総合的な学習の時間 学習指導案
尾 道 特 別 支 援 学 校
授業者 T1 教諭 山本 將二朗
T2 教諭 室井 菜穂子
1 日 時 平成 29 年 12 月9日(土) 第3校時( 10:30 ~11:20 )
2 部門・学部・学年 知的障害部門 高等部 第2学年(計6名)
3 場 所 知的障害部門 高等部 第2学年2組
4 単元名
「修学旅行に行こう」
5 単元設定の理由
○生徒観
本学級は,男子5名,女子1名の計6名の単一障害学級である。生徒は知的障害がある。男子生徒A
は自閉症があり,見通しが持てない活動が続くと,イライラすることが多い。男子生徒Bは,作業能力
やコミュニケーション能力が高く,協調性もあるが,自信が持てず,積極性に欠ける部分がある。また,
漢字の読み書きが苦手である。男子生徒Cは,問いに対して適切な答えを導き出す様子が度々見られる
が,それを言語化することは苦手である。女子生徒Dは,自閉的な傾向があり,活動に見通しが持てな
いと緊張してしまうところがある。男子生徒Eは,目に見えない抽象的な事象について考えることが苦
手で,苦手なことに対しては意欲が持ちにくい。男子生徒Fは,授業では,積極的に発表し,主体的に
活動に取り組む様子が見られるが,間違えたり失敗したりすると,それを気にして感情的になってしま
うことがある。
これまで総合的な学習の時間の授業では,修学旅行で訪問する台湾の姉妹校との交流に向けて,事前
学習に取り組んできた。生徒は,言葉が伝わらない姉妹校の生徒に対して,折り鶴の折り方を教える方
法を考え,手順表を作成し,練習を行った。生徒Bを中心に話し合い,生徒自身で決めていく様子が見
られた。また,練習の様子をタブレット型端末で撮影し,動画で振り返らせることで,良かった点や改
善点を考えることができた。しかし,学級単位の授業の中で,指導者や友だちに対して折り鶴の折り方
を教える練習では,言葉が通じない他者を具体的にイメージすることが難しく,練習に対して意欲が持
ちにくい生徒もいる。また,1名の生徒は,
「修学旅行」や「台湾」と「折り鶴」を結び付けることが難
しく,実際に経験することによって認識することが必要である。
○単元観
本単元は,修学旅行の事前・事後学習において,協同的な学習を通して課題解決に向けて取り組もう
とする態度を身に付けることをねらいとし,
「課題発見・解決学習」の視点を取り入れて設定したもので
ある。修学旅行先の姉妹校で折り鶴を教えるという必然性から,生徒に「何とかしたい。
」と感じさせ,
自らの課題意識へと繋げることができると考える。折り鶴にはどのような折り方や種類があるか,どの
ような教え方があるか等を質問させたりPCやタブレット型端末で調べさせたりしながら,適切な方法
を考えさせ,準備や練習をさせる。
「実行」にあたる「折り鶴教室」を振り返らせ,まとめさせることは,
次の課題へと繋がりやすい。
事後学習は,修学旅行での姉妹校との交流を振り返り,まとめ,発表するという内容である。生徒に
とっては,実際に姉妹校の生徒に教えることを体験することで,事前学習で活動に意欲が持てなかった
生徒も達成感が得られ,また,学びを次に繋げることができる。見通しを持たせた上で,その達成感や
学びを生徒の学習実態に応じて,自らの言葉で文章にさせたり,発表させたりすることで,生徒の体験
はより深いものとなると考える。また,事前学習では「修学旅行」や「台湾」と「折り鶴」が結び付か
ないまま練習をしていた生徒も,実際に経験することにより,事後学習では「修学旅行」で「台湾」へ
行き,
「折り鶴」をしたと実感しやすい。
また,3月の単元「新年度に向けて」の授業で,交流の振り返りを第1学年に伝える機会を設けるこ
とで,言語化してまとめることに必然性を与え,振り返りを次に繋げることができると考える。
○指導観
指導にあたっては,次のことに留意する。
(1)修学旅行での交流が生徒にとって成功体験となるよう,本時の導入部分で生徒がそれぞれ「で
きた」
「がんばった」と感じた点を発表させるなど,言語化させていく中で達成感を感じさせる。
また,事前学習で活動に意欲が持てなかった生徒に,修学旅行の交流という実際の経験を経て,
どのように感じているかを振り返らせ,修学旅行前後の変化を取り上げる。
(2)振り返りの場面では,生徒の実態に応じ,発問に答えさせる生徒と書いたものを発表させる生
徒に分ける。話し言葉と書き言葉のより得意な方を用いて振り返らせることで,学びをより深め
させるようにする。
(3)修学旅行に参加しなかった生徒も授業に主体的に参加できるよう,友だちの良かった点や頑張
っていた点,改善点等を動画から探させ,発表させる活動を取り入れる。また,修学旅行当日の
「折り鶴教室」だけでなく,準備等も含め単元全体を振り返らせることで,今後の授業に対して
必然性を持たせる。
(4)本時の目標・流れを視覚的に提示し,生徒に読ませることで,見通しを持たせるようにする。
また,動画を用いることで視覚的に振り返らせ,
「修学旅行」で「台湾」へ行き,
「折り鶴」をし
たことを思い出させる。
6 単元の目標
○協同的な学習を通して課題解決に向けて取り組もうとする態度を身に付ける。
7 単元計画 (全9時間 本時 8/9時間)
次
時間
学習活動
(課題発見・解決学習)
評価規準
1
1
修学旅行先(台湾)で,姉妹校の生徒に
折り鶴の折り方を教えることを知る。
(課題の設定)
折り鶴の折り方を教えるための方法を
考えようとしている。
2
折り鶴の折り方を教えるために,適切な
方法を調べ,考える。
(情報の収集)
折り鶴の折り方を教えるための方法を
調べようとしている。
3
自分達で考えた方法に沿って準備や練
習をする。
(創造・表現)
自分達で考えた方法に沿って準備や練
習をしている。
(修学旅行【特別活動】の姉妹校交流に
おける折り鶴教室で,自分達が考えた方
法で,折り鶴の折り方を実際に教えてみ
る。
)
(実行)
2
2/2
(本時)
修学旅行の折り鶴教室での姉妹校生徒
への教え方について振り返る。
(振り返
り)
修学旅行の折り鶴教室での姉妹校生徒
への教え方について振り返っている。
1
修学旅行の振り返りをまとめ,発表す
る。
(まとめ・表現)
修学旅行の振り返りをまとめ,発表して
いる。
8 本時の目標
(1)全体の目標
○修学旅行の折り鶴教室での姉妹校生徒への教え方について振り返ることができる。
(2)個別の目標(別紙参照)
9 準備物
タブレット型端末,HDMIケーブル,HDMI変換アダプター,プロジェクター,ノートPC,振
り返りプリント
10 学習過程(別紙参照)
11 教室内配置図
12 主要参考文献
○茨城県教育委員会(平成 15 年度)
「特別支援教育における『総合的な学習の時間』実践事例集」
C
C
E
A
A
B
D
ホワイトボード
机
プロジェクター洗面台
教卓
E
F
机
PC T1 T2ホワイトボード
8 本時の目標
(2)個別の目標
生徒
これまでの様子
現在の課題点
(内容表の段階)
手立て
目標(評価基準)
A
【学習の程度】 ○授業者や友だちが横で一緒に折ることで,折り鶴を折ることが できる。 ○平仮名で書かれた文字を書き写すことができる。 【活動の様子】 ○「何」「どこ」「誰」などの簡単な問い掛けに対して,語尾が疑 問形のイントネーションで答えている。 ○授業内容と関係のない言葉を発したり,授業者に話し掛けたり することがある。 「聞く・話す」 小2段階(1)3視
○
Ⅰ:動画を見て,「修学旅行で折ったのは?」という発問に 対して,折り紙で折られた箱と折り鶴から折り鶴を選ぶこと ができる。 Ⅱ:「修学旅行で折ったのは?」という発問に対して,折り 紙で折られた箱と折り鶴から折り鶴を選ぶことができる。言
○
モ
○
身
B
【学習の程度】 ○折り鶴教室の学習活動を進めていく上で,学級の中心となって 活動してきた。 ○自分の役割だけでなく,友だちの役割に対してもアドバイスす る等,考えて活動する様子が見られる。 【活動の様子】 ○漢字の読み書きが苦手である。 ○授業者が生徒全体に向けて発言や行動を求めたときに,周りの 様子を見て,自分しかいない状況だと判断したときには,発言し たり行動を起こしたりすることができる。 「聞く・話す」 高2段階(2)8視
○
Ⅰ:折り鶴教室の振り返りを自分の考えを整理して発表する ことができる。 Ⅱ:折り鶴教室の振り返りを自分の考えを整理し,筋道を立 てて発表することができる。言
○
モ
身
C
【学習の程度】 ○教える練習を繰り返し行わせる中で,自信を持って活動に取り 組む様子が見られるようになってきた。 ○選択肢から選んで振り返ることができるが,その理由を考え書 くことが難しい。 【活動の様子】 ○問いに対して適切な答えを導き出す様子が度々見られるが,そ れを言語化することは苦手である。 ○どうすればよいか理解できると自信を持って活動に取り組む様 子が見られる。 「書く」 中段階(4)2視
○
Ⅰ:折り鶴教室の振り返りをプリントに書くことができる。 Ⅱ:自分の発言を基に,折り鶴教室の振り返りをプリントに 書くことができる。言
○
モ
身
D
【学習の程度】 ○教える練習では,手順表を見せる役割を担当し,練習してきた。 ○助詞等を適切に扱い,因果関係を考えながら文章を書くことが できる。 【活動の様子】 ○分からないという結論に達することも多いが,自分が納得でき る答えを導き出すまで,根気強く考え続ける様子が見られる。 ○気になったことをその都度授業者等に確認することが多い。 「書く」 高1段階(4)3視
○
Ⅰ:折り鶴の手順表が適切であったかどうかとその理由をプ リントに書くことができる。 Ⅱ:自分の発言を基に,折り鶴の手順表が適切であったかど うかとその理由をプリントに書くことができる。言
○
モ
身
E
【学習の程度】 ○ピンセットを使用して小さな鶴を折ることができ,授業時間外 にも熱心に取り組む様子が見られた。 ○言語による表現が苦手であり,特に書き言葉に対しては苦手意 識が強い。 【活動の様子】 ○要領よく活動することを好み,効率的に作業するための手順や 方法を考えることが得意である。 ○経験していないことに対してイメージすることが苦手であり, 苦手意識があることに対しては意欲が低い。 「聞く・話す」 小3段階(2)4視
○
Ⅰ:折り鶴教室の振り返りを自分の言葉で発表することがで きる。 Ⅱ:折り鶴教室の振り返りを聞き手に分かるように発表する ことができる。言
○
モ
身
F
【学習の程度】 ○姉妹校の生徒役で折り鶴を教わり,折り鶴の練習をしてきた。 ○物語を創作したり,執筆したりする等,文章を書くことには意 欲的である。 【活動の様子】 ○積極的に発表し,主体的に活動に取り組む様子が見られる。 ○間違えたり失敗したりすると,それを気にして感情的になって しまうことがある。 「書く」 中段階(4)2視
○
Ⅰ:動画を見て,折り鶴教室の振り返りをプリントに書くこ とができる。 Ⅱ:動画を見て,自身の発言を基に,折り鶴教室の振り返り をプリントに書くことができる。言
○
モ
身
※視:視覚支援,言:言葉掛け,モ:モデリング・指さし・ジェスチャー,身:身体的補助
※評価基準 Ⅰ:本時で目指す達成段階 Ⅱ:次に目指す達成段階
10 学習過程
学習活動
指導上の留意事項(□課題 ○支援 ☆評価)
A
B
C
D
E
F
全体における留意点
1 挨拶をする。 (1分) 2 本時の目標・流 れを知る。(1分) 3 前時に選んだ, 自分や友だちが「で きた」「がんばった」 ところを発表する。 (12 分)(振り返り) 4 交流の振り返 りを第1学年に伝 えることを知る。 (4分)(課題の設 定) 5 動画を見て,教 ○「お願いします。」と 挨拶するよう,言葉掛け をする。(T2) ○授業者が一緒に前に 出て,発表するよう促 す。(T2) ○生徒が使っているも のと同じ形式のカレン ダーを提示する。(T2) ○第1学年に伝えたい ことを考える活動に意 欲を持たせるために,一 緒に準備や練習に取り 組み,手順表を使ってき たことから分かること があることを伝える。 (T1) ○第1学年に伝えたい ことを考える活動に意 欲を持たせるために,一 緒に練習に取り組み,姉 妹校の生徒役として教 わってきたことから分 かることがあることを 伝える。(T1) ○気をつけの姿勢を保って 挨拶を行うよう促す。 ○本時の目標・流れをホワイ トボードに記入し,生徒に読 ませることで,見通しを持た せる。 ○生徒が「できた」「がんば った」と選んだ場面をプロジ ェクターで映して見せる。 ○発表内容を前時に考えさ せる。 ○次時の発表に見通しを持 たせるために,次時と同じ形 式で発表させる。 ○3月に第1学年との合同 授業があることを知るため に,カレンダーや第1学年の 写真を提示する。 ○第1学年に伝える必要感 を持たせるために,修学旅行 前の発言を提示し,第1学年 も修学旅行前には同じよう な心境になるであろうと想 定させる。え方について振り 返る。(10 分)(振り 返り) 6 振り返りをプ リントに書く。(10 分)(まとめ・創造) 7 振り返りを発 動画を見て,「修学旅行 で折ったのは?」という 発問に対して,折り紙で 折られた箱と折り鶴か ら折り鶴を選ぶ。 ○発問に対して,迷った り,箱を選んだりしたと きに,タブレット型端末 を使って動画を見せる。 (T2) ☆動画を見て,「修学旅 行で折ったのは?」とい う発問に対して,折り紙 で折られた箱と折り鶴 から折り鶴を選ぶこと ができたか。 ○動画を見せながら,① どこで②誰と③何をし たかについて発問する。 (T2) ○文章の見本を提示す る。(T2) ○折り鶴やクラスメー トの写真を提示し,生徒 の発言を視覚化する。 (T2) ○生徒Fと共にタブレ ット型端末を使って動 画を見ながら振り返ら せる。(T1) ○生徒D,生徒Eと共に タブレット型端末を使 って動画を見ながら振 り返らせる。(T1) 折り鶴教室の振り返り をプリントに書く。 ○自分や友だちの発言 をホワイトボードに残 しておく。(T1) ☆折り鶴教室の振り返 りをプリントに書くこ とができたか。 ○生徒C,生徒Eと共に タブレット型端末を使 って動画を見ながら振 り返らせる。(T1) 折り鶴の手順表が適切 であったかどうかとそ の理由をプリントに書 く。 ○自分や友だちの発言 をホワイトボードに残 しておく。(T1) ☆折り鶴の手順表が適 切であったかどうかと その理由をプリントに 書くことができたか。 ○生徒C,生徒Dと共に タブレット型端末を使 って動画を見ながら振 り返らせる。(T1) ○生徒Bと共にタブレ ット型端末を使って動 画を見ながら振り返ら せる。(T1) 動画を見て,折り鶴教室 の振り返りをプリント に書く。 ○自分や友だちの発言 をホワイトボードに残 しておく。(T1) ☆動画を見て,折り鶴教 室の振り返りをプリン トに書くことができた か。 ○生徒の発言をホワイトボ ードに記入して残す。 ○第1学年に伝えたいこと を考える上での視点を持た せるために,例となる動画を 用意しておく。(生徒B~F に対して)(T1) ○第1学年に伝えたいこと という観点で振り返らせる。
表する。(10 分) (表現) 8 次時の予定を 知る。(1分) 9 挨拶をする。 (1分) ○授業者が一緒に前に 出て,発表するよう促 す。(T2) ○6で作成したプリン トを使用しながら,生徒 の発言を促す。(T2) ○「ありがとうございま した。」と挨拶するよう, 言葉掛けをする。(T2) 折り鶴教室の振り返り を自分の考えを整理し て発表する。 ○発表の型を掲示し,プ リントに書き終わって いなくても発表できる ようにさせる。(T1) ☆折り鶴教室の振り返 りを自分の考えを整理 して発表することがで きたか。 ○プリントに書き終わ ってから発表できるよ うにさせる。(T1) ○プリントに書き終わ ってから発表できるよ うにさせる。(T1) 折り鶴教室の振り返り を自分の言葉で発表す る。 ○発表の型を掲示し,プ リントに書き終わって いなくても発表できる ようにさせる。(T1) ☆折り鶴教室の振り返 りを自分の言葉で発表 することができたか。 ○プリントに書き終わ ってから発表できるよ うにさせる。(T1) ○学級全体に向けて発表さ せる。 ○気をつけの姿勢を保って 挨拶を行うよう促す。