• 検索結果がありません。

VHL 遺伝子の不活性化はマウス腎虚血再灌流障害を抑制する

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "VHL 遺伝子の不活性化はマウス腎虚血再灌流障害を抑制する"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

14

29.

VHL 遺伝子の不活性化はマウス腎虚血再灌流障害を抑制する

井口 みつこ 1)、柿沼 由彦 2)、倉林 睦 1)、佐藤 隆幸 2)、執印 太郎3)、Seung-Beom Hong4) Laura S. Schmidt4)、降幡 睦夫 1) 1)高知大学医学部病理学、2)循環制御学、3)泌尿器科学、 4)Urologic Oncology Branch, National Institutes of Health

【目的】急性腎不全の病態は虚血による尿細管障害が主体であり、再灌流により増悪する。組 織の酸素分圧低下は低酸素誘導因子(HIF)の蛋白レベルを増加させ、エリスロポエチン(EPO)、 ヘムオキシゲナーゼ(HO-1)、血管内皮増殖因子(VEGF)などの下流遺伝子の発現を亢進させ、 低酸素障害を回避しようとする。VHL 遺伝子は癌抑制遺伝子としてよく知られているが、HIF の 蛋白量制御因子の一つでもあり、通常酸素濃度下ではユビキチン-プロテアソーム経路を介し て HIF を分解している。今回我々は VHL 遺伝子のノックアウトマウスを用いて、虚血再灌流にお ける急性尿細管障害の病態をコントロール群と比較検討した。 【方法】初期発生からの VHL 遺伝子欠損は胎生致死となるため、個体発生後に VHL 遺伝子を 後天的に欠失させるマウス(ノックアウト群)を作成した。生後 8 週から 12 週のマウスを使用し、 両側腎動脈のクリッピングによる虚血再灌流(虚血 30 分+再灌流 24 時間)を行い、ノックアウト 群とコントロール群を比較した。 【結果】コントロール群に対しノックアウト群では VHL 蛋白量は有意に減少していた。一方で HIF や EPO、HO-1、VEGF の発現はノックアウト群で増加した。虚血再灌流後の血中尿素窒素 (BUN)と血清クレアチニン(CRN)値は、ノックアウト群で BUN:52.12±6.61, CRN:0.24±0.04、コン トロール群で BUN:138.10±13.03, CRN:0.72±0.16 であり、ノックアウト群で低値であった (P<0.05)。尿細管障害スコアはノックアウト群:0.90±0.12、コントロール群 2.40±0.08 であり、形 態学的にもノックアウト群で障害が軽度であった(P<0.05)。ノックアウト群では尿細管上皮細胞 の VHL 発現が有意に減少し、アポトーシス陽性細胞も減少していた。 【考察】VHL 遺伝子の不活性化はマウス腎虚血再灌流障害において尿細管障害を抑制した。今 回の実験では VHL 欠失により HIF やその下流低酸素応答遺伝子群の発現が上昇し、虚血耐性 となったと考えられた。なお、一過性の VHL 欠失は低酸素障害を確かに抑制するが、長期的な 場合、つまり HIF が恒常的に発現する状態が生体にどのような影響を及ぼすかについては、今 後の研究が待たれる。

参照

関連したドキュメント

本章では,現在の中国における障害のある人び

F1+2 やTATが上昇する病態としては,DIC および肺塞栓症,深部静脈血栓症などの血栓症 がある.

 末期腎不全により血液浄化療法を余儀なくされる方々は約

1.4.2 流れの条件を変えるもの

 再び心室筋の細胞内記録を行い,灌流液をテト

第四章では、APNP による OATP2B1 発現抑制における、高分子の関与を示す事を目 的とした。APNP による OATP2B1 発現抑制は OATP2B1 遺伝子の 3’UTR

マーカーによる遺伝子型の矛盾については、プライマーによる特定遺伝子型の選択によって説明す

 活性型ビタミン D₃ 製剤は血中カルシウム値を上昇 させる.軽度の高カルシウム血症は腎血管を収縮さ