労働市場からみたイギリスのエスニック・マイノリティ
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(2) 問 が 加 え ら れ た 。1981年. の 国 勢 調 査 で は エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 把 握 の た め に 世 帯 主 の エ ス. ニ シ テ ィ で 世 帯 員 の エ ス ニ シ テ ィ を 代 表 さ せ る方 法 が 採 ら れ た5。 こ の 方 法 も 二 世 が 独 立 し た 世 帯 を も つ よ う に な り有 効 性 を 失 う。 結 局 、1991年. の 国 勢 調 査 が は じめ て 個 人 の エ ス ニ シ テ ィ を 回. 答 す る よ う求 め た6。 エ ス ニ シ テ ィ の 定 義 が 出 生 地 主 義 か ら個 人 の 自 己 認 識 に よ る も の に 変 化 し た こ と は、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ に た い す る政 策 が 移 民 政 策 中 心 の も の か ら、 住 宅 、 教 育 、 雇 用 、 保 健 ・医 療 な ど 国 内 の 社 会 政 策 に 移 っ た こ と と も対 応 して い る。 で は 、1991年. 国 勢 調 査 で は 、 人 々 は ど の よ う に 自身 の エ ス ニ シ テ ィ を 申 告 す る よ う に 求 め ら れ. た の で あ ろ う か 。 国 勢 調 査 や 他 の 公 的 調 査 に お け る 分 節 化 の 方 法 そ れ 自体 が 政 策 的 な 意 味 合 い を も っ て い る 。 表1に1991年 リス の住 民 は まず. 国 勢 調 査 で 利 用 さ れ た 分 類 を 示 し た 。 表 か ら あ き ら か な よ う に、 イ ギ. 「白 人 」 か 「非 白 人 」 か に 大 き く分 け ら れ 、 「非 白 人 」 は 、 さ ら に 「黒 人 」、 イ. ギ リ ス で 一 般 的 に 「エ イ ジ ィ ア ン(Asian)」. と 呼 ば れ る イ ン ド亜 大 陸 の 出 身 者 、 中 国 系 お よ び そ. の 他 に 分 け ら れ 、 さ ら に 詳 細 に そ れ ぞ れ の エ ス ニ シ テ ィ を 問 う と い う構 造 に な っ て い る。 こ の 分 類 方 法 が イ ギ リス に お け る エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ の 定 義 を 明 確 に 示 し て い る 。 イ ギ リ ス で 「エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ」 と い う 用 語 は 、 主 に新 英 連 邦 諸 国 お よ び パ キ ス タ ン の 出 身 者 と そ の 子 孫 を 指 す 言 葉 と して 使 わ れ て い る7。 こ れ ら に、 そ の 他 の マ イ ノ リ テ ィ ・ グ ル ー プ の 出 身 者 を 加 え て 、 先 に あ げ た エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ人 口5.5%と. な る。 「白 人 」 と 分 類 さ れ る 人 々 の. 多 く は 自身 が マ イ ノ リ テ ィ ・グ ル ー プ に 属 す る と は 意 識 し に く い 構 造 に な っ て い る 。 調 査 で は 「白 人 」 の 中 の エ ス ニ シ テ ィ、 た と え ば ア イ ル ラ ン ド系 、 ユ ダ ヤ 系 な ど に つ い て は 全 く 問 題 と さ れ て い な い 。 こ の こ と は 、 「白 人 」 の あ い だ に エ ス ニ シ テ ィ に よ る 社 会 的 不 公 正 が な い と い う こ と を 意 味 し な い8。 ま た 、 現 在 で は、 国 勢 調 査 に お い て 一 括 さ れ た グ ル ー プ 中 に お け る さ ま ざ ま 文 化 的 な差 異 に着 目 した研 究 の 必 要 性 が強 調 さ れ て い る。 以 上 の よ うな問 題 点 が あ る こ とを指 摘 し た 上 で 、 本 稿 で は 、1991年. 国 勢 調 査 で利 用 さ れ た エ ス ニ ッ ク ・グル ー プの 分 類 を利 用 す る。. Ⅱ移 民 第 一 世 代 とイ ギ リス労 働 市 場 イ ギ リス 本 国 に 到 着 す る 新 英 連 邦 と パ キ ス タ ンか ら の 移 民 の ピ ー ク は 、1950年. 代 と60年 代 の20. 年 間 だ っ た 。 よ り詳 細 に み れ ば ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 の 移 動 の ピ ー ク は 「エ イ ジ ィ ア ン」 の そ れ よ り も や や 時 期 が 早 い 。 ま た 「エ イ ジ ィ ア ン」 の 移 民 に は 、 最 初 に 成 人 男 性 労 働 者 が イ ギ リ ス に 移 住 し、 後 に 家 族 が 合 流 す る と い うパ タ ー ンが 多 く、 男 女 で も イ ギ リ ス 入 国 の ピ ー ク が 異 な る。 労 働 力 移 動 に は イ ギ リス経 済 の状 況 と い うプ ル要 因 と移 民 の 出身 地 の 貧 困 とい う プ ッシ ュ要 因 が 働 い た 。 移 民 法 の 改 正 が 撹 乱 要 因 と な っ て い る もの の1955年. か ら60年 代 後 半 に お け る ア フ ロ ・カ. リ ビ ア ン の 純 移 入 と イ ギ リス の 失 業 者 数 の 逆 相 関 関 係 は 明 確 で あ る9。 一 方 、 「エ イ ジ ィ ア ン」 の 移 民 パ タ ー ン は イ ギ リ ス経 済 の 変 動 に ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン ほ ど に は 感 応 的 で は な か っ た1° 。 移 民 第 一 世 代 が エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ人 口 の 中 心 だ っ た1970年 代 初 め 頃 、 彼 ら は労 働 市 場 に ど の よ う に 位 置 づ け ら れ て い た の で あ ろ うか 。 表Ⅱ は1971年. の国勢 調 査 に も とつ い て、 エ ス ニ. シ テ ィ別 の 職 業 レ ヴ ェ ル 別 分 布 を 示 して い る 。 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ全 体 に つ い て い え る こ.
(3) . 表 I 1991年 国 勢 調 査 で 使 用 さ れ た エ ス ニ シ テ ィ分 類. 白 人 (white) 黒 人 一 カ リ ビ ア ン (Black-Caribbean) 黒 人 一 ア フ リ カ ン(Black-African) 黒 人 一 そ の 他 (Black-Other) イ ン ド系(Indian) パ キ ス タ ン系(Pakistani) バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系(Bangladeshi) 中 国 系(Chinese) そ の 他 の エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ(Any . other ethnic group). sources: Coleman . and Salt,1992, . p.477.. 表Ⅱ エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 職 業 レ ヴ ェ ル 別 分 布,1971年 (そ れ ぞ れ の 就 業 者 に た い す る 割 合) 男 性 (単 位 %) グ レ ー ト ブ リ テ ン全 体. ア. フ. ロ. ・. カ リビア ン系. イ. ン. ド. 系. パ キ スタ ン系. 職. 5. 1. 10. 3. 者. 13. 2. 6. 4. そ の 他 の ホ ワ イ トカ ラ ー 職. 18. 8. 16. 5. (36). (11). (32). (12). 者. 40. 45. 32. 25. 専 雇. 門 用. (ホ. 者. ワ イ. 熟. ・ 経. 営. ト カ ラ ー 合 計). 練. 労. 働. 半. 熟. 練. 労. 働. 者. 16. 27. 24. 38. 不. 熟. 練. 労. 働. 者. 8. 17. 13. 25. (ブ. ル ー カ ラ ー 合 計). (64). (89). (69). (88). 女性 (単位 %) グ. レ. ー. ト. ブ リテ ン 全 体. ア. フ. ロ. ・. カ リ ビ ア ン系. イ. ン. ド 系. パ キ ス タン系. 職. 1. 0. 4. 7. 者. 5. 1. 3. 4. そ の 他 の ホ ワ イ トカ ラ ー 職. 50. 40. 44. 46. (56). (41). (51). (57). 者. 8. 9. 10. 12. 専 雇. (ホ. 門 用. 者. ワ イ. 熟. ・ 経. 営. ト カ ラ ー 合 計). 練. 労. 働. 半. 熟. 練. 労. 働. 者. 27. 43. 34. 29. 不. 熟. 練. 労. 働. 者. 8. 8. 6. 3. (ブ. ル ー カ ラ ー 合 計). (43). (60). (50). (40). 男 性,女 sources:富. 性 と も に 小 数 点 以 下 を 四 捨 五 入 す る た め に 合 計 が 必 ず し も100に 岡,1988, . p.319-320.. な らな い。.
(4) とは、 男 性 労 働 者 は ブル ー カ ラ ー労 働 者 、 な か で も半 熟 練 あ る い は不 熟 練 労 働者 の割 合 が 高 い こ とで あ る。 これ は、 ア フ ロ ・カ リ ビア ン系 を は じめ とす る移 民 が そ の 移 動 の は じめ か ら 「代 替 労 働 力(replacement . labour)」 と して、 イ ギ リス生 まれ の 労 働 力 を十 分 に獲 得 す る こ と が で き. なか った 分 野 に導 入 され た経 緯 を 考 え れ ば 当然 の結 果 で あ る。 他 方 、 ホ ワイ トカ ラー職 に お け る ア フ ロ ・カ リ ビア ン系 、 パ キ ス タ ン系 割合 の少 な さ が 目立 って い る。 エ スニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ の中 で はイ ン ド系 男 性 の 職業 分 布 は特 異 で あ る11。 女 性 の 場 合 も全 体 の 労 働 力構 成 と比 較 す れ ば、 ブル ー カ ラ ー職 の 割 合 が高 い もの の(特 に、 ア フ ロ ・カ リ ビア ン系)、 同 じエ ス ニ ック ・グ ル ー プの 男 性 と比 較 す れ ば、 ホ ワ イ トカ ラー 労 働 者 の割 合 が 高 い 。 これ は、 看護 婦 が エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィの 女性 の職 業 と して定 着 した ことが 大 きな要 因 で あ る。 看 護 婦 は、 特 に第2次 世 界 大 戦 後 人 手 不 足 に悩 ん だ職 種 で あ る。 一 方 、 パ キ ス タ ン系 の女 性 に つ い て は表 を み る際 に注 意 が必 要 で あ る。 イ ン ド亜 大 陸 か らの移 民 は初 期 に お いて女 性 の数 が少 な か った。 加 え て、 イ ギ リス に居 住 す る 「エ イ ジ ィア ン」、 特 に、 パ キ ス タ ン、 バ ング ラデ ッ シ ュ系 の女 性 の労 働 力率 そ れ 自体 も低 い の で、 表 に示 さ れ て い る の は少 数 の女 性 た ち に つ い て の統 計 で あ る。 この表 を もと に、 パ キ ス タ ン系 の女 性 の就 業 を、 ア フ ロ ・カ リ ビア ン 系 の女 性 の そ れ と比 較 す る こ とは無 意 味 で あ る。 以 上 ま とめ て み れ ば、1970年 代 は じめ の頃 の エ ス ニ ック ・マ イ ノ リテ ィの職 業 分 布 は、 移民 を 代替 労 働 力 と して利 用 した こ とに強 く規 定 され て い た こ と が わ か る。 具 体 的 に は、 男 性 労 働 者 で は ア フ ロ ・カ リビア ン系 の運 輸 通 信 、 鉄 道 、 機 械 ・金 属 産 業 、 イ ン ド、 パ キ ス タ ン系 の繊維 工 業、 衣 料産 業 、 ア フ ロ ・カ リビア ン系 女 性 労 働 者 の看 護 婦 な ど が、 移 民 第 一 世 代 の代 表 的職 業 で あ っ た12。 そ の後 の イ ギ リス経 済 の変 化 は、 エ ス ニ ック ・マ イ ノ リテ ィの雇 用 を どの よ うに変 化 させ た の で あ ろ うか。 戦 後 、 と りわ け1970年 代 以 降 に イ ギ リス経 済 に起 こっ た変 化 は、 製 造 業 部 門 に お け る雇 用 の減 少 とサ ー ビス部 門 で の雇 用 増 加 、 大 都市 圏以 外 の地 域 で の雇 用 の増 加 と大 都 市 の空 洞 化 、 そ して1980年 代 の イ デ オ ロ ギ ーの 変 化 の三 点 に ま と め る こ とが で き る。 1970年 代 か らあ き らか に な りつ つ あ った 製造 業 分 野 に お け る雇 用 の減 少 は、1979年 以 降 明確 な もの と な って い く。 製 造 業 の な か で も、 繊 維 、 自動 車 製 造 、 金 属 加 工 な どの減 少 率 が 大 き く、 平 均 す る と1979年 か ら1988年 の10年 間 に年 に5%前. 後 ず つ減 少 して い る。 代 わ りに雇 用 が 増 大 して. い る分 野 は第3次 産 業 分 野、 な か で も銀 行 、 保 険 な ど金 融 関 連 で あ り、 金 融 業 に お け る雇 用 は79 年 ∼88年 の あ い だ に年 平 均3.4%増 加 して い る。 同 じ第3次 増 加 率 年 一1.2%)、 公 務 お よ び防 衛(-0.7%)、. 産 業 で も、 運 輸 通 信(同. 期 間 の雇 用. 教 育 お よ び保 健 サ ー ビス(+1.1%)の. よ うに雇. 用 が 減 少 あ る い は ほ とん ど増 加 して い な い産 業 分 野 もあ った。 また、 電 力 ・ガ ス ・水 道 供 給(4.3%)、 建 設(−1.9%)な. ど も雇 用 が 減 少 した 分 野 で あ る13。1980年代 に はま た、 経 営 者 が 労 働. 者 に求 め る資 質 も、 産業 構 造 と と もに変 化 した。 サ ー ビス業 の拡 大 と、 規 制 緩 和 に よ る競 争 の 激 化 の た め に、 「柔 軟 性 の あ る労 働 力 」 が 求 め られ 、一 部 の 企 業 で は顧 客 へ の サ ー ビス や コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 が 採 用 の 際 に重 視 され るよ うに な った。 衰 退 産 業 に多 く雇 用 され て い た エ スニ ッ '1['A.
(5) ク ・マ イ ノ リテ ィ は産 業 構 造 の 変 化 を強 く受 け た上 に、 よ りよ い雇 用 を確 保 す る た め に は経 営 者 が 求 め る資 質 の 変 化 につ いて も対 応 しな け れ ば な らなか っ た。 経 済 構 造 の 変 化 は、 雇 用 の地 理 的 分 布 も変 化 させ た。 こ れ もエ ス ニ ック ・マ イ ノ リテ ィに不 利 な 影 響 を与 え た。1971年 、 グ レー トブ リテ ン全 体 で み る と七 大 都 市 圏 に住 む 人 口 の割 合 が33%程 度 で あ る の に た い して 、 エ ス ニ ック ・マ イ ノ リテ ィ人 口で は50%か. ら75%に. ま で 達 して い る14。. そ こ に、1950年 代 末 以 降 の 「雇 用 の都 市 一農 村 シ フ ト」 と呼 ば れ る現 象 が 生 じた。 ロ ン ドンお よ び大 都 市 圏 か ら製 造 業 が 離 れ 、 地 方 小 都 市 や農 村 部 に工 場 が移 転 さ れ、 雇 用 が 大 都 市 部 か ら流 出 した。 最 大 の空 洞 化 を経 験 した の は、 大 都 市 圏 で あ っ た。 ま た、 同 じ大 都 市 圏 にお い て も、 イ ン ナ ー ・シ テ ィ と外 延 部 とで は様 相 が 大 き く異 な っ て い る。 「雇 用 の都 市 一農 村 シ フ ト」 の 影 響 を 最 大 限 に受 け た の は ロ ン ドンと大 都 市 圏 の イ ンナ ー ・シ テ ィ部 分 で あ った。 小 売 業 や オ フ ィス も ロ ン ドンや 大 都 市 圏 よ りは地 方 に お い て成 長 が 著 しい(表 皿)。1951年 か ら81年 ま で の あ い だ に イ ンナ ー ・シ テ ィか ら約100万 の製 造 業 にお け る雇 用 と25万 の サ ー ビス業 に お け る 雇 用 が 失 わ れ た15。地 方 小 都 市 な ど で は、 製 造 業 に お け る雇 用 の増 加 と と もに サ ー ビス業 、 公 共 サ ー ビス の 分 野 に お い て も雇 用 が増 大 した。 大 都 市 圏 以 外 の都 市 や大 都 市 外 延 部 に お い て も、 サ ー ビス業 と公 共 サ ー ビス に お け る雇 用 の拡 大 が 、 製 造 業 に お け る雇 用 の減 少 を補 う こ とが で き た。 しか し、 イ ンナ ー ・シ テ ィは製 造 業 の み な らず サ ー ビス業 、 公 共 サ ー ビス に お い て も雇 用 が減 少 した。 雇 用 の減 少 とほ ぼ比 例 して人 口 も減 少 した の で あ る が、 そ の過 程 で職 業 遂 行 上 の能 力 ば か りで な く、 年 齢 、 性 別 、 そ して エ ス ニ シテ ィの上 で社 会 経 済 的 に不 利 な立 場 に立 た さ れ た人 々 が イ ンナ ー ・ シ テ ィに残 さ れ、 結 果 と して イ ンナ ー ・シテ ィは失 業 率 の高 さ とエ スニ ッ ク ・マイ ノ リテ ィ世 帯、 お よ び シ ング ル ・ペ ア レ ン ト世 帯 の割 合 の高 さ に よ って特 徴 づ け られ る地域 とな った。 イ ンナ ー ・ シ テ ィに お け る貧 困 の蓄 積 過 程 を ム ー ア は 図1の よ うに示 した。 経 済 、 社 会 政 策 を支 え る政 府 の イ デ オ ロギ ー の変 化 が エ ス ニ ック ・マ イ ノ リテ ィを め ぐ る政 策 に与 え た影 響 も無 視 す る こ とは で きな い。1960年 代 と70年 代 に支 配 的 だ った イ デ オ ロギ ー は、 国 家 が 経 済 の安 定 と成 長 の ため に さ ま ざ ま な介 入 を行 う こ とを是 と した 。1970年 代 は、 ジ ェ ンダ ー 問 の平 等 を 目指 した 同一 賃 金 法(Equal Pay Act,1970)や Act,1975)と. 性 差 別 禁 止 法(Sex Discrimination. と もに、1964年 の 人 種 関 係 法(Race Relations Act)を. さ らに強 化 した 同 名 の 法. 表Ⅲ 地 域 別 雇 用 の変 化1951-81年 (単 位 千 人) 製 イ ン ナ ー. ・ シ テ ィ. 造. 業. −1018. . . サ ー ビス業. . 公共 サ ー ビ ス. −210. −40. 部. −613. +372. +326. 大都市 圏以外 の都市. −425. +212. +201. 小 都 市. +225. +1854. +1185. 都. 市. 外. 延. ・ 農 村. sources:Moore, . 1992, . p.120.
(6) 図 I イ ンナ ー ・シ テ ィにお ける 貧 困 の 蓄 積 過 程. 大 都 市 の衰 退 「構 造 的 変 化 」 と雇 用 と人 口の 「 都 市 一農 村 シ フ ト」. 「イ ンナ ー ・シ テ ィ」 の経 済 の相 対 的衰 退: 衰退 の 「乗 数 効 果」 と有 機 的関 連. 社 会 経 済 的 に不 利 な人 々 の 「イ ン ナ ー ・シテ ィ」 へ の集 中: 住宅 市場 と労 働 市場 の相 互 作 用. 労働市場 と不 動産市 場の不完全 な対応: 外部不経済 のために住宅や工場 が放棄 され、減少す る. 公 共 サ ー ビス と公共 住宅 へ の需 要 の 高 ま り. 地 元 企 業 の 縮 小 と他 所 へ の移 転:新 規 企 業 は こ の 地 域 に は 立 地 しな い。 投 資 は他 所 に た い して行 わ れ る:移. 転できる. 人 口 の流 出 。 地 域 格 差 の拡 大. sources: Moore,1992, . 律 が1976年. に 成 立 し た(そ. の 一 方 で 、1971年. p.122. に は移 民 法 が 改 正 さ れ 、 国 籍 に パ ト リ ア ル 条 項 が つ. け 加 わ る、 と い っ た 人 種 差 別 的 な 性 格 の 強 い 法 律 が 制 定 さ れ て い る)。 こ の 時 期 の エ ス ニ ッ ク ・ マ イ ノ リテ ィ に た い す る イ デ オ ロ ギ ー は 、 「肌 の 色 の 差 に 目 を つ む っ た 友 愛 主 義(colour-blind fraternity)」. と名 付 け る こ と が 可 能 で あ る。 こ の イ デ オ ロ ギ ー の も と で は 、 エ ス ニ シ テ ィ に よ. る 文 化 の 差 を 表 面 的 に は 認 め、 文 化 に 対 応 す る た め の 例 外 規 定 、 た と え ば 礼 拝 の た め の 時 間 を 就 業 中 に と る と い っ た こ と を す す め た。 しか しそ の 対 応 は 場 当 た り的 で あ り、 ま た差 別 を 偏 見 を 持 っ た 個 人 の 所 業 と し、 後 に 問 題 と な る制 度 的 ・組 織 的 差 別 に 目 を つ む っ た 。 「文 化 の 差 」 を 認 め る 背 景 に は 互 い に 寛 容 な コ ミ ュ ニ テ ィ を 想 定 して い た な ど 、 統 合 論 的 発 想 が 背 後 に あ っ た 。 1980年 代 の 都 市 騒 擾 は 「 肌 の色 の差 に 目を つ む った友 愛 主 義 」 の 破 産 宣 告 で あ った。 と同 時 に 国 家 に よ る 介 入 主 義 も 終 わ り を つ げ た 。 「友 愛 主 義 」 は、 機 会 の 平 等 で は な く結 果 の 平 等 を 重 ん.
(7) じ》 エ ス ニ ック ・マ イ ノ リテ ィにか か わ る問 題 を さ らに政 治 化 させ よ うす る左派 イデ オ ロギ ーと、 個 人 の 自 由 な利 益 追 求 を是 と し、 市 場 の解 を最 上 の解 とす る ニ ュ ー ラ イ ト ・イ デ オ ロ ギ ー と に両 極 分 化 した。 ニ ュ ー ラ イ ト ・イ デ オ ロ ギ ー に よ れ ば、 エ ス ニ シテ ィに よ る差 別 は 自 由市 場 の 阻 害 要 因 で あ るが 、 特 定 の エ ス ニ ック ・グ ル ー プ の権 利 を擁 護 した り、 集 団 と して の利 益 を追 求 す る こ と も市 場 を阻 害 す る こと に な る。 主 体 は あ くま で も個 人 で な け れ ば な らな い。 と は いえ 、 先 鋭 化 す る左 右 の イ デ オ ロ ギ ー とは別 に、1980年 代 は多 くの企 業 が、 雇 用 の平 等 を達 成 す る た め の公 式 の措 置 を採 り始 め た時 期 で もあ った。 企 業 は、 将 来 の法 的 問題 に た いす る保 険 と して、 あ る い は雇 用 平 等 に熱 心 と い う企 業 イ メ ー ジの た め な ど に雇 用 平 等 政 策 に積 極 的 に な っ た。 この 動 き は 1990年 代 に な る と よ り明確 に な り、 再 び雇 用 平 等 政 策 が政 治 の課 題 と して 重 視 さ れ る よ う に な っ た。 そ れ は1970年 代 の介 入 主 義 に戻 る の で は な く、 市 場 を基 礎 と した社 会 の な か で そ れぞ れ の満 足 を最 大 化 す る こと を可 能 に す る ため 国家 が個 人 の権 利 を擁 護 す るべ き とす る の が、 そ の基 本 で あ り、 主 た る イ ギ リス の政 党 に共 通 した考 え方 で あ る16。この よ うな経 済 構 造 と イ デ オ ロギ ー の 変 化 は、 エ ス ニ ック ・マ イ ノ リテ ィの労 働 市 場 に お け る位 置 に どの よ うな変 化 を もた ら しの で あ ろ うか。. 皿 1990年 代 に お け る エ ス ニ シ テ ィ と 労 働 市 場 皿 一1 . 労 働 力 参 加 率 と失 業 率 … エ ス ニ ッ ク ・ グ ル ー プ に よ っ て 異 な る 労 働 供 給 行 動. 本 節 で は、1991年. 国 勢 調 査 に 示 さ れ た 労 働 力 参 加 率(Labour . Force Participation . Rate)と. 失 業 率 を、 男 女 別 、 エ ス ニ ック グル ー プ別 に検 討 す る こ とに よ って、 エ ス ニ シ テ ィお よ び ジ ェ ン ダ ー が 労 働 市 場 へ の 参 加 に ど の よ う な 影 響 を 与 え る か を 検 討 しよ う。 こ こ で い う 「労 働 力 参 加 率 」 は労 働 可 能 年 齢(男 失 業 中 の も の)割. 性16歳. ∼64歳 、 女 性16歳. ∼59歳)の. う ち 労 働 市 場 に 参 加 し て い る(就. 合 で あ る。 グ レー ト ・ ブ リテ ン 全 体 で み れ ば 、 男 性88.2%、. 女 性70.6%と. 業者 と なっ. て い る。 こ れ を エ ス ニ シ テ ィ別 に み た の が 表Ⅳ-1で. あ る。 表 か ら エ ス ニ ッ ク ・ グ ル ー プ に よ っ て 労 働. 力 参 加 率 に 大 き な 差 が あ る こ と が わ か る。 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ の 男 性 は. 「白 人 」 男 性 よ. り も い ず れ も労 働 力 参 加 率 が 低 い 。 こ の 理 由 の ひ と つ と して 、 義 務 教 育 終 了 後 学 校 に と ど ま る若 年 層 の 割 合 が エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ に よ っ て 異 な る こ と が あ げ られ る。 ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 、 イ ン ド系 あ る い は 中 国 系 は16歳 以 降 学 校 に と ど ま る 割 合 が 高 い 。 一 方 、 パ キ ス タ ン系 、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 な ど は 労 働 力 参 加 率 も 低 い が 、 学 校 に 残 る 割 合 も少 な い17。 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ の 子 供 た ち に と っ て 義 務 教 育 を 越 え て 学 校 に通 う こ と は ど の よ うな 意 味 を も っ て い る の で あ ろ う か 。 確 か に、 学 歴 を 高 め る こ と に よ って よ り よい 職 を 目指 す と い う側 面 が あ る こ と は見落 と して は な らな い 。 しか し エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ に と っ て 長 期 の 学 校 教 育 が 必 ず し も高 い 資 格 や よ り よ い 仕 事 に 結 び つ くわ け で は な い 。 学 校 に と ど ま る こ と が 、 職 探 し に 失 敗 し失 業 者 と な る こ と の 代 替 と して 利 用 さ れ て い る と い う側 面 も あ る 。 女 性 で は ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 の 女 性 の 高 い 労 働 力 参 加 率 と 、 パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ.
(8) 表Ⅳ-1 . 主 なエ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ別 労働 力 参 加 率. (単 位 %) エ ス ニ ック ・グ ル ー プ. 「 白. 人. 男. 」. 性. 女. 性. 882. 71.4. ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン 系. 87.5. 75.7. イ. 系. 82.8. 61.1. 系. 76.0. 28.6. バ ン グ ラ デ ッ シ ュ系. 74.7. 22.4. 中. 系. 72.9. 57.6. 体. 88.2. 70.6. パ. ン キ. ド. ス. タ. ン. 国. 人口 sources: . 全 Mason, . 1995, p.46. 表Ⅳ-2 . 主 な エ スニ ッ ク ・グ ル ー プ別 失 業 率 1991年 平 均. (単 位 %) エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ. 「 白. 人. 」. 男. 性. 女. 性. 10.7. 6.3. ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系. 23.8. 13.5. イ. 系. 13.4. 12.7. 系. 28.5. 29.6. バ ング ラ デ ッ シ ュ系. 30.9. 34.5. 中. 系. 10.5. 8.3. 体. 11.2. 6.8. パ. 人. ン キ. ド. ス. タ. 国 口. 全. ン. sources: Mason, 1995, p.50 系 の 低 い 労 働 力 参 加 率 が 対 照 的 で あ る。 女 性 の 労 働 力 参 加 率 の 差 は 「家 事 と 育 児 に お け る 女 性 の 役 割 に か ん す る文 化 の 差 異 」 に よ っ て 説 明 さ れ る こ とが 一 般 的 で あ る。 そ れ ぞ れ の エ ス ニ ッ ク ・ グ ル ー プ の 女 性 に は 固 有 の イ メ ー ジ が つ き ま と っ て い る 。 ア フ ロ ・ カ リ ビ ア ン系 の 女 性 に は男 性 に 代 わ っ て 世 帯 の 中 心 的 な 所 得 獲 得 者 と し て 働 く 「母 系 家 族 」 の イ メ ー ジ18が あ る し、 パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 の 女 性 の 低 い 労 働 力 参 加 率 は 、 一 般 的 に は 、 イ ス ラ ム 社 会 に お け る女 性 の 行 動 規 範 か ら説 明 さ れ る19。 こ れ ら の 文 化 的 要 因 も女 性 の 労 働 力 参 加 率 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る で あ ろ う。 しか し、 失 業 率 を 比 較 す る こ と に よ っ て マ イ ノ リテ ィ ・グ ル ー プ の 女 性 の 低 い 労 働 力 参 加 率 につ いて 別 の 説 明 が 可能 に な る。 表Ⅳ-2は. エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ 別 の 失 業 率 を 示 した も の で あ る 。 男 女 と も に エ ス ニ ッ ク ・マ. イ ノ リテ ィ の 失 業 率 は 「白 人 」 の そ れ と 比 較 し て 明 確 に 高 い こ とが わ か る(唯. 一 の例 外 は中 国 系. 男 性)。 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィの 失 業 率 は ま た 、 景 気 変 動 に 非 常 に 感 応 的 で あ る こ と も知 ら れ て い る。 た と え ば 、80年 代 後 半 か ら の 景 気 回 復 期 に は 、 「白 人 」 全 体 の 失 業 率 の 回 復 よ り も エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ 全 体 の 回 復 の ほ う が 素 早 い も の の 、90年 代 に 入 っ て か ら の 景 気 後 退 期 に は 急 速 に 失 業 率 が 上 昇 す る。 こ の 期 間 を と お し て エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 失 業 率 は 景 気 に か か わ らず 、 「白 人 」 の 約2倍. で あ る20。エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ の 中 で も パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ. デ ッ シ ュ 系 は 男 女 と も に 労 働 市 場 の 中 で も っ と も不 利 な 立 場 に あ る 。 と く に 女 性 は 「白 人 」 女 性.
(9) に 比 べ て5倍. 前 後 の 失 業 率 で あ り、 そ れ ぞ れ 、 労 働 力 人 口 の30%前. 後 が 失 業 して い る 。 こ の よ う. な 状 況 の な か で 、 パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 の 女 性 が 、 労 働 市 場 に 参 加 し よ う と す る 意 欲 を 失 い 、 「非 労 働 力 人 口 」 と な る 道 を 選 ぶ こ と は 十 分 に 考 え ら れ る。 し か し、 そ れ は 所 得 獲 得 活 動 を あ き らめ た わ け で は な い 。 雇 用 労 働 者 と して 働 く こ と を あ き ら め て も可 能 な 所 得 獲 得 の 機 会 と は 、 自 宅 で 働 く こ と で あ る。 そ の 一 つ が エ イ ジ ィ ア ン に 多 い と い わ れ て い る 自 営 業 で あ る 。 他 の 一 つ が ホ ー ム ワ ー キ ン グ(home-working)と. 呼 ば れ る 自 宅 で の 内 職 労 働 で あ る21。 自 営 業 や 自. 宅 で の 内 職 活 動 は 、 失 業 率 の 高 さ と い う か た ち で あ らわ れ る 労 働 市 場 に お け る 不 公 正 を 回 避 す る と と も に 、 特 に 女 性 に と っ て は 通 勤 途 上 で 出 会 う か も しれ な い レ イ シ ス ト ら の 攻 撃 か らの が れ る 方 法 の 一 つ で もあ る。 エ スニ ック グル ー プの 労 働 力 参 加 率 を 検 討 す る と き、 制 度 的 お よび 物 理 的 な 人 種 差 別 の 側 面 を 見 逃 して は な らな い22。 一 方 、 パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 ほ ど で は な い に して も 、 や は り失 業 率 が 高 い ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 の 女 性 の 労 働 市 場 へ の 参 加 意 欲 が 非 常 に 高 い.。 雇 用 労 働 へ の 執 着 は エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ に よ っ て 大 き く異 な っ て い る 。 若 年 層 の 失 業 問 題 は1980年. 代 の 大 き な 社 会 問 題 の 一 つ で あ っ た 。 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の. 問 題 を 考 え る と き 、 若 年 層 の 失 業 は 特 別 の 意 味 を もつ 。 エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ に よ って そ の 比 率 は 異 な る も の の 、24歳 以 下 の エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ人 口 の 半 数 以 上 は イ ギ リ ス 生 ま れ 、 す な わ ち 二 世 、 あ る い は 三 世 で あ り、 イ ギ リ ス で 教 育 を 受 け た 人 々 で あ る 。 彼 らが 労 働 市 場 に お い て 受 け て い る 不 公 正 は 、 第 一 世 代 が 受 け た 不 公 正 と は 異 な り、 言 語 能 力 、 熟 練 度 や 資 格 、 職 探 し の 方 法 な ど で 説 明 す る こ と は で き な い23。 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ 出 身 の 若 年 層 に た い す る 労 働 市 場 で の 差 別 は 、 失 業 率 に 端 的 に あ らわ れ て い る 。16歳 か ら24歳 の 年 齢 層 に お け る1980年 (1987∼1989年)の. 平 均 失 業 率 は 、 「白 人 」 男 性 で13%、. 「白 人 」 女 性 で11%で. ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 若 年 層 で は 失 業 率 が そ れ ぞ れ 約1.5倍 と な っ て い る(個. 代後半. あ るが 、 エ ス ニ ッ 々 の エ ス ニ ッ ク ・グ. ル ー プ で は サ ン プ ル の 数 が 十 分 で な い 、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ全 体 の 若 年 層 の 失 業 率 は 男 性 22%、. 女 性19%)24。. 計 画(Youth . 労 働 市 場 の 不 公 正 は 、 政 府 が 若 年 者 の 雇 用 促 進 の た め に 行 っ た 「若 年 者 訓 練. Training Scheme, YTS)」. に もあ らわ れ て い る。 YTSの. 訓 練 生 の受 け入 れ に か ん. して 、 多 く の 企 業 は そ の エ ス ニ シ テ ィ に こ だ わ り、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ 出 身 の 訓 練 生 を 受 け 入 れ よ う と し な い か 、 あ る い は ご く少 数 し か 受 け 入 れ よ う と し な い 。 こ の 傾 向 が 特 に 強 い の は、 全 国 展 開 を して い る ス ー パ ー マ ー ケ ッ トや 小 売 店 、 一 部 の レ ジ ャ ー 産 業 な ど で あ る。 ま た 意 外 な こ と で あ る が 、 公 共 事 業 体 も エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ 出 身 の 訓 練 生 を 多 く受 け 入 れ て い る と は い え な い25。雇 用 者 側 の 採 用 差 別 な ど の 結 果 と し て 、YTSを. 終 了 し た 後 、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ. テ ィ の 青 年 は 「白 人 」 の 青 年 よ り も職 を 得 に く く、 失 業 者 と な っ た り、 失 業 を さ け て 再 び 教 育 機 関(フ. ル タ イ ム)に. 通 学 す る 道 を 選 ん だ りす る 。. そ れ ぞ れ の エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ の 労 働 市 場 の な か に お け る位 置 づ け に つ い て は 、 皿 一2で. 検. 討 す るが 、 そ の前 に、 労 働 力 参 加 率 と の関 連 で、 雇 用 労 働 者 の な か に しめ るパ ー トタイ マ ー に つ い て 検 討 し て お き た い 。1991年. 時 点 で グ レ ー ト ・ ブ リテ ン に お い て 、 約430,000人. マ ー と して 雇 用 さ れ て い た 。 う ち 、 約90%が. が パ ー トタイ. 女 性 で あ る。 女 性 労 働 者 中 に 占 め る パ ー ト タ イ マ ー.
(10) の 比 率 は 、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ女 性 の 労 働 に つ い て 興 味 深 い 事 実 を 示 し て い る。1991年 お け る 「白 人 」 女 性 労 働 者 の パ ー トタ イ マ ー 比 率 は37%で 性 労 働 者 の な か で は そ の 比 率 は20∼25%と. に. あ る。 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ の 女. か な り低 く な っ て い る26。彼 女 た ち が パ ー ト タ イ ム 雇. 用 を あ え て 選 択 しな い の か 、 あ る い は パ ー ト タ イ ム 雇 用 に 参 入 で き な い の か は 、 こ の 資 料 だ け か ら は 不 明 で あ る。 女 性 の 労 働 供 給 に か ん す る実 証 研 究 、 イ ギ リス に お け るパ ー ト タ イ ム 雇 用 の 現 状 な どの 実 態 を検 討 す る必要 が あ る。. 一2 . エ ス ニ シ テ ィ と労 働 市 場 の 分 Ⅲ断. Ⅱ に お い て 検 討 し た 労 働 市 場 に お け る エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 状 況 は 、1970、80年 化 した の だ ろ う か 、 変 化 した と す れ ば 、 ど の よ う に 変 化 し た の で あ ろ うか 。 を 利 用 して 現 在 に 近 い と こ ろ の 状 況 を 検 討 し よ う(表Ⅴ)27。. 代 に変. 次 に、 最 近 の調 査. ち な み に こ の 統 計 で は 「白 人 」 に つ. い て も 職 業 レ ヴ ェ ル 別 分 布 が 得 ら れ る が 、 そ の 結 果 は グ レ ー ト ・ブ リ テ ン全 体 と ほ とん ど 同 じで あ る。 グ レ ー ト ・ ブ リテ ン全 体 と して 、 こ の20年 間 に お い て 就 業 構 造 に 起 こ っ た 変 化 の な か で も っ と も特 徴 的 な こ と は 、 イ ギ リス 経 済 の 構 造 変 化 と連 動 して 、 男 女 と も に ブ ル ー カ ラ ー 職 か ら ホ ワ イ トカ ラ ー 職 へ と移 行 し た こ と で あ る 。 各 エ ス ニ シ テ ィ 、 お よ び 男 女 別 の 就 業 構 造 も、 こ の 全 体 の 流 れ を 反 映 し、 ホ ワ イ トカ ラ ー 職 へ と移 行 し て い る。 しか し、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ と 全 体 と の 差 は 相 変 わ らず 明 確 に 残 っ て い る し、 エ ス ニ シ テ ィ ご と の 差 も あ き らか で あ る 。 ま ず 、 男 性 か ら み よ う。 全 就 業 者 中 に ホ ワ イ トカ ラ ー が 占 め る 割 合 は 、 全 体 と エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の あ い だ に 大 き な 差 が あ る し、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィの な か で も、 イ ン ド系 と そ の 他 の あ い だ に は 歴 然 と し た 差 が あ る。 こ の 差 は 主 と して 、 雇 用 者 ・経 営 者(企. 業 規 模 を 問 わ ず). の 割 合 の 差 を 反 映 し て い る。 イ ン ド系 を 除 い て 、 雇 用 者 ・経 営 者 の 地 位 に つ い て い る エ ス ニ ッ ク ・ マ イ ノ リ テ ィ は少 な い し、 特 に 大 企 業 に そ の 傾 向 が 強 くみ られ る 。 ま た イ ン ド系 の 人 々 は 「専 門 職 」 に 好 ん で 就 く傾 向 が み ら れ る 。 男 性 労 働 者 の な か で も っ と も威 信 の 低 い 職 業 に集 中 して い る の は 、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 で あ る 。 彼 ら の3分. の2は. 半 熟 練 労 働 に つ き、 ブ ル ー カ ラ ー 労 働 者 の. 割 合 は 同 様 に 高 い ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 、 パ キ ス タ ン系 が あ る 程 度 、 熟 練 労 働 者 や 監 督 と な っ て い る との 好対 照 で あ る。 次 に 、 女 性 労 働 者 で あ る 。 労 働 力 調 査 は 、 サ ン プ ル 調 査 で あ り、 サ ン プ ル 数 は6000名 程 度 と決 し て 多 くな い 。 そ の ため バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 の 女 性 は 十 分 な サ ンプ ル 数 を 集 め る こ と が で き ず 、 空 欄 と な っ て い る 。 表Ⅴ が 示 す よ う に 、 雇 用 者 ・経 営 者 あ る い は専 門 職 に就 く女 性 が エ ス ニ シ テ ィ を と わ ず 、 全 体 と して 少 な く、 「そ の 他 の ホ ワ イ ト カ ラ ー 」 に 集 中 して い る た め に 、 こ の よ う な 統 計 の と り か た で は 男 性 ほ ど に は エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ 別 の 差 が 目 だ た た な い 。 こ れ は 女 性 労 働 者 は 「ジ ェ ン ダ ー に よ っ て す で に 差 別 を 受 け て い る の で 、 エ ス ニ シ テ ィ に よ っ て さ ら に つ け 加 わ る 不 利 は 小 さ い 」28か ら と い う見 解 も あ る 。 と は い え 、 子 細 に 検 討 す れ ば 、 エ ス ニ シ テ ィ に よ る 差 が な い わ け で は な い。. 雇 用 者 ・経 営 者 に は エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ は 少 な く、 ブ ル ー カ ラ ー.
(11) 表Ⅴ エ ス ニ ック ・マイ ノ リテ ィの 職 業 レヴ ェル 別 分 布,1988-1990年 (そ れ ぞ れ の就 業 者 に た い す る割 合) 男 性 (単 位 %) グ レ ー トブ. ア フ ロ ・カ. リテ ン全 体. リ ビ ア ン系. イ ン ド 系. パ. キ. ス. バ. タ. ン. 系. デ ッ シ ュ系. ン グ ラ. 雇 用 者 ・経 営 者(大. 企 業). 13. 5. 9. 4. 1. 雇 用 者 ・経 営 者(小. 企 業). 7. 3. 5. 4. 5. 職(被 用 者). 7. 4. 10. 4. 6. そ の他 の ホ ワ イ トカ ラ ー. 20. 19. 18. 16. 14. (47). (31). (42). (28). (28). 熟練労 働 者 お よび監 督. 32. 39. 29. 34. 5. 半. 熟. 練. 労. 働. 者. 15. 23. 24. 31. 65. 未. 熟. 練. 労. 働. 者. 4. 6. 4. 6. 5. 計. 51. 68. 57. 71. 75. 軍 隊 ・記 述 の 不 明 確 な もの. 1. 1. 0. 1. 0. 専. (ホ. ブ. 門. ワ イ ト カ ラ ー 合 計). ル. ー. カ. ラ. ー. 合. 女性 (単位 %) グ レ ー トブ. ア フ ロ ・カ. リテ ン 全 体. リ ビ ア ン系. イ ン ド系. パ. キ. ス. バ. タ. ン. 系. デ ッ シ ュ系. ン グ ラ. '. 雇 用 者 ・経 営 者(大. 企 業). 6. 5. 4. 1. *. 雇 用 者 ・経 営 者(小. 企 業). 4. 2. 2. 3. *. 職(被 用者). 2. 1. 4. 0. *. そ の他 の ホ ワ イ トカ ラー. 55. 54. 47. 42. *. (67). (62). (57). (46). 5. 4. 5. 7. 専. (ホ. 門. ワ イ ト カ ラ ー 合 計). 熟練 労働 者 お よ び監 督. *. 半. 熟. 練. 労. 働. 者. 22. 25. 34. 45. 未. 熟. 練. 労. 働. 者. 7. 9. 4. 2. (ブ. ル ー カ ラ ー 合 計). (34). (38). (43). (54). 0. 0. 0. 0. 軍 隊 ・記 述 の不 明 確 な もの. *サ. *. *. sources: . Mason, . 1995, pp.52-53.. *. *. ンプル 数 が 少 数 す ぎて 有 意 な結 果 が で な い. 男 性 、 女 性 と も に 小 数 点 以 下 を 四 捨 五 入 す る た め に 合 計 が 必 ず し も100に. *. な らな い.
(12) に や や 多 く、 ブ ル ー カ ラ ー の な か で は半 熟 練 ・未 熟 練 労 働 者 と な っ て い る 割 合 が 高 い 。 こ れ ら は 男 性 労 働 者 に も み ら れ る傾 向 で あ る。 エ ス ニ ッ ク ・ グ ル ー プ ご と に み る と パ キ ス タ ン系 が 、 労 働 市 場 の な か で も っ と も不 利 な 立 場 に 立 た さ れ て い る 。 イ ン ド系 の 女 性 は、 男 性 と 同 様 に 、 専 門 職 を 目指 す 傾 向 が あ る。 し か し、 イ ン ド系 の 女 性 を 全 体 と し て 眺 め た 場 合 、 ブ ル ー カ ラ ー 、 な か で も半 熟 練 労 働 力 と し て 働 く女 性 が 、 ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 よ り も 多 い 。 も し、 男 性 、 女 性 、 そ れ ぞ れ の 「グ レ ー トブ リ テ ン全 体 」 を一 つ の 基 準 と して 考 え 、 各 エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ の 就 業 構 造 と 「グ レ ー トブ リ テ ン全 体 」 と の 差 を 、 労 働 市 場 に お け る不 公 平 の 指 標 と 考 え る な ら ば 、 男 性 で は 、 イ ン ド系 が も っ と も 「グ レ ー ト ブ リテ ン全 体 」 に 近 い の に た い して、 女 性 は ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 が も っ と も近 くな っ て い る 。 女 性 の バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 は 統 計 が 得 られ な い が 、 男 女 と も に パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 が も っ と も不 利 な 立 場 に い る よ うで あ る 。 イ ン ド系 の 男 性 が 比 較 的 成 功 して い る の た い し て 、 女 性 は な ぜ そ う で な い の か 、 逆 に 、 ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 は な ぜ 女 性 の 方 が 不 利 を 被 っ て な い よ う に 見 え る の か 、 そ して 、 パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 は な ぜ 、 も っ と も威 信 の 低 い 職 場 に 集 中 し て い る の か 、 表Ⅱ とⅤ は さ ま ざ ま な 問 題 を 提 起 す る。 1990年 の エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 労 働 市 場 構 造 を1970年. の そ れ と 比 較 す る と 、 こ の20年 、. 彼 ら は 総 体 と して は イ ギ リ ス 労 働 市 場 の な か で も っ と も 不 利 な 分 野 に 集 中 す る と い う 基 本 構 造 は 変 化 しな か っ た 。 こ の こ と は 忘 れ て は な ら な い し、 貧 困 や イ ン ナ ー ・ シ テ ィ の 問 題 も労 働 市 場 に お け る 不 公 正 と 深 く関 連 して い る 。 しか し、 変 化 し た 側 面 も 見 落 と して は な ら な い 。 「専 門 お よ び 管 理 職 」 に あ る 雇 用 労 働 者 を エ ス ニ シ テ ィ別 に み る と 、 白 人 あ る い は イ ン ド系 な ど と比 べ て そ の 割 合 は 少 な い も の の 、 西 イ ン ド系 、 パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ系 の 人 々 の あ い だ に も一 定 の 割 合 で こ こ に 属 す る雇 用 労 働 者 が い る 。 こ こ か ら、 「黒 人 中 産 階級(black . middle class)」. の. 存 在 と西 イ ン ド系 グ ル ー プ を は じめ と す る エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ の 社 会 上 昇 を 見 て 取 れ る と す る 見 解 も あ る。 ま た 、 エ ス ニ シ テ ィ と ジ ェ ン ダ ー は 複 雑 に 絡 み 合 い な が ら、 そ れ ぞ れ の 個 人 の 労 働 市 場 の な か で の 位 置 を 決 定 し て い る 。 す な わ ち 、 エ ス ニ シ テ ィ、 ジ ェ ン ダ ー 、 階 級 は そ れ ぞ れ そ れ 一 つ で は 社 会 を 分 析 す る 軸 と して は 十 分 で は な い と い う こ と で あ る 。 最 後 に こ の 問 題 に つ い て 考 え よ う。. Ⅳ エ ス ニ シ テ ィ、 ジ ェ ン ダ ー 、 階 級 . 「エ ス ニ シ テ ィ」 と は そ も そ も相 対 的 な 概 念 で あ る 。 戦 後 の イ ギ リ ス で は 、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ. ノ リ テ ィ の 問 題 を 把 握 す る ため に 、1960、70年. 代 はそれを. 「移 民 」 の 問 題 と して 把 握 した 。1980. 年 代 は ア フ ロ ・ カ リ ビ ア ン 系 を エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 代 表 と し て そ の 問 題 を (blacks)」. の 問 題 と して 取 り上 げ る 傾 向 が あ っ た 。1980年. 追 求 す る 傾 向 を う け て 、1990年. 「黒 人. 代 の個 人 の機 会 、 個 人 の利 益 を最 大 限. 代 は エ スニ シテ ィの境 界 の 見 直 しの 必 要 性 が 強 く認 識 さ れ て い. る29。た と え ば 、 「エ イ ジ ィ ア ン」 の な か で も イ ン ド系 と パ キ ス タ ン、 バ ン グ ラ デ ッ シ ュ 系 は 大 き く異 な り 、 同 じ イ ン ドの 出 身 者 で も 出 身 地 域 に よ っ て(特. に モ ス リム 系)イ. ギ リス 社 会 と の 関 係.
(13) が 異 な る こ と が 認 識 さ れ た 。 こ れ ま で ひ と つ の エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ に 分 類 さ れ て い た 人 々 の 集 団 の な か の サ ブ ・グ ル ー プ に よ る 差 異 が 認 識 さ れ る に つ れ て こ の 傾 向 に 拍 車 が か か る と 考 え られ る30Q エ ス ニ シ テ ィ、 ジ ェ ン ダ ー 、 階 級 を 総 合 的 に み る 視 点 も必 要 と な っ て い る。 「黒 人 中 産 階 級 」31 あ る い は イ ン ド系 の 中 産 階 級32の 存 在 は 、 エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ と 社 会 階 層 と の あ い だ が 単 純 に 整 理 で き る も の で は な い こ と を 示 して い る 。 新 英 連 邦 お よ び パ キ ス タ ンか ら の 移 民 集 団 、 あ る い は ひ とつ の エ ス ニ ッ ク 集 団 が 、 「産 業 予 備 軍 」 か 否 か と い っ た 議 論 は こ の よ う な 視 点 か ら は あ ま り意 味 の な い 議 論 で あ る 。 ま た 、 同 じ エ ス ニ ッ ク ・グ ル ー プ に属 して い て も ジ ェ ン ダ ー に よ っ て イ ギ リ ス 社 会 で の 経 験 が 異 な っ て い る こ と も 広 く知 ら れ る よ う に な っ て い る 。 た と え ば 、 ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 の 生 徒 の 「落 ち こ ぼ れ(under-achievement)」. は しば し ば教 育 上 の 問 題 と な. る が 、 よ り詳 細 な 研 究 の 結 果 、 女 生 徒 は む し ろ 学 校 に 適 応 的 で あ り、 「白 人 」 の 女 生 徒 と 同 等 あ る い は そ れ 以 上 の 学 業 資 格 を 得 て い る こ と が 知 られ る よ う に な っ た33。 た と え ば 、 ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン系 の 出 身 で 、 「客 観 的 に 中 産 階 級 と 分 類 さ れ る(objectively defined middle class)翌 階 層 の3つ. 職 業 の 女 性 は 、 そ の エ ス ニ ッ ク ・オ リ ジ ン、 ジ ェ ン ダ ー 、 そ して 社 会. の 要 素 が そ れ ぞ れ 関 連 し た 形 で 社 会 に 位 置 づ け ら れ 、 自 己 を 規 定 し、 社 会 意 識 を 形 成. す る。 も ち ろ ん そ れ 以 外 に 彼 女 が シ ン グ ル ・ペ ア レ ン トな ら ば 、 そ の 要 素 も相 互 関 連 の 網 の な か に 入 る で あ ろ う。 エ ス ニ シ テ ィ、 ジ ェ ン ダ ー 、 階 級 を 総 合 的 に み る 視 点 の 重 要 性 が 指 摘 さ れ て い る の は 、 エ ス ニ シ テ ィ研 究 か ら だ け で は な い35。 フ ェ ミニ ズ ム の 立 場 か ら も強 調 さ れ て い る36。 こ こ で 重 要 な の は エ ス ニ シ テ ィ、 ジ ェ ン ダ ー 、 階 級 な ど を そ れ ぞ れ 付 加 的 な 要 素 と し て 扱 う の で は な く、 相 互 関 連 的 な も の と し て 分 析 を す すめ る こ と で あ る。 現 在 そ の た め に 理 論 を 整 備 し、 精 緻 化 す る 作 業 行 わ れ て い る37。 こ の 方 向 で の 研 究 の 一 層 の 進 展 が 必 要 と さ れ て い る。. 註 1Mason 2こ. , 1995, p.35.こ. の 値 は1991年. の国 勢 調 査 に よ っ て い る。. こ で は 「移 民 」 を 自身 が 国 際 移 動 を 行 っ た 人 々. ,す な わ ち 第 一 世 代 と 定 義 す る 。 こ れ は,自. 身 が た と え ば ジ ャ マ イ カ か ら イ ギ リ ス 本 国 へ 移 動 す る と い う 決 断 を お こ な っ た 第 一 世 代 と,自 の 意 志 に 関 係 な くイ ギ リ ス で 生 ま れ 育 っ た 第 二 世 代 以 下 の 世 代 で は,同 に 分 類 さ れ よ う と も イ ギ リ ス 社 会 へ 視 点,対. じ 「ア フ ロ ・カ リ ビ ア ン」. 応 が 異 な る と い う考 え に よ る 。. 3戦 後 の エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ に た い す る 政 策 の 歴 史 は. ,一 方 に お け る 移 民 制 限 の 歴 史 と 他. 方 に お け る 「人 種 関 係 法 」 を 中 心 に した 差 別 禁 止 政 策 の 歴 史 と して 認 識 さ れ る 。1960年 年 代 に か け て の こ れ らの 法 律 の 展 開 過 程 に つ い ては,石田,1988を 41961年. の国 勢 調 査 まで. ら. 代 か ら80. 参 照。. ,エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ に か ん す る質 問 は 出 生 地 と以 前 の 居 住 地 に. か ん して の み で あ り,移 民 の 把 握 を 主 た る 目的 と し て い た 。 コ ー ル マ ン ら は こ の よ う な 統 計 の と り方 の 背 後 に は,移 民 の 二 世 世 代 は イ ギ リス 社 会 に 同 化 さ れ る の で,彼 ン に つ い て 把 握 す る 必 要 が な い と,前. らの エ ス ニ ッ ク ・ オ リ ジ. 提 さ れ て い た と 指 摘 す る 。(Coleman . and Salt,1992,.
(14) p.483.) 5国 勢 調 査 等 の 公 式 統 計 に お け る エ ス ニ シ テ ィ の 把 握 に か ん し て は pp.480-488を. ,Coleman . and Salt,1992,. 参照。. 6雇 用 省 が 行 う労 働 力 調 査(Labour . Force . Survey)で. は. ,1980年. 代 か ら個 人 の エ ス ニ シ テ ィ. を 回 答 す る よ う 求め て い る 。 'Mason. , 1995, p.15.. 8Peach. , et.al. 1988に. お け る地 理 的 分 布,職. は20世 紀 に お け る ア イ ル ラ ン ドか ら の 移 民 数 の 推 移 や 移 民 の ブ リ テ ン に 業 分 布 な ど を 検 討 して い る。 そ れ ら に よ れ ば,ア. そ の 子 孫 た ち も特 定 の 地 域,職. イ ル ラ ン ドか ら の 移 民 と. 業 に 集 中 す る 傾 向 が あ る。 現 在 の イ ギ リス に お け る ア イ ル ラ ン ド. 移 民 お よ び ア イ リ ッ シ ュ系 の 人 々 の社 会 経 済 的 な 状 況 に つ い て は 詳 細 な 検 討 の 必 要 が あ る (Peach, et.al. 1988, pp.570-576.) 9Peach. , et.al. 1988, p.577.. 10Coleman . and Salt. , 1992, p.458.. 11イ ン ド系 の 「中 産 階 級 」 に つ い て は. ,Robinson, . 1988,を. 参 照。. 富 岡, 1988, pp.326-327. 13Blackaby 14富 岡. , 1993, pp.122-123.. , 1988,p.246.. 15Moore. , 1992, p.118.. 16Jewson. , and Mason, . 17Mason. 1994.. , 1995, p.46.. 18Mirza 19笠 間. and Hunt. 12. , 1992. , 1993.. 20Skellington. , 1996, p.221.. 現 代 の イ ギ リ ス に お21 け る 内 職 活 動 を エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ に独 特 の 労 働 形 態 と し て と ら え る こ と の 危 険 性 はAllen and Wolkowitz, 性 に パ キ ス タ ン,バ に よ る,あ. 指 摘 さ れ て い る。 家 内 労 働 に 従 事 し て い る 女. ン グ ラ デ ッ シ ュ系 の 女 性 が 多 い の は,イ. ス ラム社 会 にお け る女 性 の 行 動 規 範. る い は 家 内 労 働 者 を 雇 用 す る 小 経 営 者 や 代 理 人 な ど は エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 男. 性 で あ り,同 に膾炙. 1987に. じマ イ ノ リテ ィ ・ グ ル ー プ に 属 す る 女 性 を 選 ん で 雇 用 し て い る,な. どとい った人 口. して い る イ メ ー ジ が 事 実 に あ わ な い こ と が 実 証 研 究 に よ っ て 示 さ れ て い る。 ア レ ン ら に よ. れ ば,家. 内 労 働 も従 事 し て い る 女 性 も,そ. 「白 人 」 な の で あ る 。1990年. 代 に お こ な わ れ た 社 会 調 査 で は,家. う ち エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ は54%と Mason, ason,. れ を 雇 用 して い る経 営 者 や 代 理 人 もか な りの 部 分 は. な って い る。Felstead,. 1995, pp.56-59. 1995, pp.57-58に 23. 内労 働 に従 事 して い る労 働 者 の 1996, p.v. 22. は エ ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ が 労 働 市 場 に お い て 受 け て い る 不 公 正. に た い す る 「統 合 論 」 の 観 点 の 説 明(言. 語 能 力,職. 探 し の 方 法 な ど が マ イ ノ リテ ィ ・ グ ル ー プ に.
(15) 特 有 で あ り,こ. れ が 労 働 市 場 で の 不 利 な 状 況 の 原 因 で あ る と す る見 解)が. 紹 介 さ れ て い る。 現 在. で は 労 働 市 場 に お け る エ ス ニ シ テ ィ に た い す る 構 造 的 差 別 に つ い て は,い 実 証 さ れ て い る 。 実 験 は,エ. く つ か の 実 験 が な さ れ,. ス ニ ッ ク ・オ リ ジ ン 以 外 の 要 素 を 同 一 に し た 履 歴 書 を 採 用 を 行 っ て. い る 企 業 に 送 り,そ れ に た い す る 回 答 を 比 較 検 討 す る 形 で 行 わ れ る。 そ の 結 果,調 た 企 業 の 約 半 数 は,エ. ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リテ ィ 出 身 の 応 募 者 に た い し て 特 に 差 別 的 で は な い が,. の こ り半 数 は 選 択 的 に 不 採 用 と して い る 。(Mason, Skellington,. 26 Mason. 24. 1996, pp.206-209. 25. , 1995, p.48.. こ こ で 利 用 した27 の は,Mason, こ れ と は 別 に,労. 以 降 毎 年4回. (Labour Gazette)』 Mason,. 1995に 引 用 さ れ て い る1991年. 働 省 の 調 査 結 果,労. 力 調 査 は,1984年. 1995, p.54.. 30 Mason. 国 勢 調 査 を 利 用 した 結 果 で あ る 。. 働 力 調 査 も こ の 問 題 に か ん す る基 本 的 な 調 査 で あ る 。 労 働. 行 わ れ,3月. ∼5月. の 調 査 結 果 が,『. レ イ バ ー ・ガ ゼ ッ ト誌. に発 表 され る。 28. Jewson, and Mason, 29. 31 Daye. 1995, pp.59.). 1996, p.215.. Skellington,. 査 対 象 とな っ. 1994.. , 1995, pp.125-127. , 1994.. 32 Robinson. , 1988.. Mirza,. 1992.33. Daye,. 1994,が 34. 「客 観 的 に 中 産 階 級 と 分 類 さ れ る 」 と い う回 り く ど い 表 現 を 使 用 す る の は,エ. ス ニ ッ ク ・マ イ ノ リ テ ィ の 階 級 意 識 は エ ス ニ シ テ ィ に 関 連 して お り,職 業 の み で は 規 定 さ れ な い とす る考 え方 に よ る。 35 Anthias. , 1992,は. エ ス ニ シ テ ィ研 究 か ら,階 級,ジ. ェ ン ダ ー,国. 家 な ど の 問 題 を 再 考 し,反. レ. イ シ ズ ムの 方 向 性 を探 ろ うとす る研 究 で あ る。 Chow, 37 West. 1996.. 36. , 1996.. 参考文献. Allen,. Sheila. Anthias, colour Armstrong,. and. Floya and. Carol. and class. H.W.,. Nira. Wolkowitz,. and 1991,. 1987, Homeworking. Yuval-Davis,. 1992, Racialized. the anti-racist 'Regional. struggle,. Problems. Myths. and Realities,. boundaries. Race,. Mamillan.. nation,. gender,. Routledge. and. Policies'. in. Crafts. and. Woodward,. 1991. Blackaby, Record. David in the. H. and Leslie 1980s. Has. C. Hunt, there. 1993,. 'An Assessment. been a miracle?'. in Healey,. of Britain's 1993.. Productivity.
(16) Chow , Esther Different Coleman,. Ngan-Ling et al (eds), Voices, Sage, California.. David and John Salt,. Processes, Crafts,. 1996, Race, Class and Gender, Common Bonds ,. Oxford University. N.F.R.. 1992,. The British. Population,. Patterns. Trends. and. Press.. and N.W.C. Woodward,. 1991, The British. Economy since 1945, Clarendon. Press, Oxford. Daye, Sharon. J., 1994, Middle-class. Group or a Class Fraction Felstead,. Alan, et. al.,. Halsey, A.H. (ed.),. Jewson,. Nick. Towards Vol.42. Group?,. Homeworkers. A Racial. St. Martin. in Britain,. Fraction. Press,. of a Class. New York.. HMSO.. Social Trends since 1900. A Guide to the changing. Macmillan.. 1993, Britain's. Economic Miracle,. Myth or Reality? , Routledge.. イ ギ リ ス に お け る 英 連 邦 移 民 政 策 の 展 開 」 「歴 史 学 研 究 』Nos.582,583.. and David a political. Mason, economy. 1994,. `"Race",. and an agenda,. employment. and. equal. opportunities:. for the 1990s' in the Sociological. Review ,. No.4. 笠 間 千 浪,1993,「. イ ス ラ ム 系 女 性 移 民 の イ ミ グ リチ ュ ー ドの 地 平 」 . 梶 田 孝 道,1988,「 Do., . 1996,. of Britain,. Healey, Nigel (ed.), 石 田 玲 子,1988,「. of a Racial. 1988, British. Social Structure. Blacks in Britain. 1993, . エ シ ニ シ テ ィ と社 会 変 動 』 . 1995, Race and Ethnicity. 収.. 有 信 堂.. 『ヨ ー ロ ッパ と イ ス ラ ムー 共 存 と相 克 の ゆ く え 』 . Mason, David,. 梶 田,1993,所. in Modern Britain,. 有 信 堂.. Oxford. University. Press ,. Oxford. Michie, Jonathan. (ed.),. Mirza, Heidi Safia, Moore, Barry, Peach, Ceri, Pennington,. 1992,. 1992, et.al.,. and black,. Routledge.. on the Inner Cities' in Michie, 1992.. 'Immigration. and ethnicity'. in Halsey, 1988.. 1989, A Hidden Workforce. Homeworkers. in. 1850-1985, Macmillan. Vaughan,. 1988, 'The new Indian middle class in Britain' , in the Ethnic and. Racial Studies, Skellington,. Candace . Vol.11 No.4. Richard,. 富 岡次 郎,1988,『 West, . Young, female,. 'Talking 1988,. The Economic Legacy 1979-1992, Academic Press .. Shelley and Belinda Westover,. Engalnd, Robinson,. 1991,. 1996,. 'Race' in Britain. Today,. 2nd edition , Sage.. 現 代 イ ギ リス の移 民 労 働 者 イギ リス資 本主 義 と人 種 差 別 』 明 石 書 店. and. _Sara . Fenstermaker, . 1996,`Doing . Difference'in . Chow . et.al., . 1996..
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