原 著
中山間地域の市町村 に勤務する中堅期保健師が
実践経験 を通 じて得ている学び
Learning from Practical Experiences ofふ
/1id―Career PubLc Health Nurses
恥
「orking at WIunicipalities in Hilly and Mountainous Areas
御子柴裕子
,下
村聡 子
,安
田貴恵子
,柄
澤邦江
,酒
井久美子
,中
林明子
Yukoよ
/11KOSHIBA,Satoko SHIMOMUR貪
,Kieko YASUDA,Kunie KARASA氏
A「貪
,Kumiko SAKAI,Akiko NAKABAYASHI
キー ワー ド :中 山間地域
,中
堅期保健 師
,市
町村保健師
,学
び
,実
践経験
,現
任教育
要 旨
中山聞地域の市町村に勤務する中堅期保健師が
,保
健師活動の実践経験を通 じて得ている学びを明らかにし
,現任教育の方策を検討 した 経験年教
1020年
の保健師
10名に半構成的面接を行つて得られた
44件の学びは【
個
人・家族の持つ力を引き出し
,高
める援助〕【
要支援者を支える地域の力の向上】等の
7カテゴリーに,35件 の
実践経験は 〔
保健師の意図と異なる反応が示されたことで自らの援助を省みた
I【熟練者の援助と対象者の変
化を結び付けて理解した〕等の
16カテゴリーに整理された
実践経験のカテゴリーはさらに
,学
びを得た経験
をす るこ とになった9つ の契機 に整理 された 中山間地域 の市 町村 に勤務す る中堅期保健 師は,広
範 囲 にわた る受 け持 ち地域 や業務 において試行錯誤す る過程 で,経
験 を振 り返 り意味付 けることで,実
感 を伴 う学 び を得 た り,保
健 師活動 の基 盤 となる考 えを深めた り, 目指す方 向性 を見出 した りしていた 以上 よ り,現
任教育 と して,日
常業務 を通 じた職場 内研修 (O」T)に
よ り実践経験 を振 り返 る機会 を持つ こ との重要性 と,保
健 師の 成長 目標 を段 階的に示す必要性が示唆 されたAbstract
The purpose of this study was to clarify the learning iom practical experiences of lllid― career public health nurses (PIINs)working at municipalities in hilly and nlountainous areas We also ainled to nnd the strategy of in― service training Senli― structured interviews were conducted with ten PHNs having 10-20
years of experience in the prOfession The fOrty― four contents of learning were grouped into seven categories about as foHoⅥ アs, “Support to individuals and fanlihes for bringing out and enhancing their potential" “Ernpowerment of the coninlunity's power for residents in need of support" The thirty― nve contents of practical experiences were grouped into sixteen categories about as folows,“ ReFlection on their o、 vn support by the response direrent from what they expected"“ Understanding through relating the help of experienced professionals to the challge of their subject" Furthermore, these practical experiences' categOries were grouped into nine opportunities ヽ/1id―career PttINs working at municipalities in hilly and mountainous areas
acquired learning with the reahzation that they developed thinking about foundation for the PHN,and found a direction for goal during the course of learning by Hlistake through the、 、アide range of、70rk and territory Regarding the in―service training, 、、re suggested the importance of opportunities to reflect on the PIIN's practical experiences through the on― the―job training (O」 T). and the need to indicate the step―by―step development object市e as PHN
受イ、l日 :2015年 6月 29日
採1尺日
:2015年
12月 24日長野県看護大学 Nagano Colege of Nursing
I.は
じめに 保健 師の現任教育の充実 は喫緊の口果題 であ り, こ れ まで に も行政保健師のキ ヤリア開発のための課題 検討Ⅲや,キ
ヤ リア ラダー に対応 した研 修 内容 の開 発2)等 の取 り組みがなされて きた 平 成22年4月に 「保健師助産師看護師法」お よび「看護 師等 の 人材 確保 の促進 に関す る法律」が改正 され,新
人看護専 門職員の卒後臨床研修が努力義務化 された この こ とを受 けて,平
成23年2月には保健師 を対象 とした 新 人看 護 職 員研 修 の ガ イ ドラ イ ン働が 出 され,翌
24年3月 には中堅期保健 師の人材育成 に焦点 を当て た ガ イ ドラ イ ン1)が提示 され た これ らの指針 は, 保健 師の キ ヤリア形成 にお ける中核 的 な内容 を網羅 してい る点 では参考 になるが,実
際の行 政現場 にお いては,保
健 師の所属す る自治体の規模や人口構 成 の特徴,健
康課題の特性等 を考慮 した人材育 成計画 が検討 され るのが望 ま しい と考 える と りわけ,中
山間地域 にある自治体 においては,開
催 地 までの距 離 の遠 さに よ り研修会 に参加 しに くい背景が あ るこ と5)ゃ,少
人数の職場であるが ため に,勤
務 を外 れ て職場外教育 (Off JT)を受 ける こ とが 困難 であ る こ とが推測 される そのため, 日常業務 を通 じた職 場 内研修 (O」T)の
充実が と りわけ必要 であ る と考 える 新任期保健 師の職場適応 や実践 能力 に関す る議論 において は,新
任期保健 師の ロー ルモデ ル となる中 堅期 保イ建師 の役 割 の重要性 が確 認 され てい る少1) また,保
健 師 のベ ス トプ ラ クテ イスの分 析 か らは, 保 健 師の専 門性 を継承す る効果的 な方法 と して,職
場 内での現任教育 を行 うこ とが不可 欠であ り,中
堅 期 保健 師 に対 す る期待が述べ られ てい る6, この よ うに,中堅期保健師は,新 任期保健 師のプ リセプ ター や業務遂行 の中心的な役割 を果たす等,職
場組織 に お ける期待が大 きく,多
様 な役割 や能力 発揮 を求 め られてい る しか しなが ら,中
堅期 にあ る保健 師が この時期 において, どの ような実践経験 か らどの よ うな学 び を得てい るのか につ いて は,施
策 化 に関わ る技術 ・能力 に特化 した研究ア〕はある ものの,新
任 期保健師 を対象 とした研究99)Ю )に比べ て報告 は少 な く,共
有で きる資料が少 ない この ように,中
堅 期 保健 師が実践経験 の 中で得 てい る学 びや,学
び を 得た実践経験の現状が明 らかになれば,中
堅期保健 師の成長の過程が明 らか とな り,中
堅期の育ちを支 える方策の検討資料を得ることがで きると考える そこで本研究では,中
山間地域の市町村に勤務 し ている中堅期 にある保健師が,保
健師活動の実践経 験の中で,具
体的にはどのような実践経験か らどの ような学びを得ているのかを明 らかにする また, このことか ら,新
任期 を終え,中
堅期 としての実践 能力の向上を目指 した行政保健師の現任教育のあ り 方に関する示唆を得ることを目的 とする Ⅱ.研
究方法1.用
語の定義1)保
健師活動を通 じての学び 保健師が実践経験 を通 じて得ている保健師活動に 関する学びについて,松
下 らの先行研究で定義 され ている「保健師 としての実践経験の中でつかんだ保 健師 として大事なことや保健師活動 とは何か という 考え」lDを用いた2)中
堅期保健師 中堅期保健師の人材育成に関するガイ ドラインで は,中
堅期保健師 を経験年数 5-19年 とし,中
堅前 期 (卜9年),中堅中期 (10-14年 ),中堅後期(1619
年)に
細分化 している° また,佐
伯 らによる保健 師のキャリアラダーでは,経
験年数315年
をラダー Ⅱ,中
堅期 としている勤_本
研究では,こ
れ らを参 考 に した上で,中
堅期保健師 を「経験年数5-20年 の保健師」 とした2.対
象者 および選定方法A県
内 において,農
業 地域 類型 区分 の「 中間農業 地域」または「山間農業地域」を含む市町村お よび, これ らに隣接す る市 町村 に勤務す る保催 師の うち, 保健 師 と しての勤務経験 が(育児体業期 間 も含めて)1020年
の 中堅期保健 師 本研 究 で は,保
健 師 自身 が新任期のみな らず中堅期 にあたる期 間の振 り返 り もで き る よ う に考 慮 した 上 で,勤
務 経 験 年 数 を 10-20年 に設定 した さ らに,中
堅期保健師の実践 経験 において,先
輩保健 師 との関係 のあ り方 も検討 したい と考 え,所
属す る 自治体 の 人口規模 は,保
健 師の複数配置 を想定 し得 る 10,000人 以上 とした 保健 師が所 属 す る2市 2町1村 の保健衛生担 当係 長 に対 して,本
研究 の 目的 と方法 お よび倫理 的配慮 につ い て書 面 と口頭 で説 明 を行 い,2市
1町1本寸よ り研究協力 の了解 を得 た 各 自治体 の係 長 に所属す る該 当保健 師の概数 を尋 ねた後,係
長宛 に研究協 力 の依頼文書 を送付 し,該
当す る保健 師 に手渡 してい ただいた その結果,本
人か ら直接研究協力の承諸 を得 られた保健師 10名 を本研究の対象者 とした2
日本 ルー ラルナー シング学会誌 第11巻 (2016)3.調
査 内容1)対
象者 の属性 対 象者 の基 本 的属性 と して,年
齢 (年齢 階級), 性 別,現
在 の職位,保
健 師 と しての経験年数,保
健 師以タトの職種での勤務経験 の有無 について尋 ねた2)保
健 師活動 の実践経験 を通 じた学 びに関す るこ と 保健 師 と しての実践経験 の中で “保健 師活動 と し て こうい うことが大事である,保
健 師活動 とは こう い うものである, とい う何か をつかんだ経験"に関 して,以
下 のC℃
)について尋 ねた①具体的な実践経験の内容 と
,経
験 をすることに
なった契機
それは保健師何年 目頃に経験 した
のか
.当
時の所属および担当業務
.②
Dか
らつかんだこと
(学び
)は
何か
それは保
健師何年 目頃のことか
4.調
査方法 前述の調査内容 を聞 き取 る インタビューガ イ ドを 作 成 し,半 構 成的面接 による個別面接調査 を行 つた 対 象者の属性のみ,事
前 質問用紙 にまとめて面接前 に対象者本 人に送付 し,記
入済みの状態で面接 当 日 に持参 して もらって確 認 した また,調
査 内容 は, 許可 が得 られた場合 にのみICレコー ダーに録音 し, 許 可 が 得 られ なか った際 には聞 き取 リメモ を とっ た 面接 に要 した時間は5卜90分(平均68,0±101分
) で あ った なお,調
査期 間は2012年H月
-2013年1 月であ った5
分析方法 面接 内容の逐語録 または聞 き取 リメモ を基 に面接 記録 を作 成 した後,内
容 を確認す るため に対象者本 人に送付 し,了
承 された もの を分析対象 とした 最初 に,実 践経験 を通 じて得ていた学 びについて, 具体 的 な実践経験 の内容 と経験 をす ることになった 契機,経
験 した時期,得
られた学 びの内奮が読み取 れ るひ とま とま りの記述 を面接記録 か ら抽 出 した。 その後,学
びの内容 については,意
味 が損 なわれ な い ように要約 した もの を1件 と し,内
容 の類似性 に 基 づ いて細項 目,カ
テ ゴ リー化 して件数 を示 した 実践経験 の内容 について も,意
味が損 なわれ ない よ うに要約 した もの を 1件 と し,内
容 の類似性 に基づ いて カテ ゴリー化 した後,学
びを得た経験 をす るこ とになった契機 ご とに まとめ,件
数 を示 した1件
の実践経験 か ら複数件の学 びが得 られていた り,複
数件 の実践経験 か ら1件 の学 びが得 られていた りす る こ ともあ った さらに,実
践経験 と学 びの時期 と 件 数 につ い て,そ
れぞ れ新任期(14年
目)と
中堅 期 (5年 目以降)に
分 けて検討 した なお,分
析 の信 頼性 ・妥 当性 を確 保す るため に, 面接記録 か らの抽 出,内
容 の要約 お よびカテ ゴリー 化 は,地
域看護 を専 門 とす る複数の研究者で検討 し なが ら実施 した さらに,分
析結果 につ いては対象 者本 人の確認 を得 た6.倫
理 的配慮 対 象者 には,研
究の 目的 と方法,調
査協力は自由 意思 に基づ くこ と,匿
名性 の保護,調
査結果の公表 等 につ いて文書 で伝 えた後,面 接実施の際 には再度, 文書 と口頭 にて説明 した また,研
究協 力の意思表 示の際 には,対
象者 の上司 を介在す る ことな く,研
究者 に直接返答す る方法 を用いた なお,本 研究は, 研 究者 が所属す る大学 の倫理委員会 の審査 を受 け, 承認 を得て行 つた (承認番号201214)
Ⅲ.研
究結果1.対
象者 の属性 10名 全員が女性 であ り,年
齢構 成 は3034歳
3名,3539歳
4名,4044歳
1名,45-49歳
l名,50-54歳
1名であ った 全員が ス タッフ保健師であ り,管
理 職 に就いている者 はいなか った また,対
象者が所 属す る市町村 は,過
去 に行われた市町村 合併等の名 残 もあ り,小
規模 であ って も保健師が支所等 に分散 配置 されている状況や,複
数の保健師が配属 されて いて も通常業務 は単独で行 っている場合 もみ られて いた 保健 師 と しての経験 年数 は1219年
であ り,そ
の 内訳 は,1215年
7名,16-19年
3名 であ った 保健 師以外 の職種 での勤務経験 がある者は半数の5名 で, そ の 内訳 は,看
護 師 3名,看
護 職 以外 の勤務経験 2 名であ った2.保
健 師活動 の実践経験 を通 じて得 ていた学 びの 内容 お よび件数 表 1の とお り,面
接 内容 か ら要約 された学 びの内 容 は44件で あ った これ らを類 似性 に基づ いて細 項 目に ま とめ た ところ,7つ
の学 びの内容 の カテ ゴリー
(以下 〔
】で示す
)【個人・家族の持つ力を
引き出し
,高
める援助】【
要支援者を支える地域の
力の向上】〔
地域に根付いた保健師活動】〔
公衆衛生
看護の原則の再認識】〔
地域の健康口
果題の明確化
′
施策化】〔
健康危機への対策】〔
福祉分野の保健師の
日本ルーラルナーシング学会誌 第11巻(2016) 3
表
1
保健 師活動 の実践経験 を通 じて得 てい た学 びの内容,お
よび学 び を得 た時期 学びの 内容の カテゴリーと件 数 個人・家族の持つ 力を引き出し,高 める援助 19件 地域に根付いた保 健師活動 7件 要 支援者 を支える 地域 の 力の 向上 7件 学びの内容の細項 目 対象者の意思決定力を尊 重した関わりの重要性 対象者の問題対処能力を 高める関わりの重要性 対象者のニーズに即した 支援者へのつなぎ 家族の意思決定を尊重し た関わり 対象者と向き合い傾聴す ることの重要性 複雑な問題を抱える事例 の支援のコツの会得 個人と家族全体の両側面 からの支援方法の検討 乳幼児の成長発達と親の 関わりの重要性の理解 援助の継続における責任 ある対応 住民との信頼関係の維持 を意図した傾聴の重要性 住民との関わりの重要性 の認識 地域に密着した保健師活 動の実感 家庭訪間の重要性の再確 認 地域をよく知る住民や関 係者との人脈づくり 住民同士の支え合いを高 めることを意図した活動 に対応できる支援 トワークの構築 対象者 自身が健康課題に気付くという過程が大事 対象者が抱える健康課題について,対 応方法を一緒に考える 対象者に徹底的に寄り添うこと,寄 り添うだけでは解決しないので寄り 添いつつ,は っきりと伝えるタイミングを逃さない 学びの内容の要約 対象者の話の腰を折らないよう1こ話を聴く 短時間でも対象者としつかり向き合つて話を聴くことが大切 対象者との適度な距離を持ちつつ,対 象者の判断を待つことも大事 対象者の考えを尊重し,保 健師側の思いを押し付けない 対象者が保健師の考えと異なることを選択したとしても,その状況を客 観的にみる 対象者 自身が物事の れるよう1こ支援する 判断をできるよう1こ,気 持ちをよく聞いて,決 めら 対象者 自身が何に困つているのかを気付くことができるように関わるこ とが大事 保健師からの関わりが必要な人に対して,拒 否的な反応がみられたと しても,繰 り返し訪問して声を掛ける 対象者にとつて最善の方法を考え,必 要な関係者につなげて抱え込ま ない 対象者にとつて一番適切な人が関わることができるように連携すること が大事 生命の危機状態がない限り,家 族の考えを尊重する 物事の判断が必要な場面で,家 族の考えや判断を尊重する 家庭訪問を通して対象者の生活の場を提えることが大事 複雑な問題を抱えるケースの課題整理やケースワークの方法を学ん だ 個人だけでなく家族全体への支援方法を考える 乳幼児の成長発達と親の関わり方の重要性を具体的に理解した 継続ケースについて,担 当者が変わつた際にも,きちんとつなげていく ことが大切 住民と関わることが一番大事である 地域に密着した保健師活動を実感した 保健師活動について十分に理解していないことに気付き,保 健師活動 にも色々な方法があると知った 家庭訪間を通して,地 域に出ることが必要 日常の家庭訪問活動が重要である 地域住民と共に対象者を支えるための体制を整えながら,住 民同士 で支え合える力を高めていく 住民同士のつながりを大切にしながら事業を実施することで,参 加時 だけでなく,継 続した健康づくり1こつながる 住民同士のつながりを大切にしながら事業を実施することで,地 域に 根差した活動を展開する 障がいを抱えながらも地域で生活するためには,ボランティアの力が 大切で,担 う住民の力を伸ばしていく 先輩保健師たちが築いてきた住民との信頼関係を崩さないために1住 民の話を聴くことが大事 支援の際に,緊 急性が高く,すぐに支援体制を整えることが必要 であり,その時のために,関 係者や住民とのネットワークを作つておく に潜在するケースを掴むために,住 民が暮らしの中で気付いた が重要であり,住 民から情報を寄せてもらうことが必要である 地域住民について幅広く知るために,関 係者や住民の中のキーパー ソンとのネットワークを構築する 7年 目 13年 目 13年 目 5年 目 5年 目 9年 目 8年 目 8年 目 特定困難 13年 目 9年 目 4‐6年 目 4‐6年 目 特定困難 2年 目 12年 目頃 6年 目以降 6‐7年 目 1‐5年 目 1年目 特定困難 特定困難 13年 目 7年 目 7年 目 特定困難 14年 目頃 14年 目頃 11年 目 11年目 8年 目 14年 目頃 特定困難4
日本 ルーラルナーシング学会誌 第■ 巻 (2016)福祉分野 の保健 師 の役割 認識 1件 健康危機への対 策 1件 地域の健康課題 の明確化
/施
策 化 4件 公衆衛生看護の 原則の再認識 5イ牛 字 びの 内容 の 力予ゴ1)―ル件 勘 高齢者福祉分野における 保健師の役割の認識 災害時の保健師活動の考 察 地域の健康課題の明確化/施
策化の重要性 根拠に基づいた活動の重 要性 住民を中心に考えた精神 保健福祉活動 住 民の健康生活を支える ための住民や他職種 と協 働 長期的な視点からの予防 活動の重要性 学びの内容の細項 目 ケアマネジャーからの地域で暮らしている高齢者についての相談に対 応しながら,地 域を作つていくことが役割 災害発生時に保健師としてどのような動きが必要なのかを考えるよう になり,意 識が高まつた 地域の健康課題へ施策へつなげて活動するのが保健師であり,ライ フステージを通して,それぞれの担当保健師と課題を共有することが 必要である 地域の健康課題を施策へつなげる際に,保健師だけでは視野が狭く なってしまうため,行 政事務のプロが関わることで,より具体的に進行 する 専門医・開業医との検討や外部機関との連携等,地 域の関係機関と 連携しながら活動する 地域の実態を分析して事業化,施 策化することの大切さを学んだ 法律や施策の意味を理解し,体 のメカニズムを押さえた科学的根拠に 基づいた活動をする 住民を中心として活動方法・内容を考える 住民や他職種と協働しながら,健 康の視点から住民の生活を支え,健 康づくりの手伝いをする 10年,20年 先のことを見越しながら予防活動を考えていく 住民の疾病の発症や重症化の予防のために,早 期に関わる 学びの内容の要約 14年 目 6年 目 16年 目 14年目頃 3年 目 3年 目 9年 目頃 8年 目 2‐5年 目 10年 目 7年 目 学びを得た 時期 役 割 認識 】 に整理 された 各 カテ ゴ リー につ い て, 主 た る学 びの内容の細項 目を< >で
示 しなが ら説 明す る 1)〔個人・家族の持つ力を引き出し
,高
める援助】
最 も多い19作の学 びの内容が9つの細項 目<対
象 者 の問題対処 能力 を高める関わ りの重要性><対
象 者 の意思 決定力 を尊重 した関わ りの重要性><対
象 者 と向 き合い傾聴す ることの重要性><家
族 の意思 決定 を尊重 した関わ り><対
象者 のニ ーズに即 した 支援者へのつ な ぎ><援
助 の継続 にお ける責任ある 対応><乳
幼児 の成長発達 と親の関わ りの重要性 の 理解><個
人 と家族全体の両側面か らの支援 方法の 検討><複
雑 な問題 を抱 える事例の支援 の コツの会 得>に
整理 された と りわけ多か ったのは<対
象者 の問題対処能力 を高める関わ りの重要性>に
関す る 学 びであ り,「 対 象者 に寄 り添 いつつ もはっ き りと 伝 える タ イ ミングを逃 さない」「対象者 自身が健康 課題 に気付 くとい う過程が大事」等の発言がみ られ ていた 同様 に多か った<対
象者 の意思決定力 を尊 重 した関わ りの重要性>に
関す る学 びでは,「 対 象 者 自身の気持 ちをよ く聞いて,決
め られるように支 援 す る」「保健師側の思 い を押 し付 けない」等が述 べ られていた また,<家
族 の意思決定 を尊重 した 関わ り><個
人 と家族全体の両側面か らの支援方法 の検討>等
に関す る学 びでは,個
人のみ な らず家族 全体 を視野 に入れた援助の重要性 について述べ られ ていた 2)【地域に根付いた保健師活動】
7件の学 びの内容 が4つの細項 目<家
庭 訪 間の重 要性 の再確 認><地
域 に密 着 した保健 師活動 の実 感><住
民 との関わ りの重要性 の認識><住
民 との 信頼 関係の維持 を意図 した傾聴の重要性>に
整理 さ れた<家
庭 訪間の重要性 の再確認>に
関す る学 び では,対
象者 の生活 の場 を提 えて援助 を行 う大切 さ について述べ られていた また,<地
域 に密着 した 保健 師活動の実感>に
関す る学 びでは,小
規模 な職 場へ の異動 に よ り,地
域 に密着 した保健師活動 につ いての理解 を深めた発言が確認 された 3)【要支援者を支える地域の力の向上】
7件の学 びの内容 が3つの細項 目<住
民 同士 の支 え合い を高め ることを意図 した活動><地
域 をよ く 知 る住民や関係者 との 人脈づ くり><迅
速 に対応で きる支援 ネッ トヮー クの構築>に
整理 された 最 も 多か ったのは「障がい を抱 えなが ら地域で生活す る ため にはボランテ ィアの力が大切で,担
う住民の力 を仲 ばす」「住民 同士 のつ なが りを大切 にす るこ と で,地
域 に根差 した活動 を展開 し,継
続 した健康づ くりにつ なが る」等 の<住
民 同士 の支 え合いを高め る こ と を意 図 した活 動>に
関 す る学 びで あ った<地
域 を よ く知 る住民 や関係者 との 人脈 づ くり>
日本ルーラルナーシング学会誌 第 11巻(2016) 5
<迅
速 に対応で きる支援 ネッ トワー クの構築>に
関 す る学 びにおいては,専
門職 だけで な く地域住民 の 力 も借 りて支 援 体 制 を整 え る こ とや,地
域 の キ ー パ ー ソンとの ネッ トワー クを築 くことの大切 さにつ いて語 ら 'tて いた 4),〔公衆衛生看護の原則の再認識
I 5件の学 びの内容 が4つの細項 目<長
期 的 な視 点 か らの予防活動 の重要1生><住
民の健 康生活 を支 え るための住民や他職種 との協働><住
民 を中心 に考 えた精神保健福祉活動><根
拠 に基づ い た活動 の重 要性>に
整理 された 高齢 化率が高い地域 にお いて 「10年,20年
先 を見越 しなが ら予 防活動 を考 えてい くJと
い う<長
期白0な視点か らの予防活動の重要 性>に
関する学びや,健
康の視点か ら<住
民の健康 生活 を支えるための住民や他職種 との協働>が
必要 との学び等がみ られていた 5)〔地域の健康課題の明確化′
/施
策化〕
4件の学 びの内容 が 1つ の細項 目<地
域 の健康 口黒 題 の明確化//施 策化の重要性>に
集約 された 地域 の実態 を分析 して事業化,施
策化す る こ と,地
域 の 健康課題 を施 策へ つ なげる こ と,保
健 師のみ な らず 地域 の関係機 関等 と連携 しなが ら活動す る等 の内容 の学 びがみ られていた 施策化 のため には行政事務 職 との協働が大切 であ る ことに も言 及 されてい たその他にも 【
健康危機への対策〕【
福祉分野の保
健師の役割認識】それぞれについて
1件ずつの学び
の内容がみ られ,そ
れぞれ細項 目<災
害時 の保健 師 活動 の考察><高
齢者福祉分野 にお け る保健 師の役 割 の認識>に
整理 された3.学
び を得 た実践経験の内容 と経験 をす るこ とに な った契機 お よび件数 表2のとお り,面
接 内容 か ら要約 され た学 げ を得 た実践 経験 の内容 は43件で あ つた これ らを類似 性 に基 づ い て ま とめ た結 果,16の
実 践 経 験 の 内容 の カテ ゴリーに整理 された さ らに,経
験 をす るこ とになった契機 ご とに まとめた ところ,9つ
の契機 に整理 された 以下,実
践経験 の内容 の カテ ゴ リーを 【
】で示し
,経
験をすることになった契機ごと
に説明す る1)個
別援助 ・家庭訪 問 12件の実践経験の内容が
4つのカテゴリー 〔
保健
師の意図と異なる反応が示されたことで自らの援助
を省みた
I【熟練者の援助と対象者の変化を結び付
けて理解した
I〔経験を踏まえ意識して援助を行う
ことで成果を確認できた】〔
住民の反応から行政保
表2
学 び を得 た実践経験の内容 と経験 をす るこ とになった契機,お
よび経験 した時期 学 びを得た経 験 を す ることになつた 翠経 と件 数 個別援助・家庭訪 問 12件 実践経験の内容の カテゴリー 保健師の意図と異なる反 応が示されたことで自らの 援助を省みた 熟練者の援助と対象者の 変化を結び付けて理解 し た 住民の反応から行政保健 自下への信頼を感じ取つた 経験を踏まえ意識して援 助を行うことで成果を確認 できた よかれと思つて対応したが高齢者施設の入所後に家族から苦情が 寄せられ 自分の援助を振り返つた 高齢者世帯の継続訪間ケースから,自分の援助に対する手紙が届 いたことで,自身の態度を顧みた 実践経験の内容の要約 乳幼児虐待ハイリスク者の支援事業にスタッフとして関わり母親 と 子どもの変化を目の当たり1こする 対象者 に感謝の言葉を伝えられて,自分が意図していなかった援 助の意味を感じ取る 継続援助を行つていたケースから拒否的な反応がみられたことで実 施した援助を顧みた 継続援助のケースから拒否 的な態度がみられたり,関 係が築けな いで終 了となつたことから自分の関わりを顧みた 行政に不信感を持つていた虐待疑い事例に上司の保健師と一緒 に 関り,熟 練した対応を見聞きする 心理相談の事業担 当者として,臨 床心理士の対応と継続利用者 の 経過を結び付 けて理解する 心理相談の事業担 当者として相談者の状況と対応方法を臨床心理 士から詳細に聞き取る 住民から行政保健師に対する信用や期待を示す言葉や態度が表 現され,それを感じ取る 健診の要精検結果が続いている人に粘 り強く繰り返して家庭訪 間を 行つたところ,変 化が認められて受診につながる 個別援助での以前の失敗体験を振り返り,自分の傾向や注意すべ き点を意識して援助する 経験した 時 期 13年目 5年目 4-6年 目 2年目 6-7年目 6-7年 目 1年目 特定困難 特定困難 特定困難 13年目 7年目6
日本 ルー ラルナーシ ング学会誌 第 11巻 (2016)行政組織における 活動 1件 他部署の保健師 との連携 2件 保健事業への継 続 的な関わ り 2件 研修会への参加 2件 災害発生時の支 援活動・被災地で の支援活動 2件 地域の健康課題 の解決に向けた 取り組み 3件 支援体制づくり 社会資源づくり 5件 所属部署や職場 の異動 6件 字びを得た経験を することになつた 契機と件数 事務職上司の実務能 力の もとで事業を推進した 保健活動が 目指すこと1こ ついて意見交換した 目的達成のために企画・ 運営に工夫を凝らした これまでの保健指導や業 務を深く振り返った これまでに経験したことの 無い状況に遭遇した 地域の健康課題の関連要 因の解明や関係者の支援 を検討した 自らの取 り組みが障がい 児・者の社会生活の拡大 につながつた 関係職種や住民の協力を 得ながら支援を充実させた 保健予防領域の保健師活 動を福祉領域から客観的 にみつめた 高齢者福祉部門への異動 で多くの経験を積んだ 求められる役割が拡大し た 前任保健師が築いた活動 を目の当たり1こした 実践経験の内容の カテゴリー 事務職上 司のもとで,補 助金を得てプロジェクト1こ関わつた 保健計画策定のために他課の保健師と話し合いライフステージを通 した保健活動ができているか考える 保健計画策定のために他課の保健師と活動内容やねらいについて 意見交換する 担当者として工夫を重ねて取り組んだ教室の修了者が,その後も努 力していることを知る 精神障がい者の理解者・支援者としての活動につながるよ引こ工夫 をこらしたボランティア養成講座を関係者とともに計画する 参加した研修会での内容を活かして,健 診結果説明会を実施 研修会に参加 して,対 象者の生活実態を理解する必要性を学びこ れまでの保健指導を振り返る 震災被災地の支援活動として行つた全戸訪間で初めて会う人の家 にあげてもらった 自然災害発生後,初 めて1人で避難所支援に行き対応に苦慮した 経験 と大規模な自然災害のニュースを結びつけて,保 健師の対応 を考える 思いがけずケアマネジャーの支援担当となリケアマネジャーの困り ごとを捉えながらケアマネジャーに役立つ支援を考える 地域福祉関係者と一緒に,世 代を超えた認知症予防の取り組みに 参加する 他地区に比べて多数発生している疾病の実態を調査 して,要 因分 析や対策検討のプロジェクHこ参加する 障がい児・者の通所施設の立ち上 げの過程で話をじつくりと聞きな がら気持ちに寄 り添う 地域の人どうしのつながりを通して潜在していたケースを発見する 近隣住 民により見守 り体制を活かして高齢者虐待防止マニュアルを 検討する 緊急性の高い高齢者事例の支援チームを整える過程で近隣住民に よる見守り体制ができた 独居高齢者に関わるホームヘルパーとの連絡会をとおして潜在して いるケースを把握することができ上 保健予防部門から高齢者福祉部門に異動後も,合 同で行う事例検 討会に参加して援助方法を検討する 地域包括支援センターヘ異動することにより多くの関係機関と連携 できたり,ケ アマネジャーの研修に何回も参加したりした 少人数の職場に異動したことで,役 割が増え,自分の知識・技術を フルに活用して対応する 担 当地区の異動により,保 健師と住民・関係機関との密接な関係を 体験し,保 健師に対する期待を受けとめる 担当地区が変わり,前 任保健師が築いた地域づくりの成果を目の 当たり「こする 担 当地区の交代によりそれまで経験が少なかつた高齢者の生活支 援に他職種と一緒に関わる 実践経験の内容の要約 14年目頃 16年 目 16年目 11年目 8年目 9年 目頃 8年目 12年目頃 6年 目 14年 目 10年 目 3年 目 1‐5年目 特定困難 14年目頃 14年目頃 6年 目以降 9年 目 9年 目 7年目 7年 目 2-5年 目 2‐5年目 経 験した 時 期
健師への信頼を感じ取った〕に整理された
〔
保健師の意図と異なる反応が示されたことで自
らの援助を省みた】経験では、予測していなかった
出来事 に遭遇 した際 に 自らの対応 を振 り返 った経験 がみ られていた 保健 師の関わ りを拒 んだ り否定 し た りす る言動が援助対象者 やその家族か ら発せ られ た こ とや,逆
に,援
助対象者 に感謝 の言葉 を伝 え ら れた こ と等か ら, 自 ら行 った援助の意味 を考 えたこ と力滑吾られていた I熟練 者 の援助 と対 象者 の変化 を結 び付 けて理 解 日本 ルー ラルナー シ ング学会誌 第11巻(2016) 7
した】経験 では
,職
場 内の熟練保健 畠雨や保健事業 で 委嘱 してい る心理職者 と一緒 に仕事 を した ことが挙 げ られていた 一例 として,乳
幼 児虐待の疑 いのあ る事例 に熟練保健 師 と共 に援助 を行 った過程で,親
の態度の変化 につ なが った熟練保健師の言動 に触れ た経験が述べ られていた また,心
理相談 を担当す る保健師の立場 で臨床心理士 と共 に関わ りなが ら, 臨床心理士 の対応 と利用者 の変化 を結 び付 けて理解 した経験 もみ られていた【
経験を踏まえ意識して援助を行うことで成果を
確認できた】経験では
,保
健師の思いが先に立って
先走 って しま う自 らの関わ り方の傾 向 を自覚 しながら援助を行つた経験が挙げられていた
また 【
住民
の反応から行政保健師への信頼を感じ取つた】経験
からは
,「地域包括
(支援センター)の 保健師です」
と自己紹介す る よ りも,「 ○○ の保健 師です」 と自 治体 名 を出す方が住民 か ら良い反応 が得 られた こ と か ら,保
健 師 に対す る信用や期待 を実感 した経験 が 述べ られてい た2)所
属部 署や職場 の異動 6件の実践経験の内容が
4つのカテゴリー 〔
前任
保健師が築いた活動を目の当たりにした
I【求めら
れる役割が拡大した〕〔
高齢者福祉部門への異動で
多くの経験を積んだ】〔
保健予防領域の保健師活動
を福祉領域から客観的にみつめた】に整理された
【前任保健師が築いた活動 を目の当た りに した】 経験では,保
健師がこれまでに住民や関係機関 と密 接 な関係を築いて きたことを,担
当地区の異動か ら 実感 した り,高
齢者の多い地区に担当が変わったこ とで求め られる支援方法 も変わったことを自覚 したりしていた
I求められる役割が拡大した〕
経験では
, 少 人数 の部署 に異動 した ことでチー ム リー ダーの役 割 を考 えなが ら仕事 に取 り組 んだ り,役
割 分担 が増 えた こ とで 自分 の力不足 を努力で補 った りした経験が語られていた
【
高齢者福祉部門への異動で多く
の経験を積んだ】経験では
,地
域包括支援センター
ヘの異動により幅広い体験ができたことについて述
べられていた
【
保健予防領域の保健師活動を福祉
領域から客観的にみつめた】経験では
,保
健予防と
福祉 の合 同での事 例検討 会において,保
健予 防領域 の保健師が問題解決 を急 ぐあ ま りに介入 しす ぎてい るので は ないか と気付 い た こ とが挙 げ られてい た3)支
援 体制づ くり 。社 会資源づ くり 5件の実践経験の内容が
2つのカテゴリー 〔
関係
職種や住民の協力を得ながら支援を充実させたH自
らの取り組みが障がい児・者の社会生活の拡大につ
ながつた1に
整理 された 【関係職種や住民の協力 を得なが ら支援 を充実 さ せた】経験では,地
域住民 も加わつた要支援高齢者 の見守 り体制がで きたプロセスや,家
庭訪問 した家 で「近所に困っている人がいるか ら行つて くれ」 と 教 えられた り,ホ
ームヘルパーか ら要支援者の情報 が届けられた りする等の,日
頃の保健師活動 を通 じ て地域の潜在ニーズを把握 し対応 したプロセスが語られていた
〔
自らの取り組みが障がい児・者の社
会生活 の拡大 につ なが つたI経
験 で は,障
が い児 ・ 者 とその家族 の話 を傾聴 し,相
手 の気持 ちに寄 り添 うこ とで,作
業所 を立 ち上 げ るこ とが で きた過程 に ついて述べ られていた4)地
域 の健康課題 の解決 に向けた取 り組 み 3件の実践経験の内容が
1つのカテゴリー 〔
地域
の健康課題 の関連要 因の解明や関係者の支援 を検討した】経験に集約された
他地区に比べて発生数の
多い疾病の対策を検討するプロジェクトに参加 した
保健 師 は「 まだ経験 の少 ない 自分 に とつてその プロ セ ス に メ ンバー と して参加 した こ とは意味 が あ っ た」 と述べ ていた その他 に も,地
域 の福祉 関係者 と共 に世 代 を超 えた認知 症予 防 に取 り組 んだ経験 や,ケ
アマ ネジャーに対す る支援 の経験等が挙 げ ら れてい た5)災
害 発生 時の支援活動 ・被 災地 での支援活動 2件の実践経験の内容が
1つのカテゴリー 【これ
までに経験したことの無い状況に遭遇した】経験に
集約 され た 自身が所属す る 自治体 内で発生 した災 害時の支援経験 と,東
日本大震災での情報 とを結 び 付 けて保健 師の支援 を考 えた経験 や,被
災地支援 に 赴 い た際 の住民 との関わ りの経験 が 含 まれていた6)研
修会へ の参加 2件の実践経験の内容が
1つのカテゴリー 【
これ
までの保健指導や業務を深く振り返った】経験に集
約 され た 研修会での学習内容 を,保
健師 として住 民 に対 して 日頃か ら行 つてい る活動 と結 び付 けて考 え,実
際 に行動 に移 してい た様子が語 られてい た7)保
健事業へ の継続 的 な関わ り 2件の実践経験 の内容 が 1つ の カテ ゴリー 【目的 達 成のため に企画 ・逗営 に工夫 を凝 ら したI経
験 に 集約 され た 生活習慣病予防教室の参加者の 日々の 保健行動 が持続 で きるこ とや,精
神保健福祉 ボ ラ ン テ ィア養成講座 においてボラ ンテ イア と しての活動 が継続 ・充実す る等 の 日標 を達成す るこ とを目指 し て,事
業 の内容 や方法 に工夫 を凝 ら して取 り組 んだ プロセ スが述べ られていた.8
日本 ルーラルナーシング学会誌 第 11巻 (2016)8)他
部署の保健 師 との連携 2件の実践経験の内容が
1つのカテゴリー 〔
保健
活動が目指すことについて意見交換した】経験に集
約 された
高齢者福祉部門に所属する保健師は「健
康 増 進計画策定の ため に,所
属す る課や係 を越 えて 保健 師が集 ま り意 見 を出 し合った ことが,ラ
イフス テー ジを通 じた保健活動 を考 えることにつ なが って い たJと
述べ ていた9)行
政組織 における活動 1件の実践経験の内容が
1つのカテゴリー 〔
事務
職上司の実務能力のもとで事業を推進した〕経験に
集約 された 国か ら補助 金 を得て行 う事業 を事務職 上 司の下で実施 したことが語 られていた4.実
践経験 と学 びの時期 および件数1)学
び を得 た時期 お よび経験 した時期 と件数の概 要 表 1お よび表21こ,学
び を得 た時期 お よび経験 し た時期 を保健師経験年数で示 した 実践経験 と学 び の時期 は 1年 目か ら16年 目までがあ り,新
任期 のイも の と5年目以 降の中堅期 にあたる ものが含 まれてい た 中には,複
数年 にわたっている ものや新任期 と 中堅期 を跨 いでい る もの,時
期 は特定で きない とい う もの もあ った 保 健 師 活動 の実践経験 を通 じて得 てい た44件の 学 びの うち,卜 4年 目の新任期 に得 られた学 びは4件, 5年目以 降の中堅期 に得 られた学 びは30件 であった それ以外 に も,新
任期 と中堅期 を跨 いで得 られた学 び は4件,時
期 が特定 で きない学 びは6件み られて いた 35件の実践経験 の うち,新
任期 の もの は3件,中
堅期 の もの は24件で あ った そ の他,新
任 期 と中 堅期 を跨 いだ実践経験 は4件,時
期 が特定で きない もの は4件
であ った2)新
任期 の学 び と実践経験 新任期 に得 られた学 びは「乳幼児の成長発達 と親 の関わ り方 の重要性 を具体的 に理解 した (1年 目)」 「短時間で も対象者 と しっか り向 き合 って話 を聴 く ことが大切(2年目)」「地域 の実態 を分析 して事業化, 施策化す ることの大切 さを学 んだ(3年目)」「専 門医・ 開業 医 との検討や外部機関 との連携等,地
域 の関係 機 関 と連携 しなが ら活動す る (3年 目)」 であ った 新任期 の実践経験 で は「乳幼児虐待ハ イリス ク者 の支援事 業 にス タッフと して関わ り母親 と子 どもの 変化 を 目の 当 た りにす る (1年 目)J「 高齢 者世帯 の 継続訪 問 ケースか ら, 自分の援助 に姑す る手紙が届 いたことで,自
身の態度 を顧みた (2年目)」「他地 区に比べて多数発生 している疾病の実態 を調査 し て,要
因分析や対策検討のプロジェク トに参加する (3年目)」 がみ られていた3)中
堅期の学びと実践経験中堅期に得られた学びでは 【
健康危機への対策
(6年目
)】〔
地域に根付いた保健師活動
(6年目以降
-13年目
)】【
要支援者を支える地域の力の向上 (814
年目頃
)】〔
福祉分野の保健師の役割認識
(14年目
)】等の項目に該当するものが日立っていた
中堅期の実践経験として挙がっていたものは〔
(災害発生時の支援活動に従事して)こ れまでに経験し
たことの無い状況に遭遇 した
(6-12年目頃
)】【
関
係職種や住民の協力 を得なが ら支援 を充実 させ た(6年目以降
14年目頃
)】【
求められる役割が拡大した
(7年目
)】〔
(研修会への参加により)こ れまでの保健
指導や業務を深く振 り返った
(8-9年目頃
)】〔
(保健事業の)目 的達成のために企画・運営に工夫を娩
らした
(8-■年目
)I〔高齢者福祉部門への異動で
多くの経験を積んだ
(9年日
)】〔
保健予防領域の保
健師活動を福祉領域から客観的にみつめた
(9年目
)】〔
経験を踏まえ意識して援助を行うことで成果を確
認できた
(13年目
)】〔
事務職上司の実務能力のも
とで事業を推進した
(14年目頃
)】〔
保健活動が日
指すことについて
(他部署の保健師と
)意
見交換し
た
(16年目),等 のカテゴリーに該当するものが多
くみられていた
Ⅳ.考
察1.中
山間地域の市町村 に勤務 する中堅期保健 師が 保健 師活動 を通 じて得 ていた学 び と実践経験1)保
健師活動 を通 じて得ていた学 びの内容 と件数保健師活動を通じて得ていた学びの内容には
,【個
人・家族の持つ力を引き出し
,高
める援助ユ〔
地域
に根付いた保健師活動
,等
の“
個人および家族への
援助に関する学び
",〔要支援者を支える地域の力の
向上】〔
福祉分野の保健師の役割認識〕等の“
対象
者個 人 と地域 全体 とを関連 させ た学 び力,I公
衆衛生看護の原則の再認識〕〔
地域の健康課題の明確化
施策化〕〔
健康危機への対策】等の“
地域全体を対
象 と した活動方法 に関す る学 び "が 含 まれていた “個 人 お よび家 族 へ の援 助 に関す る学 び"で は, 住民 との信頼関係の構築等の対 人援助の基本姿勢 に つ いて実感 を伴いなが ら理解 している ものがみ られ た り,具
体的 な援 助方法 を身に付 け,看
護実践能力 を高 めた充実 感がみ られた りしていた “対 象者個 日本ルーラルナーシング学会誌 第 ■巻(2016) 9
人 と地域 全体 とを関連 させ た学 び "や “地域全体 を 対 象 と した活動方法 に関す る学 び"の内容 か らは, 公衆衛生看護活動の中核 となる考 え方 について
,具
体 的 な活動方法 と共 に体得 してい るこ とが確 認 され た 公衆衛生活動の中核 となる考 え方 とは即 ち,長
期 的 な視点 を持 って予 防活動 に従事す る こと,あ
ら ゆ る健康 レベ ルにあ る人 々の生活 の質の向上 を 目指 す こ と,住
民 の持つ力や主体性 を高め る こと,地
域 全体 に貢献す る体制や しくみづ くりを 目指す こと等 であった 学 びの件 数 に着 目す る と,“個 人お よび家族 へ の 援 助 に関す る学 び "は 全体 の半 数以上 を占め てい た 一 方で,“地域全体 を対 象 と した活動方法 に関す る 学 び "の うち 〔地域 の健 康 課 題 の 明確 化ィ/施
策 化 】 に関す る学 びは4件のみであつた 平成25年に改定 された「地域 におけ る保健 師の保健活動 に関す る指 針」 では,住 民個 々の健康問題 の把握 に とどまらず, 集 団 に共通す る地域 の健康 口果題 を提 える視 点の重要 性 が示 されてい る口)ま
た,中
堅期 にあ る市 町村保 健 師が獲 得 してい る施策化 に関わ る技術 ・能力 に特 化 した先行研 究で も,施
策化全体 の プロセス を一定 の責任 を持つ立場 で実践す る とい う経験が,施
策化 に関わる技術 ・能力の獲得 に最 も影響 を与 える とさ れ てい る7)本
研 究 は,対
象者 の これ までの保健 師 と しての実践経験 を振 り返 り,“保健 師活動 と して こ うい うことが大事である,保
健 師活動 とは こ うい う もので あ る,と
い う何か をつか んだ経験 "に つい て,面
接 を通 じて言語化 した もの を質的 に分析 して い る 従 って,本
研 究 の結 果 は,対
象者 のE口象 に深 く残 ってい る内容が反映 されてい る可 能性 が高 い こ とが影響 してい る と考 える2)保
健 師活動 を通 じて得 てい た学 び と実践経 験 の 内容 との関係 保健 師活動 の学 び を得 た経験 をす る こ とにな った 契機 は,個
別援 助 や家庭 訪問,所
属 部署 や職場 の異 動,支
援体制づ くりや社 会資源づ くり,地
域 の健康 課題 の解決 に向けた取 り組 み,保
健事業 へ の関わ り 等,行
政保健師 として活動 しているな らば誰 もが 日 常 的 に行 つてい る ものが挙 げ られてい た 市 町村 中 堅保健師の施策化 に関わる技術や能力の獲得 に影響 を与 えた経験 に関す る先行研究 において も,「 地域 の実情 を基 に政策や社会 の動 向 を押 さえて施策 を考 え る能力」や「調整や連携 ・協働 に関す る交渉力 ・ 関係構 築 力」等 の獲得 には 日常 の保健 師活動経験 が 影響 す る こ とが論 じられ てい る'
その一方 で,少
数 で はあ るが,災
害発生時の支援活動 や被災地 での 支援 活動,研
修会へ の参加等,こ
れ までに経験 の無 い特殊 な状況下であるか らこそ強 く印象 に残 ってい た り,学
び を得 ることにつ なが つた りしてい る もの も確認 されていた ,実践経験の内容に関してはいくつかの特徴がみら
れていた
例えば
,〔保健師の意図と異なる反応が
示されたことで自らの援助を省みた】経験では
,自
らの失敗体験 や困難体験 を通 じて,援
助対象者へ の 対応方法 を真摯 に振 り返 り,援
助 の意味づ け を行 っ てい た その一方で,以
前 の失敗体験 か ら自 らの傾向を意識し
,〔経験を踏まえ意識して援助を行うこ
とで成果を確認できた】
経験もみられていた
また
,所属部署や職場の異動により新しい環境に身を置く
ことになった保健師たちは
,【前任保健師が築いた
活動を目の当たりにした】経験を通じて,周 囲から
の期待 を受 けつつ,保
健 師であ る 自 らに新 たに求 め られ る役割 を模索 し,責
任 を果 たす ための取 り組 み を行 つていた 以上 よ り,本
研 究で は,個
別の援助 ニーズに対応 す る活動 や保健事業 の計画 と実施,地
域 の健康 口果題 の探索 と対応 の検討等,日
常 的 な保健 師活動 が学 び につ なが ってい る ことが確 認 され た 保健 師 は この ような保健師活動の実践経験 において,経
験 を振 り 返 り意 味付 ける ことで,実
感 を伴 う学 び を得 た り, 保健 師活動 の基盤 となる考 えを深 めた り,
目指す方 向性 を見出 した りしていた3)中
堅期 にあ る保健 師の学 び と実践経験 の件 数 お よび時期 本研 究 において,対
象者であ る中堅期 にあ る市 町 村 保健 師が学 び を得ていた時期 は,1年
目か ら16年 目までの非常 に幅広い期 間に渡 つていた その うち,14年
目の新任期 に得 てい た学 び は主 と して対 人支 援 の基礎 とな る ものや,住
民や他職種 との協働 の際 に必要 な視 点 に関す る ものであ ったが,僅
か4件の みであつた この ことは,新
任期 の頃 は まず保健 師 業務 を行 うため に必要 なこ とを理解 す る時期 で あ る ため に,学
び と して認識 している内容が挙 げ られな か った と推測す る 保健 師の専 門職務遂行能力 を経 験 年数群別 に比較 した研究において も,新
任期,と
りわ け 1年 目の 自己評価が非常 に低 か つた ことが 明 らか となっている131 また,保
健師は職務悸験 を重 ね るこ とに よ り自信 を獲得 してい る単)ご
とか ら, 保健師 としての経験が少ない新任期 においては“保 健師活動 としてこういうことが大事である,保
健師 活動 とはこうい うものである, という何かをつかん だ"とい う自信 に至ることが難 しい とも推察 される10
日本ルーラルナーシング学会誌 第 ■ 巻 (2016)関山 らの先行研究では
,市
町村保健 師 として入職 後 1年 間の実践 内容 と到達 目標 に対す る主観 的達成 度 の報告 の中で,達
成度の高 さには新 人保健師が主 体 的 に考 える実践が 関係す る と述べ られ てい るlf)' 本研 究の結果 において も,新
任期 には初めての経験 や想定外 の出来事 に遭遇 した経験 が多 くみ られてお り,そ
れ らに対 して試行錯誤 しなが ら取 り組 む様子 が多 く述べ られていた この ように,試
行錯誤す る 思 考 や姿 勢が伴 う実践経験 は入職 1年 目に限 らず, 実践経験 の質 として重要であることが示唆 された 中堅期 に得 られた学 びでは,こ
れ までに も大切 と 思 っていた ことを改めて再確認 した ものや,保
健 師 活動 の基盤 となる体制 を整 えることに関す る もの等 が多 くみ られていた 学 びを得た実践経験 では,研
修 会への参加等 を通 じて, 自身の これ までの実践経 験 と新たに入手 した情報 とを結 び付 けて考 える,い
わば能動 的な経験 や,保
健 師 自身が リー ダーシ ップ を とって取 り組 んだ経験等が確認 されていた 市 町 村 中堅保健師が施策化 に関わる技術 ・能力の獲得 に おいて,施
策化全体の プロセスを一定の責任 をもつ 立場 で実践す る経験が最 も影響 を与 えていた との報 告7)もみ られてい るが,本
研 究 において も,責
任 あ る立場で リー ダー シ ップを発揮 しなが ら取 り組 む経 験 は,施
策化 の プ ロセスのみ な らず,地
域 に密着 し た保健師活動 を実感す る学 びの獲得 に も影響 を与 え ていた と考 える. 経験 年 数20年以 上 の保健 師 を対 象 に実践経験 か らの学 びをインタビュー した研究では,市
町村保健 師 は49年
目の経験 と学 びが他の時期 に比べ て少 な か った と報告 されてい る11)本
研 究 で は,49年
目 に得ていた学 びは17件,実
践経験 は 12件 であ った 対 象 となった保健 師の経験年教が1219年
と異 なる ため,単
純 に比較す る こ とはで きないが,学
び も実 殊経験 も他 の時期 に比べ決 して少数で はない結 果が 確認 された その理 由のひ とつ として,先
述 の とお り,職
務経験 を重 ね る こ とに よ り自信 を獲 得 した中 堅期保健師は,日
常 の保健師活動 を通 じて,新
任期 には認識 されなか った学 びについて実感 を伴 いなが ら得ることがで きていた ことが推測 される4)中
山間地域 の市 町村 保健師の学 び と実践経験 の 特徴 「地域福祉 関係者 と一緒 に,世
代 を超 えた認知 症 予 防 の取 り組 み に参 加 した」経験 か ら「 Ю 年,20
年先 の こ とを見越 しなが ら予 防活動 を考 えてい く」 との学 びを得ていた保健師は,高
齢 化率が高い地域 で活動 していた 山間へ き地 を有す る市町村の保健 師の介護予 防活動 に関す る先行研究において も,集
落内で介護予防に取 り組 むため には,あ
らゆ る保健 福祉等の事業の場 を活用 し,集
落内の住民や地 区役 員 の 中か ら介護予防の担 い手 を育成す ることが必要 であ る と述べ られている“)高
齢化や過疎化が急速 に進 む中山間地域 においては,認
知症 高齢者やその 家族へ の対応 は喫緊の課題 ではある しか しそれだ けに留 まらず,保
健 師 は地域 全体の今後のあるべ き 姿 を長期 的 な視点で概観 し,そ
のために必要 な予 防 活動 に耳kり組 むこ との重要性 に気付 いた実践経験 を 通 じて,公
衆衛生看護 活動 の中核 となる学 びを得 る こ とがで きていた と考 える また,他
の保健師は「少 人数の職場 に異動 した こ とで,役
割が増 え,自
分 の知識 ・技術 をフルに活用 して対応す る」経験 か ら「地域 に密着 した保健 師活 動 を実感 した」 との学 びを得 ていた 本研究の対象 者 であ る保健師が所属す る市町村t本,市
町村 合併等 の名残 もあ り,保
健 師が支所等 に分散配置 されてい る状況 も散見 されていた その ため,中
堅期 で あっ て も責任が重 い立場 に置かれていた り,受
け持つ地 域 や 業務 が広範 囲 に渡 って い た りす るケー スが 多 い この ことは,中
山問地域 の市 町村 に勤務 してい るか らこそ得 られた実践経験 と学 びであ る と考 え ら テtる2
中山間地域の市町村 に勤務 する中堅期保健 師の 現任教育 への示唆 ―実践経験 を保健 師の成長 に つなげるために 保健 師経験 15年 以上 の者 を対 象 と した質問紙調 査 で は,自
分 の成長 を感 じる瞬間について8割以上 の者 が「仕事 で具体 的成長が 出た とき」「住民 か ら 評価 され た と きJ「 上 司,先
輩,同
僚,仲
間か ら評 価 された と き」「 職場外 の人か ら自分 の仕事 や専 門 性 が評価 され た とき」 を挙 げていた士 これ らは達 成感や プラスの フ イー ドバ ックが伴 っている と読み 取 れ る 一方で,本
研 究 におけ る保健師活動 を通 じ て学 びを得た実践経験 には,援
助対象者か ら拒否的 な反応が示 されたことや個別援助の失敗 を繰 り返 さ ない ように意識 した取 り組み, さ らには新 たな仕事 役割 の遂行等が含 まれていた これ らの経験が成果 や効果 につ なが った時,対
象者 であ る保健 師の 中に 重要 な経験 と して刻 まれていた と推測 される この ような結果が導かれた理 由 として,本
研 究で は前述 の調査 に比 して対象者の保健 師経験年数が短い こと が影響 している と考 え られる さらに,面
接 調査 の 利 点 を活か して対象者の思い を詳細 に聞 き取 つた こ 日本ルーラルナーシング学会誌 第11巻(2016) 11
とによ り
,学
び を得た経験 をす ることになった契機 のみな らず,新
任期 か ら中堅期 にお け る成長の実感 につ なが る実践経験 の中身 を理解す ることに役立つ 資料 を得 られた と考 える 保健師の活動 と学習 の プ ロセ スにつ いては,先
行 研 究では「問題 を抱 える対 象者へ の個 別 アプローチ か ら地域 の健康課題 をみつ け,地
域 や他者 と連携 を と りなが ら地域 の しくみづ くりを支援す ることで個 別姑 象者 の健康 を促 進 して い る」 と し,“イ国人お よ び集団 との関係構築能力"を獲 得 しなが ら熟達 して い くとされてい るn)実
践経験 が保健 師 と しての成 長 につ なが るため には,保
健 師個 人の要素 と保健 師 集 団全体 の要素が ある とい える 保健 師個 人の要素 と しては, うま くいか なか った 対応や戸惑 い を感 じた こ と等 を振 り返 り,で
きた こ と,で
きなか った こ とは何か等 を言語化 して個 人の 課題 を明 らか にす るこ とが大切 であ ろ う これ らは, 職場外教 育(0卜
」T)や
,職 場 を離 れた 自己研鑽 (SD) において取 り組 む ことで,自己の課題 が明確 化 され, 解決の糸 口 を相 む きっかけ を得 る可 能性 が高い し か しなが ら,開
催地 までの距離が遠 く,少
人数の職 場 であ るが ため に,勤
務 を外 デtる こ とが困難である こ とが推 測 され る中山問地域 の 自治体 においては, 日常業務 を通 じた職場 内研修 (0」T)と
して 日頃か ら意識的 に行 われ ることが必要である 保健 師集 団全体 の要素 と して は,例
えば,健
康 口果 題 の明確化 と対策の検討や,精
神 保健 ボラ ンテ イア 講 座 の 企 画 と運 営 に工 夫 を凝 ら した との経 験 等 か ら,住
民 に役 立つ活動 となる こ とを 目指 してPDCA
サ イクル を回す プロセ スを踏 まえる こ とが重要であ るPDCAサ
イクルにつ いて は,中
堅期 保健 師はそ の必要性 は認識 しつ つ も,保
健 福 祉 事 業 をPDCA
に基づ い て展 開 してい る者 は 5割 程 度 にす ぎない と の報告r)もあ る.そ
の ため,PDCAサ
イ クル を常 に意識 しなが ら日々の保健師活動 を展開す ることが 求 め られ る 近年,保
健 師指導者 の 人材育成 プロ グラム を検討 した報告」が な され,行
政保健師のキ ヤリアラダー の検討 も行われている 対 人援助 職 の 人材 育成 キ ャ リア ラダー を開発 したあ る 自治体 での取 り組 み にお いては「 キ ャリアラダーは,組
織 で専 門職 の育 ち を 支 え,業
務実践 の 中で専 門職 と して 目標 を もち,能
力 開発 に取 り組 んで もらうための手がか りJに
なる と述べ られているけ 中山間地域 の 自治体 な らで は の保健師活動の内容や,保
健 師 に求 め られ る役割 を 反映 して開発 ・活 用 され たキ ャ リア ラダーは,保
健 師個 人の要素 と保健 師集 団全体 の要素 を橋渡 しす る もの と して,保
健 師 と しての成長 目標 を位置付 け る こ とにつ なが る と考 えるv.お
わ りに 本研究 は,A県
内の中山間地域の市 町村 に勤務す る中堅期保健師 を対 象 とした研究であ り,対
象者 は 10名 と少数 で あ つた また,A県
内 の み で調 査 を 実施 したため,地
域特性や歴史的背景 か ら蓄積 され た保健師活動が調査結果 に反映 されてい る可能性 も 考 え られ る 今後 は,本
研究の成果 を踏 まえ,調
査 規模 を拡大す る と共 に,本
研究の対 象者が所 属す る 自治体 の特性 に合わせ た現任教育のあ り方 を,保
健 師活動 の現場 と協 同 して教育研究機 関の立場 か ら検 討 を続 ける必要があ る なお,本
研 究 は,平
成2425年
度長 野 県看 護大学 特 別研 究費補助 金 を受 けて行 つた 謝辞 本研 究 にご協 力 いただ きま した対 象者 の皆様 に深 く感謝 申 しあげ ます また,本
研究 の推進 に関 しま して様 々なご助言 を ください ま した,長
野 県大 町保 健福祉事務所健康づ くり支援課保健衛生係長 の市 川 政恵保健 師様 に心 よ り御礼 申 しあげ ます 文献1)後
藤順子,菅
原京子,大
田絢子他 :山 形 県 にお け る行 政保健 師のキ ヤ リア開発 に関す る研究 山形保健医療研 究,11,3147,2008
2)佐
伯和子,平
野か よ子,宮
崎美砂子他 :保健 師 指導 者 の 人材育 成 プ ロ グラムの 開発 保健 師 の キ ャ リア ラ ダー と保健 師指導者 の 人材育 成 プ ロ グラム 保健 師指導者 の育成 プロ グラムの開発 平 成1719年
度厚生労働 科 学研 究 費補 助 金 (地 域健康危機管理事業)平
成 19年 度総括 ・分担研 究報告書,1117,2008
3)厚
生労働 省:新人看護職員研4多ガ イ ドライン∼ 保健 師編 ∼2011
4)財
団法 人 日本公衆衛生協 会 :中 堅期 保健 師の 人 材育 成 に関す るガ イ ドラ インお よび中堅期保健 師 の 人材育 成 に関す る調 査報告書 平 成23年度 地域保健総合推進事業(全国保健師長会協力事 業)報告書,2012
5)i畢
田由美,土
井英子,上
山和子他:看護職のキヤ リア形成 と学位修得 に関わる意向 第1報 地方12
日本 ルーラルナーシング学会誌 第 ■巻 (2016)都市 山間部周辺 に在住す る看護職の動向 新 見 公立大学紀要