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はじめに・訳者序文(pdf)

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Academic year: 2021

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pLATEX: liou : 2014/7/14(11:17)

はじめに

「大気放射学(An Introduction to Atmospheric Radiation (Second Edition))」の執筆は,私が1997 年9月にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles (UCLA))へ 異動したときに始められました.私は大気放射学(atmospheric radiation)とリモートセンシング

(remote sensing)に関係するいくつかのコースで教鞭を取っており,最新の教材を必要としてい ました.さらには,初版の出版から20年が経過して,主に温室効果ガス(greenhouse gas)によ る地球温暖化(global warming),気候(climate)や気候変動(climate change)におけるエーロゾル

(aerosol)と雲の効果,及び気象や気候のモデル化(modeling)を助け完全なものとするためのリ モートセンシングによる全球観測データへの要求が相まって,全球の気候の研究は,大気放射学 の分野に豊かな知見をもたらしました.大気放射学の分野への義務と責任から,私は,最新の研 究の進展を含むこの分野の現状を反映した書物を完成させることを決心しました.

第二版では,放射伝達理論(theory of radiative transfer)とともに,地上,上空,及び宇宙から の放射観測を通じて,惑星大気中の分子(molecule),エーロゾル,及び雲粒子(cloud particle)に 関する太陽放射(solar radiation)と地球放射(terrestrial radiation)の相互作用(interaction)の基礎的 な研究,物理的な理解,及び定量的な解析の改訂が広範囲に行われるよう努めました.

本書第二版には,およそ70%に新しい話題が盛り込まれています.けれども,可能な限りその 多くは,内容の改訂と追加を基本として,初版で作り上げた章の構成を踏襲することとしました. 新しいテーマとして,赤外放射伝達(infrared radiative transfer)のための相関k分布法(correlated k-distribution method) (CKD法),氷晶(ice crystal)と非球形エーロゾル(nonspherical aerosol)によ る光の散乱(scattering),及び平行平面大気(plane-parallel atmosphere)を仮定しては扱えない放射 伝達における先進的な話題――これらに限りませんが――が含まれ,それぞれ第4章,第5章,第 6章で解説されます. リモートセンシングの研究課題は,それ自身が主要な学問分野であるとともに,そのほかの多 くの分野にも関連します.けれども,第7章において私は,大気と地表面(surface)のパラメータ を推定するためのリモートセンシングの手法を解き明かす基礎的な放射伝達原理の応用について 論考します. 地球の気候と気候変動に関する理解は,地球大気系(earth-atmosphere system)における放射過

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ii はじめに

程(radiative process)の総合的な理解から始まらなければなりません.第8章において,私は,熱 バランスを考えた気候における放射の役割に関する説明から出発して,単純化された1次元気候 モデル(one-dimensional climate model)や全球気候モデル(global climate model)に関連付けて放 射の役割を説明します.

原稿の打ち込み,編集,コンピューター・グラフィックスなどの原稿作成にお手伝いを頂いた

Jennifer Kibbe,Melissa Licker,並びに高野精秀(Yoshihide Takano)の諸氏にお礼を申し上げたい と思います.諸氏の献身的な助力なしには,自らとAcademic Press社で決めた予定内に本書第二 版を完成させられなかったかもしれません.これは,特に私の部門長としての責任やそのほかの 学術的な責務から見てのことなのです.私はまた,研究に向かう精神力を補い,本書で解説され るいくつかの成果を生み出してくれた数多くのすばらしく有能な学生とともに活動できたことを 幸いに思います. 何人かの仲間がそれぞれ別の章について有益な意見と示唆を与えて下さいました.とりわけ,

Ute Böttger,Thomas Charlock,Annmarie Eldering,Frank Evans,Qiang Fu,Nori Fukuta,Michael Mishchenko,Steve S. C. Ou,Irina Sokolik,Ping Yang,並びにCharles Zenderの諸氏にお礼を申

し述べたいと思います.彼らのうち幾人かは,大気放射学の授業の講義に第1∼4章の草稿を利 用されました.

私の学問研究への絶え間ない意欲を掻き立てて下さったことについて,大気放射の題材で二 冊の書籍を上梓されたRichard Goody氏,並びに本書と平行して流体力学の教科書を上梓された

Wilfried Brutsaert氏に謝意を表したいと思います.最後に,このプロジェクトへの励ましと支援 に関して,国際地球物理学シリーズの編集者James Holton氏,並びにAcademic Press社物理科 学編集長Frank Cynar氏に感謝致します.なお,本書第二版執筆の間,私の研究計画が,全米科 学財団(National Science Foundation (NSF)),アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration (NASA)),米国エネルギー省(The Department of Energy (DoE)),及び米空軍科学 研究局(The Air Force Office of Scientific Research (Air Force/OSR))の継続的な支援を受けており ましたことをここに記します.

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訳者序

太陽から降り注ぐ光のエネルギーは,地球の大気の流れを司る重要な駆動源である.そし て,大気放射は,地球大気系のエネルギー伝搬の重要な担い手である.大気放射学は,気象学 (meteorology)の一分野であり,宇宙などから地球を観測するリモートセンシング技術(remote sensing techniques)の基礎原理でもある.しかしながら,日本語で書かれたこの分野の教科書は 限られていた. 本書は,カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の特別教授K. N. Liou博士の著書An Introduction to Atmospheric Radiation (Second Edition)の翻訳書である.Liou博士は,長年,大気 放射学の研究と教鞭に携わり,その豊富な知見と経験を基に本書を上梓された. 大気放射学は,物理学の中でも比較的新しい分野であるが,数々の先人達の不屈の努力と偉業 をもとに発展してきた歴史がある.本書は,これら先人の業績を広範に振り返りつつ,著者自身 の業績を基礎に,読者を大気放射学とその応用技術であるリモートセンシングの深奥へと誘って くれる.特に,散乱に関しては,初学者にはかなり高度と思われるところまで議論を発展させて いることが本書の特徴でもある. 翻訳にあたっては,読みやすさという点も考慮しつつ,可能な限り原著に忠実となるよう努め た.そして,不明な点は著者に照会するなどして,正確さに心がけた.また,本書は,気象庁の 数値解析予報システムのためのデータ同化や衛星リモートセンシング(satellite remote sensing)等 の開発に携わる気象庁数値予報課,気候情報課,気象研究所,並びに気象衛星センターの有志に よる自主的な大気放射学の勉強会において,教科書として用いられた.本勉強会における活発な 議論や数多くの指摘が,本書の訳出に際して大変に参考になったことを,感謝の意を込めてここ に記したい. 本書が,気象学を志す学生諸君や社会人としてリモートセンシング技術の応用に携わる諸氏の 座右の書となり,我が国における大気放射学やリモートセンシング技術の発展の一助になれば, 訳者一同,望外の慶びとするところである. 最後に,本書の翻訳に際して数々の有益なご助言,ご示唆,そして心温まる激励を下さいまし た東北大学名誉教授浅野正二博士,故青木忠生博士,並びに本書の出版の労をお取り頂いた共立 出版の島田誠様にこの場を借りて厚く御礼を申し上げる. 2014年7月 訳 者

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