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議院自律権の構造

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Academic year: 2021

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(1)

議院自律権の構造

著者

大石 真

29

発行年

1986

(2)

い し

学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 法'学 ・ 博 士 法 第29号 昭 和61年10月22日 学 位 規 則 第5条 第2項 該 当 学 位 論 文 題 目 論 文 審 査 委 員 議 院 自律 権 の 構 造. (主 査) 教 授 幽小 嶋 和 司 教 授 藤 田 宙 靖 助教授 森 田 寛 二 ・ 論 文 内 容 の 要 旨 1.本 論 文 の 構 成 は、 以 下 の ご と くで あ る。 は じめ に一 学 説 概 観 と問 題 点 序 章 議 院 自律 権 の概 念 第 一 節 イ ギ リスの 「議 会 特 権 」 伝 統 第 二 節 フ ラ ンス の 「議 院独 立 」理 論 第 一 章 フ ラ ンス議 会 法 の伝 統 第 一 節 「絶 対 議 院制 」 第 二 節 伝 統 的 議 院 自律 権 第 三 節 「議 院 行 為 」 の 理論 裁 判 所 との 関 係 第 二 章 フ ラ ンス 議会 法 の 現在 第 一 節 「合理 化 され た 議 院 制 」 第 二 節 制 限 的議 院 自律 権 第 三 節 「議 院行 為 」理 論 の 修 正 第 三 章 日本 議 会 法 上 の 自律権 問 題

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第 二 節 議 院 法 伝 統 の 形 成 第 二 節 日本 国 憲 法 下 の 諸 問 題 . お わ り に 議会 法 の 視 点 2.議 院 の議 事運 営 に っ い て 、 裁 判 所 は その 点 にか か る事 実 を審 査 して有 効 、 無 効 の判 断 を な しえ な い とい うの が判 例 で あ るが 、 これ に対 して 批 判 が な いで は な い。 法 律 の 内容 的 合 憲 性審 査 が で き るの に、 議 事 運 営 につ いて 合 憲 性 審 査 を な しえ な い とす る の は理 に反 す る とか 、 明 白 な違 憲 の 場合 には これ を な しう る との 見 解 が それ で あ る。 本論 文 は、 この批 判 的 見解 の 問 題点 を 指摘 した後 、 議 院 自律 権 につ いて の考 え方 が 問題 の考 察 ・処 理 の根 底 に あ る と し、 議 院 自律 権 の性 格 ・機 能 が 包 括 的 に再 検 討 され る必 要 の あ る こ孝 を説 く。 議 院 の 自律 権 は 、 イ ギ リス で は 「議 会 特 権 」 の 伝 統 に よ って 理 解 され 、 フ ラ ンスで は 「議 会 独 立 」 の 理 論 に よ って 根 拠 づ け られ るが.本 論 文 は、 日本 法 の理 解 に と って 参 考 と す べ き は 、 「中 世 的 「憲 法 』 構 造 を前 提 とす る」 イギ リス的 「特 権 」 思 想 で は な く、 フ ラ ンス的 思 考 で あ る と して(序 章)、 フ ラ ンスの 議 会 法 に詳 細 な検 討 が くわ え られ る。 フラ ンス議 会 法 の 伝 統 は、第 三 共 和 制 時 代 、カ レ ・ ド ・マ ル ベ ール の い う 「絶 対 議 院制 」 の 時 期 に完 成 さ れ、 それ が第 四共 和制 時代 に も継 承 され た。 本 論 文 は、 それ を まず 議 員 資 格 審 査 権 、 議 院 管 理 機 関 、 議 院規 則制 定権 、 議 院 規 則 上 の 諸 制 度(議 員 懲 罰 制 度 、 常 任 委 員 会 制 度 、 議 事 日程 の 決 定)、 議 員 予 算 な どの 問 題 につ いて 紹 介 し、 いず れ も議 院 が 独 立 的 に決 定 し、他 律 的 統 制 が 排 除 され た こ と、 特 に議 院規 則 に つ い て は 、 「憲 法 に あ らか じ め 規 定 され なか った事 項 に つ い て はす べ て 、各 議 院 は その 規 則 に関 し主 権 的 で あ る」 と さ れ て、議 院規 則 の所管 事項 た る議 院手 続 準 則 は 、法律 によ って も規 律 され え な い もの で あ っ た こと等 々が 詳 細 に論 じ られ る(第 一 章 第 二 節)。 続 いて 、 「議 院 ま た は議 院 管 理 機 関 の 諸 行 為」 に対す る裁 判審 査 の問 題が 取 り上 げ られ 、そ れ が いわ ゆ る 「議 院 行 為 」 の 理 論 に よ っ て 否 定 され て い た こ とが 議 院 自律 権 との 関 連 で 検 討 され る(同 第 三 節)。 しか し、 この よ うな 「絶 対 議 院制 」 的議 院 自律権 は 「合 理 化 され た議 院 制 」 の 名 の も と に 、 第 五 共 和 制 憲 法 典 に よ っ て 「著 しい制 限 」 を み た 。 その 制 限 は、 組 織 自律 権 の 縮 小 (議 員 資 格 審 査 権 の 否 定 、 議 院 管 理 機 関 につ いて の 規 律)、 議 院 規 則 制 定 権 の オル ドナ ン ス に よ る制 約 と憲 法 院 に よ る審 査 に大 き く表 わ れ て い る こ と、 伝 統 的 な懲 罰 制 度 、 委 員 会 制 度 、 議 事 日程 、 議 院 予 算 の 制 度 も変 更 され た こと、 裁 判 審 査 の点 に つい て も、 「議 院 行 為 」 の理 論 に修 正 が 施 さ れ た こ と、議 員 運 営 オ ル ドナ ン スの 改 正 に よ っそ そ の 修 正 「議 院 行 為 」 理論 に さ らに 限定 が加 え られ た こ と等 々 を 、 本 論 文 提 出者 は丹 念 に分 析 す る(第 二 章)。

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3.「 比較 議 会 法 の 視 点 」 か らみ て 両 議 院 に最 小 限 の 自 由 しか み と め な か った の は 明治 憲法 下 の 日本 で あ る。 こ こで は、 議 院 規 則 制 定 権 が 憲 法 典 のみ な らず 法 律 形 式 の 「議 院法 」 に も拘 束 され る もの と され 、 「議 院 法 」 が多 くの こと を規 定 した か らで あ る。 そ の起 草 に あ た った 井 上 毅 に は 「議 院 内 部 自治 ノ権 」 と い う考 え方 が あ っ たが 、 それ は、 憲 法 起 草 の 過 程 で 斥 け られ た。 この 顯 末 、 「議 院 法 」 が 如 何 に構 想 され たか 、 議 院 会 計 の 制 度 や 議 院規 則 が どの よ うな 論 議 の 中 に 制 定 され た か を 、 本 論 文 は 明 らか にす る と と も に (第 三 章 第 一 節一 ∼ 四)、 帝 国 議 会 に お け る 「法 と慣 行 」 に つ い て も紹介 す る(同 五)。 4.「 議 院 法 」 的伝 統 を もつ 日本 国 に新 しい 憲 法典 が採 択 され た が 、 それ は、 議 院 規 則 制 定 権 の 法 律 に よ る 拘 束 に つ い て め 定 め を ふ くん で い な い。 に もか か わ らず 、「議 院 法 」 にか わ る もの と して 国 会 法 が 制 定 され た。 本 論 文 は、 この 国会 法 を め ぐる諸 問 題 を 、・憲 法 制 定 過 程 、 国 会 法 制 定 の 過 程 に お い て 検 証 し(同 第 二 節 一 ∼ 三)、 さ ら に現 行 制 度 に お け る議 院 自 律 権 問 題 を 、 議 院 規 則制 定 権 や 議 院 予 算 の 問 題 につ いて 取 り上 げ(同 四)、 最 後 に裁 判 所 と議 院 自律 権 との 関 係 につ いて 論 ず る(同 五)。 以上 が 、 本 論 文 の 概 要 で あ る。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本 論 文 は、 第 三 ・第 四 共 和 制 フ ラ ンス、 第 五 共 和 制 フ ラ ンス、 明 治 憲 法 下 の 日本 、 現 行 憲 法 下 の 日本 に お け る 「議 会 自律 権 観 念 」 の 類 型 化 を 試 み て い る が 、 そ の 諸 成果 は 、 議会 法 に つ い て の従 来 の 研 究 に浅 い一 歩 を 加 え た に と ど ま る もの で は な く、今 後 、 議 院 自律 権 問 題 お よ び関 連 諸 問 題 の 考 察 は 本 論 文 を 出発 点 とせ ざ るを え な い と い うべ き ほ どの拡 が りを もつ も の 、 とな って い る。 す な わ ち、 まず 、 第 三 ・第 四 共 和 制 フ ラ ンス に お け る議 院 自律 権 問 題 が 、本 論 文 ほ どに 網 羅 的 に、 深 く詳 細 に 紹介 され た こ とは 従 来 な く、 それ だ けで も学 問 的貢 献 と して 高 く評 価 し うる もので あ る。 第 五 共 和 制 フ ラ ン スの 諸制 度 の 紹 介 につ いて も、 同様 の こ とを い い うる が、 こ こで は 、制 度 の成 立事情 や成 立経 過 につ いて の 探 究 も な され 、そ の論 述 は強 い説 得 力 を有 す う もの とな っ て い る。 明治 憲 法 下 の 「議 院 法 」制 定 過 程 に つ いて は、 第 一 次 資 料 に あ た って 、 多 くの新 事実 を発 掘 して い る し、』明 治 議 院 規 則 の制 定 過 程 につ いて は、 学 界 未 知 の 分野 に初 めて 鍬 を 入 れ 、 そ れ を 明 らか に した と い う意 義 を もつ もの と評 価 され る。

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議 院 自律 権 関 係 の 現 行 憲 法 条 文 の制 定 過 程 に つ い て も、 本 論 文 は 広 く資 料 を 求 め 、 限 られ た 範 囲 に しか知 られ て い なか っ た事 実 を発 掘 し、新 し く鋭利 な解 明 を な して い る。 本 論 文 は、 この よ う に多 くの 点 に お いて 従 来 の 日本 の学 問 水準 を 凌 駕 して い る と考 え られ るが 、 本 論 文 に なお 要 求 され るべ き もの もな くは な い。 本 論 文 は 、 諸 体制 下 の 「議 院 自律権 観 念 」 を類 型 化 し、 その 比 較 法 的 位 置 づ け を 明 らか にす る こ とを 試 み る一 方 で 、 この よ うな 比 較 法 的 研 究 の 成 果 を 利 用 しっ っ 、 現 行 日本 法 上 の 議 院 自律 権 問 題 に つ い て若 干 の 解釈 論 を 展 開 す るが 、 そ の 場 合 、 比 較 法 的 研 究 と現 行 日本 法 解 釈 論 とが ど の よ うな つ な が りを もつ か に つ い て は 、必 ず しも明確 に され て い な い。 す なわ ち、 両 者 の関 係 に つ い て の方 法 論 的 整理 が 本 論 文 提 出 者 にお いて どの よ う に行 わ れ て い るか と い う こと は 、本 論 文 の叙 述 を み る 限 り で は 明 らか で は な い の で あ る。 が 、 これ は今 後 の 課 題 と され て い る とみ る こ とが で き、 そ れ を も って本 論 文 の学 問 的価 値 を否 定 す る こ と はで き な い。 本 論 文 の 目的 は 、 「議 院 自律権 観念 」 の 比 較 法 的 研 究 に あ るが 、 そ こに示 され た該 博 な知 識 と周 到 で 適確 な 分析 ・検討 は、 本 論 文 に高 い学 問 的 価 値 を与 え て お り、学 界 に対 し多大 の 寄 与 を な す もの と認 め られ る。 な お 、別 紙 の学 力確 認 要 旨 に記 載 した よ う に、 本 論 文 提 出者 は、 東 北 大 学 大 学 院 博 士 課 程 を 経 て 学 位 を授 与 され る者 と同等 以 上 の 学 力 が あ る と認 め られ る。 以 上 に よ って 、本 論 文 提 出 者 は法 学 博 士 の学 位 を 授 与 され る に値 す る もの と認 め る。

参照

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