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近代中国東北に於ける糧桟の状況

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Academic year: 2021

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(1)近代中国東北に於ける糧桟の状況. 専攻   教科・領域教育学  コース  社会系.  学籍番号M10166G  氏名   李明麗 【研究目的】. 穫の直後になる農作物の投売り又は、農民生.  中国東北における大豆が商品化されたの. 産の営業的方面の資金前貸しによって挙げ. は18世紀半ばであり、遼河沿岸地で生産さ. られるのである。両方の場合とも、損害を蒙. れた大豆を油房により加工され、粕及び池と. るのは富農ではない。富農は穀物の費却の時. して関内各地に移出されていた。. 期を選ぶことが出来る。被害者は中震及び小.  大豆生産の中で大豆を農民から買付け、池. 農である。従って支那の穀物買占め人が主と. 坊と外国商社(特産商)に売却するという機. してその利潤を挙げるのは、農民の商品生産. 能を果たしたのが糧桟であった。. の富裕からではなくて、その貧困からであ.  本稿は満州事変前後における糧桟の変化. る。」と述べている。 【研究の概要】. 状況を明らかにすることを目的とする。.  糧桟に関する先行研究は、その多くが農民.  第一章では、満州事変前の穀物配給市場に. と特産商間の媒介的役割の視点から研究し. おける糧桟の沿革及び穀物配給市場におけ. ており、それらは概略的なものに止まってい. る地位が明らかになった。糧桟は油坊の営業. る。糧桟の職能について触れているものの、. 化に随伴したものであるが、その後特産物輸. 糧桟の組織及び当時社会的地位については. 出の道が開かれ、商人が新興商品である大豆. 具体的研究していない。. 及び他特産物を利用するのを見て、出延期に.  糧桟の発生について、満鉄経済調査会の. 資本を投じてその売買に従事するものであ. 「事変後における糧桟の変革」では、「経済. った。その後、特産物の輸出が旺盛となると. 的未発達の場合に通例なる如くに、満洲にお. ともに糧桟は漸次専業化し、輸出品の穀物専. いて其の農業に接触する商人資本は雑貨商. 門となり、1932年において都会地の糧桟は. であったと思われるが、それが雑貨の対価と. 馬車宿泊と分離したものになった。. して農民又は地主より受取った糧穀を以て、.  このような沿革をたどった糧桟は満州の. 或いは池坊、焼鍋等の小工業を営み、或いは. 穀物配給市場において農民一地方程桟一集. 糧穀の売買をするものが交通が発展して穀. 散地糧桟一滴坊または輸出業者という直系. 物の大量的取引を盛んになるに及んで、次第. の通路の中で収集、貯蔵、金融の職能を果た. に穀物取引を主業となす者も生じ、糧桟の発. した。当時銀価低落の時代、農民の信用維持. 生をみたのである。」と述べている。. 困難な時代において農民と池坊または輸出.  ウィットフォーゲルはr支那」における商. 業者の直接連携が為されない時代に糧桟は. 業資本の利潤獲得に就き「農民の生産物の買. その両者の間で重要な地位を占めるのであ. 占めによって得られる巨額の超過利潤は、収. った。. 一306一.

(2)  第二章では、満州の特産界における富商の. また事変後変革過程における特産物取引機. 活動実態を考察した。富商は官憲と特殊の関. 構の特質について考察した。. 係をもって糧桟の活動を為す商人であり、各.  満州事変前において糧桟は官僚・軍閥資本. 省に本店と聯号関係の支店を設置していた。. と結び付くことにより政治的、経済的庇護を. 富商は官銀号の通貨発券権を利用して発行. 与えられ、大豆を中心とする農産物を中世. した不換紙幣をもって大豆を買付し、これを. (青田売買)的方法によって買い集め、国際. 大連、その他の地方に売却し、金票の貨幣を. 資本の輸出業者または油坊に売り渡す地方. 受得しておき、大豆の出廻が終息して発券紙. 商業であることが明らかになった。. 幣が過剰となり、相場が暴落するのを待って.   事変前の特産物取引機構の特質につい. その時価に金票をもって回収し、その暴落に. ては、土着商業資本である糧桟は日本商業資. よる差額だけも殆ど利得になることであっ. 本である輸出商と相侵しない均衡的状態を. た。富商筋の大豆買占めは自己の腹を肥やす. 維持したのがこの時期特産物取引機構の特. こと外に、東北地方政権の軍、政費調達の手. 質であった。. 段として行ったものであった。.  事変後における糧様変革の諸要因につい.  第三章では、満州事変後における特産金融. ては、内部的要因は軍閥資本の暴落及び「支. 機関及び糧穀交易市場の状況について分析. 那」本土資本の関内引き揚げのことであり、. した。特産金融機関としては、満州中央銀行. 外部的要因は日本資本の浸透及び地方当局. 及び国際運輸の対特産金融状況を述べた。中. による共同販売計画の台頭の原因であった。. 央銀行は特産方面について富商筋のものを.  事変後、変革過程における特産物取引機構. 接収し、満州奥地においた莫大な資金を要す. の特質は、輸出業者が原地に進出し、原産地. る糧桟及び農民にとって唯一の大口金融機. から共同販売組合が設立される状況の中で. 関となった。. 糧桟は最も弱い一環として存在していたこ.  国際運輸は沿線地域の糧桟を対象として. とである。. 特産金融及び馬車輸送の金融活動を行った。.  以上の内容を総括すると、本論分は近代中. 金融を希望する者に対して先担保品として. 国東北の満州において大豆を中心とした特. 提供する特産につき国際運輸係員の鑑定評. 産物取引機構の一環として農民と輸出業者. 価を請い、国際運輸が代理する火災保険に加. を連携する役割を果し、社会的不可欠の地位. 入し、その担保品物件が国際の手を通じて輸. を有した糧桟が事変後において富商の暴落. 送する客体のことを条件とする点があった。. 及び輸出業者による農村への進出、共同販売. 糧穀交易市場については、吉岡県の状況を取. 組合の設立によりその社会的地位が低落さ. 上げた。糧穀交易市場の設立により糧桟は農. れた状況を明らかにした。. 業倉庫の信用貸出を受けるようになり、農民.  本論文の今後の課題は、満州事変後におけ. の手取金額が増加されたことであった。. る糧桟の沿革過程を検討することである。.  第四章では、前章の内容の総括として満州 事変前における糧桟の本質、特産物取引機構 の特質を分析し、それに基づいて満州事変後 における糧様変革の内部・外部的諸要因及び 糧桟の組織、職能に現れた諸様相を分析した。. 一307一. 主任指導教員 松田吉郎   指導教員 松田吉郎.

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