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樹脂系乾燥促進剤添加無機汚泥の乾燥挙動および乾燥促進効果

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【 論

文 】

樹脂系乾燥促進剤添加無機汚泥の乾燥挙動および乾燥促進効果

小 林 信 介 * ・ 立 花 友 麻 * ・ 神 谷 憲 児 *

板 谷 義 紀 * ・ 須 網

暁 * ・ 中 川 二 彦 *

【要 旨】 本研究では樹脂系乾燥促進剤の添加が無機汚泥の乾燥に与える影響を明らかにするため,乾 燥促進剤として樹脂エマルジョンを混合した無機汚泥の乾燥実験を実施した。実験ではアクリル系樹脂 エマルジョンを無機模擬汚泥に 0.8 wt% 添加し,エマルジョンの添加が汚泥の乾燥挙動に与える影響, および乾燥温度や汚泥サイズ等の乾燥条件が乾燥速度に与える影響について評価を行なった。乾燥促進 剤の種類により汚泥乾燥挙動は異なるものの,無機汚泥においても少量の乾燥促進剤の添加により汚泥 乾燥促進が可能であった。中でもアクリル系樹脂エマルジョン (DA10) の添加は汚泥中の水分移動速 度低下を抑制させるため,比表面積が小さい大球試料において高い乾燥促進効果が得られることがわ かった。一方で,汚泥への乾燥促進剤の添加は汚泥表面での水分の蒸発速度を抑制するため,乾燥促進 剤の利用においては乾燥温度や汚泥乾燥試料形状等の最適化が極めて重要であることがわかった。 キーワード:乾燥促進剤,樹脂,無機汚泥,乾燥速度,水分移動速度

1.は じ め に

汚泥は産業廃棄物排出量の 4 割超を占め,その一部は エネルギー・マテリアルリサイクルされているものの, 現在その多くは減容化された後,焼却処理あるいは埋立 処分されており,汚泥リサイクル率のさらなる向上が求 められている1-3)。汚泥には下水処理施設や食品工場, パルプ工場等から排出される有機物質を多く含みメタン 発酵や固体燃料としてエネルギー変換が可能な有機汚泥 の他に,建設工事や浄水場等から排出され土木資材やセ メント原料等に利用される無機汚泥がある。一般的に脱 水後の無機汚泥は有機汚泥に比べて含水率は低いものの, 減容化あるいは資源として利用するためには乾燥が必要 不可欠となっている。しかしながら,乾燥時には化石燃 料を使用することが多く,乾燥時のエネルギー削減およ び二酸化炭素の排出量削減が汚泥乾燥における大きな課 題となっている。 汚泥乾燥における化石燃料の消費量削減は長年の課題 であることから,汚泥を効率的に乾燥させる装置やプロ セスについて開発が進められており,熱風乾燥装置,造 粒乾燥装置,油温減圧乾燥装置等,既に数多くの汚泥用 乾燥装置が開発・導入されている4)。中には汚泥の攪拌 方法や汚泥への伝熱方法を工夫することで高熱効率乾燥 が可能な装置5,6)やヒートポンプを利用した省エネル ギー (以下,省エネ) 乾燥プロセスも開発されてい る7,8)。近年では乾燥時の熱効率の改善だけではなく, 再生可能エネルギーであるバイオマスを熱源とする汚泥 乾燥も行われており9),今後汚泥乾燥におけるバイオマ ス燃料の利用は拡大していくものと考えられる。また, 比較的含水率の低い木質系バイオマスや農業系バイオマ スを単純混合することで含水率を調整する方法10)や,乾 燥時にバイオマス由来の炭化物を混合することで乾燥促 進を図る技術11)も提案され,乾燥時間の短縮が報告され ているものの,一般的に汚泥に対する添加物の混合割合 が多い。 一方,著者らは汚泥の新たな省エネ汚泥乾燥技術とし て汚泥に少量の乾燥促進剤を添加することで汚泥乾燥性 能を向上させる技術について検討を行なっている。これ は乾燥促進剤を汚泥に添加することで汚泥の水を保持し やすい性状から乾燥に適した物理的構造 (空隙率等)・ 化学的性状 (水との親和性) へと変化させ,汚泥の乾燥 速度を向上させる技術である。乾燥促進剤の添加による 原稿受付 2020. 8. 31 原稿受理 2021. 1. 18 * (大)東海国立大学機構 岐阜大学大学院 工学研究科 連絡先:〒 501-1193 岐阜市柳戸 1-1 (大)東海国立大学機構 岐阜大学大学院 工学研究科 小林 信介 E-mail : nsuke@gifu-u.ac.jp

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乾燥速度制御は塗料乾燥等の分野において一般的12,13) 技術であるものの,これまで汚泥乾燥には適用されてこ なかった。そのため,前報では有機汚泥に対して乾燥促 進剤を添加し,乾燥促進剤の添加が乾燥速度に与える影 響について評価を行なっており,脱水汚泥に対して 0.8 wt% の樹脂エマルジョン (乾燥促進剤) を汚泥に混合 することで約 30% の乾燥速度向上が得られることを報 告している14)。また汚泥への乾燥促進剤の混合は汚泥中 の水分移動速度が向上することが原因であることも明ら かにしている15)。汚泥乾燥における樹脂系乾燥促進剤の 利用は,乾燥速度の向上や添加量が少ないなどの利点が あるだけではなく,樹脂被膜による悪臭抑制や撥水性の 向上に伴う水分吸収抑制も可能である16)。また,添加す る樹脂エマルジョンは 450 ℃で完全燃焼するため,わず かな二酸化炭素は排出されるものの,乾燥後の汚泥を燃 料やセメント原料と使用したとしても問題は少ないと考 えられる。そのため,乾燥促進剤が有機汚泥だけではな く無機汚泥へも適用できれば,汚泥乾燥時のエネルギー 削減,二酸化炭素の排出量削減,ひいてはリサイクル率 の向上にも繋がる。しかしながら,無機汚泥に対して樹 脂エマルジョンを添加した報告はなく,また樹脂エマル ジョンが無機汚泥乾燥に与える効果についてはまったく 明らかになっていない。 そこで本研究では樹脂エマルジョンの添加が無機汚泥 の乾燥に与える影響を明らかにするため,樹脂系乾燥促 進剤を混合した無機汚泥の乾燥実験を実施した。実験で は有機汚泥において乾燥促進効果が得られたアクリル系 樹脂エマルジョンを模擬無機汚泥に添加し,樹脂エマル ジョンの添加が乾燥速度に与える影響,および乾燥温度 や汚泥サイズ等の乾燥条件が乾燥速度に与える影響につ いて評価を行なった。

2.実 験 方 法

2. 1 乾燥装置 樹脂エマルジョン添加汚泥の乾燥速度を評価するため, 自然乾燥による汚泥乾燥実験を行なった。乾燥実験では 図 1 に 示 す 恒 温 恒 湿 装 置 (IX110, Yamato Scientific Corp.) を用いた。恒温恒湿装置内には 6 つの電子天秤 が設置されており,一度に 6 つの試料の乾燥が可能と なっている。恒温恒湿装置内での対流の影響を最小限に するため電子天秤は乾燥箱内に設置し,また各電子天秤 には風防が取りつけてある。この工夫により天秤設置位 置および試料ごとの質量変化のばらつきを少なくした。 2. 2 乾燥促進剤 最適な乾燥促進剤は汚泥性状により異なるものと考え られるが,前報14)の有機汚泥 (下水汚泥) において内部 水の乾燥促進効果がみられた樹脂エマルジョン DA10+ を使用した。DA10+ はアクリル系樹脂エマルジョン DA10 に,DA10 の分散剤として利用されているシロキ サン系界面活性剤 (SAA) を 2 wt% 添加した乾燥促進 剤である。DA10 の固形分率は 55 wt%,ガラス転移温 度は −52 ℃,粘度は 60 Pa・s,pH は 8.0 であり,SAA の固形分率は 100 wt% である。乾燥実験では DA10, DA10+ および SAA を乾燥促進剤として使用した。当 該乾燥実験においては乾燥促進剤の乾燥挙動を明らかに するため,乾燥促進剤単体の乾燥実験も実施した。直径 4.5 cm のシャーレに水あるいは乾燥促進剤 (DA10, DA10+ および SAA) を 8 g 満たし,恒温恒湿内の天 秤に設置することで質量を測定した。乾燥促進剤の乾燥 実験においては初期含水率が 70% (湿ベース) になる ように調整を行なった。 2. 3 乾燥試料の調整 凝集により内部水を有する無機汚泥を想定し,汚泥試 料には合成スメクタイトを主成分とする模擬汚泥を用い た。合成スメクタイトはケイ酸アルミニウムマグネシウ ム系合成粘土鉱物で,結晶間に水を吸収し膨潤する。そ のため内部水に加えて細胞内結合水を多く含む有機汚泥 とは含まれる水の状態が異なっている。また,一般的に 無機汚泥中にも有機物が含まれていることから,模擬汚 泥は合成スメクタイト 900 g に対して,有機肥料 (骨粉 入り油粕 園芸用有機入り 1 号,(有)岩倉) 100 g を混合 し,また防腐剤 (ネオシントール AF-160,住化エンバ イロメンタルサイエンス(株)) 2 g,防カビ剤 (PROXEL-LV, Lonza Group AG) 10 g を混合することで模擬汚泥 の腐敗を防いだ。この混合物に水を加え,含水率 80%

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(湿ベース) になるように調整を行い,汚泥試料とした。 乾燥試料は模擬汚泥に対して 0.8 wt% の割合で各乾燥 促進剤を混合し,均一混合となるよう 10 分間混錬した 後,5 g 取り出して転動式造粒装置 (PZ-01R, AS ONE Corp.) により 5 分間転動することで球状に成型した。 また,粒子径の影響を把握するため 5 g 球を 20 等分し, 5 分間転動させ球状にした小球の乾燥試料も準備した。 大球試料の初期直径は約 2.1 cm であり,小球試料の初 期直径は 0.77 cm である。図 2 に乾燥試料の写真を示す。 乾燥実験においては球径にかかわらず 5 g の乾燥試料を 天秤に載せ質量測定を行なった。 汚泥内の水分移動を評価するため,図 3 に示す汚泥乾 燥容器を用いた汚泥試料の乾燥実験も行なった17)。汚泥 乾燥容器は 630 mL のプラスチック容器に内径 3.57 cm, 長さ 5 cm のガラス管が挿入してあり,容器には吸湿性 のないポリプロピレンスペーサーおよび 30 mL の水が 充填してある。ガラス管内には乾燥促進剤を 0.8 wt% 混 合し,含水率 80% (湿ベース) に調整した汚泥試料 30 g を充填した。充填時のガラス管内汚泥試料の長さは約 4 cm である。ガラス管に汚泥試料を充填する際にはガ ラス管先端を擦り切ることで汚泥試料と空気接触面の形 状が一定になるようにした。一方,ガラス管内の汚泥試 料と水の接触部は吸水性の高いコットンで隔て,実験時 は常に水と接触させている。汚泥乾燥容器は上記恒温恒 湿内の天秤上に設置し質量を測定した。 2. 4 実験条件および評価方法 乾燥実験では乾燥温度の影響を比較するため,恒温恒 湿装置内の温度を 25 ℃および 40 ℃に設定した。ただし, 相対湿度は乾燥温度にかかわらず 40% で一定とした。 当該実験では乾燥促進剤の乾燥に与える影響を評価する ため乾燥速度 (水分蒸発速度) の比較を行なった。乾燥 速度,Rは乾燥時間に対する汚泥の質量変化を 1 分ご とに測定することで算出を行なっている。乾燥速度の算 出には以下の式を用いた。 R= dw ( 1 ) ここで,dw は試料質量の変化量,dθ は乾燥時間の変 化量を示している。ただし,質量変化量はすべて水分の 蒸発とした。当該乾燥条件においては乾燥に伴う試料の 大きなひび割れは観測されなかったものの,試料の大幅 な収縮が観測された。ただし,乾燥速度の算出において 試料の収縮に伴う試料表面積の影響は考慮していない。 乾燥速度は複数試料 (N=6) の質量変化から算出した が,上述した乾燥装置の工夫により試料ごとの質量変化 のばらつき (標準偏差) は 10% 以下であった。以下, 後述する図 5 から 8 および図 10 から 11 の各マーカーは 60 分ごとの乾燥速度の平均値を示している。

3.実験結果および考察

3. 1 乾燥促進剤の乾燥速度 汚泥乾燥試料の乾燥挙動を示す前に各乾燥促進剤のみ の乾燥特性について考察を行う。図 4 に水および乾燥促 進剤を乾燥させた場合の定率乾燥速度および限界含水率 を示す。ここで,定率乾燥速度とは単位時間あたりの水 分蒸発量が一定である速度 (dw/dθ=一定) のことで, 限界含水率は定率乾燥から減率乾燥に転じる含水率を示 している。25 ℃において乾燥を行なった場合,水 (無 添加) の定率乾燥速度が最も速かった。乾燥促進剤を添 加することにより乾燥速度は遅くなり,DA10+ を添加 した場合において最も乾燥速度が遅くなる結果が得られ た。その一方で SAA については水の乾燥速度とほぼ変 わらなかった。乾燥温度が 40 ℃の水の乾燥速度は 25 ℃ 図 2 模擬無機汚泥乾燥試料の写真 図 3 汚泥乾燥容器概略図

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の場合の約 1.6 倍速くなり,乾燥促進剤を添加した場合 においても乾燥速度は速くなっていた。しかしながら, 水との乾燥速度の差は大きくなっており,特に DA10+ の場合には水の乾燥速度より約 20% 遅い結果となった。 SAA の乾燥速度は水に比べて若干遅くなるものの,添 加による乾燥速度への影響は小さかった。水の乾燥に比 べて乾燥促進剤の乾燥速度が遅くなる原因として蒸気圧 降下や樹脂硬化によるエマルジョンの構造変化が考えら れ,DA10+ については DA10 に比べて樹脂硬化が速い ことも乾燥速度に影響したものと考えられる15) 乾燥促進剤の種類により限界含水率も異なっており, DA10 の限界含水率が最も小さかった。SAA の限界含 水率は DA10 の約 2 倍となっており,DA10+ について も DA10 に SAA を添加することにより限界含水率が高 くなっていた。これは SAA が親水基を有しており,水 との親和性が限界含水率に影響したためと考えられる。 乾燥温度を 40 ℃にすることにより限界含水率は若干小 さくなるものの,その傾向は 25 ℃の場合と変わりがな かった。SAA を添加した場合,水とほぼ同じ定率乾燥 速度が得られるものの,限界含水率は高く,乾燥が進み 含水率が低下すると,比較的高含水率において乾燥速度 は減少に転じることになる。DA10 については初期の乾 燥速度は遅いものの乾燥が進んでも乾燥速度は維持され, 減率乾燥に転じる含水率は SAA に比べて低かった。 水の定率乾燥速度が最も速いことから乾燥試料表面が 十分に濡れている状態においては水の蒸発が最も速いと 考えられる一方で,DA10 の添加は乾燥試料表面での急 激な水の乾燥を抑制する可能性がある。親水基を有する SAA の添加は乾燥試料表面の含水率の低下に伴い急激 な乾燥速度の低下も考えられる。 3. 2 汚泥乾燥試料の乾燥特性 図 5 に大球試料を 25 ℃で乾燥させたときの乾燥特性 曲線を示す。各試料とも粒子材料でみられる典型的な乾 燥特性曲線を示しており,乾燥促進剤添加の有無により その傾向に大きな違いはみられなかった。乾燥初期にお いて SAA 添加試料は無添加試料より最大で約 12% 速 い乾燥速度を示し,DA10,DA10+ が続いているもの の,比較的大きな無機汚泥試料を 25 ℃で自然乾燥させ た場合には乾燥促進剤の添加が乾燥速度へ与える影響は ほとんどないものと考えられる。 図 6 に大球試料を 40 ℃で乾燥させたときの乾燥特性 曲線を示す。40 ℃で乾燥を行なったときの乾燥速度は 乾燥促進剤添加の有無にかかわらず 25 ℃に比べて速く なっていた。また,乾燥促進剤の添加が乾燥速度に与え る影響は乾燥促進剤の種類により大きく異なり,DA10 の添加により試料乾燥速度の大幅な向上がみられた。無 添加試料の最大乾燥速度は 25 ℃の場合の約 1.34 倍で 図 4 乾燥促進剤の定率乾燥速度と限界含水率の関係 図 5 模擬汚泥の乾燥速度曲線 (大球,乾燥温度 : 25 ℃) 図 6 模擬汚泥の乾燥速度曲線 (大球,乾燥温度 : 40 ℃)

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あったのに対して,DA10 を添加した場合においては 25 ℃の約 1.64 倍となっていた。そのため乾燥初期にお ける DA10 添加試料の乾燥速度は,無添加試料より約 34% 速くなっている。一方,SAA については無添加の 場合とほぼ同じであり,乾燥促進効果はほとんど確認 されなかった。前報では有機汚泥を乾燥させた場合15) DA10+ の添加において最も大きな乾燥促進効果が得ら れたが,無機汚泥の場合には DA10+ の乾燥速度は DA10 よりも遅い結果となっていた。これは前回使用し た有機汚泥中には油脂分が多く含まれており,界面活性 効果を有する SAA の添加により乾燥促進剤 (DA10) の汚泥中への分散が向上したためと考えられるが,模擬 無機汚泥においては SAA と DA10 の混合による乾燥促 進効果は大きくなかった。 乾燥促進剤の添加により乾燥挙動も大きく異なってお り,DA10 添加試料は乾燥直後から乾燥速度が速くなる のに対して,無添加や SAA を添加した場合には最大速 度に達するまでの時間が長くなっていた。DA10 の添加 は乾燥初期 (高含水率) における乾燥速度の大幅な向上 がみられただけではなく,低含水領域における乾燥速度 も無添加に比べて速く,乾燥に要する時間は大幅に短縮 されていた。乾燥後の DA10 添加試料と無添加試料の 乾燥物試料径は 1.1〜1.3 cm で大きな違いはなく,また 表面も乾燥促進剤添加の有無により大きな差がみられな かったことから,乾燥に伴う汚泥内の水分移動抵抗18-20) が影響しているものと考えられる。DA10 は含水率の減 少とともに硬化し,撥水性を発現することから,DA10 の添加は試料内部における物理的構造や化学的性状に影 響を与えているものと考えられ,それら性状変化により 試料内部での水分移動速度低下が抑制されているものと 推測される。一方で無添加試料の場合,試料内部の水分 移動速度に比べて試料表面における水分蒸発が速いため, 試料表面に乾燥膜が形成され,その乾燥膜が試料中水分 の乾燥表面への移動を抑制している可能性がある。 SAA の添加も乾燥初期において無添加試料と同程度の 乾燥速度であるが,低含水率領域での乾燥挙動が大きく 異なることから,SAA 添加試料と無添加試料の乾燥メ カニズムは大きく異なっているものと考えられ,水との 親和性を有する SAA の添加は乾燥速度の低下を招く一 方で,低含水率における試料内の水分移動抑制効果は小 さいものと推測される。ただし,DA10 と SAA の水分 移動低下抑制メカニズムも異なっており,DA10 におい ては樹脂硬化に伴う試料の物理的構造変化と化学的性状 変化,SAA の場合には SAA 自体の水との親和性によ るものと考えられる。 一般的に粘性の高い脱水汚泥は乾燥初期段階において 大きな塊状であるものの,含水率の低下とともに小さな 粒状あるいは粉化するなど,被乾燥物の比表面積は大幅 に増大する。そのため乾燥促進剤が小球試料の乾燥速度 に与える影響についても同様な評価を行なった。図 7 に 小球試料を 25 ℃で乾燥したときの乾燥特性曲線を示す。 小球試料の初期比表面積は大球試料の約 2.7 倍,同条件 における熱伝達係数は約 1.6 倍になることから,乾燥促 進剤の添加の有無にかかわらず乾燥速度は大幅に増大し ていた。25 ℃での大球試料の乾燥では,乾燥促進剤の 有無により乾燥速度に大きな影響はなかったものの,小 球試料の場合には無添加試料の乾燥速度が最も速く,乾 燥促進剤の添加は乾燥初期における乾燥速度を低下させ ていた。これは試料表面における水分蒸発速度に関係し ているものと考えられ,上述したように水の蒸発速度は 樹脂エマルジョンの水分蒸発速度に比べて速く,一方で 比表面積が大きい小球試料の場合には汚泥中の水分移動 速度が試料の乾燥速度に与える影響が小さいことから, 無添加試料の乾燥速度が最も速くなったものと考えられ る。ただし,含水率が 1.25 g/g (乾ベース) 以下になる と促進剤添加試料と無添加試料の乾燥速度に大きな差は みられなくなった。これは大球試料の場合と同様に試料 内部での水分移動抵抗の増大が原因であると考えられる。 図 8 に乾燥温度 40 ℃の場合の小球試料の乾燥特性曲 線を示す。乾燥温度が高くなるため,試料の乾燥速度は 速くなるものの,40 ℃の大球試料でみられたような乾 燥速度の大幅な増大はみられなかった。これは当該温度 条件の範囲においては乾燥温度が乾燥速度に与える影響 よりも乾燥試料の比表面積が乾燥速度に与える影響が大 きいためと考えられる。乾燥温度が 40 ℃の場合におい ても乾燥初期における無添加の乾燥速度が最も速いが, 大球試料において大幅な乾燥促進効果がみられた DA10 添加試料の乾燥速度は無添加試料とほぼ同じとなってお 図 7 模擬汚泥の乾燥速度曲線 (小球,乾燥温度 : 25 ℃)

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り,また DA10+ を添加した場合においても無添加試 料との差は小さくなっていた。一方,SAA の添加は 25 ℃の場合と同様に最大乾燥速度に達するまでの時間が長 く,また乾燥速度も遅い結果となった。乾燥温度により 乾燥促進剤の効果は大きく異なっていることから,乾燥 により生じた試料内の水分分布および乾燥部 (試料内の 低含水率部) における水分移動特性は乾燥促進剤の種類 や乾燥条件により異なっているものと考えられ,この違 いが乾燥速度に大きな影響を与えたものと考えられる。 無添加試料は含水率 0.25 g/g (乾ベース) まで乾燥が進 むと大球試料の場合と同様に急速に乾燥速度が低下する 傾向がみられた。ただし,小球試料の場合は比表面積が 大きく,また試料半径が小さいため,その影響は大球粒 子に比べて小さかった。 乾燥促進剤が汚泥乾燥に与えた影響を総合的に評価す るのに,含水率 0.25 g/g (乾ベース) 以下にするために 必要な乾燥時間および平衡含水率の比較を行なった。無 機汚泥の場合,汚泥固体燃料として利用されることはな いがここでは固体燃料 (JIS Z7312) の含水率基準を使 用した。図 9 に各乾燥条件における必要乾燥時間および 平衡含水率を示す。ここで平衡含水率は,与えられた乾 燥条件において乾燥がそれ以上進行しない含水率で,本 実験においては 60 分間試料質量の変化がなくなったと きの試料含水率とした。DA10 や SAA を添加し大球試 料を 25 ℃で乾燥した場合,必要乾燥時間は無添加試料 に比べて約 7 % の時間短縮がみられ,逆に DA10+ を 添加した場合には乾燥時間が若干増大していたものの, 乾燥促進剤の添加により乾燥時間に大きな影響があるわ けではなかった。大球試料を 40 ℃で乾燥した場合にお いては乾燥促進剤の添加の有無により大きな差がみられ, DA10 を添加した場合には無添加試料の約半分の時間で 乾燥することが可能であった。これは低含水率における 無添加試料の乾燥速度が乾燥促進剤を添加した試料に比 べて著しく遅かったためであり,上述したように試料表 面の乾燥膜が試料内の水分移動を阻害したためと考えら れる。小球試料の場合には無添加試料の初期乾燥速度は 最も速かったものの,乾燥促進剤を添加することにより 低含水率における乾燥速度は無添加試料よりも若干速く なるため,乾燥に必要な時間はほぼ変わらなかった。小 球 40 ℃の場合には 25 ℃に比べて乾燥時間は短くなった ものの,乾燥促進剤の添加が乾燥必要時間に与える影響 は小さかった。これは当該実験条件においては比表面積 が乾燥速度に与える影響が大きく,水分移動速度や伝熱 が乾燥速度に与える影響が小さいためと考えられる。 平衡含水率については,25 ℃で大球試料を乾燥させ た場合,乾燥促進剤添加の有無により平衡含水率に大き な違いはなく 0.16〜0.18 g/g (乾ベース) であった。一 方,40 ℃で大球試料を乾燥した場合には平衡含水率に 大きな差がみられ,DA10+ および SAA を添加した場 合において平衡含水率は大幅に低下し,特に DA10+ における平衡含水率は低かった。無添加試料の平衡含水 率は 0.246 g/g (乾ベース) であり,25 ℃の乾燥よりも 平衡含水率が高い値となった。これは 40 ℃の急激な表 面乾燥により試料表面近くでの水分移動が制約され,内 部に水が残ってしまい高い平衡含水率になったものと考 えられる。逆に促進剤を添加した場合には 25 ℃の平衡 含水率と同等,もしくは大幅に下がっていた。これは試 料含水率が低い場合においても試料内部から表面へ水分 が移動しているためと考えられる。小球 25 ℃の場合に も乾燥促進剤の種類により平衡含水率により大きな差が みられ,DA10+ の場合において大幅な平衡含水率の低 下がみられた。これは試料表面における急激な乾燥が抑 図 9 含水率 0.25 g/g (乾ベース) までの必要乾燥時間 と限界含水率 図 8 模擬汚泥の乾燥速度曲線 (小球,乾燥温度 : 40 ℃)

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制されたことが原因であると推察される。乾燥温度を 40 ℃にすると全般的に平衡含水率は小さくなっており, 大球試料でみられた結果と異なっていた。これは比表面 積が大きく,試料半径が小さい場合には試料内部の水分 移動抑制の影響が小さいためと考えられる。乾燥条件に よって平衡含水率は異なるが,乾燥促進剤を添加するこ とにより低含水率まで試料の乾燥が可能であった。ただ し,上述したように DA10 と SAA では試料内部の水分 移 動 メ カ ニ ズ ム は 異 な っ て い る も の と 考 え ら れ, DA10+ において最も低い平衡含水率となった原因とし て,DA10 による物理的構造および化学的性状の変化に 加えて,SAA が有する水との親和性が相乗的に影響を 与えた可能性がある。 3. 3 汚泥試料内の水分移動特性 乾燥促進剤添加汚泥内の水分移動について推察するた め,試料に常に水が供給可能な汚泥乾燥容器を用いて実 験を行なった。図 10 に 25 ℃における容器内の水の残量 割合と水分蒸発速度の関係を示す。横軸は容器内の水へ の伝熱と水分蒸発に伴う容器内圧力の影響を排除するた め容器内の水の残量割合としており,残量割合は乾燥時 の容器内の水の質量と容器に充填した水の初期質量の比 で算出している。実験中の汚泥試料および試料表面は常 に濡れた状態であったため,予熱期間後にはほぼ一定の 水分蒸発速度を示すと予想していたものの,乾燥促進剤 の添加の有無にかかわらず残量割合の減少とともに水分 蒸発速度も低下する傾向がみられた。これは試料表面か らの水分蒸発速度に比べて試料内の水分移動速度が遅く, 時間とともに試料内には水分分布が生じ,その水分分布 により試料内の性状が変化しているためと考えられる。 水分蒸発速度は乾燥促進剤の種類により大きく異なって おり,また乾燥時間に対する速度挙動も大きく異なって いた。DA10 を添加した場合において水分蒸発速度は最 も速く,SAA については球状試料でみられたように最 大速度になるまでに時間を要するものの,乾燥初期にお いて DA10 同様に速い水分蒸発速度であった。DA10+ については無添加に比べて速い蒸発速度が得られたもの の,DA10 や SAA に比べて遅くなっていた。樹脂エマ ルジョンの水分蒸発速度は水 (無添加) に比べて遅かっ たものの,水が常に供給されている試料においては乾燥 促進剤添加汚泥試料の水分蒸発速度のほうが速かった。 これは乾燥促進剤を添加した場合,水が蒸発する試料表 面に供給される水の量が多い,すなわち試料内部での水 分移動速度は速いためであると推測される。その一方で, 乾燥促進剤を添加した試料の水分蒸発速度の減速は無添 加試料に比べて大きく,SAA を添加した場合,残量割 合が 0.75 g/g 以下では無添加の水分蒸発速度よりも小 さくなる傾向がみられた。これは時間に伴い試料内部の 水分分布による水分移動抵抗が増大していることが原因 の一つであると考えられる。試料内の樹脂の硬化状態や 界面活性剤の水との親和性は試料含水率によって大きく 異なることから,試料内水分分布により汚泥内の物理的 構造や化学的性状は大きく変化しているものと考えられ, またそれらの変化が水分移動速度にも影響しているもの と推測される。一方,無添加試料の水分蒸発速度は促進 剤添加試料に比べて遅いが,残量割合に対する水分蒸発 速度の低下も小さかった。水の表面蒸発速度は速いもの の汚泥内の水分移動速度は遅いため,当該実験における 水分蒸発速度は低くなったものと考えられるが,常に水 が供給されている場合,試料内部での構造や性状の変化 は乾燥促進剤添加汚泥試料に比べて小さいものと推察さ れる。 図 11 に 40 ℃における容器内の水の残量割合と水分蒸 発速度の関係を示す。温度が上昇することで水分蒸発速 図 10 模擬汚泥の水分蒸発速度の変化 (乾燥温度 : 25 ℃) 図 11 模擬汚泥の水分蒸発速度の変化 (乾燥温度 : 40 ℃)

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度は大幅に増大するものの,水分蒸発速度が残量割合の 減少とともに急速に減速する傾向は 25 ℃の場合と同様 であった。ただし,減速割合は乾燥促進剤の有無および 乾燥促進剤の種類により違いがみられた。40 ℃の条件 においても DA10 や SAA の添加により無添加試料より も速い水分蒸発速度が得られたが,DA10+ は無添加試 料とほぼ同様の傾向を示していた。DA10 については無 添加よりも速い水分蒸発速度が得られており,また蒸発 速度の減速はみられるものの,速い水分蒸発速度を維持 したまま漸近する傾向がみられている。これは汚泥試料 内の性状が無添加の場合に比べて水分移動に適した状態 で安定したためと考えられる。一方,SAA を添加した 場合には 25 ℃の場合と同様に水分蒸発速度の急速減少 がみられ,無添加や DA10+ とほぼ同じとなった。無 添加試料の水分蒸発速度は 25 ℃の場合と同様に最も遅 く,また 25 ℃の場合よりも水分蒸発速度の著しい低下 がみられた。40 ℃の場合には試料表面からの水分蒸発 速度が速い一方で,汚泥内での水分移動速度が遅いため 汚泥内に水分分布が生じ,生じた試料内の水分分布が水 分移動抵抗を増大させたことが原因であると考えられる。 促進剤の種類により水分蒸発速度に与える影響は異なる が,DA10 の汚泥への添加は汚泥中の水分移動速度低下 抑制に寄与しているものと考えられ,乾燥温度が高いほ うがその効果が大きかった。

4.お わ り に

模擬無機汚泥乾燥試料に樹脂系乾燥促進剤を添加し, 乾燥促進剤の添加が汚泥の乾燥速度に与える影響につい て評価を行い,以下の知見が得られた。 ① 乾燥促進剤の種類や乾燥条件により汚泥乾燥促進効 果は異なるが,無機汚泥の場合においても少量の樹 脂エマルジョンの添加により汚泥乾燥の促進が可能 であった。 ② 汚泥の乾燥挙動は被乾燥物表面の水分蒸発速度や乾 燥物中の水分移動速度等,さまざまな因子が影響を 及ぼしているため,乾燥温度や汚泥形状により汚泥 の乾燥挙動は大きく変化する。その中でアクリル系 樹脂エマルジョン (DA10) の添加は汚泥中の水分 移動速度の低下を抑制することが可能であり,比表 面積が小さい大球試料において高い乾燥促進効果が 得られる。 ③ 汚泥への乾燥促進剤の添加は試料表面での水分蒸発 速度を抑制するため,粒径が小さく比表面積が大き い汚泥試料への促進剤の添加は乾燥初期における乾 燥速度の低下を招く。ただし,DA10 添加試料の低 含水率における汚泥内水分移動は無添加試料よりも 速いため,目的とする含水率によっては乾燥温度を 高くすることにより乾燥時間の短縮が可能である。 ④ 水との親和性が高い SAA の添加は汚泥の乾燥挙動 に大きな影響を与え,汚泥の含水率により与える効 果は大きく異なる。高含水率であれば乾燥速度の抑 制効果は小さいものの,含水率の低下に伴い試料内 の水分移動速度を低下させ,乾燥速度を抑制する。 その一方で低平衡含水率まで試料の乾燥を可能とす る。 【謝辞】 本研究の一部は 2020 年度 NEDO「新エネルギー 等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事 業」の助成を受けて実施いたしました。ここに謝意 を表します。 参 考 文 献 1 ) 環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制課:令和元 年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 平成 30 年度速報値 (概要版) (2020) https : //www.env.go.jp/recycle/sangyo_h30.pdf (閲覧日 2020 年 8 月 31 日) 2 ) 環境省大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部:平成 28 年度 廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環 利用量 実態調査報告書 (2018) https : //www.env.go.jp/recycle/report/h29-10/inde x.html (閲覧日 2020 年 8 月 31 日) 3 ) (一社)産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター: リサイクルデータブック 2019 (2019) http : //www.cjc.or.jp/data/pdf/book2019.pdf (閲覧日 2020 年 8 月 31 日) 4 ) 国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部:下水汚泥 エネルギー化技術ガイドライン (2018) https : //www.mlit.go.jp/common/001217263.pdf (閲覧日 2020 年 8 月 31 日) 5 ) 高橋正純:中国における汚泥減容化・資源化の展開, 下水道機構情報,第 15 巻,pp. 38-39 (2011) 6 ) 林 星辰,遠藤弘毅,江草知通,貝田裕彦,松寺直樹, 胡 静波:高粘度汚泥に対応する汚泥乾燥機の開発と実 機運転,三菱重工技報,第 56 巻,pp. 1-7 (2019) 7 ) 国土交通省 国土技術政策総合研究所:B-DASH プロ ジェクト No. 23 脱水乾燥システムによる下水汚泥の肥 料化,燃料化技術導入ガイドライン (案),国土技術政 策総合研究所資料 (2019) http : //www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1058 pdf/ ks1058.pdf (閲覧日 2020 年 8 月 31 日) 8 ) 飯田晃弘:自己熱再生型ヒートポンプ式高効率下水汚 泥乾燥技術実証研究,エレクトロヒート,第 214 巻, pp. 24-29 (2017)

(9)

9 ) (株)大川原製作所:木質バイオマスを利用して汚泥乾燥 焼却設備の燃料削減

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Drying Behavior and Drying Promotion Effects of Inorganic Sludge

with a Resin Type Drying Accelerator

Nobusuke Kobayashi*, Yuma Tachibana*, Kenji Kamiya*, Yoshinori Itaya* Akira Suami* and Tsuguhiko Nakagawa*

* Graduate School of Engineering, Gifu University

Correspondence should be addressed to Nobusuke Kobayashi :

Graduate School of Engineering, Gifu University (1-1 Yanagido, Gifu 501-1193 Japan)

Abstract

In this study, a drying experiment was conducted on inorganic sludge with a resin-based drying accel-erator in order to clarify the effect of resin emulsion addition on drying behavior. In the experiment, 0.8 wt% of acrylic resin emulsion was added to inorganic sludge, and the effect of its addition on drying and the effects of drying conditions such as drying temperature and sludge size on the drying rate were evaluated. Although the drying acceleration effect of sludge differs depending on the drying accelerator type, it was possible to accelerate inorganic sludge drying by adding a small amount of resin emulsion. In particular, the addition of acrylic resin emulsion (DA10) showed a high drying acceleration effect in the large spherical sample with a small specific surface area, since DA10 suppresses the decrease of the water transfer rate inside the sludge. On the other hand, the addition of the drying accelerator to the sludge suppresses the evaporation rate of water on the surface of the sludge, so that it was necessary to optimize the drying temperature and the sludge sample shape when adding the resin emulsion to inorganic sludge.

図 1 乾燥装置概略図

参照

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