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遺伝子の規則性と遺伝子

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Academic year: 2021

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第3学年 理科学習指導案

1 単元名 「生命のつながり」 遺伝の規則性と遺伝子 2 指導観 ○ 本単元では、親の持つ特徴や性質が子や孫、その後の子孫へと伝わる「遺伝」について学習する。この「遺 伝」のしくみを学習するにあたって、現在我々が生活している地球に存在しているそれぞれの生物がもつ特 徴や性質は、過去の生物が長い年月をかけて遺伝をしてきたものであることを忘れてはならない。長い年月 をかけて脈々とその特徴や性質を受け継いできた中で生物のもつ遺伝子が特異的に変化し、さらにそれらが 受け継がれてきたことで、現在のような生物の多様性を支えている。また、現在は遺伝子や遺伝子の本体で あるDNA に関する研究が進められており、食料や環境、医療や産業等我々の日常生活や社会に関わる様々 な分野でその研究の成果が利用されるようになってきている。特に人口 70 億人を突破した私たちが地球と いう限られた土地と資源の中で生きていく上で必要な「食」に関しては、食料の品質や生産量を保持するた めに、遺伝のしくみを利用したり、遺伝子を操作したりすることによって私たちへの安定した食料の供給に もつながっている。また、医療現場においても再生医療や創薬等で遺伝子操作の技術を導入することによっ て我々の健康を支えている。そのような発展が進む中で、遺伝子に関する基礎的・基本的な事象を学習し、 そのしくみについての理解を深めることは、非常に意義深いことである。 ○ 本学級の生徒は、実験・観察に関しての興味・関心は非常に高い。また、学級全体として科学的事象を探 求したり、考察したりし、自分の考えを文章化することができるようになってきている。しかしながら、周 りの生徒の意見を自分の考えと比較して、取捨選択し、新たな見方や考え方を生み出すことを苦手と感じて いる生徒が多い。特に、可視化が困難な概念を理解し、その概念を活用して新たな考えをつくり出すことは 苦手である。本単元に関する事前アンケートによると、「遺伝という言葉を聞いたことがあるか。」という問 いに対して、「ある」と答えた生徒が32名中31名であった。また、「遺伝がどのようにして起こるかを知 りたいと思うか。」という問いに対しては、「とても思う、少し思う」と答えた生徒が32名中25名であっ た。これに対して、「遺伝とは何かを説明できるか。」という問いに対しては、「できる」と答えた生徒が11 名、「遺伝をするために必要な物質を知っているか。」という問いに対しては、「知っている」と答えた生徒が 3名であった。さらに、「自分の血液型がその血液型である理由を説明できるか。」という問いに対しては、 「できる」と答えた生徒が5名であった。このことから、遺伝に興味を持っている生徒が多いことはうかが えるが、その遺伝の本質やしくみについて理解していたり、説明できたりする生徒は多くないと言えるため、 本単元の学習を通して、遺伝の規則性や遺伝子、DNA の存在を遺伝子モデルを用いて理解させることで、遺 伝子に関する基礎的・基本的な考え方を養いたい。 ○ 本単元の指導にあたっては、まず、前章の「第1章 生物の成長とふえ方」の「2 生物の子孫の残し方」 と関連づけて、生物の有性生殖の際には、減数分裂によって生殖細胞をつくり、雌雄の生殖細胞が受精をす ることで、雌雄の親の特徴や性質が次世代へと受け継がれていくことを学習する。次に、メンデルが行った エンドウの種子の形の遺伝に関する実験を紹介し、遺伝の規則性について見出させる。その後、モデルを用 いて可視化することで遺伝の規則性について遺伝子が記号で表せることをつかませ、メンデルの実験結果を モデルを用いて説明させる。また、減数分裂や受精の過程をシミュレーションさせることで、子や孫に受け 継がれる遺伝子の組み合わせを根拠をもって推測させ、発現しうる子や孫の形質を導き出していく。1つの 対立形質での遺伝を基礎として学習し、発展の課題としてカイコガのまゆの色やニワトリのとさかの形、ス イートピーの花の色など2つの対立形質、対立遺伝子を用いて、同じ親の子や孫でも、多様性が生まれ、多 様性が生まれるからこそ、同じ種でも環境の変化にも耐えうる個体が生まれ、種を保存することができるこ とを実感させる。最後に、遺伝子の本体について学び、現在自分たちの身の周りで利用されている遺伝子に 関わる技術や、現在人類が取り組んでいる遺伝子に関する研究を調べる活動を行う。これらすべての学習活 動において、状況に応じて、セルフシンキング(ST)、ペアトーク(PT)、グループディスカッション(GD)、 全体交流を用いて、学習形態の工夫を行うことで、生徒全員の遺伝に関する興味・関心や理解、思考・判断・ 表現の力を向上させることができるようにする。 3 単元の目標 ○ 遺伝によって親から子、子から孫へと形質が受け継がれることに興味を持ち、そのしくみや考え方を意欲 的に追求しようとする。 【興味・関心・態度】 ○ 子や孫に伝わる遺伝子や形質を遺伝の規則性を用いて推測・判断し、遺伝の起こり方やその条件を自分の 言葉で説明することができる。 【思考・判断・表現】 ○ 遺伝を考える際の遺伝子を A や a 等の記号で表したり、遺伝子モデルを正しく操作したりすることがで きる。 【技能】 ○ 遺伝には、一定の規則性があり、その規則性に従って生殖細胞に入る遺伝子や、子や孫に伝わる遺伝子型 が決定すること、また、遺伝に関する語句を理解している。 【知識・理解】

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4 単元計画(7時間) 関:興味・関心・態度 思:思考・判断・表現 技:技能 知:知識・理解 段 階 配時 学習活動・内容 指導上の留意点 評価規準 練 る 1 1 遺伝 ・無性生殖や有性生殖の生殖方法 の違いを復習し、親のもつ形質が 子や孫に伝わる「遺伝」という現 象について知る。 ○前章の無性生殖、有性生殖 の生殖方法の特徴に触れなが ら、「遺伝」という現象や「形 質」「遺伝」「遺伝子」という用 語の意味を整理させる。 関:現在の農作物のほとんど が遺伝のしくみを利用して作 ら れ て い る こ と に 関 心 を 持 ち、遺伝について意欲的に考 えようとする。 【様相観察・学習プリント】 練 り 合 う 2 2 遺伝の規則性 ・メンデルが行った実験を通し て、遺伝の規則性に気づく。 ○有性生殖における子や孫に 現れる形質にはきまりがある ことを GD や全体交流を行うこ とで気づかせる。 思:メンデルが行った実験の 結果から、その規則性を考え、 自分の言葉で説明することが できる。【発言・学習プリント】 ・メンデルが行った実験の遺伝の 規則性を A や a を使って親から 子の代への形質の伝わり方を説 明する方法を知る。 ○メンデルが発見した遺伝の 規則性について、遺伝子を記 号 A や a、モデルで考えさせ るために、具体物を準備する。 技:メンデルが発見した遺伝 の規則性をモデルを正しく操 作し、明らかにすることがで きる。 【様相観察・学習プリント】 1 3 孫の代への形質の伝わり方 ・遺伝の規則性についてモデルを 用いて検証し、子の代では現れな かった親の形質が孫の代で現れ るしくみを理解する。 ○生殖細胞をつくるときに起 こる減数分裂と関連付けて考 えさせ、子の代で現れなかっ た形質が孫の代で現れるしく みをモデルを使って説明させ る。 知:減数分裂と生殖細胞に入 る遺伝子を関連付けて考え、 既習事項を使って正しく、記 入することができる。 【学習プリント】 練 り 上 げ る 2 4 2つの対立遺伝子による遺 伝 ・2つの対立遺伝子を用いた場合 に起こる遺伝の考え方やその規 則性を理解する。 ○カイコガのまゆの色やニワ トリのとさかの形を例として 挙げ、2つの対立遺伝子で遺 伝を考えた際の減数分裂で起 こる遺伝子の分離の仕方をモ デルを用いて理解させる。 知:2つの形質の優性と劣性 の 純 系 同 士 を か け 合 わ せ る と、子はすべて優性の形質を 示し、孫の代では、A>a、B> b において、AB:Ab:aB:ab= 9:3:3:1 になることを理解して いる。【発言・学習プリント】 ・2つの対立遺伝子を用いた場合 に起こる遺伝の考え方やその規 則性を探求する。 ○スイートピーの花の色の遺 伝を用いて、有色と白色の花 をつけるための条件を見い出 させる。 思:スイートピーが有色にな る条件を遺伝の規則性を用い て説明することができる。 【様相観察・学習プリント】 1 5 遺伝子 ・遺伝子の本体について知り、生 物の多様性が生まれた原因と遺 伝子を扱う技術の利用方法を調 べる。 ○生物がなぜ進化をしてきた のかを遺伝子と関連付けて理 解させることや私たちの生活 を豊かにするために遺伝のし くみを利用して農業を行って いることに触れる。 関:生物の進化や遺伝子を扱 う技術に興味を持ち、意欲的 に調べたり、交流したりして いる。 【様相観察・学習プリント】 5 本時 平成30年9月20日(木) 5校時 於:第2理科室 (1)本時の主眼 スイートピーが有色になる条件を遺伝の規則性を用いて説明することができる。【思考・判断・表現】 (2)準備 ①学習プリント1 ②掲示物1 ③掲示物2 ④学習プリント2 ⑤ホワイトボード ⑥ペン 本 時 2 /

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6 展開 過 程 学習活動・内容 指導上の留意点(○) と評価(◇) 準 備 形 態 配 時 練 る 1. 課題解決のための情報を確認する。 ・白色のスイートピー同士をかけ合わせると有 色のスイートピーができる場合があることを 知る。 2.本時のめあてを確認する。 ○白色のスイートピー同士をかけ合わせる と有色のスイートピーができることから、 遺伝子が関わっていることに気づかせる。 ① ② 全 全 8 2 練 り 合 う 3.学習課題を確認し、見通しをもつ。 (1)学習課題を確認する。 (2)学習課題を解決するための見通しをもつ。 ・親世代の生殖細胞の遺伝子型を考えること。 ・子世代の遺伝子の組み合わせを考えること。 ・子世代の生殖細胞の遺伝子型を考えること。 ・孫世代の遺伝子の組み合わせを考えること。 4.課題を解決する。 (1)親世代→子世代について考える。 ・CCpp、ccPP の親がつくる生殖細胞の遺伝子 型はそれぞれCp と cP のみであり、子の遺 伝子の組み合わせはCcPp(有色)のみである。 (2)子世代→孫世代について考える。 ・子世代 CcPp(有色)がつくる生殖細胞の遺伝 子型:CP、Cp、cP、cp ・孫世代の遺伝子の組み合わせ CP Cp cP cp CP CCPP CCPp CcPP CcPp Cp CCPp CCpp CcPp Ccpp cP CcPP CcPp ccPP ccPp cp CcPp Ccpp ccPp ccpp (3)有色になる条件を考える。 ・[CP]:[Cp]:[cP]:[cp]=9:3:3:1 ・[有色]:[白色]=9:7 ・[CP]のときのみ有色になる。 ○見通しをもたせるために、遺伝子の組み 合わせを考える必要があることを伝える。 ○次の世代の遺伝子の組み合わせは、表を 使うと整理しやすいことを確認する。 ○表を使って整理させることで、親の世代 のそれぞれの生殖細胞の遺伝子型からでき る子の世代の遺伝子の組み合わせが 1 種類 しかできないことに気づかせる。 ○表を使って整理させることで、子の世代 のつくる生殖細胞の遺伝子型が 4 種類ある こと、そのそれぞれの生殖細胞について孫 世代の遺伝子の組み合わせを考える必要が あることに気づかせる。 ○PT、GD を充実させるために、ホワイトボ ードを準備する。 ○孫世代の遺伝子の組み合わせが有色か白 色かの判断に困っている際は、親世代から 子世代がつくられるときの遺伝子型と形質 に注目したり、表のわかっている範囲から 推測したりするように指示する。 ③ ④ ⑤ ⑥ 全 ST ↓ 全 全 ↓ ST ↓ GD ↓ 全 PT ↓ GD 10 20 練 り 上 げ る 5.本時のまとめとフィードバックを行う。 ○本時のめあてを再確認させてからまとめ を書くように促す。 ○GD でめあてに対する考えを作らせた後、 ST で個の考えを作らせる。その後、意図的 指名で全体交流を行うことで、本時の主眼 に対する理解や考え方を深める。 GD ↓ ST ↓ 全 10 めあて:スイートピーが有色になる条件を遺伝の規則性を用いて説明しよう。 学習課題:白色のスイートピーCCpp と ccPP をかけ合わせると、その子の世代はすべ て、有色のスイートピーになった。そして、子の世代の有色のスイートピー同士をか け合わせると孫の世代では、有色と白色が9:7 であらわれた。スイートピーが有色に なる条件を説明しよう。 まとめ:孫の世代では、[CP]:[Cp]:[cP]:[cp]= 9:3:3:1 になる。その結果、[有色]:[白色]=9:7 となるため、スイートピーが有色になるための 条件は「受け継いだ遺伝子の中に必ずC と P を持っていること」である。 ◇スイートピーが有色になる条件を 遺伝の規則性を用いて説明すること ができる。【様相観察・学習プリント】

参照

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