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就学前児童の父親への子育て支援-その研究動向と実践展開-

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Academic year: 2021

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(1)就学前児童の父親への子育て支援   一その研究動向と実震度開 学校教育学専攻 幼年教育コース    ㎜07021D.   高見典宏  現在わが国において少子高齢化,核家族化が進. 家事」という現在に根強く残る性別役割分業意識. む中,女性に対する子育て支援が推進されてきた。. は,明治初頭あたりからの国策として醸成されて. 国は様々な施策を提言し,少子化問題に対応しよ. きた。これらの意識は,現在でも未だ根強く残り,. うとしている。これらの社会変化に伴い,子育て. 母親が働きたいと願おうとも,子どもの手のかか. は,従来の「女性は家庭で育児」とする考え方か. るうちは,仕方なく家庭で育児・家事に追われる. ら,「父親も母親も育児・家事」をする考え方が一. 生活を送っている場合が多い。女性の自己実現に. 般化されてきた。そのため,家庭における父親の. 向けての社会進出は,人権の世紀の社会的課題と. 役割や育児参加が注目され,重要視されてきた。. して重要視される。父親と母親が共に自分のやり. 今後,父親の育児参加はますます重要なものにな. たいことができ,家庭における父親と母親のそれ. ると考えられる。これらを踏まえ,幼稚園・保育. ぞれの役割を果たす。これが本来あるべき性別役. 所は,女性が働きやすい社会にすることや男性が. 割分担なのであろう。. 積極的に育児・家事に携わるようにするために,.  これらを実現させるため,父親が積極的に子育. 大きな役割を担うことになるであろう。. てに参画するには3つの課題を乗り越えなければ.  本研究では,父親への子育て支援を行う意義を. ならない。第1に長時間労働,第2に依然として. 明確にし,父親への子育て支援における実践の方. 根強く残るステレオタイプの性別役割分業意識で. 向性を探ると共に現在行われている父親への子育. ある。そして第3は父親としての発達不全である。. て支援の効果について検証する。. ステレオタイプの性別役割分業意識を変革して,.  現代の父親が置かれている歴史・文化・社会的. 父親として自らが気付き,考え,行動に移すこと. 状況を把握し,その上で,父親に対する子育て支. が求められている。. 援が実践と先行研究のレベルでどのように展開し.  第2章では,幼稚園・保育所・NPO法人で現行. ているのか整理し,現行されている子育て支援を. される父親への子育て支援が第1章で取り上げた. 参観し,インタビューを行う。父親への子育て支. 3つの課題をどのように汲み取り,展開している. 援がどのような内容で展開され,その支援が支援. のかを探り,多種多様な父親への子育て支援の内. する側や父親にどのような効果をもたらしている. 容にっいてまとめることを試みた。日本各地で実. か明らかにするものである。. 施されている父親への子育て支援は,大きく分け.  第1章では,性別役割分業意識の歴史的変遷と. てイベント型,運動型,造形型,勉強型と4つの. 父親の役割,父親に対する子育て支援の意義を追. カテゴリーに分類することが可能であった。しか. いかけた。「父親は外で仕事,母親は家庭で育児・. し,4つのカテゴリー金てを実施している園は非. 一72一.

(2) 常に僅少であった。次に,父親に対する子育て支. ことが明らかとなった。その意識が男性保育者と. 援の先行研究を取り扱い,研究数やその動向を把. 子どもとの関係性を充実させ,それを父親が学び,. 握すると共に,カテゴリー分けを通して父親への. 家庭でも活かそうとする。その育児への介入姿勢. 子育て支援における研究課題を整理した。その結. が,母親の父親に対する評価へと繋がり,その様. 果,支援者,父親両者を対象にした研究は非常に. 子を母親が幼稚園に来園して男性保育者に語る。. 少ないことが確認された。. こうした循環を通じて,男性保育者の自信が深ま.  そのため,第3章において,4つのカテゴリー. り,保育者としての資質を高める努力へと繋がっ. 分類された子育て支援内容を実施し,なおかつ父. ていくことが示唆された(図1)。. 舳姥敦意調 榊瀦轟脇字国. 親への子育て支援を持続的に行っている幼稚園を.    ◆        ◆. 調査対象とし,フィールドワークの成果をまとめ. 舳払の1帥磁1機“囚. た。とりわけ,父親に対する子育て支援の概況や 支援者の意識,父親への効果,両者が抱える課題.     図1『おやじの会」がもたらす効果サイクル. 点について,インタビューを通じて検討した。.  現在日本において,父親の帰宅時間を早めるこ.  幼稚園が抱える課題は,今の支援が精一杯であ. と,母親の就業率を高め,さらに出産後も働きや. るということである。しかし,父親への子育て支. すくする社会体制を整えることが求められる。男. 援を通し構築された父親同士のネットワークの広. 性にとってケアとはあくまで受けるものであって,. がりは,園にとっても非常にプラスの効果をもた. 自分がケアの提供者になるという発想は薄いこと. らしていることが明らかとなった。そのようなメ. 示した先行研究がある。このような父親の意識が,. リットがあるからこそ,父親への子育て支援が有. 女性の家事・育児時間の長さに反映されている。. 効な結果を出していけるよう力を注いでいく必要. 今後の子育て支援を進めていく上で,父親がケア. がある。. の提供者になるよう促す機会の増加が求められる。.  一方,父親への効果であるが,4つに分類され. また,固定的な「ジェンダー」意識の克服も必要と. た父親への子育て支援内容は,第1章で取り上げ. なる。女性の育児・家事時間の長さ等に現れる性. た3つ課題に対し有益に働いていた。妻と家事や. 的不平等をいかに無くすのか,常に問い続けるこ. 育児を分担していくことや,父親としての成長を. とが父親はもちろんであるが,支援者側にも求め. 感じられる機会の保障になっているということが. られる。. 父親のインタビューから窺えた。つまり,4つの.  本研究では,支援者・父親の意識調査が必要最. カテゴリーを全て実施することで,初めて父親へ. 小限であった。より多くのライフスタイルを持っ. の効果として現れるのであり,大半の幼稚園が実. た父親を調査できなかったことは残念であった。. 施している,イベント型のみの子育て支援では,. 保育現場に出た際には,積極的に父親への子育て. あまり効果は期待できないのではないかと考えら. 支援に参画するとともに,父親の言葉に耳を傾け. れる。また,父親が園に参加しやすくしている要. ながら,子どもと父親双方を支援していきたいと. 因として男性保育者の存在が挙げられた。男性保. 考えている。. 育者に対するインタビューを実施した結果,男性.    主任指導教員 横」l1和章 教授. 保育者は父親に対し,モデル役割を提示している.     指導教員  佐藤哲也准教授. 一73一.

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