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[総説]新しい生産システムの構築を目指して : 機械化システムからバイオ・エコシステムまで: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

[総説]新しい生産システムの構築を目指して : 機械化シス

テムからバイオ・エコシステムまで

Author(s)

上野, 正実

Citation

南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical

resources technologists, 17(1): 1-8

Issue Date

2001-10-01

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/14177

(2)

総 説

新 しい生産システムの構築を目指 して

機械化システムか らバイオ ・エコシステムまで 一

上 野 正 実

*琉球大学農学部

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Keywords:サ トウキ ビ、生産 システム.機械化 システム.南大東 島.バイオ ・エコシステム 1.は じめに ここでは ,もっ と楽 にかつ合理的 にサ トウキ ビを生産す るた めに ,機械 を利用 した新 しい生 産 システ ムの確立 を 目指 して南大東村 を中心 と して十数年の年月 を費や して実施 した研究 と, そ こか ら発展 して現在継続 中の研究の一部 を紹 介 したい。 機械化 システムに関す る研究は ,目的に合わ せ て現場です ぐ役 に立つ実用的なテーマ を中心 に構成 し,まず は ,収穫作業 の機械化 に焦点 を 絞 って ,現地での調査研究 を行 ったO小 さな組 織 であるが地元 の役場や工場 とプ ロジェク トを 組み ,文字通 り "産官学共 同研究" を行 った。 この研究 はかな り長 い期 間継続 しているので , 多 くの メンバーが関与 して きた。特 に ,学生諸 君はつ らい作業 に耐 え,驚異的ながんば りを発 揮 して くれ た。 「絶 海の孤 島」 と呼ばれ た現地 調査 は ,様 々な意味で困難 を極 めたが ,反面 , 非常に楽 しいもので もあった。研究手法が確立 されていなかったため,試行錯誤の連続 で ,み *沖縄県西原町千原 1番地 捌 糊 御 伽 ( I, LJ ) 手 性 f I 等 一一絵生産1 -一 単位収量 + 収謙両横 15一万I <104J7

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64/65 69/70 74/75 79/80 84/85 89/90 91/95 年度 図1 沖縄県のサ トウキ ビ生産の推移 ( tl t

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報 知 加

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んなで考 え,考 えた こ とはすべて実行す ること をモ ッ トーに研究 を進 めた。 その結果 ,南大東村 の生産 システムの改善は も とよ り,沖縄 ・鹿児島両県 さらにはア ジア諸 国な どに も応用 で きるシステムを提示で きた と 考えている。得 られた研究成果はただちにフィー ドバ ックす る方針 を とり,現地でたびたび報告 会 を開催 した。一方 では ,このよ うな フィール ドワー クの体 系化 を試み ,関連学会 ,国際会議 な どで発表 を行 うことがで きた。

(3)

南方資源利用技術研究会誌 図2 糖業不振の悪循環

2.

研究の背景 (1)危機的状況 にある生産 沖縄 県 で は平成3年 ご ろか ら生 産量 が急 減 し,かつ て の150万 トン台 か ら100万 トンを割 る状態 にまで減少 してい る (図1参照 )。 サ ト ウキ ビは原料作物 であるため製糖工場 の規模 に 合 う生産量が必要である。 この よ うな減産 のた めに存続 困難 な工場 も見 られ る。農家の老齢化 による生産能力 の低下が減産 の主因で ,これ に 伴 うネガテ ィブ フィー ドバ ックが形成 され てい る (図2)。 (2)思 うよ うな効果のでない増産対策 しか しなが ら,サ トウキ ビは様 々な優れ た多面 的機能 を持 ってお り,沖縄農業 の安定的 ・持続 的発展 に とって不可欠 な作物 である。機械力 に よる生産能力の向上が問題解決の基本であるが, 条件次第ではネガテ ィブルー プに落 ち込む危険 を常には らんでい る。平成期 に入 ってか ら機械 化の必要性 がよ うや く認識 され ,収穫用機械 の 導入 が急 ピッチで進 め られ た。現在 では約150 台のノ、-ベ ス タが普及 し,全体 の30%を収穫 してい る。 これだ けの機械 があれ ば沖縄 の100 万 トンは楽に収穫 で きるはずであるが ,期待 ほ どには実績 が上 がっていないのが実情である。 地域や時代 に適合 した新 しい生産 システムを確 立す る必要が認 め られ るのはまさにこの点であ る。 図3 沖縄県のサ トウキビ生

の推移

3.

南大東島の苦悩 (1)深刻 な人手不足 調査 の主対象地域 とな った南大東 島 (図3) は ,那覇市 の東 ,約400kmにあ り,南北6.5km, 東 西5.8kmの卵形 の島で ,海岸 は断崖絶壁 で , 中央部 は灰皿のよ うに窪んだ地形になっている。 産業構造 は大 き く糖業 に依存 してお り文字通 り "砂糖 の島"である。 ここでは ,以前 か ら収穫作業 は島外労働力 に 頼 り,特 に台湾か らの労働力 が重要な役割 を果 た していた。 しか しなが ら,外交上の問題 で昭 和

4

7

年度 よ り導入 で きな く, この年度 は

6

月 末 まで製 糖 を続 けた後4千 トン余 りを圃場 に 残 して製糖 を打 ち切 る異常事態が発生 した。代 りに,4年 間 の期 限付 きで韓 国か らの導入 が 認 め られ たが ,労力不足 の根本 的な解消が緊急 の課題 になった。 (2)機械化第 1ステー ジ このよ うな状況の中で ,オース トラ リア よ り ハ-ベスタが試験的に導入 され ,その成果 を踏 まえ,導入 が本格化 した。農家 を始 め とす る関 係者 の血のに じむ よ うな努力 によって様 々な問 題 を克服 し,ハ-べ スタの導入 が一気 に進み , 労力不足 はほぼ解消 した。ハ-ベ スタが南大東 村 の糖業の存続 を可能 に した と言 える。 当時 ,小学生 であ った娘 さんが

,

「ハ-ベ ス タは神様 です」 とい う作文 を書いた話 がある。 製糖期 にな る と忙 しくてだれ も授業参観 に来 て くれ ない ,で もハ-ベスタが入 ってか らお母 さ んが来て くれ るよ うになった とい う感動的な話

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(

4

)問題解決 に向けての取 り組み 問題を解決するには,悪循環を断ち切ってルー プをプラスの方向に転換す る必要がある。 この ため大東糖業株式会社 は昭和57年3月 に ,沖 縄県な どに 「南大東 の糖業の問題点 と対策 につ いて」 と題 した要請文 を提出 した。 これ を受 け て沖縄庶作研究協会の機械化委員会などで トラッ シュの問題 を中心に討議が行われた。 この頃 , 琉球大学に赴任 した私 には,これは非常に新鮮 で興味深いテーマで,始 めて大東 を訪れ ,これ がこの研究のスター トにつながったO 当時 ,沖縄県が進 めていたキャタ ピラ式 中型 グ リー ンハ-ベスタ開発事業 を研究室で手伝 う ことにな り,南大東村 に機械 を持 ち込み ,ほぼ 1シーズ ンかけて作業性能の評価 ,改良お よび /ト こンクによる地力低下 ハーベスタの蕗圧による土壌劣化 栽培技術の未完成.管理の不徹底 品種の不適合 大tのトラッシュ 過剰な横械装備 土地改良コスト増 大幅漉産 農家推賞の悪化 会社経営の悪化

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図5 南大東島のサ トウキビ生産の推移 図6 ハーベスタによる収穫風景 実証試験 を行 った。 この事業でお世話になった 南大東村の皆さんと,問題を解決するための様々 な方法 を検討 した (図5)。 画期 的 な試み と して ,昭和

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3

月 に産官 学 をあげた 「さとうきび収穫機械化 シンポジウ ム」を開催 した。多 くの専門家によって解決策 が提案 され ,農家 を始 め とす る関係者の意識改 革 につながった。 (5)機械化第 2ステー ジを目指 して この過程で ,南大東村 を中心に農協 ,製糖工 場 と一緒 に研究プ ロジェク トを発足 させ ,ここ か ら問題解決のための本格的な調査 を開始 した。 同時に新 しい生産組織 を作 るための準備 が開始 され ,粁余曲折の末 に平成元年度に農業機械銀 行が設立 され ,研究の成果 を基に新鋭のグ リー ンハ-ベスタが導入 された (図 6)。これによっ て ,次の世代の生産システムを構築す る糸 口が できた。

(5)

南方資源利用技術研究会誌 限られた資源を効果的に活用 ● 機械化技術 ハーベスタの導入,集中脱葉施設の設置 植付け方式の改良 ● 情報化技術 ほとんど手がつけられていない 情報通信技術の進歩.コストハフォーマンス向上 品質データと品質取引制度を活用した情報化の展開

データ● 価格を決める数値叫 データベース化叫 情額 図7 問題解決の方法

5.

研究の概要 機械化 問題 に関す る主要な研究成果 は次の通 りである。 (1) グ リー ン収穫方式への変更 それ までのハ-ベ スタはバー ン方式 あったが , 調査結果 よ りこの方式は有機物 を焼却す るため に地力 の消耗 が著 しく,土壌構造 が悪化す るな ど多数 の欠点 があるこ とを指摘 し,改善策 とし てグ リー ン方式-の切替 えを提唱 した。 グ リー ン--べ スタの作業性能 を調べ ,開発 ・性能 向 上お よび効率的利用 のための基礎 資料 を得 ,こ れ に基づいて機械や労力の有効利用 を図 る地域 機械化 システムを提示 した。その結果 ,現在 で は畑の土壌構造 も好転 し生産性 も向上 しつつ あ るo これ らの調査デー タよ り沖縄県 も補助事業 の対象機種 を従来のバー ン方式か らグ リー ン方 式 に改 めてい る。

(2)

トラ ッシュ対策 ハ-ベ スタ収穫原料 は大量 の トラ ッシュを含 み ,さらに原料 の損失が発生す るので ,手刈原 料 に比べて歩留 を著 しく低下 させ るo歩留低下 を最小限に抑制す るために ,-ーべ スタの作業 特性 について詳細 な計測 を行 い ,作動状態 と ト ラ ッシュ との関係お よび原料損失の発生原 因を 明 らかに した。 また ,量だ けでな く トラ ッシュ の構成 内容によって も歩留-の影響 が異な るこ とを示 した。 これ らよ り,圧搾工程 の前 に原料 精選の工程 として集 中脱葉装置 が必要な こ とと その基本的機能 を明 らかに して提言 し,現在装 4 品質取引制度を利用した生産支援怖報システム ・毎年,すべての圃場のデータが集まる ・極めて安価なシステムができる 地理情報システム(GZS)の利用 ・数値圃場地図の整備が第1課題 NIR.リモートセンシングを利用した情報収集システム ・NIRの高度活用 ・高解像度衛星画像の利用 ネットワークを利用した未来型研究センター ・デージフアームの構築 図8 情報技術(lT)を利用 した生産 システム 置の設置 と改良が行われてい る。 (3)機械収穫原料の晶質保持技術 --べ スタ収穫原料 は ,刈 刃な どによる損傷 を受けるため,堆積 中に呼吸作用 によって高温 , 高湿度の状態 とな り原料 の品質劣化 が急速 に進 む。 これ を実験的に明 らかに し,具体的な抑止 策 を提案 し,現在実施 に向けて準備 が進 め られ てい る。

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4)

地域機械化体系の構築 収穫作業 は製糖工場 を中心 に複数 のハ-ベ ス タと運搬 トラ ックが稼動 してい るo これ らの作 業状態 を最適化す るために , トラ ックの作業分 析 ,ハ-ベ スタの作業分析 な らび に工場 におけ る荷受作業分析 を行い ,基本特性 を解 明 した。。

6.

生産支援情報 システムの開発 以 下 は第3ステー ジ も しくはそれ 以上 のス テー ジを 目指 して ,現在進行 中あるいは計画 中 のテーマであるo (1)情報 システム この研究の過程で ,情報の重要性 が明 らかに な り,農家の生産 を支援す る情報 システムの開 発 に関す る研究 を開始 した (図7, 8, 9)。 途 中か ら作物学 ,土壌学 の仲 間にも参加 して も らい ,増収 ,高品質化 ,低 コス ト化お よび環境 負荷軽減 を 目的に ,新 たな技術集約的生産 シス テムの構築 を 目指 している。特 に,品質取 引制 度 をデー タ収集 システム として利用 して生産支 援 に資す る情報 システムの開発 を行 った。す な わ ち,製糖工場で原料 買い上 げ時に 自動的に得

(6)

図9 生産支援情報システムの基本概念 られ る糖度 ,収量 な どをデー タベー ス化 して活 用す る情報 システ ムを設計 し,南大東 島お よび 石垣 島を対象 にモデル システムを開発 した。 (2)GISへの拡張 圃場 の生産能力 の評価 は土地 に付随 した各種 情報 の解析 に よって行 うので,GIS(地理情報 システム)の利用 が効果的である.本研究では, 以前 に作成 した数値デー タ中心のデー タベー ス をGISに展 開 し圃場生産能力 を評価す るシステ ムの開発 を行 ったO (3) 煮 汁 ・土壌成 分 の迅 速計 測 シス テム の 開発 品質測定の過程 で甘庶糖度以外 の元素成分 を 同時計測 し,情報収集 システムのひ とつ として 利用す る多成分迅速計測 システム開発 を 目的 と した.具体 的には,NIRを用 いた煮汁成分 さ ら には土壌成分のオ ンライ ン計測 システムの開発 を検討 した (図

1

0)

。 (4) 高解 像度 衛 星画像 に よる情報 収集 シス テムの開発 このシステムの成否 は、広範 囲に分布す る圃 場毎の収量 ,品質等の情報収集 をいかに効率化 す るか ,経時的お よび空間的に変化す る生育情 報 をいかにモニタ リングす るかにかかっている。 そ こで ,衛星デー タを生産支援情報 システムの モニ タ リングシステムす なわちセ ンサ とし,品 種 や作型 の特徴抽 出 ,糖 度 お よびバイ オマ ス (収量 )の推定お よび作業計画 ・評価 等 に活用 す るための技術開発 を検討 している。これによっ 品質取引制度 苧 汁 地 か「 ■'‥; ≡ NZRの横能拡張 敬 .一撃 追 芸 ● 図10 生産支援情報システムの基本概念 て ,衛星デー タによる生育評価 ・モニ タ リング が可能 となれば ,年産支援情報 システムの能力 が飛躍的に向上 し,農家 の意思決定の基礎 資料 として提供 で き生産振興 に大 きく貢献す ること が期待 され るO 7.1Tの活用 (1) ネ ッ トワー ク型研究セ ンター サ トウキ ビの減産に伴 って研究予算 も縮減傾 向にあ り,新 しい技術開発能力 は低下 しつつあ るO これ を克服す るには ,実現 可能 であ り,効 果 も大 き く,将来 に向けて大 きく発展す る可能 性 のある研究体制 を創造す る必要がある(,具体 的な形態 として ,ネ ッ トワー ク方式 の未来型研 究セ ンター を提案 してい るoイ ンターネ ッ トに 代表 され る情報ネ ッ トワー クの もつ大 きな可能 性 をみ る と,この方 向に活路 を見出す こ とは決 して夢 ではないので ,ここにネ ッ トワー ク型の 研究セ ンターの設立 を提言 し,具体的な方策の 第 一歩 を探 ってみ た (平成12年6月30日 ;沖 縄農業研究会 .第1回懇話会 )

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) 日的 ・機能 .構成 本セ ンターの 目的 ・機能 は ,ネ ッ トワーキ ン グに よって各種研究資源の共有化 と有効な活用 を図 るこ とである。 これ によって ,限 られ たス タ ッフ,予算 ,施設 を最大限に活用 し,サ トウ キ ビ農業 ・沖縄農業 の振興 に貢献できる と考え る.具体 的な機能 としては次があげ られ るo ・情報 の蓄積 ・保存 ・共有化 ・研究資源 の有効利用 ・研究者 ・技術者 の相互支援 ・情報交換

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南方資源利用 技術研究 会 誌 徽環を想定し利用する生塵システム 本来の生産活動が活発であること 生産性が高い

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従来の技術が目指したところ 一 芸認 諾 献

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生産廃棄物のリサイクル -> ゼロエミッション 合理的・効率的リサイクル 新しい価任の付加 救品のリサイクル 叫 __ -

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図11 活 力 あ る生産 システム の確 立

生産 -環境創生 (

温暖化抑制

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図12 地球温 暖化抑制 バ イオ ・エ コ システム ・農家 との連携 (生産活動の支援,情報提供など) ・産官学の効果的連携 ・一般市民-の情報提供 (3)デージフアームを作 ろう 本セ ンターの基本構成は,研究機 関,団体 , 工場な どに構築 されたデータベース群 とホーム ペー ジ群 よ り構成 され るO このよ うな研究セ ン ターの中心 となるのが "デー ジフアーム"であ るO これは,コンピュー タ内に構築 された "仮 想農場 ・デ ジタル ファーム (あるいはサイバー ファーム)" と

,

「重要な」を表す方言 …デージ" をもじったものである。紙面の都合で詳細 は省 くが,今後 ,実現に向けて具体的な活動 を展開 す る予定である。

8.

バ イ オ ・エ コシ ステ ム サ トウキビの もつ優れたバイオマス生産能力 ∴ ._'±_パ.I.. ト 笠 ifZil→ #+

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図13地域 バ イオ ・エ コ システム構 想 すなわちCO2固定能力 に注 目し,バガスを炭化 す ることによって永久固定化す るシステムを提 案 している。木 を用いる木炭 と異な り,製糖 の 副産物 として産出 され るバガスの炭化は,原料 が工場に集積 されていること,毎年産出され る ことな ど大 きなメ リッ トがある。すなわち,1 年あた りの固定量は限 られていてもその量は年 毎に増加す ることになる。加 えて ,バガス炭 を 土壌改良剤 として利用す ることによって増産 を 図 りC02の固定量 をさらに増加 させ ることがで きる。農家に とっては直接的な増収 とともに環 境税な どに係 るメ リッ トを享受できる可能性が 開け,サ トウキ ビの増産が地球環境の改善につ ながる。 このシステムではいかに多 くの余剰バ ガスを産出 し炭化す るかがポイ ン トとなるが, まず製糖工場のボイ ラーの改善 と工場全体のエ ネルギー効率の向上が必要 となるO次に,外部 エネル ギーを積極的に導入 しバガス-の依存量 を可能な限 り減少 させ ることである。 ここに, 廃棄物処理 によって発生す る熱エネル ギーある いは電気エネル ギーの活用がもっ とも合理的な 方法 として浮かび上がって くる。 このよ うに , サ トウキビ増産,CO2永久固定化 と温暖化抑制 , 廃棄物の無害処理 ・環境浄化 を同時に達成す る 総合的なバイオ ・エ コシステムについて研究 を 開始 した (図11-13)。

9.

むすび このよ うに,後半はあま りにも飛びす ぎてい る印象を与えるか もしれないが ,あ くまでも地

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6-道で息の長 い (しつ こい

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研究の延長線上に ある内容である。作物の元素 レベルか ら個体 レ ベル ,圃場単位 ,地域単位 さらには地球規模 に 至るミクロか らマクロまでの物質 ・エネルギー ・ 情報の循環 についてシステム学的な体系化 を試 みたい と大それたことを考えている。 最後に 日ごろよ り支援 ・協力いただいている 多 くの方 々,な らびに,この機会を設けていた だいた本会の皆様 に対 して心 よ り深謝 申 し上げ ます., 参考文献 1)沖縄 県農林水産部 (1974-1998) 糖業年 報 ,第14号∼第38号. 2)沖縄開発庁総合事務局農林水産部 (1 984-1994)二沖縄農林水産統計. 3)沖縄総合事務局農林水産部 (1998) 沖縄 農林漁業の概況. 4)C.VanDillewijn著 内原彪 訳 (1971):甘 庶植物学 ,琉球分蜜糖工業会. 5)東清二 (1977):沖縄 におけるサ トウキ ビ 重要病害虫の生態学的研究 ,特 にサ トウキ ビ品種の変遷 と害虫の発生消長 について , 琉球大学農学部学術報告 ,第24号 ,p.1-21. 6)沖縄県農林水産部 (1985):サ トウキ ビ栽 培指針,p.2-4. 7)野瀬昭博 (1984)・サ トウキビと沖縄農業 , 1 7*mY##*# ,#23% ,p,27129. 8)丸杉孝之助 (1979):沖縄農業 の基本条件 と構造改善 ,琉球大学農学部. 9)永 田淳嗣 (1992):沖縄 離島にお けるサ ト ウキビ農業の政治生態学の研究 ,博士論文 , 東京大学. 10)上野正実 (1991):さとうきび生産 のシス テム化 とTQC,第18回サ トウキ ビ試験成 績発表会発表要旨,p.60-96. ll)平成 5年度琉球大学公開講座委員会 (1993): 機械化による地域活性化 をめざ して (上野 正美担 当),琉球大学放送公開講座16 (チ レビ講座 ),沖縄 の農林業発展 の条件-21 世紀-の展望-,p.44-60,

12)M.Ueno,H.IzumiandH.Yasuda(1989): EvaluatlOnOfamechanica一 harvestlngSyS -tem for green cane.Proceedings ofthe 20th lnternatlOnalSociety ofSugarCane TecnologlStS,Vol.20, p・1023-1033. 13)沖縄県農林水産部 (1992):日本 における サ トウキビ栽培作業部門別労働時間の推移 , サ トウキビの収穫機械化,p.175-177. 14)上野正実 ・泉裕 巳 (1992) 機械化による 新たな生産 システムの構築 とその課題 ,沖 縄甘煮糖年報 ,第27号,P.7-62. 15)泉裕 巳 ・上野正実 (1990):さとうきび作 の機械化 に関する基礎研究 ,沖縄甘庶糖年 報 ,第26号,P.ll-30. 16)上野正実 (1993):さとうきびの生産対策 と機械化 ,沖縄農業研究会誌 第28巻第1 号,p.63-67.

17)M.UenoandH.lzumi(1993):SugarLoss due to the Mechanical HaⅣestlng,

IntemationalSugarJournal,Vol.95,No.ll 31,p.75178. 18)上野正実 ・泉裕 巳 (1994):機械化生産 シ ステムにおけるロスに関す る研究 ,沖縄甘 庶糖年報 ,第28号,p.13-45. 19)上野正実 (1996):さとうきび収穫機械化 に関す る報告書 南大東村における生産シ ステムの変更に関する調査研究,南大東村 ・ 琉球大学農学部農業機械学研究室. 20)上野正美 ・孫麗姐 (1996)■情報化は沖縄 農業 ・農村 をどのよ うに変えるか-沖縄農 業における情報化の展開-,沖縄農業第31 巻1号,p.30-40. 21) 日本分蜜糖工業会 (1989):近赤外線 によ る品質評価法 (河野澄男氏講演録). 22)上野正実 (1988)二品質取 引に関す る私見 付随情報の高度活用 を !, 日本甘庶糖技 術者会議報告書 「さとうきびの品質取引に 向けて」,p.31. 23)上野正実 ・孫麗姐 (1996):品質情報 を核

(9)

とした生産支援情報 システムの基本構成 と その機能 ,沖縄甘庶糖年報 ,第29号,p.1 1-21. 24)上野正美 ・孫麗姐 (1996):サ トウキ ビの 品質デ ータの利用 に関す る基礎研究 ,農業 機械学会九州支部誌 ,第45号,p.41-46. 25)上野止実 ・川満芳信 ・渡嘉敷義浩 (1997): 平成8年度農業 システ ム確率推進基本事業 成果報告書 さとうきび糖度向上 に関す る 作物 ,土壌 ,システム学的研究 ,南大東村 ・ 沖縄農業研究会. 26)孫麗姐 ,上野正美 ,川満芳信 ,渡嘉敷義浩 , 大川欣 之 (1997):品質情報 を利用 した生 産支援 システムの構築 に関す る基礎研 究 一 品質デ ータの分析 とその利用 -.第24回サ トウキビ試験成績発表会 ,発表要旨,p.1 6-17. 27)川満芳信 ・上野正美 ・渡嘉敷義浩 ・永江哲 也 ・大兄の りこ ・孫麗姐 ・浅沼康清 ・入嵩 西 Lr三治 (1996):サ トウキ ビ茎 中の糖 度 と 南方資源利用技術研究会誌 各種元素 との関係 一南大東村お よび石垣 島 の場合 -,沖縄農業 ,第31巻1号,p.2-10. 28)上野正実 ・孫麗姐 ・川満芳信 ・大川欣之 ・ 大嶺 政朗 (1998):品質情報 を核 に したサ トウキ ビ生産 における精密 圃場管理 ,農業 機械学会 シンポ ジウム 「日本型 プ レシジ ョ ンファー ミングを考 える」,農業機械学会 , p.31-44. 29)孫麗女亜・上野正実 ・秋永孝義 ・永田雅輝 ・ 川満 芳信 (1998):サ トウキ ビの生産支援 情報 システム構築 に関す る研究 ,農業機械 学会誌 ,第60巻第5号,p.27-35. 30)南大東村糖 業技術連絡協議会 (1984):南 大東村の土壌. 31)南大東村 (1986):南大東村におけるグ リー ンハーべ スタ導入の試み とその評価. 32)南大東村 ・琉球大学農学部農業機械学研究 室 (1988):南大東村におけるグ リーンハー ベスタ導入の試み とその評価 (Ⅱ). 33)南大東村役場 (1994):村勢要覧

図 9 生産支援情報システムの基本概念 られ る糖度 ,収量 な どをデー タベー ス化 して活 用す る情報 システ ムを設計 し,南大東 島お よび 石垣 島を対象 にモデル システムを開発 した。 (2)GI Sへの拡張 圃場 の生産能力 の評価 は土地 に付随 した各種 情報 の解析 に よって行 うので ,GI S ( 地理情報 システム)の利用 が効果的である.本研究では, 以前 に作成 した数値デー タ中心のデー タベー ス を GI S に展 開 し圃場生産能力 を評価す るシステ ムの開発

参照

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