教育経験「いずれも有」「いずれかで有」「無」、そ れぞれの層に占める男女比は大きく異なっており、その点を考慮しておく必要がある。教育経験 「無」、すなわち性やジェンダーにかかわる教育を「受けたことはない・覚えていない」と回答した 者に占める男性の割合はかなり高く、そのことが性やジェンダー意識の違いに影響している可能性 もある。  それでは、個別の学習内容の経験(問 4)は、学生のジェンダーに関する意識・態度等にどのよ うな影響を与えているのだろうか。そこで、個別の学習内容の経験とそれにかかわる意識・態度等 との関係性についてみてみたが、顕著な違いはそれほどみられなかった。例えば、「DV、デート DV」「恋愛における対等な人間関係」いずれかの学習の経験があっても、パートナー・恋人に対す る加害経験(問 6)や暴力に対する考え(問 9)に関しては、すべての項目において全体平均とほ ぼ変わらない数字であった。同じことは、「『女らしさ』『男らしさ』」に関する学習経験とジェン ダー意識(問 10)との関連や、「結婚」「社会における家族のありよう」「育児」「キャリア、労働」 いずれかの学習の経験と「自身のライフコース展望(問 16)」「パートナーに求めるライフコース 展望(問 17)」との関連についても言え、それぞれ全体平均と比べて顕著な差はみられなかった。  他方で、「多様な性(同性愛、LGBT、性別違和など)」を学習した学生では、「同性どうしの結 婚も法的に認められるべきだ」(問 19(5))という意見を肯定する者の割合(80.2%:全体平均 69.6%)が高かったり、「条約、法律(女性差別撤廃条約や男女雇用機会均等法など)」について 学習した学生は、「性にもとづく差別は法律で禁止する必要がある」と考える割合(79.5%:全体 平均 74.7%)が若干高いという結果もみられる。このように、個別の学習内容の経験が、それに かかわる事項に対する意識・態度等の形成に寄与するという結果もいくつかみられた。 4 おわりに  ある学生は、問 4 の「これまでに学校で受けた性や男女平等・ジェンダーにかかわる学習内容」 として「その他」を選択し、その具体的な内容として「受けたことは覚えているが、内容は覚えて いない」と記載している。このことをふまえると、問 3 で、学校で性教育や男女平等・ジェンダー にかかわる教育を「受けたことはない・覚えていない」と回答した学生の中にも、実際には教育経 験があるという者も少なからず存在すると推察できる。客観的な事実としての教育経験はあるもの の、その経験が身につくものではなく、印象に残っていないために、主観的には「教育経験はない」 ととらえられているのである。  他方で学生たちは、図 7 に示されているとおり、教師や親の姿、あるいは教師や親、友人ら周囲 との関係性をとおして、この社会でありうべき「女/男らしさ」(ジェンダー)を身につけていく。 学校や家庭におけるこうした「隠れたカリキュラム」を介して、ジェンダーは形成されていくので ある。

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図 7 家庭・学校における暴力やジェンダーにかかわる経験(性別比)【%】  学校での学習内容が「タテマエ」としてとらえられることのないよう、こうした学校・家庭にお ける「隠れたカリキュラム」の存在を意識することが欠かせない。すなわち、親や教師といった 「大人」が、人権感覚をもって「子ども」にいかに対峙するかが求められると言えよう。「大人」た ちの日々の言動や行為が、暴力や固定的なジェンダー観を肯定するものになっていないか、常に省 みつつ、「大人」たち自身が「自分事(わがこと)」として学習内容に取組む姿勢を示すことが、「子 ども」にとって「身につく」「印象に残る」学習内容につながるのではないだろうか。 37.8 0.8 27 15.5 10 4.3 41.3 8.7 30.8 34.2 0.5 10.3 26.4 16.8 9.4 14.1 53.8 12.2 31 33.7 女 男 家庭内で、「女の子だから家事をしなさい」と言われた 家庭内で、「男は妻子を養えなければ一人前ではない」 「男なら出世しろ」と言われた 家庭内で「男らしくない」「女らしくない」「男のくせに」 「女のくせに」と言われた 親から、体罰や暴力を受けたことがある 両親間の暴力を見たり聞いたことがある 学校において、教職員から、体罰や暴力を受けたことがある 学校において、教職員は、男子生徒より女子生徒に対 して甘かった 学校において、男子生徒よりも女子生徒の発言が軽ん じられることがあった 学校において、容姿や体型など外見に対して、からかわ れたことがある 学校において、主に男性/女性に対してだけ、割り当て られた仕事があった  

図 3 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×ジェンダー意識【%】 (A)「男性は仕事、女性は家事・育児」と役割分担をする方がよい (K)デートなどでは、男性が金銭面の負担をするべきだ (B)女の子は女らしく、男の子は男らしく育てる方がよい (L)体育会系のサークルのマネージャーは女性がやる方がよい (C)妻や子どもを養うのは、男性の責任である (M)男性は、家庭をもって一人前だといえる (D)結婚したら、妻が夫の姓を名乗るのは当然だと思う (N)女性の幸福は結婚にあるので、女性は結婚する方がいい (
図 4 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×暴力に関する考え【%】 (A)恋人からは束縛されてもいい (H)恋人であれば、二人の気持ちや考えは同じでなければならない (B)恋人がいる人は、異性の友人と親しくしてはいけない (I)たとえ暴力をふるったとしても、謝ったら許してあげるべきだ (C)恋人が、自分以外の異性との交友関係や相手の行動をチェック     したり制限するのは、好きな証拠だから仕方がない (J)暴力を受けても別れないのは、愛し合っているからだ (D)恋人同士なら、思わず手をあげることが
図 5 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×結婚観【%】  最後に、差別に対する考え方(問 21)と教育経験の関係をみてみよう。図 6 に示されていると おり、いずれの項目においても、教育経験があるほど差別の解消に向けて積極的な意識・態度に あったり、差別に対する正しい認識があると言えよう。 図 6 性や男女平等・ジェンダーにかかわる教育経験×差別に対する考え方【%】38.6  35.8   59.7   62.7   75.0   25.2   69.9    94.6   58.7  41.5
図 7 家庭・学校における暴力やジェンダーにかかわる経験(性別比)【%】  学校での学習内容が「タテマエ」としてとらえられることのないよう、こうした学校・家庭にお ける「隠れたカリキュラム」の存在を意識することが欠かせない。すなわち、親や教師といった 「大人」が、人権感覚をもって「子ども」にいかに対峙するかが求められると言えよう。「大人」た ちの日々の言動や行為が、暴力や固定的なジェンダー観を肯定するものになっていないか、常に省 みつつ、 「大人」たち自身が「自分事(わがこと)」として学習内容に取組む姿勢を

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