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<論説>少子社会における仕事と家庭の両立支援策の展開と課題

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Academic year: 2021

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(1)少子社会 における仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題. 少子社会 における仕事 と家庭 の 両立支援策 の展 開 と課題. 衣. 1は. 笠. 葉. 子. じめ に. 女 性 の労 働 力 率 は 依 然 と してM字. カ ー ブ を描 い て い る(1)。 その カーブは. 浅 くな って きて い るが,仕 事 と家庭 の 両立 が進 ん だ とい うよ り,晩 婚 ・晩 産 化 や 少 子 化 に よ る もの と指摘 され て い る。 女 性 雇 用 者 の勤 続 年 数 は 長 期 化 傾 向 に あ る が(2),出産 を 機 に退 職 す る女 性 は約7割. を 超 え る。 家 事 ・育 児 の た め 自発 的 に仕 事 を や め る人 も い る. が,仕 事 との 両立 の難 し さで や め る人 や,解 雇 な い し退 職 勧 奨 の形 で や め る人 が少 な くな い。 しか し,女 性 の 中途 採 用 は ま だ少 な い状 況 に あ る⑧。. (1)一 方,欧 米 諸 国 に お い て は 逆U字. カー ブを 示 して お り,結 婚,出 産,子 育 て. に よ る労 働 力 率 の 低 下 は あ ま り見 られ な い 。 例 え ば,米 国,ス い て は,1980年. 代 に は 既 に逆U字. ウ ェー な ど につ い て も,2005年. ウ ェー デ ンにつ. カ ー ブを 示 して お り,英 国,フ に は 完 全 にM字. カ ー ブ を形 成 して い る。 今 や,OECD諸. ラ ン ス,ノ ル. カ ー ブ の底 が 消 滅 して 逆U字. 国 の 中 で,M字. カー ブを 示 して い るの. は,日 本 と韓 国,オ ー ス トラ リア の み とな って い る(内 閣 府 「平 成19年 版 男 女 共 同参 画 白書 」(平 成19年6月)18-21頁. 等 参 照)。. (2)平 成18年 の雇 用 者 の う ち女 性 の 平 均 勤 続 年 数 は8。8年(昭和60年6.8年)で た。 男 性 は13.5年(同11.9年)と. 本 統 計 調 査 」 全 国 結 果 概 況(平 成19年3月)参 (3)ち. あっ. な って い る(厚 生 労 働 省 「平 成18年 賃 金 構 造 基 照)。. な み に,正 社 員 雇 用 者 比 率 だ け を み る と,M字. く 「へ の字 カ ー ブ」 と な って い る。 一199一. の 右肩 に 該 当 す る部 分 が な.

(2) 近畿大学法学. 第55巻第2号. つ ま り,出 産 ・育 児 等 の家 庭 責 任 の た め,女 性 の就 業 継 続 が 困 難 と な る 状 況 が伺 え る。 そ の反 面,女 性 を含 あ た多 様 な人 材 の活 用 は,企 業 の発 展 に有 益 で あ る こ と は 間違 い な く,人 口減 少 に伴 う社 会 構 造 の変 化 が 見 込 ま れ る 中,仕 事 と家 庭 の両 立 支 援 は よ り一 層 重 要 性 を 増 して くる と いえ る。 仕 事 と家 庭 の両 立 支 援 の た めの 法 制 と して,ま ず 「育 児 休 業,介 護 休 業 等 育 児 又 は 家 族 介 護 を 行 う労 働 者 の 福 祉 に関 す る法 律 」(以 下,育 児 ・介 護 休 業 法 とす る)を 挙 げ る こ とが で き る。 ま た,2006(平18)年6月. に は,. 女 性 労 働 者 の 能 力 活 用 に つ な が る こ とを 期 待 して,「 雇 用 の 分 野 に お け る 男 女 の 均 等 な 機 会 及 び待 遇 の 確 保 等 に関 す る法 律」(以 下,均 等 法 とす る) にお いて,男 女 双 方 へ の 性 差 別 禁 止 へ の拡 大,間 接 差 別 の 禁止 の新 設 と と も に,妊 娠 ・出 産 等 を 理 由 とす る不 利益 取 扱 い の 禁止 の追 加 な どを 内容 と す る改 正 が 行 わ れ たω。 また,従 来 か ら母 性 保 護,女 性 保 護 に関 す る規 定 が 労 働 基準 法(以 下,労 基法 とす る)に 設 け られ て い る。 一 方 で,仕 事 と家庭 との 両 立 支援 は,少 子 化 ⑤ 対 策 の一 環 と して も活 発 に議 論 され て お り,2003(平15)年 次 世 代 法 とす る。 平 成17年4月. の次 世 代 育 成 支 援 対 策 推 進 法(以 下, 施 行)な. どの個 別 の少 子 化 対 策 法 が制 定 さ. れ て い る。 さ らに,今 や,両 立 支 援 は,出 産 ・育 児 等 を担 う労 働 者 の み な らず,「 ワ ー ク ・ラ イ フ 。バ ラ ンス(work-lifebalance)」(仕 調 和)と. 事 と生 活 の. して,労 働 者 全 体 の働 き方 を見 直 す 方 向 へ と発 展 しつ つ あ り,最. 近 で は,労 働 時 間 法 制 を 中心 に様 々 な ア プ ロー チが み られ る。 本 稿 で は,子 育 て を担 う(と りわ け女 性)労 働 者 の 従 業 環 境 の 現 状 を 踏. (4)「 雇 用 の分 野 にお け る 男 女 の 均 等 な 機 会 及 び 待 遇 の確 保 等 に 関 す る法 律 及 び 労 働 基 準 法 の一 部 を改 正 す る 法 律」 平 成18年6月15日 成19年4月1日 (5)1989(平. 成 立,同 月21日 公 布(平. 施 行)。. 元)年. の1.57シ ョ ッ ク以 来 少 子 化 対 策 が 行 わ れ て き た が,合 計 特 殊. 出 生 率 は ず っ と減 少 傾 向 で 推 移 し,2005(平17)年 を 記 録 した 。 一200一. に は そ れ まで で 最 低 の1.25.

(3) 少子社 会における仕事 と家庭 の両立支援策 の展 開と課題 まえ な が ら,仕 事 と家庭 の 両立 支 援 法 制 や法 政 策 の動 向 を概 観 し,ポ イ ン トを整 理 す る と と もに,両 立 支 援 策 の課 題 につ い て 明 らか に した い。. 2子. (1)女. 育 て 期 に あ る 女 性 を 取 り巻 く状 況. 性 の労 働 力 率. ま ず,女. 性 の 就 労 状 況 の 全 体 的 な 傾 向 を 把 握 す る た め,女. に つ い て み る と,1975(昭50)年 29歳 お よ び30∼34歳 は,25∼29歳 %),M字 そ れ らM字. の2つ. で は,M字. 性の労働力率. カ ー ブ の 底 は,年. 齢 階 級25∼. で 形 成 さ れ て い た 。 そ れ が,2006(平18)年. の 労 働 力 率 は,他 カ ー ブ の 底 は,30∼34歳. の 年 齢 階 級 に 比 べ て 最 も高 くな り(75.7 お よ び35∼39歳. へ と移 っ て い る 。 か つ,. の 底 に あ た る 労 働 力 率 そ の もの は 年 々 上 昇 して お り,そ. ブ は 浅 くな っ て き て い る 。 こ れ らの 変 化 は,女 育 て 期 の 年 齢 の 上 昇 や,少. に. の カー. 性 の 晩 婚 ・晩 産 化 に よ る 子. 子 化 に よ る 子 育 て 期 間 の 短 縮 な ど を 反 映 して い. る もの と 説 明 さ れ て い る ㈲。 しか し,実. 際 に は 子 育 て 期 の 就 業 希 望 者 は 少 な くな く,労. 働 力 人 口に 就. 業 希 望 者 数 を 加 え た 女 性 の 潜 在 的 労 働 力 率 全 体 を み る と 台 形 に 近 くな る。 女 性 の 労 働 力 率 は 子 育 て 期 に 低 下 して い る こ と か ら,出 離 職 して い る こ と,い. 産 ・育 児 を 契 機 に. っ た ん 離 職 した 場 合 の 再 就 労 が 困 難 で あ る こ と 等 が. 伺 え る。. (2)出 産 時 の 離職 ① 出 産 と離 職. 子 育 て 期 の 女性 の 労 働 力率 低 下 の最 大 の き っか け は 出産. で あ る。 出 産 を 機 に退 職 した 人 は7割 を超 え る。 厚労 省 「出生 前 後 の就 業 変 化 に 関 す る統 計(平 成15年 度 人 口動 態 統 計 特 殊 報 告)」(平 成16年10月) (6)「 平 成19年 版 男 女 共 同 参 画 白 書 」59,60頁. 一201一. 参照。.

(4) 近畿大学法学. 第55巻第2号. に よ る と,第1子 人 は,出. 出 生1年. 産 前 離 職 が52.5%,一. い る 。 と り わ け,出 職(出. 前 に 有 職 で あ っ た 女 性 で,出. 産 後1年. 時 離 職 が13%,出. 産 後 離 職 が8.6%と. な って. 産 前 離 職 が 過 半 数 に 上 る こ と が 注 目 さ れ る が,一. 半 後 に 有 職)に. け で あ る か ら,そ. 産 を機 に退 職 した. つ い て も,い. の 時 点 で,キ. 時離. った ん仕 事 を辞 め て しま うわ. ャ リア の 中 断 に つ な が る,あ. る い は再 就 職. の 壁 に直 面 す る とい う リス クを抱 え て い た こ とに な る。 結 局,出. 産 前 後 を 通 じ て 継 続 就 業 し て い る 女 性 労 働 者 は23,0%に. ま っ て い る。 し た が っ て,従. 来 か ら指 摘 さ れ て い る こ と で あ る が,育. と ど 児休. 業 の 実 質 的 な 取 得 率 は か な り低 い も の と推 測 さ れ る 。 そ の 育 児 休 業 取 得 率 に つ い て は,厚 労 省 「『平 成17年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 』 結 果 概 要 一 育 児 休 業 制 度 及 び 介 護 休 業 制 度 等 の 実 施 状 況 」(平 成18 年8月)(7)に. よ る と,2004(平16)年. 度 の 出産 者 ま た は配 偶 者 が 出産 した者. に 占 め る 育 児 休 業 取 得 者 の 割 合 は,女 よ り1,7%上. 昇 し た が,男. 性 の 取 得 率 は0.50%(平. ま ま 推 移 し て い る(8)。ま た,育 女 性98.0%に 率 は,女. 対 し て,男. 性89.0%(平14年. 性 は72.3%と. 前 年 度 調 査(70.6%) 成16年 度0.56%)と. 低 い. 児 休 業 取 得 者 の う ち の 男 女 別 割 合 を み て も,. 性 は2,0%に. と どま って い る。 育 児 休 業 か らの復 職. 度88.7%),男. 性94.9%(同100.0%)と. な って い. 度 の女 性 雇用 管理 基 本調 査 は,同 年4月1日. か ら施 行 され た. る。 (7)2005(平17)年. 改 正 育 児 ・介護 休 業法 に 基 づ く育 児 休 業 お よ び 介 護 休 業 の 制 度 等 の 実 施 状 況 等 に つ い て把 握 す る こ とを 目的 と して 行 わ れ た もの で あ る。 調 査 対 象 は,常 用 労 働 者5人 以 上 を 雇 用 して い る民 営 事 業 所 の う ち産 業 ・規 模 別 に層 化 して 抽 出 し た10,025事 業 所(回 収 率75。3%)。 全 国 の 都 道 府 県 労 働 局 を 通 じて 平 成17年10月 現 在 で実 施 。 最 近 の調 査 テ ー マ は,平 成16年 度 は 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 の 母 性 健 康 管 理 措 置 等 の実 施 状 況,平 成15年 度 は 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 等 の 施 行 状 況,平 成14年 度 は 育 児 休 業 制 度 及 び介 護 休 業 制 度 等 の実 施 状 況 で あ る。 (8)ち. な み に,有 期 契 約 労 働 者 の 育 児 休 業 取 得 率 は,女 性 が51。5%,男. 0.10%。 一202一. 性が.

(5) 少子社会 における仕事 と家庭 の両立支援策 の展開 と課題 ち な み に,出 産 時 に離 職 す る理 由 と して,例. え ば,日 本 労 働 研 究 機 構. 「『育 児 や 介護 と仕事 の 両 立 に 関 す る調 査 』 報 告 書 」(平 成15年9月)(9)に る と,「 出産1年. よ. 前 に は雇 用 者 で,現 在 は無 職 」 か つ 「就 学 前 の 子 ど もが. い る女 性 」 が 仕 事 を や め た理 由 は,「 家 事 ・育 児 に専 念 す る た め 自発 的 に や め た」が52%で. 最 も多 く約5割 を 占め るが,次 いで,「 仕 事 を続 けた か っ. た が,仕 事 と育 児 の 両立 の難 しさ で や め た」 が24.2%と な って お り,「解 雇 さ れ た ・退 職 勧 奨 さ れ た」 も5.6%と 少 な くな い。 ② 離 職 の影 響 が,逆. 上 記 の と お り,自 発 的 に仕 事 を や め る人 が 約 半 数 で あ る. に それ 以 外 の 理 由が 約 半 数 を 占め て い る と も いえ る。 また,実 際 に. は子 育 て 期 の 就 業 希 望 者 が 多 い こ と も併 せ て 考 え る と,自 発 的 に や め た 人 で あ って も仕 事 へ の 復 帰 を 希 望 す る人 が 潜 在 的 に い る とい う こ とに な る。 で は,出 産 ・育 児 世 代 の 女 性 の 就 業 状 況 と意 識 は ど うで あ ろ うか。 内 閣 府 男 女 共 同参 画 室 「女 性 の ラ イ フ プ ラ ンニ ン グ支 援 に 関 す る調 査. 結果. 概 要 ∼30代 ・40代女 性 の ラ イ フ コー ス選 択 の 希 望 と現 実 ∼ 」(平 成19年3 月)⑩ に よ る と,子 ど もが 小 さ い時 期 は,働 きた くな い とい う人 もい るが, 子 ど もが 中 学 生 以 上 で は9割 以 上 の 人 が 働 く こ とを希 望 し,働 き方 も子 ど もの 年 齢 が 上 が る と と もに フル タ イ ム で働 く こ とを希 望 す る人 が増 え る な どの 変 化 が み られ る こ とが 指摘 さ れ て い る。 しか し,現 状 で は,働 い て い な い人 の 方 が 働 くこ と を 希 望 す る人 よ り も多 く,働 い て い る人 に つ い て. (9)調 査 対 象 は,企 業 調 査 が,20,000社. の うち 従 業 員30人 以 上 の企 業 の 無 作 為 抽. 出(た だ し,常 用 雇 用 者300人 以 上 企 業 は全 て調 査 対 象)と 社(有 効 回 収 率13.9%),個. 人 調 査(雇 用者)が,民. 供 が い る男 女 を 対 象 と し,有 効 回 答 数2,047人(有 (無業 者)が,出. 効 回 収 率56.7%),個. 人 調査. 産1年 前 時 点 で 雇 用 者 と して 勤 務 して い た現 在 無 職 の 女 性 で 就. 学 前 の 子 供 が い る 者 を 対 象 と し,有 効 回 答 数517人(有 な って い る。 調 査 時 期 は2003(平15)年3月 ⑩30∼40代. し,有 効 回 答 数2,781. 間企業雇用者で就学前の子. 効 回 収 率38.3%)等. 。. の 女 性 が 調 査 対 象 。 有 効 回 答 数3,100件 。 調 査 時 期 は2006(平18)年. 12月 。 一203一. と.

(6) 近畿大学法学 も,パ. 第55巻第2号. ー トや ア ル バ イ トに 集 中 し て い る 。 す な わ ち,1年. 験 ω が あ る 人 の う ち,結 ル バ イ トが68,5%を. 以上 の離職 経. 婚 して 子 ど も の い る 人 の 再 就 職 先 は,パ. 占 め,正. 社 員 は6.5%に. 関 係 や 子 ど も の 有 無 に 関 わ らず,短. ー ト ・ア. と ど ま っ て い る 。 こ れ は,配. 偶. 期 間 の 離 職 は あ っ て も ほ ぼ 「継 続 」 的. に 働 い て い た 人 で は 「正 社 員 」 の 割 合 が 高 い と い う 結 果 が 出 て い る こ と と 対 照 的 で あ る 。 さ ら に,年. 収 に つ い て は 「半 分 以 下 に な っ た 」 が32.7%を. 占 め,「 ほ と ん ど変 わ ら な い 」(16.7%)や せ て 全 体 の 約4分. の1に. 「上 が っ た 」(10.3%)は,合. と ど ま っ て い る。 と り わ け,結. る 人 に つ い て は,「 半 分 以 下 に な っ た 」 が43.8%も (7∼9割. 程 度)」(9.1%)と. も 合 わ せ る と8割. 婚 して子 ど もの い. あ り,「 や や 下 が っ た. 「か な り下 が っ た(5∼7割. に 上 る な ど,年. わ. 収 減 少 の 傾 向 が 強 く,再. 程 度)」(27.1%) 就職 がパー ト・. ア ル バ イ トに 集 中 し て い る こ と を 反 映 し て い る 。. (3)両 立 支 援 の ニ ー ズ 以 上 の とお り,結 婚 や 出産 を機 に離 職 す る女 性 が多 く,一 貫 して就 業 を 継 続 して い る女 性 は一 部 に と どま る。 そ の反 面,子 育 て期 の女 性 の就 業 希 望 者 は潜 在 的 に 多 く,そ の傾 向 は子 ど もの年 齢 の上 昇 と と もに高 ま る。 し か し,例 え ば正 社 員 と して働 い て い た者 が い っ たん 離 職 した場 合,そ の 後 の再 就 職 の形 態 はパ ー ト ・ア ルバ イ トが 中心 とな って お り,そ れ に伴 う収 入 の減 少 は避 け られ な い。 育 児 を しなが ら就 業 継 続 を 選 択 した者 の 正 社 員 率 が 高 い こ と を考 え る と,育 児 の ため に正 社 員 並 み の 勤 務 が 難 しい と い う ⑪. ちな み に,こ の調 査 に お い て,離 職 経 験 が あ る人 全 体 の 離 職 理 由 につ い て は, 「主 と して結 婚 」(32.3%)が た 」(24.9%)と (12.4%)が. トップ で,次 い で 「 結 婚以 前 に転 職 を 目 的 に 辞 め. な って お り,第3位. に 「主 と して 第 一 子 の 出 産 を 理 由 に 辞 め た 」. 入 って い る。 そ の 他,出 産 。育 児 関係 で は,割 合 は小 さい が,「 主. と して 妊 娠 を 理 由 に 辞 め た」(8。7%),「 主 と して 育 児 を 理 由 に辞 め た(子. ども. が 未 就 学 児)」(2。1%),「 主 と して 第 二 子 以 降 の 出産 を 理 由 に辞 めた 」(2.0%), 「主 と して 育 児 を 理 由 に辞 め た(子 ど もが小 学 校 以 降)」(0.6%)と 一204一. な って い る。.

(7) 少子社会におけ る仕事 と家庭 の両立支援 策の展 開 と課題 点 は,確 か に 正 社 員 と して の 勤 務 を 選 択 す る上 で 大 き な 阻 害 要 因 と な る が,そ. もそ もそ の よ うな 再 就 職 自体 が厳 しい とい う現 実 が あ る。. 晩 婚 化 ・晩 産 化 の 中,結 婚 や 出産 に至 る ま で の職 業 生 活 の 時 間 は決 して 短 くは な い。 そ して,結 婚 や,と. りわ け 出産 を機 に離 職 す る傾 向 が み られ. る と して も,潜 在 的 な就 業 意 欲 は高 い こ とか ら,労 働 者 に と って は,就 業 継 続 の た め の 両立 支 援,あ. る い は再 就 職 へ の支 援 の ニ ー ズ は必 ず あ る と い. え る。. 3両. 立支援の視点 と法政策. (1)両 立 支 援 の視 点 で は,両 立 支 援 の法 整 備 ・法 政 策 は どの よ うな 視 点 で 進 め られ るべ きか 考 え て み た い。 まず,「 両 立 支 援 」 とは 何 か 。 両 立 支 援 は,仕 事 と家 庭 生 活 が 両 方 と も 並 び立 つ よ う支 援 す る と書 くが,具 体 的 な射 程 につ い て整 理 して み た い。 この 点,「 両 立 支 援 」 と 「子 育 て支 援 」 をそ れ ぞ れ 定 義 づ けた 上 で,「 両 立 支 援 」 の位 置 づ け を 明 らか に して い る見 解 が あ る働。 「両 立 支援 」 と 「子 育 て 支 援 」 は育 児 と い う視 点 に立 て ば 重 な る が,「 両 立 支 援 」 は,「 働 く人 た ちが 育 児,介 護 とい う生 活上 の大 き な イ ベ ン トに直 面 した とき に,仕 事 を辞 め な い で 継 続 的 に働 き続 け られ る仕 組 み を つ くる とい う もの」 で あ っ て,「 基 本 的 に 企 業 が取 り組 む べ き施 策 に 限 定 した もの」 と し,こ れ に対 して,「 子 育 て 支 援 」 と は,「 働 い て い る ・働 い て い な い に か か わ りな く,. ⑫. 佐藤博樹 「 育 児 ・介 護 休 業法 改 正 と両 立 支援 の 課 題 一. 育 児 ・介 護 休 業 の 対. 象 労 働 者 の拡 大 と次世 代育 成 支 援 対 策 推 進 法 の 本 格 実 施 を 受 けて 一. 」 ビジネ. ス 。レーバ ー 。 トレ ン ド研 究 会(労 働 政 策 研 究 。研 修 機 構)報 告(平 成17年2 月)3-6頁. 参照。 一205一.

(8) 近 畿大学法 学. 第55巻第2号. 結 婚 し子供 を持 ちた い 人 が子 供 を持 て る よ う支 援 す る仕 組 み」で あ り,「企 業 内 に 係 らず,例 え ば地 域 で の保 育 サ ー ビスな どを 含 め た 支 援 」と捉 え る。 そ して,「 両 立 支 援 」 は,雇 用 の 継 続 が 前 提 とな って い るの で あ って,「 子 育 て 支援 」 とは異 な る と し,さ らに 「少 子 化 対 策 で は な い」 と も述 べ る。 す な わ ち,結 果 と して少 子 化 対 策 に貢 献 す る こ と は あ って も,両 立 支 援 は 少 子化 対 策 で は な く,企 業 が両 立 支 援 を実 施 す る理 由 は,労 働 者 の 継 続 雇 用 の ニ ー ズ に対 応 す るた め の もの で あ り,優 秀 な人 材 を集 め る た め だ と説 明 され て い る⑬。 ま た,次 世 代 法 に つ い て も,「企 業 が 両 立 支 援 に取 り組 ま な くて は な らな い の は,次 世 代 法 が で き たか らで はな い」 とす る。 確 か に,企 業 に よ る両 立 支 援 は,少 子 化 対 策 の た めの 支 援 で はな く(つ ま り,出 産 の 阻害 要 因 を 取 り除 くた め の 支 援 で は な く),出 産 ・育 児 等 を 担 う労 働 者 の就 業 継 続 を サ ポ ー トす る た めの もの で あ り,そ の 支 援 の 内 容 は,そ の企 業 で働 く人 の望 む ラ イ フ ス タ イル や 働 き方 の 選 択 や そ の 企 業 の 求 め る人 材 像 に依 存 す る とい え る。 ま た,別 の 見 解 で,「 両 立 支 援 の 法 政 策 」 と して は,女 性 の能 力 発 揮 ・ 就 業 継 続 対 策 と少 子 化 対 策 の2つ の視 点 か らそ の 拡 充 が 図 られ て きた と整 理 す る もの が あ る旺 の。 女 性 の 能 力 発 揮 ・就 業継 続 対 策 の視 点 に つ いて は,「 企 業 と そ こで 働 く 労 働 者,と. ⑬. りわ け女 性 労 働 者 を取 り巻 く社 会 経 済 環 境 の 急 速 か つ 大 幅 な 変. 佐 藤 氏 は,「私 見 」 と して,育 児 ・介 護 休 業 法 も少 子 化 対 策 と リン クす べ きで は な い,同 一 化 は避 け る べ き だ と述 べ る。 そ の理 由 と して,少 子 化 対 策 の 枠 組 み で 考 え る と,育 児 休 業 は5年. で も い い の で は な い か と い う議 論 に な りか ね. ず,「現 状 で は 育 児 休 業 の取 得者 は 主 に 女性 で あ り,継 続 雇 用 の 視 点 に 立 つ な ら ば,女 性 が子 育 て を一 身 に背 負 う こ とに な る。 こ れ で は,長 期 に わ た り,職 業 生 活 上 の マ イ ナ ス を女 性 の み に課 す こ と にな りか ね な い 」 か ら と説 明 す る。 a4奥. 山明 良 「法 政 策 と して の職 業 生 活 と家 庭 生 活 の 両 立 支 援 問 題 一. 法 制 の 変 遷 と今 後 の政 策 課 題 一. 」成 城 法 学73号(2005年)137-140頁. 立 支 援 法 制 の 展 開 につ き同146-157頁 参 照 。 一206一. 両立支援 。 また 両.

(9) 少子社会 における仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題 化 が女 性 の積 極 的 な能 力 発 揮 と妊 娠 ・出産 後 の 就 業 継 続 を 不 可 能 の もの と して い る」 と して,男 女 平 等 雇 用 法 制 の 実 行 確 保 と密 接 不 可 分 の 視 点 で あ る と し,少 子 化 対 策 の視 点 につ いて は,出 生 率 の 低 下 に は様 々な 原 因 が あ る が,そ の う ち晩 産 化 につ いて は,「働 く男 女 が 結 婚 後 も就 業 を 継 続 しな が ら安 心 して子 供 を産 み育 て やす い環 境 を整 備 して 仕 事 と育 児 の 両 立 負 担 を 軽 減 して い くこ と が,雇 用 に お け る男 女 の 平 等 を 実 効 あ る もの と し,ま た 少 子 化 の進 行 を とめ つ つ,わ が 国 の 企 業 ・経 済 社 会 の 活 性 化 を 促 して い く」 と して近 時 の新 た な法 政 策 課 題 と して の 視 点 で あ る とす る。 そ して, そ の よ うな2つ の政 策 課 題 を提 起 して い る背 景 事 情 と して,経 済 の ソ フ ト 化 ・サ ー ビス 化,少 子 高 齢 化 の 急 速 な 進 展,企. 業 ・経 済 活 動 の競 争 の 激. 化,生 活 重 視 な ど の就 業 意 識 の多 様 化 ・働 き方 の 多 様 化 と い った 企 業 を 取 り巻 く社 会 経 済 環 境 の 変 化 に よ って,日 生別」 よ り も 「個 」 の 基 準 に着 目 した 人 材 確 保 と そ の 積 極 的 活 用 を 目指 す 人 事 ・雇 用 管 理 が 重 要 な 課 題 に な っ て い る と指 摘 す る。 確 か に,上 に述 べ た よ う に,企 業 に お け る両 立 支 援 策 そ の もの は 少 子 化 対 策 を意 図 して行 われ る もので はな いが,政 府 に よ る両 立 支 援 の 法政 策 に つ い て は,少 子 化 対 策 と して の視 点 が 欠 か せ な い。 と りわ け近 年 で は,ま さ に少 子 化 対 策 の視 点 か ら両 立 支 援 に関 す る施 策 が 拡 大 ・推 進 され て きた と い え る。 以 上 か ら両 立 支 援 の法 整 備 ・法 政 策 をす す め る視 点 につ いて 考 え て み る と,「 子育 て 支援 」⑮ を す る こ とが 結 果 的 に 「両 立 支 援 」 に資 す るな ど,両. ⑮. た だ実 際 に は,「子 育 て 支 援 」 と は,こ の 見 解 で 説 明 され るよ り広 い もの と思 われ る。 企 業 内 に 限 らず 地 域 に お け る支 援 が含 ま れ る とい う点 は そ の通 りで あ るが,「 子 ど も を持 て る よ う支 援 す る仕 組 み 」 とい う点 は,ど ち らか とい う と少 子 化 対 策 を 念 頭 に 置 い た考 え 方 で は な い か。 子 育 て 支 援 は,そ れ だ け で は な く,現 に子 ど もを持 って い る人 の子 育 て を サ ポ ー トす る 社 会 的 資 源 の 整 備 が 広 く含 まれ る もの と思 われ る。 一207一.

(10) 近畿大学法学. 第55巻 第2号. 者 の 実 際 の 支 援 の 内容 は 重 な り う るがae,第1の. 見 解 で い わ れ る よ う に,. そ れ ぞ れ別 の 目的 に立 つ もの で あ る。 両 立 支 援 に関 す る企 業 の取 組 み 責 任 や課 題 を 明確 に す る こ とに重 点 を置 くな らば,「両 立 支 援 」の概 念 に絞 って 議 論 す る方 が よ い と思 わ れ る。 次 に,法 政 策 と して 両 立 支 援 を 考 え る際 に は,第2の. 見 解 で,「 女 性 の 能. 力 発 揮 ・就 業 継 続 対 策 」 と 「少 子 化 対 策 」 の2つ の 視 点 が 含 まれ て い る と 指 摘 さ れ て い る よ う に,労 働 者 や 企 業 は 「能 力 発 揮 ・就 業 継 続 」 を 期 待 し,社 会 全 体 と して は,現 在 の と こ ろ 「少 子 化 解 消 」 を 期 待 して い る。 例 え ば,育 児 休 業 制 度 な どの 両 立 支 援 の 法 制 度 が 整 いつ つ あ る現 在 に至 って も,女 性 につ いて は ま だ ま だ 出産 ・育 児 の た め に離 職 す る人 が 多 くい る と と もに,就 業 継 続 や キ ャ リア形 成 の た め に出 産 ・育 児 を た め ら う人 もお り, それ が 晩 婚 化 ・晩 産 化,少 子 化 現 象 の 一 因 とな って い る。 した が って,政 策 と して 両 立 支 援 を 考 え る と き は,少 子 化 対 策 の 視 点 もか か わ って こ ざ る を 得 な い。 そ こで,以 下,子 育 て 期 にあ る労 働 者 の 両 立 支 援 を 支 え る法 制 度 ・法 政 策 に つ い て,妊 娠 ・出 産 お よ び 育 児 と い う ラ イ フ イ ベ ン トに留 意 しな が ら,① 就 業 継 続 ・能 力 発 揮,② 少 子 化 対 策,③ そ の 他 両 立 支援 を 支 え る も の,の3点. で 整 理 す る こ とに した い。. な お,仕 事 と家 庭 の 両 立 を 支 援 す る制 度 ・施 策 に つ い て は,と. りわ け,. 「妊 娠 」・「出 産」 とい う ラ イ フ イ ベ ン トお よ び現 実 に主 に家 庭 責 任 を担 っ て い る女 性 の 働 き方 に 着 目す る こ とに な ろ う⑰。 た だ,「 女 性 」 の働 き方 の ㈲. 例 え ば,育 児 ・介 護 休 業 法 に 基 づ い て,就 業 を 継 続 して い くため に育 児 休 業 を取 得 した り短 時 間 勤 務 を 選 択 す る こ と は,企 業 に と って みれ ば,両 立 支 援 と して の 位 置 づ けに な るが,労 働 者 か らみ れ ば 子 育 て 支 援 制 度 の 一 つ と も位 置 づ け うる で あ ろ う。. ⑰. 奥 山氏 は,子 育 て に 深 く関 わ る年 齢 層(そ の 中心 と して30∼34歳 層)の 女 性 に と って 労 働 の 中 断 を 回 避 し,就 業 の 継 続 を 図 る こ とや,ま た 仮 に一 時 的 に離 職 せ ざ る を 得 な い場 合 で あ って も,そ の後 再 就 職(職 業 復 帰)の 際 に公 正 で 良/ 一208一.

(11) 少子社会 における仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題 み を支 援 す る の で は,家 庭 責 任 が 女 性 に集 中す る こ とを 容 認 す る こ と にな りか ね な い し,現 に かか る責 任 を集 中 させ か ね な いの で,当 然,男 女 双 方 に対 す る両 立 支 援 策 で あ る必 要 が あ る。 ま た,家 庭 責 任 を担 う労 働 者 に対 して の み 両 立 の 支 援 を す る こ と につ い て も,異 な る立 場 か らみ る と特 別 扱 い と もい え な くもな い し,ま た,両 立 支 援 を進 めて い くに あ た って,出 産 ・育 児 等 の 家 庭 責 任 を 有 す る労 働 者 の 中だ けで 解 決 策 を 講 じるの に は限 界 が あ る。 そ の た め,そ の よ うな 労 働者 以 外 の 者 の 働 き方 も同 時 に見 直 し,労 働 者 全 体 の 働 き 方 の バ ラ ンス を と る こ と も,両 立 支 援 を 支 え る もの と して 必 要 で あ る。. (2)両 立 支 援 の 法 制 度 。法 政 策 ① 就 業 継 続 ・能 力 発 揮. 女 性 の就 業継 続 ・能 力 発 揮 の た め の法 制 度 と し. て,ま ず 家 族 的 責 任 と職 業 生 活 上 の 責任 の 両立 支 援 を 図 る育 児 ・介 護 休 業 法 と,雇 用 に お け る均 等 な 機 会 ・処 遇 を確 保 し労 働 者 の職 場 環 境 の整 備 を 図 る均 等 法 を 挙 げ る こ とが で き る。 育 児 ・介 護 休 業 法 は,は. じめ1991(平3)年. に育 児 休 業 法 と して制 定 さ. れ た。 旧 均 等法 に も女 子労 働 者 に対 す る育 児 休 業 の実 施 の事 業 主 の努 力 義 務 が 定 め られ て い た が,均 等 法 制 定 に よ って女 性 の社 会 進 出 の進 展 が予 想 され た こ と等 を 背景 に,育 児 休 業 が男 女 労 働 者 共 通 の請 求 権 利 と して単 独 立 法 化 され た もの で あ る。 ま た急 速 な高 齢 化 の進 展 を 背 景 と して,1995 (平7)年. の 改 正 に よ って1999(平11)年. たas)。そ の 後,1999(平11)年6月. 度 か ら介 護 休 業 も ス タ ー ト し. の男 女共 同 参 画 社 会 基 本 法,同 年12月. \好 な雇 用 機 会 が 多様 に確 保 され,個 人 の意 欲 や専 門 的能 力 を 仕 事 に 十 分 に 発 揮 す る こ とが で き る職 場 の 制 度 と環 境 が 整 え られ る必 要 が あ る と述 べ る(前 掲(注 a4)論 文145頁)。 ⑱. 工LOは1981年. に,「 家族 的 責 任 を 有 す る男 女 労 働 者 の機 会 及 び 待遇 の 均 等 に. 関 す る条 約 」(ILO156号. 条約)お. よび 「男 女 労 働 者 特 に家 族 的 責 任 を 有 す る労/ 一209一.

(12) 近畿大学法学. 第55巻 第2号. の少 子 化 対 策 基 本 方 針,そ. の翌 年12月 の男 女 共 同参 画 基 本 計 画 等 に よ る少. 子 化 対 策 の要 請 を踏 ま え て,2001(平13)年. に は休 業 の 申 出 ま た は取 得 を. 理 由 とす る不 利 益 取 扱 い の禁 止,時 間 外 労 働 制 限 や 勤 務 時 間 短 縮 措 置 義 務 の拡 大,子. の看 護 休 暇 制 度(努 力 義 務)の 創 設,労 働 者 の 配 置 に関 す る配. 慮 義 務 の創 設 等 の改 正 が 行 わ れ た。 さ らに,妊 娠 ・出産 を 機 に退 職 す る女 性 が 依 然 存 在 す る こ と,男 性 の 育 児 休 業 の 取 得 状 況 や 勤 務 時 間 短 縮 等 の 措 置 の 導 入 状 況 を 背 景 に,2004(平 16)年. に は,期 間 雇 用 者 へ の 対 象 労 働 者 の 拡 大,育 児 休 業 期 間 の 延 長,子. の 看 護 休 暇 制 度 の 義 務 化 な どの 改 正 が 行 わ れ,2005(平17)年. 度 か ら施 行. され て い る⑲。 均 等 法 は,1979(昭54)年. の 女 子 差 別 撤 廃 条 約(「 女 子 に対 す る あ らゆ. る形 態 の差 別 の 撤 廃 に関 す る条 約 」)を 批 准 す る た め の条 件 整 備 と して, 1985(昭60)年. に 制 定 され され た もの で あ り,1997(平9)年. の改 正 で,. 男 女 差 別 禁 止 の 努 力 義務 規 定 を義 務 規定 化 す る な ど内容 が強 化 さ れ(同 時 に 労 基 法 上 の 女 性 に対 す る労 働 時 間 規 制 撤 廃),さ. らに,2006(平18)年. 6月 に は 男 女 双方 へ の性 差 別 禁 止 へ の拡 大,間 接 差 別 の禁 止,妊 娠 ・出産 等 を 理 由 とす る不 利 益 取 扱 い の 禁 止 の 追 加 な ど を 内 容 と す る改 正 が 行 わ れ,2007(平19)年4月 ②少子化対策. か ら施 行 さ れ て い る。. 少 子 化 対 策 の側 面 か らは,2002(平14)年9月. の 「少 子. 化 対 策 プ ラ ス ワ ン」 を受 け て,企 業 の育 児 支 援 を促 進 す る た め,2003(平 \ 働 者 の 機 会 均 等 及 び 均 等 待 遇 に 関 す る 勧 告 」(ILO165号. 勧 告)(C156:Workers. withFamilyResponsibilitiesConvention(1981),R165:Workerswith FamilyResponsibilities(1981))を 年 の 育 児 休 業 法 の 成 立 以 来,関. 採 択 し た 。 そ し て,日. の 育 児 ・介 護 休 業 法 へ の 改 正 を 機 に,同 9日 批 准,1996(平8)年6月9日 ⑲2004(平16)年. 本 は,1991(平3). 連 の 諸 制 度 を 整 備 し て き た 中,1995(平7)年 条 約 を 批 准 し た(1995(平7)年6月. 発 効)。. 改 正 の 内 容 等 に つ き,水. 義 と 課 題 」 ジ ュ リ ス ト1282号(2005年)139頁 一210一. 島郁子. 「改 正 育 児 ・介 護 休 業 法 の 意. 以 下 参照 。.

(13) 少子社会 における仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題 15)年7月. に次 世 代 法 が,2005(平17)年. 度 か らの10年 間 の 時 限 立 法 と し. て制 定 され た。 例 え ば,こ れ に よ って 従 業 員300人 を超 え る民 間企 業 は,仕 事 と子 育 て を両 立 しやす い雇 用 環 境 整 備 を 進 め るた め の 「一 般 事 業 主 行 動 計 画 」 の 策 定 と,そ の 旨 の 届 出が 義 務 付 け られ,従 業 員300人 以 下 の 企 業 に も同様 の こ とが 努 力 義 務 と して 課 され て い る。 ま た,同. じ く2003(平15)年7月. の 「少 子 化 対 策 基 本 法 」(同 年9月. 行)に 基 づ い て,2004(平16)年6月,「. 施. 少子化 社会対策 大綱」が少子 化. 社 会 対 策 会 議 を 経 て 閣 議 決 定 され た 。 この 大 綱 で 提 示 され て い る4つ の 重 点 課 題 の う ちの1つ. に 「仕 事 と家 庭 の 両 立 支援 と働 き 方 の 見 直 し」 が掲 げ. られ て い る。 さ ら に,2006(平18)年6月. に 少 子 化 社 会 対策 会 議 で 決定 され た 「新 し. い 少 子 化 対 策 に つ い て 」⑳ は,① 社 会 全 体 の意 識 改革,② 子 ど も と家 族 を大 切 に す る観 点 か らの 施 策 の 拡 充 の2点 に ポ イ ン トを置 き,新 た な視 点 を整 理 した 上 で,40項. 目に わ た る具 体 的施 策 を提 示 して お り,大 項 目の1つ に. 「働 き方 の改 革 」 を掲 げて い る⑳。 ⑳. 政 府 の少 子 化 社 会 対 策 推 進 専 門委 員 会 は,同 年5月15日,政. 府 が2005(平17). 年度 か ら 「 子 ど も・子 育 て応 援 プ ラ ン」(新 新 エ ンゼ ル プ ラ ン)に 基 づ いて 推 進 して い る少 子化 対 策 を 強 化 ・拡 充 す るた め の 今 後 の 施 策 案 を 提 言 す る報 告 書 を ま とめ た。 そ の 中 で,育 児 休 業 等 の 両立 支援 策 の 利 用 促 進,再 雇 用 制 度 の 普 及 な ど女 性 の再 就 職 支 援,子 育 て支 援 企業 に対 す る優 遇 措 置 等 に つ い て 提 言 され て お り,ま た,両 立 支 援 の対 象 を育 児 の み な らず 介 護,自 己 啓 発,社 会 貢 献 活 動 な ど に も広 げ た ワー ク ・ラ イ フ ・バ ラ ンス に つ い て も言 及 され て お り,長 時 間 労 働 の是 正,短. 時 間勤 務,フ. レ ッ クス タ イ ム制,在 宅 勤務 な どの柔 軟 な 働 き. 方 の導 入 が 示 唆 され て い る。 これ を 受 けて,政 府 の 少 子 化 社 会 対 策 会 議 が2006 (平18)年6月20日 ⑳. に新 しい少 子 化 対 策 を 決 定 した。. 「再 チ ャ レ ン ジが 可 能 な 仕 組 み の 構 築 を推 進 す る と と もに,企 業 の 子 育 て 支 援 の 推 進 や長 時 間労 働 の是 正 等,従 来 の働 き方 を改 革 す る」 と して,① 若者 の 就 労 支 援,② パ ー トタ イ ム労 働 者 の均 衡 処 遇 の推 進,③ 女 性 の継 続 就 労 ・再 就 職 支 援,④ 企 業 の子 育 て 支 援 の取 組 の推 進,⑤ 長 時 間労 働 の是 正 等 の働 き方 の 見 直 し,⑥ 働 き方 の見 直 しを含 む官 民 一 体 子 育 て 支 援 推 進 運 動,が 挙 げ られ て い る。 一211一.

(14) 近畿大学法学. 第55巻第2号. ③その他の両立支援策. 家 庭 と仕事 の 両立 を 間接 的 に支 え る た め,労 働. 者 全 体 の 働 き方 を 見 直 す 方 向 へ展 開 しつ つ あ る。 す な わ ち,ワ ー ク ・ラ イ フ ・バ ラ ンス 策 と して,労 働 時 間制 度 に 関す る改 革 や,再 就 職 に多 いパ ー ト労 働 な ど多 様 な 働 き 方 に お け る改 革 が行 わ れ て い る。 ま ず,労 働 時 間 の 面 で は,時 限立 法 だ った 「労 働 時 間 の短 縮 の促 進 に関 す る臨 時措 置 法 」(以 下,時 短 促 進 法 とす る)が2006(平18)年3月 限 切 れ と な る こ と を受 けて,2003(平15)年10月. で期. に,「 労 働 時 間 等 の 設 定. の 改 善 に関 す る 特 別 措 置 法 」(以 下,労 働 時 間等 設 定 改 善 法 とす る)へ と 改題 され,2006(平18年)4月. か ら,労 働 者 の健 康 や 生 活 上 の 事 情 に配 慮. す る と と もに 多様 な働 き方 に対 応 した労 働 時 間 や 休 日 ・休 暇 の 設 定 を図 る 法 律 へ と改 め られ た。 ま た,労 働 時 間法 制 の改 革 につ い て は,現 在,仕 事 と生 活 の バ ラ ン スを 確 保 す る と と もに,労 働 者 の健 康 確 保 や 少 子 化 対 策 の 観 点 か ら,長 時 間 労 働 の抑 制 を 図 る こ と を 目的 と して,時 間 外 労 働 削 減,年 次 有 給 休 暇 制 度 の 見 直 し等 を 内容 とす る⑳,労 基 法 改 正 案 が 国 会 で 審 議 され て い る㈱。 次 に,多 様 な働 き方 の推 進 の面 で は,2003(平15)年8月. にパ ー トタ イ. ム労 働 指 針(「 事 業 主 が 講 ず べ き短 時 間 労 働 者 の雇 用 管 理 の 改 善 等 の た め の措 置 に関 す る 指 針 」)の 改 正 が 行 わ れ(平15厚. 労 告297号),正. 社 員 との. 均 衡 処 遇 の考 え方 や,事 業 主 が 正 社 員 へ の 転 換 に関 す る条 件 整 備 等 に努 め る こ とが 示 され た。 さ らに,若 年 層 ・世 帯 主,基 幹 的 役 割 を 担 うパ ー ト労 働 者 の増 加 を背 景 に,通 常 の 労 働 者 との 均 衡 待 遇 の 確 保 や 差 別 的 取 扱 い の. ⑳. 「自 由度 の高 い働 き方 にふ さ わ しい制 度 の創 設 」(い わ ゆ る 日本 版 ホ ワ イ トカ ラー ・イ グゼ ン プ シ ョ ン)も 法 案 に盛 り込 まれ る予 定 で あ った が,労 使 の反 対 が あ り,法 案 提 出直 前 に削 除 され た 。. ㈱. 「労 働 基 準 法 の一 部 を改 正 す る法 律案 」。2007(平19)年3月13日,衆 提 出。 一212一. 議 院に.

(15) 少子社会 における仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題 禁 止 等 を 内容 とす るパ ー ト労 働 法 改 正 法 案 ⑳ が2007(平19)年5月25日 第166回 国 会 で 成 立 した(6月1日. 公布 。2008(平20)年4月1日. に 施 行)。. パ ー ト労 働 は,先 に述 べ た よ う に,出 産 ・育 児 を き っか け に離 職 した 者 の 再 就 職 の形 態 と して多 いが,実 際 に,仕 事 と子 育 て を 両 立 す る際 に 有 用 な 働 き方 で もあ る。. 4主. な両立支援法制の概要. (1)育 児 ・介 護 休 業 法 と制 度 の 導 入 状 況 育 児 。介 護 休 業 法 は,両 立 支 援 策 の 中心 に位 置 づ け られ る もの で あ り, 子 育 て 期 の 就 業 継 続 を 支 え る とい う大 き な 役 割 を 果 た す。 現 在,同 法 に 規 定 され る制 度 の うち,育 児 に 関 す る主 な もの と して は, 育 児 休 業(5-10条),子 働 の 制 限(17条),深. の看 護 休 暇(16条 夜 業 の制 限(19条),事. 勤務 時 間 の短 縮 等 の 措 置(23条),転 (26条),妊. 間外 労. 業 主 が講 ず べ き措 置 と して,. 勤 等 の配 置 に関 す る配 慮(配 慮 義 務). 娠 ・出産 ・育 児 を理 由 と した退 職 者 に対 す る再 雇 用 特 別 措 置 等. の実 施 の 努 力義 務(27条)な 1)近. の2一 第16条 の4),時. ど㈱ が あ る。. 年 の改 正1997(平9)年. の改 正 で,小 学 校 就 学 の始 期 に達 す る. ま で の子 を養 育 す る労 働 者 を対 象 に,深 夜 業 の制 限 の制 度 が 創 設 され た。 ま た,2001(平13)年. の改 正 で は,小 学 校 就 学 の始 期 に達 す る まで の 子 を. 養 育 す る労 働 者 を対 象 に,月24時 間,年150時 間 を超 え る時 間 外 労 働 を 制 限. ⑳. 「短 時 間労 働 者 の雇 用管 理 の 改善 等 に 関 す る法 律 の一 部 を 改 正 す る法 律 案 」。 2007(平19)年2月13日,衆. ㈱. 議 院 に提 出。. そ の他 に も,事 業 主 が講 ず べ き措 置 と して,育 児休 業 。介 護 休 業 に 関 す る定 め の周 知 等 の努 力 義 務(21条),雇. 用 管 理,職 業 能 力 の 開 発 ・向 上 等 に 関 す る必. 要 な措 置 を講 ず る努 力 義 務(22条),職. 業 家 庭 両 立 推 進 者 選 任 の努 力 義 務(29条). 等 が 規 定 され て い る。 一213一.

(16) 近 畿大学法学. 第55巻第2号. す る(す な わ ち,制 限 時 間 を超 え た 時 間 につ い て労 働 者 が労 務 提 供 義 務 を 負 わ な い)制 度 の 創 設 ㈱,事 業 主 が 講 ず べ き措 置 の1つ で あ る,勤 務 時 間 の短 縮 等 の措 置⑳ を講 ず る義 務 の 拡 大 が 行 わ れ た 。 後 者 は,そ れ ま で の1歳(あ. る い は,2004(平16)年. に よ り,一 定 の場 合 に は1歳6か. 改 正(下 記 参 照). 月)に 満 た な い子 を 養 育 す る労 働 者 で 育. 児 休 業 を しな い者 だ け で な く,1歳(同1歳6か. 月)以 上3歳. に満 た な い. 子 を養 育 す る労 働 者 を対 象 に,育 児 休 業 に準 ず る措 置 また は勤 務 時 間 の 短 縮 等 の措 置 を講 じる義 務,3歳. か ら小 学 校 就 学 の 始 期 に達 す る まで の 子 を. 養 育 す る労 働 者 を対 象 に それ らの 措 置 に準 じて 必 要 な 措 置 を 講 ず る努 力 義 務 を事 業 主 に課 す な どの 制 度 拡 大 を 行 った もの で あ る。 勤 務 時 間 の 短 縮 等 の 措 置 は,と. りわ け子 育 て を 担 う者 に と って は(育 児 休 業 を 取 得 しな い 者. に と って だ けで な く,育 児 休 業 が 認 め られ る期 間 が 過 ぎた 労 働者 に と って も),必 要 度 の高 い もの で あ る。 ⑳. 時 間 外 労 働 の 制 限 も,深 夜 業 の 制 限 も,労 働 者 の 請 求 回 数 に制 限 は な い。 た だ し,ど ち ら につ いて も,事 業 の 正 常 な 運 営 を 妨 げ る場 合 に は,事 業 主 は請 求 を 拒 め る。 「事 業 の 正常 な 運営 を 妨 げ る場 合 」 と は,当 該 労 働者 の所 属 す る事 業 所 を 基 準 と して,当 該 労 働 者 の 担 当 す る作 業 の 内 容,作 業 の繁 閑,代 行 者 の配 置 の 難 易 等 の 諸 般 の 事情 を考 慮 して客 観 的 に判 断 され る。. ⑳. 具 体 的 に,① 短 時 間 勤 務 制,②. フ レ ッ ク ス タ イ ム制,③ 始 業 ・終 業 時 刻 の繰. 下 げ ・繰 上 げ,④ 所 定 外 労 働 を させ な い 制 度,⑤3歳. 未 満 の 子 に係 る託 児 施 設. の設 置運 営 そ の 他 これ に準 ず る便 宜 の供 与(ベ ビー シ ッ ター の 費 用 等)(則34条 1項)。 ① の 短 時 間 勤 務 制 の 内 容 は,a,日 は月 の所 定 労 働 時 間 の短 縮,c.週. の 所 定 労 働 時 間 の 短 縮b.週. また は月 の 所 定 労 働 日数 の 短 縮(隔. 特 定 の 曜 日の み の 勤 務 等 の 制 度),d.労. また 日勤 務,. 働 者 が 個 々 に勤 務 しな い 日 また は時 間. を請 求 す る こ と を認 め る制 度 。 事 業 主 に勤 務 時 間 の短 縮 等 の措 置 を 講 じ る こ とが 義 務 づ け られ て い るが,労 働 者 が育 児 の た め に 勤務 時 間 を短 縮 す る権 利 は保 障 され て い な い 点 が 課 題 で あ る と指 摘 す る もの と して,池 本美 香 「 職 業生 活 と育 児 との 両 立 一 策 の 展 開 と課 題 」 ジ ュ リ ス ト1282号(2005年)137頁 「子1人. 育児支援政. 参 照 。 また,池 本 氏 は,. に つ き1回 の 休 業 を 全 日休 業 で連 続 して 取 得 す る とい う現 在 の育 児 休. 業 で は,長 期 休 業 が キ ャ リア の 中 断 に つ な が りか ね ず,ま た 保 育 所 に 預 け られ る子 ど もに と っ て も,ハ ー ドル が 高 い」 と指 摘 す る。 一214一.

(17) 少子社会 にお ける仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題 ま た,同. じ く2001(平13)年. の 改 正 で は,就. 業 場 所 の 変 更 を 伴 う配 置 の. 変 更(転 勤 等)に 関 す る配 慮 義 務 も創 設 され た㈱。 さ ら に,2004(平16)年. の 改 正 で は,育. 児 休 業 の 対 象 者 ・期 間 の 拡 大 お. よ び子 の 看 護 休 暇 制 度 の 義 務 化 が 行 わ れ,2005(平17)年 て い る 。 こ の 改 正 で,一. ㈱. 定 の 期 間 雇 用 者 ⑳ も,原. 度 か ら施 行 され. 則 と し て,育. 児休業の対. 配 慮 す る内 容 と して は,例 え ば,① 子 の養 育 ま た は家 族 の 介護 の状 況 を 把握 す る こ と,② 労 働 者 本 人 の意 向 を掛 酌 す る こ と,③ 就 業 場 所 の変 更 を 行 う場 合 は,子 の 養 育 また は家 族 の介 護 の 代 替 手 段 の有 無 の確 認 を行 う こ と,等 が考 え られ る。 な お,育 児 や 介 護 にか か わ る労 働 者 に対 す る転 勤 に 関 して も,配 転 命令 の権 利 濫 用 法 理(東 亜 ペ イ ン ト事 件 ・最2小. 判 昭61・7・14判. 時1198-149参 照)が. 妥 当 す る。 子 の 看 護(重 症 の ア トピー性 皮 膚 炎)が 必 要 な共 働 き の夫 へ の 配転 命 令 が,通 常 甘 受 す べ き不 利 益 を著 し く超 え る もの と して権 利濫 用 とさ れ た例 と して,明 治 図 書 出版 事 件(東 京 地 決 平14・12・27労. 判861-69)が. あ る。 この. 判 決 は,育 児 。介 護 休 業 法26条 の 「配 慮 」 は,配 転 しな い こ と や 積極 的 な措 置 を 講 ず る こ と を事 業 主 に求 め る もので は な い が,既 に配 転 命 令 を所 与 の もの と して 労 働 者 に押 しつ け る場 合 は,同 条 の趣 旨 に反 し,配 転 命 令 が権 利 濫 用 と し て 無 効 にな る こ とが あ る と判 示 した。 ま た,精 神 病 の妻 へ の援 助,母. へ の 介護. が 必 要 な 労 働 者 らに対 す る配 転 命 令 が 同様 に権 利 濫 用 とさ れ た ネ ス レ 日本(配 転 本 訴)事 件(大 阪 高 裁 平18・4・14労 判915-60,神 労 判895-5)で. 戸地 姫路 支 判 平17・5・9. は,「 そ の 配 慮 の 有 無 程 度 は,配 転 命 令 を受 け た労 働 者 の不 利益. が,通 常 甘 受 す べ き程 度 を著 し く超 え る か否 か,配 転 命 令 権 の行 使 が権 利 の濫 用 とな るか ど うか の 判 断 に影 響 を 与 え る」 と判 示 され た。 そ の 他,介 護 ・看 護 にか か る労 働 者 に対 す る配 転 命 令 が権 利濫 用 と され た事 例 と して,北 海 道 コ カ ・コ ー ラ ポ トリ ング事 件(札 幌地 決 平9・7・23労 判723 -62)〈 子 の 躁 うつ 病 ,精 神 発 達 遅 延 等 〉,日 本 レス トラ ン シ ス テ ム事 件(大 阪 高 判 平17・1・25労 判890-27)〈 子 の 心 臓 病 特 定 疾 患 〉 等 が あ る。 他 方 で,通 常 の 保 育 ・育 児 に関 して は,配 転 命 令 は概 ね有 効 と判 断 され る傾 向 にあ り,例 え ば,帝 国 臓 器 製 薬(単 身 赴 任)事 件(最2小. 判 平11・9・17労 判. 768-16)〈 共 働 きの 夫 に対 す る配 転 命 令〉,ケ ン ウ ッ ド事 件(最31J、 判平12・1・ 28労 判774-7)〈. 共 働 きの 妻 に対 す る東 京 都 内 の 配 転 命 令 〉,ま た,JR東. (東北 地 方 自動 車 部)事 件(仙 台 地 判 平8・9e24労. 日本. 判705-69)〈 共 働 きの 妻 に 対. す る配 転 命 令 〉 等 が あ る。 ㈱. こ こ に い う 「期 間 を定 めて 雇 用 され る者 」 と は,具 体 的 に,同 一 の事 業 主 の 下 で 継 続 雇 用 され た期 間 が1年 以 上 あ り,か つ,子 一215一. が1歳 に達 す る 日を超 え て/.

(18) 近畿大学法学. 第55巻第2号. 象 労 働 者 と さ れ るよ うに な りB⑪,また,子 が1歳 認 め られ る一 定 の 場 合BDに は,子 が1歳6カ ど,パ ー ト労 働者,共. に達 して も休 業 が 必 要 と. 月 に達 す る ま で延 長 で き る な. 働 き労 働者 あ るい は ひ と り親 の労 働 者 に と って,よ. り柔 軟 に 対応 で き る育 児休 業 に な って き た。 な お,前 出 の とお り,育 児 休 業 の 申 出 ま た は休 業 した こ とを理 由 とす る解 雇 そ の他 の不 利 益 取 扱 い は, 従 来 か ら禁止 され て い る(10条)en。 ま た,1年. 間 に5日 ま で,小 学 校 就 学 の始 期 に達 す る まで の子 を養 育 す. る労 働 者 が,病 気 ・け が を した子 の た め に休 暇 を取 得 で き る と い う 「子 の 看 護 休 暇」 に つ い て,従 前 は努 力 義 務 と され て い たの が,2004(平16)年 の改 正 に よ って義 務 化 さ れ た。 な お,子 の 看 護 休 暇 の 申 出 ま た は子 の 看 護 休 暇 を した こ とを理 由 とす る解 雇 その 他 の 不 利 益 取 扱 い も禁 止 され て い る (16条 の4)。 2)制. 度の導入状況. 育 児 休 業 に関 す る制 度 の 導 入 状 況 につ い て,「 『平. 成17年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 』 結 果 概 要 」 を み る と,法 定 以 上 の 制 度 を 導 入 して い る例 が 少 な くな い㈱。. \ 雇 用 が 継 続 す る見 込 み が あ る者 。 た だ し,子 が1歳. か ら1年 を経 過 す る 日ま で. に労 働 契 約 期 間 が 満 了 し,か つ,契 約 更 新 の な い こ とが 明 らか な場 合 を 除 く(5 条1項1号,2号. 参 照)。. (3① ちな み に,労 働 契 約 の形 式 上 期 間 を定 め て雇 用 さ れ て い る者 で あ って も,当 該 契 約 が 期 間 の定 めの な い契 約 と実 質 的 に異 な らな い状 態 と な って い る場 合 に は,育 児 休 業 を請 求 しう る立 場 に あ る と判 示 した もの と して,日 欧産 業協 力 セ ン ター 事 件(東 京 高 判 平17・1・26労 判890-18)が (3D子. が1歳. あ る。. に達 す る 日 に,い ず れ か の 親 が 育 児 休 業 中 で,① 保 育 所(無 認 可保. 育 所 を 除 く)に 入 所 で き な い場 合,ま た は,②1歳. 以 降 子 を養 育 す る 予 定 で. あ った 者 の 死 亡,傷 病 ・障 害,婚 姻 解 消 に よ る別 居,産 前 産 後 等 に よ り子 を養 育 す る こ とが 困 難 に な った 場 合 に 限 られ る(則4条. の2)。. この と き,そ れ ま で. 育 児 休 業 を して い た 配 偶 者 と交 替 す る こ と もで き る。 働 ㈱. 不 利 益 取 扱 い と され る事 項 に つ い て は,注 ㈱ 参照 。 ちな み に,1999(平11)年. 度 か ら,厚 労 省 で は,仕 事 と育 児 ・介 護 と を両 立. させ る こ とが で き る様 々な 制 度 を 持 ち,多 様 で か つ 柔 軟 な働 き方 を労 働 者 が選/ 一216一.

(19) 少子社会 における仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題 まず,育 児 休 業 期 間 につ い て,各 事 業 所 の 育 児 休 業 の 規 定 にお いて,法 定 通 りに子 が 「1歳6か. 月 」 ま で とす る事 業 所 は79.9%を 占 め るが,「1歳. 6か 月 を 超 え2歳 未 満 」 とす る事 業 所 が3.0%,「2歳 事 業 所 が6.1%,「3歳. ∼3歳 未 満」 とす る. 以 上 」 とす る事 業 所 も1.0%あ る。 た だ し,育 児 休 業. が 長 期 に及 ぶ ほ ど,職 場 復 帰 の 面 で 困 難 が 生 じる可 能 性 が 高 くな る と考 え られ,経 済 的 に も雇 用 保 険 に よ る休 業 期 間 中 の 所 得保 障 だ けで は必 ず し も 十 分 な もの と は いえ な い。 そ こで,た だ 長 期 に 休 め る とい うだ け で は,実 際 に は活 用 しが た い と い う点 に留 意 して お きた い。 また,育 児 休 業 の 対 象 労 働者 につ い て も法 定 基 準 を上 回 る制 度 の導 入 が み られ る。 例 え ば,労 使 協 定 で 対 象 外 にで き る一 定 範 囲 の 労 働者 鱒 を適 用 対 象 に 含 め て い る事 業 所 割 合 は,配 偶 者(事 実 上 の配 偶 者 も含 む)が 常 態 と して 子 を養 育 で き る者 に つ き24.1%,1年 に つ き2.8%,雇. 以 内 に 雇 用 関 係 が 終 了 す る者. 用 期 間 が1年 末 満 の者 につ き16.9%と な って い る。 法 定 通. \択 で き る よ うな 取 組 み を 行 う企 業 の こ とを 「フ ァ ミ リー ・フ レン ドリー(労 働 者 の家 族 的責 任 に配 慮 した)企 業 」と して,そ れ に 向 け た取 組 みを 積 極 的 に行 っ て お りそ の成 果 が あ が っ て い る企 業 を表 彰 して い る。2007(平19)年. 度 か ら は,. 「均 等 推 進 企 業 表 彰 」 と統 合 さ れ た 「均 等 ・両 立 推 進 企 業 表 彰 」 の 「フ ァ ミ リー ・フ レ ン ドリー 企 業部 門」 と して 実 施 され て い る。 具 体 的 に,① 法 を 上 回 る基 準 の育 児 ・介 護 休 業制 度 を 規 定 して お り,か つ,実 際 に 利 用 され て い る こ と,② 短 時 間勤 務 制 度 や フ レ ッ クス タ イ ム 制度 な ど仕 事 と家 庭 の バ ラ ンス に 配 慮 した柔 軟 な 働 き 方 が で き る 制度 を も って お り,か つ,実 際 に 利 用 され て い る こ と,③ 事 業 所 内託 児 施 設,育 児 ・介 護 サ ー ビス利 用 料 の援 助 措 置 な ど仕 事 と 家 庭 の両 立 を可 能 に す る そ の他 の 制度 を 規 定 して お り,か つ,実 際 に 利 用 され て い る こ と,④ 育 児 ・介 護 休 業 制 度 等 の利 用 が しや す い雰 囲 気 で あ る な ど仕 事 と家 庭 との 両 立 が しや す い企 業 文 化 を も って い る こ とが 求 め られ る。 ㈱. 労 使 協 定 で対 象 外 に で き る労 働 者(6条1項,則7条)は,① の 労 働 者,② 配 偶 者 が子 を養 育 で き る状 態 に あ る労 働 者,③1年. 勤続1年. 末満. 以 内に雇用関. 係 が 終 了 す る労 働 者,④ 週 の所 定 労 働 日数 が2日 以 下 の労 働者,⑤. 配偶 者 で な. い親 が 子 を養 育 で き る状 態 で あ る労 働 者 。 た だ し,② と⑤ に つ い て は,負 傷 疾 病,障 害 に よ り子 を養 育 す る こ と が 困難 な状 態 に あ る者 で な い こ と,産 前産 後 で はな い こ と等 が 必 要 で あ る(則6条)。 一217一.

(20) 近畿大学法学 り に,子. 第55巻第2号. を 養 育 で き る 配 偶 者 を 適 用 除 外 に す る と,専. は 共 働 き の 場 合 に,夫 る が,適. 業 主 婦(夫)あ. 婦 同 時 に 育 児 に 専 念 で き る の は 産 後8週. 用 除 外 に し な い 取 扱 い に よ っ て,夫. るい. 間 だ け とな. 婦 同 時 に育 児 に携 わ る機 会 を. 拡 大 す る こ と に な る。 な お,2005(平17)年. 度 か ら 新 た に 育 児 休 業 の 対 象 と な っ た 「有 期 契 約. 労 働 者 」 に つ い て は,そ の う ち,法 他 方,実. の 対 象 労 働 者 の 範 囲 を 決 め て い る 事 業 所(46.4%). 定 通 り と して い る 事 業 所 が95。9%を. 占め る。. 際 の 育 児 休 業 取 得 状 況 に つ い て み る と,ま. の 取 得 率 は,事. 業 所 規 模 が 大 き い ほ ど 高 く(500人. 79D%,30∼99人76.9%,5∼29人58.5%),ま る 事 業 所(78。4%)の. 方 が,規. ず,女. 性の育児休業. 以 上87.3%,100∼499人. た,育. 児休業制度の規定のあ. 定 の な い 事 業 所(28.1%)よ. り も約50%も. 高い。 育 児 休 業 の 利 用 期 間 は,女 35,0%と. 最 も 多 い が,「12か. と増 え て い る。 た だ,1か 9.9%(同8.7%),3か. 性 に つ い て は,「10か. 月 ∼18か 月 未 満 」 が13.5%(平 月 未 満2.6%(同0.9%),1か. 月 以 上6か. 次 に,育. 成14年 度5,4%) 月 以 上3か. 月 未 満15,1%(同14.2%)も. の も気 に な る と こ ろ で あ る 。 男 性 は,「1か も 多 く,こ. 月 ∼12か 月 未 満 」 が. れ に 「1か 月 未 満 」 の31.7%が. 月 ∼3か. 月未満. 増 えて いる. 月 未 満 」 が65.8%と. 最. 続 い て い る。. 児 の た め の 勤 務 時 間 短 縮 等 の 措 置 の 制 度 の 導 入 状 況 を み る と,. 同 制 度 を 導 入 し て い る 事 業 所 は4L6%と. な っ て い る が,や. は り事 業 所 規 模. 別 に み る と規 模 が 大 き くな る ほ ど導 入 す る事 業 所 の 割 合 が 高 くな って い る ㈲。 ま た,同. 制 度 の 利 用 可 能 期 間 の 設 定 に つ い て み る と,法. さ れ て い る 「3歳 に 達 す る ま で 」(53.5%)(平. 定 で義務 と. 成16年 度69.2%)と. す る割. 合 は 低 下 し,対 象 と な る 子 の 年 齢 の 上 限 に つ い て,「 小 学 校 就 学 の 始 期 に 達. ㈱500人. 以 上95。0%,100∼499人78.3%,30∼99人58.8%,5∼29人37.1%。 一218一.

(21) 少子社会におけ る仕事 と家庭 の両立支援策 の展 開 と課題 す る ま で 」(27.8%)(同20.5%),「 (同3.4%)と. 小 学 校 卒 業 以 降 も利 用 可 能 」(7,2%). す る事 業 所 が 増 え て い る。 ま た,「 短 時 間 勤 務 制 度 」,「始 業 ・. 終 業 時 刻 の繰 上 げ ・繰 下 げ」 に つ い て は,そ れ ぞ れ の制 度 を有 す る事 業 所 の うち,「3歳. に達 す る まで」 とす る事 業 所 が64.6%,57.1%と. いず れ も5. 割 を超 え て い る。 子 の看 護 休 暇制 度 に つ い て は,こ れ ま で の女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 ㈱ を み る と同制 度 の規 定 が あ る とす る企 業 は,平 成11年 度 に8.0%で あ った の が, 法 定 さ れ て か らは,平 成14年 度 で10.3%,平. 成15年 度 で16.9%,平. 成16年 度. で26。5%en,義 務 化 後 の平 成17年 度 で は33,8%と な って い る。 これ を,事 業 所 規 模 別 み る と顕 著 な 数 字 が 出 て お り,500人 以 上 の 企 業 で は大 き く上 昇 して い る㈱。 ちな み に,休 暇 日数 に つ い て は,法 定 通 り 「5日 」 とす る事 業 所 が 約9割 を 占め るが,休 暇 を 「有 給 」 とす る事 業 所 は,一 部 有 給 を 含 め る と,約4分. の1と な って い る。. 一 方 で ,育 児 の た め の 時 間 外 労 働 の 制 限 に つ い て は,時 間 外 労 働 が行 わ れ て い る事 業 所(66.9%)の. う ち か か る規 定 を 設 け て い る事 業 所 は39。7%. とな って い る が,こ れ も規 模 の 大 き い事 業 所 で の 規 定 割 合 は 高 い。 しか し,そ の 対 象 とな る子 の 年齢 に つ い て は 「小 学 校 就 学 始 期 ま で」 と,法 定 通 りの 基 準 とす る事 業 所 が92.6%を. 占め て い る。 また,深 夜 業 の制 限 の制. 度 に つ い て は,深 夜 労 働 が行 わ れ て い る事 業 所(30.9%)で,所. ㈹. 定 内労 働. 労働 省 「平 成11年 度 女 性 雇 用 管理 基本 調 査 」 結 果 概 要(平 成12年7月),厚 省 「平 成14年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 」結 果 概 要(平 成15年7月),同 年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 」 結 果概 要(平 成16年7月),同 用 管 理 基 本 調 査 」 結 果概 要(平 成17年8月),同 調 査 」 結 果 概 要(平 成18年8月),参. (3Dた. 「平 成16年 度 女 性 雇. 「平 成17年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本. 照。. だ し,平 成16年 度 調査 は,規 定 の 有 無 で は な く,制 度(慣 行,失 効 年 次 有. 給 休 暇 の活 用 等 も含 む)の 有 無 につ い て質 問 した もの 。 ㈱. 労. 「平 成15. 平 成11年 度20.1%(100∼499人 平 成16年 度59。7%(同39.8%),平. の 企 業13.1%),平. 成14年 度20.8%(同14.5%),. 成17年 度91。3%(同70.4%)。 一219一.

(22) 近畿大学法学. 第55巻第2号. に深 夜 業 が あ る事 業 所(55.5%)の. う ち,育 児 の た め の深 夜 業 の制 限 規 定. が あ る事 業 所 は50。1%に と ど ま って い る。 な お,法 定 され て いな い配 偶 者 出産 休 暇 制 度auに つ い て も,同 制度 を 設 けて い る事 業 所 は33.0%(平. 成14年 度33.1%)で,こ. れ も事 業 所 規 模 が 大. きい ほ ど割 合 が 高 い 。 取 得 で き る休 暇 日数 に つ い て は,配 偶 者 の 出産1回 に つ き 「1日 ∼5日 」 とす る事 業 所 が94.6%を 占 め,「 有 給 」 とす る事 業 所 が84.7%と な って い る。 制 度 を法 定 しな くて も これ だ けの 導 入 が み られ る の は,出 産 は 重 大 な イ ベ ン トで あ る と と もに,社 会 の意 識 の変 化,核 家 族 化 が 進 む 中,そ の よ うな 休 暇 の ニ ー ズ が高 ま って い る こ と,そ れ に対 す る 使 用者 の 理 解 が 進 ん で い る こ と と推 測 で き る。 3)育. 児休 業 と所 得 保 障. 育 児休 業 中 の労 働 者 に対 し,使 用 者 は賃 金 の. 支 払 い義 務 を 負 わ な い⑳。 そ こ で,雇 用 保 険 の 雇 用 継 続 給 付 か ら 「育 児 休 業 給 付 」 が 支 給 され る (雇 用 保 険 法61条 の4,第61条. の5)。 「育 児 休 業 給 付 」 に は,休 業 期 間 中. に支 給 さ れ る 「育 児休 業基 本 給 付 金 」 と,育 児 休 業 基 本 給 付 金 を受 け た者 が休 業 終 了後 引続 き6か 月 間雇 用 さ れ た場 合 に支 給 され る 「育 児 休 業 者 職 場 復 帰 給 付 金 」 が あ る。 支 給 額 は,「 育 児 休 業 基 本 給 付 金」 に つ い て は,休 業 開 始 時 の賃 金 月 額 の30%で. あ り,支 給 対 象 期 間 中 の賃 金 額 との 合 計 が,賃 金 月 額 の80%を. 超. え る と き に は,そ れ ら超 過 分 が 減 額 され て 支 給 され る。 一 方 ,「 育 児 休 業 者 職 場 復 帰 給 付 金 」 につ い て は,従 来 は 休 業 開始 時 の. ㈱. 同 調 査 で,配 偶 者 出産 休 暇制 度 とは,労 働 基 準 法 に規 定 す る 年次 有 給 休 暇 以 外 の 休 暇 制 度 で あ って,配 偶 者 の 出産 の 際 に,病 院 の 入 院 ・退 院,出 産 等 の 付 添 い等 の た め に男 性 労 働 者 に与 え られ る休 暇 を い う と説 明 され て い る。. ㈲. な お,育 児 休 業 中 の厚 生 年 金,健 康 保 険 等 の保 険料 は,被 保 険者 負 担 分 お よ び事 業 主 負 担 分 の 両 方 が 免 除 され る。 一220一.

(23) 少子社会 にお ける仕事 と家庭の両立 支援策の展開 と課題 賃 金 月 額 の10%で 会 で4月19日. あ っ た が,2007(平19)年. 成 立)に. 雇 用 保 険 法 改 正(第166回. 国. よ って,暫 定 措 置 と して,2010(平22)年3月31日. まで に育 児 休 業 を 開 始 した 被 保 険 者 に つ い て は,育 児休 業者 職 場 復 帰給 付 金 が,休 業 開 始 前 の 賃 金 月 額 の20%と. され る こ とに な った(2007(平19). 年10月 施 行)。 育 児 休 業 か らの 復 職 率 を 考 え る と,職 場 復 帰 給 付 金 を増 額 した こ と 自体 は 評 価 で き る。 しか し,休 業 す る とい う こ とは,そ の 間 の所 得 が減 少 す る こ とを 意 味 す る。 育 児 休 業 期 間 中 の所 得 保 障 を充 実 さ せ れ ば,共 働 き の場 合 に 収 入 の 高 い 方 の 者 も子育 て に 参加 しや す くな り,ひ と り親 の場 合 に し て も育 児 休 業 を 取 得 しや す くな る と も考 え られ る。 そ の点 で は,育 児 休 業 中 に 支 給 され る基 本 給 付 金 を増 や す方 が よ り望 ま しい改 革 だ とい え よ う。 ち な み に,産 前 産 後 休 業 に つ い て も,使 用 者 は賃 金 の支 払 い義 務 を負 わ な い。 そ こで,賃 金 に 代 わ る休 業 時 の所 得 保 障 と して,産 前 産 後 休 業 につ い て は,例 え ば 健 康保 険 で1日 あ た り標 準 報 酬 日額 の3分 の2に 相 当す る 額 の 「出 産 手 当 金 」 が,産 前42日(多. 胎 妊 娠 の場 合98日),産. 後56日 を 限. 度 と して 支給 され る(健 康 保 険102条)。 休 業 日につ い て事 業 主 か ら賃 金 を 支 払 わ れ る場 合 は,出 産 手 当金 か らそ の賃 金 額 を 引 い た差 額 の支 給 と な る (同108条)。. (2)均 等 法 の平 成18年 改 正 と両 立 支 援 均 等 法 は,能 力 発 揮 と就 業 継 続 の両 面 を支 援 す る もの で あ り,2006(平 18)年 の 改正9Dの 中 で,妊 娠 ・出産 と い う ラ イ フ イベ ン トに着 目 した改 正 QID2006(平18)年. の均 等 法 改 正 法 案(「 雇 用 の 分 野 に お け る男 女 の 均 等 な機 会 及. び待 遇 の確 保 等 に 関す る法 律 及 び労 働 基 準 法 の 一 部 を改 正 す る法 律 案 」)は,厚 労 省 に よ って2005(平17)年. の労 働 政 策 審 議 会 の 建 議(「 今 後 の男 女 雇 用 機 会 均. 等 対 策 に つ い て」)を 受 けて 作 成 され,2006(平18)年6月15日 で成 立 し,同 月21日 に公 布 され た(2007(平19)年4月1日 一221一. に第164回 国 会 施 行)。.

(24) 近畿 大学法学. 第55巻第2号. が 行 わ れ た 。 な お,均. か ど うか,子. 等 法 に は,従. 来 か ら,指. 針 に お い て,婚. 姻 して い る. ど もが い るか ど うか に よ る差 別 禁 止 の定 め もみ られ る。. 2006(平18)年. 改正 の主 な 内容 は,① 男 女 双 方 へ の性 差 別 禁 止 へ の拡 大. お よ び 差 別 禁 止 事 項 の追 加,② 間 接 差 別 の禁 止 の新 設⑫,③ 妊 娠 ・出産 等 を理 由 とす る 不 利益 取 扱 い禁 止 の追 加,④ 事 業 主 の講 ず る ポ ジ テ ィ ブ ・ア ク シ ョ ン に 対 す る 国 の 援 助 の 対 象 の 追 加 ⑬,⑤ セ ク シ ュ ア ル ・ハ ラ ス メ ン ト. の対 象 に男 性 も含 め,か つ,事 業 主 の雇 用 管 理 措 置 を義 務 化 ㈹,⑥ セ ク シ ュ. 吻. 今 回 の 改 正 で,表 面 上 は 性 別 に よ る差 別 で は な くて も,合 理 的 な 理 由が な く, 実 質 的 に一 方 の性 に著 し く不 利 とな る よ うな 「間 接 差 別 」 の 禁 止 が 新 た に 規 定 され た(7条)。. す な わ ち,「労働 者 の性 別以 外 の事 由 を要 件 とす る もの」で あ っ. て も,そ の 「要 件 を満 たす 男 性 及 び女 性 の比 率 そ の 他 の事 情 を 勘 案 して 実 質 的 に性 別 を理 由 とす る差 別 と な る お そ れ が あ る措 置 」 に つ い て は,業 務 遂 行 上 ま た は雇 用 管 理 上 特 に必 要 で あ る な ど,合 理 的 な理 由 が あ る場 合 を 除 い て,禁 止 され る。 た だ し,今 回 の改 正 で は,間 接 差 別 の概 念 が社 会一 般 に ま だ 浸 透 して いな い た め,対 象 範 囲 を 明確 に す る必 要 が あ る と して,省 令 で,① 募 集 ・採 用 にお け る身 長 ・体 重 ・体 力 要 件,②. コ ー ス別 雇 用 管 理 制 度 に お け る総 合 職 の 募. 集 ・採 用 に お け る全 国転 勤 要 件,③ 昇 進 に お け る転 勤 経 験 要 件,の3つ 列 挙 され る こ と にな った(則2条)。. が限定. な お,施 行5年 後 の 見 直 しを 待 た ず 機 動 的. に対 象 事 項 の 追 加 ・見 直 しを 図 る こ とが 衆 参 で 附 帯 決 議 され て い る。 今 回 の 均 等 法 改 正 で は 上 記3つ の 項 目の 隈 定 列 挙 とな り,「例 示 列 挙 」 とい う 方 式 は採 用 され なか っ た わ け で あ る が,間 接 差 別 法 理 は本 来 そ の 対 象 範 囲 を 限 定 す る もの で は な い 。 ⑱. ポ ジテ ィ ブ ・ア ク シ ョ ンの 措 置 を講 じる事 業 主 に対 す る 国 の援 助(厚. 労省や. 都 道 府 県 労 働 局 な ど にお け る相 談,助 言,情 報 提 供 な どの 支援)の 対 象 と して, 従 来 か ら,① 労 働 者 の 配 置 等 の状 況 の分 析,② る計 画 の 作 成. ③ ② の 計 画 で 定 め る措 置 の実 施. に必 要 な 体 制 整 備 が 規 定 され て い た が,さ. ポ ジ テ ィブ ・ア クシ ョ ンに 関 す ④ ① ∼ ③ の措 置 の実 施 の た め. らに,そ の取 組 み を普 及 促 進 す る た. め の 方 策 と して,今 回 の 改 正 で,⑤ 事 業 主 の 講 じる ポ ジテ ィブ ・ア ク シ ョ ンの 「実 施 状 況 の 開 示 」 が 追 加 され た(14条5号)。. 具 体 的 に は,ポ ー タ ル サ イ トを. 設 け,個 別 企 業 か ら寄 せ られ た 取 組 み 状況 が紹 介 さ れ る。 ㈹. 従 前 は,セ. ク シ ュ アル ・ハ ラ ス メ ン トに対 す る事 業 主 の配 慮 義 務 規 定 が定 め. られ て い た が,今 回 の 改 正 で,事 業 主 に具 体 的 な 措 置 を講 じる こ と を義 務 付 け る と と もに(措 置 義 務),男 性 に 対 す る セ ク シュ ア ル ・ハ ラ ス メ ン トも保 護 の対 象 に 含 め た(11条)。 一222一.

(25) 少子社会 にお ける仕事 と家庭の両立支援策の展開 と課題 ア ル ・ハ ラ ス メ ン トお よ び母 性 健 康 管 理 措 置 に つ い て 調 停 や 企 業 名 公 表 の 対 象 に 追 加 ㈲,⑦(労 基 法 の 一 部 改 正 と して)女 性 の 坑 内 労 働 規 制 の 緩 和 ㈲,の7点. で あ る㈲。. そ れ らの 改正 内 容 の うち,こ. こで は,両 立 支 援 と関連 す る と思 わ れ る①. と,少 子化 対策 と も関連 して 多 くの女 性 労 働 者 に影 響 が あ る と考 え られ る ③ に つ い て 取 り あ げ,検. 1)男. 討 す る こ とにす る。. 女 双 方 に対 す る 性 差 別 禁 止 と禁 止 事 項 の 追 加(①)均. 等 法 は,. 制 定 以 来,女 性 労 働 者 に対 す る差 別 を 禁 止 の 対 象 と して い た が⑱,今 回 の 改 正 に よ っ て,男 性 も含 め た 「労 働 者 」 が 「性 別 」 に よ り差 別 され る こ と. ㈲. 均 等 法 の 実 効 性 確 保 の た め,都 道 府 県 労 働 局 長 に よ る紛 争 解 決 の援 助(助 言 ・ 指 導 。勧 告(17条))と. 個 別 労 働 関 係 紛 争 解 決 法6条1項. る調 停 の 制 度(18条),ま. の紛争調整委員会によ. 指 導 ・勧 告(29条))と,そ. た,厚 生 労 働 大 臣 に よ る行 政 指 導(報 告 徴収,助 言 ・ の 勧 告 に従 わ な い場 合 の 企 業 名 公 表 制 度(30条)が. 設 け られ て い る。 主 な改 正 内容 は次 の4点 で あ る。 ① セ ク シ ュア ル ・ハ ラ ス メ ン トと母 性 健 康 管 理 措 置 につ いて も,紛 争 解 決 の援 助 と調 停 制 度 の対 象 に新 た に 追 加(16-23条),②. 紛 争 調整 委 員 会 に よ る調 停 手 続 に つ い て,時 効 中 断 や訴. 訟 手 続 の 中止 に 関 す る規 定 を 新 た に整 備(24条,25条),③. セ ク シュ ア ルeハ ラ. ス メ ン ト対 策 や 母 性 健 康 管 理 措 置 を 講 じず,勧 告 を 受 けて もそ れ に従 わ なか っ た場 合 も,企 業 名 公 表 の 対 象 に 新 た に 追 加(30条),④ じず,ま た は虚 偽 の 報 告 を し た場 合 の 過 料(20万. 事 業 主 が,報 告 徴 収 に応. 円以 下)を 創 設(33条)。. な. お,企 業 名 公 表 の 対 象 とな る項 目 に は,従 来 か ら,婚 姻 ・妊 娠 ・出産 等 を理 由 とす る 不 利 益 取 扱 い(9条1-3項)や. 母 性 健 康 管 理 措 置(12条,13条1項). が含 ま れ て い る。 ㈲. 従 来,女 性 の坑 内 労 働 は,原 則 と して,禁 止 され て い た が,女 性 の 職 域 拡 大 の観 点 か ら,女 性 技 術者 が坑 内工 事 の 管 理 ・監 督 業 務 等 に 従 事 で き る よ う,妊 産 婦 が行 う坑 内 業務 お よ び 省 令 で 定 め る一 部 の 業 務(作 業 員)を 除 き,女 性 の 坑 内労 働 が解 禁 され た(労 基64条 の2)。. (4Dま ⑱. た,附 則 に は法 施 行5年 後 に見 直 しを行 う こ と も規 定 され て い る。. 厳 密 に は,1997(平9)年. の 改 正 で,「 女 性 のみ 」 あ るい は 「女 性 優 遇 」 の 取. 扱 い につ い て は,原 則 と して,禁 止 さ れ る こ と とな った 。 既 に1984(昭59)年 の 婦 人 少 年 問題 審 議 会 建 議 に お い て 性 差 別 禁 止 法 で あ る こ と は示 され て い た が,1997(平9)年. 改 正 時 の 附帯 決 議 に お い て も性 差 別 禁止 法 の実 現 を 目指 す. こ とが 求 め られ て い た こ とを 受 けて,今 回 の よ うな 改 正 に 至 った。 一223一.

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