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<新任教員紹介>非正規雇用と所得格差

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<新任教員紹介>非正規雇用と所得格差

著者

四方 理人

雑誌名

総合政策研究

45

ページ

104-104

発行年

2014-02-20

URL

http://hdl.handle.net/10236/11957

(2)

104 関西学院大学総合政策学部 専任講師 四方 理人 私が大学を卒業した2001年は、その前年が最も就職率の低い年にあたり、大変な就職難の時期 でした。私も含め多くの友人や知人が「就職」せず別の生き方を選択し、大学院に行く人、新たに 専門学校に行く人、翻訳など雇われない働き方の人もいました。非正規雇用の職に就く人も多く、 私も大学院を出た後は任期付きのポスドクを数年間続けてきました。批判は多くあったかもしれま せんが、私もかかわったことのあるCOEやグローバルCOEといった大規模プロジェクトは、ポスドク の口がほとんどない文系の若手研究者にとって非常にありがたいものだったと思います。また、同 時期には日本全体でみても所得格差の拡大があり、「格差論争」は学術的なものだけではなく、メ ディアでも多く取り上げられました。 私の研究には、このような自身の経験や社会状況が直接的に反映されているようです。まず、非 正規雇用と正規雇用の格差はよく知られています。このような格差が、固定的なものかどうかが重 要だと考え、一旦非正規雇用となった場合に、正規雇用へ移ることができるのかを検証しようと思 いました。そこで、近年日本でも構築されてきた個人を追った継続調査であるパネルデータを用い て分析しました。その結果、ヨーロッパ諸国との比較で日本の非正規雇用から正規雇用へ移行する 割合は低い水準にあり、またその割合に著しい男女差があることを明らかにしました。 次に、近年の所得格差が拡大していますが、学術的な議論では、その格差拡大は年齢構造の変 化による「みせかけ」であるとされています。日本の所得格差は世帯主の年齢が高くなるほど大きく なります。しかしながら、各年齢階層内での所得格差は近年拡大傾向にはない一方で、もともと所 得格差の大きい中高年齢層の人口に占める割合が上昇しています。その結果、所得格差の拡大は 高齢化による人口構造の変化により引き起こされたと議論されてきました。しかしながら、このよう な所得格差の拡大が実質的には生じていないという議論には違和感があり、考えているうちにシ ンプルな解答を思いつきました。それは、所得格差を測る所得は世帯所得であるので、世帯主の収 入において格差が拡大したとしても、他の世帯員や妻の収入によって相殺されるのではないかとい うものです。実際に、『全国消費実態調査』というデータから分析してみると、各年齢階層別にみて も、1990年代から2000年前半にかけて世帯主においては収入の格差が拡大していました。その一 方で、配偶者およびその他の世帯員の収入の寄与により、世帯主の収入の格差拡大が、世帯所得 でみると相殺されるため、格差拡大が観察されないことを明らかにしました。 今現在の私の関心は、所得格差の拡大や貧困率の上昇に対する政策対応です。具体的には、税 や現金給付の効果についてのマイクロ・シミュレーションの手法を用いて検証したり、生活困難者 や生活保護受給者への就労支援に効果があるかどうかを自治体と協力してデータを集めたりして います。

非正規雇用と所得格差

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