Title
沖縄県における公文書の管理と公文書館4年間の実践と今
後の展望
Author(s)
豊見山, 和美
Citation
沖縄県公文書館研究紀要 = OKINAWA PREFECTURAL
ARCHIVES BULLETIN OF STUDY(2): 31-48
Issue Date
2000-03-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/8186
沖縄県 における公文書の管理 と公文書館
4
年間の実践 と今後の展望
豊見山 和美
は じめに 沖縄県公文書館 (以下 「県公文書館」 とい う)は1
9
9
5
(平成 7)年 に開館 し、2
0
0
0
(平成1
2)
年8
月で5
周年 を迎 える。その設立の契機 は、戦後2
7
年間にお よぶ米国統治 を受 けた沖縄 の 自治の主体であった琉球 政府の公文書 (以下 「琉政文書」 とい う)約1
5
万4
千冊 (開館時の移管冊数 )を、 どの ように保存 し、いかに して誰 もが平等 に利用で きる県民共有の歴史遺産 として後代へ継承 してい くか、 とい うことにあった。 琉球政府 は1
9
7
2
年5
月1
5
日の沖縄施政権返還 に伴 って閉庁 し、沖縄 県に多 くの業務 を引 き継 いだ ものの、 完結 した組織体 として とらえ られる。琉政文書 を保存 ・活用す るための施設 としては、県立総合 史料館や歴 史民俗資料館の設置、あるいは既存 の機 関の拡充 な どの構想があったが、最終的には新設の県公文書館がそ の保存機関 となった。県公文書館 は完結 した琉政文書 を保有 し閲覧利用 に供す るだけでな く、公文書館法の 趣 旨にのっ とり、設置母体である沖縄県の公文書 について も、収集 ・保存 ・活用の責任 を負 っている。 日々 膨大 に発生す る公文書 を収集 ・選別 し、保存す る とい う公文書館1の業務 は、「現在」が歴史的過去 になって しまった時点の未来 において、歴史 を知 ろ うとす る県民の要求 に応 えようとい う、す ぐれて未来志向の営み である。その意味で、過去 に向かって閉 じた資料館 ではな く、沖縄 の戟後史 を研究する環境 を作 り出すため には、現沖縄県の公文書 と、その前 身であった琉球政府の公文書が同 じ施設で保存 されることが もっ とも望 ま しい。今後県公文書館が継続的に収集 ・選別 し利用 に供 してい く県文書 も、琉政文書 同様 、行政が責任 を 持 って後世 に託すべ き遺産なのである。 過去の歴史資料 を収集 し保存す ることと同 じく、現在の記録が失われない ようにす ることも重要である。 この点 において、で きるだけ記録 を残 さない ような方向性 をとりがちな 日本的な行政文化 とい うものはマ イ ナスに働 き続 けた。だが市民社会の成熟 は もはやそれを許 さない ように思 う。行政機関の保有す る情報の公 開に関す る法律 (以下 「情報公開法」 とい う)や国立公文書館法が相次いで成立 した こ とはそ の こ とを背景 としてお り、公文書館 を取 り巻 く社会的環境 も近年大 きく変わ りつつある。行政情報の開示 と同 じく、公文 書館の公文書収集 ・閲覧提供 も、「開かれた社会」 を制度的 に保障す る もの として認識 され る よ うにな るだ ろ う2。 また、情報化の急速 な進展は公文書館 の業務内容 に も影響 を及ぼす。た とえば電子文書 の増加 は、従来わ れわれが記録や文書 と呼 んでいた ものの概念 さえ変 えて しまっている し3、 その消去 が ボ タ ンひ とつ で行 え るだけに、貴重 な記録 を残 してい くためには、これ まで公文書館が していた ような、主管課 による文書 の廃 棄 を待 って収集す る とい う行動パ ター ンでは対処 しきれな くなるだろ う。 また インターネ ッ トの普及は閲覧 サー ビスのあ り方 をも大 きく変 えつつある4。館内だけでな く遠隔地で も資料検索 がで きる よ う、資料 目録 l このような業務を行っている機関について、文書館 ・資料館 ・史料館 ・歴史館などさまざまな名称があるが、本稿 では 「公文書館」という語で統一サ る。その理由は、このような機関に関する2つの法律 (公文書館法 ・国立公文書館 法)においてその語が用いられているからであり、また 「公」という意味づけが、今後の公文書館のあ り方を考えるに あたって重要な契機となると考えるからでもある。 2 後藤仁氏は、情報公開法の成立によって、行政の側に 「より高い公開性と、より重い説明責任 (accountability)」
が求められることを指摘 し、「非現用公文書となった行政の業務記録のなかから、後世に残 し続ける歴史資料を選別 し、 保管 し、公開するところ、つまりは、公文書館を整備する必要がある。さもないと、次元高く言わせてもらえば、歴史 に対する説明責任をまっとうできない」という。後藤仁 「自治体情報公開制度と文書管理」 (都市問題 第90巻第9号 1999年 9月)、35頁作成 もデー タベ ースの構 造 を抜 きに しては もはや考 え られない。 この ような現代 的状況 にあ って、われわれはその責務 を果 た しうる位 置 にい るだろ うか。開かれた社会 の 実現 に向けて貢献 で きるだろ うか。本稿 で は県 にお ける公文書 の管理 と県公文書館が果 たすべ き役割 につい て、開館 以降の取 り組 み を整理 しなが ら今 後 を展望 してみたい。
1
設立 の経緯 と理念1
.
1
館 の成立 の経緯 沖縄 県 は、 日本 国の 中では と りわけ特異 な歴史 を持つ地域 である。琉球王府 時代 か ら明治政府下の沖縄県、 戟後 の琉球政府 (上位 の統治機 関 と して米 国民政府す なわちUni
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、略称USCAR
があ った)、そ して施政権 返還後 に誕生 し現在 に至 る沖縄 県 とい うふ うに、 組織 的変遷 を経 た。県公文書館 で は、戟前 の沖縄 県 と日本復帰後の沖縄 県 の文書 を収集 ・整理 しているが、 現時点で館 の代表的 な資料群 は、琉球政府 とその前 身たる諸機 関が残 した 「琉政文書」である。琉球政府 は1
9
5
2
(昭和2
7)
年4
月1
日、USCAR
布告第1
3
号 に基づ いて設立 され、立法 ・行政 ・司法の三権 を備 えた 自 治機構 だった。原則 と して、琉 政文書 はすべ て を永久保存す るとい うことになっている5。 その閉庁時か ら1
9
9
5
(平成7
)年 に県公文書館 の書庫-搬 入 され る まで、約1
5
万4
千冊 にのは るこの文書 群 を保全す るため、多 くの努力が な された。琉球 政府 の行政府文書管理規程6は 「各行 政棟 関 にお い て現在 保存 されている文書 (資料等 を含 む)及 び今 後作成 される文書 は、保存又 は保管期 間を経過 して も、国の機 関 又 は沖縄県 に引継がれ るまで 、原則 と して廃棄 しない もの とす る」 と し、施政権返還 に先立つ2
年前 か ら、 琉政文書 の散逸 を回避す る手段 を講 じた。 さらに、1
9
7
2(昭和4
7)
年1
月2
0
日、琉球政府局長会議で決定 さ れた 「琉球政府公文書類 の引 き継 ぎ要領」 に よ り、琉政文書 を後世 に残すべ き貴重 な歴 史資料 と してその散 逸 を防止 し、新生沖縄県 に引 き継 ぐこ とが確 認 された。 こう して引 き継がれた琉政文書 は、琉球政府物資保 管所 を 「沖縄 県文書管理保存所」 と した倉庫 で保管 されたが、その後 も数 カ所へ の移転 ・分散 を余儀 な くさ れるこ とになった7。 当初琉政文書 の管理 にあた った沖縄 県総務部文書学事課 (以下 「文書学事課」 とい う。)は、1
976
(昭和5
1)年4
月整理作業 に着手 し、 2
年後 には 「琉球政府行政文書 の分類整理及 び編 さんに関す る事業」 を民 間3
「`文審(ドキュメント)`という言葉でふつうイメージするのは、なにかが印刷 された紙だろう。 しか しこれは、ごく せまい意味で しかない。情報をおさめたものなら、どんな媒体でも文書と呼びうる。新聞記事は文書だが、幅を広げれ ば、テレビ番組や歌やインタラクティブなTVゲームも文書に含 まれる。すべての情報はデジタル形式で保存で きるた め、ハイウェイ上では、どんなかたちの文書でも簡単に見つけ出 し、保有 し、送ることができる。紙媒体 は送るのが面 倒だし、テキス トや記号や絵以外の内容 (コンテンツ)を入れようとしても、あまり役に立たない。デジタル的に保存 された未来の文書には、画像や音声、インタラクティブ性を実現するプログラミング命令、アニメーション、そのすべ てを組み合わせたもの、といった要素を盛 り込むことができる」 ビル ・ゲイツ著 西和彦訳 「ビル ・ゲイツ 未来を語 る」(アスキ- 1995年)、191頁。情報公開法でも、電磁的記妄剥ま対象文書に含 まれる。 4 当館はホームページで収蔵資料検索サービスを提供 してお り、検索結果を持って来館 ・閲覧申請 をする利用者 も増 えつつある。ことに沖縄のように離島の多い地域では、オンライン ・デリバ リーも要求されるようになるだろう。 5 現存する琉政文書が文書群としての完結性が不十分であるのに対 し、文書管理規程やシステムが確立 していたUS
CA
Rの資料は、体系的に選別 ・整理されて米国国立公文書館で公開されている。県公文書館は、琉球政府の上位機関であっ たUS
CAR
資料が、琉政文書を補完 し沖縄の戦後史研究にとって高い価値を有する資料であるとして、国立国会図書館 との共同プロジェク トでマイクロフィルムによる収集を進めている。詳 しくは 仲本和彦 「米国による沖縄統治に関す る米国側公文書調査 ・収集の意義 と方法」(本号所収)を参照のこと。 6 琉球政府訓令第1号 1970年1月1日 7 この間の状況については大城立裕 「琉政文書の仮 目録による廃棄処分等について」(本号所収 )、金城功 「琉球政府 文書の整理 ・保存 ・利用等について」(本号所収)、渡口善明 「琉政文書 と十七年」(沖縄マイクロセ ンター 1995年7 月)、大城将保 「県立文書館設立構想の意義」(沖縄県沖縄史料編集所紀要 第7号 1982年3月)などに詳 しい。会社 に委託 して整理 を継続 した。全 国的な地方文書館設立運動の高 ま りに呼応 し、県内に存在す る歴史資料 の保存利用のあ り方 に関 して急速 に関心が高 まる中
、1
9
7
9
(昭和5
4)
年8
月2
8
日沖縄県立総合文化セ ンター 設立審議委員会が県教育委員会 に対 して行 った答 申 「沖縄総合文化セ ンター設立 について」 は、 「県立文書 館の設立 を優先的に促進す ることが望 ま しい」 と結論づ けた8。1
9
8
1
(昭和5
6)
年4
月1
日、琉政文書 は文書学事課か ら沖縄史料編集所9(以下 「史料編集所」 とい う)に 移管 された。史料編集所 は公開業務 に も携 わったが、環境未整備のために充分 な対応 をす ることは難 しかっ た と、当時の関係者 は述べている10。1
9
9
1
(平成3
)年1
2
月1
9
日沖縄 県教育庁社会教育課が設置 した 「沖縄県公文書館建設検討委員会」 は、翌 年3
月教育長に対 して 「沖縄 県公文書館基本構想」 を報告 した。4
月には県公文書館 に関す る業務が教育庁 か ら知事部局 に引 き継がれ、文書学事課 に建設担 当職月 を4
人配置 して設立へ向けて動 き出 した。1
9
9
5
(平 成 7)年5
月1
5
日、約1
5
万4
千簿冊の琉政文書が、分散保管 されていた倉庫や書庫か ら、県公文書館-搬入 され、施政権 の返還以降お よそ4
半世紀 にわたるこの文書群の離散状態 もようや く終了 したのである。 これだけ大量の資料群 を、 さまざまな悪条件 に堪 えなが らも守 り続 けることがで きたのは、た とえば次 に 引用するような研究者たちの強い 自覚があったか らであろう。 粛政 文音 の保存と
4/jm については、他県 の威夜行政文音 の場合 とは比密 にfJIらぬば と富 者 7J,T音味 を 占っ ているo昇一には、国 や伸男 の腰徽丈 夢を もって櫛 うことの でき7?い修一任の高■い史料である.都 =あるがこ その史#群に反廃 され/J威彦弗膚の位置その あのが H本質托史の1 で好男の もの であ ク、 8本 の居i
化、 #軍事化の適者 と表裏 のノ野係 を7
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、威顔 5本史の研 究に とって欠 (べか らさ憲 二要素 を7
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てい,bか らで あるo今夜 H本質稚史の研 究が深化 L
てい (につれ 丁、沖膚ノ野題研 究の_看貫燈は ますます大 き (fJIってい (だろ う110 以上の ように、県公文書館 の成立 は、戦後資料の保存 ・利用 を契機 としている。それは今次大戦 における 地上戦のためにほ とんどの歴史資料が灰塩 に帰 し、ゼロか らのス ター トを余儀 な くされた とい う過酷 な歴史 の結果 とはいえ、われわれはそ こか ら新 しい蓄積 を始めなければな らないのである。1
.
2
設立の理念 地方公共団体 における文書 の管理 については、地方 自治法第1
4
9
条第8
号で 「証書 お よび公 文書類 を保管 すること」が 自治体の長の担任事務 となっている。それによ り自治体 は文書管理 に関す る規程 を定めて管理 を行っている。 さらに1
9
8
8
(昭和6
3)
年 に施行 された 「公文書館法」 によ り、現用12で な くな った文書 の う 8 答申では 「現在、沖縄県の文書館類似施設としては、沖縄県沖縄史料編集所があり、歴史資料保存利用機関連絡協 議会にも加盟 しているが、同編集所はまだ独自の施設が無いために、文書館としては充分に機能するに至っていない。 設置規則の上でも、琉球歴史及び沖縄県史の史料の収集、整理保管、調査研究及び編集発行等を行う、とあるだけで、 ①県行政文書の同編集所への移管、②閲覧業務等の規定が無い」としたうえで、史料編集所の組織拡充を図 り運営にあ たらせるものとしていた。 9 当時県教育庁の出先機関。その後沖縄県立図書館史料編集室と名称を変更。 H' 大域立裕 「史料の保存利用めぐる緊急課題 史料編集所の現状 と文書館構想」(沖縄県図書館協会誌 第10号 昭和5
4
年5
月)、照屋寛祐 「情報公開制度と琉政文書」(沖縄県沖縄史料編集所紀要 第1
0号1
9
8
5
年3
月)など。 11 大城将保、前掲8
5
-
8
6
頁 12 「役所、機関あるいは組織で現在進行中の業務の執行に定期的に用いられ、そのためにその発生場所で継続 して管 理される記録」と定義される。(文書館用語集研究会編 「文書館用語集」大阪大学出版会1
9
9
7
年)、3
7
頁ち 「歴 史資料 と して重要 な」 もの につ いて、「保存及 び利用 に関 し、適切 な処 置 を講ず る責 務 」 が新 た に課 せ られ、 自治体 は現用 で な くなった文書 について も管理の責任 を負 うことが確認 された。公文書 が公共の財 産であ る とい う認識 か らす れば当然 の こ とであ る。 県では現在の ところ、公文書館法が い うところの責務 に関す る法規 と しては 「沖縄県公文書館 の設置及び 管理 に関す る条例
」
1
3
があ る。 この条例 では、県公文書館の設置 目的 を 「歴 史資料 と して重 要 な公 文書 その 他の記録 (以下 「公文書等」 とい う。) を収集 し、整理 し、及 び保存す るとともに、これ らの利 用 を図 り、 もって学術 及び文化 の振興 に寄与す る こと」 としている14。 県公文書館 の設立 は、基本的 には前項でふ れた 「沖縄 県立公文書館基本構想」
1
5
とそ れ に基 づ い て作 成 さ れた 「組織 運営 ・業務 及 び施設 に関す る計画」 に沿 って行 われた。その中で公文書の収集 ・保存 の必要性 に ついて、 こう述べ てい る。 公務 岸が その戯務 を遂 行 する適者 で作成L
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ヲ魔窟 とL
Tの公文書館 の摩窟 が 急虜 であ る16 公文書 の歴史資料 と しての価値 を確認 した上 で、「組織運営 ・業務 及び施設 に関す る計 画」 で は県文書 の 収集 に関 して次の ような方針 を呈示 した。 1.知事部局本庁 の文書 につ いては、有期 限文書 中、保存期 間の過 ぎた文書 で廃棄 され る文書 は、原則 と し て公 文書館 に収蔵 し、公文書館 において評価 選別基準 に基づ いて選別す る。 また、長期保存文書 は、将 来一定年限 を過 ぎた もの につ いて公文書館 に移管で きる ように配慮す る17。2.
支庁 ・出先機 関の公文書 の収集 は原則 と して本庁 の、各種行政委員会等 の公文書等 の収集 は、原則 とし て知事部局の取扱 に準 じて行 う。 県公文書館 の収集対象 は 「公文書 及び沖縄 の歴 史 に関す る資料」 とされ、その うち主 たる県文書 の収集 に ついては現実の文書管理 システム との リンクづ けが不可欠である。開館 に向けて、県の文書管理 に関す る規 程上 い くつかの改正が行 われた。次章で はそれ を見 てい くことにす る0 ■・- 沖縄県条例第6号 平成 7年 3月31日制定 平成 7年 8月1日施行 14 同条例第1条。前項に述べた 「沖縄県立公文書館基本構想」では、「将来貴重な歴史資料 となる公文書 、その他沖縄 の歴史に関わりのある文書等を体系的に収集 し、整理 し、保存及び調査研究を行い、これらの文書等を文化遺産として 後代に伝承するとともに、広 く県民の利用に供 し、本県の教育、学術、文化の擬輿並びに行政の発展に寄与することを 目的とする」とされていた。収集対象については、公文書館法の用語と同 じものを援用 したと思われる。 '5 沖縄県公文書館(仮称)建設検討委員会 「沖縄県立公文書館基本構想」平成 4年 3月 16 前掲書 17 2.1で述べるように、のちに、長期保存文書を、保存期間20年の有期限文書 として、廃棄決定するよう文脊編集保存 規程を改正 した。- 3
4-2. 沖縄県における公文書の管理
2
.
1
沖縄県文書編集保存規程 における県公文書館 の位置づ け 県公文書館設置以前の文書規程 は、文書 の主管課 と保存期 間を定め、期 間満了後 は、長期 保存 文書 を除 いては主管課つ ま り文書学事課で廃棄処分す る とい うものだった。 ここでい う廃棄処分 とは物理的廃棄す な わち焼却 ・裁断 ・溶解の ことである。行政的価値 の消滅 した と思 われる文書 は、文書の発生源 となった側以 外の、第三者 による歴史的評価 を経ず して処理 されていた。つ ま り、非硯用段 階18にお け る管理 の主体 や方 法が欠落 していたわけである19。 行政機関は、文書の行政的価値 を重視す るので、それに先立つ現用 ・半現用の段階で、一定の管理 システ ムを持 っているのが普通である。一方で、非現用 となった文書 に関 して関心 を持つ ことは少 ない。 もちろん 長期保存あるいは永年保存文書 とい うカテゴリーを設定す ることで、貴重 な文書 を物理的廃棄 か ら免れ させ るとい うことは行 われている20が、それではむ しろ一般住民が、文書 に接 近す る機会 を遠 ざけ る こ とに もな りがちである。情報公開制度の文書開示請求 とい う手続 きが、公文書館 での 自由な閲覧 に比べ ればいかに も 煩雑であることはい うまで もない。 設立構想で も確認 されたように、県公文書館が県文書 を将来 にわたって継続的に受け入れ、次代-残す歴 史資料 として選別 ・整理 ・保存す る とい う機能 を果たすためには、既存 の文書管理サ イクルに県公文書館 を 組み込む必要があった。 県では 「文書管理規程」
2
1
によって、文書の編集及び保存 については 「沖縄県文書編集保存 規 程」
2
2
(以下 「文書規程」 とい う。)による もの とされている。開館の年の平成7年、保存期間の満了 した文書 を県公文書 館へ引 き渡すために、文書規程 中関連部分の整備 を中心 に改正が行 われた23。主 な改正点 と して は、以下 の 3つである。 1)無期限文書の有期限文書化2
)公文書館長への廃棄文書 引渡3
)各課保管文書の公文書館長への引渡 第1
の無期限文書の有期限文書化 とい うのは、従来の長期保存文書 とい うカテゴリーであ った文書 を2
0
年 保存文書 として、保存期間を区切 った とい うことである。従来の種別だ と、 5種文書が もっ とも保存期間の 短い1年、4種文書が3年保存、 3種文書が5年保存、 2種文書が10年保存、 1種文書が長期保存 (他の 自 治体でい うところの永年保存 ) となっていた。長期保存文書 は保存期 間の定めがないため に原則 として廃棄 されず、劣化 を防 ぐための特別の手当て もない まま文書学事課の管理す る書庫の一角で保存 されていた。 こ れに2
0
年 とい う保存期間を設定 し、完結後2
0
年 を経 た 1種文書 は、主管課 による廃棄決定の対象 となったの である。 川 非現用文書とは 「実務上、もはや必要でなくなった記録」(文書館用語集研究会編、前掲書106頁)、半現用文書 とは 「当面の業務にあまり必要がないので、事務所からは書庫またはレコー ドセンターへと移すべ き記録、ただ しその最終 処置は未決定」(前掲書105頁)とされている。レコー ドセンターは 「最終処置がまだ決まらない半現用記録を低 コス ト で保存 し、利用に供するための施設」(前掲書139頁)のこと。 19 例外的に、県教育庁史料編集室の職員が、主管課による廃棄の際に、必要と思われる文書を収集 して きた。ただ、 この緊急避難的収集では、文書を体系的に収集することが困難なのはいうまでもない。 20 長期保存文書も無条件に永久保存というわけではない。注19のようにして教育庁が収集 した廃棄文書の中には長期、 または永年と記された文書も存在する。 21 沖縄 県訓令 第37号 昭和49年 22 沖縄 県訓令第38号 昭和49年 2‥l 沖縄 県訓令 第18号 平成8年第
2
の点は、廃棄決定 した文書 を県公文書館長へ引 き渡すべ きことを明記するものである。 これによって 県文書の最終的なゴールとして県公文書館が位置づけ られた。 第3
の点は、文書学事課-引 き継がれない まま保存期間を経過 した文書の取扱いについて定める ものであ る。いわゆる常用文書で常 に主管課内に置いているうちに、保存期間が過 ぎて しまった文書 などを直接県公 文書館長へ引 き渡 さなければならないことを定めている。 この主な3
点の改正 によって、規程上知事部局で作成 される文書 については1
年保存の ものを除 くすべて の文書が、県公文書館-送 られることになった。各行政委員会や出先機関についても、その文書規程によっ て文書の取扱いは知事部局 に準ずるという旨定め られている。 規程改正 に遡 る3
年前の平成4
年度か ら、文書学事課は廃棄決定 した文書のス トノクを行 った。従来廃棄 決定 を した文書 は年度内に処分 していた ものを、県公文書館の開館 を見越 して引渡に備えたのである。 した がって、開館時には、平成4
年度か ら7
年度 にかけての4
年度分の廃棄文書 を県公文書館で受け入れた。2.
2
県における文書のライフサイクル構造2
.
2
.
1
現用段階の管理 以上の改正 を経て、県の公文書管理 における文書のライフサ イクルはどう変化 しただろうか。硯用段階、 つ ま り文書が最 も頻繁に利用 される段階では、文書の保管場所 は主管課の事務室である。文書 はその業務が 完結 した年度の翌年度末 まで事務室で保管 され、利用 される。文書管理の直接責任者は、文書取扱主任及び 文書管理主任、最終責任者 は課 (室)長 または出先機関の長である。 公文書の発生 には作成 と収受の2
パ ターンがあ り、文書の収受については、各部局の文書主管課 (総務課) が行 う。文書の受領後収受印 を押印 して、文書件名簿-登載 して番号 を与 えるが、各課 (重)相互間におけ る文書の収受又は軽易な文書 は、文書の余 白に収受印 を押 し、文書件名簿への登載 を省略することができる。 文書の編集は、主管課での保管期間を経て、文書 を文書学事課 に引 き継 ぐ時点で行 われる。年 に一度の 「クリー ン作戦」がその タイミングである。部局の総務課長 (文書主管課長)は、文書規程 に定 め る文書の 編集分類基準お よび分類表 に基づいて、文書年度 ごとに簿冊 を編集 ・分類 ・整理 し、指定の文書保存箱 に詰 め替 え、箱単位で文書引継 目録 を作成する。引継 目録 には①引継課名、②保存期間、③ 内容件数、④引継年 度、⑤廃棄予定年度、⑥所属年度 (文書の完結年度)、⑦文書規程 に定める文書分類表 に基づ く文書類 名 と 分頬記号 、(卦算自番号 、(9分冊番号 を記入 し、⑲索引 目次 を件名ごとに作成する。文書分類表に変更があると き、主管課長 (各課の長)は、その文書分類表の写 し1部 を文書学事課長に送付する。箱番号 は、その文書 を文書学事課 に引 き継 ぐ年度 と、その年その課が引 き継いだ箱の一連番号の組み合わせであ り、引継課名と 箱番号で文書 を特定することがで きる仕組みである。内容は⑲ の索引 目次で記述 される。 文書引継 目録 は4
部作成 され、文書主管課 に1
部、文書学事課長 に2
部提 出するとともに、文書保存箱に1
部添付する。これ らの文書保存箱 を文書学事課が集中管理する文書保存管理室へ搬入 し、これで文書学事 課への引継手続 きは完了する。2
.
2
.
2
半現用段階の管理 文書学事課は、保存期間満了 まで、県庁地下にある文書保存管理室で引継文書 を集中管理する。その期間 は、文書の参照回数が格段 に減少する半硯用段階であるo文書 を集中管理するのは保存スペースの一元化に よるコス ト削減 とい う経済性が主 な理由 といえる。文書保存管理室で管理 される文書は 「保存文書」 と呼ば れ、文書保存管理主任が管理する。文書保存管理主任は文書 を整理 ・排列の うえ保存期間満了まで保存する。文 書 の 流 れ
+保育文雷 一 現年度及び前年度の完括文書 又は常時必要とする文書 阜保存文7 - 前々年度完清文書で、課内か ら倉年等に移し替えて保存す る文雷 +引継文吉 一 前々年度完括文書で、文書学事課に引き継 いで保存する文事 ◆引ま文書 一 ・保存期間の満了した保管文書で、各課で 廃棄決定 し、公文7嶺へ引き渡す文書 ・保存期間の溝7 した保存文書で、廃棄決 定 し、公文書館へ引きます文書職員が保存文書 を借覧 ・閲覧 しようとす る ときは、文書借覧薄 または文書閲覧簿に所定事項 を記入 し、文書 保存管理主任の承認 を得なければな らない。 この期間の文書検索手段 は前項で述べた文書引継 日録である。 文書学事課では引継 目録 を手書 きでカー ド化 し、引継 ぎ年度 と引継 ぎ課名で検索 した上で、文書保存管理室 内の書架番号 を確認 して、主管課か らの閲覧 申請 に対応 している。 この文書保存管理室はいわゆる レコー ド セ ンターの機能 を果た しているわけである。 保存期間の満了 した保存文書 を廃棄す る際 、文書学事課長は文書廃棄台帳 (廃棄台帳の項 目は①箱番号 、 (参所属年度、(勤保存期間、(彰分類番号 、(9類 名)を作成 し、主管課長 と協議の上廃棄 して、県公文書館長へ 引 き渡す。 ここで文書 は非現用段 階 に移行す るわけである2-0従来の文書規程では、 この時点 が原則 と して 文書 の最終段階だったが、 ここか らの管理の主体 は県公文書館 となる0 県公文書館が受 け入れた文書 は、選別 ・整理 を経て、歴史資料 として閲覧 に供 される。 ここでの検索手段 は、県公文書館が編集する資料 目録 である。 この ように文書規程上 は、文書の ライフサ イクル各段階の区分 け も、各段階における管理主体 も明確 になっている25。 2.3 県公文書館 における文書 の管理 2.3.1 第一次選別 と第二次選別 -i-:-: :5-;:潔...:=;::* 平成4年度 平成 5年度 平成 6年度 平成 7年度 平成8年度 平成 9年度 平成10年度 団 知事部局からの受入箱数の推移 単位 :箱 以上の ように して県公文書館が受 け入れた文書 のボ リュームは上の表の とお りである。 前述 した とお り、開館時 に文書学事課が ス トック していた平成4- 7年度分の知事部局廃棄文書約1万4千 箱 を受 け入れた。 これはファイルメー トルで表す と約
1
,
9
0
0
m
、年平均では3
8
0
m
の文書 にあた る。受 入文書 の箱数は、毎年ほほ2500前後 だが、平成 8年度 に若干受入箱数の増加があることに気がつ くだろう。 この年 'L4 廃棄台帳はこれまで手書きあるいは日本語ワープロソフトで作成されていたが、平成10年度からデータベースファ イルで提出を受けている。これにより県公文書館システム-コンバージョンすることで受入登録作業が省力化された。 これは廃棄決定の段階で文書学事課と当館にラインがつながるだけの措置に過ぎないので、さらに文書の発生から電算 システムで管理することができれば理想的である。3.3項参照 25 ライフサイクル (「記録の発生や収受からその最終措置までの全期間のこと」文書館用語研究全編 前掲書、136頁 ) という用語を用いたが、筆者は 「サイクル」という語の持つ円環的なニュアンスについて懐疑的である。文書管理の各 段階は単線的に移行するものであるから、ステージかフローという方が適切ではないかと思う。は、文書規程改正 によ り、長期保存文書が20年の有期限文書 となって廃棄 されたか らである。文書学事課の 管理する文書保存管理室 にあった長期保存文書はすべて県公文書館へ運び込 まれた。平成9年度には受入文 書量に減少が見 られるが、それは沖縄県公文書館県政文書収集基準 (以下 「収集基準」 とい う。) を新 たに 制定 し、県公文書館で受け入れる廃棄文書 を制限 したためである。収集基準 は以下の とお りである。 沖縄県公文書館県政文書収集基準 県政文書 とは、沖縄県が廃藩置県以降に作成 または取得 した公文書等 をい う。公文書館長は、次の各号 に 掲げる基準 に該当 しない県政文書 を収集することとする。ただ し、昭和20年以前に作成 された ものにあって はこの限 りではない。
1
庶務及び予算経理等の 日常業務 を遂行 してい く過程で作成 される次の各号 に掲げる文書 (1) 調定調書、予算執行伺 、支出負担行為、支出命令等の歳入 ・歳出に関する文書及び帳簿 (2)給与及び地共済関係書類お よびその電算報告書 (3)文書件名簿 (4)出勤簿、有給休暇簿、職務専念義務免除簿、欠勤簿 (5)旅行命令 (依頼)簿 (6)超過勤務命令簿、特殊勤務命令簿 (7)各種手当の認定簿 (8)嘱託員、賃金職月の雇用手続 に関する書類 (9)物品及び切手等の受払簿、被服貸与簿 (10)研修に関する書類 (川 車両運行 日誌、車両修繕簿、車両燃料記録簿 (12)扶助費の請求に関する書類 (13)定期監査調書 (14) 公有財産及び備品に関する台帳及び報告書 個 その他の文書で前各号 に準ずる文書2
行政刊行物 を作成す る基礎資料 となった文書で、行政刊行物 にその内容が反映 されている、次の各号 に 掲げるような文書 (1)予算概算要求書及び関連資料 (2)決算書作成の基礎 となった資料 (3)重点施策、主要施策報告書 その他 これ らに準ずる文書の作成の基礎 となった文書及び資料 (主管課が 保存 していた ものを除 く)3
出先機関等 に保存 されている文書の うち、その機関が作成 し本庁 に送付済みである、次 に掲げるような 文書 (1)補助金の交付 申請書及び実績報告書 (2)国及びその他の公共団体か らの照会等 に対す る回答文書 (3)その他主管課に対 して行 っている報告書4
国及び本庁か らの通知文書 (原本 を除 く) この基準 には4
つの総則がある。 1
つは 「庶務及び予算経理等の 日常業務 を遂行 してい く過程で作成 され る文書」つ ま りご く形式的かつ軽微 な文書 を排除する、2
つ 目に 「行政刊行物 を作成する基礎資料 となった 文書で、行政刊行物 にその内容が反映 されている文書」 とい うことで、主に予算決算作成の基礎資料 となっ た ものを排 除する、3
つめに 「出先機関等 に保存 されている文書の うち、その機関が作成 し本庁 に送付済み である、次 に掲げるような文書」 これは、文書事務の流れか らして必然的に重複が予想 される文書 を排除 し ようとい うことである。4
つめは 「国及び本庁か らの通知文書」で、原本以外の ものは排除するということ である。 この基準 を織 り込むために、平成8
年度末に文書規程 を再度改正26した。開館時の文書規程改正 で、 1
年 保存文書 を除 くすべての廃棄文書 を県公文書館長へ引 き渡す ことに したのは上述の とお りだが、さらに 「知 事が別に定める ものを除いて、公文書館長へ引 き渡す」 とし、知事が別に定める ものが、この収集基準 にあ たる。 この収集基準 を適用 した上で受け入れた文書すべてを、歴史的資料 として保存するわけではない。県公文 書館の評価基準 としては別に選別基準があ り、つ ま り選別は2
段階に分けて行われる。収集基準 の適用 は第 一次選別にあたる。 この収集基準の背景 には保存スペースの逼迫 と、文書管理 コス トの増大 に対処するという、 きわめて現実 的な配慮が働いている。先 に述べたように、すべての廃棄文書 を受け入れると、知事部局 だけで1
年 に3
8
0
mの書架が必要 になる。県公文書館 は、後述す るように、受け入れた文書 を選別するまで保存 してお く中間 書庫 を持 っているが、その書架総延長 を3
8
0
m
で割ると単純計算で1
7
年分のスペース しかない。 また、 この 計算はあ くまで も知事部局文書のための もので、今後各行政委員会の文書 を受け入れてい くと、さらに書庫 の空間的寿命は縮む。 さらに、この中間書庫 は県文書以外の、いわゆる地域資料 をも整理 されるまで一時保 存 しているため、収集 した県文書 についてある程度の時間的余裕 をもって選別にあたるために設置 した中間 書庫の機能が麻痔 しかねない と懸念 された。 また、本県の ように離島が多い地域では文書の搬 送 コス トも 大 きな負担 となる し、文書煉蒸の環境的負荷 も考慮 しなければならない。 ただ し、この収集基準 を支 えているのは、単 なる文書量削減 とい う便宜的な意思ではな く、あ くまで も、 後に行 う選別作業の合理化が 目標であることは強調 してお きたい。歴史資料 としての県文書の最終的な評価 の主体は、県公文書館である。主管課が当館-引 き渡す文書 を取捨選択するに際 しては、で きるだけ機械的 な判断が可能でなければ、基準が機能す ることは期待 しに くい。 したがって、このような 「排 除」の基準 と しての収集基準 を作成す ることになったのである27。 収集基準 に基づいて受け入れた文書 は、第二次選別の対象 となる.沖縄県公文書館資料選別基準28 (以下 「選別基準」 とい う。
)
は以下の とお りである。
Zh 沖縄 県訓令 第1号 平成9年3月4日 施行平成9年4月1日 27 実状は、本庁の引渡文書のチェックには県公文書館の担当者が文書保存管理室に出向いて、収集基準に照 らした文 書の抜き出し作業を行っている。ただし、離島の機関については、現地の担当者に作業を一任している。 2A 平成10年9月29日決裁沖縄県公文書館資料選別基準 沖縄県公文書館が収集 した資料の うち歴史的資料 として保存す る公文書等 は、次 に掲げる基準 によ り選別 するもの とす る。
1
行政資料の選別基準 (1)行政制度、組織 の新設 、変更及び廃止等 に関す る公文書等 (2) 条例、規則 、訓令及び要綱等の例規 に関す る公文書等 (3)県行政の総合計画、総合調整及び重要 な事業の計画 ・実施 に関する公文書等 (例 重点施策等の企画 ・ 立案 ・執行 関係 ) (4)渉外 に関す る公文書等 (例 国際交流 ・基地対策 ・駐留軍関係文書等 ) (5)審議会 、調査会等の重要 な議事 に関す る公文書等 (6)褒賞、表彰 に関す る公文書等 (7) 住民の権利義務 や利益 とかかわる公文書等 (例 開発許可 申請 ・資格 ・土地関係の文書等 )(
8
)
損害賠償及び損失補償 に関す る公文書等 (9)重要 な事件 、行事等県政及び社会の情勢 を反映す る公文書等 (例 海洋博 ・国体 ・災害 関係文書等 ) uo) 顕著 な行政効果 を もた らした事業及び県民の高い関心 を呼んだ事業の実施 に関す る公文書等u
l
) 昭和2
0
年以前 に作成 し、又は取得 した公文書等 uカ その他歴史資料 として価値がある と認め られる公文書等2
地域資料の選別基準 (以下省略) この基準 は、原則 、大綱 に匹敵す る もので、選別 にあたる者の解釈 によっては収集 した文書 がすべて基準 に当てはま り、選別の機能が果たせ ない可能性 もあるため、今後で きる限 り客観的かつ合理的 な細則 を制定 する必要がある29。2
.
3
.
2
中間書庫の機能 この ように、県公文書館 の受入 システムは、公文書 について収集基準 と選別基準 による2
段 階の選別 を行 うことに特色がある。最終的 な選別 を行 うまでの間、多少の時間的 ・空間的猶予 を可能に してい るのが 中間 書庫である。中間書庫 は書架総延長5
3
6
2
.
8
9
m
を有 し、収集 した資料 を嬢蒸 したあ と、選 別 とデ ー タ処 理 を 経て保存書庫へ移す まで保存 してお くとい う機能 を持つ。収集の時点で選別 ・評価 しない、あ るいはで きな い文書は、ほ とん どが この書庫 に収蔵 される。現在、知事部局か らの受入文書のほ とん ど(
2
0
年保存文書 を 除 く)が この書庫 にある。 県における文書の ライフサ イクルには、中間書庫が存在す ることによって、 さらに過渡的な段階が生 じる。 主管課で廃棄決定 し、収集基準 によって県公文書館が受 け入れた文書 は、この時点で半現用 か ら非規用段階 へ移行す るが 、非規用文書がすべて永久保存すべ き歴史資料 とい うことではない。その評価 は第2
次選 別 に よって下 される ものである。中間書庫 にある文書 は、半現用で もないけれ ども評価 を経 たわけで もない線引 きで きない文書である。受入か ら選別 までの間にタイムラグがあることは、文書のライフサ イクル とい う点 からする と一種の グ レーゾー ンであ り、この緩衝地帯 は、中間書庫 に レコー ドセ ンター的 な役割 を付与せ ざ 29 1種文書については、簿冊単位で整理 してコンピューターに登録 し、閲覧に供しているOるを得 な くなってい る。 主管課 は、廃棄文書が県公文書館 にあ る とわか る と閲覧 な り館外貸 出を申請す る。県公文書館 では文書 の 受入時点 で受 入 コー ドを付与 してはい るが、主管課 は、文書引継 目録記載の箱番号 で検索す る。 こういった 形での文書利用 は、公文書館 での閲覧 とい うよ りも、 レコー ドセ ンターでの利用 にあたる形態 であ ろ う。 ここで沖縄 県情報公 開条例 お よび個人情報保護条例 との関係 についてふれてお きたい。県 は情報公 開条例 を平成
4
年 か ら、個人情報保護条例 を平成7
年 か ら施行 している。公文書館資料 は これ らの条例 の適用 を受 けるが 、閲覧 に供 している資料 は適用 除外 であ る。逆 にい うと沖縄県公文書館管理規則 第6条 において 「利 用 に供 しない公文書館資料」
30とされてい る資料 は条例 の対象文書 であ り、未整理資料 (中間書 庫 にあ る資 料 ) もこれ に含 まれる。 なお開示請求の窓口は文書学事課が所管す る行政情報 セ ンターであるO 以上 、県公文書館 を県の公文書管理 に組み込 んだ現行 システムを概観 した。次章では この システムの 自己 点検 を試 みたい。3
自己評価 の機 軸 ∼公文書館 の現代社会 にお ける役割 とは何 か3.
1
公文書館 をめ ぐる社会的環境 の変化1
9
9
9
(平成1
1
)
年 は、国立公文書館法が誕生 した記念すべ き年 と して記憶 され るだろ う。それ に遡 る1
0
年 前 に成立 した公文書館法の趣 旨にのっ とって生 まれた国立公文書館 法の条文 とその公的解釈 は、地方 自治体 の公文書館 の運営 に少 なか らず影響力 を持 つ。 さ らに情報公 開法の施行 をは じめ とす る社会的環境 の変化の なかで、地方 自治体の公文書館 はそれぞれの機能 と役割 を再定義す る必要 に迫 られている ように思 える。 国内で公文書館 と指定 されている検 閲は34機 関あ るが、その呼称 さえ統一 されてお らず 、た とえば公文書 館 、文書館 (これ もぶ ん しょかん、 もん じょかん とふ た通 りの読み方 に分かれる)、あ るいは資料館 、史料館 とい うふ うに さまざまなバ リエー シ ョンが あ る。 この ことは単 にar
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とい う英語 の訳 の統一が な されな かった こ とのみ に起 因す る もので はない ようであ る。それぞれの機 関 はその成 り立 ちにおいて、 自治体内部 の事情 や郷土 史研 究のニーズな どを反映 した独 自の経緯 を もってお り、それが呼称 の選択 に も少 なか らず影 響 した とい えるだろ う31。 公文書館 がその所属す る地域社会 に どう受容 されているか、あるいはどの ような資料 を基礎 として成 り立っ てい るか 、 どの ような人的資源 を確保 してい るか 、 これ らの事情 は、それぞれの公文書館の運営 や長期計画 を定め るに際 して考慮すべ きフ ァクターであろ う32。 こ とに公文書館運営 の ような文化 行政 の財 源 が逼 迫す る現状で は、 よ り戟略的思考が要求 される。その思考 の基礎 となるの は、公文書館 が地域社会に対 して何 を、 どの ように貢献 で きるか 、あるいは貢献す る責任 があ るか とい う自らへの問いかけではないだ ろ うか㍊ ・甘■ 沖縄県公文書館管理規則第 6条 (利用に供 しない公文書館資料) 館長は、次に掲げる公文書館資料については、利用に供 しないものとする。ただし、館長が特に必安と認めた場合は、 この限 りでない。 (1)偶人若 しくは団体の秘密保持のため、又は公益上の理由により利用に供することが不適当なもの (2)整理又は検索資料の作成が終了 していない公文書館資料 (3)保存上支障がある公文書館資料 (4) 寄贈又は寄託を受けた公文書館資料で、当該文書等の寄贈者又は寄託者 と利用に供 さない旨の特約があるもの 1" 堀内謙-一一氏は、公文書館 という機関の現代的意義の再構築を図 りつつ、国内の公文書館あるいはそれに相当する機 能を持った機関をユニークな視点から分類 している。それによれば公文書館相当施設は①近代史研究的公文書館像②地 方史研究的公文書館像③ 自治体史編纂事業的公文書館像(彰文化財保護行政的公文書館像①博物館行政的公文書館像⑥図 書館行政的公文書館像⑦情報公開的公文書館像⑧公文書館的行政的公文書館像の8種に大別される。おそ らくこれらの 要素のい くつかを複合的に持っている機関が大半だろうが、その要素間にはおのずと優先順位があるはずである。堀内 謙一- 「基礎的自治体における公文書館運営の展望 と現代的課題」(平成10年度国立公文書館公文書専門職員養成課程修 了研究論文、未刊行)、 2頁公 文書 館 をめ ぐる社 会 的 環 境 は近 年 大 き く変 化 して い る。 国立 公 文 書 館 法 や 情 報 公 開 法 の 成 立 が 、 そ れ を 端的 に示 す もの で あ る こ とは い う まで もな い34。 こ とに、情 報 公 開法 が機 能 す る た め の 前 提 と して 行 政 文 書 の適正 な管 理 が要 求 され る こ とか ら35、 国 立 公 文 書 館 の権 限 の 明確 化 が 必 要 とな っ た経 緯 に 注 目 した い 。 情 報公 開 の趣 旨 は 、硯 用 文書 と して廃 棄 され た あ との公 文 書 管 理 段 階 も視 野 に入 れ た うえで貫 徹 され る もの で ある36。情 報 公 開 法 第
1
条 は そ の 目的 を 「国 民 主権 の理 念 にの っ と り、行 政 文 書 の 開 示 を請 求 す る権 利 に つ き定 め る こ と等 に よ り、行 政 機 関 の保 有 す る情 報 の一 層 の 公 開 を図 り、 もっ て政 府 の 有 す る そ の諸 活 動 を国 民 に説 明す る責 務 が 全 う され る よ うにす る と と もに、 国民 の 的確 な理 解 と批 判 の 下 にあ る公 正 で 民 主 的 な行 政の推 進 に資 す る こ と」 と して い る。 そ して この 説 明 す る責 務(accountability)は 、将 来 の 国 民 - も同 じ く 全 うされ るべ きで あ る。情 報 公 開 の 制 度 的 保 障 と して公 文書 館 を ど う位 置 づ け 、 あ るい は機 能 せ しめ る こ と がで きるか が 、現 代 の公 文書 館 が 直 面 す べ き課 題 とい っ て よい と考 え る。今 後 設 置 され る公 文 書 館 は 、 この 文脈 で の 自己規 定 が 必 要 とな る だ ろ う。 た とえ ば 、板 橋 区公 文 書 館 開設 懇 談 会 に よる 「板 橋 区 公 文 書 館 開設 並 び に運営 に関す る答 申」 は 、設 置 の理 念 を次 の よ うに記 述 して い る0 E 呈 主 義 社 会/
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厨 か れ /rH 会構 造 のI に存 在 するo 公 文 紺 は、区
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史 をふ ii /=卵 Hの顔襟 を穿 い てい (店 カ を生 み 穿 てる尻
首 とな る もの であ るo こ こに営 iれ る #界 こそ li,
区
民 のB盾 32 公文書館法でい うところの 「公文書等」の定義 をは じめ とす る、制定時の論点 について は、 中野 日徹 「国立公文書 館 と r公文書館法j
」(
「歴史評論」1988年11月号 No.463所収 )が簡明なガイ ドとなったo公文書館の収集対象資料 に ついて、「実は総理府の解釈 もよ くよ く注意 して読めば、古書 ・古文書 も含めるが、それ は現 に国又 は地方公 共団体が 保管 している もののことで、それ らを積極的に収集 ・保有する ものではない とい うニュア ンスに気づ く。 したが って 、 本法の厳密な解釈 によれば、既存の公文書館等 における古文書その他の私文書の収集 ・保存は、従来通 り各施 設独 自の 判断で行 ってい くことに頼 らざるを得ない要素が大 きい」(中野 目、前掲、18頁 )と しているのは示唆的である。 また 、 平野邦雄は「
"
文書館 "には、その ような法的裏づけはな く、それを飛びこえて F公文書館法』 が成立 した。 もともと" 公文審館 "とは国または地方公共団体の保管す る公文書 、つ ま り"行政文書 ''を公開す るとい う行政上 の 目的 か ら設立 さ れたもので、『情報公開法』 とパ ラレルの関係 にある。行政 を、国民 と市民 に公開 し、 その透 明性 を高 め るのが El的で ある。学術的に価値の高い"歴史文書 "を時代 をこえて収集する"文書館 "と同一であるはず はない。 しか し、現在 、 "文 書館"はこの F公文書館法』 を準用す るほかはないのである。"文書館 "の将来 を切 り開 く方途 をわれ われ は考 えなけれ ばならない」(平野邦雄「
「歴史博物館」事始」
「博物館研究」平成11年8月号 No.375所収、7頁 ) と して い るが 、 こ のような直裁 なアプローチのほ うが、地方 自治体公文書館の今後のあ り方 を議論す るうえで有益の ように思 われる。 33 「日本のアーカイブスは、双頭のヤヌスの ごと く、前近代の古文書への 目配 りをす る一方で 、 E7々生 産 され る文書 資料を将来の利用に向けていかに保存 してい くか とい う作業 を営 まなければな りませんで した。 しか し文書館の現実は、 公文書館 と名乗 った機関であって も、歴史資料 と しての評価が きまった記録文書 、伝来 して きた古文書 ・古 記録 を重視 する風潮におか されがちです。それだけに文書館 には、将来大 きな意味 をもつであろ う歴史資料 として重 要 な公文書 を 保存利用 しうる機関 として、自己確立 をこころみることが問われてい ます」大漬徹也 「日本のアーカイブス-現在問われ るべ き課蓬 をめ ぐり-
」(
「EASTICA第3回総会報告書」所収 国立公文書館 1998年 )44頁. 如 コンパ ク トな解説及び閃接点の指摘があるのは、小川千代子 「国立公文書館法の成立」 (月刊rM '99-9月号所収 )、 石原一別 「匡J立公文書館法の成立について」 (全 史科協会報 No.491999.8所収 )、秦博 之 「情報公 開法 と文書管理」 (El立公文書館 アーカイブズ 創刊号 平成11年9月30日 所収 )、後藤仁 「自治体情報 公 開制度 と文書管 理」 (都 市 問題 第90巻第 9号 1999年9月 号所収 )など 35 「情報公開法 を適JT.かつ円滑 に運用するためには、適正 な文書管理が不可欠である。 存在 すべ き行政 文書 が確 認で きなかった り、行政文書未整理のため検索が困難であった りするようでは、開示請求に適切 に対応で きないおそれがあ る」秦、前掲、
7貝
・
垢
「およそ この ような整備 をお こなうために、一つ には、行政現場での文書管理実務 と、公文書館 における実務 とを、 それぞれの責任 を明確 に しつつ 、記録史料マ ネジメン ト (records-archivesmanagement)とで もい うべ きもの に統 合 できなければならない。現用 と非現用の境 に判然 と した区切 りを入れると同時に、 しっか りとした橋 を架ける。そ して、 業務記録 と歴史資料 を連続体 と して とらえ、マ ネジメ ン トシステムを組み上げるのである」後藤、前掲、37頁 。 また本 稿3.2で後述するように、情報公開が適切 な文書管理 :レコー ド ・マ ネージメン トを要求する帰結 として、管理の最終段 階における公文書館 は文書の全容 を捕捉することがで きる。それは よ り適正 な選別 ・評価 を可能にす るための条件 で も ある。意.=許を勉 に膚
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、.新 い 十地成文化 をGXJ遷Gクに発
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めることを可膚 とする370 歴史研究 を通 して 自治意識 を高揚 しようとい う立論 は新鮮 に映る。公文書館が歴史研究のプロフェッショ ナルだけの ものではな く、主権者すべてに向けて開かれるべ きことが ここに確認 されているのではないだろ うか。 3.2機 能の点検 3.2.1収集 と選別 公文書館が民主的な 「開かれた社会」 を制度的に保障する機関 として機能することが求められるとすれば、 その設置母体である組織 の意思決定や遂行の過程 を説明 しうる記録 を、体系的に収集 ・保存 し公開すること は、県公文書館の責務である。県文書が最終的に県公文書館-行 き着 くように規程等が整備 されたことは第2
章 に述べた とお りだが、このシステムによって もなお、す くいあげることの難 しい文書がある。保存期間 延長文書、常用文書 (主管課が常時利用するため継続 して保管 している文書 )、 1
年保存文書 、文書以外の 資料等の4
つである。 保存期間延長文書 とは、「保存期 間の満了 した文書であって、なお保存する必要がある と認 め られ る もの について、主管課長は、文書学事課長 と協議 して、その保存期間を延長することがで きる」 とされている文 書のことである38。 こうす ると、2
0
年保存の1
種文書で も、延長手続 きさえすれば従来の長期保存文書 と同 じく廃棄 されない。現実 には2
0
年保存文書の 8割強が延長申請 されている。ただ し、保存期間 を延長 した文 書で も、2
0
年保存文書 に相当する ものは、やは り当館 において保存することになっているので39、館 は少 な くとも物理的には2
0
年保存文書 をすべて確保で きるが、文書学事課が管理する文書保存管理室の延長の機能 を持 って しまう。 この延長2
0
年保存文書 については 「引渡」ではな く 「移管」 とい うことになっていて、延長 申請 された2
0
年保存文書 に関 しては、県公文書館 は場所貸 しを しているだけである。主管課では、保存スペ ースの問題が ないので、延長の申請がかえって心理的に容易 となるのか もしれない。この規定は、長期保存文書 をすべて2
0
年の有期限文書 とした ときに同時に付 け加 えられた もので、従来の長期保存文書 を有期限文書 として廃棄 決定することへの主管課の抵抗 を反映 しているといえる。各課 との廃棄協議の際 になるべ く延長を避けるよ う文書学事課で も指導 しているが、
1種文書の延長比率 は低下 していない40。 また、文書学事課へ引 き継がずに主管課で保存期間を満了 した文書 は、主管課長が廃棄の決定 を行い、文 書学事課長 と協議の うえ、保管文書引渡書 を添えて、県公文書館長に引 き渡す (1年保存文書 を除 く)こと になっている4'。 しか しいわゆる常用文書がこの引渡の対象 となることはほとんどないため、常用文書の数 量の把糧 と劣化防止の手段 を講 じる必要がある。 さらに、5
種 にあたる1
年保存文書の取扱いについて、主管課は文書学事課 に引 き継がずに保管 し、主管 課長が廃棄する42。 これは最初か ら県公文書館への引渡の対象外である。 この 1年保存文書 は、現 行上 、県 t7 板橋
L*.公文書館開設懇談会 「板橋区公文書館開設並びに運営に関する答申」、-IT'-・成11年10月12Hoこの答 小について は、懇談会委員長である大横徹也氏にご教示いただいた。ここに感謝する次第である。 l粥 沖縄県文書編集保存規程第13条第3項 -9 同第3条第2項。 4° 延長申請の見直しを数年おきにでも行うことを協議しているOまた、特に重要だと思われる文書は、原本を公文書 館に引き渡 したうえで複製物を提供するなどの申し入れをしている。 41 沖縄県文書編集保存規程 第14条公文書館 の直接 のチ ェ ックを経 る こ とな く廃棄処 分 され る。 もっ とも、文書学事課への引 き継 ぎを行 うク リー ン作戦の際 に、担 当者へ の注 意事 項 と して
、 1
年 保存 文書 で も 「歴 史的文書」 にあた る ものの ガイ ドラ イ ン を示 し、該 当す る もの は県公 文書館- 引 き渡す よ う指導 してい る430 1年保存 文書 に限 って 、 歴 史資 料 の 選 別を主管課 の担 当者が 、つ ま り県公 文書館側 で ない主体 が行 うこ とに なるが 、文書事務 担 当者 がその選 別 に 時間 と労力 をかけ てい る とは言 えない。 まず ユ年保存 文書 は何 のス ク リーニ ング もな く処 分 され ている とい うことの方 に配慮 しなけれ ばいけ ないだ ろ う44。 さらに重要 な点 と して 、狭義 の公 文書 以外 の記 録 を どう把握 す るか とい うこ とが あ る。つ ま り、決裁 な ど の手続 き的要件 を充 た した公 文書 は比較 的残 りやす いが 、その前段 階 の原案 や調整 の過 程 を示 す ような記録 類は、簿冊 と して綴 じ込 まれ る こ との ない まま45、行 き場所 を失 い 、最終 的 には担 当者 の私 的 な メモ ラ ン ダ ムや資料 と して扱 われ 、 ク リー ン作 戟 や担 当者 の異動 時 に廃 棄処理 され るか、 自宅等 に持 ち帰 られ る可 能性 もある46。 この ような形 で 、組織 の意思 決定過程 や業務 遂行 を跡 づ け る記録 が散 逸 して しま う こ とを防 ぐに は、2
通 りの方向か ら改 善策 を講 じなければ な らない だろ う。 まず 、それぞれの職貞 が作 成 ・保管 してい る 記録が公的記銘 なのか、私 的記録 なのか につい て認識 して もらうこ とで あ る47.公 的記 録 な らば そ れ は基 本 的に情報公開の対 象18であ り、公 文書館 へ いず れ引 き渡 さなければ な らない もの だ とい う意識 の浸 透 が 必 要 条件 といえる。 また 、技術 的問題 と して、その よ うに公 文 に付随 しない形 で発生 す る記録類 を フ ァイ リング するための フ ァイル基準 表 な どを用 意 しなければ な らない。従 来用 いてい る文書分類表 の見 直 しは この点 で も考慮すべ きであ る。 収集 レベ ルにおけ る これ らの問題 点 は、選別 のあ り方 に関 して も大 き く影響 す る。当館 は、選別 の大綱 と もいうべ き選別基準 を置 いて い るが 、それが選別 のマ ニ ュアル と して は機 能せず 、 さらに細則 を定 め る必要 42 文書学事課が示 している、各課で廃棄 してよい文書のガイ ドラインは以下のとお り。①保存期 間が満了 した第 5種 (1年保存)文書 ②事務連絡などの軽易な文書で用済みの もの ③案内状、送 り状、礼状などで供覧済み なもの ④係 あるいは課 として1部保存 しておれば用の足 りる文書で、重複 しているもの (9法令、規則 などで既 に法規集 に収録 さ れているもの(各課が保管するものを除 く) ⑥調査及び統計の基礎 となった資料で用済みのもの ⑦官報及び公報で用 済みのもの(各課で保管するものを除 く) (参その他、メモ、コピー資料などで活用度の低いもの 43 文書学事課が示 している 「歴史的文書」の選別基準は次のとお り.これは公文書館選別基準の作成にあたって も参 考となった。「保存期間が満了 している文書のうち、第5種文書以外はすべて公文書館へ引き渡すことになっているが、 第5種文書にあっても、次に該当するものは歴史的文書 として公文書館へ引 き渡すこと。①県行政の総合計画、総合調 整及び重要な事業の計画 ・実施に関する文書(例 重点施策等の企画 ・立案 ・執行関係 ) (参渉外 に関す る文書(例 国 際交流 .基地対策 ・駐留軍関係文書等) ③審議会、調査会等の重要な議事に関する文書 (む褒賞、表彰に関す る文書 ⑤住民の権利義務や利益 とかかわる文書(例 開発許可申請 ・資格 ・土地関係の文書等) ⑥損害賠償及び損失補償に 関する文書 (∋重要な事件、行事等県政及び社会の情勢を反映する文書(例 海洋博 ・国体関係文書等 )(砂歴史資料 と して価値有る文書が含 まれている可能性の高い文書 (例 報告書 ・復命書等)(9その他将来歴史的 ・文化的 ・学術 的 価値が生ずると認められる文書 .4 1年保存文書 とされているものの簿冊の種類 を洗い出 して、文書分類表における位置づけを攻めることで何 らかの 手当てができないかと考えている。 45 ファイリングシステムはこの欠点を改善するのに有用か もしれない。ただ し知事部局でファイ リングシステムを導 入しようとして不調に終わ り、結局もとの簿冊管理に戻った経験がある。この原因については改めて検討 したい と考え ている。 46 アメ7)カの事例に、キッシンジャー国務長官が退官の際に国務省から持ち出 した電話記録 は情報 自由法の対象外 と 判断されたものがある。持ち出 された結果、行政機関 :国務省の管理の及ぶ ものではないという解釈である。逆 にい う と、持ち出されなければ 「機関記録 (agencyrecords)」だったわけだから、この ように持 ち出 されることを防止する 手段を講 じることが必要になるだろう。この裁判の論点は情報公開の対象文書の範囲であるが、情報公開の対象文書で あるなら、当然に公文書館へ送 られるべ き文書 と考えてよい。この判例については本稿執筆に際 して詳 しく検討するこ とができなかったが、アメリカの情報公開法における対象文書(それが行政機関の記録にあたるかどうか)については、 杉浦允他 「情報公開 と文書管理」(ぎょうせい、平成10年9月)、95-97頁。があることは上述 した とお りである。ただ し、選別 を行 う大前提 は、そのルール作 りもさることなが ら、よ り体系 的な遠別 を行 うため に、発生す るすべ ての文書の有機 的な結合 を分析す ることである。それを可能に す る収集体制の確立 な くして選別理論 を適用す ることには大 きな矛盾があるように思 える。前項でみたよう に、文書学事課へ も引 き継がれない文書 はかな りの量 にのぼる もの と思われる。た とえば主管課のなかには、 ここ
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年の間 に、予算諸調書 関係、文書管理簿冊関係 、備品台帳、出勤簿 、旅行命令簿、有給休暇欠勤簿関 係 といった ようなルーテ ィー ン文書 だけを廃棄決定 ・引渡す に とどまっている課 もある。 また、先 に述べ た通 り、意思決定の過程 を跡づ けるメモ類や覚書 、内部資料 な どは、現状ではコー ド化す ることさえ不可能 に近い。 この ような状態で、 自治体の作成す る公文書か ら後世 に伝 えるべ き歴 史資料 を選 別す る と言 ってみて も、説得力 に欠けることは否めないだろ う。主管課が無害 だ と判断 した群的 まとま りの 不完全 な文書の中か ら、 さらに ピンポイン トで収集す る作業 を選別 とす るなら、そ こにはその作業 に携 わる 者の主観が よ り一層介入 しやすいだろ うし、選別の客観化 ・体系化 を達成す ることは困難 になって くる。 こ のことについて辻川敦氏 は次の ように述べている。 このよ うを
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整理 と利用 収集 ・選別には以上の ように多 くの改善 を要す る点があるが、長期保存文書の有期限化 な どによ り、これ まで 自由な閲覧の対象 とな らなか った文書が、閲覧室で公開で きるようになった。2
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(平成1
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年1
月現 在 、施政権返還以降の沖縄県文書約1
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簿冊が コンピューターによる一般利用者検索の対象 となっている50。 ただ し、その うち4
割が個人情報等 を含むため一部非公開 または全部非公開である。 47 松iHi他榊 PJ斉には、機関記録(agencyrecords)か私的記録(personalrecords)かの判断の目安として米阿†り法省があ げた具体的なチェックポイントを示 している。たとえば 「その文書は職員によって、勤務時間中に、様関の文具により、 機関の掛 目によって作られたか」
「その文書は職員個人の私的便宜のためにのみ作成されたか、それともどの#.度公務 のために作成されたのか」
「その文書の作成者は公務のためにそれをどの程度使用したか、他の者 も使用 したか」 など (DepartmentofJustice-FOIA UPDATEFal
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からの引用)04A もっとも、県の情報公開条例の対象公文書は 「実施機関の職員が職務上作成 し、又は取得 した下記の文雷等で、決 裁などの手続 きが終TL、実施機関が管理 しているもの」としている。
49 辻川、前掲
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頁。50 職員検索機能を用いれば、末選別の県文書 も箱単位ですべて検索できる。行政利用には主にこの機能で対応 してい