近代中国東北に於ける糧桟の状況
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(2) 第二章では、満州の特産界における富商の. また事変後変革過程における特産物取引機. 活動実態を考察した。富商は官憲と特殊の関. 構の特質について考察した。. 係をもって糧桟の活動を為す商人であり、各. 満州事変前において糧桟は官僚・軍閥資本. 省に本店と聯号関係の支店を設置していた。. と結び付くことにより政治的、経済的庇護を. 富商は官銀号の通貨発券権を利用して発行. 与えられ、大豆を中心とする農産物を中世. した不換紙幣をもって大豆を買付し、これを. (青田売買)的方法によって買い集め、国際. 大連、その他の地方に売却し、金票の貨幣を. 資本の輸出業者または油坊に売り渡す地方. 受得しておき、大豆の出廻が終息して発券紙. 商業であることが明らかになった。. 幣が過剰となり、相場が暴落するのを待って. 事変前の特産物取引機構の特質につい. その時価に金票をもって回収し、その暴落に. ては、土着商業資本である糧桟は日本商業資. よる差額だけも殆ど利得になることであっ. 本である輸出商と相侵しない均衡的状態を. た。富商筋の大豆買占めは自己の腹を肥やす. 維持したのがこの時期特産物取引機構の特. こと外に、東北地方政権の軍、政費調達の手. 質であった。. 段として行ったものであった。. 事変後における糧様変革の諸要因につい. 第三章では、満州事変後における特産金融. ては、内部的要因は軍閥資本の暴落及び「支. 機関及び糧穀交易市場の状況について分析. 那」本土資本の関内引き揚げのことであり、. した。特産金融機関としては、満州中央銀行. 外部的要因は日本資本の浸透及び地方当局. 及び国際運輸の対特産金融状況を述べた。中. による共同販売計画の台頭の原因であった。. 央銀行は特産方面について富商筋のものを. 事変後、変革過程における特産物取引機構. 接収し、満州奥地においた莫大な資金を要す. の特質は、輸出業者が原地に進出し、原産地. る糧桟及び農民にとって唯一の大口金融機. から共同販売組合が設立される状況の中で. 関となった。. 糧桟は最も弱い一環として存在していたこ. 国際運輸は沿線地域の糧桟を対象として. とである。. 特産金融及び馬車輸送の金融活動を行った。. 以上の内容を総括すると、本論分は近代中. 金融を希望する者に対して先担保品として. 国東北の満州において大豆を中心とした特. 提供する特産につき国際運輸係員の鑑定評. 産物取引機構の一環として農民と輸出業者. 価を請い、国際運輸が代理する火災保険に加. を連携する役割を果し、社会的不可欠の地位. 入し、その担保品物件が国際の手を通じて輸. を有した糧桟が事変後において富商の暴落. 送する客体のことを条件とする点があった。. 及び輸出業者による農村への進出、共同販売. 糧穀交易市場については、吉岡県の状況を取. 組合の設立によりその社会的地位が低落さ. 上げた。糧穀交易市場の設立により糧桟は農. れた状況を明らかにした。. 業倉庫の信用貸出を受けるようになり、農民. 本論文の今後の課題は、満州事変後におけ. の手取金額が増加されたことであった。. る糧桟の沿革過程を検討することである。. 第四章では、前章の内容の総括として満州 事変前における糧桟の本質、特産物取引機構 の特質を分析し、それに基づいて満州事変後 における糧様変革の内部・外部的諸要因及び 糧桟の組織、職能に現れた諸様相を分析した。. 一307一. 主任指導教員 松田吉郎 指導教員 松田吉郎.
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