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<論説>ドイツ宰相の地位と権限

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(1)、. ドイ ツ宰 相 の地 位 と権 限. ド イ ツ宰 相 の 地 位 と 権 限. は じ め に. 上. 田. 健. 介. 日 本 に お け る先 の行 政 改 革 では 、 ﹁ 内 閣機 能 の強 化 ﹂ の具 体 的 内 容 の 一つと し て ﹁ 内 閣総 理 大 臣 の指 導 性 の強 化 ﹂. が 掲げ ら れ 、 法制 上 の 変 化 と し て内 閣 法 四条 二項 に ﹁こ の場 合 にお い て、 内 閣 総 理 大 臣 は 、 内 閣 の重 要政 策 に 関す る 基 本 的 な 方 針 そ の他 の案 件 を 発 議 す る こ とが で き る﹂ とす る 一文 が 加 わ った 。. ω. 興 味 深 い のは 、 ﹁内 閣 総 理 大 臣 の指 導 性 の 強 化 ﹂ の あ り 方 が 行 政 改 革 会 議 で提 案 さ れ る 議 論 の段 階 で、 次 の よ う な 説 明 が な さ れ てい る 点 であ る 。. 日 本 国 憲 法 が 内 閣 総 理 大 臣 を も って 内 閣 の ﹁首長 ﹂ であ ると す る のは 、 内 閣 が そ の機 能 を 十 全 に 果 た す 上 で内 閣 総. 理 大 臣 の強 い指 導 性 が 重 要 であ る と い う 認識 を表 わす も の であ る。 それ は 、 内 閣 総 理 大 臣 を も っ て ﹁政 治 の基 本 方. 一11一.

(2) イ タ リ ア の憲 法 )、 そ れ に つき ﹁ 責 任 を負 う﹂ 立 針 を 定 め ﹂ (ド イ ツ の憲 法 ) な いし ﹁ 政 府 の 一般 政 策 を 指 揮 し﹂ ( 場 の者 と 捉 え る 外 国 の憲 法 と 通ず る も の であ る。. こ こ では 、 日 本 の内 閣 総 理 大 臣 の役割 の考 察 に関 し て、 広 く 議 院 内 閣 制 にお け る内 閣 の長 の役 割 の観 点 か ら 、 ド イ ツ ( や イ タ リ ア ) のあ り 方 も 参 考 に さ れ てい る ことが 窺 われ る。. し か し 、 ド イ ツ の内 閣 ・行 政 制 度 の研 究 は、 近 年 ま で決 し て十 分 に行 わ れ てき た と は いえ な い。 も っと も 、 近 年 は. 毛 利 透 が 一連 の論 考 で幅 広 い紹 介 と 深 い考 察 を 行 っ てお り、 と く に宰 相 の権 限 の関 係 では ﹁ ド イ ツ宰 相 の基 本 方 針 決. ③. 定 権 限 と ﹃宰 相 民 主 政 ﹄﹂ に お い て基 本 方 針 権 限 に つい て歴 史 的 、 政 治的 文 脈 に も 注 意 を 払 わ れ た 緻 密 な 論 考 を 著 し. て い る。 本 稿 は 、 基 本 方 針 権 限 に限 定 せず よ り 広 く 宰 相 の権 限、 組 織 上 の地 位 を検 討 す る こと で宰 相 の地 位 と 権 限 を. 考 察 す る こ と に よ り、 右 に掲 げ た 大 き な 先 行 業 績 に 、 わず か なが ら で も 上積 み ( 横 への拡 張 ?) を 試 みよ う と す るも の で あ る。. そ の際 の意 識 と し て、 日 本 と の関 係 の み な らず 、 イ ギ リ ス と の 比 較 に も 注 意 を 払 い た い。 ド イ ツを 含 め こ れ ら の. ㈲. 国 々 は、 広 く議 院 内 閣 制 と い う点 で は 一括 り にさ れ るが 、 た と えば ﹃註 解 日 本 国憲 法 ﹄ で は ﹁ 行 政 府 の組 織 [ ⋮⋮]. は、 国 に よ って甚 だ ま ち まち で、 一つの型 にあ ては め て分 類 す る こと は 困 難 であ る﹂ と も い わ れ る。. こ の点 、 ﹃註 解 日 本 国 憲 法 ﹄ は 、 ド イ ツ に つき 一方 で 次 のよ う に 述 べ る。 す な わ ち、 基 本 法 が ﹁基 本 的 に は 同 じ 原. 則 に 出 る も の﹂ と さ れ る ワ イ マ ー ル憲 法 の宰 相 に つい て ﹁ そ の首 長 と し て有 す る 権 能 は、 わが 憲 法 が 定 め る それ とは. 同 一では な ﹂ く、 ﹁国 政 府 は、 事 項 に よ っては 合 議 制 ( 囚o目Φα q芭 ω気ω↓ Φヨ) を と って い るが 、 それ も 全 員 一致 では な く 、. 一12一. 第51巻第2号 近畿大学法学.

(3) ドイ ツ宰相の地位 と権限. ⑤. 多 数 決 原 則 に よ っ てお り (五 七 条、 五 八 条 )、 む し ろ 各 国務 大 臣 の主 任 事 務 に つい て は そ れぞ れ の独 立 性 を 承 認 し て. い ると こ ろ に、 いわ ゆ る内 閣制 と の差 異 が 存 す る﹂。 合 議 制 原 理 や 所 管 原 理 ( 殉Φωω〇二ω寓貯N首) と の関 係 で宰 相 の権 限 は 弱 い 印 象 を 受 け る 記 述が さ れ て い る の であ る。. ⑥. し か し 他 方 で、 ﹁ド イ ツ では 、 連 邦 宰 相 の 支 配 的 地 位ー ド イ ツ帝 国 の 伝 統 的 な ﹃宰 相 原 理 ﹄1 が 、 のち の諸 憲 法 に. も 忠 実 に 継 承 さ れ てい る﹂ と 述 べる 論者 も い る。 こ こか らは 右 に触 れ た 行 政 改 革 会 議 の議 論 も 示 唆 す る よ う に、 ド イ. ツ宰 相 は 、 基 本 方 針 決 定 権 を も つゆ え、 イギ リ ス の首 相 に比 べ ても 法 的 に強 い地 位 を 有 す る の では と いう 印 象 を 受 け ⑦ る の であ る 。. そ れ では 、ド イ ツ の行 政府 の組 織 に つい て、ま た 宰 相 の地 位 と 権 限 に つい てど の よ う に 理解 す れば よ い のだ ろう か 。. ⑧. ま た 、 イ ギ リ スと 比 較 し た と き に 、 ド イ ツの制 度 は これ とど の よう に異 な るも のな のだ ろう か 。 そ も そ も 両者 は大 き. く 違 う も のな のだ ろう か 。 ﹁ワ イ マー ル 憲 法 は 、明 文 上 、イギ リ ス式 の議 院 内 閣 制 を採 用し た ﹂と いわ れ 、そ し て基本. 法 は 行 政 府 の組 織 に 関 し てほぼ ワイ マー ル 憲 法 の 条文 を受 け継 い で い る の であ れ ば 、 少 な く と も 制 度 の上 では イギ リ. スと 近 い の では な いか と 思 わ れ る 。 ま た 、 実 際 政 治 に お い て も ﹁ 態 様 と程 度 の差 異 は あ れ 、 首 相 に 何 ら か の首 長 的 地. 位 を 認 め る のが 、 む し ろ、 近 時 の 一般 的 傾 向 であ り、 政 治 の実 際 の要 求 に応 ず るゆ え ん な の であ ろう ﹂ と も いわ れ る. よ う に 、 実 際 政 治 の要 求 は ド イ ツと イ ギ リ スと で 似 た よ う な行 政 府 の仕 組 みを 導 い て い る の では な いか と の推 測 も 成 り 立 つ。. あ え て い って し ま えば 冒頭 に掲 げ た 内 閣 法 四条 二項 のよ う に. ドイ ツの. も し ド イ ツと イ ギ リ スと で共 通 す る も のが 多 い の で あ れば 、 こ れ ら を 日本 にお い て参 考 にす る際 に は 、 制 定 法 のほ う が 馴 染 みや す いと いう の であ れば 、. 一13一.

(4) ◎. 定 めを 参 考 にす る こと も でき るか も し れ な い。. もち ろん 、 ド イ ツは イ ギ リ スと 異 な る部 分 も あ る 。 そ れ は そ れ で日本 の制 度 を考 察 す る際 にも ま た 新 た な 視 点 を 提. 供 す る こ と にな ろう 。 こ のよ う な 意 図 を 抱 き つ つ、 以 下 では 、 第 一章 で宰 相 の組 織 上 の地 位 と権 限 に つい て、 第 二章. で宰 相 の政 府 内 部 にお け る作 用上 の権 限 に つ い て、 第 三 章 で宰 相 の各省 に 対す る権 限 に つい て検 討 を 加 え る こと と す る。. 内 閣 機 能 の強 化 策. 内閣機能 の強化 ( 案) ( 佐 藤 幸 治 委 員 )﹂行 政 改 革 会 議 事 務 局 O B. 行政改革 会議最終報告 ( 平 成 九 年 一二 月 三 日 ) 九 ∼ 二 二頁 ( 行 政 改 革 会 議 事 務 局 O B編 ・二 一世 紀 の 日 本 の行 政 ︹ 行政管理 別紙 二. の 連 結 のあ り 方 ﹂ 公 法 研究 六 一. 号 (二〇 〇 〇 年 ) 八 〇 頁 以 下 、 同 ﹁ 行 政 組 織 の ヒ エラ ル キ ー ﹂ 法 学 論 叢 一五 二巻 一 . . 号 (二 〇 〇. 毛利透 ﹁ ド イ ツ宰 相 の基 本 方 針決 定 権 限 と ﹃ 宰 相 民 主 政 ﹄﹂ 筑 波 法 政 二七 号 (一九 九 九 年 ) 三 九 頁 以 下、 同 ﹁ 内 閣 と行 政 各 部. に関して ( 佐藤 幸 治委 員 )﹂ 行 政 改 革 会 議 事 務 局 O B編 ・前 掲 注 ω 三 五 九 、 三 六 二頁 。. 編 ・前 掲 注 ω 四 七九 頁 。 ま た参 照 、 ﹁ 第 一回企 画 ・制 度 問 題 小 委 員 会 議 事 概 要 ( 平 成 九 年 七 月 九 日 ) 別紙 二. ﹁ 行 政改革会議集 中審議議事 概要別紙添付 資料. 研究 セ ン タ ー、 一九 九 八年 ︺ 所 収 、 四 一∼ 四三 頁 )。. 注 ω ②. ⑧. ( 有 斐 閣 、 .九 五 四年 ) ↓○ 〇 五 頁 。. 法 学 協会 編 ・前 掲 注 ㈲ 一〇 〇 六 頁。. 法 学 協会 編 ・註 解 日本 国 憲 法 下巻. 三 年 ) 一頁 以 下 。. 内pニ ピo①≦①コ磐愈ジ 勺2一 牙 巴 ℃o≦臼 き ロ9 ΦOo<①属昌ヨΦ匿巴 牢 08 ωρ 一⑩αメ b°ミ O ( 阿 部 照 哉 H山 川 雄 巳 訳 ・現 代 憲 法 論 ︿ 新. ㈲ ⑤. あ る。 た と え ば 、 ﹁イギ リ ス が、 [ ⋮ ⋮] 強 力 な宰 相 シ ス テム に よ る議 院 内 閣 制 を 形 成 し てき た の に対 し て、 ド イ ツ で は 、多 数. これ ら は 法 的 な 権 限、地 位 に着 目し た 理 解 であ るが 、 これ に政 党 シ ス テ ム を加 味 す れば 、ま た 別 の理 解 が 出 てく る の は 当然 で. 訂﹀ ︹ 有 信 堂 高 文 社 、 、九 八 六 年 ︺ 一二 四 頁)。. ㈲ ω. ( 〆き N一 ①a Φヨ oξ 四辞 一 ①) を 成 立 さ せ てき た﹂ と い う 理解 で あ る。 辻村 み よ 子 ・比 較 憲 法 ( 岩 波 書 店 、 二〇 〇 三 年 ) 一六 四 頁 。. 代 表 制 は 採 用 せ ず 、 比 例 代 表 制 と 多 数 政 党 制 下 の 二 党 連 立 政 権 を 基 調 に し つ つ、 イ ギ リ ス に 比 し て 脆 弱 な 宰 相 民 主 主 義. 一14一. 第51巻 第2号 近畿大学法学.

(5) ドイツ宰相の地位 と権 限. ⑧. 宰 相 民主 政 ﹄﹂ 四〇 頁 。 参 照 、 毛 利 ・前 掲 注 ⑧ の ﹁ ド イ ツ宰 相 の 基 本方 針決 定権 限 と ﹃. 法 学 協 会 編 ・前 掲 注 ω 九 八 三 頁 。 九 七 七、 九 九 六 頁 も参 照。. oo. 宰 相 は 、 ﹁実 質 的 組 閣権 ﹂ ( 9讐ΦユΦ=①ω囚〇三津 #げま 毒 αqω﹃Φo葺) を有 す る。 す な わ ち 、内 閣 は 宰. 内閣 の組 織 に関す る地 位と権 限. ⑨. 第 一章. 組閣権. 実質的組閣権. 第 一節 ω. 相 と大 臣 で組 織 さ れ るが ( 基 本 法 六 二条 )、 宰 相 は大 臣 の任 命 の提 案 を 大 統 領 に対 し て行 う ( 基 本 法 六 四条 一項 )。 大. ω. ( 勺O﹃団O旨PΦbh餌﹃団 ωOげΦωけ帥O叶ωωΦ屏﹃Φけ似同) に つ い て も 1. 担 当 大 臣 の 同 意 を 要 す る も の の1. 注 意 し な け れば な ら な い の は、 ﹁組 閣 権 ﹂ と 述 べ る場 合 に は、 人 の 任 命 権 に と ど ま ら ず 、 組. 任 命権 を有 す るが 、 これ. 統 領 は こ の提 案 に拘 束 さ れ る と解 され て い る の で、 実 質 的 な 任命 権 は 宰 相 に あ る こと と な る。 なお 、 宰 相 は 、 政 務 次 官. 所 管 領 域 の割 当. は 組 閣権 に含 ま れ な い と も 言 わ れ て お り、 第 三章 第 一節 で検 討 す る 。 ②. ⑰. 織編成権、すなわち所管領域 ( (甲 ①ωOゴ似沖ωげΦ﹃Φ圃 Oげ) の割 当 と 大 臣 数 の決 定 を 行 う 権 限 も 含 ま れ る点 であ る。 あ る論 者. は 、 組 閣 権 に は ﹁人的 ﹂ 要素 の み な らず ﹁ 組 織 的 ﹂ 要 素 も 含 ま れ ると 述 べ ると こ ろ であ る 。 こ の点、 議 会 と の関 係 で. ⑬. 政 府 に 組 織 編 成 権 が 属 す る こと は 基 本 法 八 六条 に よ るが 、 政 府 の内 部 でど こ に属 す る のか に つ い ては 明 文が 存 在 し な. い。 し か し 、基 本 法 上 の根 拠 を スト レ ー ト に 六 四 条 に 求 め る 説 と、 ﹁ 基 本 法 六 四条 一項 は、連 邦 宰 相 の組織 的 な組 閣権. を 暗 黙 のう ち に 前 提 と し てい る﹂ と し て、 六 四条 の み な らず 、 六 三条 や 六 七 条 も 含 め て導 か れ る 宰 相 の地 位 の中 に求. \. 一15一. ♂.

(6) ω. め る 説 に 分 か れ る が、こ の権 限 が 宰 相 に属 す ると いう 理 解 に つい て争 いは な い 。 実 務 上 も、執 務 規 則 九 条 一文 は ﹁個 々. の連 邦 大 臣 の所 管 領 域 は、 基 本 的 に、 連 邦 宰 相 が 定 め る 。﹂ と 、 ま た 大 臣 法 ( O①ω①盲 ロげ2 a①切①魯 貯①村げ巴言冨ωΦユ興. 言 蓄 琴 ユ窪 αΦH切§ 号 巽①笹①歪 お ︹ 切ヨ首O︺)二条 三 項 は ﹁ 連 邦 大 臣 に 対 す る 任 命 書 に は、委 ね ら れ る所 管 領 域 ( OΦω。 ゲ. ⑮. 似沖ω睾 ①戯) を挙 げ る も のと す る﹂ と 定 め る と こ ろ で あ る 。 こ れ ら の規 定 は 宰 相 に組 織 編 成 権 が あ る こ と を前 提 と し て い ると いえ よ う 。. 所 管 領 域 等 の決 定 権 に は 、 次 のよ う な 限 界が あ る と さ れ る。 第 一は 、 憲 法 上 の制 約 であ る。 す な わ ち 、 基 本 法 上 に. 09. 四条 ) は 必ず 設 置 し な け れば な ら な い。 ま た、 外 務 大 臣 と内 務 大 臣 に つい ても 設 置 す る こと が 憲 法 上 の. ⑯. 明 示 さ れ て い る大 臣 す な わ ち 国 防 大 臣 ( 六 五 a条)、 法 務 大 臣 ( 九 六 条 二項 四文 )、 財 務 大 臣 (一〇 八 条 三 項 二文 、 一 一二条 、 =. 要 請 と いえ るか ど う か は 学 説 上 、 争 いが あ る。 第 二 の制 約 は、 法 律 、 執 務 規 則 上 の制 約 であ る。 執 務 規 則 に も 、 法 務. 大 臣 (二 六 条)、 財 務 大 臣 (一六条 三 項、 二六 条 ) 内 務 大 臣 (二六 条 ) 外 務 大 臣 (一 一条 二項 ) の存 在 を前 提 に し た. 定 めが 置 か れ て い る。 第 三 の制 約 は 、 政 治 上 の制 約 であ る。 所 管 の種 類 、 割 当 は 、 現 実 の政 治 状 況 ( と く に 連 立 の状. 況 ) に左 右 さ れ る こと には 注 意 し な け れば な ら な い。 と り わ け、 誰 を何 に任 命 す るか に関 し て、 組 閣 に先 行 し て締 結. 無 任 所 大 臣 ・特 任 大 臣. な お、 所 管 領 域 の割 当 を 受 け な い無 任 所 大 臣 ( ζ博口団 ω一 Φ村Oご昌Φ{ りΦω〇一 日似沖ω 一 り①補Φ一 〇ゴ) や、. され る連 立 協 定 に政 治 的 に拘 束 さ れ る。 ③. ㈱. 所 管 領 域 の割 当 を 受 け るも の の そ の性 質 によ り独 立 し た 省 庁 ( カ①ωωo﹃け )を要 しない特任大臣 ( ︼ W二⇔ユΦω巳 巳①↓ 2 h母. ⑲. げ①ω8 ユΦ器 雪 叔四げ窪 ) の設 置 も 憲 法 上 可 能 と 解 さ れ てい る 。 上 で触 れ た大 臣法 二条 三項 が Ω①ωoゴ聾 ω㎞ ミ 巴αqと いう 語. を 用 い て い る の は、 こ の こ とを 暗 示 し て い る のだ と いう 論 者 も いる 。 も っと も、 実 際 に無 任 所 大 臣 が 設 置 さ れ た こと. 1s. 第51巻第2号 近畿大学法学.

(7) ドイツ宰相の地位 と権 限. 宰相代理. ま た 、宰 相 は 連 邦 大 臣 の 一人 を宰 相 代 理 に任 命 す る ( 基 本 法 六 九 条 一項 )。 代 理 の具 体 的 な 内 容 は 執. は な く、 第 二立 法 期 以 降 、 特 任 大 臣 が 無 任 所 大 臣 の代 わ り の機 能 を 果 た し て い る。 ω. 務 規 則 八 条 が 定 め てお り 、いわ く 、 ﹁ 宰 相 が 執 務 遂 行 一般 を 妨 げ ら れ ると き は 、基 本 法 六九 条 に基 づ き そ の代 理 に任 命. さ れ た 連 邦 大 臣 が 、 宰 相 のす べ て の所 管 範 囲 に お い て、 宰 相 を代 理す る。 そ の他 の場 合 は 、 宰 相 が 代 理 の範 囲 を 詳 細. に定 め る こ と が で き る ﹂。 ど の大 臣 を 代 理 にす るか に つい て、 権 力 集 中 を 恐 れ て、 財 務 大 臣 や 法 務 大 臣 、 内 務 大 臣 、. ⑫①. あ る いは 国 防 大 臣 を 代 理 に 任 命 でき な いとす る論 者 も い るが 、 こ の よ う な制 約 は 憲 法 上 存 し な いと いう 説 の方 が 通 説. 人数 ⑫D. 大 臣 の人 数 は 基 本 法 や 法 律 に お い て定 め ら れ て い な い。 人数 に憲 法 上 の上 限 が あ るか に つい ては 、 学 説. であ る。 な お 、 シ ュレ ーダ ー 政 権 に お い ては 外務 大 臣が 宰 相 代 理 に任 命 さ れ て い る。 ⑤. は 争 い が あ る が 、 消 極 説 の 方 が 多 数 で あ る 。 実 際 に は 一四 人 か ら 二 四 人 の 聞 で 揺 れ 動 い て い る 。 ち な み に 、 現 在 の. シ ュ レ ー ダ ー 政 権 で は 、 宰 相 以 外 に 外 務 、 内 務 、 財 務 、 法 務 、 国 防 、 経 済 ・労 働 、 教 育 ・研 究 、 消 費 者 保 護 ・食 糧 ・. ⑳. 農 業 、 保 健 ・社 会 保 障 、 環 境 ・自 然 保 護 ・原 子 炉 安 全 、 運 輸 ・建 設 ・住 宅 、 家 庭 ・高 齢 者 ・女 性 ・青 少 年 、 経 済 協. 組 織 編 成 の方 式. 組 織 編 成 の方 式 に つい ても ま た、 基 本 法 や 法 律 に定 めが な い。 実 務 上 は 、 一九 六 九 年 以 来 、. 力 ・開 発 を そ れぞ れ 担 当 す る 一三 人 の大 臣 が い る。 ⑥. 組織令 ( Oお 〇三ω巴 o⇔ωΦ二器ω①) によ り 行 わ れ て いる 。 組 織 令 は 政 府 の関 係 者 に 示 さ れ る の み で、国 民 に対 し 公 布 さ れ. るも の で は な い。 官 報 ( 切二巳 ①ω碧 NΦお①﹃) に ﹁ 連 邦 大 統 領 が △ △を ○ ○ に 関 す る 大 臣 に任 ず る﹂ 旨 の告 知 が 掲 載 さ. σ q). れ るに 過ぎ な い。 これ に 対 し ては、 法 治 主義 ・立 憲 主 義 の観 点 か ら学 説 の批 判 が 強 い。 す な わ ち 、 政 府 の組 織 に 関 す. る規 律 は 国 民 に 関 わ り な い内 部的 な も の では な く、 公権 力 の行 使 及び 公 役 務 の遂 行 のた め の大 綱 ( 竃 島 げ①ω鉱ヨヨ§. 一17一.

(8) 淵. であ る 以上 、 それ は 法 規 であ って、 国 民 に 知 ら さ れ な け れば な ら な い と い わ れ る。 こ れ に応 え て、 実 務 は、 法 律 及 び. ㈱. 法 規 命 令 に基 づ く 権 限 に影 響 を 与 え る所 管 の割 当 に 限 り 、 組 織 令 を 公 布 す る よ う に な った。 し か し、 まだ 不十 分 で あ. 解任権. ⑳. 大 臣 の解 任 権 も 、 形 式 的 には 大 統 領 が 有 す る が 、 任 命 と 同 様 、 宰 相 の提 案 に 拘 束 さ れ る ので、 実 質的. る と いう のが 学 説 の趨 勢 であ る ( 第 三章 第 二節 も参 照 )。 ⑦. に は宰 相 が 有 す る。 時 期 に関 す る制 約 は な く ( 大 臣 法 九 条 二項 二文 )、理 由 も 要 し な い。 解 任 は 大 臣 に 対 す る 懲 戒 の機. 以 上が ﹁ 実 質的 組 閣権 ﹂ 1. ㈱. 所 管 領 域 の割 当 、 任 命 、 解 任 な ど の諸 権 限i. のあ ら ま し であ る 。 ド イ ツ. 能 を有 し てい る と い え よ う。 こ の観 点 か らは 、 宰 相 が 所 管 領 域 の決 定 権 を 行 使 し て行 う 、 大 臣 の所 管 領 域 の縮 減 を 懲. 小括. 戒 の ﹁よ り緩 や か な 形式 ﹂ と し て合 わ せ て挙 げ る こと が でき る。 ⑧. ㈱. に お い ては 、 比 較 憲 法 の視 点 か ら、 こ のよ う な諸 権 限 は 次 の 二 つの点 で宰 相 の地 位 を 強 め るも の であ る こと が 指 摘 さ. れ る 。 第 一は 、 大 統 領 か ら 影響 を 受 け な い点 で あ る。 す な わ ち 、 フ ラ ン ス第 五 共 和 制 にお い て大 統 領 が 大 臣 の任 免 に. 関 し て影 響 力 を 行 使 す る のに 対 し 、 ド イ ツは む し ろ イギ リ ス に類 似 し て い る と いわ れ る。 第 二は 、 議 会 と の関 係 であ. る。 ラ ント 憲 法 の中 に は 、大 臣 の任命 や政 府 の職 務 の引 受 け (dげ①苫 菩 8Φ)のた め に議 会 の同 意 を 要 求 す るも のが あ. る ( た と えば バ ー デ ン ーーヴ ュル テ ン ベル ク 憲 法 四 六 条、 バ イ エル ン憲 法 四 五条 、 二ー ダ ー ザ ク セ ン憲 法 二九 条 三 項 、. ㈱. ライ ン ラ ント ーープ ァル ツ憲 法 九 八 条 二項 、ザ ー ル ラ ン ト憲 法 八 七 条 一項 二文 )。 さ ら に 、 所 管 領 域 の割 当 に つい ても、. ⑳. 憲 法 じ し ん で定 め るも の ( バ イ エル ン憲 法 四九 条 ) や 、議 会 の同 意 を 要求 す る も の (バー デ ン ーーヴ ュル テ ン ベル ク 憲. 法 四 五条 三項 ) が あ る。 これ ら と 比 較 し た 場 合 、 基 本 法 の定 め る 連 邦宰 相 の権 限 の強 さ は ひ と つの特 徴 だ と いう こと が でき るだ ろう 。. 一18一. 第51巻第2号 近畿大学法学.

(9) ドイツ宰相の地位 と権 限. 一で は、 宰 相 の大 臣 任 免 権 に着 目 し た が 、 よ り 広 く 、 内 閣 の成立 、 瓦 解 の過 程 に着 目す れ. 内 閣 存 立 の基 礎 と し て の宰 相. 内 閣 の成 立 と宰 相. 第 二節 ω. ⑬①. ば 、宰 相 が 内 閣 の存 立 に と って欠 か せ な い コ扇 の要 ﹂ の地 位 に あ る ことが 浮 び 上が る。 まず 、内 閣 の成 立 過 程 を 見 る。. ま た、 内 閣 の瓦 解 過 程 を 見 ても 、 ﹁連 邦 大 臣 の官 職 は、 連 邦 宰 相 の官 職 に依 拠 す る﹂。 宰 相. 69. こ こで は、 ﹁二段 階 ﹂ の過 程 を 経 る こと が 明確 に指 摘 で き る。 す な わ ち 、第 一段 階 と し て宰 相 の選 出 ( 基 本 法 六 三条 )、. 内 閣 の瓦 解 と宰 相. 第 二段 階 と し て 一で 扱 った宰 相 に よ る大 臣 の選 任 ( 基 本 法 六 四条 ) であ る。 ②. が 辞 職 す る のは、 第 一に自 発的 な辞 職 又 は 死亡 の とき 、 第 二 に新 し い連 邦 議 会 が 集会 し た と き ( 基 本 法 六九 条 二項 )、. 第 三 に 建 設 的 不 信 任 決 議 が 可決 さ れ た と き ( 基 本 法 六 七 条 一項 )、そ し て第 四に 宰 相 が 提 出 し た信 任 決 議 が 連 邦 議 会 に. ⑳. よ り 否 決 さ れ 、 連 邦 議会 が解 散 権 の行 使 を消 滅 さ せ る べく 新 し い総 理 大 臣 を 選 挙 し た と き ( 基 本 法 六 八条 一項 ) であ. る 。 基 本 法 六 九 条 二項 は、いず れ の場 合 に つい ても 大 臣 の職 務 が 終 了 す る こと を 明 記す る。 す な わち 、﹁ 連邦総理大臣. ま た は 連 邦 大 臣 の職 務 は、 いず れ の場 合 に お い ても 、 新 た な 連 邦 議 会 の集 会 と と も に終 了 し、 連 邦 大 臣 の職 務 は 連 邦. ㈱. 総 理 大 臣 の職 務 の そ の他 のす べ て の終 了 の 場合 に も、 終 了 す る ﹂。 これ は、 大 臣 の 政 治 的 運 命 の、 宰 相 に対 す る ﹁ 付. 従 性 ﹂鼻 NΦωωo﹃ 凶 ①慈 辞 ) を 意 味 し、 ま た 宰 相 原 則 の人 的 側 面 に お け る 現 れ で あ る と い わ れ る。 ま た 、 と く に上 の第 一の. 小括. ㈱. 以 上 の こ と か ら 、 ド イ ツ に お い て は 、 ︻[ 国 民 ]← [ 議 会 ]← [ 宰 相 ]← [ 大 臣 ]︼← [各 省 ] と い う 図 式 で 、 宰. ( 密 昌巴①﹃紹 ω ↓Φ§ ) と し て 設 け た こ と を 示 し て い る ﹂ と 述 べ る 論 者 も い る 。. ⑬の. 場 合 に 着 目 し て、 ﹁こ の [ ⋮ ⋮ ] 場 合 は 連 邦 議 会 と の 関係 が 問 題 では な く 、 基 本 法 が 議 院 内 閣制 を こ の点 に お い ては 宰相制 ③. 相 を 大 臣 よ り 一段 高 い 地 位 に 置 い て描 く こ とが イギ リ ス以 上 に可 能 であ るよ う に 思 わ れ る。. 一19一.

(10) ⑩. ⑪ 02. ⑱. αの. 注 閏3 馨 ⊥ ン δ 凋 き ひq bd9 評8 h oa ρ U 団 Φ oお 卯三 ω巴 8 ωぴ q⑦≦巴榊ぎ 鱒県. bdΦ邑 9 匹Φ﹃零 σ qδ ﹃彗 ぴ qb 諺色 ﹂ ⑩⑩G。"ω﹂ ωΦ頃 "Ω①o薦 =興 ∋ ①ω堕. 凶 ﹃ U ﹃①凶 ①﹃ (年 ω翰゜ )︾9 § 猪 ①ωΦ臼 象 。∋ ∋ ①ヨ 舞 bd匹﹄ "賊三 ゜①企 臣 塁 =①﹃ヨ Φω ( 団p 一〇)"≧ け ①介 菊号 B N心゜. 一8 ω噂ω﹂ 8 °. 日巨 o bd﹃き 号 2 11 Uマ評d≦Φざ ○﹃σ q9三 ω9ま づωΦ二霧 ωΦ ユΦω︼ W§ ユ①ω訂 昌Nδ﹃ω§ ユN二゜。感 包 回ぴq訂 津ωき 彊 ωω二詞 ぎ σ q①ω①巨 8 プ9 <♀ oa 2 昌ひqωq ∋ 習 葺 圃 ニコひqΦ昌"U警. ζ § oミ 内§ 団 ひ Q (年 ωぴq° )99 § ΩひqΦω9NI〆oヨ ヨ ①三 9 。﹃導しd9 ド 9 諺二自゜糟≧ け ①9 勾阜鐸. 9. ζ ①ぎ9 a ωo汀 αユ①こ ⇔ 日竃 き ひq巳癖 \囲 Φぢ \ω冨﹃o犀( 霞 ωゆ q° )"OΩ 訳oヨ ヨ ①ヨ 舞 じd畠﹄ 輩 諺邑 `≧ け ①♪ 勾音 旨 ゜P 器 一訳9ニー⊆ ﹁凶 魯 ζ ΦkP 凶﹃ <§. ﹁政 府 を 組 織 す る 人 間 を 宰 相 が 任 命 で き る な ら ば 、. た と え ば ヘ ル メ ス に よ れ ば 、組 織 権 に つ い て 定 め る 基 本 法 上 の 明 文 は な い が 、所 管 領 域 の 決 定 が 大 臣 の 任 命 に 先 行 し て 行 わ れ る以 上 、 合 議 体 と し て の内 閣 が 決 定 権 を 有 す る こ とは な く、 ま た そ も そ も. u凶① 護 巳 ω冨 ﹃<興 碧 ヨ 。補二団 。冥 Φ三 昌 ユΦ﹃<σ§ ωω⊆轟 ω。a 自 謁. ( ﹁づ﹂ ω)噌貯 け ①N 幻ユ冥. U2 響 三き 9 δ 鐸. ω゜ω① 旧. ﹁職 務 の 遂 行 が 一般 的 に 妨 げ ら れ る 場 合 は 常 に 全 所 管 範 囲 を. ユ①﹃bu仁乙 ①ω誘 窟 σ葬. 宰 相 は 関 連 す る 官 庁 (﹀∋ 一①﹁)の 数 と 大 ま か な 割 当 に つ い て も 規 律 す る こ と が で き な け れ ば な ら な い ﹂。 =興 ヨ ①ω (閃P 一〇)"寄 鐸. 固 窪 ω年 αぴ Qg. 介 じd9 訂 コまa Φ ( 勺p 一〇)噛Go°這 9. ωoξ 巳 臼. ( 閏p 一ω)噂≧ け ①卜。圃力号 μ P 司口﹄ 卜。°. ㈲. ωoξ 巳 興. ( ﹁戸 一ω)"≧ け ①駆"力身 づ ト 。刈゜. 代 理 す る ﹂ と 解 釈 す る 通 説 は お か し く 、 二 文 を 一文 に 関 連 づ け て 、 ﹁二 文 で 所 管 範 囲 を 決 定 し て い る 場 合 を 除 い て 、 職 部 の 遂 行. 一心゜. ⑯. Gっ9 ﹃& Φ﹃ ( 閃p 一ω)℃貯 戸 ①♪ 勾ユ塁. G 。り≧ け ①♪ 力働塁. αわ. Qりo汀 9 興. ( 閃p 一QQ)"≧ け ①b。"勾号 づ 9. ㈹. 寄 α鴨 ﹃ (男戸 一〇)鷺ωω゜①刈-刈ら゜ た だ し 年 ααq興 に よ れ ば 、 八 条 を. ωo訂 9 興. 09. 一伊. ⑫①. U<bd一 ゜お ㎝゜。"ω゜合 P. 国 防 大 臣 を 宰 相 代 理 に任 命 す る こ と に 反 対 す る説 と. が 一般 的 に 妨 げ ら れ る 場 合 は 全 所 管 範 囲 を 代 理 す る ﹂ と 理 解 す べ き だ と い う 。 財 務 大 臣 、 法 務 大 臣 、 内 務 大 臣 を 宰 相 代 理 に 任 命 す る こ と に 反 対 す る 説 と し て 、 ミ o碁 き ぴq 勺自磐 β. 訳 語 に つ い て は 、 総 務 庁 行 政 管 理 局 監 修 ・主 要 国 行 政 機 構 ハ ン ド ブ ッ ク. ωoぼ & ①﹃ ( 団p 一ω)"≧ け ①卜。堕力音 μ 日O 胴出 臼 日 Φω ( ﹁p 一〇)噂≧ け ①N 男号 づ 這 ゜. し て 、 ⊆ 腎 げ UdΦo〆Φヨ き P Uδ 菊①oげけ ωω邑 ピ ⇔ゆ q α①ωQっ邑 才 Φ﹁嘗2 興 ω ユ①ωゆ巷 ユ①ω冨 嵩 一臼 ω弘 り①ρ ω ゜臼 ゜ ⑳. ︹改 訂 版 ︺ (ジ ャ パ ン タ イ ム ズ 、 一九 九 三 年 ) を 参 考. ⑳. 一20一. 第51巻第2号 近畿大学法学.

(11) ドイツ宰相の地位 と権限. ⑳. 国ヨ 2 ¢三 9 冒 鼻 g U帥 Φ国9 岳幕 鼻 。暮 Φ↓ ①自 匹Φωbd目 伍Φω訂 ヨ Φβ μ 03 ω為 O°. ωo 訂 巳興 ( 国 ﹂ ω)層≧ け ①距 幻ユ糞 ゜。ド. ω9 a 自興 ( 国 ﹂ ω)"≧ け ①声 幻ロ糞 Hご bd9 冨 自oa Φ ( 国 ゜一〇)堕ψ 卜。G 。犀. にした。. ㈱. バー デ ン ーーヴ ュ ル テ ン ベル ク 憲 法 四六 条 三項 ﹁ 政 府 は 、 官 職 の引 き 受 け のた め に ラ ント 議 会 の承 認 ( 切①9舞 σ q仁⇔o q) を 必 要 と. 出輿 ヨ①ω ( 守 ﹂ O)"﹀拝 ①心9男音 B °ω退 ゜. ㈱. ㈱. 会 の同 意 を 得 て大 臣 を 任 免 す る。﹂ 七 、 労 働 及び 社会 保 障. 八、運輸、郵便及び電 報. 特任 大臣は、. 三、 教 育 及び 文 化. 二. 職 務 領 域 の数 の増 減 及 び 区 分 の変 更 は 、首 相 の提 案 に基 づ き 、ラ ント 議 会 の. 六、 ラ ン ト 経 済 、 食 糧 及 び 山 林. バ イ エル ン 憲 法 四九 九 条 ﹁一 政 府 の 所 管 は、 次 の所 管 領 域 ( 省 庁 ) に分 割 す る。 一、 内 務 五、 経 済. 二、 法 務. を 必 要 と す る。 大 臣 の解 任 のた め に は 、 ラ ント 議 会 の同 意 を 必 要 とす る。﹂ ザ ー ル ラ ント 憲 法 八 七条 一項 二文 ﹁ 首 相 は ラ ント 議. に、法 定 議 員 数 の過 半 数 で、首 相 を 選 出 す る 。 首 相 は 大 臣 を 任 免す る。 政 府 は職 務 の引 き受 け のた め に ラ ント 議 会 の明 示 の承 認. 官 職 の引 き 受 け のた め に ラ ント 議 会 の同 意 を 必 要 と す る 。 ﹂ ラ イ ン ラ ン ト ーープ ァ ル ツ憲 法 九 八条 二項 ﹁ラ ント 議 会 は 、 討 論 な し. 憲 法 四五 条 ﹁ 首 相 は 、 ラ ン ト議 会 の同 意 を 得 て、大 臣及 び 次 官 を 任 免 す る。﹂ ニー ダ ー ザ ク セ ン憲 法 二九 条 三 項 ﹁ ラ ント 政 府 は 、. す る。﹂ 同 四項 ﹁承認 後 の 首 相 ( 護 巳ω毎弓鼠 ω 箆Φ昌8昌) に よ る 政 府 構 成 員 の任 命 に は 、 議 会 の 承 認 を必 要 と す る 。﹂ バ イ エル ン. ⑳. ㈱ 四、 財 務. 二人 を 超 え な い限 り 、設 置 す る こ と が で き る。 三. バー デ ン ーーヴ ュル テ ン ベル ク 憲 法 四五 条 三 項 ﹁ 政 府 は ラ ン ト議 会 の立 法 権 にか かわ らず 、 政 府 構 成 員 の所 管 領 域 を 決 定 す る 。. 議 決 によ り 行 う 。﹂. 曽 uσ`ぎ 涛醇 穿 ωωρ bd§ 匹8 訂 自 す 掌。 葺 § α野 巳 ①ω﹃ 紹 醇 8 αqる 諺色 ﹄ 08 "ψ ら゜。° ud⊆ωω① ( 局戸 9。O)植ω゜置 ゜. そ の決 定 に は ラ ント 議 会 の同 意 を 必 要 と す る 。﹂. 第 四 の場 合 に 関 し て、信 任 決 議 の否 決 そ れ 自 体 は 宰 相 の辞 職 を義 務づ け な い。 少 数 内 閣 と し て存 続 す る可 能 性 が 開 か れ て い. ㈲. ㊨① 鋤. ( 勺昌゜一ω) "貯 " ①ρ 幻音 り ω゜. 国興 8Φω ( 団口゜一〇)"≧ け ①P "α鐸 一ρ. 田 易 -℃①鼻 ω。ぎ ①達Φ﹃ 噛ぎ 民 。8ヨ2 § 碧 8 0歪 巳 騎8 欝 盆 ﹃&Φ ud§ 匹Φωお謹 げ一 涛 ∪Φ暮8 注碧 P δ ゜。距 ≧ け ①P 寄 塁 ご. る ( 基 本 法 八 一条 を 参 照 )。. 鋤 ㈱ 竃① §. 一21一.

(12) 65. こ の点 、 す で に樋 口陽 一が ﹁ 連 邦 議 会 が 連 邦 宰 相 だ け を 選 挙 し 、 か つ、 連 邦 宰 相 だ け を 信 任 ・不 信任 決 議 の対 象 とす る 一方 、 連 邦 大 臣 に つい て の実 質 的 任 免 権 を 連 邦 宰 相 にあ た え る こと に よ っ て、連 邦 政 府 のな か で の 連 邦宰 相 の 地位 は、き わ め て強 化 さ. 内 閣 の運営 に関 す る権限. れ て い る﹂ と述 べて い る と こ ろ も参 考 にな る。 樋 口陽 一 ・比 較 憲 法 ︿ 全訂第三版﹀ ( 青 林 書 院 、 一九 九 二 年) 三 二 二頁 。. 第 二章 基本方針決定権. ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ 宰 相 は、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ( 空 Oゴ一 嵩昌凶 ①昌山Φ機勺O嵩畝評)﹂ を 定 め る 権 限 を 有 す る (基 本 法 六 五. 第 一節 ω. ⑬の. 条 一文 、執 務 規 則 一条 一項 )。 も っと も 、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂と は 何 か 、そ の法 的 性 質 や 形式 に つい ては 明 確 では な い。. ㈱. ㈱. これ に 対 し て、 も ち ろん 、 様 々 な 形 で ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ を 定 義 し よ う と す. ﹁ 何 が ﹃政 治 の基 本 方 針﹄ と し て適 切 であ るか 、 と いう 問 いは 、 多 く の努 力 に も か か わ らず 、 全 員 一致 す. た と えば 、 ヘン ニ スに よ れば ﹁ ﹃基 本 方 針 ﹄ の概 念 の定 義 は いか な る法 概 念 の解 釈 に よ って も 推 論 で き な い﹂ し、 マイ ン によ れば. ﹁政 治 の基 本 方 針 ﹂ 定 義 の試 み. るか た ち で解 決 さ れ て いな い﹂。 ②. る試 みが な さ れ てき た 。 こ こ では 、 ユ ンカ ー の整 理 に した が って これ ら の試 みを 概 観 す る。 第 一に 、 法 令 用 語 であ る. 以上 、 他 の法 令 に お け る ﹁ 政治﹂ ﹁ 基 本 方 針﹂ と いう 語 の意 義 か ら考 察 し よ う と す る試 みが あ る。 し か し、 こ の 試 み. は 、 いず れ の 語 も 法 令 用 語 と し て確 立 し た も の でな いた め にう ま く い か な い。 す な わ ち 、 ﹁ 基 本 方 針﹂ の 語 は 、 行 政. 法 に お い て も 使 用 さ れ るが 、 こ こ では 行 政 行 為 の法 規 への 一定 の拘 束 が 問 題 と な る のに 対 し 、 ﹁ 政 治の基本方針﹂に. お い ては か か る拘 束 は 存 在 し な い。 ま た 、 ﹁ 政 治 ﹂ ﹁政 治的 ( 宕 ま ω9 )﹂ の語 も、 ﹁ 政 治 的 理 由 ﹂ (ライ ヒ 公 務 員 損 害 賠. 一22一. 第51巻第2号 近畿大学法学.

(13) ドイツ宰相の地位 と権 限. ㈹. 償 法 ) ﹁政 治 的 官吏 ﹂ ( 連邦公務員法) ﹁ 政 治 的 結 社 ﹂ (ラ イ ヒ結 社 法 ) な ど 、 時 々、 法 律 の中 で利 用 さ れ る が 、 文 脈 に. 応 じ て様 々な 意 味 を も つ。 そ れ ゆ え 、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ の定 義 を 語 の解 釈自 体 か ら導 く こ と は 不可 能 とな る。. 第 二 の試 みは 、 歴 史 的 に ﹁政 治 の基 本 方 針 ﹂ の概念 を探 る も の であ る。 しか し こ こか ら も 解 答 は 得 ら れ な い。 基 本. 方 針 の観 念 を 産 み出 し た のはプ ロイ ス であ る が 、 彼 が この観 念 に よ って 目指 した こ とは 、 第 一に議 会 に対 す る責 任 の. 分 割 を 行 う こと 、 そ し て第 二に 国 政 全 体 に つ い て責 任 を 負 う政 治家 を作 り出 す こ と であ った 。 彼 は 、 ﹁ 政治﹂ ﹁ 基本方. 針 ﹂ と いう 語 に正 確 な 意 味 を 持 た せ て いた わ け では な く 、 具 体的 な権 限 は慣 行 の中 か ら産 み出 さ れ る べき であ ると 考 え て いた 。. 第 三 の試 みは 、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ が 属 す る 国家 活動 の領 域 、 す な わ ち 統 治 ( 男Φα qδ≡ お )領 域 の特 徴 か ら そ の意 味. ゴ. を導 こ う とす る も の であ る。 こ こ でよ く 引 用 さ れ る シ ョイ ナ ー に よ れば 、 政 治 と は ﹁ 社 会 全 体 を形 成 す る 一定 の理 念. ω. や 目的 の設 定 や 実 現 ﹂ であ り、 ﹁ 国 家 全 体 に関 わ る 目的 に つい て の、 ま た そ の実 現 のた め に社 会 的 な 力 を 獲 得 し 行 使. す る こ と に つい て の創 造 的 な決 定 ﹂ であ る。 ま た 基 本 方 針 と は ﹁国 家 指 導 の政 治的 な決 定 ・基 本 方 針 の定 立 ・国 家 の. 働. 統 合 的 な指 導 ﹂ (ユ ンカ ー )、 ﹁根 本 的 に 国 家 の方向 を定 め る決 定 又は 政 治 的 な 目 的 ・原 則 の決 定 ﹂ (シ ュレ ーダ i ) と. ま と め ら れ る 。 も っと も 、 こ の議 論 の前 提 に は 統 治 領 域 、 あ る いは 政 治 権 ( 層○ま ωoげ①○①毛巴辞 ) を 国 家 作 用 の 一部 と. し て 認 め る 理 論が 存 す る。 こ の 理論 は、 伝 統 的 な 権 力 分 立 の理 論 、 す べ て の作 用 を 法 の観 点 か ら 説 明 し よ う とす る実. ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ の流 動 性. そ こ で、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ の定 義 を あ き ら め 、 む し ろ 政 治 指 導 の道 具 と し て の. 証 主義 の 理論 への挑 戦 を含 ん で お り、 受 け 入れ るた め には 慎 重 な 吟 味 が 必 要 に な る だ ろ う 。 ③. 機 能 に 着 目 し て、 基 本 方 針決 定 権 は宰 相 が 政 治 的 指 導 権 を 貫 徹 し 確 保 す るた め に 用 いる あ ら ゆ る 権 限 を 意 味す る のだ. 一23一.

(14) ㎜. と 述 べ る論 者 が 出 てく る 。 し か し、 こ の立 場 に お い て、 他 の基 本 法 や 法 律 の条 項 によ って宰 相 に与 え ら れ る権 限 以 外. に 、 基 本 方 針 決 定 権 か ら 新 た な 固有 の権 限が 導 か れ る のか 、 導 か れ る とし てど のよ う な も のな のか は 明 確 でな い。 こ. の立 場 は 、 基 本 方 針 決 定 権 の法的 な 内容 を詰 め る こ と よ りも む し ろ、 基 本 方 針 決 定 権 が 宰 相 に あ ると いう こと が 実 際. に 大 臣 に与 え る 心 理 的 な 影 響 、 宰 相 と 大 臣 の関 係 に 生 じ る 政 治 的 な 効 果 に着 目 し て、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針﹂ と は 何 か を. 考 え よ う と いう アプ ロー チ であ る と 解 さ れ る。 そ の意 味 で、﹁ 政 治 の基 本 方 針﹂の内 容 は そ の時 々 の現 実 政 治 の姿 を 反 映 す るも のと いう こと に な ろ う 。. ま た 、 基 本 方 針 で定 め る こと が でき る事 項 を宰 相 が 自 ら 決 定 でき ると す る論 者 が い る。 ヘル メ スは 、 宰 相 は ﹁ 定義. ㈱. 権 ( UΦ穿 注 8 ω犀09需 8昌N)﹂を 有 す る と い う 。 し か し、 こ の主 張 は ワイ マー ル 憲 法 下 か ら 基 本 法 下 の初 期 に 唱 え ら れ. た ﹁ 権限決定権 ( 囚o日需 8嵩 犀oヨ需 ↓ ①⇔N)﹂ の主 張 と 重 な る と ころ が 多 いよ う に 思 わ れ る 。 権 限 決 定 権 と は基 本 法 の. 真 正 な 解 釈 権 を 認 め る も の であ り、 か か る権 限 は いか な る国 家 機 関 にも 存 し な いと す る反 対 論 が こ こ でも 当 ては ま ろ. ⑳. ㈱. う 。 反 対 論 に よ れば 、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針﹂ の内 容 は 、 あ る いは 、 基 本 法 の解 釈 に 関 わ る 以 上 、 憲 法 裁 判 所 の権 限 争 議. に 委 ね る べき だ と さ れ 、 あ る いは 、 政 治 過 程 に委 ね る べき だ とさ れ る。 も っと も 宰 相 の ﹁ 定 義 権 ﹂ を 唱 え る ヘル メ ス. 自 身 も こ の権 限 に 憲 法 上 の限 界 が あ る こと を 認 め て い る点 には 注 意 し な け れ ば な ら な い。 こ の点 で ﹁ 権限決定権﹂ の. 主 張 と は 決 定 的 に 異 な る と 解 す る こと も 可 能 で あ る。 しか し 、 憲 法 上 の限 界 は 不 明 であ り 、 そ の確 定 に 力 が 注 が れ て. い るわ け でも な い。 む し ろ 議 論 の力 点 は、 抽 象 的 な憲 法 上 の限 界 の範 囲 内 で、 宰 相 が 基 本 方 針 の内 容 を 実 際 の政 治 過. 程 の中 で決 め て い く のだ と いう 点 に置 か れ て いる 。 そ の意 味 で、 こ の ﹁ 定 義 権 ﹂ と い う主 張 も ま た 、 ﹁ 政 治 の基 本 方. 針 ﹂ の内 容 は 政 治 過 程 の中 で作 ら れ る も ので あ る と いう 立 場 に含 め て理 解 でき ると 解 さ れ る 。. 一24一. 第51巻第2号 近畿大学法学.

(15) ドイ ツ宰相 の地位 と権限. ㈲. ﹁ 政 治 の基 本 方 針﹂ の特 徴. 結 局、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針﹂ の内容 は 一義 的 に 明 ら か と はな ら な い。 柔 軟 性 が 本 質 的. 特 徴 であ ると 言 わ れ る所 以 であ る 。 し か し 、 ど のよ う な 立 場 か ら も、 お お む ね次 の 二点 を ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ の特 徴 とし て挙 げ る こと が 可 能 であ ると 解 さ れ る 。. 第 一に、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ は ﹁具 体 化 ﹂ を 必 要 と す るも の で あ る と いう 点 であ る。 そ も そ も ﹁基 本 方 針 ﹂ と いう. 語 か ら 、 そ の決 定 は さ ら な る ﹁仕 上げ ﹂ § ω西①斡巴9⇔ぴ q) のた め の余 地 を 与 え な け れば な ら な い。 ﹁ 枠 ﹂と し て の性 質. 60. を 表 現 し て い る の であ る。 ま た 、 基 本 法 の定 め 方 は 、 統 治 の決 定、 政 治決 定 のす べ て を宰 相 が 基 本 方 針 の形 式 で行 う. の では な く 、 大 臣 も 、 内 閣 の 一員 又は 各 省 の長 と し て統 治 の決 定 に参 加す る こ と を 予定 し て い る旨 が 指 摘 さ れ る。 こ. 励. の こ とは 、 各 省 ( 勾①ωωo暮ω) に 独自 の決 定権 1 そ れ も、 単 な る行 政 執 行 上 の決 定 では な く 、 政 治 決 定 を 行 う 権 限 1 を. 留 保 し な け れ ば な ら な いと いう こと を 意 味 し てお り 、 これ は 基 本 法 六 五条 二文 に い う大 臣 の所 管 原 則 と 関 連 す る こと にな ろう 。. 第 二 の特 徴 は 、 ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂は 国家 全体 に関 わ る内 容 であ ると いう 点 であ る。 これ は、先 に挙 げ た シ ョイ ナ ー. の定 義 に端 的 に表 現 さ れ て い る。 こ の こと 自 体 は 、 政 治 ・統 治 に 独自 の位 置 を 認 め な い説 か ら も 否 定 さ れ な い の では. こ のよ う な 特 徴 と の関 連 で、 ま た基 本 方 針権 限 の内 容 を 少 し でも 明 ら か にす るた め. な いだ ろう か 。 プ ロイ スが 国 政 全 体 に責 任 を も つ政 治 家 を 作 り 出 す 目的 で ﹁ 政 治 の基 本 方 針 ﹂ を 導 入し よ う と し た こ. 大 臣 に対 す る個 別 の命 令. と と も平 灰 が 合 う 。 ⑤. に、 一つの論 点 に触 れ る。 そ の論 点 と は ﹁ 宰 相 は 基 本 方 針 権 限 に 基づ い て 具体 的 な行 為 、 措 置 を 大 臣 に命 じ る こと が. で き る のか ﹂ と いう 問 題 で あ る 。 こ の点 、 先 に 挙 げ た 特 徴 の 一番 目、 す な わ ち ﹁﹃ 政 治 の基 本 方 針 ﹄ は ﹃具 体 化 ﹄ を. 一25一. 0.

(16) n1/`3i. 必 要 と す るも の であ る﹂と いう 点 か ら は 、個 別 の ﹁ 命 令 ﹂は 否 定 さ れ る こと に な り そ う であ る 。 ク レ ーガ ー に よ れば 、. ﹁ 大 臣 が 個 別 に い か な る措 置 を 必 要 と す るか 、 大 臣 が いか な る道 を歩 む のか を 決 定 す る こ とが で き る のは 大 臣 の み で. あ る。 宰 相 は 、 自 ら こ の決 定 を 行 う こと が でき な い 。 宰 相 は、 具 体的 な 場合 に お い て は、 政 治 の基 本 方 針 が ま った く. 6の. 又 は十 分 に顧 慮 さ れ て いな い際 に異 議 を 唱 え る 権 限 ( 義 務 でも あ る ) を有 す る に過 ぎ な い﹂。. し か し、多 く の論 者 は 個 別 の ﹁ 命 令 ﹂を 肯 定 す る。 た と えば イプ セ ンは 、 ﹁ 政 府 の存 続 と って重 要 な 高 度 に政 治 的 な. ( ゴoog oま ω9 ) 個 別事 例 に お け る決 定 も ま た ﹁ 政 治 の基 本 方 針﹂ で あ る こ と は、 今 日、 承 認 さ れ て いる ﹂ と 述 べる 。. ま た シ ュテ ル ン は、 一九 六 六年 の イ ス ラ エル と の国 交 回 復 、 一九 六 九 年 の通 貨 切 り 上げ し な い と の決 定 を 例 とし て挙. ㈱. げ つ つ、 ﹁一定 の場 合 に は 、す な わち 具 体 的 な 決 定 の中 に 政 治 の方 向 が 表 明 さ れ てい る 場 合 や 具体 的 な問 題 の中 に原 則. が存 在 し てい る 場合 に は、 政 治 の基 本 方 針 は 完 全 に 具 体 的 な 決 定 を 含 む こと が でき る﹂ と 述 べる。 ま た、 ク レー ガ ー. が 具 体的 な決 定 に 否定 的 な論 者 と し てあ げ る ベ ッケ ン フ ェル デ も 、 具 体 的 な 事 案 そ のも の の中 に原 則的 な こ とが 含 ま. ⑰. れ て いる 場 合 に は 例 外的 に基 本 方 針 権 限 の行 使 と 個 別 の事 案 に お け る 決 定 と が 重 な る こと を 認 め、 一九 六 三年 の独 仏. 友 好 協 力 条 約 の締 結 を 例 と し て挙 げ る。 クネ ップ フル は 、 起 草 者 であ るプ ロイ ス の意 思 か ら も、 ま た ﹁ 事 物 の本 性 ﹂ か ら も 政 治 の基 本 方 針 は個 別的 な決 定 も排 除 す るも の では な いと 結 論 づ け る。. こ のよ う に、 個 別 の ﹁ 命 令﹂ が 承 認 さ れ ると いう こ と は、 ﹁ 政 府 の基 本 方 針 ﹂ と は 何 か を 考 え る際 、 先 に挙 げ た特. 形式. 基 本 方 針 の形 式 に つい ては、 一定 の も のが あ るわ け では な いと いう のが 通 説 的 見 解 であ る 。 書 面 であ る. 徴 の 二番 目 、﹁ 政 府 の基 本 方 針 ﹂と は 国家 全体 に 関 わ る内 容 であ る こと が 重 みを 持 つこと を 示 唆 し てい る よ う に 思 わ れ る。 ㈲. 一26一. 第51巻第2号 近畿大学法学.

(17) ドイツ宰相 の地位 と権 限. 69. 必 要 も な い 。 具 体的 に は、 政 府 声 明 ( 閑Φ短①﹃§ 晦ω2匹弩 § σq)、 公 の場 で の談 話 、閣 議 で の発 言 や 態 度 、大 臣 に 対す る. ㊨①. 基 本 方 針 の名 宛 人 は、 大 臣 であ る。 す な わ ち 、 執 務 規 則 一条 一項 二文 は ﹁基 本 方 針 は連 邦 大 臣 を拘 束. 手 紙 の中 な ど で触 れ ら れ る。 大 臣 は 、 これ ら を 注 視 し 、 場 合 に よ っ ては 宰 相 府 に 接 触 す る こと で 基 本方 針 を知 る必 要. 名宛 人. もある。 ω. ㈹. し 、 連 邦 大 臣 が そ の所 管領 域 に お い て独 立 し て固 有 の責 任 のも と に 実 施 す る ﹂ と 定 め る 。 こ こで 基 本方 針 は、 各 省 の. 指揮 ( 幻Φωωo﹁邑 ①凶 ωεお ) の みな らず 、大 臣 の そ の他 の政 治 上 の行 為 を も 拘束 す る。 た と えば 、執 務 規 則 一二条 は ﹁ 公. の場 で行 わ れ る 又 は 公 の た め に定 め ら れ た連 邦 大 臣 の発 言 は 、 連 邦 宰 相 が 定 め る 政 治 の基 本 方 針 と合 致 し な け れば な. ㈹. ら な い。﹂ と定 め る 。 これ は 、 宰 相 が 有 す る政 府 の職 務 執 行 の統 一性 を 確 保 す る権 限 、 そ の 反 面 と し て大 臣 に課 せ ら. 実 施 の担 保. 基 本方 針 の実 施確 保 の た め の手 段 に つい ては 、﹁ 法 の問 題 では な く 、政 治 的 な 貫 徹 能 力 の 問題 であ. れ る 対 外 的 に 一体 と し て 行 動 す る義 務 に 関 わ る ( 第 二節 を 参 照 )。 ⑧. る ﹂と いわ れ る。 基 本 法 に具 体 的 な 担 保 手 段 に つ い て の定 め は な い。 また 執 務 規 則 にも 、 ﹁ 連 邦 宰 相 は 、基 本 方 針 の実. 施 を 監 督 す る権 利 及 び 義 務 を 有 す る﹂ と いう 定 め は あ る も の の (一条 二項 )、 こ の権 限 を担 保 す る た め の具 体 的 な 方. 途 に つい ては 、強 い て い えば 執 務 規 則 三条 の報 告 徴 収 権 が いく ら か こ の機 能 を 有 す る も の の、と く に何 の定 め も な い。. こ の こと か ら 、 第 一に、 宰 相 は実 施 さ せ る た め に、 各 省 を 自 ら 指 揮 す る こと は 許 さ れず 、 第 二に、 大 臣 に 対す る批 判. 小括. 以 上 、 基 本方 針決 定 権 に つい て概 観 し た 。 そ の内 容 や 形 式 は 明 確 でな く 、 ま た 効 果 も 法的 な も の と は い. や 叱 責 、 重 大 な 場 合 に は 大 臣 の解 任 に 担 保 を求 め るし か な い こと が 導 か れ る。 ⑨. え な い 。 さ ら に い えば 、 実 際 に基 本 方 針 決 定 権 を 宰 相 が 明 示 的 に行 使 し た 例 は ほ と ん ど な い 。 この よ う な点 に鑑 み れ. 一27一.

(18) 融繰. ば 、 基 本 方 針 決 定 権 に 宰 相 の地 位 を 劇 的 に強 化 す る機 能 を期 待 す る のは 行 き 過 ぎ であ る。 し か し 、 基 本 方 針 決 定 権 が. 宰 相 にあ る こと に よ っ て、 実 際 に そ れ を 行 使す る ま でも な く大 臣 が 宰 相 に 一歩 を 譲 ると いう 政 治 的 な 意 味 が 出 てく る. こと を 看 過 す る こと は でき な いと 解 さ れ る 。基 本 方 針決 定 権 は、 現 代 国 家 にお い て執 行 部 の長 が 当 然 に 有 す る 力 を 明. 宰 相 は 、 政 府 の執 務 指 揮 権 ( Ω⑦ω9 鋒 巴①罰 9 ⇔ぴqω犀oヨ需 ↓Φ自 ) を 有 す る 。 す な わ ち 、 基 本 法 六 五 条 四 文 い. 政 府 の執 務 指 揮 権. 文 化 し た も のと いえ るよ う に 思 わ れ る 。. 総説. 第 二節 ω. わく ﹁ 連 邦 宰 相 は 、 連 邦 政 府 が 決 定 し 、 か つ連 邦 大統 領が 認可 し た執 務 規 則 に従 って、 連 邦 政 府 の事 務 を 指 揮 す る ﹂。. 執 務 指 揮 権 は 、 合 議 体 と し て の政 府 の運 営 に 関 わ る も の であ る。 ただ し、 そ の対 象 は 、 合 議 体 と し て の政 府 に は 属 し. な いが 、 閣 議 に参 加 す る次 官 や そ の他 の官 僚 に ま で拡 大 さ れ る。 ま た、 執 務 指 揮 権 は 、 狭 く 閣 議 で の議 長 8 村ω欝 ). の役 割 に とど ま ら ず 、 時 問 的 に前 後 の諸 権 限 を も 含 み、 空 間的 に も閣 議 の外 で政 府 全 体 を 総 合 調 整 す る権 限 を 根 拠 づ. ㈹. 宰 相 は 、閣 議 を 召 集 し ( 執 務 規 則 二 一条 一項 二文 )、そ のた め の 用意 を宰 相 府 長 官 に指 示す る (二. け る。 ただ 、 ﹁ 執 務 規 則 に従 っ て﹂ 行 わ れ る 点 に は 留 意 が 必 要 で あ り、 執 務 規 則 は と く に 閣 議 に関 し て 比較 的 詳 細 な. 閣 議 の 召集. 定 めを 置 い て い る。 ②. 一条 一項 一文 )。 現 在 、 閣 議 は毎 週 水 曜 日 に 開 か れ て い る。 具 体 的 には 、 宰 相 は 議 事 日 程 倉 禮 Φωoa 昌巷 σq) と 、 そ れ. ぞ れ の議 事 に つき 誰 を 参 加 さ せ るか を 決 定 す る。 議 事 日 程 の決 定 に 関 し て は、 宰 相 は 、 自 分 にと り 都 合 の悪 い結 果 と. な り そ う な議 題 ( 宰 相 が 反 対 し て い る決 定 や 、 宰 相 が 進 め よ う と し てい て も閣 議 にお い て敗 れ る可 能 性 が あ る議 題 が. 一28一. 第51巻第2号 近畿大学 法学.

(19) ドイ ツ宰 相 の 地 位 と権 限. 考 え ら れ る) は 審 議 を 先 延ば し にす る こ とが 可 能 と な る。 ま た そ も そ も 、 議 事 日 程 を 決 定 す る 前 の段 階 で、 各 大 臣 か. ㈱. ら 上 が っ てく る議 題 に つい て、 そ の内 容 に影 響 を 与 え た り 、 場 合 によ っては 提 案 そ れ 自 体 を 拒 否 す る こと も 可 能 と な. ると いう (こ の場 合 は 宰 相 と 大 臣 と の関 係 の中 で基 本 方 針 権 限 を 行 使 し てい る と考 え ら れ て い る)。 こ の点 を 強 調 す れ ば 、 宰 相 は 相 当 強 い 主導 権 を 発揮 で き る こ と に な ろう 。. ま た 、 議 事 への参 加者 の決 定 と は 次 のよ う な こ と であ る。 す な わ ち 、 執 務 規 則 に よ れ ば 閣 議 の参 加 者 は 、 通 常 は 、. 大 臣 、 宰 相 府 長 官、 宰 相 付 き の政 務 次官 、 大統 領 府 長 官 、 宰 相 顧 問 、 プ レ ス部 長 、 書 記 官 であ る が ( 執 務 規 則 二三 条. 一項 )、 次 官 ( ω砕 O櫛一 ωωΦ} ︻ ﹃Φけ似﹃Φ昌) 以外 の官 僚 を 個 々 の事 案 に 関 す る審 議 に加 え る こ とが 望 ま し い場 合 には 、 大 臣 の申. し 出 に基 づ き、 宰 相 は これ を 認 め る こ とが で き る (同条 三 項 )。 さ ら に、 宰 相 は 出席 者 を 大 臣 の み に限 定 す る こ と も. 閣 議 の議 長. ㈹. 宰 相 は 閣 議 の議 長 を 務 め る ( 執 務 規 則 二 二条 一項 )。 宰 相 は 、 発 言 を 許 し、 表 決 を 行 う 。 な お 、. でき る ( 同 条 四項 )。 ③. 議 決 権 が あ る のは 基 本 法 六 二条 よ り 、 大 臣 と宰 相 に 限 ら れ る。 執 務 規 則 は 議 決 時 の定 足 数 を 宰 相 を 含 め て大 臣 の半 数. と 定 め る (二 四条 一項 )。 ま た議 決 は多 数 決 とし 、 可 否 同 数 のと き は 議 長 の票 に よ り 決 す る (同条 二項 )。 議 長 は 、 決. σ①. 定 の文 言 を 当 該 議 事 の審 議 の終 了 時 に 明 言 し て確 定す る (二五 条 )。 も っと も、実 際 には こ のよ う な 形 で の決 定 の文 言. の確 定 は あ ま り 行 わ れ てお ら ず 、 議 事 録 に よ る 。 議事 録 に は書 記 官 の署 名 が 付 さ れ 、 直 ち に写 し が 大 臣 に 送 付 さ れ る. (二七 条 一項 )。 送 達 後 三 日 以 内 に 大 臣 か ら 内 容 又 は 形式 に 対す る異 議 が な され な いと き 、 議 事 録 は 同 意 さ れ た も のと. ⑳. し て効 力 を 持 つ ( 同 二項 )。 疑 わ し い場 合 に は、 当 該 議 事 は 再 び 閣 議 に提 出 さ れ る ( 同 三 項 )。 な お 宰 相 は 、 議 会 の議 長 と 同 様 の秩 序 維 持 権 も 有 す るが 、 これ も 指 揮 権 か ら 導 か れ る も の と解 さ れ て い る。. 一29一.

(20) 宰相は、政府の決定を対外的に示す地位にもある。たとえば、宰相は、法律案など政府の決定した提案を立法機関. 閲. 宰相の執務指揮権は、狭く閣議に関わる諸権限のみならず、広く、政治の基本方針の実施を監督. に送付し(執務規則二八条一項)、政令に対して、担当大臣の副署の後に署名する(三O条一項)。 総合調整権. ( w g三E25m). の機能を果たすという. 持回り手続に回すか否かの判断に関して、 口頭の審議の必要性につき疑義があるときは宰相の決定を求める旨を定め. 関係大臣と宰相府長官しか出てこないが、宰相府長官と宰相とが密接に関係していることは明らかであり、たとえば、. 大臣と宰相府長官との間でやり取りが行われているこの段階で調整に乗り出すことが可能となろう。なお、文言上は. 議が必要ないときには、政府構成員の同意を書面で求めることができる(二 O条二項)。宰相は、案件について関係. 丘貯EBロ)に回すことを付記することもできる(同条四項)。宰相府長官は、案件について口頭の審 回り手続(巴BE. 府長官に書面で提出するなどしなければならない(同条二項)。 その提案の際に、口頭の審議を必要としないならば持. しなければならない (執務規則一六条一項)。協議によってもなお争いが残った点は、解決策の理由を付して、宰相. 第一に、閣議に提出する案件は、緊急に決定しなければならないものを除いてすべて、事前に関係大臣の間で協議. 現象が見られる。 いくつか例を挙げよう。. 案件を減らすための制度的工夫が採られ、 そこに宰相が関与して総合調整. とが可能であることを示した。しかし、 より広く、政府の任務の増大に伴って閣議の負担超過を避けるために、 その. は総合調整権について概観する。先に、宰相は議事日程の決定に際して自分に都合のよいように政策の調整を行うこ. する権限や政府の全政策を総合調整する権限をも導くと言われる。前者については第一節で既に述べたので、ここで. ( 4 ). ているのも(二 O条二項二文)、宰相府長官の背後に宰相が存在することを意味していると解される。. -30-. 第5 1巻第 2号 近畿大学法学.

(21) ドイツ宰相の地位と権限. 第二に、 ﹁連邦大臣の間での意見の相違については、連邦政府がこれを決定する﹂ことになっているが(基本法六. 五条三文)、関係大臣は閣議に提出する前に合意のための努力を試みなければならず(執務規則一七条一項)、これに. 関連して宰相は、閣議での審議に先立ち、自ら主宰して関係大臣と協議を行うことができる(二項)。この手続きも、. 合議体による決定が予定されているものについて、宰相が合議体にかける前に優越的な立場から問題を解決すること. かかる総合調整が閣議から離れた形で行われるようになったのが、委員会(同与EO芹 g52E20). を可能とする制度とも解されるだろう。 委員会制度. 制度である。委員会は一九五一年三月に設置された経済閣僚調整委員会(冨E22一色。問。。三E σ ﹃ロロm g g ω 各忌苫吋. 一九七一年現在で、経済委員会以外に、社会厚生委員会、連邦国防会議など一 Oを数えた。またこれ. 当主 ω吾川島)(後に経済委員会︹同mwtEZZSωω各区田宮﹁者室ω吾川島︺)が始まりのようであるが、六0年代になってそ の数を増やし、. N). が選任され. らは常設のものであるが、これ以外にアド・ホックのものも存在する。これらは大臣から組織される。すべての委員. g. 会の主宰者は宰相である。実際には宰相の負担軽減の目的から、執行議長 ( m g各以内ZEF﹃ 号︿。﹃岳. ているが、宰相は主宰の権限を留保している。実際に宰相自らが主宰することもあり、たとえばアデナウアlは、経. 済政策や社会政策に関する事項には関心が薄かったため副宰相のブリユツヒャ lに執行議長を委ねていたが、連邦国. 防会議は自ら主宰していたという。宰相が委員会の主宰者であるという原則も、宰相の優越的地位を現しているとい. えよう。この点、ヘンニスはドイツの制度を紹介しつつ、﹁委員会における主宰は首相に帰属するということが、イン グランドにおいては自明の事柄である﹂と述べているのは比較法的にも興味深い。. これらの委員会は、限定された形ではあるが決定を行うのが実務である。たとえば、連邦国防会議執務規則一条二. 3 1-. ( 5 ).

(22) 項は、委員会が可能な限りで仮決定 228Z各包含口問)を行うこと、また基本法または連邦法律が連邦政府の決定. を要求していない限りで終局的な決定を行えることを明記する。このような委員会制度は、閣議で議論すべき事柄の. 総合調整権は、対内的には職務の統一性保持のための配慮を行う権限として現れ. 多くを委員会に下ろすことで、 そして自らが主宰して議事をリードすることで、宰相の総合調整権を強める可能性を 秘めたものと解される。 対内的な職務の一体性保持. ω (. E色RF)、大臣に一定の行為 。. る。すなわち、﹁宰相は、政治の基本方針の決定と並んで、政府における職務遂行の一体性を確保しなければならな い﹂(執務規則二条)。この一体性確保のために、内閣は連帯していなければならず. 義務が課せられる。これが第一節でも触れた﹁公の場で行われる又は公のために定められた連邦大臣の発言は、連邦. 宰相が定める政治の基本方針と合致しなければならない﹂というルiル(執務規則二一条)や、政府が決定した立法. 府に対する提案について、 ﹁[立法府における担当大臣の]代表は、個々の大臣が違う見解を有していたとしても、. 体になって遂行しなければならない。連邦政府の見解に反対することは、連邦大臣には許されない﹂と定めるルIル 開. (執務規則二八条二項) である。また、閣議が秘密でなければならないというルlル(執務規則二二条三項)も、内. 閣内部の分裂をできるだけ公衆に知らさないでおくという意味があると言われる。それゆえ、﹁とくに個々の大臣の. 発言、投票の割合、議事録の内容について開示することは、宰相の特別の授権がない限り許されない﹂(二二条三項. 二文) のである。この点、 ヘンニスが﹁閣議の秘密性と内閣の連帯性とは密接な関係にある。両者はとくに、政府の. 他の構成員に対する宰相の優位を確保するのに役立つ﹂と述べるのは日本やイギリスの制度と比較する場合にも示唆 的である。. - 32-. ( 6 ). 第5 1巻第 2号 近畿大学法学.

(23) ドイツ宰相の地位と権限. 対外的な政府の代表. また、総合調整権は、対外的には宰相が政府を代表することに表れるといえよう。宰相. は、他の機関への連絡、報告の役目も果たしている。たとえば、大統領に対する報告(執務規則五条)や、参議院や. 合同委員会に対する報告(基本法五三条三文、五三 a条二項一文)である。また、宰相を補佐する宰相府が、連邦議. 会からの各種の質問への対応をまとめていること(連邦各省共通職務規則二八条、二九条)もここに含めて考えるこ. ω. とができる。さらにいえば、閣議の秘密性の裏返しとして、大臣が一体として行動している限りは、宰相はその権威. 執務指揮権は、 そこから導かれる手続上の優位によって、基本方針権限を補うとともに、宰相の地位を. で大臣を守らなければならないという見解も、この文脈で理解することができると解される。. l'J. 第三節. 補佐機構. 設置の根拠と形式. 師側. は、各省からの所管領域の移管を伴うものについては組織令 (C g s t。ロ ユgω) で示され、また予算の中にも名 持 σ ω. 仰. 揮権を根拠として挙げる者もいる。設置それ自体にどのような形式の法令が要求されるのか明確でないが、実際に. 限から導かれる組織編成権に基づく。もっとも、論者の中には組織編成権に加えて基本法六五条四文の政府の執務指. 4EEA. 、 、 (. 宰相は、補佐機構を設置する権限を有する。この権限は、基本法六五条一文の基本方針権. ある﹂﹁実際には政治の力関係に依拠している﹂点には留意しなければならない。. ω. とが制度上、可能となるのである。しかし、実際にそれが可能となるかどうかは﹁法的問題ではなく、政治の問題で. 高める効果を有していることは間違いない。これにより宰相は内閣の合議体としての意思決定の﹁舵取り﹂を行うこ. t 百. 前が登場するようである。. - 33-. ( 7 ) ( 8 ).

(24) 宰相府. えて興味深い。. ω. 補佐機構の第一は、宰相府(切ロロ門田g WEN-205乙である。管見によれば、宰相府については法的に明. 宰相府は次の組織からなる。宰相府長官. 州側. EユωEgZ﹃ 丘2巳)﹂が属. 一名は新ラント担当政府代. や、次官委員会における議長を務め、新ラントの内閣との共通会議の用意を行い、再建プログラム﹁東方の将来 (N午. 門 目 。 ﹃55DEE2)﹂として内閣の委員会の議長代理 理人(回。宮内門gm件 。 ︻ 目 。 吋 回 ロE22m-25mE﹃﹀口問色。mgF05ロ. は長老評議会に政府の代表として出席し、手続問題を処理するという任務も重要である。. は外れている。政務次官のうち一名は議会との連絡役を果たす。連邦参議院や合同会議とも関わる。また連邦議会で. 次に、二名の政務次官が存在する。ただし、これらは法的には宰相に直属し、宰相府長官を長とする指揮系統から. する。内閣議会課は、議事日程を用意し、閣議の議事録を作成する。また、法律案その他の文書を議会に送付する。. E 521ロ 属のグループが存在し、この中には宰相府長官秘書のほか、 ﹁内閣議会課(関与-. ( h F広島2∞5号ω ) は事務次官である。宰相府長官には直 E D N 0 5日常ω. に、国防の全体計画及び総合調整についても担当する﹂。宰相府が宰相と、政府全体との両方を補佐していることが窺. 属する。連邦宰相府は、閣議及び委員会の用意並びに連邦政府の決議の用意について担当する。連邦宰相府は、同時. 連邦各省の活動を総合調整することも連邦宰相府の任務である。さらに、連邦政府の官房事務の遂行が連邦宰相府に. して、連邦宰相を補佐するものとする。連邦宰相府は、連邦宰相の決定を用意し、 その実施を監督するものとする。. うにその任務が描かれている(回口月Z自主前文)。﹁連邦宰相府は、現在の一般政策の問題及び連邦省庁の活動に関. ω. 確な設置法令が見当たらない。もちろん、予算の中では触れられており、やや古いが一九七九年の予算案には次のよ. ( 2 ) }内ロロ件。 ω 門)﹂ の総合調整を果たす。. 34-. 第5 1巻 第 2号. 近畿大学法学.

(25) ドイツ宰相の地位と権限. 宰相には別に、宰相秘書室(同 SN-qE円。)が直属する。宰相秘書室はいわば秘書機能を果たす。宰相あての手紙、. 電話、面会の申し込みの中から宰相が対応すべきものを選別したり、宰相のスピーチ原稿を用意したりする。陳情や. 請願に対する回答を(内容の専門性ゆえに専門部局に回す必要があるなどしない限り)行う部署も存する。. 宰相府長官の下には六つの局が存在する。第一局は人事、予算などの官房機能及び連邦ラント関係を担当するほ. か、内務・法務領域の総合調整を行う。第二局は外交・開発・安全保障の、第三局は社会・教育・研究・環境・交. 通・消費者保護・ラント経済の、 そして第四局は経済・財政の領域の総合調整を行う。第五局は政治分析及び基本間. - 35-. 題の検討を担当する。第六局は諜報担当である。第六局には、﹁連邦情報局(∞ロEggSユ島常豆町口忠)﹂という部. 三の宮gE220) を兼任し、連邦 局が属する。また、宰相府長官は、情報部局担当代理人(回ゆき皆川高Z E﹃島町 ZR}. 95glロ三宮守﹁白色。ロgB乙である。. 一九五二年に宰相. 情報局、内務省に属する憲法擁護庁、国防省に属する軍事防諜部(冨EZユ R Z K F σ 島町宮島82) の諜報を担当する. 補佐機構の第二は、プレス情報局. 三部の総合調整を行うが、この任務を補佐する部も第六局に存在する。 プレス情報局. 一九七七年一月一 O日組織令により法的に明確な存在となった。ここで列挙されている任務は次のご. 及び所管に関わる広報活動の総合調整である。実際には政治の議論の上で重要な論考や記事を宰相に伝えること、宰. e外務省と共働して外国政治の情報提供、 f 一般政策上重要な事項に関わる措置による、所管を越えた広報活動. 表現及び解説することによる市民及びメディアへの政府の政策に関する情報提供、 d記者会見における連邦政府の代. の政治活動にとって決定の助けとなる世論の研究及び描出、 c広報活動を通じて、連邦政府の活動、意図及び目的を. とくである(同組織令E 一)。すなわち、 a連邦大統領及び連邦政府への世界の報道に関する情報提供、 b連邦政府. 府から分離し、. ( 3 ). 表.

(26) .心.. 文 化 及 び メデ ィ ア担 当 政 府 代 理 人. ㈱. 補 佐 機 構 の第 三は 、 ﹁文 化 及 び メデ ィ ア担 当 政 府 代 理 人 ( ︼ W$ 二津雷αq審 ユ興. 相 の公 式 な 発 言 を 用意 し補 佐 す る こ と、 マ ス コ ミ向 け に政 府 の施 策 を 解 説 す る こと な ど が行 わ れ てい る よ う であ る。 ω. ﹁そ. 9 村≦巴9 昌o qωβ。嶺 Φδ鵬①⇔げ①団 8 昌) を 独 立 し て 指 導 す る 。 そ の 所 管 領 域 に お い て は 、 文 化 及 び メ デ ィ. ( 同 組 織 令 W )。 こ れ に よ る と 、 ﹁文 化 及 び メ デ ィ ア 担 当 政 府 代 理 人 ﹂ は 、 ﹁ 連 邦 宰 相 に 直 属 す る ﹂が. 切毎 α①ωお 笹 2 毒 α q馬ξ ぎ α q①げσ q8 げ①博 8⇔ 侮輿 警 ゴ 円¢昌9 ユ興 竃 ①& 窪 )﹂ で あ る 。 一九 九 八 年 一〇 月 二 七 日 組 織 令 に よ り設置された の内 部 の行 政 事 務. ア 担 当 政 府 代 理 人 は ド イ ツ連 邦 共 和 国 を裁 判 上 及 び 裁 判 外 で代 表 す る﹂。 所 管 領 域 は、① a文 化 及 び メデ ィ ア ( 教会及. び 宗 教 共 同 体 に 関 す る事 項 を除 き難 民及 び 亡 命 者 のた め の文 化 財 保 護 並 び に 祖 国 を 失 った 外 国 人 及び 外 国 の少 数 民族. 何 よ り 参 照す. 宰 相 民 主. 0. 一36一. のた め の文 化 保 護 に 関 す る事 項 を 含 む 。)、 b 記 念 の場 所 ( ∩} ①α①昌犀①コω一聾冊 ↓ Φ⇔) ( 以 上 、 内 務 省 か ら 移 管 )、 ② メデ ィ ア. 産業、映画産業及び出版 に関する事項 ( 以 上 、 経 済 技 術 省 か ら 移管 )、 ③ aベ ル リ ン に お け る 首 都 文 化 促 進 、 b ボ ン. 都 市 圏 の文 化 事 項 (以 上、 運 輸 建 設 住 宅 省 か ら 移 管 )、④ メ デ ィ ア政 策 に 関す る 事 項 ( 以上、建設研究省より移管). F. であ る 。. 補 佐機 構 は、 宰 相 の基 本 方 針 決 定 権 お よ び 政 府 指 揮 権 の実 現 のた め に 不 可 欠 な 組織 であ る。 そ れが 、 こ. イ ツ 宰 相 の 基 本 方 針 決 定 権 限 と. 小括. た と えば 、 宰 相 府 は 総 勢 約 五 〇 〇 人 と 大 規 模 で、 そ のう ち 一四 〇 人が 上級 公 務. 削 掲 注 (3) の. ⑤. れ だ け の規 模 と陣 容 を 備 え て い るー. τ. こ と は、少 な く とも 宰 相 の権 限 行 使 を 円 滑 な も のに し よ う と い う 努 力 の現 わ れ と い. 毛 利. であ るー. て. 員 ( 顕αげΦ誘昌 U団 窪巴. 基 本 方 針 決 定 権 に つ い. う こと が でき る よ う に 思 わ れ る。. べ き も の と し. 注 (3q. 第51巻第2号 近畿大学法学.

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