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多点風圧風洞実験システムの開発

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Academic year: 2021

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多点風圧風洞実験システムの開発

西村宏昭

* 1. 研 究 の 目 的 建築物の耐風設計には縮小模型を用いた多点風圧測定が欠かせない。従来,市販の多点風圧測定 システムは,数百個の圧力センサーを A/D 変換器を用いて PC に取り込む方式を採用している。こ の方法には,次のような問題がある。 ・ 高価;400 個の圧力センサーのシステムで 3,000〜5,000 万円程度 ・ PC の OS に依存;PC の OS がグレードアップされると,PC 本体,インターフェイス,ソフ トウェアも更新が必要になる場合がある ・ 長いケーブルが必要;風洞下部に置かれた圧力計測装置と計測室間を結ぶ数 m から十数 m に及ぶ信号ケーブルが必要 これらの問題点を解決するために,マイクロコンピュータ(マイコン)を中心として多点圧力計 測システムを開発する。本研究では,システム開発の基本設計と実装に伴う問題点を解決する。多 点風圧計測システム開発の目標は次のとおりである。 ・ 300 点以上の多点圧力同時計測 ・ 250Hz 以上の高速サンプリング ・ データのネットワーク転送 多点風圧計測は,多い測定点を高速にサンプリングする必要があり,他の計測と比べて非常に難 易度が高い。数点程度の測定項目を比較的ゆっくり測定するなら,どのようなマイコンを使っても 可能であるが,多点・高速測定の使用に適したマイコンは数少ない。これらの中から多点・高速計 測にふさわしいマイコンを選択し,それらを組み合わせて計測システムを構築する。 2. 研 究 の 方 法 (1) 多点風圧計測に用いるマイコンの選定 近年,多様なマイクロコンピュータが開発され,研究や実務にも使われてきている。それらは PC と比べて安価であるが,制約も多い。マイコンを大別すると,OS 上で動作するものと,OS がなく プログラムのみで動作するものに分けられる。OS 上で動作するマイコンの代表は Raspberry Pi で, Linux OS が搭載されている。OS を介在しないマイコンの代表は Arduino や mbed で,電子工作など に広く使われている。 Raspberry Pi は,Linux OS 上で動作し,インターネット通信やファイル管理,プログラム開発, 大きいメモリなど,計測に必要な機能が備わっており,少数・低速サンプリングには問題がないが, 多点・高速サンプリングには欠点がある。サンプリング中に OS がサンプリング以外のタスク(例 えば,キーボードやマウス,またはインターネットの監視)を実行し,サンプリング間隔が不定期 に変化する。OS のタスクはプログラムの実行より上のレベルに位置するためこの問題は回避でき ず,最大 2ms 程度の遅延が発生する。 OS が搭載されていないマイコンは,プログラム実行中に OS の介入がないため,決められた時間 間隔で高速サンプリングすることができるが,一般にメモリが小さいことが欠点である。その中で GR-Peach という mbed マイコンは,10MB の RAM をもち,多点・高速サンプリングが可能である。 本計測システムでは,Raspberry Pi と GR-Peach を組み合わせて構築することとした。 (2) メモリとサンプリング周波数の検討 GR-Peach は 7 個の A/D 変換ポートをもち,16ch のアナログマルチプレクサと併用することによ り,7×16=112ch の測定が可能である。1ch あたり,32,768 個のデータを 2 バイト変数で記憶すると, 7.168MB のメモリを消費し,RAM の約 7 割を使うが,問題はない。なお,他のマイコンではこれ *京都大学・防災研究所・研究員

(2)

ほどの大きいメモリをもっていない。

サンプリング間に 1ms の待ち時間を入れて,約 3kHz のサンプリング周波数を実現した。待ち時 間の調整によってこれ以下のサンプリング周波数を容易に調整できる。通常の風洞実験では最大サ ンプリング周波数は 1kHz 程度であるので,初期の要求を満たすことが分かった。

(3)データのネットワーク転送

GR-Peach は OS システムのマイコンではないので、Windows 機や Linux 機のようにネットワーク を用いたデータ転送が簡単ではない。現時点では,GR-Peach でデータ転送のプログラムが作られて いないので,FlashAir を用いたファイル転送を利用した。FlashAir は WiFi 機能をもつ SD で、デジ タルカメラ内部の写真をスマートフォンに無線で転送するなどの用途で用いられることが多い。 FlasAir の利用によって,SD に記録されたデータをネットワーク接続された PC に転送することが可 能となり,計測室から実験室風洞下に設置した計測システムのデータを吸い上げることができる。 (4) 制御用マイコンのリモートコントロール 実験中にデータの詳細な検討は行わないが,計測の進行状況の確認は必要である。また,複数の GR-Peach に測定開始のトリガー信号を与えるための制御用マイコンに Raspberry Pi を用い,これを 計測室の Windows PC でリモートコントロールする。これにより,PC の操作で Raspberry Pi を制御 し,計測状況を PC の画面で確認することが可能になる。 3. 得 ら れ た 成 果 以上の検討から,計測室の PC から風洞内にある風圧計測システムをリモートコントロールし,計 測状況を監視でき,記録されたデータの転送も可能になった。計測システムの概要図を下に示す。 開発した計測システムは,現在入手可能なマイコンを用いて構築したものである。開発速度の速 い電子技術の分野では,さらに有益な技術が応用できるかもしれない。特に,得られたデータをク ラウド上に保存し,どこからでもデータを入手できる方法は検討の余地がある。 2. 3. 64ch × 1.3kHz A/D 4. LAN 1) Raspnerry Pi 2014.

Windows7 Raspberry pi GR-Peach1

112ch 112ch FlashAir1 FlashAir2 × SSH 64ch 64ch

Windows7 Raspberry pi GR-Peach1

GR-Peach2 64ch 64ch FlashAir1 FlashAir2 SSH

Windows7 Raspberry pi GR-Peach1

GR-Peach2 64ch 64ch FlashAir1 FlashAir2 SSH GR-Peach2 112ch FlashAir3

Windows7 Raspberry pi GR-Peach1

GR-Peach2 64ch 64ch FlashAir1 FlashAir2 SSH GR-Peach3 4. 謝 辞 本開発研究は,オールセンサーズアジアパシフィック株式会社より委託されたものである。関係 各位に感謝申し上げます。 参 考 文 献 1. 大川善邦:Raspberry Pi 実測データの周波数解析, eBooK 2014 2. 大川善邦:Raspberry Pi センサーサンプリングプログラミング, eBooK 2014

参照

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