• 検索結果がありません。

食料品の日付表示についての若干の考察

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "食料品の日付表示についての若干の考察"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

39

食料品の日付表示についての若干の考察

      ]= 近年における消費老の食料品についての最大関心事は安全性の諸問題であ り,これはつぎのように三分類できよう。 (1)食品汚染 1) 非意図的添加物によるもの       a残留農薬       b容器・包装からの移染       c過誤による混入        2) 環境汚染によるもの       a産業廃棄物       b生活廃棄物        3) 微生物汚染によるもの       a細菌性食中毒       bかびによる食中毒  ② 食品成分の劣化  (3)意図的添加物(食品添加物)         このうち㈲についてはおもに消費者の対応の視点からさきに論じている。こ の小論では,最近の加工食品の普及に伴い,食品の微生物汚染及び食品成分の 劣化の推定に必要なため消費者の関心が増大している食品表示の諸問題を概観 し,現在の動向と若干の問題点を指摘することをその目的とする。  1) 拙稿「食:料品の安全性侵害要因に関する若干の考察」「彦根論叢』第180号,1976年   8月。

(2)

皿  もとより食料品の日付表示が安全性ないしは品質の直接的指標となり得るわ けではないが,消費者の購買時点において,他に有力な判定方法が存在し得な い現状では簡易で有力な消費者情報として機能すると考えられる。  食料品の包装における種々の日付表示についてはFAO/WHO合同国際食        品規格委員会の資料によればつぎのように定義されている。  (!)製造日 Date of Manufacture食品が記載されているとおりの製品と   なる日  (2>包装日 Date of Packaging 食品が最終的に販売される直接の容器に   入れられる日  (3)販売期限 Sell−by Date 小売販売の最終期限。販売期限後でも家庭で   は相当の保存期間が残っている。  ㈲ 保存期限 Date of Minimum Durability 一定の保存条件の下で,製品   が充分販売可能であり,品質が実質的に何等損われていない期間の最終   日。この期限を過ぎても食品は全く安全であると考えられる。  (5)終了期限 Use−by−Date一定の保存条件の下で,品質が大きくは損わ   れていない期間の最終日,終了期限後のものは販売すべきではない。  以上は各種日付表示に関する定義(Definition of Types of Date Marking) に示されているものである。  わが国においては,未だ公的な定義は確立されていないようであるが,それ に準ずるものとして日本農林規格協会では賞味期間の説明に「丁丁されていな い製品が,表示された保存方法どおり保存された場合,その食品及び品質特性 を十分保持することができるとメーカーが認める期間」とある。愛知県消費者 保護審議会では,消費者保護の視点から「保存期間」を「適正な管理・流通の 行われた商品を消費老が家庭で消費する場合に.,消費老が一般に行う取扱い及 2) Report of the Twelfth Session of the Codex Comittee on Food Labelling 1977.

(3)

      食料品の日付表示についての若干の考察  41 び保管の条件下で商品がその通常期待される品質を保持しうる標準的期間」と      の規定している。これは実質的には賞味期間であると解してよい。地方行政上先 進的にこのような日付表示を実施した三重県の場合は,「三重県民の明るい消 費生活を推進する条例」(昭和50年三重県条例第二号)に基づき公布された「三 重県民の明るい消費生活を推進する条例施行規則(昭和50年三重県規則第三十 四号)に拠り,豆腐,凍豆腐,即席めん,ケーシング詰・リテーナ成形及び真 空包装のかまぼこ及びちくわについて「品質保証期問」の表示を定めた。な お, 「品質保証期間」 「品質維持標準期間」 「標準保存期間」等食味のあまり 変らない期間と同一趣旨の用語を用いて表示することができるとしている。こ のようにわが国においては,確立した定義がなされぬままに種々の日付表示が 先行している状況にある。早急の整備が俊たれるところである。  巷間, 「保存期間」は食品衛生上安全であるが,若干の食味・風味の劣化は 許容し得るとのニュアンスを有している。これに対し「賞昧期間」は食品衛生 .Eの安全保持はもとより,後記食料品消費モニターを対象とするアγケートに 「おいしく食べられる期間」と説明してあるように市場適性を要件としている ことから,事業者,消費者ともに「保存期聞」より「賞味期間」の方を好んで 用いる傾向が強い。JASの表示においても「保存期間」の表示はないが「賞 味期間」は用いられ,極めて適切な措置であると考えられる。 皿  新商品はもとより,従来からの商品であっても,最近の低塩化の傾向,食品 添加物を極力使用しない風潮により新に賞味期間を回る必要性が増大してきて いる。さらには包装技術の進歩により長期間の保管に堪え得る商品が出現して も,製造年月日が古いことで消費者によって廃棄され,資源の損失にもつなが る場合も考えられる。  最近の食料品相談のなかで,賞味期間に関する問合せが増大してきているこ とが二三的である。たとえば昭和51年度愛知県消費生活センターに寄せられた 3) 「愛知県消費者保護審議会第2部会審議結果の報告について」p.5,1979年12月。

(4)

相談のうち,食料品に関するもの454件中,100件・(22%)が食品の品質の経時 変化に関するものであった。  なお愛知県が昭和52年9月に実施した消費生活モニターアンケートの「保存 期間を知りたい食品の調査結果」を第1表に示す。 第1表 保存期間を知りたい食品(上位30品目) 順位  品 名  回答数 順位  晶 名  回答数

・鯉響三三こ・

186件

・レ…ソーセ尋

109

3 食

肉 82 4 冷  凍  食  品 81 5  牛 乳 80 6  豆 腐 77

7 そう菜・漬物類

74 ρ︶ 卵 56 9  マ  ヨ  ネ  一一 ズ 54 10 油 菓 子 48 11 即  席  め  ん 47

12こんにやく

45

・3樋

豆 44 14 生   う ど  ん 41 14  チ ズ 41 14 罐 詰 41件 17 干

捌4Q

18  バ タ 38 19 食 ノぐ 37 19 鮮

副37

21 食

用 油 32

22乳酸菌飲料

20r 23  ケ  チ  ャ  ッ  プ 23

24 生

菓 子 22

25 味

噌 21 26  し よ う 油 20 27 油 あ一麦 げ 28 小 壁 !8 u17 29  ソ ス 16 29 野

菜・果

物 16  また,1980年8月20日の朝日新聞には「食べごろ表示不親切な千枚漬」と題 して苦情相談が2例掲載されている。  ① 知人から贈られた,たる詰め千枚漬を冷蔵庫で9日間保存し,食べたところ,味 がおかしくなっており,変色もしていた。メーカーにただすと,5日以内に食べないと だめだという。地方送りの場合には,配達に日数を要するときもあり「お早くお召し あがり下さい」だけの表示では不十分で,具体的な品質保持期間の表示が必要ではない

(5)

       食料品の日付表示についての若干の考察  43  か。  ② 千枚漬2袋(パック詰め)を買って,20日間冷蔵庫で保存していたところ,発酵  のためかガスが発生し,パヅクが破裂した。保存期間についてメーカーは,製造後2週  間というが,つけ物は保存ができるとの常識がある。2週間という表示をすべきではな  いか。また,製造年月日の刻印も不鮮明で読みとれなかった。  以上の苦情例から考察すると  ① 千枚漬は「酢漬」であるから,消費者は保存がきくと考えるのが常識で あろう。これに対し正しい消費者情報を与えずに一方的に消費者の認識不足と 考える企業姿勢に問題がある。  ② 同一の包装形態(たる詰めも中味はパック入り)でありながら,一方に は5日,他方には2週間と答える矛盾が認められる。従って賞味期限叉は賞味 期間の表示が望まれる。  ③ 製造年月日については,たる詰めの場合は側面に表示されていたが包装 紙に包まれていたため見えない状態であった。パック詰めの製造年月日は,パ ック下部の透明部分に刻印されていたが不鮮明で全く判読不能であり,法の精 神を犯すものと考えられる。  仲介の労を採った大阪市消費生活センターの申し入れにより,メーカー側は  ① 品質保持期間表示の必要性は十分理解しているが,材料や流通段階での 品質管理の問題があり何日という期限が定めにくい。「なるべく早く」の表示 を「すぐに」に変更する。具体的な期限の表示は,業界全般の問題として,前 向きの姿勢で検討する。  ② 製造年月日に関しては不手際があった。今後は消費者が容易に見える状 態に表示する。 と回答し,若干の改善を見るに至ったものの肝心の賞味期間表示は業界の態勢 が整わず,問題を今後に残している状況にある。日本消費者協会が刊行してい る「消費者相談速報」には食品の経日変化に伴う不安に起因する一般相談の事 例が多い。具体例の若干を示すと,   「頂きもののカルピスが茶色に変色していた。製造年月日は5507とあるが飲めるだろ

(6)

 うか」(1979年6月受付)「罐入り食用油のふたを閉め忘れて!か月そのままになって  いたが,使っても大丈夫だろうか」「罐入りの食用油の保存できる期間ばどの位か」  「揚げ油を3回使うと捨てているが.知人はその後こしたものをいため物に使っている  という。このような使い方をしても害はないだろうか」「2∼3年前戸棚にしまってあ  つたウイスキーは飲めるだろうか」などである。  このような品質劣化による食料品の安全性に応える方途には幾つか考えられ るQ  ① 直接販売店又はメーカーに問合せ納得できる解答を得る。  ② 最寄りの役所の相談窓口,消費生活センター一品は日本消費者協会へ問い 合わせる。  ③ 事業者又は行政が賞味期間に関する消費者情報を作成・配布する。  ④ 事業者叉は行政が品質劣化の判定方法を示した資料を提供する。たとえ ぽ食:料油については揚げた際かに泡を生じる場合は劣化していると考えられ る。またAV(酸価)テスト, POV(過酸化物価)テストなどの現場テスト 法を指導することも一つの方法である。  ⑤ 消費者生活センターにおける消費生活講座などにより消費者啓発を行 う。  ⑥ 事業者が自主的に或は行政が関与若しくは強制的に必要と認められる食 料品に表示を実施させる。  現在,「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法) に基づき製造年月日表示が義務づけられたものは36品目,賞味期間表示が義務 づけられたものは,即席めん類(昭和47年8月25日告示,昭和48年2月26日施 行)をはじめとし,凍り豆腐ソーセージ,混合ソーセージ,魚肉ハム及び魚 肉ソーセージ,さくらんぼ砂糖づけ,チルドハンバーグステーキ,塩蔵わかめ, ドレッシング,トマト加工品(トマトミックスジュース及びトマト果汁飲料の み),植物性たん白の11品目がある。なお,ほししいたけ,乾燥わかめについ ては賞味期限が義務づけられている。  つぎに地域食品認証制度(ミニJAS)については昭和49年度より実施され ているが,昭和55年3月末日現在で実施道府県・年度・品目を示せば第2表の

(7)

       食料品の日付表示についての若干の考察  45

第2表 実施県と実施品目

農 実 施 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ユ0 11 12 品 目 豆 油 納 こ 蒸 焼 ゆ 揚 包 し も 笹 根 政 ん ふ 警 霧 鎮 装 よ 拠 局 揚 に ま 蛮 ま ま う 団 法 名 実 施 施 や 蟹 蜜 讐 も ゆ あ 令 道県名 担 当 課 年度 腐 け 豆 く 類 類 類 類 ち 豆 め 子 等 1北海道 生活環境部消費生活課 5051 ⑪ ⑪ ⑳ ⑩ ⑳ ⑩ ⑪ ⑪ 規則 2青 森 県民生活部消費流通課 52

O

○ ○ ○ 要綱 東 3岩 手 農 政 部農業経済課 50 ○ ○ ○ ○ 規則 4宮 城 生活環境部消費流通課 5254 ⑫ ⑫ ⑫ ⑫ ⑭ ⑭ ⑭ ⑭ 要綱 5秋 田 企画調整部消費生活課 50 ○ ○ ○ ○ 規則 北 6山 形 農 林 部流通経済課 48 ○ ○ ○ ○ 〃 7福 島 生活環境部県民生活課 52 ○ ○ ○ ○ ○ 条例 8茨 城 農林水産部流通対策課 51 ○ ○ ○ ○ 規則 9栃 木 農 務 部園芸特産課 54 ○ ○ ○ ○ 〃 関 10群 馬 農 政 部農業経済課 50 ○ ○ ○ ○ 〃 11埼 玉 農 林 部食品流通課 49 ○ ○ ○ ○ 〃 ユ2千 葉 企 画 部消費生活課 50 ○ ○ ○ ○ 〃 東 13神奈川 農 政 部農業経済課 52 ○ ○ ○ ○ 〃 14静 岡 生活環境部消費生活課 48荏9 曾 ⑱ ⑱ ⑱ ⑲ ⑲ ⑲ ⑲ 〃 燕 15新 潟 生活環境部消費生活課 48.53 ⑲ ⑱ ⑱ ⑬ ⑲ ⑯ ㊥ ⑬ 〃 藩 16岐 阜 農 政 部流通特産課 52 ○ ○ ○ ○ 要綱 近 17滋 賀 生活環境部県民生活課 53 ○ ○ ○ ○ 規則 畿 18兵 庫 生活文化部生 活 課 50 ○ ○ ○ ○ ○ 要綱 ユ9岡 山 県民生活部生活安定課 49.51 ⑲ ⑲ ⑪ ⑲ ⑲ ⑪ ⑦ ⑪ 条例 中 20広 島 企 画 部生 活 課 52 ○ ○

O

○ 要綱 国 21徳 島 生活環境部県民生活課 52 ○ ○ ○ ○ ○ 規則 四 22香 川 企 画 部県民生活課 49.50 ⑲ ⑲ ⑲ ⑲ ⑭ ⑩ ⑳ ⑳ 〃 国 23愛 媛 生活環境部県民生活課 51 ○ ○ ○ ○ ○ 〃 24高 知 生活環境部県民生活課 51 ○ ○ ○ ○ ○ 〃 蒲 25熊 本 福祉生活部消費生活課 50.51 ⑪ ⑪ ⑩ ⑪ ⑩ ⑳ ⑳ ⑪ 〃 品目別実施県 合計 25 24 21 25 12 10 4 8 1 1 1 1   (注)○印の中の数値は、実施年度か2年度にわたる県の品目別の実施年度を表わす。 出所昌「消費経済課関係資料」農林水産省食品流通局消費経済課,昭和55年3月。

(8)

ようになる。日付表示としては製造月日が規定されているが,賞味期間につい ては納豆(本制度を採用しているすべての県),こんにゃく(栃木・岐阜・滋 賀・愛媛県のみ),熊本県のもちあめ及び新潟県の笹団子となっている。賞味 期間を表示するときは保存方法を併記するように農林水産省では指導している が,こんにゃくでは栃木県だけが実施しているに過ぎず一層の指導が望まれ る。日付表示に関しては静岡県のように県条例と地域食品認証制度の両者を施 行しているものと,愛知県のように県条例のみを施行しているものがある。県 条例には事業者の自主性に基づくものもあれば事業者に義務づけているものも ある。 rv  加工食品においては通常日付表示のなかでは製造年月日と賞味期間の表示と が重視されている。農林水産省食品流通局消費経済課による食料品消費モニタ ーを対象とする「食品の表示」に関しての2回にわたるアンケートの調査結果 を第1図に示す。これにより製造年月日と賞味期間の併用を望む出向が強くな       第1図 食料品の表示に関する調査     わからない1.6 製造年月日の    その他O.1 表示だけでよ い 8.ユ 品目によ っては、製 造年月日と 賞味期間の 表示がほしい   56,6     製造年月日     と賞味期間     の表示がほ 946名   しい (100%)       33.6      わからない08 製造年月日の  その他0 4 表示だけでよ い     6. 2 品目によ っては、製 造年月日と 賞味期間の 表示かほし い   45,1     製造年月日     と賞味期間      の表示かほ 954名   しい (100026)       47,5 昭和51年ユ1月調査 昭和54年3月調査

(9)

食:料品の日付表示についての若干の考察  47 っていることは明かである。  日付表示については基本的にどのように考えるべきか,昭和54年9月25日, 国民生活審議会消費者政策部会の「国民生活審議会消費者政策部会報告 表 示,広告の適正化について」のなかではその考え方が記されている。但し本報 告は食料品に限定せず商品一般にかかわる記載であるため,本論の趣旨に沿い 食料品に限定し,製造年月日及び賞味期間について考えるならばつぎのように 解してもよいと思う。  ① これらの表示は,消費老が品質劣化の程度を知ることが困難な食料品について求 められるものである。  ② 基本的な表示事項は,当該商品が製造又は包装された時と商品としての価値を損 わず消費可能な時である。なお時の表示方法は,商品の経時変化の程度に応じて「日」 に限らず「旬」,「月」,「季」を使いわけても差支えないであろう。  ③ 消費者の理解できない記号番号のみによる表示は好ましくない。なお日付表示に 加えて製造番号を記載することは不測の事態に備える意味で有益である。  ④ 製造または包装された時を表示することにより,食料品の品質に実質的な変化が なくても,消費者に購入されなくなる場合が考えられる。製造された日時を消費者が確 認することによる利益がないのに,それを表示することによる経済的損失が大きFい商品 では,消費者の安全の確保に支障がない限り,賞味期限のみの表示にとどめることもや むをえないことであろう。  以上の四点の考え方が示されているが,①は消費者が購入する時点で外観か らでは食味・晶質の劣化を知ることが困難な食料品に表示することが望まれる とし,②においては基本的な表示は製造(包装)年月日と賞味期間であると し,時の表示は経時変化の程度により,表現に弾力性を持たせているが,この ことは諸外国においても行われているところである。③は消費者に理解し得る 表示と共に不測の事故に対処するための製造番号の必要性を述べたものであ り,④では一部の消費者が一日でも製造年月日の新しいものを購入する傾向が 認められることから食糧資源の視点から憂慮すべき事態を惹起することへの配 慮と思考される。  前述の基本的な考え方に立ち,日付表示を行うべき食料品の選定にあたって は如何にすべきか。 r東京都生活物資の危害の防止,表示等の事業行為の適正

(10)

 48 化及び消費者被害救済に関する条例」(昭和50年東京都条例102号)第11条に基 づく「品質表示等を行うべき生活物資及び表示に際し事業者が守るべき事項」 についての審議の結果をまとめたものが「品質表示に関する答申」として東京 都から昭和53年12月22日に刊行されている。このなかから日付表示に関するも のを取捨選択すれぼつぎのようになろう。  ① 消費生活に密着したものであること。  ② 品質劣化のおそれが大きいもの。  ③ 新製品等であって,消費者の商品知識が必ずしも高いと思われないもの。 となり,これらのもののうち,消費者の要望の強いものを,都消費生活モニタ ーアンケート調査結果,都消費者センターの苦情相談事例等を参考とし,さら に現行法令の対応状況を検討して選定している。  私見によれば選定方法にはとくに異論はないが,品目の選定にあたっては, 何よりも食品衛生を第一義的に考え,食味の劣化に優先させることが必要であ る。換言すれば件数の多少を以て選定することなく,質×量の観点,いわば危 害情報などで採り入れられている考えを導入する必要があるものと考える。  日付表示をある特定の食品に設定する場合,消費者,事業者及び行政者の三 者合意に基づくことが必要である。しかし,消費者の賞味期間に関する要望の 多様化に対処するために当座消費者情報として提供することも必要である。愛 知県ではその作成にあたり,実際に県下4センターで商品テストを実施し,そ の結果を基礎とした。テストには消費者が実際に取り扱うであろう種々の場合 を想定し,それに対応する条件を設定する必要があった。例えば温度は消費者 の食料品の適・不適の場合を考慮し,①4℃∼8℃一冷蔵庫を使用しての適 正な管理を想定②15℃∼20℃一室温放置(夏季を除く)③30℃一室温放置(夏 季)の3条件を設定した。テスト品目とテスト項目を第3表に示す。この商品 テストを基礎として賞味期間を作成する試みは画期的なことであったが,また それだけに困難な点もあった。第一にはんぺんの試料のなかには2日間で生菌 数が15万/gに達するものがあり,食品衛生上10万/gを超える場合は不適と 認められることから,購入後の保存期間は1日間にすべきであるとのシビアな

(11)

食料品の日付表示についての若千の考察  49 第3表テスト品目とテスト項目 商 品 名 保存性テスト項目 ()内は判定基準 牛 乳 酸度(O.・18%以下),一般生菌数(5万/nt以下),官能テスト 鶏 卵膿鍔騰1以上)・卵蘇数(0・35以上)・ (両者のうちいずれ か ま ぼ こ 一般生菌数(107/9以下),pH,官能テスト(ネトの状態等) 白菜一夜づけ 外観,香味,肉質,pH(包装を開封し,つけ液がない状態で保管した場合に,外観が変化しない期間) 本づけたくあん 外観,香味,肉質,pH(包装を開封し,つけ液がない状態で保管した場合に,香味又は肉質が変化しない期間のうちいずれか短い方の 期間) ふくじんづけ 外観,香味,肉質,pH(本づけたくあんに同じ)

はんぺ矧糊(ね・,澱鰍臭),一般三三(・万〃以下)

さんま揚げ 外観(ねと.かび.腐敗臭),一般生菌数(5万/9以下),過酸化物価 (注) なおテストは他に品質テストを実施している。例えば本づけたくあんでは塩分   とソルビン酸含量である。これらの因子は保存期間に影響を与えるからである。 考えと,一般常識から2日間は可能であるとの考えが対立した。検体数が多け れば標準偏差値から的確な表現も可能であるが,限られた予算・労力からそれ も不可能であった。第二には一般的研究においては試料の産地・品種・加工方 法などを特定できるが,試買に供した市場商品については特定できず,しかも 加工条件も分らぬままに実施しているので,限られた検体数から得られた知見 を普遍化することには危険性が考えられた。従って実際には業界の資料や,日 常経験か.ら得られた知見により修正すべき点は修正して消費地情報として提供 しているのが実情である。

v

 事業者が自主的に製造年月日と賞味期間若しくは賞味期限を表示することが 望ましいが,返品の生じることをおそれて従来は消極的であった。  事業者が全く独自に賞味期間を設定した例としては,昭和54年4月1日から 発売した森永乳業のプリン,ゼリーなどのPングライフ(LL)デザートが著 名である。賞味期問表示を可能にした要因は,第一に鮮度を保持する安定性あ

(12)

る商品を市場に出す製造技術,第二に流通条件の整備であった。当時の論潮の なかには省資源が唱えられている現況下,返品を憂慮するものがあったが,現 実には返品は全くなく,消費者志向のこの試みは歓迎され,市場の販売実績は 前年度比プリンは150%,フルーツゼリー190%となったことから推察できるよ うに極めて好評で,従来未取扱店であった一部のビッグチェーンの新規取扱い や,売上増に伴う売り場面積拡大等の形となって表われた。  つぎに大型小売店としては全国でも先駆けて名鉄百貨店(名古屋市)は親切 表示(デメリット表示)の一環として昭和54年1月19日より賞味期間の店頭表 示を実施している。その動機となったものは贈答用の半生菓子類について「い つまで持つか」との消費者の質問が多かったことによる。実施後の販売状況を みるに,賞味期間の半分を経過した商品はなく,従って目安として賞味期間の 半分までの期間内の商品を店内で販売することを定めている。  なお大手スーパー一・’?・一ケットの一つであるジャスコでは一種の賞味期限とも 考えられる「販売期限」を昭和51年7月より実施している。販売期限について は,「製造日プラスこの日までジャスコで販売します」と定めるほか自主保証 期間を設定し「製造日プラスこの日まではジャスコが自主保証します(但しメ ーカーの保証期間より短く設定してあります)」と説明している。豆腐の販売 期限は当日となっている。従って売れ残りがあった場合は廃棄処分にしてい る。また,消費者が適切な管理をしたにもかかわらず,販売期限後,自主保証 期間内に品質劣化した場合は,出向し代替品を渡すことにしている。  つぎに兵庫県商品役務改善協議会表示部会が業界の賞味期間表示現況調査を 行っている(昭和55年2月14日)が,その資料の要点を明かにすると共に若干 の考察を行いたい。  日本乳業協議会では賞味;期間の考え方として,  安心して食べられる期間=最低品質保証期間と考えており,消費者がある程度保存方  法を誤っても安全に食べられるように過酷テストから証明された期間 と説明している。この説明の冒頭にある安心して食べられる期間=最低品質保 証期間の表現にやや的確性を欠くと考えられる。本来賞味期間とは食品衛生上

(13)

       食料品の日付表示についての若干の考察  51 の安全性は言うに及ばず,食味・風味の劣化がないことが必要であり,従って 「安全でしかもおいしく食べられる期間」とすべきである。現に森永乳業のL Lタイプの乳製品の包装の表示には賞味期間を「おいしく召し上がれる期間」 としているが適切な表現であると考える。  賞味期間をLLタイプ以外の乳製品に表示することの困難な点としては三つ の理由を掲げている。①流通機構の未整備 ②①と関連するが最近製造責任が 問題にされているが,メーカーが末端小売店の品質管理まで責任を負いかねる 場合がある。③賞味期間の設定が困難である。例えば,チーズは品質劣化が起 らずにカビが生えるが,消費者によってはカビが生えたことをもって品質劣化 とする向きがある。としている。最近コマ会議と称して消費者(consumer)と メーカー(maker)との相互理解を意図する懇談会が開催されているが,あら ゆる機会を通じて消費者に必要な情報を提供するほか,③に示す事項が賞味;期 間設定の阻害事項となっているならば表示を行って消費者の理解を求める必要 があると考えられる。  消費者のなかには開封前の化学調味料や砂糖の賞味期間までも問う者がある が,客観的に必要度の高いものに設定することが必要で,学識経験者の果す役 割は大きい。  なお,昭和55年2月現在での賞味期間表示に対する事業者団体の現況から, つぎのように3分類できる。 ① 現在(一部でも)実施している。 全国マヨネーズ筋会,日本化学調味料工業協会,日本即席食品工業協会,日本こんにゃ く協会,全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会,日本ジャム工業組合,日本魚肉ソーセー ジ協会,ジャスコ株式会社,株式会社ダイエー,灘神戸生活協同組合,イズミヤ株式会 社,㈱西友ストアー関西,日本ハム株式会社,プリマハム株式会社,伊藤ハム栄養食品 株式会社,日本食肉加工協会,明治乳業株式会社,森永乳業株式会社,グリコ乳業株式 会社,雪印乳業株式会社,協同乳業株式会社,日本乳業協議会など。 ② 現在は実施していないが近い将来実施を考えている。 日本紅茶協議会,日本インスタントコーヒー協会など。 ③ 現在実施していず将来も実施は無理である又は考えていない。 日本醤油協会,全国乾麺協同組合連合会,日本油脂協会,日本缶詰協会,製粉協会,全

(14)

 国味噌工業協同組合連合会,日:本粉末飲料協会,全日本カレー工業協同組合,社団法人  日本冷凍食品協会,日本ソース工業会,全国トマト工業会,日本パγ工業会,清涼飲料  工業会など。  ③に分類してある味噌,醤油,粉末飲料など多くの事業者団体は,品質が安 定し長期保存に堪えるので必要がないとしている。次に日本パソ工業会のよう に気象条件や流通段階における保管条件が整備されていないことを理由に掲げ るもの,さらにはコストプッシュと資源のPスにつながるとするものも見受け られる。たしかに品質が安定し長期保存が可能であり,さしたるトラブルのな いものにまで賞味期間を表示することはない。しかし,賞味期間の表示がなか ったために逆に資源のPスとなった事例のあることも承知しなければならな い。例えば国民生活センター扱いのつぎの苦情相談がある。要旨はつぎのとお りである。  ① 3年ほど前に災害時の非常食品として購入した氷砂糖入り罐詰の乾パンを点検の ため開封したところ,油っぽい異臭がした。とても食べられたものではない。メーカー にこの乾パンの保存期間を聞いたところ,約1年といわれた。それならばなぜそのむね 表示しないだろうか。非常食だけにいざという時,役に立たなくては困る。  ② 数年前近くのスーパーで災害用に購入した罐入りの乾パンをしまい忘れていたの に気づいた。製造後6年も過ぎているが念のため開些したところ,油やけした臭いが強 い。災害食品として保存期間を知らせてもらいたい。  ①と②は同一メーカーのものであり事情を聴取したところ,保存期間は嗜好 用(スナック用)と備蓄用とで異なるため表示をしなかったが,小売店には普 通罐入りで約1年,袋入りで2・3か月と答えるように指導している。しかし 本年3月からは,脱酸素剤を入れているので「賞味期間1年以内,保証期間3 年以内にお買いかえ下さい」と表示することにしたという。なお市販の他の乾 パンについて調査したところ,罐入りのものは数社が市場に出しており,保存 食と表示されてはいたが,賞味期間や保存期間の表示はなかった。保存食と表 示する以上は消費者は相当長期にわたって品質の劣化を来さないと考える傾向 があるため,賞味期間なり賞味期限の表示は必要である。とくに災害は,必要 に迫られて開罐した場合,食用不適(①及び②ともに食品衛生法で定められて

(15)

      食料品の日付表示についての若干の考察  53 いる過酸化物価よりも大であった)であれば全く保存食の目的に適わないもの といえる。従って現況をみるに,賞味期間表示は概ね企業の収益低下にならな い場合に実施し,消費者の要望を重視し,地方行政の介入により事業者に表示 の実施を指導する場創こは,収益低下につながる品目については実施率の著し い低調が認められる。  従って賞味期間の実施を円滑に進めるためには,①メーカー側の長期品質安 定化のための製造・加工或いは包装技術の向上,②流通条件の整備,③メーカ ーの流通業者及び消費者に対する保存上の注意(開封の場合も含む)表示が先 ずもって要望されるところである。  一般に日付表示方式は,つぎのように3分類できよう。     ’  (1)消費者情報として最も適切な方式。  〈2)一応消費者情報として機能しているが,表示方法に不適切性があり,一   般消費者が容易に理解し得るよう,改められるべきであるとの要請のある   方式。  (3)企業独自の符号を用い,意図的に消費者には解読不能にする方式。  以上である。  一一・&lfを示すと,わが国における罐詰食品の製造年月日の表示は,消費者にも 解読可能な(2)に該当する方式で国際的にも類例を見ないものである。いわゆる       4),5) ‘かんマーグの日付の解読に関する食料品消費モニターのアンケート調査に よれば,昭和51年11月に実施した‘6Y12’については,90%近くの者が理解 していた。また昭和54年3月に実施した‘8Y12’については90.1%の者が解 読でき,この結果は前回の調査とほぼ同率であった。しかしながら一般消費者 4) 「昭和5!年度食料品消費モニター第2回アンケート調査結果(食料品の表示につい  て)」農林水産省食品流通局消費経済課,昭和52年3月。 5) 「昭和53年度食料品消費モニPt 一管3回アンケート調査結果(食料品の表示につい  て)」農林水産省食品流通局消費経済課,昭和54年9月。

(16)

の解読率はこれよりかなり低いものと思われ,消費者教育には‘かんマークの 読み方’が多く採り入れられ, ‘かしこい消費者教育’とは,かんマークを曇 ることであろうかとの疑問が投ぜられて久しい。他方,製造日日付を4文字を もって示す現行表示方式は,消費者の日付表示に対する関心の高まりととも に,より理解しやすい方式への移行が要望されていたことも事実である。  従来の4桁の略号による製造年月日の表示方式は,限定された面積を有する 罐ぶたに刻印するものであり,打ち方によっては損傷をおこす可能性があるた めに採られてきた便宜的措置であった。最近では6桁表示までなら技術的に可 能となり,かねて日本罐詰協会では改訂を申請していたところ,昭和54年11月 8日付で厚生省の環境衛生局からの通達により認可された。また,昭和55年2 月9日の農林水産省告示第百四十六号によれば,この6桁表示は昭和55年3月 10日以後に製造されるもの(輸入品にあっては同日以後に輸入されるもの)に 適用すると規定されている。周知のごとく6桁表示とは,年,月,日をそれぞ れ2桁で表示するものであり,例えば昭和55年8月24日の場合,800824と表示 することになり,従来のOYZのP一マ字による月号表示は使用しないことに なる。日本罐詰協会ではこの切り替えについて, 「理解できれば旧表示でもか まわないが,読み方の普及という方法をとる前に,誰でも見て理解し得る方法 ということで業界でも方針を決めた」と説明している。もとより6桁表示はさ きに掲げた(1)に分類した理想的な表示とまではいかないが,消費者には従来よ り極めて理解しやすい表示になったとはいえる。  (1)に分類する望ましい日付表示とは,例えば,昭和55年8月24日であるなら ば,ア 昭和55年8月24日 イ 55.8.24 ウ 1980.8.24 の3方式に 限定されよう。このことについては,昭和54年11月8日の環食第299号の「食 品衛生法に基づく表示について」によっても明かにされているところであり, 地方条例においてもこの方式を採用している。  製造年月日は従来の消費者の見にくいところ或いは気がつかない室戸へ表示 することから一括表示の欄への記入と改善の措置が採られてきた。しかしなお 若干の問題点が残されている。

(17)

       食料品の日付表示についての若干の考察  55  本年8月,消費生活センターに,エメーカーのクッキーの製造年月日欄に,’ 0220p730の表示があるが,後半の表示が理解できないとの消費者相談があっ た。前半の0220は罐マーークと同一で1980年2月20日製造を表わし,後半のPは 角罐,7は商品番号,30は定価3,000円を示すものであるが,製造年月日の欄 にそれ以外の表示を付随させることは避けるべきであろう。  最近の消費者の傾向として,製造年月日と共に賞味期間或は賞味期限の併用 表示の要望が強いが,それと共に保存上の注意の表示が必要である。最近の加 工食品においては包装により,消費者は外観や香りで鮮度を判定する手段を失 っているため,これら表示は商品選択上の重要な情報になっている。また,開 封後もやや長;期にわたって使用する可能性のある食品については,使用上の注 意と共に開封後の賞味期間表示の必要な場合もあろう。現在,農林水産省,地 方自治体或いは事業者団体で必要な日付表示について,実施への努力がなさ れているが,正しい消費者の要望に応えて一層の推進が図られることが望まれ る。  終りに臨み,兵庫県関係の諸資料を提供していただいた愛知学院大学水野良 象教授に深謝する。       (1980.8.24)

参照

関連したドキュメント

 医薬品医療機器等法(以下「法」という。)第 14 条第1項に規定する医薬品

問55 当社は、商品の納品の都度、取引先に納品書を交付しており、そこには、当社の名称、商

我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費 等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロス 1 が発生している。食品

の知的財産権について、本書により、明示、黙示、禁反言、またはその他によるかを問わず、いかな るライセンスも付与されないものとします。Samsung は、当該製品に関する

つの表が報告されているが︑その表題を示すと次のとおりである︒ 森秀雄 ︵北海道大学 ・当時︶によって発表されている ︒そこでは ︑五

(2)「冠表示」の原材料名が生鮮食品である場合は当該生鮮食品の産地を、加工

近年の食品産業の発展に伴い、食品の製造加工技術の多様化、流通の広域化が進む中、乳製品等に

燃料デブリを周到な準備と 技術によって速やかに 取り出し、安定保管する 燃料デブリを 安全に取り出す 冷却取り出しまでの間の