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FEM解析を援用した凍結光弾性法による球型ケーシング接触面の応力解析

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Academic year: 2021

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FEM解

析 を援 用 した凍 結 光 弾 性 法 に よる

球 型 ケ ー シ ン グ接 触 面 の応 力 解 析*

芳 昭**永

井 剛 司***

Stress Analysis

at Contact

Surface of Spherical

Casings

Using The Photoelastic

Stress Freezing

Method with the Finite Element

Method

Yoshiaki

SAWA,

Takashi

NAGAI

The bodies of steam turbine casings used at power plants are divided

into top and bottom, in order to

facilitate maintenance such as replacements and repairs. The two parts (top and bottom) are joined

together with bolts in order to maintain

internal pressure. As the structure is not a single unite,

it is not an

ideal pressure container. Analysis

of contact stress at the flange contact surface of pressure containers

is, therefore,

especially

important in terms of both safety and efficiently.

This study investigated

the safety of

casings using the three-dimensional

photoelastic

stress freezing

method and the Finite Element

Method.

We investigated

safety aspects from the viewpoint

of contact stress distribution,

which is affected

by, the

distance between bolt holes, flange outside diameter, and changes in the position of bolt holes.

Key Words: Stress Analysis,

Photoelastic Stress Freezing Method, Bolts, Flange Contact Surface

1. 緒 言 ケー シングとは、内部 に蒸気 ター ビン等 が入 り、主に低 圧で稼 働さ せ るときなどに使 用され る圧 力容 器の ことである。一般 に本体 はケ ー シング内部 の機 材が交 換修 理等 のメンテナ ンスを可能とす るた め上下 二つ に分か れ てお り、ボル ト締結 により上 下を一つ に 固定し内圧 を維 持す る構 造にな って いる。これ らの 構造 物の フランジ部 にお いて は、 圧 力漏れ 等の現 象が 最も起 こり得る箇所であ り、この部 分の応 力解 析 は 特に重要 である。本研 究では 、内圧 を受 けるケー シングにおい て、 フランジ接 触面の圧 力分布 状態 に影 響 を及 ぼす 要因1)2)3)として 、ボル ト孔間 距離(ボ ル ト本数)、フランジ外径(ボ ル ト孔 中心位 置か らフラン ジ外壁 まで の距離)、ボル ト孔 中心位 置(内 壁 からボル ト孔 中心位 置ま で の距離)に 着 目し、これ らの要素 がフランジ 部接触 面の圧 力分布 状 態 に与える影 響を調べ ることで、圧 力容 器フランジ 部設計 の際 の 目安 を求 めることを 目的 とした。モ デ ル には発 電所 などで 使用 され ている 蒸気 ター ビンケーシ ングを想 定し、これ らを一 般化 した形 として 対称 球 型 ケーシ ング モデ ル を用 いて3次 元 凍結 光弾性 法 による実験 を行 っ た。さらに有限 要素法(Finite Element Method, FEM)解 析 を援 用する ことで、光 弾 性実 験 の応力 値を主応力分 離す ることにより、接 触面の応 力 分布状 態を検証 した。 2. 実 験 方 法7)8) 2-1. 実験モ デル モデ ル材 料には 、エポキシ樹脂 のアラルダイトB型(CT200)に 硬 化 剤 とハー ドナHT903を 重 量比100:30で 混合し、十分 に熱 重合処 理 を 加 えたものを使 用した。この材 料によるブロックか ら機 械的に切 削加 工 して製作したモデ ルをFig. 1に 示す。実験を行 う際 、Fig. 1の モデ ル に おい て2個 を上ケー シング 、下ケーシングとし、それ らを締 め付け ボ ル ト及 びバネ により組み 合 わせ て実験を行った。 2-2. 実験 条件 前述 のように本研 究で は、内圧 を受 けるケー シング部 の形状 を球 型 とした。また、フランジ厚 さ、ボル ト孔径 はそれ ぞれ30mm, 15.5mmで 一 定とし、その 上で 、以下 に示 す形 状の 実験 モデ ル を作製 しそ れ ぞれ の因子 がフランジ部 接触 面の面圧 分布 状態 に及ぼ す影 響を調 べた。 1) ボル ト孔 間距離(ボル ト本数) ボ ル ト孔 間 距 離 をボ ル ト孔 径 に対 して110% (17.1mm)、 130% (20.2mm)、 160% (24.8mm)、 202% (31.3mm)の4段階。 なお 、内壁 から ボル ト孔 中心位置までの 距離 はボル ト孔径に対 して98% (15.2mm)とし、 ボル ト孔間距離は ボル ト本 数を16本 、14本 、12本 、10本とす ることで 変化 させた。 2) フランジ外径 ボル ト孔 中心位置か らフランジ外壁までの 距離 をボル ト孔径 に対 して 82% (12.7mm)、 114% (17.8mm)、 146% (22.8mm)の3段 階。なお 、内 壁 か らボ ル ト孔 中 心 位 置 ま で の 距 離 は ボ ル ト孔 径 に 対 して 98% (15.2mm)とし、ボル ト本数 は16本 とした。 * 原稿 受 付 平成12年3月27日 ** 正員、東京理 科大学 理工 学部(〒270-2203千 葉 県野 田市 山崎 2641) *** 日本ケミコン株 式会社(〒141-8605東 京都 品川区大崎5-4-6)

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10 光 弾 性 学 論 文 集 第21巻 第1号(2000)

3) ボル ト孔中 心位置

内壁 からボル ト孔 中心位 置 までの距 離をボル ト孔径 に対 して 74% (11.4mm)、 98% (15.2mm)、 122% (19.0mm)、 146% (22.8mm)と4 段 階。なお 、ボル ト本 数は16本 とした。

Fig. 1 Model measurement 2-3. 荷 重 条件 Fig. 2に 示す システムを用い モデ ル へ の 内圧 は圧 縮空 気に より加 えた。内圧 は39.2kPa (0.4kgf/cmcm2)の一定 とし、ボル ト締付力 は均 一な 締付 力を与 え、応力 凍結 時に ヤング率 が低 下しフランジ部が 変形 した 場合 でも変 化しな いように、バ ネを利 用 した。締 付力 は 、ボル ト孔間距 離 を変 化させ る実 験にお い ては、ボル ト一本 当 り49N (5kgf)で一定 とし たものと、ボルトによる総締 付力を784N (80kgf)で一定とした2種 類 の締 付 力 でお こなった。フランジ外 径 を変化 させ た実 験で はボル ト一本 当 り49N (5kgf)で一定 とした。ボル ト孔 中心位 置 を変化 させる実験 ではボ ル ト一本 当り111.7N (11.4kgf))で一定とした.また、ボル ト孔間 距離 、ボ ル ト孔 中心 位置を変 化させ る実験 では 初期 締付力 によるフランジ部 の 面圧 分 布 状態を調 べ るため 、締付 力 のみ の実 験もおこな った。この と きのボル ト締付 力 は内圧 を加 えた実験 と同じ締 付力 を与えた。

Fig. 2 Schematic of compressive system

2-4. 応 力 凍結お よび スライス 実 験はモ デル に荷重 を加 え 凍結温度135度 で応 力凍結 を 行 った。応 力 凍結 後、Fig. 3に 示 す ようスライスを行 い光 弾性 縞 写真 の撮 影 、応 力分 布 図の 作 成を行った。

Fig. 3 Slice position 2-5. 光 弾 性縞 写真 及び 応力 分布 図 ここで は 例 として 、スライスポ ジシ ョンS5、 S8の 光 弾性 縞 写 真 (Fig. 4, 5)と応 力分布 図(Fig. 6, 7)を示す 。応 力分 布 図は写 真 により得 ら れた応 力値 を基 準応 力で割 った無 次元量 の応 力集 中率 として表 して ある。な お 、基 準応力 につ いて は、内圧を受 けるケー シング部 を内径 47mm、 外 径57mmの 厚肉球 を考え、その 球の外 壁 にお ける円周 方 向 を基 準応 力とした9)。

Fig. 4 Typical fringe pattern of slice No. S1

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Fig. 6 Stress distribution of slice No. S5 3. 結 果 及 び 考 察 内圧を受ける圧力容器のフランジ部の設計においては、接触面か らの圧力漏れが問題となる。圧力漏れを起こさない理想的なフランジ 部の応力状態としては、内壁接合部 円周上で比較的高い接触面圧と なり、またフランジ部全体でなだらかな分布状態であることと思われる。 この事を前提としてボルト孔間距離、フランジ外径、ボルト孔中心位置 の変化がフランジ部接触面の応力分布状態に及ぼす影響を調べる。 3-1 FEMによる主応力分離 光弾性実験で得られる応力分布の情報は、主応力差であるが、試 験片の自由境界においては主応力として求めることができる。しかし、 本研究の目的である接触面の応力は主応力差のままであり、厳密に 接触応力を知ることができない。そこで接触面において光弾性法によ り求められる主応力差(σ1-σ2)から、半径方向応力の σrを分離し、 ボルト軸方向の接触応力 σ2を求めるためにFEM解 析(Fig. 8)の援用 を試みた。

Fig. 8 Boundary condition of FEM model

Fig. 7 Stress distribution of slice No. S8

光弾性実験によって得られた主応力差をFEM解 析によって得られた 半径方向応力 σrで主応力分離した結果の例として、ボルト孔中心線 上の接触面圧の分布をFig. 9に示す。このグラフにおいて横軸は内壁 隅からの距離とし、縦軸はその位置における応力値で、先に示した基 準応力で割ることで無次元化して表している。また中央の空白部はボ ル ト孔の位置である。この結果により、FEMにおける周辺条件や主応 力分離法は正しいと判断した。よって以後の解析は光弾性実験の結 果をFEM解 析により主応力分離した値を使って行った。

Fiig. 9 Stress distribution on center line of bolt holes

3-2. 考察 (1) ボルト孔間距離(ボルト本数)がフランジ部に及ぼす影響 先ず締付け力が一定の場合について述べる。 ボルト孔 中心線上 における接触面圧の分布はボルト孔付近ではどのモデルもほぼ同様 の分布状態となっているが、ボルト孔近傍から離れるにつれて、ボルト 孔間距離が大きいモデルほど接触面圧値が低くなっている。これ はボ ルトによる締付け力がボルト孔より外側のフランジ部によって応力が拡 散されてゆくためと考えられる。次にボルト孔間中央線上における接

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12 光 弾 性 学 論 文 集 第21巻 第1号(2000)

Fig. 10 Analysis position

接 触 面圧 の分布 状 態をモ デル ごとに比 較す ると、どのモデ ル もほ ぼ 同様の 分布 の形状 ではあるがボル ト孔 間距離 が大きいモデ ル ほど接 触応力値 が低 くなる傾 向が 見られる。これ は 、内圧 による荷重 とボル ト による締 付力との釣 り合 いか らボ ルト本数が 少ないモ デル ほど、ボル ト 一本 当りが受 けもつ負 担 は大きいが、全体の 面圧 が弱くなっているか らと考 えられる。この ため 、ボル ト孔 中心線 上とボル ト孔間 中央 線上 の 分布の差 はボル ト孔間距 離が 大きいモデ ル ほど大きく、接 触面の応 力 状態 として 不安定 なものとなっている。特 に、ボル ト孔間距 離がボ ル ト 孔径 に対し約202%離 れたモデ ル では接 触面圧値 が非常 に低い値 と なってい る。Fig. 11はFig. 10中 の ● で示した位置 の、ボル ト孔間 中央 内壁 隅の接 触面圧 を比較 したもの で、内圧を加 えた 実験 モデ ル と、内圧 を与 えず 締 付 け力の み のモデ ル の値 をプ ロットしてある。横 軸はボル ト孔間 距離をボル ト孔径 で割 った値で 縦軸 はボルト孔 間中央 内壁 隅に お ける接触 圧力 を基準 応 力で無 次元 化した値 を示 してい る。 このグラフより初 期締 付け力 の状 態でもボル ト孔 間距離 が小 さいモ デ ル ほど、この位 置で の接 触面圧 値が 大きい。これ は 、ボル ト孔間 距離 が小さいモデル ほ どボル トによる締 付け力 の総和 が大きいた めである。 一方、内圧 が加 わった状態 では、ボル ト孔間 距離が大 きいモデ ルほ ど 面圧 の差が 大きくな り、内圧 の影 響を受けて いることが分か った。 次 に、総 締付け力 を一定としてボル ト孔 間距 離が大きいモデ ルほ ど 強いボル ト締付力 を与えた実験結 果につ いて述 べる。ボルト孔 中心軸 線 上とボル ト孔間 中央 軸線 上での接触面 圧の分 布状 態は、ボル ト孔近 傍で はボル ト孔 間 距離 が大 きい モデ ル でも高 い応 力値 となっ ている がボル ト孔 中心位 置か ら離 れた位置 では接 触応力 は低い値 となった。 これ は、ボル ト孔間 距離が 大きいモ デル ほどボル ト締 付け力が 受け持 つ べき範囲 が多くな る為 、接 触面圧 が低くなった ことを示して いる。ま た、Fig. 12に 示 す 圧力漏 れを最 も起こし易い と考 えられるボル ト孔間 中央 内壁 隅 にお ける接 触 面圧値 にお い ても、ボル ト孔間 距離 が小さ いモ デル ほど高い値 となって いる。

Fig. 11 Stress distribution at contact face on inside wall between the bolt holes

Fig. 12 Stress distribution at contact face on inside wall between the bolt holes (2) フランジ外径による影響 ボルト孔間距離を変化させた実験によれば、いずれもフランジ外壁 部付近では接触面圧がほぼ一定に減少して低い値となっている。フラ ンジ外径は制作費やスペースの点で小さいほうが望ましい。そこでボ ル ト孔中心位置からフランジ外径までの距離 を変化させる実験をおこ なった。その結果、ボルト孔間中心線 上における接触面圧の分布状態 はフランジ外径が小さいモデルほど全体的に高くなっている。これは フランジ外径が小さくなることでフランジ部の面積が減少するため、ボ ル ト締付力による単位面積当りの接触面圧が高くなっていると考えら れ、また、分布状態をみるとボルト孔の内壁側よりも外壁側に影響を及 ぼし、フランジ外径が小さいモデルでは外壁側の接触面圧が高くなる 傾向となっている(Fig. 13)。また、ボルト孔間中央線上における半径方 向の接触面圧の分布状態も同様の傾向を示している。応力分布状態 は、ボルト孔中心からフランジ外径までの距離が、ボル ト孔径の82% のモデルでは内壁隅では高い応力値となっているが内壁からボルト 孔側に進んだところで他のモデルと比べて大きく減少し、その後外壁 側にゆくにつれ高くなる傾向があり、圧力容器フランジ部の接触面圧

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分布状態としては適さないものと思われる(Fig. 14)。また、ボルト孔中心 内壁隅における接触面圧を各モデルで比較した結果、フランジ外径 が小さいモデルほど高い値 となった。これもフランジ部の面積の変化 による影響と考えられるが、各モデルの変化量はボルト孔間距離の実 験での結果と比べると小さい。また、ボルト孔間中央線上内壁隅にお ける接触応力やボルト孔中心線上内壁隅における接触応力もフランジ 外径が小さいモデルほど高い値 となっているが、両者の差はフランジ 外径が小さくなるほど大きくなる。これ はフランジ部における円周方向 の接触面圧の分布がフランジ外径の小さいモデルほど、乱れる傾向 にあることを示し、この原因としては、ボルト締付力による応力がフラン ジ部の面積が少ない分フランジ外形が小さいモデルではボルト締付 力による接触応力が分散されずにボルト孔近傍に集中するためと考え られる。以上のことよりフランジ外径が接触面の応力分布状態に及ぼ す影響は、フランジ接触面の外壁 側に大きく現れる。また、ボルト孔中 心位置からフランジ外壁までの距離が少ないモデルは接触面の応力 値は高い値 となるが、接触面全体の応力分布は外壁側が高い状態と なるため圧力容器のフランジ接触面の応力状態としては好ましくない ものと考えた。

Fig. 13 Stress distribution at contact face on center line of bolt holes

Fig. 14 Stress distribution at contact face on inside wall between the bolts holes (3) ボルト孔中心位置の変化による影響 締付力のみを加えた場合の応力分布状態を各モデルごとに比べる と、ボルト孔中心位置の変化が接触面の応力分布状態に及ぼす影響 は大きい。傾向としてはボル ト孔中心位置が内壁に近いモデルの場 合、内壁隅に非常に高い接触応力を生じる一方、ボル ト孔近傍の応力 値は低くなる傾向が見られる。また、ボルト孔中心位置が内壁から離 れ外壁に近いモデルの場合外壁側の接触応力値が内壁側の応力値 より高くなっている。ボルト孔中心位置が内壁からボルト径の147%離れ たモデルでは、他のモデルが接触面内壁隅で高い応力値となってい るのに対し、内壁隅から外壁に進むにつれて接触応力が高くなる分 布状態となっている。この分布状態のフランジにおいては、ボルト締 付力の反力として内壁側が持ちあげられる方向にモーメントが働くと 考えられる。 ここで、ボルト孔位置が内壁側に近いモデルでの応力状態につい て調べてみる。内圧を加えず締付力のみ加えた実験結果よりボルト締 付力の影響範囲はワッシャーによる荷重点のフランジ部上面から、ほ ぼ45度 の傾斜をもった2重円錐台部分に影響していることがわかった。 これはRotcherの提案した影響円錐の近似方法で、ボルト頭と座面と の間に母線が被締結対の表面と45度の傾斜を持った2重円錐台を考 え、この部分のみが締付力及び外部荷重によるボルト締結体の弾性 変形に関与する理論と一致している。この場合、ボルト締付力はボルト 孔近傍で高い接触応力となりボルト孔から離れるにつれて接触応力値 は小さくなると考えられる。しかし、実験におけるケーシングモデルの ボル ト孔付近、特に内壁 側では低い値となっている。これは、締付力 による影響範囲にケーシング内壁や外壁があることでボルト締結の影 響範囲が減少し、その減少影響範囲内のエネルギーが接触面内壁隅、 及び外壁の応力値を高くしていることが原因と考えられる。 次に、内圧を加え実験を行った結果について述べる。ボルト孔中心 線上の応力状態を各モデルで比較すると、ボルト孔中心位置が内壁 に近いモデルほど内壁隅での接触面圧値が高くボルト孔外壁側の分 布は外壁に向かうにつれ減 少する傾向となっている。一方ボルト孔中 心が外壁側に近いモデルは内壁隅における接触応力が低く外壁に進 むにつれ高い面圧値となっている。また、ボルト孔間中央線上での比 較では、ボルト孔中心位置が内壁から遠いモデルほど内壁側での接 触応力が低くなる傾向が見られる(Fig. 15, 16)。 ボル ト孔中心線上内壁隅における接触応力の比較では、ボルト孔 中心位置が内壁に近いモデルほど高い値となる傾向となり、締付力の みの実験の値と比較した応力値の差も小さい事がわかった。フランジ 部の応力状態としては内壁側が外壁側より高く半径方向の面圧分布状 態も一定のものが良いとして、今回の実験ではボルト孔中心位置を内 壁隅からボルト孔径に対し98%にしたモデルの応力分布が最も理想的 と思われるフランジ形状であることがわかった。

(6)

14

光弾性 学論 文 集 第21巻 第1号(2000)

Fig. 15 Stress distribution at contact face on center line of bolt holes

Fig. 16 Stress distribution at contact face on inside wall between the bolts holes 4. 結 言 フランジ部の形状が接触面の圧力分布状態に及ぼす影響を調べる ために光弾性実験にFEMを 援用することで次のような結果が得られ た。 1) ボルト孔間距離の影響 ボルト孔間距離が大きいモデルでは、接触圧力がボルト孔近傍に集 まり、全体の圧力が低い上に分布に偏りが見られる。総締付力を一定 とした場合でも、ボルト孔間距離が小さい場合の方がフランジ部接触 面圧としては理想的な分布となる。 2) フランジ外径の影響 フランジ外径寸法はフランジ接触面の外壁側の応力状態に影響を 及ぼし、ボルト孔中心位置からフランジ外壁 までの距離が短いモデル ほど接触面の応力値は高いが、接触面全体の分布状態は不安定にな る。本実験のモデルにおいては、ボル ト孔中心位置からフランジ外壁 までの距離が、ボル ト孔径に対し約114%以上のモデルが理想的なフ ランジ 形状 となった。 3) ボル ト孔 中心位置 の影響 ボル ト孔 中心位置 と内壁 との距離 が短いモ デル ほ ど、内壁 隅で 高 い 接 触面圧 値 となるが 、半径 方 向での応 力分 布 の状 態としては 内壁 側 に大 きな偏 りをみ せる。本実 験モ デル では 、ボル ト孔 中心位置 を内壁 か らボ ル ト孔径 に対 して98%の 位 置 にしたモデ ル が最 も理想 的と思 われるフランジ形状 となった。 文 献 1) 吉本 勇 、丸 山一男 、沢 俊 行、西 口信 幸:ね じ締 結体の 内力係 数 (被締結 体が 中空円筒 の場 合)、日本機 械学会 論文 集(第3部) 42巻359号 、p. 2174∼p. 2184 2) 沢 俊 行、丸 山久則:接 合面形状 がね じ締結 体の 特性に及 ぼす影 響(被 締結 体が管 フランジの 場合)、日本機 械 学会 論 文集(A編) 51巻463号 、p. 679∼p. 687 3) 沢 俊 行、熊野博 之 、丸 山久則 、鈴木康 世:接合面形 状が ね じ締 結 体の特 性に及 ぼす影 響(被 締結 体が圧 力容 器ふ たの場 合)、 日本 機械学 会論文集(A編)51巻466号 、p. 1577∼p. 1585 4) 光永公 一:ね じ継 手 の被 締付 材の応 力分 布(特 に ば ね定 数 につ いて)、日本 機械 学会論 文集(第3部)31巻231号 、p. 1750∼ p. 1757 5) 柴 原正雄 、尾 田十八:ボル ト結合 体にお ける被 締付材 のばね 定数 につ いて(多 数ボル トによる締 付け)、日本機 械学 会論文 集(第2 部)37巻297号 、p. 1033∼p. 1040 6) 西岡 邦夫 、森 田喜 保、河島寿 一:一 体形 管フランジの強 度(第2報 、 ガスケット面圧 の解析 とボル ト本数の影 響)、日本機械学会 論文集 (A編)45巻392号 、p. 363∼p. 370 7) 辻 二郎 、西 田正 孝 、河 田幸 三:光弾性 実験法 、日刊工業新聞社 、 p. 29∼p. 62、 p. 263∼p. 336 8) 湯 浅 亀 一:改訂 材料 力 学 中卷、コロナ社 、p. 84∼p. 87 9) 宮 本 博 、菊池 正紀:材 料力 学 、裳華房 、P. 194∼P. 198

Fig. 4  Typical  fringe  pattern  of slice  No. S1
Fig. 8  Boundary  condition  of FEM  model
Fig. 11  Stress  distribution  at  contact  face on  inside  wall between  the  bolt  holes
Fig. 13 Stress  distribution  at  contact  face on  center  line of bolt  holes
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参照

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