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〈指導教員推薦文〉

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〈指導教員推薦文〉

著者

藤井 美和

雑誌名

社会学部紀要

110

ページ

117-117

発行年

2010-10-30

URL

http://hdl.handle.net/10236/6443

(2)

人間福祉学部 教授

美馬 里彩 「終末期の子どものスピリチュアルニーズ∼ソーシャルワークの視点から家族へのケアを 含めたトータルケアを目指して∼」 推薦理由 最優秀論文賞を受賞した美馬氏の卒業論文「終末期の子どものスピリチュアルニーズ∼ソーシャル ワークの視点から家族へのケアを含めたトータルケアを目指して∼」は、死にゆく子どもたちが死を前 にして、どのような痛みや思いをもっているかに焦点を当て、スピリチュアルな痛みとそのニーズを明 らかにしたものである。 世界保健機関(WHO)においても健康の定義に“スピリチュアリティ”を加えることが検討される ようになり、人間は単に、身体的・精神的・社会的存在であるだけでなく、スピリチュアルな存在とし てとらえられるようになった。特にターミナルケアやホスピスケアにおいては、「死にゆく人」のケア として、生きる意味、苦しみの意味、死の恐怖など終末期の人々がもつスピリチュアルペインに対し て、どのようなケアが必要か議論されるようになってきた。しかし、「死にゆく子ども」については、 そのような議論はほとんどなされず、死が間近に迫っていたとしても、子どもたちが何に苦しみ、何を 語りたいのかについて、医療も福祉も積極的にかかわってこなかった。本論文は、死にゆく子どもに、 大人と同じようにスピリチュアルな痛み(人間存在の根源的痛み)があることを、文献研究と質的調査 から明らかにしたものである。これまで実践現場においてもまた研究領域においても注目されてこな かった子どものスピリチュアルペインに注目した点で独創性の高い論文である。 論文の構成は、次のとおりである。まずスピリチュアリティの定義と構成概念を整理し、スピリチュ アルな痛みを10のカテゴリーに分類している。さらに、子どもの死の理解についての理論、死にゆく子 どもの実証研究論文から、病気の子どもの死の不安や死生観について整理している。そこから子どもの スピリチュアルペインとその構成概念について仮説を導き出し、既に公刊されている子どもの死のプロ セスが語られた手記と、死にゆく子どもを対象とした研究論文のケースをテキストデータとして、質的 分析を試み仮説を検証している。本論文では、大人に見られるスピリチュアルペイン10項目のうち、 「人生の意味への問い」、「苦しみの意味への問い」、「死の恐怖」、「死後の世界への問い」の4項目のみ が抽出されたが、同時に「希望」や「親への配慮」といった子ども特有のカテゴリーが抽出された。 さらに本論文は、これまで援助されてこなかった終末期の子どもに対する援助として、本人、家族、 きょうだいへのサポートの必要性を述べ、Child Life Specialist(CLS)やソーシャルワーク実践の可能性 を模索、提言している。また子どもの支援について死生学教育の必要性を述べている点も、従来の支援 には見られない新たな視点である。 本論文は、これまで議論の外に置かれていた、死にゆく子どものスピリチュアルペインに注目した画 期的な論文であり、その研究方法の妥当性、分析結果の考察、さらに臨床現場への提言において優れた 論文であると評価する。 美馬氏は卒業後も臨床現場で、病を持つ子どもたちと関わりを続けている。今後の実践において大学 での学びや卒業論文での研究が生かされることを心から願うものである。

〈指導教員推薦文〉

【L:】Server/関西学院大学/社会学部紀要/社会学部紀要第110号/藤井美和

October 2010 ―117―

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