第1学年 社会科学習指導案
1 単元名 オセアニア州 2 指導観 本単元は、空間的相互依存作用や地域などに関わる視点に注目して、世界の諸地域で見られる地球 的課題の要因や背景をその地域的特色と関連付けて多面的・多角的に考察し、表現する力を育成する ことを主なねらいとしている。ここでは主題を「多文化社会」「環境問題」として、生徒に追究させる。 オセアニア州は、六州の中で最小の州であり、オーストラリア大陸とニュージーランド、太平洋の島々 (ポリネシア、ミクロネシア、メラネシア)から構成される。オーストラリア大陸が陸地面積の 80%以 上を占め、政治的かつ経済的な中心地になっている。オーストラリアには、先住民のアボリジニが暮ら していたが、19 世紀にイギリスの進出によって植民地になり、その名残でヨーロッパ系の人々が 90% を占める。近年は、アジア系の人々も移住しており、ヨーロッパ系やアジア系、アボリジニと複数の民 族が混在する「多文化社会」となっている。貿易相手国としては、1970 年代まで植民地支配していた イギリスが多かったが、近年ではアクセスが便利なアジア諸国(日本、中国、韓国)との結びつきが強 まっている。主な貿易品としては、大陸の大部分が乾燥帯に属していることもあり、そこから産出され る石炭や鉄鉱石の輸出が約 40%を占め、温帯に属している沿海部では小麦の栽培や牛と羊の飼育が行 われ、アジアを中心に輸出されている。また、太平洋の島々は熱帯に属しており、1年中高温多湿のた め、高床の住居で暮らし、タロイモやヤムイモといったイモ類を栽培し、主食としている。現在では、 オーストラリアやニュージーランドに移住する人が増え、西洋化した地域も増えたが、伝統的な生活 や文化が残る地域も残っている。これらの島々は、国土面積の狭さや人口の少なさ、国際市場からの遠 隔性などが重なる地域のため、産業の成長には限界あるとみなされており、漁業以外は目立った産業 が行われていない。またサンゴの環礁にできた島国は土地が脆弱なため、他国への出稼ぎや援助なし では成り立たない。現在、豊かな自然を生かした観光業に力を入れて利益を得ているが、植民地支配の 名残もあり、若い労働力はオーストラリアやニュージーランド、アメリカ等に流出してしまい、十分な サービスを提供するに至ってない状況である。本単元は、日本で見られない多文化社会や歴史的背景 を抱えた現状、豊かな自然を脅かす環境破壊など課題を含んだ地域的特色を学ぶことは、グローバル 化の進む将来や持続可能な社会づくりの形成という観点からも学ぶ意義が大きいと考える。 本学級の生徒は、中学校第1学年で世界の諸地域の学習を通して、世界各地で起きている地球規模の 課題を捉えている。そこで、本単元では主題を「多文化社会」と「環境問題」に設定し、オセアニア州 の海面上昇、環境破壊、経済格差、人種問題という諸課題を捉え、諸課題の解決に迫る合理的な自らの 考えをもたせたい。6月の実証授業Ⅰでは、実証授業後アンケートの「地球的課題に対して、自分の考 えをもつことができた」と 86%の生徒が答えた。しかし、生徒の学習プリントを見ると、「巨大空気清 浄器を作る」や「ポイ捨てをしない」といった一面的、恣意的な考えが多くみられ、解決に迫る考えに 練りあげることができなかった。このことから、諸課題の解決に迫る考えに練り上げるために、多様な 情報から必要な情報を収集し、選択・判断する力、考えを広げたり深めたりするために他者と説明や議 論する力が必要と考える。そこで、本単元では、諸課題が生じる基となった要因や背景を、社会科にお ける見方・考え方を働かせながら、資料を多面的・多角的に考察する。また、「実現性」「公平性」「地 域性」の三つの要素をより満たした合理的な考えに形成するために、説明と議論を繰り返し行う。これ により、自らの考えを解決に迫るものに練り上げていくことができると考える。 本単元の指導に当たっては、オセアニア州の諸課題を多面的・多角的に考察し、考察する中で根拠に つながる諸課題の要因や背景をネットワークシートに構造化しながら、解決に迫るための改善策を考 えることで、合理的な自らの考えをもたせたい。まず「つかむ」段階では、学習課題を設定することが できるように、世界の諸地域の諸課題を振り返らせる。そして、オセアニア州の諸課題を捉えることが できるような資料を提示し、単元を貫く学習課題「オセアニア州の未来のために、諸課題の解決に迫る よりよい考えをつくろう」を設定する。ここでは、追究する諸課題のうち、生徒各自が解決したいと思うものを選択させる。次に、既習の知識やこれまでの生活経験から、諸課題が世界に及ぼしている影響 を考え、現時点での解決に向けての考えをもたせる。この考えでは、持続可能な社会を形成するために 必要な要素である「実現性」「公平性」「地域性」を十分に満たしていないことを自覚させる。また、ネ ットワークシートに諸課題と影響を可視化し、追究内容として諸課題が生じる基となった要因や背景 を調べていく。「さぐる」段階では、各自の課題を解決するために必要な追究内容に応じた資料を配布 し、それぞれの課題の解決に必要な要因や背景を多面的(貿易、林業、環境税、歴史的背景など)・多 角的(現地住民、生産者、外国企業など)に考察させる。このとき、他者と異なる資料を読み取らせる ことで、責任をもって資料を読み取り、他者に説明する必然性をもたせる。読み取ったり説明したりし て獲得した必要な情報は、ネットワークシートに可視化し、思考を分類・整理したうえで、諸課題の影 響と要因や背景を関連付けて構造化させる。「いかす」段階では、これまでの学習を踏まえて、諸課題 の解決につながる要因や背景を緩和することのできる改善策について、ネットワークシートを用いて 根拠をもって考えさせる。次に、グループ内で各自の改善策を説明し合い、優先すべき改善策はどれか を三つの要素に照らし合わせて議論させる。議論して出された改善策を再度全体に発表させ、アドバ イスカードを用いて他グループの改善策について、よりよい考えやアドバイスを与えさせる。そのア ドバイスを基に、再度グループで解決に迫るための議論をして、合理的な考えに練り上げさせる。その 後、最終的な考えを全体に発表し、振り返りを行いながら、三つの要素をより満たす自らの考えをつく らせ、諸課題の解決に迫らせたい。 3 単元の目標 〇 オセアニア州に暮らす人々の生活を基に、自然、産業、生活・文化、歴史的背景などについて概 観し、地理的事象の意味や地域的特色における知識を身に付けるとともに、多文化社会と環境問題 の解決に必要な情報を読み取り、比較・関連付けながら、多文化社会と環境問題の要因や背景、影 響を理解することができる。 【知識・技能】 〇 オセアニア州における多文化社会と環境問題の要因や影響について、地域内の結び付きに着目し、 地域的特色と関連付けて多面的・多角的に考察し、解決に向けての自らの考えを表現することがで きる。 【思考・判断・表現】 〇 オセアニア州の建国の歴史や貿易相手国、貿易の総額、海面上昇など、多文化社会と環境問題の要 因や背景に対して意欲的に追究することができ、持続可能な社会づくりに貢献しようとすることが できる。 【主体的に学習に取り組む態度】 4 単元計画(6時間) 段階 学習活動 手立て 配時 つ か む 1 本単元の学習課題を選択する。 (1) オセアニア州の諸課題を資料から読み取る。 (2) 諸課題から追究する内容を選択する。 ○ これまでの学習から地域の諸課 題(食糧難、経済格差等)を振り返ら せる。 ○ オーストラリアに住んでいる友 達からの VTR を視聴させることで 自分たちの生活とのつながりを意 識させる。 ○ 「海面上昇」「環境破壊」「経済 格差」「人種問題」を諸課題として 捉えることができるような資料を 提示する。 2 ① ② 本 時 1 ・経済格差は、複数の地域の問題だと思う。 ・オセアニア州にも、環境破壊に関する問題がある のではないか。 ・海面上昇は島国の日本にも関係があるのではな いか。 ●海面上昇 ●環境破壊 ●経済格差 ●人種問題
2 本単元を貫く学習課題を設定する。 (1) 諸課題が及ぼす影響を考える。 (2) 諸課題の影響を付箋に記入し、ネットワー クシートに貼る。 (例) (3) 諸課題の解決に向けて、自らの考え(見通 し)をもち発表する。 ○ 同じ課題の解決に関心をもって いる生徒同士を近くに配置する。 ○ 諸課題が及ぼす影響を、ネット ワークシートにまとめさせる。 ○ 自らの考えが書けない生徒に対 しては、机間指導でアドバイスを する。 ○ 各課題の解決への考えをもつ生 徒4人に発表させる。 ○ 解決に迫るために必要な要素と なる「実現性(実際にできる)」「公 平性(他地域に恩恵をもたらす)」 「地域性(現地が望む)」を既習から 再確認する。 ○ 三つの要素を判断基準とし、自 らの考えを「自らの考えは○○性 が足りない」と振り返り、追究内 容の視点を明確にさせる。 ○ 「影響はなぜ起きているのか。」 と要因や背景を問いたり、「本当に その考えで解決するのか」と批判 的に問い返したりすることで、今 の考えでは不十分であることを自 覚させる。 さ ぐ る 3 前時で選択した諸課題の内容に基づき、資 料を考察し、根拠となる必要な情報をまとめ る。 ○ 同じ課題を設定している生徒同 士を近くに配置する。 ○ 諸課題を追究すると同時に、オ セアニア州の地域的特色も捉える ことができる資料選定を行う。 2 ① ② 本 時 2 【学習課題】 オセアニア州の未来のために、諸課題の解決に迫るよりよい考えをつくろう。 ・海面上昇により、島がなくなる。 ・環境破壊により、きれいな海がなくなる。 ・経済格差により、貧しい国はさらに苦しむ。 ・人種問題により、未だに差別で苦しむ人がいる。 ・海面上昇が起きたら、他の 国に移住する。 ・環境破壊を止めるために、 工場排水を流さない。 ・経済格差をなくすために、 貧しい人に募金をする。 ・人種問題をやめさめるため に、法律を作る。 ・他の国に移住したら 海面上昇は食い止め られるのかな。 ・工場排水を流さない ことはできるかな。 ・募金を何回も行うこ とはできるのかな。 ・本当に法律は今も制 定されていないのか な。 諸課題の解決に必要な要素には、どんなものが必要か な。現地の人だけ満足すればいいかな。私たち(日本) だけ満足すればいいかな。(三つの要素を捉える。) 顕 在 化 し て い る 諸 課 題 を 捉 え、その諸課題が世界に及ぼし ている影響を生活経験や既有知 識から考え、付箋に記入する。
(1) グループ内で調べる資料を選択し、各自 で、必要な情報を読み取る。 (2) 資料から読み取った情報を付箋にまとめ、 ネットワークシートに貼る。 (3) 同じ資料を読み取った人と小グループを組 み、現時点の読み取った情報について交流す る。 (4) 得られた情報についてグループ内で説明し 合う。 (5) 他者から得られた具体的事実や要因、背景 などの情報を分類・整理し、ネットワークシ ートにまとめる。 (例) ○ 事前に追究内容を確認して、追 究に必要な資料を配付する。 ○ 資料の読み取りが難しい生徒に は、机間指導で資料の見方・考え 方をアドバイスする。 ○ オセアニア州の諸課題について 多面的・多角的に捉え、調べて分 かったことを付箋に記入させる。 ○ 資料内のどの情報を根拠とした のかを明らかにさせるために資料 にアンダーラインを引かせる。 ○ 具体的事実や要因、背景を記入 した付箋を操作し、思考の分類・ 整理をさせる。 ○ 資料の読み取りが難しい生徒に は、同じ資料の読み取りをした他 者から説明を受け、グループ内で 説明できるようにする。 ○ 説明された情報のうち、必要な 情報については、プリントに記入 し、付箋にまとめる。 ○ 説明する際は、根拠となる資料 を必ず明示させる。 ○ 具体的事実と要因や背景が記入 された付箋を操作して、思考を分 類・整理し、線を結び関連付けさ せる。 海面上昇 ●フロンガスの排出とオゾン層の関係 ●オセアニア州と他州の CO2 排出量の比較 ●炭素(環境)税 ●伝統的な生活様式の変化 環境破壊 ●サンゴ礁の白化の原因 ●木材確保のための外国企業の進出 ●地球温暖化 ●木材を売ることの貿易赤字(モノカルチャー経済) 経済格差 ●国の貿易赤字の現状(主な輸出品)と要因 ●他国に出稼ぎに行かなければならない若者の実態 ●国の産業が農業に傾く要因(モノカルチャー経 済、面積の狭さ) ●貿易黒字国になるための APEC の加入 人種問題 ●先住民の歴史(アボリジニ、マオリの生活や文化) ●白豪主義(ゴールドラッシュ、人種差別政策) ●多文化社会に向けて(街並み、難民の受け入れ) ●先住民の権利と保護(国会議員の選出) 考察した具体的事実や要因、 背景を付箋に記入し、関連付け られる付箋をグルーピングし ながら貼る。
い か す 4 オセアニア州の諸課題の解決に向けて、合 理的な自らの考えをもつ。 (1)諸課題を解決に向けて、具体的事実や要因を 緩和するための改善策を各自で考える。 (例) (2) 各グループで代表者を決めるために、グル ープで各自の改善策を説明し合い、優先すべ き改善策はどれかを議論する。 (3) 各グループの代表になった生徒が全体で発 表する。 発表時の役割分担 ○ ネットワークシートを使い、そ の改善策を選んだ理由を、要因や 背景を含めた根拠のある考えにす るように確認する。 ○ 根拠の基となる資料を提示させ る。 ○ 改善策を合理的な考えにするた め、「実現性(実際にできる)」「公平 性(他地域に恩恵をもたらす)」「地 域性(現地が望む)」を判断基準にす るように確認する。 ○ 発表時の役割分担を決め、主張 すべき改善策は根拠をもって発表 するように留意点を確認する。 ○ 相手意識をもった提案にするた めに、初見の方にも分かるような 諸課題の影響や具体的な事実など 根拠の基になる資料を提示しなが ら具体的に発表させる。 2 ① ② 本 時 3 例:環境破壊について 環境破壊は、木材のとれない国が輸入するために現地 の人を安い賃金で働かせていることが〇〇の資料から 分かった。現地の人の暮らしを向上させるにはどうすれ ばいいだろう。やっぱり給料の高い仕事についてもらう しかないのかな。商品の値段が高いものをつくればいい のかもしれない。 ・発表者(1~2名) ・ネットワークシートをもつ(2人) 先進国に二酸化炭素 の排出量を規制しても らうように、国連に働き かけてはどうだろう。 国連は先進国を中心に いろんな取り決めをして いるから、規制はかけに くいのでは。実現性に欠 けるのではないか。 実現性のある提案はで きないだろうか。 現地視察をして訴えかけ てはどうだろうか。 どの要因や背景を緩和するた めに考えた改善策なのかが分か るように、付箋を線や矢印を記 入し、改善策を焦点化する。
(4) 各グループが発表した改善策について、各 自で考えをまとめる。 (5) アドバイスカードを基に、グループで再度 改善策を議論する。 ○ 合理的な考えにするために、教 師が各グループの発表に対して要 点を板書し、「実現性」「公平性」 「地域性」の要素が含まれている かを確認し、価値付けを行う。 ○ 改善策がトレードオフの関係に なる場合は、どれを優先すべきか を三つの要素を判断基準にして、 熟考させる。 ○ アドバイスカードを用いて、各 グループの良い点や改善点(不足し ている要素)を記入させる。 ○ アドバイスが価値のあるものに なるように、「実現性」「公平性」 「地域性」の要素を含めて記入さ せる。 ○ 改善策を合理的な考えにするた めに、「実現性(実際にできる)」「継 続性(続けられる)」「公平性(他地域 に恩恵をもたらす)」「地域性(現地 が望む)」の要素を基に議論するこ とを確認する。 ○ 議論した内容を円滑に発表でき るように、メモを取らせる。 A君から、「地域性」 をもっと含んだ考えに してほしいというアド バイスをもらったんだ けど、どう思う。 「地域性」を含むには、 発展途上国でもお金をず っと使うことができる仕 組みが必要だね。どうや ったら集められるかな。 政府にお金を出し てもらうように頼む か、募金活動をする しかないのではない か。募金活動はずっ と行うことは難しい かな。 募金活動と政府の資金を組 み合わせたら、継続性が満た されそうだよね。政府がお金 を出してくれるまで募金のお 金を使ったり、募金と同時に 政府にお金を出してもらう署 名も集められたりしたら良い よね。 例:環境破壊について 資料1より、先進国は二酸化 炭素排出量が多いので、国連に 二酸化炭素の排出量を規制して もらう。大きな規制は無理なの で、現地で視察を行い、人々の声 を直接聞いてもらうことで、先 進国にこの考えを訴えかける。 この考えは、最 優先すべき課題だ し大きな規制は無 理だから、視察を 行わせるという方 法を用いて考えを もっているね。実 現性がぐっと高ま ったね。だけど、 視察のお金は本当 に集まるの。 ・私の班は、他の班に比べ て公平性が足りないよう に感じた。もっと他の地 域にも利益のある改善策 を考えないと。 ・隣の班は、もっと地元の 人のことを考えないとい けないと思った。自国の 利益だけに捉われすぎて いると思う。 他グループの改善策をもっと広げたり深めたりす るための、アイデアやアドバイスを出し合おう。 視察を行えば、現地の国は税金を使用して外国の 人を迎えるけど、新たなお金の出費はその国にとっ てマイナスではないのかな。そこまでするメリット はあるかな。
(6) 各グループの代表者が改善策を発表する。 (7) これまでの学習を振り返り、オセアニア州 の未来に向けて、各自で考えをまとめる。 ○ 相手意識をもった提案にするた めに、諸課題の影響や具体的な事 実など、根拠の基になる資料を提 示しながら発表させる。 ○ 合理的な考えになるように、教 師が各グループの発表に対して、 「実現性」「公平性」「地域性」の 要素が含まれているかを確認して 価値付けを行う。 ○ 三つの要素が含まれずとも、要 素の捉えが具体化していることに ついても価値付けを行う。 ○ どのような考え(改善策が出ない 考えも含む)も持続可能な社会づく りには必要な考えであるというこ とを価値付ける。 ○ 本単元の学習の価値を自覚でき るように、ネットワークシートに 振り返りをさせる。 ○ 様々な立場の人々の視点で考え をもたせるために、キーワードカ ード(日本、現地、世界の人々等) を提示する。 私のグループは、現地に視察することで、環境破壊に ついて現状を知ってもらい、二酸化炭素の排出量に規制 をかけるという改善策を考えました。継続性があまり含 まれていないというアドバイスを受け、現地視察をする には資金が必要なので、募金活動をしたり、政府に資金 を出してもらったりすることで継続した視察ができる のではと考えました。次第に、環境に対する意識が高ま って、二酸化炭素の排出量の規制がかかるのではと思い ます。 最初は、木を切らないという考えしかもてなかったけ ど、ソロモン諸島の環境破壊について調べてみると、外 国企業の進出や、林業に頼りきっている国の現状が分か ってきた。そんな要因や背景を踏まえて改善策を出した が、解決できるような案にはなっていない。地元の人は 環境よりも経済発展を重視しているかもしれないけど、 日本や世界の人たちは地球温暖化が進む現状を良いと は思っていない。よりよい改善策とはなにかをこれから も考えながら、世界の諸課題に目を向けていきたいと思 った。
5 本時1(2/6) 〇主眼 ・前時に選択した諸課題が及ぼす影響を考察し、ネットワークシートに可視化することで、諸課題と 影響を関連付けて捉えることができる。 ・諸課題の解決に向けて、自らの考えや見通しをもつことで、学習課題を設定することができる。 〇準備 ネットワークシート・提示する資料・教師用タブレット 〇学習過程 学習活動 手立て 配時 導 入 1 前時の復習をする。 ・世界で生じる諸課題(食糧難、人口増加など) ・オセアニア州の諸課題 (海面上昇、環境破壊、経済格差、人種問題) ○ これまでに学習した地域とオセアニア州の 諸課題をタブレットで黒板に映し、振り返らせ る。 ○ 生徒が選択した諸課題を確認する。 10 展 開 2 諸課題が及ぼす影響について考える。 3 諸課題が及ぼす影響をネットワークシート にまとめる。 4 諸課題の解決に向けて、自らの考え(見通し) をもつ。 〈生徒の考え(見通し)〉 ・海面上昇が起きたら、他の国に移住する。 ・環境破壊を止めるために、工場排水を流さない。 ・経済格差をなくすために、貧しい人にお金をあげる。 ・人種問題をなくすために、法律を作る。 ○ 自らの考えが書けない生徒に対しては、机間 指導でアドバイスをする。 ○ 付箋に生徒の考えを記入させる。 〇 ネットワークシートの使い方を説明する。 〇 諸課題と影響を可視化させるために、ネット ワークシートを使い、付箋に諸課題が及ぶ影響 を記入させる。 ○ ネットワークシートに、現段階の自らの諸課 題の解決への考えを記入させる。 ○ 生徒4人に解決への考えを発表させる。 ○ 解決に迫るために必要な要素となる「実現 性(実際にできる)」「公平性(他地域に恩恵があ る)」「地域性(現地が望む)」を再確認させる。 ○ 三つの要素を判断基準とし、自らの考えを 「自らの考えは○○性が足りない」と振り返 り、追究内容の視点を明確にさせる。 ○ 「影響はなぜ起きているのか」と要因や背 景を問いたり、「本当にその考えで解決するの か」と批判的に問い返したりすることで、今 の考えでは不十分であることを自覚させる。 10 10 15 終 末 5 学習課題の解決の見通しをもち、次時のめあ てを設定する。 ○ 次時からの授業の流れを確認する。 ○ 追究内容について、必要な情報を探してきて もいいことを指示する。 5 【学習課題】 オセアニア州の未来のために、諸課題の解決に迫るよりよい考えをもとう。 他国に移住したら、海面上昇は食い止めら れるのかな。そのお金はだれが出すの(実現 性)。その国だけが移住して、他の国の人たち は移住しなくていいの(公平性)。本当にその 国の人たちが望んでいるだろうか(地域性)。 諸課題の解決には、どんな要素が必要だろうか。 【めあて】 オセアニア州の諸課題が及ぼす影響を考えよう 海面上昇:島が沈んでいく。地球温暖化が進む。 環境破壊:酸素がなくなる。海が汚くなる。 経済格差:貧しい人がもっと苦しんでいる。 人種問題:差別がいまだに続いている。
6 本時2(3、4/6) 〇主眼 ・オセアニア州の諸課題を多面的・多角的に考察することにより、諸課題の具体的な事実や要因、背 景を捉えることができる。 ・ネットワークシートを用いて諸課題と影響、具体的な事実、要因、背景を関連付けることができ る。 〇準備 ネットワークシート・提示する資料・教師用タブレット 〇学習過程 学習活動 手立て 配時 導 入 1 前時で設定しためあてを確認する。 〇 本単元の学習課題を振り返り、本時のめあて を確認する。 5 展 開 2 追究内容に基づき、資料を考察し、根拠とな る情報をまとめる。 (1) グループ内で調べる資料を選択し、各自で必 要な情報を読み取る。 (2) 資料から読み取った情報を、付箋にまとめ、 ネットワークシートに整理する。 (3) 同じ資料を読み取った友達と小グループを 組み、現時点の読み取った情報について交流す る。 (4) 得られた情報についてグループ内で説明し 合う。 (5) 他者から得られた情報(具体的な事実、要因、 背景)を分類・整理し、ネットワークシートにま とめる。 〇 同じ課題解決を設定している生徒同士を近 くに配置する。 〇 事前に追究内容を確認して、追究に必要な資 料を配付する。 〇 資料の読み取りが難しい生徒には、机間指導 で資料の見方・考え方をアドバイスする。 〇 多面的・多角的に捉え、諸課題の解決に必要 な情報や分かったことを付箋に記入させる。 〇 資料の中のどの情報を根拠としたのかを明 らかにさせるために、資料にアンダーライン を引かせる。 〇 具体的な事実や要因、背景を記入した付箋を 操作し、思考の分類・整理をさせる。 〇 資料の読み取りが難しい生徒には、同じ資料 の読み取りをした友達から説明を受け、グルー プ内で説明できるようにする。 〇 説明された情報のうち、必要な情報について は、付箋にまとめさせる。 〇 説明する際は、根拠となる資料を必ず明示さ せる。 〇 具体的な事実や要因、背景が記入された付箋 を操作し、思考を分類・整理し、ネットワーク シートにグルーピングさせる。 35 終 末 3 本時を振り返り、次時のめあてを設定する。 〇 ネットワークシートを使い、諸課題の解決に 向けての根拠となる判断材料が増えたことを 振り返りながら価値付ける。 10 【めあて】諸課題の解決に迫るための判断材料を集めよう 考察した具体的事実や要因、背景をキーワードに したり、端的にまとめたりして付箋にまとめる。
7 本時3(5、6/6) 〇主眼 持続可能な社会づくりに貢献するために、各自で考えた諸課題の解決に向けての考えをもち、他者 と説明や議論する活動を通して、実現性、公平性、地域性の要素を含む合理的な考えに練り上げること ができる。 〇準備 ネットワークシート・提示する資料・教師用タブレット・アドバイスカード 〇学習過程 学習活動 手立て 配時 導 入 1 前時で設定しためあてを確認する。 〇 本時の見通しをもたせるために、ネットワー クシートを振り返らせる。 4 展 開 2 諸課題の解決に向けて、具体的な事実や要 因、背景を緩和するための改善策を考える。 3 各グループで代表者を決めるために、グルー プで各自の改善策を説明し合い、優先すべき改 善策はどれかを議論する。 4 各グループの代表になった生徒が全体で発 表する。 5 各グループが発表した改善策について、各自 で考えをまとめる。 6 アドバイスカードを基に、グループで再度改 善策を議論する。 〇 ネットワークシートを用いて、なぜその改善 策を選んだのかを、要因や背景を含めた根拠の ある考えになるように確認する。 〇 説明する際は、根拠の基となる資料を提示さ せる。 〇 改善策を練り上げるために、「実現性」「公平 性」「地域性」を判断基準にして議論を展開す るように確認する。 〇 根拠をもって主張すべき改善策について発 表することを確認する。 〇 発表がスムーズに進行するために、教師が司 会をする。 〇 相手意識をもった発表にするために、グルー プでその改善策になった経緯(諸課題の影響や 要因、背景)を踏まえて具体的に発表させる。 〇 教師が各グループの発表に対して、要点を板 書し、「実現性」「公平性」「地域性」の要素が含 まれているかの確認をし、価値付けを行う。 〇 改善策がトレードオフの関係になる場合は、 どれを優先すべきかを「実現性」「公平性」「地 域性」の要素に照らし合わせて熟考させる。 〇 アドバイスカードを用いて、各グループの良 い点や改善点(不足している要素)を記入させ る。 〇 改善策を合理的な考えにするために、「実現 性」「公平性」「地域性」の要素を判断基準に議 論することを確認する。 〇 議論した内容を円滑に発表できるように、メ モを取らせる。 7 10 7 5 7 【めあて】「解決に迫る考え」について議論を通して練り上げよう 例:環境破壊について 資料1より、先進国は二酸化 炭素排出量が多いので、国連に 二酸化炭素の排出量を規制して もらう。大きな規制は無理なの で、現地で視察を行い、人々の声 を直接聞いてもらうことで、先 進国にこの考えを訴えかける。 この考えは、最 優先すべき課題だ し大きな規制は無 理だから、視察を 行わせるという方 法を用いて考えを もっているね。実 現性がぐっと高ま ったね。だけど、 視察のお金は本当 に集まるのかな。 視察を行えば、現地の国は税金を使用して外国の 人を迎えるけど、新たなお金の出費はその国にとっ てマイナスではないのかな。そこまでするメリット はあるかな。
7 各グループの代表者が改善策を発表する。 〇 相手意識をもった発表にするために、根拠の 基になる資料や、前回から改善した点を中心に 発表させる。 〇 教師が各グループの発表に対して、要点を板 書し、「実現性」「公平性」「地域性」の要素が含 まれているかを確認し、価値付けを行う。 5 終 末 8 これまでの学習を振り返り、オセアニア州の 未来に向けて、各自で考えをまとめる。 ○ 三つの要素が含まれずとも、要素の捉えが 具体化していれば価値付けを行う。 〇 どのような考え(改善策が出ない考えも含 む)も持続可能な社会づくりには必要な考えで あることを価値付ける。 〇 本単元の学習の価値を自覚できるように、ネ ットワークシートに振り返りをさせる。 〇 実際に市民が地球的課題について行動を起 こしている事例を紹介し、持続可能な社会づ くりの形成に対する意識を高める。 5 私のグループは、現地に視察することで、環境破壊に ついて現状を知ってもらい、二酸化炭素の排出量に規制 をかけるという改善策を考えました。継続性があまり含 まれていないというアドバイスを受け、現地視察をする には資金が必要なので、募金活動をしたり、政府に資金 を出してもらったりすることで継続した視察ができる のではと考えました。次第に、環境に対する意識が高ま って、二酸化炭素の排出量の規制がかかるのではと思い ます。 最初は、木を切らないという考えしかもてなかったけ ど、環境破壊について調べてみると、外国企業の進出や、 林業に頼りきっている国の現状がわかってきた。そんな 要因や背景を踏まえて改善策を出したが、解決できるよ うな案にはなっていない。地元の人は環境よりも経済発 展を重視しているかもしれないけど、日本や世界の人た ちは地球温暖化が進む現状を良いとは思っていない。よ りよい改善策とはなにかをこれからも考えながら、世界 の諸課題に目を向けていきたいと思った。 X班の現地視察を行う という考えは、実現してほ しいけど、貧しい国にはそ んな視察を呼ぶことがで きるようなお金がないと 思う。現地の求めているこ とではないと思う。「地域 性」に欠けると思うよ。 アドバイスカード アドバイスカードを基に議論して変容した考え A君から、「地域性」をも っと含んだ考えにしてほし いというアドバイスをもら ったけど、どう思う。 「地域性」を含むには、 貧しい国でもお金をずっと 使うことができるような仕 組みが必要だよね。 募金活動と政府の資金を組み合わせたら、「地域 性」が満たされそうだよね。政府がお金を出してく れるまで募金のお金を使ったり、募金と同時に政府 にお金を出してもらう署名も集められたりしたら いいかもしれない。 政府にお金を出してもらうように頼むか、募金 活動をするしかないのではないか。募金活動をず っと行うことは難しいかもしれない。