統合マネジメントシステムに関する研究−環境マネ
ジメントとCSR と自己(適合)宣言を中心に−
著者
島岡 純一
学位授与大学
東洋大学
取得学位
博士
学位の分野
経営学
報告番号
32663甲第369号
学位授与年月日
2014-09-25
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006740/
2014年度
東洋大学審査学位論文
統合マネジメントシステムに関する
研究
-環境マネジメントと CSR と自己
(適合)宣言を中心に-
経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻
博士後期過程
3 年
学籍番号
4320110001
島岡
純一
謝辞
本論文は筆者が東洋大学大学院経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻博士 課程に在籍中の研究成果をまとめたものである。同専攻教授石井薫先生には指導教 官として本研究の実施の機会を与えて戴き、その遂行に当たって終始、ご指導を戴 いた。ここに深謝の意を表する。同専攻主任教授井上善海先生、同専攻教授石井晴 夫先生、同専攻教授菅原計先生、並びに経営学専攻教授中村久人先生には副査とし て、また、研究あるいは授業科目に関して多大なるご助言を戴くとともにご指導を 戴いた。ここに深謝の意を表する。そして、本専攻教職員各位、並びに、石井薫研 究室の院生及び経営学研究科院生の各位には研究遂行にあたり日頃より有益なご指 導、ご討論ご助言を戴いた。ここに感謝の意を表する。最後に、応援してくれた家 族に感謝する。目次 頁 序章 5 第1章 環境マネジメントシステム( EMS)の自己(適合)宣言に・・・・・ 14 関する研究 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 第1節 ISO とマネジメントシステム規格 ・・・・・・・・・・・・・・・16 第2節 環境マネジメントシステム (EMS) -ISO 規格を中心として- ・・・ 25 第3節 自己(適合)宣言- ISO 規格を中心として- ・・・・・・・・・・ 38 第4節 環境マネジメントシステム (EMS)における自己(適合)宣言 ・・・・58 第5節 自己(適合)宣言の実践指針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・81
小括 統合マネジメントシステム(Integrated Management System:IMS) 構築・運用へのステップアップ ・・・・・・・・・・・・・・・・99 第2章 環境マネジメントシステム規格の段階的実施 に関する研究・・・・103 -ISO14005 を中心として- はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 第1節 ISO14005 の概要とポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・107 第2節 ISO14005 規格と ISO14001 規格の 関係 ・・・・・・・・・・・110 第3節 ISO14005 規格と国内簡易版環境マネジメントシステム ・・・・113 第4節 ISO14005 規格の実践状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・119 第5節 ISO14005 規格実施の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・123 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129 第3章 エネルギーマネジメントシステム規格( ISO50001)の実施に 関する研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・133 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・133 第1節 ISO50001 の概要とポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・134 第2節 ISO50001 と ISO14001 の 関係 ・・・・・・・・・・・・・・・139
第3節 ISO50001 と省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する 法律)の関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143 第4節 ISO50001 の実践状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・147 第5節 ISO50001 実施の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・151 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・158 第4章 社会的責任(SR)規格と自己(適合)宣言・・・・・・・・・・・ 161 -ISO26000 規格を中心として- はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・161 第1節 ISO26000 規格の概要とポイント ・・・・・・・・・・・・・・162 第2節 ISO26000 規格制定の背景と関連する社会的責任の指針 ・・・・165 第3節 自己(適合)宣言と ISO17050 ・・・・・・・・・・・・・・・179 第4節 ISO26000 規格と自己(適合)宣言の関わり及び問題点と課題・・185 第5節 社会的責任(SR)規格における自己(適合)宣言の実践指針・・199 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・207 結章 結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・211 第1節 環境マネジメントシステム規格と社会的責任規格の共通点・・・211 第2節 統合マネジメントシステムへの展開:理論レベルの統合 ・・・216 第3節 統合マネジメントシステムへの展開:実践レベルの統合 ・・・226 第4節 統合マネジメントシステムへの展開:自己(適合)宣言の活用・231 第5節 統合マネジメントシステムの結論 ・・・・・・・・・・・・・238 巻末資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・249 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・274
序 章
1 . 本 研 究 の 背 景 と 目 的
近 年 、 国 際 化 が 進 む な か で 、 世 界 で は 企 業 の 社 会 的 責 任 (Corporate Social Responsibility : CSR ) へ の 関 心 が 高 ま っ て き て い る 。 そ の た め に 、 企 業 に は、 世 界 の 持 続 可 能 な 発 展 に 貢 献 す る 経 営 活 動 が 求 め ら れ る 。 従 っ て 、 こ れ か ら の 企 業 は 、 組 織 の 社 会 的 責 任 の 手 引 ( Guidance on social responsibility ) と し て 発 行 さ れ た 、 ISO26000 に 準 ず る 倫 理 的 な 経 営 も 考 え て い く 必 要 が あ る 。
わ が 国 の 企 業 は 、 国 内 外 の 世 論 の 動 向 を 見 つ つ 、 世 界 標 準 規 格 の ISO(International Organization for Standardization : 国 際 標 準 化 機 構 )シ リ ー ズ を 始 め と し た 様 々 な マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ( MS ) の 構 築 ・ 運 用 に 着 手 し 取 り 組 ん で き た も の と 考 え ら れ る 。 し か し な が ら 、 そ れ ら の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム は 、 そ れ ぞ れ の 専 門 性 の 高 さ か ら バ ラ バ ラ に 構 築 ・ 運 用 さ れ て い る ケ ー ス も 多 い 。 そ の た め に 、 シ ス テ ム の 整 備 運 用 の 効 果 や 評 価 ・ 監 査 の 実 状 は 必 ず し も 満 足 で き る も の と は 言 え な い 。 さ ら に 、 環 境 問 題 や 品 質 ト ラ ブ ル を 含 め た 企 業 の 不 祥 事 も 後 を 絶 た な い 現 状 が あ る 。 そ の 原 因 と し て は 、 蓄 積 さ れ た 知 識 が 分 散 さ れ 有 効 に 運 用 さ れ な い た め に 、 理 論 レ ベ ル の シ ナ ジ ー 効 果 が 発 揮 さ れ に く い こ と 、 更 に 、 実 践 レ ベ ル の マ ネ ジ メ ン ト が 脆 弱 で あ る こ と が 影 響 し て い る も の と 推 察 さ れ る 。 そ し て こ の 状 況 は 、 未 来 へ の 地 球 マ ネ ジ メ ン ト の サ ス テ ィ ナ ビ リ テ ィ に 警 鐘 を 鳴 ら し て い る と い え る 。 そ こ で 、 本 研 究 で は 、 今 後 わ が 国 に お い て よ り 強 く 求 め ら れ る で あ ろ う CSR 及 び 地 球 環 境 の サ ス テ ィ ナ ビ リ テ ィ を 果 た す た め の 、 新 し い 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ( Integrated Management System : IMS ) を 構 築 す る こ と を 目 的 と し 、 そ の 基 礎 的 考 察 を 実 施 し て い く 。
2 . 研 究 の プ ロ セ ス 本 論 文 は 、 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の ひ と つ の ケ ー ス と し て 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト と CSR と 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 に よ る 統 合 に つ い て 、 理 論 レ ベ ル と 実 践 レ ベ ル を 踏 ま え て 研 究 を 進 め た 。 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム に つ い て は 、 ISO で 検 討 が 進 め ら れ る と と も に 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム を 整 備 運 用 す る 事 業 者 に お い て も 検 討 が 進 め ら れ て き た 。 そ の 代 表 例 は 、 1987 年 に ISO か ら 発 行 さ れ た 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の ISO9001 と 1996 年 に 発 行 さ れ た 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の ISO14001 の 統 合 で あ る 。 ISO で は 、 品 質 や 環 境 な ど の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 構 築 に 当 た り 、 そ れ ぞ れ に つ い て 別 個 の 専 門 プ ロ ジ ェ ク ト チ ー ム を 作 り 進 め て い る 。 従 っ て 、 個 々 の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム に お い て 、 基 本 的 な 思 想 や 使 用 す る 用 語 が 異 な る 場 合 が 存 在 す る 。 し か し 、 メ ー カ ー な ど の 民 間 企 業 は も と よ り 、 多 く の 事 業 者 活 動 に お い て 、 品 質 の 問 題 や 環 境 の 問 題 は 、 相 互 に 関 連 の 深 い テ ー マ と い え る 。 そ こ で 、 こ れ ら に 関 す る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム を 効 率 よ く 整 備 運 用 す る に は 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 統 合 が 検 討 さ れ る こ と に な る 。 ISO に お い て も 、 ISO9001 の 2000 年 改 訂 版 や ISO14001 の 200 4 年 改 訂 版 で 相 互 の 用 語 の 統 一 な ど 統 合 的 運 用 へ の 検 討 が 進 め ら れ て き た 。 そ し て 、 そ の 過 程 の 中 で 、 品 質 及 び 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 監 査 の た め の 指 針 と な る ISO19011 が 2002 年 に 発 行 さ れ た 。ISO19011 は 、品 質 と 環 境 に 共 通 し て 適 用 さ れ る 監 査 の 指 針 で あ る 。従 っ て 、ISO19011 は 、監 査 に 関 す る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の ひ と つ の 統 合 モ デ ル と も い え る 。ISO19011 に 関 し て は 、第 1 章 の 第 5 節 で そ の 内 容 に つ い て 論 じ た 。 本 研 究 の テ ー マ は 、 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム に 関 す る 研 究 で あ る 。 そ の 点 に お い て 、先 行 研 究 を 見 て み る と 、2000 年 以 降 、IS09001 や ISO14001 の 改 訂 を 踏 ま え た 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 統 合 的 運 用 に 関 す る 構 築 事 例 が 発 表 さ れ て き た 。 さ ら に 、 安 全 衛 生 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム や 情 報 セ キ ュ リ テ ィ マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム な ど も 取 り 入 れ た 考 え 方 も 発 表 さ れ て き て い る 。 し か し な が ら 、 そ の ほ と ん ど が 、 用 語 や マ ネ ジ メ ン ト レ ビ ュ ー な ど の 各 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 共 通 点 を 見 い だ し 、 一 つ に 集 約 す る こ と に よ っ て 、 運 用 面 で の 効 率 化 を 図 る も
の で あ る 。 こ れ は 、 各 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格 の 総 合 的 な 運 用 と い え る が 、 関 連 す る 規 格 の 内 容 の 統 合 に と ど ま っ て い る と い え る 。 本 研 究 で は 、 統 合 を 理 論 と 実 践 の 統 合 と 捉 え る こ と に よ り 、 よ り 広 い 意 味 で の 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 構 築 に つ い て 研 究 を 進 め た 。 サ ブ タ イ ト ル は 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト と CSR と 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 を 中 心 と し た 統 合 で あ る 。 一 つ め の 環 境 マ ネ ジ メ ン ト は 、 現 在 の 中 国 の 大 気 汚 染 な ど に 代 表 さ れ る 公 害 問 題 を 含 め て 、 地 球 の サ ス テ ィ ナ ビ リ テ ィ の キ ー ポ イ ン ト で あ る 。 そ し て 、 二 つ め と な る 企 業 活 動 の CSR は 、 社 会 的 責 任 を 果 た す た め の 活 動 と い う 意 味 に お い て 統 合 の ひ と つ の 理 念 と い え る 。 さ ら に 、 三 つ め の 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 は 、 理 論 を 実 践 に 結 び 付 け て い く た め の 手 法 と い え る 。 従 っ て 、 規 格 の 内 容 の 統 合 と い う 狭 義 の 統 合 で は な く 、 理 論 レ ベ ル と 実 践 レ ベ ル の 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 構 築 運 用 に お け る 実 践 指 針 を 見 い だ す こ と を 主 題 と し て い る 。 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 検 討 を 進 め る に あ た っ て は 、 ベ ー ス と な る 経 営 学 の 理 論 が 必 要 で あ る 。 こ こ で は 、 ISO の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 基 盤 と い え る 、 PDCA サ イ ク ル ( シ ス テ ム と も い う ) に つ い て 論 ず る 。 そ し て 、 マ ネ ジ メ ン ト の 統 合 に つ い て 、1960 年 代 初 頭 に 経 営 の 統 一 理 論 - 概 念 的 な 枠 組 み - の 発 展 に 先 駆 を つ け よ う と し た 、 ハ ロ ル ド ・ ク ー ン ツ 博 士 の 研 究 に つ い て 論 ず る 。 更 に 、 ク ー ン ツ 博 士 と 同 時 期 に 、 経 営 学 に つ い て 、 理 論 と 実 践 を 研 究 し 、 実 践 経 営 学 の 学 問 方 法 で あ る 、 KAE 原 則 を 提 唱 し た 、 山 城 章 博 士 の 研 究 に つ い て も 取 り 上 げ て い る 。 最 初 に 、 ISO の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 基 盤 と い え る 、 PDCA サ イ ク ル に つ い て 論 ず る 。 PDCA サ イ ク ル は 、 W ・ エ ド ワ ー ズ ・ デ ミ ン グ 博 士 が 考 案 し た 、「 製 品 や 工 程 を 検 討 し 、改 善 す る た め の フ ロ ー ダ イ ア グ ラ ム で あ る 。」と 定 義 さ れ る (Deming、 1994 、 P.132)。 同 著 で は 、 PDSA サ イ ク ル と し て 示 さ れ て い る が 、 こ れ は 元 々 、PDCA と し て 考 案 し た フ ロ ー ダ イ ア グ ラ ム で あ っ た 。デ ミ ン グ 博 士 は 、 「 PDSA の サ イ ク ル は 、1950 年 に 日 本 で 教 え た と き に 出 来 上 が っ た も の で あ る 。」 と し て い る ( Deming 、 1994、 P131)。 図 表 . 序 章 - 1 に 、 PDSA サ イ ク ル の 概 要 図 を 示 す 。
図 表 . 序 章 - 1 製 品 や 工 程 を 検 討 し 、 改 善 す る た め の フ ロ ー ダ イ ア グ ラ ム ( P D S A サ イ ク ル ) 行 動 (Act) - 変 更 を 受 け 入 れ る 、 改 善 を 目 的 と し た 変 更 も し く は 変 更 を 中 止 す る 、 試 験 を 計 画 (Plan)す る 。 も し く は サ イ ク ル を も う 一 度 回 す 。 結 果 を 検 討 (Study) す る 。 実 行 (Do) - 変 更 、 何 が 分 か っ た か 。 テ ス ト を( 出 来 れ ば 小 規 模 で ) 何 が 悪 か っ た の か 。 実 施 す る 。 ( 出 所 :「 Deming 、 1994」 を 参 考 に 筆 者 作 成 ) ISO で は マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 有 効 性 を 改 善 す る 際 に 、 プ ロ セ ス ア プ ロ ー チ を 採 用 す る こ と を 奨 励 し て い る 。こ こ で 、プ ロ セ ス ア プ ロ ー チ と は 、「 組 織 内 に お い て 、 望 ま れ る 成 果 を 生 み 出 す た め に 、 プ ロ セ ス を 明 確 に し 、 そ の 相 互 関 係 を 把 握 し 、 運 営 管 理 す る こ と と 併 せ て 、 一 連 の プ ロ セ ス を シ ス テ ム と し て 適 用 す る こ と 」 と し て い る ( 日 本 規 格 協 会 、 2009 、 27-29 頁 )。 こ の 一 連 の プ ロ セ ス を シ ス テ ム と し て 適 用 す る と い う こ と が 、PDSA サ イ ク ル や PDCA サ イ ク ル の 適 用 そ の も の で あ り 、ISO 規 格 に お け る 、マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 基 盤 と な っ て い る 。こ こ で 、PDCA の C は 、Check で あ り 、「 方 針 、目 標 及 び 製 品 要 求 事 項 に 照 ら し て プ ロ セ ス 及 び 製 品 を 監 視 及 び 測 定 し 、 そ の 結 果 を 報 告 す る 」( 日 本 規 格 協 会 、 2009、 33 頁 ) と 説 明 さ れ る 。 そ れ に 対 す る PDSA の S は 、 Study で あ り 、 チ ェ ッ ク に 加 え て 結 果 の 検 討 を 強 調 し た も の で あ る 。 今 日
A
P
S
D
で は 、ISO で の 適 用 は も と よ り 、広 く 一 般 に 浸 透 し て い る の は PDCA サ イ ク ル と い え る が 、 ど ち ら も 根 本 思 想 は 同 じ で あ る 。 デ ミ ン グ 博 士 の 提 唱 し た 、「 検 討 し 、 改 善 す る た め の フ ロ ー ダ イ ア グ ラ ム 」を 整 備 し 運 用 す る こ と は 、 あ ら ゆ る マ ネ ジ メ ン ト に 適 応 可 能 な 、 経 営 実 践 の 手 法 そ の も の で あ る と い え る 。 更 に 、 デ ミ ン グ 博 士 は 、 著 書 『 Out of Crisis 』 に お い て 、 経 営 実 践 に お け る も う ひ と つ の 重 要 な 考 え を 示 し て い る 。 そ れ は 、 企 業 の 持 続 的 発 展 に 関 す る ひ と つ の モ デ ル と し て 、 提 唱 し た 「 The Helix( ら せ ん モ デ ル )」 で あ る 。 こ れ は 、 ま ず 、 も と も と 品 質 管 理 の 改 善 の 考 え 方 と し て 考 案 さ れ た 、 4 ス テ ッ プ の サ イ ク ル と し て 説 明 さ れ る 。 す な わ ち 1 . デ ザ イ ン す る 。 ⇒ 2 . 作 成 す る 。 ⇒ 3 . 市 場 へ 提 案 ・ 投 入 す る 。 ⇒ 4 . 利 用 状 況 を 検 証 す る ( ユ ー ザ ー は 何 を 思 っ た の か ? ノ ン ユ ー ザ ー は な ぜ 買 わ な か っ た の か ? )。そ し て 、こ れ ら 4 ス テ ッ プ を 、 ら せ ん 状 に 継 続 し つ つ 持 続 的 改 善 を 図 っ て い く と い う も の で あ る 。 デ ミ ン グ 博 士 は 、 こ の 考 え 方 に よ り 、 終 わ り な き 品 質 の 向 上 と 、 さ ら な る コ ス ト 削 減 が 実 現 す る と し た ( Deming、 1982、 pp.180-181 )。 こ れ は ま さ に 、 ISO の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム は も と よ り 、 世 界 の あ ら ゆ る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の ベ ー ス と な る 、PDCA サ イ ク ル に よ る ス パ イ ラ ル ア ッ プ の 考 え 方 の 原 点 で あ る と い え る 。 経 営 管 理 の 理 論 は 、 さ ま ざ ま な 考 え 方 や 学 派 が 存 在 す る も の と 考 え ら れ る 。 そ の 中 で も 、 デ ミ ン グ 博 士 の 提 唱 し た 、 PDCA ・ PDSA サ イ ク ル と ス パ イ ラ ル ア ッ プ は 、現 在 の わ が 国 の 経 営 実 践 に 深 く 浸 透 し て い る 。そ の 点 に お い て 、PDCA ・ PDSA サ イ ク ル と ス パ イ ラ ル ア ッ プ の 考 え 方 は 、わ が 国 の 現 代 の 経 営 実 践 に 関 す る 重 要 な 手 法 で あ る こ と に 間 違 い は な い と い え る 。 次 に 、1960 年 代 初 頭 に 、経 営 の 統 一 理 論 と し て の 概 念 的 な 枠 組 み の 発 展 に 先 駆 を つ け よ う と し た 、 ハ ロ ル ド ・ ク ー ン ツ 博 士 の 論 文 「 経 営 管 理 論 の 解 明 ( ハ ー バ ー ド ・ ビ ジ ネ ス ・ レ ビ ュ ー 、 1962 )」 に つ い て 論 ず る 。 ク ー ン ツ 博 士 は 、経 営 管 理 論 へ の さ ま ざ ま な ア プ ロ ー チ が 、 あ る 種 の 混 乱 し た 破 壊 的 な ジ ャ ン グ ル 戦 へ と 導 い て い る と し た 。 そ し て 、 こ の 混 乱 を 収 拾 し 、 経 営 管 理 の 基 礎 的 な 学 問 を 統 合 す る た め に 、 経 営 管 理 論 の 色 々 な 学 派 を 六 つ の 主 要 グ ル ー プ に 分 類 し 論 じ た 。 ク ー ン ツ 博 士 が 分 類 し た 六 つ の グ ル ー プ を 、 図 表 . 序 章 - 2 に 示 す 。
図 表 . 序 章 - 2 経 営 管 理 論 の 六 つ の 主 要 グ ル ー プ ( 学 派 ) 学 派 略 説 経 験 管 理 過 程 学 派 (The Management Process School) 経 営 を 組 織 化 さ れ た 集 団 の 中 で 働 く 人 た ち の 「 仕 事 の 過 程 ( プ ロ セ ス )」 と し て 理 解 す る 。
経 験 学 派 (The Empirical School) 経 営 管 理 を 経 験 の 研 究 と み な す 。「 い か に し て 行 わ れ た か 」と い う 、ケ ー ス 分 析 が 中 心 。
人 間 行 動 学 派 (The Human Behavior School)
経 営 管 理 活 動 は 、人 を 通 じ て 仕 事 を す る こ と を 意 味 す る た め 、「 人 間 相 互 の 関 係 」 が 経 営 管 理 研 究 の 中 心 と な る 。
社 会 体 系 学 派 (The Social System School) 経 営 を 社 会 体 系 ( a social system)、す な わ ち 、「 文 化 的 相 互 関 係 の 体 系 」 と み な す 。 意 思 決 定 理 論 学 派 (The Decision Theory School) 経 営 と は 、「 意 思 決 定 へ の 合 理 的 ア プ ロ ー チ 」、 す な わ ち 、 い ろ い ろ な 代 替 案 の 中 か ら 行 動 方 針 ( a course of action)、 あ る い は 、考 え 方 を 選 択 す る こ と が 中 心 で あ る と す る 。
数 理 学 派 (The Mathematical School) 経 営 を「 数 学 的 モ デ ル お よ び 数 学 的 過 程 の 体 系 」 と し て 理 解 す る 。
( 出 所 :「 ク ー ン ツ 編 著 、 1968」 を 参 考 に 筆 者 作 成 )
ク ー ン ツ 博 士 は 、「 経 営 管 理 論 の 解 明 」 の な か で 、 経 営 管 理 論 の 学 派 の 分 類 、 関 連 す る 用 語 の 統 一 、 経 営 管 理 論 の 基 準 の 提 示 を 試 み た 。 そ し て 、 経 営 管 理 活 動 に つ い て 次 の よ う に 述 べ て い る 。「 私 は 経 営 管 理 活 動 と は 、公 式 的 に 組 織 さ れ た 集 団 ( formally organized groups) に お い て 、 人 を と お し て 、 ま た 、 人 を 使 っ て も の ご と を し て も ら う 技 術 で あ る と い う 結 論 に 到 達 し た 。 す な わ ち 経 営 管 理 活 動 と は 環 境 を つ く り 出 す 技 術 で あ り 、人 々 は こ の 作 り 出 さ れ た 環 境 の 中 で 、 個 人 と し て 活 動 す る の で あ り 、 し か も 、 集 団 の 目 標 の 達 成 に 向 か っ て 協 働 す る こ と が で き る の で あ る 。 経 営 管 理 活 動 は ま た 、 こ の よ う な 活 動 を 遂 行 す る 上 で の 妨 害 物 を 取 り 除 く 技 術 で あ っ て 、 目 標 の 達 成 能 率 の 最 適 化 を 行 う 方 法 で も あ る 。」( ク ー ン ツ 、 1968 、 19 頁 )。 ク ー ン ツ 博 士 は 、 さ ま ざ ま に 分 か れ て 発 展 し た 経 営 管 理 論 に つ い て 、 マ ネ ジ メ ン ト の 一 般 理 論 の 端 緒 を 見 い 出 す た め の 試 み を 行 っ た 。 そ の 点 に お い て 、 ク ー ン ツ 博 士 の 研 究 は 、 マ ネ ジ メ ン ト の 統 合 に つ い て の 先 駆 的 な 研 究 で あ る と い え る 。
山 城 博 士 は 、 経 営 学 を 実 践 学 と し て の 実 践 経 営 学 と 捉 え た 。 そ し て 、 そ の 実 践 学 方 法 を 日 本 的 経 営 論 の 問 題 と し て 取 り 上 げ 、 実 践 経 営 学 の 基 本 原 理 ( KAE の 原 理 ) を 提 唱 し た 。山 城 博 士 は 、 KAE に つ い て 次 の よ う に 述 べ て い る 。「 K = Knowledge( 知 識 )、 A = Ability ( 能 力 )、 E = Experience( 経 験 ) の KAE は 、 A が 中 心 で あ り 、K と E と は A の 確 立 の た め の 事 前 、準 備 の 段 階 の 勉 強 で あ る 。 こ の 三 者 は 一 体 と し て 存 在 し 、 個 別 に 存 在 し て は 意 味 を 発 揮 し な い 。」( 山 城 、 1982、 317 頁 )。 そ し て 、「 実 践 学 は 能 力 が 中 心 で あ る が 、 知 識 な し に は 能 力 の 学 習 は 不 可 能 で あ る 。 同 様 に 、 経 験 だ け で は 実 践 の 学 は 構 築 さ れ な い 。 実 践 学 は 、 ま ず K と E が 時 間 的 に は 先 に あ る べ き だ が 、 実 践 と し て は 、 A が 主 眼 で あ り 、そ の た め 必 要 な K と E が A に 即 し つ つ 研 究 さ れ る 」と し て い る( 山 城 、1982、 317 頁 )。 山 城 博 士 は 、 KAE の 原 理 は 固 定 し て 考 え る も の で は な く 、 各 種 の 配 列 が 可 能 で あ る と し て い る 。 図 表 . 序 章 - 3 に KAE の 原 理 を 参 考 と し た 一 つ の 概 念 図 を 示 す 。 図 表 . 序 章 - 3 KAE の 原 理 を 参 考 と し た 概 念 図 K 1 K 2 K n A 1 A 2 A n E 1 E 2 E n ( 出 所 :「 山 城 、 1982」 を 参 考 に 筆 者 作 成 ) 図 表 . 序 章 - 3 は 、 K1A1E1が 相 互 に 補 完 し つ つ 改 善 さ れ 、 次 の 段 階 と な る K2A2E2へ 進 む と い う 一 つ の モ デ ル を 表 現 し て い る 。 こ れ は 、 今 日 、 ISO な ど で 表 現 さ れ る 、「 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム を 回 す こ と に よ り 、ス パ イ ラ ル ア ッ プ ( 継 続 的 改 善 ) を 図 る こ と 」 に 通 ず る 考 え 方 で あ る 。 そ し て 、 山 城 博 士 は 、
経 営 に は 、 知 識 と 経 験 を 踏 ま え た 「 能 力 」 が 重 要 で あ り 、 そ れ が 実 践 経 営 の 基 盤 に な る と し た 。 知 識 と 経 験 を 踏 ま え た 「 能 力 」 は 、 統 合 マ ネ ジ メ ン ト を 整 備 運 用 す る う え で 、 重 要 な 要 素 で あ る と い え る 。 そ の 他 、 山 城 博 士 は 、 日 本 経 営 学 の 構 築 に 向 け て 、 他 の 要 素 も 取 り 入 れ た 、 さ ま ざ ま な マ ネ ジ メ ン ト 原 理 、 理 念 を 提 示 し て い る が 、 こ こ で は 紹 介 の み と す る 。 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 理 論 レ ベ ル に つ い て は 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト に 関 連 す る ISO の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム を ベ ー ス に 構 成 し た 。 そ し て 、 実 践 レ ベ ル に つ い て は 、自 ら 積 極 的 な 取 り 組 み を 宣 言 す る 自 己( 適 合 )宣 言 を 取 り 上 げ た 。 さ ら に 、 組 織 の 社 会 的 責 任 の 規 格 を 取 り 上 げ 、 社 会 的 責 任 を 果 た す た め の 基 本 と な る 倫 理 的 思 考 も 考 慮 し た 。 論 文 の キ ー ワ ー ド は 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト 、 エ ネ ル ギ ー マ ネ ジ メ ン ト 、 社 会 的 責 任 、 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 、 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る 。 環 境 マ ネ ジ メ ン ト 、 社 会 的 責 任 を 主 な 構 成 要 素 と し た 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム は 、 あ ら ゆ る 組 織 の サ ス テ ィ ナ ビ リ テ ィ の 基 本 と 成 り う る と い え る 。 理 論 レ ベ ル の 主 な 構 成 要 素 の 「 環 境 マ ネ ジ メ ン ト 」 に つ い て は 、 代 表 的 な マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る 、 ISO14001 規 格 及 び 新 た に 発 行 さ れ た ISO14005 規 格 を 研 究 し た 。 さ ら に 、 エ ネ ル ギ ー 管 理 に 特 化 し た マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム と し て 発 行 さ れ た 、ISO50001 規 格 を 取 り 上 げ た 。社 会 的 責 任 に つ い て は 、組 織 の 社 会 的 責 任 に 関 す る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム と し て 発 行 さ れ た 、ISO26000 規 格 を 研 究 し た 。 環 境 マ ネ ジ メ ン ト へ の 取 組 み も 、 社 会 的 責 任 へ の 取 組 み も 、 狭 義 又 は 広 義 に 解 釈 す る こ と に よ り 、 そ れ ぞ れ が 重 な り 合 い 、 相 互 に 密 接 な 関 連 を も つ 概 念 と し て 説 明 す る こ と が で き る 。 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格 の 評 価 は 、 第 三 者 に よ る 証 明 と し て の 認 証 取 得 と 自 ら 規 格 へ の 適 合 性 を 宣 言 す る 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 に 大 別 さ れ る 。 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 整 備 運 用 に 必 要 な 要 素 は 、 関 連 す る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 規 格 の 統 合 の み で は な い 。 筆 者 は 、 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 へ の 取 組 み が 、 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム を 自 ら 推 進 す る エ ン ジ ン と 成 り う る と 考 え た 。 従 っ て 、 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 構 築 に は 、 最 初 の ス テ ッ プ と し て 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト や 社 会 的 責 任 な ど 組 織 活 動 に 必 須 の 、 理 論 レ ベ ル か ら の シ ナ ジ ー 効 果 の 考 察 が 必 要 と な る 。そ し て 、実 践 レ ベ ル に つ い て は 、推 進 エ ン ジ ン と し て の 自 己( 適 合 ) 宣 言 の 活 用 が ポ イ ン ト に な る 。 さ ら に 、 自 ら 宣 言 し 、 推 進 す る 場 合 の 根 幹 と い
え る 、 社 会 的 責 任 に 関 す る 倫 理 的 思 考 が キ ー と な る 。 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム は 、 統 合 の 要 素 を 理 論 レ ベ ル と 実 践 レ ベ ル と し て 捉 え 、 シ ナ ジ ー 効 果 を 発 揮 で き る か 否 か で 運 用 の 成 否 が 異 な る 。 従 っ て 、 本 研 究 は 規 格 の 内 容 の 統 合 と い う 狭 義 の 統 合 で は な く 、 理 論 レ ベ ル と 実 践 レ ベ ル の 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 構 築 ・ 運 用 に お け る 実 践 指 針 を 示 す こ と を 主 題 と し て い る 。 そ れ が 、 今 後 の あ ら ゆ る 事 業 所 経 営 に お け る キ ー ポ イ ン ト と な り 、 ひ い て は 地 球 全 体 の サ ス テ ィ ナ ビ リ テ ィ に 繋 が る も の と い え る 。
第 1 章
環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム( EMS)の 自 己( 適 合 )宣 言 に 関 す
る 研 究
は じ め に
近 年 、 環 境 問 題 と い う 言 葉 は ご く 普 通 に 聞 く こ と が で き 、 日 本 の 社 会 生 活 で も 環 境 に 関 心 が 出 て き つ つ あ る こ と を 感 じ る よ う に な っ て き た 。こ れ は 、20 世 紀 の 工 業 化 の 発 達 や 人 口 増 加 が 、 地 球 の 歴 史 の 中 で 異 常 な 伸 び を 見 せ 、 そ れ が 有 限 の 世 界 で あ る 地 球 環 境 に 少 な か ら ず 悪 影 響 を 与 え て い る こ と を 、 皆 が 詳 細 を 見 ず と も 感 じ 始 め た 証 拠 で あ ろ う 。 し か し な が ら 、 環 境 問 題 を 本 気 で 考 え 、 改 善 に 取 り 組 ん で い る 人 は ま だ ま だ 少 な い の で は な い か と 思 わ れ る 。 日 本 で は 、 昭 和 30 年 代 の 高 度 成 長 時 代 に 、産 業 優 先 に よ り 発 生 し た 明 ら か に 有 害 な 公 害 問 題 を 教 訓 と し て 様 々 な 法 規 制 な ど の 整 備 を 進 め て き た 。 従 っ て 、 環 境 基 準 を 守 り 、 短 期 間 で の 環 境 破 壊 を 防 止 す る と い う 面 で は 産 業 界 の 取 り 組 み に よ り 改 善 は 進 み つ つ あ る 。 し か し 、 環 境 問 題 は 産 業 界 だ け の 問 題 で は な く 、 人 類 一 人 一 人 の 生 活 そ の も の に 係 わ り 、 影 響 さ れ る と 考 え る 人 が ど れ だ け い る だ ろ う か 。 ご く 最 近 ま で は 環 境 問 題 と い う と 産 業 界 の 問 題 と い う 意 識 が 強 く 、 近 隣 の 企 業 の 環 境 対 応 に 関 心 は あ っ て も 、 自 分 自 身 が 地 球 環 境 に 与 え て い る 環 境 負 荷 に 関 し て 考 え る こ と は あ ま り な か っ た の で は な い だ ろ う か 。 そ の 点 に お い て 、 1996 年 に 発 行 さ れ た 環 境 監 査 の 認 証 登 録 制 度 で あ る ISO14001 が 、先 に 発 行 さ れ 日 本 で も 急 激 に 普 及 し た ISO9001 と と も に 文 書 化 し た マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム を 順 守 す る と い う 取 り 組 み や す い 手 法 と し て 普 及 ・ 浸 透 し た こ と は 、 環 境 問 題 を 社 会 的 問 題 と し て 広 く 認 識 さ せ る 上 で 良 い 出 来 事 で あ っ た と 考 え ら れ る 。 さ ら に は 、 近 年 の 地 球 温 暖 化 対 応 の 話 題 や 、『 環 境 監 査 』 ( 石 井 教 授 ( 2006 a ) 30-64 頁 ) に あ る よ う に 個 別 で は あ る が 地 方 自 治 体 に よ る 家 庭 や 市 民 ひ と り ひ と り に 向 け て の 家 庭 版 環 境 ISO の 推 進 な ど 、 環 境 問 題 が 家 庭 の 問 題 と し て と ら え ら れ る 段 階 に 近 づ い て き て い る こ と は 確 か で あ る 。 し か し な が ら 、ISO14001 は 、そ の 適 用 範 囲 に 「 特 定 の 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス 基 準 に は 言 及 し な い 」 と 明 記 し て お り 、 適 用 範 囲 は 独 自 に 決 め ら れ る 故 、 ハ ー ド ル を 低 く し て し ま う な ど の 問 題 点 や 、 同 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 認 証 取 得 時 の 達 成 感も 、そ の 後 は マ ン ネ リ 化 し 数 年 で 行 き 詰 っ て し ま う こ と な ど の 問 題 点 も あ る( 石 井 教 授 ( 2006 a ) 64 、 94、 100 頁 )。 そ れ だ け に 、 こ れ ら の 問 題 点 を 打 開 す べ く 、 自 ら の 高 い 倫 理 観 と 専 門 技 術 を 以 て 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム へ の 適 合 性 を 管 理 し て い く こ と を 目 的 と し た 「 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 」 に 踏 み 切 っ た 自 治 体 他 の 事 例 は 、 推 奨 さ れ る 取 り 組 み と し て 日 本 国 民 に 広 く 発 信 さ れ る べ き で あ ろ う 。 た だ し そ の 一 方 で 、 営 利 活 動 が 本 旨 の 民 間 企 業 で は 、 単 な る コ ス ト ダ ウ ン の た め の 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 に な っ て し ま う こ と や 、石 井 の い う よ う に 自 治 体 に お い て も 単 な る 省 エ ネ 、再 生 紙 利 用 、 ご み 削 減 な ど 低 い 目 標 設 定 ゆ え の 行 き 詰 ま り ( 石 井 教 授 ( 2006 a ) 9 4 頁 ) を 理 由 と し た 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 も 懸 念 さ れ る 。 加 え て 、 先 行 研 究 に 関 し て は 、 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 の 研 究 事 例 は わ が 国 に お い て は ほ と ん ど な く 、 内 容 に ふ れ た 例 に お い て も 単 に 手 続 き や 手 法 を 述 べ た も の や 、 コ ス ト ダ ウ ン を 主 目 的 と し た も の が 主 と な っ て い る 。 さ ら に 、 監 査 論 の 立 場 と し て 当 該 取 り 組 み を 考 え て み る と 、 石 井 は 「 自 己 証 明 は 証 明 に あ ら ず 、 独 立 し た 第 三 者 の 意 見 表 明 を 旨 と す る 本 来 の 伝 統 的 な 監 査 概 念 に チ ャ レ ン ジ す る も の 」 と し て 、 独 立 性 と 信 頼 性 に 警 告 を 発 し て い る ( 石 井 教 授 ( 2006a ) 96-98 頁 )。 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 は 、 ISO 規 格 な ど へ の 適 合 性 を 、 サ プ ラ イ ヤ ー の 第 一 者 証 明 ( first-party attestation ) と し て 「 自 ら 宣 言 ( self - declaration )」 す る こ と で あ り 、 そ の 整 備 ・ 運 用 に は 様 々 な 懸 念 事 項 が 潜 在 す る こ と に な る 。 そ こ で 、 本 章 で は 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 「 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 」 に 焦 点 を あ て 、 そ の 効 果 や 実 情 が 必 ず し も 効 率 的 か つ 適 正 で あ る と は い え ず 、 そ の 有 効 性 に 疑 問 が あ る 現 状 の 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム か ら 、 持 続 的 発 展 的 な 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 構 築 及 び 運 用 を 可 能 と す る 、 実 効 性 ・ 有 効 性 及 び 信 頼 性 の 高 い 自 己 (適 合 )宣 言 の 実 践 指 針 を 示 す こ と を 目 的 と し て 考 察 を 進 め る 。 具 体 的 に は 、 最 初 に 日 本 に お け る ISO を 中 心 と し た マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 導 入 の 背 景 と 現 状 を 確 認 し 、 次 に 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム に 関 し 、 ISO 規 格 を 中 心 と し て そ の 歴 史 ・ 内 容 ・ 運 用 に つ い て 特 徴 を 含 め て 明 ら か に す る 。 そ し て 、 合 理 的 ・ 経 済 的 か つ 高 い 倫 理 観 と 専 門 技 術 が 要 求 さ れ る 「 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 」 に 関 す る 要 求 事 項 、 実 施 事 例 、 問 題 点 に つ い て 考 察 を 実 施 し 、 実 効 性 ・ 有 効 性 及 び 信 頼 性 の 高 い 自 己 ( 適 合 ) 宣 言 の 実 践 指 針 を 示 す 。 さ ら に は 、 今 後 の
課 題 と し て 、 企 業 活 動 に お け る CSR を 満 足 す る た め の 、 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ( IMS) へ の ス テ ッ プ ア ッ プ に つ い て も 触 れ る こ と に す る 。
第 1 節
ISO と マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格
1 - 1 - 1 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 導 入 - ISO 規 格 を 中 心 と し て - こ こ で は ま ず 、 わ が 国 に お け る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 導 入 と 現 状 に つ い て ISO 規 格 を 中 心 と し て 確 認 す る 。 日 本 に お け る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 導 入 は 、 品 質 の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO9000 シ リ ー ズ の 発 行 以 後 、 緩 や か な 増 加 を み せ た 。 そ し て 、 貿 易 の 国 際 化 ・グ ロ ー バ ル 化 と と も に 1990 年 代 後 半 に 入 り 本 格 的 に 増 加 し 、同 じ く 本 格 的 に 増 加 し た 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ISO14001 や 労 働 安 全 衛 生 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム へ と 広 が り を み せ た 。 (1)1987 年 3 月 : ISO9000 シ リ ー ズ 発 行 (2)1996 年 9 月 : ISO14001 発 行 (3)1999 年 4 月 : OHSAS18001 発 行英 国 規 格 協 会 (British Standards Institution: BSI)発 行 2003 年 3 月 : JISHI 方 式 OSHMS 認 証 開 始 (日 本 )
中 央 労 働 災 害 防 止 協 会 (Japan Industrial Safety & Health Association : JISHI)発 行 こ こ で 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 認 証 推 移 に 着 目 す る と 、 わ が 国 で は 1990 年 代 か ら 急 速 に 普 及 が 進 ん だ ISO シ リ ー ズ の 存 在 は 周 知 の 事 実 で あ る 。 特 に 品 質 の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO9000 シ リ ー ズ 、 及 び 、 環 境 の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO14000 シ リ ー ズ の 日 本 で の 認 証 率 は 高 く 、両 者 の 統 合 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム( IMS)も 一 部 検 討 さ れ て い る 。加 え て 、メ ー カ ー で は 、労 働 安 全 衛 生 法 に 基 づ き 2005 年 よ り 事 業 所 の 努 力 義 務 と さ れ た 、労 働 安 全 衛 生 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム (OSHMS) も 普 及 が 進 ん で い る 。そ の 他 、情 報 セ キ ュ リ テ ィ ー マ
ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO27000 や 食 品 安 全 衛 生 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO22000 な ど も 注 目 さ れ 認 証 が 進 ん で い る が 、本 章 で は 紹 介 に 止 め る こ と に す る 。 図 表 1 - 1 - 1 に ISO14001 適 合 組 織( 認 証 取 得 組 織 )の 推 移 、図 表 1 - 1 - 2 に ISO14001 認 証 事 業 所 推 移 を 示 す 。 図 表 1-1-1.EMS(ISO14001)適 合 組 織 推 移 ( 出 所 : 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ ) 図 表 1 - 1 - 2 . ISO14001 認 証 事 業 所 推 移
2009-Q1
22
20799
2009-Q2
-83
20716
2009-Q3
-95
20621
2009-Q4
-76
20545
2010-Q1
-62
20483
ISO14001: 2010-3 月 末 20,483 件 ( 出 所 : 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ )環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO14001 認 証 は 、2009-Q2 よ り 、減 少 に 転 じ て お り 、 そ の 認 証 及 び 維 持 費 の 高 さ か ら リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る 世 界 同 時 不 況 の 影 響 に よ り 3 年 毎 の 更 新 を 断 念 し た ケ ー ス も 考 え ら れ る 。 そ の 点 に つ い て は 、 簡 易 低 コ ス ト で あ る 環 境 省 の 「 エ コ ア ク シ ョ ン 21 」 や KES 環 境 機 構 の 「 KES・環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ス タ ン ダ ー ド 」 、環 境 自 治 体 会 議 の 「 LAS-E 」 等 の 認 証 推 移 と 合 わ せ て 第 2 節 で 見 て い く こ と と す る 。 参 考 と し て 、 図 表 1 - 1 - 3 に ISO9001 適 合 組 織 ( 認 証 取 得 組 織 ) の 推 移 を 示 す 。 図 表 1-1-3.QMS(ISO14001)適 合 組 織 推 移 ISO9001 : 2010-3 月 末 38,895 件 ( 出 所 : 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ ) 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO9001 認 証 は 、 2007-Q1 よ り 、 早 く も 減 少 に 転 じ て お り 様 々 な 要 因 も 考 え ら れ る が 、本 研 究 の 内 容 と し て は 言 及 し な い 。
1 - 1 - 2 ISO の 設 立 経 緯 と そ の 活 動 ISO に 関 し て は 、 わ が 国 の 代 表 的 標 準 化 機 関 と し て 唯 一 参 加 し て い る 日 本 工 業 標 準 調 査 会 ( JISC ) 及 び 、 各 国 1 機 関 の 適 合 性 認 定 機 関 と し て 我 が 国 で 唯 一 ISO 本 部 と 連 携 し て い る 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ( JAB )の ホ ー ム ペ ー ジ で 内 容 を 確 認 で き る 。 以 下 JAB の ホ ー ム ペ ー ジ か ら 概 要 を 紹 介 す る 。 (1)ISO(国 際 標 準 化 機 構 )の 設 立 に つ い て 世 界 各 国 で 生 産 さ れ る 様 々 な 製 品 は 、以 前 は 、各 国 独 自 の 技 術 規 格 あ る い は 標 準 に よ っ て 作 ら れ て い た 。し か し 、国 際 間 の 商 取 引 が 進 む 中 で 、技 術 的 な 規 格 が 国 ご と に 異 な る こ と で 国 際 貿 易 上 の 障 壁 が 生 じ る よ う に な っ た た め 、こ れ ら の 技 術 的 障 壁 の 除 去 を 目 的 に 設 け ら れ た 機 関 が ISO で あ る 。
「 ISO 」 と は 国 際 標 準 化 機 構 (International Organization for Standardization)の こ と で 、ジ ュ ネ ー ブ に 本 部 を 置 き 、電 気 ・電 子 分 野 を 除 く あ ら ゆ る 分 野 の 標 準 化 を 推 進 す る 国 際 機 関 。1947 年 に 18 ヶ 国 に よ り 非 政 府 団 体 と し て 設 立 さ れ た 。 【 目 的 】 国 際 貿 易 の 円 滑 化 ・ 促 進 の た め の 国 際 規 格 の 策 定 【 加 盟 国 】 1 4 0 カ 国 。 各 国 ご と に 代 表 的 標 準 化 機 関 1 機 関 だ け が 参 加 可 能 。 日 本 は 日 本 工 業 規 格 (JIS)の 調 査 ・ 審 議 を 行 っ て い る 日 本 工 業 標 準 調 査 会 (JISC )が 1952 年 に 加 入 。 【 機 構 】 総 会 、 1 8 カ 国 か ら 成 る 理 事 会 な ど
(2)日 本 適 合 性 認 定 協 会 ( Japan Accreditation Board:JAB ) に つ い て
さ て 、 第 三 者 (機 関 )が ISO の 認 証 を 行 う 際 に 、 そ の 第 三 者 (機 関 )が 行 っ た 適 合 性 評 価 が 不 適 格 な も の と な ら な い よ う に 、 中 立 的 な 立 場 で 審 査 す る 必 要 が 出 てく る 。こ の よ う に 認 証 機 関 の 能 力 を 審 査 す る こ と を「 認 定 (Accreditation)」と 言 う 。
日 本 で は ISO の 審 査 登 録 機 関 が 各 組 織 (企 業 等 ) を 審 査 ・ 登 録 し 、 ISO の 認 証 を 与 え て お り 、 そ の 審 査 登 録 機 関 自 体 を 審 査 ・ 認 定 す る 機 関 が 「 (財 )日 本 適 合 性 認 定 協 会 (JAB)」 で あ る 。 JAB が 設 立 さ れ る 前 は 、 海 外 の 認 定 機 関 に 頼 っ て い た が 、 経 団 連 等 の 産 業 界 か ら の 強 い 要 望 を 受 け 、1993 年 に 通 商 産 業 大 臣 と 運 輸 大 臣 の 許 可 を 得 て 日 本 唯 一 の 審 査 登 録 機 関 ・ 審 査 員 研 修 機 関 の 認 定 機 関 とな っ た ( 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ )。 図 表 1 - 1 - 4 に ISO 認 証 の 流 れ を 示 す 。 図 表 1 - 1 - 4 . ISO 認 証 の 流 れ ( 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ よ り 筆 者 作 成 ) そ の 他 、 JAB ホ ー ム ペ ー ジ で は 、 ISO の 活 動 に つ い て も 紹 介 さ れ て い る 。
ISO 及 び IEC (International Electro technical Commission 国 際 電 気 標 準 会 議 )で は 、下 記 の よ う な 活 動 を 行 っ て い る と し て 、 以 下 3 項 目 の 説 明 が あ る 。 I S O 本 部 ・ ・ ・ ス イ ス ジ ュ ネ ー ブ 連 携 認 証 機 関 の 審 査 ・ 認 定 機 関 ・ ・ ・ 各 国 1 機 関 : 日 本 で は J A B 認 定 審 査 登 録 ( 認 証 ) 機 関 ・ ・ ・ 日 本 で は 2 0 1 0 年 現 在 J Q A 等 5 0 機 関 そ の 他 海 外 の 認 証 機 関 も あ り 審 査 登 録 ( 認 証 ) 各 組 織 ( 企 業 ・ 自 治 体 等 )
1. 製 品 認 証 、 要 員 認 証 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 審 査 登 録 、 試 験 ・ 校 正 、 検 査 を 実 施 す る そ れ ぞ れ の 適 合 性 評 価 機 関 が 満 た す べ き 要 件 と そ の 手 順 を 規 定 し た ガ イ ド (ISO/IEC ガ イ ド )を 発 行 す る 。 2. 「適 合 性 評 価 機 関 」 が ISO/IEC ガ イ ド に 適 合 し て い る か 判 断 ・ 評 価 す る 機 関 、つ ま り 「 認 定 機 関 」が 満 た す べ き 要 件 と そ の 手 順 を 規 定 し た ガ イ ド も 制 定 。 3. 国 や 地 域 の 適 合 性 評 価 シ ス テ ム に お け る 「 相 互 承 認 」 の 促 進 、 国 際 標 準 の 適 切 な 使 用 の 促 進 を 行 っ て い る 。 こ れ ら ガ イ ド は 、現 在 、ISO の 政 策 開 発 委 員 会 の 一 つ で あ る 適 合 性 評 価 委 員 会 (ISO/CASCO : Committee on conformity assessment)が 作 成 し て い る 。 CASCO を 構 成 す る の は 、88 の ISO 加 盟 機 関 の 代 表 者 (67 の 参 加 国 と 21 の オ ブ ザ ー バ ー 国 ) で 、 わ が 国 で は JISC と JAB が 代 表 を 送 り 、 CASCO の 一 員 と し て 、 上 記 ガ イ ド の 作 成 に 参 画 し て い る 。 ISO の そ の 他 の 現 在 の 作 業 に は 、 (1)相 互 承 認 に 関 す る 新 規 文 書 の 作 成 ・発 行 、 (2) 要 員 認 証 の 要 求 事 項 に 関 す る 新 規 文 章 の 作 成 、(3) 認 定 要 求 事 項 及 び マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格 の 既 存 文 書 改 定 ロ ゴ マ ー ク の 作 成 、 (4)機 関 間 の 相 互 審 査 、組 織 に よ る 自 己 宣 言 に 関 す る 作 業 、 (5) 試 験 所 、 製 品 、 審 査 機 関 あ る い は ISO9000 シ リ ー ズ 、 ISO14000 シ リ ー ズ を で き る 限 り 統 合 し 、 少 な い 規 格 数 に 絞 り 込 ん で い こ う と い う 動 き 、 な ど が あ る 。 こ こ で い う「 認 証 (Certification) 」と は 、製 品 、プ ロ セ ス 、サ ー ビ ス が 特 定 の 要 求 事 項 (規 準 ・標 準 ・規 定 )に 適 合 し て い る こ と 、つ ま り “適 合 性 "を 第 三 者 が 文 書 で 保 証 す る 手 続 き を 指 す 。ISO9001 や ISO14001 の よ う な シ ス テ ム 規 格 へ の 適 合 性 を 保 証 す る 場 合 、 シ ス テ ム 以 外 の 認 証 と 区 別 す る た め 、「 審 査 登 録 (Registration) 」 と い う 用 語 を 使 う こ と も あ る ( 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ )。 以 上 、 ISO と そ の 認 定 及 び 認 証 制 度 に つ い て の 概 要 を 示 し た 。 ま と め て み る と 、 ま ず 国 際 標 準 化 機 関 で あ る ISO が あ り 、 そ の 連 携 組 織 と し て 加 盟 各 国 に 国 際 規 格 を 管 理 す る 機 関 が 存 在 す る 。 そ し て そ の 管 理 機 関 ( 日 本 で は JAB ) が 、
自 国 内 で 個 別 の 事 業 者 の 規 格 適 合 認 証 を 審 査 ・ 認 証 す る 組 織 の 審 査 ・ 認 定 を 行 っ て い る こ と が わ か る 。 ち な み に 、 2010 年 5 月 10 日 現 在 の JAB に よ る マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 認 証 機 関 は 、図 表 1 - 1 - 4 に 示 し た と お り 50 件 と な っ て い る 。
1 - 1 - 3 . ISO 規 格 と JIS 規 格
ISO で は 、加 盟 各 国 の 国 内 規 格 と ISO 規 格 の 整 合 を 求 め て お り 、ISO 規 格 の 発 行 後 、わ が 国 に お い て は 日 本 工 業 規 格 ( JIS)化 さ れ て い る が 、そ の 関 係 も 含 め て 案 外 知 ら れ て い な い よ う に 思 わ れ る 。 ISO と JIS の 関 係 に つ い て は 、 前 述 の 日 本 工 業 標 準 調 査 会 ( Japanese Industrial Standards Committee : JISC ) 及 び JIS の 発 行 機 関 で あ る 財 団 法 人 日 本 規 格 協 会 ( Japanese Standards Association :JSA )の ホ ー ム ペ ー ジ で 内 容 を 確 認 で き る 。以 下 JISC の ホ ー ム ペ ー ジ か ら 概 要 を 紹 介 す る 。 JISC は 経 済 産 業 省 に 設 置 さ れ て い る 審 議 会 で 、工 業 標 準 化 法 に 基 づ い て 工 業 標 準 化 に 関 す る 調 査 審 議 を 行 っ て お り 、具 体 的 に は 、JIS( 日 本 工 業 規 格 )の 制 定 、 改 正 等 に 関 す る 審 議 や 、 工 業 標 準 、JIS マ ー ク 表 示 制 度 、 試 験 所 登 録 制 度 な ど 工 業 標 準 化 の 促 進 に 関 し て 関 係 各 大 臣 へ の 建 議 や 諮 問 に 応 じ て 答 申 を 行 う な ど の 機 能 を 持 っ て い る 。 ま た 、 国 際 標 準 化 機 構 ( ISO ) 及 び 国 際 電 気 標 準 会 議( IEC)に 対 す る 我 が 国 唯 一 の 会 員 と し て 、国 際 規 格 開 発 に 参 加 し て い る ( 日 本 工 業 標 準 調 査 会 ホ ー ム ペ ー ジ )。 ち な み に JIS ( 日 本 工 業 規 格 ) と は 、 我 が 国 の 工 業 標 準 化 の 促 進 を 目 的 と す る 工 業 標 準 化 法 ( 昭 和 24 年 ) に 基 づ き 制 定 さ れ る 国 家 規 格 で あ り 、 2010 年 3 月 末 現 在 で 、 10,202 件 が 制 定 さ れ て い る 。 JISC の 組 織 上 の 構 成 に つ い て は 以 下 の 説 明 が あ る 。 JISC は 、 JISC の 業 務 運 営 の 基 本 的 事 項 の 企 画 等 を 行 う 「 総 会 」、 総 会 の 下 に 「 標 準 部 会 」・「 適 合 性 評 価 部 会 」 を 設 置 す る と と も に 各 部 会 の 下 に JIS の 審 議 な ど を 行 う 技 術 専 門 委 員 会 を 設 置 し て い る 。 更 に 、 総 会 の 下 に は 、 特 別 な 事 項 を 調 査 審 議 す る た め の 「 特 別 委 員 会 」 が 設 置 さ れ て い る 。
ISO( 国 際 ) 規 格 と JIS 化 の 背 景 に は 、 貿 易 の グ ロ ー バ ル 化 が 存 在 す る 。 1990 年 代 に は 資 本 主 義 の 拡 大 や 地 域 協 定 に よ る 国 境 概 念 の 変 容 、 そ し て 情 報 シ ス テ ム の 急 速 な 発 達 の 結 果 、 マ ー ケ ッ ト が 世 界 へ と 拡 大 し た 。 こ の よ う な 環 境 変 化 の 下 、 組 織 (企 業 等 )は 最 適 な 生 産 地 と 市 場 を 求 め て 国 境 を 越 え て 活 動 し 、 原 料 ・ 商 品 、 あ る い は 資 本 や 技 術 ま で も 世 界 中 を 自 由 に 流 通 さ せ る 必 要 が 生 じ た 。 モ ノ が 自 由 に 流 通 す る た め に は 「 貿 易 障 壁 の 除 去 」 が 必 要 に な る が 、 国 毎 に 規 格 が 異 な っ て い て は 自 由 な 物 流 が 阻 害 さ れ 非 関 税 障 壁 の 一 つ と な っ て し ま う 。 そ こ で 、 「 各 国 の 異 な る 規 格 や 適 合 性 評 価 手 続 き (規 格 ・ 基 準 認 証 制 度 )が 貿 易 の 技 術 的 障 害 (Technical Barriers to Trade 商 品 の 自 由 な 流 通 が 必 要 以 上 に 妨 げ ら れ る こ と )と な ら な い よ う な 仕 組 み が 必 要 と な っ た 。こ れ は ウ ル グ ア イ ラ ウ ン ド の テ ー マ に も な り 、「 規 格 の 世 界 的 統 一 」に 向 け て 1995 年 に WTO/TBT 協 定 が 締 結 さ れ た 。 規 格 の 国 際 化 の 必 要 性 に 関 し て は 以 下 説 明 が あ る 。 TBT 協 定 で は 、 各 国 の 強 制 法 規 、 任 意 規 格 の 作 成 に 当 た っ て 、 国 際 規 格 が 存 在 す る 場 合 に は そ れ を 基 礎 と す る こ と 、 透 明 性 を 確 保 す る た め 、 各 国 の 強 制 法 規 当 局 や 標 準 化 機 関 は 、 基 準 の 内 容 を WTO ( World Trade Organization ) 事 務 局 に 通 報 報 す る こ と 等 を 加 盟 国 に 義 務 付 け て い る 。 こ れ に よ り 、 各 国 の 規 格 (国 内 規 格 ・ 国 家 家 規 格 )は 国 際 規 格 と 一 致 し 、 整 合 性 が 図 ら れ る よ う に な っ た 。 さ て 、こ こ で 言 う「 国 際 規 格 」「 国 内 規 格 ・国 家 規 格 」と は 一 体 ど の よ う な も の か 。 国 際 規 格 と は 、世 界 の 国 々 に 開 放 さ れ て い る 国 際 的 組 織 に よ っ て 制 定 さ れ 、国 際 的 に 適 用 さ れ る 規 格 を 示 し 、 ISO(国 際 標 準 化 機 構 ) や IEC(国 際 電 気 標 準 会 議 )規 格 が 代 表 的 な も の と さ れ て い る 。一 方 、国 内 規 格 ・国 家 規 格 と は 、国 家 ま た は 国 内 標 準 機 関 と し て 認 め ら れ た 団 体 に よ っ て 制 定 さ れ 全 国 的 に 適 用 さ れ て い る 規 格 で 、我 が 国 に お い て は JIS、 JAS が こ れ に 当 た る 。 TBT 協 定 締 結 後 、 国 際 規 格 は 加 盟 国 の 国 家 規 格 に 基 づ い て 、 各 国 の コ ン セ ン サ ス に よ り 共 通 の 規 格 と し て 作 成 さ れ る も の と な っ た 。 つ ま り 、 日 本 の JIS 規 格 は ISO 規 格 に 準 拠 さ れ る よ う に な り 、例 え ば 、ISO9000 シ リ ー ズ お よ び ISO14001 は 、正 式 に は ISO か ら 発 行 さ れ て い る が 、 日 本 に お い て は 違 う と こ ろ な く 日 本 語 に 訳 さ れ 、
JIS 規 格 に な っ て い る 。 更 に ISO9000 シ リ ー ズ は 、 現 在 100 カ 国 を 越 え る 国 の 国 家 規 格 と し て 採 用 さ れ て い る 。 も と も と ISO は 、 1947 年 に 、 ヨ ー ロ ッ パ の 国 々 を 中 心 に 国 際 的 に 通 用 さ せ る 規 格 や 標 準 を 制 定 す る た め の 国 際 機 関 ( 電 気 分 野 を 除 く あ ら ゆ る 分 野 ) と し て 発 足 し た が 、 TBT 協 定 締 結 後 、 国 際 規 格 の 重 要 性 が 高 ま り 、 ISO の 参 加 国 も ヨ ー ロ ッ パ か ら 全 世 界 へ と 広 が り 、 現 在 で は 約 140 も の 参 加 国 の も と で 、 ISO 規 格 が 作 成 さ れ て い る 。 ほ か 、 ISO と 密 接 な 関 係 を 持 つ 機 関 と し て IEC(国 際 電 気 標 準 会 議 )が あ り 、 こ こ で は 電 気 工 学 と 電 子 工 学 分 野 に 関 す る 標 準 化 を 行 っ て い る( 日 本 工 業 標 準 調 査 会 ホ ー ム ペ ー ジ ) 。
以 上 、 ISO と JIS の 関 係 に つ い て 示 し た 。 つ ま り 、 国 際 標 準 化 規 格 で あ る ISO 規 格 は 、 国 際 貿 易 の 推 進 ・ 安 定 化 を 目 的 に 制 定 さ れ て お り 、 各 国 内 部 の 規 格 と 整 合 し な け れ ば 当 然 に 国 際 貿 易 は 阻 害 さ れ る 。 従 っ て 、 国 内 規 格 ( わ が 国 で は JIS) と の 整 合 が 重 要 と な り 、 そ の 保 証 が 国 際 貿 易 に 貢 献 し て い る こ と が わ か る 。 た だ し 一 方 で 、 国 際 規 格 に 参 画 で き な い 発 展 途 上 国 に お い て は 逆 に 貿 易 の 障 壁 に な る と い う 矛 盾 も 生 じ て い る こ と も 事 実 で は あ る が 、あ く ま で 趣 旨 は 国 際 貿 易 の 推 進 ・ 安 定 化 と さ れ て い る 。
第 2 節
環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム (EMS)
- ISO 規 格 を 中 心 と し て -
第 2 節 で は 、 最 初 に 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 国 際 標 準 と し て 世 界 的 に 認 知 が 進 ん で い る ISO14001 に 関 し 、 そ の ル ー ツ を 含 め た 制 定 の 経 緯 を 確 認 す る 。 そ し て 、 次 に 当 該 規 格 の 重 要 な ポ イ ン ト で あ る 、「 序 文 、 適 用 範 囲 、 要 求 事 項 」 に つ い て 確 認 、考 察 を 実 施 す る 。さ ら に 、第 3 節 で は 、そ の 発 行 と 動 向 を 受 け て 国 内 で 制 定 さ れ た 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 諸 例 に 関 し て 、 概 要 と 現 状 を 示 す 。 1 - 2 - 1 EMS の 歴 史 - BS7750 か ら ISO14001 へ EMS の 歴 史 に 関 し て は 、 倉 田 ( 2006 )『 環 境 経 営 の ル ー ツ を 求 め て 』 に 以 下 詳 し い 内 容 の 記 述 が あ る 。 世 界 初 の EMS 規 格 で あ る BSI( 英 国 規 格 協 会 )に よ る BS7750 の 発 行 に 関 し て は 、 「 そ の 歴 史 は 思 い の ほ か 浅 く 、 1992 年 3 月 の 発 行 で あ り 、 そ の ポ イ ン ト は 、 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の 継 続 的 改 善 の 達 成 を そ の 主 題 と し た 点 で あ る 。 そ し て BS7750 は 、 そ の ポ イ ン ト を 含 め 、 そ の 後 1995 年 4 月 に EC 規 則 と し て 発 効 さ れ 現 在 も 運 用 さ れ て い る 、 EMAS 「 環 境 管 理 ・ 監 査 規 則 ( Eco-Management and Audit Scheme)」 に 適 合 す る 内 容 と な っ て い た 」 と し て 、「 BS7750 は ISO に よ る ISO14001 規 格 作 成 の ベ ー ス と な り 、 そ の 後 、 1996 年 9 月 の ISO14001 の 発 行 に よ り 、 消 滅 す る こ と と な っ た 」 と の 説 明 が あ る 。 そ し て 、 EMAS に 関 し て は 、「 EMAS の 規 格 で 注 目 す べ き は 、 EMAS に 参 加 す る 企 業 に 対 し 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 確 立 を EMAS 自 体 が 求 め て お り 、 そ こ で 示 さ れ る 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム は 、 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の 継 続 的 改 善 を 求 め 、ま た 、当 該 改 善 を そ の 目 的 と し て 謳 っ て い る こ と で あ る 」 と し て い る 。次 に ISO14001 と EMAS の 関 係 に つ い て は 、倉 田 に よ る と 、「 環 境 ISO 規 格 で あ り 、 か つ 、国 際 規 格 と な る ISO14001 の 策 定 に 関 し て は 、当 然 な が ら 世 界 各 国 そ れ ぞ れ の 立 場 ・ 主 張 が あ っ た こ と は 事 実 で あ る 。 EU 諸 国 の 中 で も イ ギ リ ス と ド イ ツ を 中 心 と す る グ ル ー プ は 、BS7750 及 び EMAS と の 整 合 性 を 重 視 し て 、ISO 規 格 は 環 境 パ
フ ォ ー マ ン ス の レ ベ ル を 評 価 し 、 こ の 改 善 を 図 る こ と な し に は 環 境 へ の 貢 献 は あ り 得 な い と 主 張 し た 。 従 っ て 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 基 本 理 念 で あ る 「 継 続 的 改 善 」 の 対 象 は 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス 以 外 に は あ り 得 な い 、 と し た 。 こ れ に 対 し て ア メ リ カ と カ ナ ダ の 主 張 は 、 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の 客 観 的 評 価 は ほ と ん ど 不 可 能 で あ り 、 こ れ を 明 示 的 な 目 標 と す る こ と に は 問 題 が 多 い と い う 考 え で あ っ た 。 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム そ の も の を 改 善 す れ ば 必 然 的 に 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の レ ベ ル も 改 善 す る と し て 、「 継 続 的 改 善 」の 対 象 は 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム と す る の が 適 当 だ 、 と し た 。 特 に ア メ リ カ は 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の 継 続 的 改 善 が 規 格 の 中 に 目 標 と し て 埋 め 込 ま れ る こ と に よ っ て 、 新 た な 義 務 が 生 じ る こ と を お そ れ る と と も に 、 さ ら に そ の 義 務 が 法 的 な 意 味 合 い を 有 す る 義 務 と な り 、 企 業 が 環 境 問 題 で 提 訴 さ れ た 際 に 不 利 益 を 被 る 可 能 性 を 否 定 で き な い と 懸 念 し 反 対 し た 。 そ の 結 果 、最 終 的 に は 、ア メ リ カ を 中 心 と し た 国 々 の 主 張 が 通 り 、「 継 続 的 改 善 」 の 対 象 は 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム そ れ 自 体 と さ れ 、 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス は 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 目 標 で あ り 結 果 で あ る も の と し て 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 外 部 に 位 置 づ け ら れ た 。 従 っ て 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 規 格 の 中 で は 、 直 接 的 に 目 標 と す べ き は 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス で は な く 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 改 善 と な っ た 。し か し な が ら 、イ ギ リ ス を 中 心 と し た 欧 州 諸 国 の 懸 念 で あ っ た 、 EMAS と ISO14001 規 格 の 不 整 合 と さ れ る た め の 弊 害 は 、 ISO14001 が 、 欧 州 委 員 会 に よ っ て EMAS の 要 求 事 項 に 合 致 す る 規 格 で あ る 旨 認 め ら れ た こ と に よ り 回 避 さ れ た 。
こ れ に よ り 、 ISO14001 に 適 合 し て い る 旨 の 認 証 を 得 て EMAS に 参 加 す る 企 業 は 、 ISO14001 の 適 合 部 分 は そ の ま ま に 、 ISO14001 で は 要 求 し て い な い EMAS 独 自 の 要 求 事 項 で あ る 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の 継 続 的 改 善 な ど に 関 し て だ け 、 新 た に 満 た せ ば よ い こ と に な っ た 。 こ の 結 果 、 EMAS は ISO14001 を 包 含 し た 制 度 に な っ た と い っ て よ く 、 二 つ の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格 が 並 立 せ ざ る を 得 な い と い う 事 態 に 至 る こ と は 避 け ら れ た ( 倉 田 、 2006 、 211-245 頁 ) と 説 明 さ れ て い る 。 以 上 、BS7750 か ら ISO14001 へ と つ な が る 背 景 を 確 認 し た 。ISO14001 の 発 行 に は 、実 質 的 な 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の 改 善 を 主 張 す る 欧 州 諸 国 と 、マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 整 備 運 用 へ の 適 合 を 主 張 す る ア メ リ カ 勢 と の 協 議 の 難 航 が 窺 え る 。
そ の 後 、 ISO14001 は 見 直 し が 実 施 さ れ 、 2004 年 の 改 訂 版 で は 、 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス の 改 善 が 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 運 用 の ポ イ ン ト で あ る 旨 が 謳 わ れ る こ と に な り 、 EMAS と の 整 合 性 は よ り 深 ま る こ と に な る 。 そ れ で は 、 具 体 的 な ISO 規 格 の 要 求 事 項 と は ど ん な も の か 次 節 で 確 認 し て い く こ と に す る 。 図 表 1 - 2 - 1 に BS 規 格 か ら ISO 規 格 へ の 推 移 を 示 す 。 図 表 1 - 2 - 1 . BS 規 格 か ら ISO 規 格 へ 1979 世 界 初 の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格 、BS5750 ( 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ) が BSI か ら 発 行 1987 BS5750 を ベ ー ス に 国 際 規 格 ISO9000 シ リ ー ズ が 発 行 1992 世 界 初 の 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格 BS7750 が 発 行 1996 BS7750 を ベ ー ス に 国 際 規 格 ISO14001 が 発 行 ( 出 所 : BSI ジ ャ パ ン ホ ー ム ペ ー ジ ) 1 - 2 - 2 I S O 1 4 0 0 1 規 格 - 序 文 、 適 用 範 囲 、 要 求 事 項 ISO14001 が 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 国 際 規 格 で あ る こ と は 前 述 の と お り で あ る 。 以 下 に 、 環 境 審 査 員 研 修 の 事 例 を 示 す 。 具 体 例 と し て は 、JQAI ㈱ 品 質 保 証 総 合 研 究 所 開 催 の 内 部 環 境 監 査 員 の た め の 最 上 級 コ ー ス 、 か つ 、 環 境 審 査 員 資 格 を 取 得 す る た め の CEAR ( Center of Environmental Registration ) 承 認 コ ー ス で あ る 「 CEAR 承 認 環 境 審 査 員 研 修 コ ー ス 」 が あ る 。 当 該 コ ー ス 受 講 に は 事 前 審 査 が あ り 、 ISO14001 規 格 を 十 分 理 解 し て い る こ と が 求 め ら れ る 。内 容 は 高 度 な 部 類 で あ り 、工 場 管 理 又 は 監 査 業 務 の 経 験 が な け れ ば 合 格 修 了 は 容 易 で は な い も の と 思 わ れ る 。合 格 修 了 要 件 に は 3 項 目 が あ り 、研 修 機 関 が 採 点 す る 研 修 パ フ ォ ー マ ン ス 及 び 最 終 日 に 提 出 す る 審 査 報 告 書 、 並 び に ( 社 ) 産 業 環 境 管 理 協 会 ( Japan Environmental Association Industry : JEMAI ) に よ る CEAR 筆 記 試 験 全 て に 合 格 し な け れ ば な ら な い 。 近 年、 認 証 取 得 企 業 の 不 祥 事 に か ら み 、 審 査 員 の 能 力 の バ ラ つ き も 問 題 と さ れ て お り 、 審 査 員 研 修 の 新 ス キ ー ム で は 、倫 理 観 な ど 人 格 に 関 す る チ ェ ッ ク も 含 め ハ ー ド ル が 高 く な り 合 格 修 了 で き な い 可 能 性 も 否 定 で き な く な っ て い る 。
「 5 日 間( 通 学 )で 環 境 審 査 と 環 境 経 営 の 全 体 像 に つ い て 包 括 的 な 研 修 を 受 け る こ と が で き 、と く に 、経 営 シ ス テ ム 改 善 に 焦 点 を 当 て た 豊 富 な ケ ー ス ス タ デ ィ ー と グ ル ー プ 討 議 、さ ら に 実 際 の 工 場 で 本 番 そ の も の の 審 査 が 体 験 で き る オ ン サ イ ト ト レ ー ニ ン グ に よ り 、 ISO14001 を 実 感 で き る 」 と な っ て い る 。 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム で あ る ISO14001 の 知 識 と し て は 、 公 害 防 止 や 省 エ ネ が メ イ ン タ ー ゲ ッ ト と し て 必 須 で あ る 。し か し な が ら 、当 該 E M S で 言 う「 環 境 」と は も っ と 広 義 で あ り 、原 文 で は「 活 動 を と り ま く も の す べ て 」と さ れ て い る 。そ の 思 想 は 地 球 上 の 活 動 す べ て を タ ー ゲ ッ ト と し て お り 、今 現 在 、地 球 環 境 に と っ て 必 要 と さ れ て い る 「 SR( 社 会 的 責 任 )」 に つ な が る 考 え 方 で あ る 。 そ れ で は こ こ で 、ISO14001 は そ の 要 求 事 項 と し て 何 を 求 め て い る の か 、『 対 訳 ISO14001 : 2004 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム [ ポ ケ ッ ト 版 ]』( 財 団 法 人 日 本 規 格 協 会 、 2005 ) を 参 考 に し て 確 認 し て い く 。 ISO14001 : 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム - 要 求 事 項 及 び 利 用 の 手 引 ( Environmental management systems - Requirements with guidance for use ) に は 、 主 要 項 目 と し て 序 文 、 適 用 範 囲 、 要 求 事 項 が あ る 。 当 該 内 容 は 、 EMS と し て の ISO14001 を 確 認 す る た め の 重 要 項 目 で あ る た め 、 そ れ ぞ れ 参 考 と し て 巻 末 の 〔 資 料 1 〕: 序 文 、〔 資 料 2 〕: 適 用 範 囲 、〔 資 料 3 〕: 要 求 事 項 、 に 掲 記 す る 。 最 初 に 、 序 文 の ポ イ ン ト を 示 す ( 内 容 詳 細 は 巻 末 〔 資 料 1 〕: 序 文 参 照 )。 序 文 で は 、 ま ず 、 現 状 は 様 々 な 組 織 が 、 自 ら の 活 動 の 環 境 影 響 を 管 理 す る こ と で 、 健 全 な 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス を 達 成 、 実 証 す る こ と へ の 関 心 を 高 め て き て い る こ と を 確 認 し て い る 。 し か し 、 既 存 の 取 組 で は そ の 保 証 は 十 分 で な く 、 こ れ ら を 効 果 的 な も の と す る た め に は 、 組 織 に 組 み 込 ま れ て 体 系 化 さ れ た マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 中 で 実 施 す る 必 要 が あ る と し て 、 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 重 要 性 を 謳 っ て い る 。 そ し て 、 当 該 シ ス テ ム で は 一 部 の コ ミ ッ ト メ ン ト の 他 は 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス に 関 す る 絶 対 的 要 求 事 項 を 規 定 す る も の で な く 、 組 織 の あ ら ゆ る 活 動 に 適 用 で き る た め 、 そ の 成 功 に は 組 織 の コ ミ ッ ト メ ン ト 、 特 に ト ッ プ マ ネ ジ メ ン ト の コ ミ ッ ト メ ン ト が 重 要 だ と し て い る 。 ま た 、 同 規 格 は 、 非 関 税 貿 易 障 壁 を 生 み だ す た め 、 又 は 組 織 の 法 的 な 義 務 を 増 大 若 し く は 変 更 す る た め に 用 い ら れ る こ と を 意