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LESによる海底近傍の鉛直渦拡散係数の推定式の研究

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Academic year: 2021

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LES

による海底近傍の鉛直渦拡散係数の推定式の研究 

On the Study of Vertical Eddy Diffusivity Estimation near the Seabed Using LES

和方吉信(九大応力研)

Yoshinobu WAKATA, Kyushu University

FAX:092-584-2570, E-mail:[email protected]

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はじめに

近年、微細構造プロファイラーを用い乱流散逸率 ϵ を直接計測できるようになった。しかしながら、この ϵ から乱流にかかわる重要な物理パラメータである鉛直 渦拡散係数 K の推定手法には、いまだ議論の余地があ る。Osborn (1980) は、エネルギー収支の観点から、推 定式 K = Γϵ/N2を提案したが、係数を Γ = 0.2 と定 数を仮定することが多い。この導出には、時間空間一 様性を仮定し、移流項などが無視されている。Osborn の手法を、海面や海底境界層に適用する事も多いが、 境界層のように空間的に乱流エネルギーが海底近くに 集中し分布が片寄っている場合、Γ が一定であるとい う仮定が成立するかは疑問である。そこで、LES 研究 を通じ、一様な地衡流下に形成される海底境界層につ いて、乱流エネルギー解析を行い、その妥当性の検証 を行った。

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結果

LESの計算では、渦拡散係数を計算結果を用い、 KD ρ = w′ρ′g/(ρ0N2)より直接計算が可能である。従っ て、この結果より Osborn の手法の妥当性を検証する ことができる。図 1 の実線は、直接計算結果から求め た鉛直渦拡散係数である。一方、破線は Osborn の手 法から推定した値である。この結果より、海底境界層 下部では過剰評価となり上部では過少評価になること が分かる。つまり、海底境界層では Γ= 0.2 と一定と 仮定することは難しい。Γ は境界層下部では 0.2 より 小さく上部では大きい値となる。

● flux Richardson 数による推定式

Osborn (1980)は元々Γ = Rf 1−Rf(Rfは flux Richard-son数)を提唱しており、Rfが臨界値(上限値)をも つと仮定し、その値 0.15 を Γ の式に代入して、Γ= 0.2 を得ている。そこで、元々の定義である Γ(Rf)を用い ると、図 1 左の青破線のようになる。ほぼ良い結果を 与えるが、幾分過少評価になっている。この原因を検 証するために、エネルギー収支解析を行った(図 2)。 Pは生成項、B は位置エネルギー変換項、M は TKE の時間微分項、T は移流などの鉛直フラックス項、D は散逸項、R は残差である。残差 R が海底の極近傍で は有意な値を持つが(対数境界層を仮定している)、 その上部では小さく、収支が正しく計算されているこ とが分かる。時間一様性に関する項 M は、ほぼゼロ となる。十分統計平衡になるまで計算を行った本実験 では、時間一様性仮定は正しいが、空間一様性に関係 する T の項は、B と同程度の大きさをもち、補正が 必要であることが分かる。T を考慮するために、図 3 に、T と P の関係を描いた。最小 2 乗法を用いて T=aP (a=-0.14)と近似できた。この関係を、エネルギー収支 の式に代入すると、Kf ρ = αRf (1−αRf) ϵ N2 と修正でき、こ こで α = 1/(1 + a) = 1.16 である。この Γ(αRf)を用 いて渦拡散係数を求めると、図??右の赤実線のように なり、真値と殆ど重なりあい、空間非一様性の補正が これで旨くいくことが分かる。

図 1. (a) Diffusivity estimated from the direct method (solid line) and osborn’s method with Γ = 0.2 (dashed line). Diffusivity coefficient estimated from the flux Richardson number (blue dashed line). (b) The corrected flux Richardson number (red line).

● gradient Richardson 数による推定式

  乱流特性を示すパラメータとして Rfの他に Rg

(gradient Richardson 数) がある。Rf は観測で求める

事が難しく、また RANS 等の Closure Model でも、計

OS4-01-01

第 64 回理論応用力学講演会 平成 29 年 8 月 The 64th Nat.Cong.of Theoretical and Applied Mechanics 2017

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算することは難しい。そのため、比較的に求めやすい Rgから Rfを推定する研究が、観測や数値計算などか ら、行われてきた。特に、臨界 Rf(上限)が存在する のか議論されてきた。本研究の Rgと Rfの散布図を 図 4 に示す。Rgが 0.2 以下では、非常に良い相関があ るが、それを越えるとほぼ無相関になってしまう。鉛 直分布 (図 5) を見ると、海底境界層内部では非常によ い相関関係があることが分かる。これは、Rgは局所的 なシアー不安定と関連した量であるため、現象が局所 的におさまっている場合は相関が良いが、混合層より 上では、外部から伝播してくる内部重力波の影響を受 けるので、場が安定な場合、両者は無相関になる。境 界層内部では、この関係を、Rf = bRgと近似できる。 この関係を前節の結果に代入すると、Γ = βRg (1−βRg)と 求まる。ここで、β = aα である。流速や成層、緯度 など色々な条件を変えた計算で、推定を行ったが何れ も良い推定値を得られた(図 6)。

図 2. Energy budget for energy production (P), dissipation (D), baroclinic conversion (B), ad-vection and pressure work (T), time derivative of TKE (M), and residual (R). 

図 3. Ratio of advection term vs production term. Dashed lines show one standard devia-tion difference.

図 4. Sccaterd map for Rgand

Rffor all depth 

図 5. Vertical distribution of flux Richardson number Rf

(blue) and gradient Richardson number Rg(red) 

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さいごに

海底近傍では、Γ を一定と仮定した Osborn の推定 式では、海底混合層下部では過剰評価、上部では過少 評価となり、よい推定値を与えない。Γ = 0.2 を止め、 Γ(Rf)をもちいた計算から、始めに問題提起した、空 間非一様性による移流項の影響は、さほど大きくなく 高々15 %程度である。近年 Barry et al. (2001) や Shih et al. (2005)が指摘しているように、乱流の強度によ り、渦拡散係数は K = Γ′(ϵ/N2)pと非線形関係のレ ジームの存在を提唱している。因みに前者は p=1/3 後 者は 1/2 である。Osborn 推定式の問題点は、海底近傍 では、非一様性により移流に加え、乱流強度の増加に より異なるレジームが狭い領域に近接して存在してい ることに起因している。

図 6. Diffusivity coefficient estimated from the gradient Richardson number for several cases. Black line is direct estimation (trouth). Dashed line is Osborn’s results. Red is present results. Case B: U = 0.5ms−1, Case C: weak stratification, Case D: weak heat ad-justment, Case E: latitude is 20◦N

参考文献

Barry, M. E., Ivey, G. N., Winters, K. B., and Imberger, J., 2001: Measurements of diapycnal diffusivities in stratified fluids. J. Fluid Mech., 442, 267–291.

Osborn, T., 1980: Estimates of the local rate of verti-cal diffusion from dissipation measurements. J. Phys.

Oceanogr., 10, 83–89.

Shih, L. H., Koseff, J. R., Ivey, G. N., and Ferziger, J. H., 2005: Parameterization of turbulent fluxes and scales using homogeneous sheared stably stratified tur-bulence simulations. J. Fluid Mech., 525, 193–214.

図 3. Ratio of advection term vs production term. Dashed lines show one standard  devia-tion difference.

参照

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