第2学年 数学科学習指導案 1 単元名 「1次関数」 2 指導観 ○ 関数は、数量の変化や対応の様子など動的な対象を考察する際に用いられる概念である。2つの数 量の関係をとらえることができれば、その関係が成り立つ範囲において変化や対応の様子を把握した り、将来を予測したりすることが可能になるため、関数は、数学の世界だけではなく、現実の世界に おいて事象の中に見いだした、伴って変わる2つの数量の関係をとらえる場面でも有効に機能する。 中でも1次関数は、二元一次方程式を、二つの変数xとyの関数関係を表す式とみなす見方を通し て、方程式と関数を統合的に理解する単元としてとても価値が高い。そして、現象における関係を表 現する手段としての関数のグラフから、グラフそのものを考察する数学の世界へと入っていくため、 高等学校で学習する2次関数や図形と方程式、微分法・積分法などの解析幾何へとつながる重要な単 元である。 ○ 本学級の生徒に、第1学年で学習した「比例」についての定着度確認テストを行ったところ、座標平 面上の点の座標を答える問題の正答率は84%、与えられた比例の式からグラフをかく問題の正答率は 41%、与えられた比例のグラフから直線の式を答える問題の正答率は38%であった。これより、1次関 数を学習する上で土台となる比例の単元において、座標の意味は概ね理解しているが、比例定数の意味 や比例定数の値によってどのようにグラフが変わるかということを捉えられていない生徒が半数以上 いるという実態が明らかになった。また、学校環境適応感尺度によるアンケート結果によると「まあま あ、自分に満足している」という項目にあてはまる、ややあてはまると答えた生徒は全体の19%、「自 分は、勉強はまあまあできる」という項目にあてはまる、ややあてはまると答えた生徒は全体のわずか 9%で、学力に対する自信のなさが、自己肯定感が低い要因の一つであると考えられる。 ○ 本単元では、いろいろな数量が変化する事象の中から、ともなって変わる2つの数量を取りだし、 それらの間の変化や対応の関係を、表、グラフ、式に表して考察し、 それらの中にある一般的な変 化や対応の規則性を見いだすことができるようにする。単元の前半では、生徒の実態に配慮し、比例 の復習を行い、比例の場合と比べながら1次関数の特徴を捉えさせる。特に1次関数はy=ax+b のa(変化の割合)、b(切片)という2つの要素が決まれば関数が決定することを理解させる。そ して、y=ax+bという1次関数の定義や、そこでのaとbの意味、「xの増加量に対するyの増 加量の割合」という変化の割合の定義、様々な変化の割合によるグラフの変化の特徴などの基本事項 について繰り返し復習させ、定着させる。また、1次関数の式とグラフを相互に関連付けることで1 次関数についての理解を深めることは本単元の骨格になるところである。そこで、活用の分野に入る 前に復習の時間を設け、式のカードとグラフのカードでつくられる数学カードを、式とグラフが一致 するように並べ替える作業と、この作業を活用させて勝敗を競い合うカードゲームを通して、様々な 1次関数の式から傾きと切片を読み取り、一致する直線のグラフを選択する力を身に付けさせる。ま ※ 本指導案は「福岡県教育センター長期派遣研修員」における主題研究に基づき作成されています。 教育センターホームページの「長期研修報告書:平成 30 年度:各研修報告書」と合わせて御覧 ください。
た、「連立方程式の解とグラフ」では、全く別な分野として捉えられがちな1次方程式、連立方程 式、1次関数が初めて融合するため、既習事項を確認しながら丁寧に進めていく。最後に活用の段階 では、表、式、グラフを常に関連づけ一次関数を理解できるようにし、班で表、式、グラフという3 つの思考ツールでそれぞれ答えを求めさせることで、1つの答えを導く過程が複数存在するという数 学の醍醐味を感じさせる。班は3人班とし、生徒の学力や特性、人間関係に配慮しながら、班を編成 する。また、個人で考える時間をしっかり確保した上で、考えが進まない生徒に対しては2種類から 3種類のヒントカードを配布する。生徒は他者との学び合いを通して学習への理解を深め、自分の力 で課題を解決することができたという達成感を感じ、それまでの自分の努力する姿や努力によりでき たことを他者から認められていることを認知し、自己肯定感を高めていくものと考える。 3 単元の目標 ・身の回りから1次関数である事象を見つけようとしたり、その見方や考え方を問題の解決に活用し ようとしたりする。 (数学への関心・意欲・態度) ・2元1次方程式のグラフを、2元1次方程式の解の集合としてとらえることができる。 (数学的な見方や考え方) ・1次関数の変化の割合を求め、条件を満たす1次関数のグラフをかいたり、式を求めたりすること ができる。 (数学的な技能) ・1次関数の意味と特徴、変化の割合、グラフの傾きと切片の意味を、1次関数の表、式、グラフを 相互に関連付けて理解する。 (数量についての知識・理解) 4 単元計画(総時間13時間 本時:8/13時間目) 段階 時数 主な学習活動・内容 教師の支援 導 入 1 身の回りの伴って変わる2つの数量の関係を 捉え、1次関数がy=ax+bであることを 理解する。 ・式から1次関数が判断できるように、 yについて解く等式の変形を行わせる。 展 開 2 「xの増加量に対するyの増加量」という考 え方を基に、1次関数の式や表から変化の割 合を求める手順を理解する。 ・「xの増加量を求める」、「yの増加量 を求める」「変化の割合を求める」とい うようにスモールステップで考えさせ る。 3 y=ax+bのグラフをy=axのグラフと 関連付けて考察する。 ・比例y=2xのグラフを基に、同じ座 標平面上に1次関数y=2x+3のグ ラフをかかせる。 4 1次関数y=ax+bのグラフの特徴につい て、xの係数aの値に注目し、aの値の符号 及び絶対値とグラフの傾きの関係について理 解する。 ・グラフの傾きとaの値の関係につい て、グラフが右上がりか右下がりかに着 目させて調べさせる。 5 1次関数のグラフを、傾きと切片を基にして かいたり読み取ったりする。 ・グラフをかいたり読み取ったりする 際には、グラフの切片と傾きに着目させ る。 6 いろいろな条件を満たす1次関数を求める。 ・1次関数y=ax+bの「変化の割 合」と「グラフの傾き」はaに等しいこ とを確認させる。 7 1次関数と2元1次方程式の関係を見いだ し、方程式の解の意味についてグラフを用い ・2元1次方程式ax+by=cを成 り立たせる値の組を、表を使って調べさ
展 開 て考察する。 せ、その表を利用してグラフをかかせ る。 8 1次関数のグラフを傾きと切片に着目して読 み取り、該当する式を求める。 ・数学カードゲームを通して1次関数 の傾きと切片を理解し、グラフの傾きと 切片をとらえさせる。 9 連立方程式の解を、グラフを使って求めたり、 グラフの交点を連立方程式の解から求めたり する。 ・グラフの交点の座標の値を連立方程 式のx、yにそれぞれ代入させ、式が成 り立つことを確かめさせる。 終 末 10 具体的な事象の中から取り出した2つの数量 の関係を、理想化したり単純化したりして1 次関数とみなし、変化や対応の様子を調べた り、予測したりする。 ・理科の実験や身の回りの事象で1次 関数とみなせる事象をいくつか例示し て理解させる。 11 図や表、式、グラフを相互に関連付けて、伴 って変わる2つの数量の変化の様子を捉え る。 ・図で面積の変化の様子を捉えさせ、そ れを表で表現させる。 ・変化の割合が途中で変わることに着 目させる。 12 時間と道のりの関係を表したグラフを1次関 数のグラフととらえ、事象を数学的に解釈 し、判断したり説明したりする。 ・必要に応じて表に表し、変化の割合を 求めさせ、既習事項を基に考えさせる。 13 この章を振り返り、定着状況を確認する。 章末問題 ・生活や社会の中にある2つの数量か ら1次関数の関係を見いださせる。 5 本時の指導観 本時は、数学カードを使って様々な1次関数の式から傾きと切片を読み取り、一致する直線のグラ フを選択する力を身に付けさせる。本単元における数学カードとは、1次関数の式とグラフを記載した カードのことである。「つかむ」段階では数学カードの説明を行い、「このカードを使ったゲームを通 して、様々な1次関数の式から傾きと切片を読み取り、一致する直線のグラフを選択できるようにな る」という本時の目標を確認させる。また、生徒の「ゲームの勝ちたい」という気持ちは大切にしなが らも、ゲームに参加するために必要な数学的な見方や考え方を働かせることができるように班で協力 することを全体で確認する。「さぐる」段階では、まず、6枚1組のカード(式カード3枚、グラフカ ード3枚)を、個人で式とグラフが一致するように並べ替えさせ、班でそれぞれの考えを確認させ、全 体で正解とその理由、そしてグラフの読み取り方を確認する。全体確認の際は、グラフと式が一致する かどうか判断する際に見るポイントを示し、生徒が自分で判断するまでの手順が分かるようにする。次 に新しく13枚のカード(式カード6枚、グラフカード7枚)を班に1組配布し、ゲームのモデリング を示し、ルールを理解させる。ゲームは式カード6枚とグラフカード7枚(どの式カードとも一致しな いグラフカード1枚がジョーカー)の計13枚を使い、3人でトランプのババ抜きの要領で一致する式 のカードとグラフのカードのペアを捨てていく。ゲーム本番に入る前に、班で模擬ゲームを行わせ、グ ラフのカードと式のカードを見比べ、一致するかどうかの判断を限られた時間の中で行わせながら、ゲ ームのルールやグラフの傾きや切片の読み取り方、傾き・切片と式との関係について理解できているか どうかを確認させる。理解が不十分な点については、その後の作戦タイムで、班で協力して全員が理解 できるようにさせ、話し合った内容を基に再度模擬ゲームを行わせることでゲームに慣れさせる。班内 での模擬ゲームの後、班対抗でゲームを行わせることで、事前の活動において、自分だけでなく班全員 で協力してカードを取捨選択する力を身に付けようとする意欲につなげる。これらの活動を通して生
徒は「一致するカードを見つけることができた」「グラフを読み取れた」という達成感を感じることが できるものと考える。 ゲームの後の振り返りでは、まず、カードを使って定着させた数学の知識・理解を基にチャレンジ問 題に取り組ませる。チャレンジ問題では式からグラフの傾きと切片を答える問題、グラフから式を求め る問題、そして式からグラフをかく問題に取り組ませ、全問正解することを目標とさせる。生徒はチャ レンジ問題を自分の力で解くことで、「わかった、できた」という達成感を感じることができるものと 考える。次に、数学カードを使った学習活動における班の友達の良かった点や頑張りを「友達コメント シート」に記述し、リフレクションでその内容を伝え合う。このように、カードを使ったゲーム的要素 を取り入れた学習活動と振り返りを通して、1次関数のグラフを傾きと切片に着目して読み取り、式で 表現することができるようになるとともに、「分かった、できた」という達成感を感じ、自分の努力す る姿や努力によりできたことを他者から認められていることを認知し、それにより自分の成長を実感 することで自己肯定感を高めることができるものと考える。 6 本時の目標 数学カードを使ったカードゲームを通して、様々な1次関数の式から傾きと切片を読み取り、一致 する直線のグラフを選択する力を身に付けるとともに、「分かった、できた」という達成感を感じ、 自分の努力する姿や努力によりできたことを、他者から認められていることを認知し、自己肯定感を 高める。 7 仮説 1次関数の式とグラフが一致するペアのカードを捨てていくカードゲームを行い、チャレンジ問題 を自分の力で解き、友達コメントシートを使ったリフレクションを行えば、様々な1次関数の式から 傾きと切片を読み取り、一致する直線のグラフを選択できるようになるとともに、自分の力で課題を 解決することができたという達成感を感じ、自分の努力する姿や努力によりできたことを他者から認 められていることを認知し、自己肯定感を高めることができるであろう。 8 準備物 ゲーム用カード12部、並べ替え用カード34部、ヒントカード、記録用紙、チャレンジ問題、チャレ ンジ問題解答、めあて(掲示用)、友達コメントシート、振り返りシート 9 展開 学習活動・内容 指導上の留意点 形態 配時 つ か む 1 本時の流れを確認し、見通しをもつ。 2 本時のめあてを確認する。 めあて いろいろな1次関数の式とグラフを傾きと切片に着 目しながら一致させよう。 ○トランプのモデルを見せ、本 時は式のカードとグラフのカー ドでババ抜きと同様のゲームを 行うことを伝え、本時の流れを 確認させる。 3分 さ ぐ る 2 3枚のグラフのカードと3枚の式のカードがそれ ぞれ一致するように並べ替える。 (1)個人で並べ替える。 ○並べ替えが進まない生徒に は、ヒントカードを配布し、そ れを参考にしながらどの式カー ドとグラフカードが一致するの 7分
さ ぐ る ①y=2x-1 ②y=-2 3x+1 ③3x-y=6 (2)班で確認する。 ・ペアの組合せの確認 ・なぜその式がそのグラフになるのか (3)全体で確認する。 ・グラフの読み取り方の手順 ・3x-y=6からy=3x-6の変形 (4)班の中で式とグラフのペアが一致する理由を説明し 合う(アウトプット)。 ・②の式とグラフ 3 ゲームの準備をする。 (1)ゲームの確認事項を全体で確認する。 (2)モデリングを確認し、班内で模擬ゲーム1を行う。 (3)模擬ゲーム1を基に、ルールや、やり方について班 で再度確認し合う(作戦タイム)。 ・グラフの読み取り方 ・ペアが一致しているかどうか (4)作戦タイムの内容を生かして模擬ゲーム2を行う。 式カード6枚 ①y=2 3x+2 ②y= 3 2x+2 ③y=−43x-1 ④y=-3 4x-1 ⑤y-2x=4 ⑥2x-y=4 4 班対抗でゲームを行う。 (1)所定の席に移動し、ゲームを行う。 (2)ゲーム終了後、元の班に戻り自分の順位を司会に報 告し、司会は記録用紙に記録する。 かを考えさせる。 ○全体確認では、グラフを読み 取るときは、まず切片を確認 し、次に傾きを確認するという 手順を示す。 ☆説明できたという達成感 ○ゲームでは①~⑥のいずれの 式のカードとも一致しないグラ フのカードをジョーカーとして 入れた計13枚で行うことを確 認させる。また、赤いカードが 式、青いカードがグラフである ことも確認させる。 ○ゲームを行う前にカードを配 る係結果を記録する係を決めさ せる。 ☆「一致するカードを見つける ことができた」「グラフを読み 取れた」という達成感 ○速やかに団体戦用の座席に移 れるように、模擬ゲームの段階 から団体戦用の座席表を掲示し ておく。 10分 15分 ゲームでの確認事項 ・班対抗ゲームでは、途中タイムをとってゲームの相手以外の友達に相談してもよいも のとする。 ・カードを捨てる際は、必ず切片と傾きが一致する理由を説明し、2枚のカードが対応 しているかを班で確認をする。 ・
ま と め る 5 チャレンジ問題に取り組む。 (1)問題に取り組む。 (2)自己採点をし、間違いがあればその場で確認をす る。 6 本時の振り返りをする。 (1) 友達コメントシートに友達の良かったところや頑 張りを記述し、班でリフレクションを行う。 (2) 振り返りシートを使って自己評価を行う。 7 次時の学習内容の予告を聞く。 ○全問正解するという目標を確 認させる。 ☆自分の力で問題を解くことが できたという達成感 ☆自分の努力や努力により分か るようになったことやできる ようになったことを認められ たという有用感 ☆班での自分の貢献を認められ たという有用感 ○最後に、本時の全員の頑張り を評価する。 8分 6分 1分 10 板書計画