Title
地域高齢者の活動志向性に影響を及ぼす要因および実際の
社会活動との関連( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
井戸, 正代
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1154号
Issue Date
1998-03-04
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15115
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 井 戸 正 代(岐阜県)
博
士(医学) 乙第1154号
平成10年
3 月 4 日学位規則第4条第2項該当
地域高齢者の活動志向性に影響を及ぼす要因および実際の社会活動との関連
(主査)教授清
水 弘 之 (副査)教授岩
田 弘 敏 教授 小 出 浩 之 論文内容の要旨 高齢化が急速に進み,人生80年時代が現実のむのとなったわが国において,老人保健活動の目的は,「平 均寿命の延長」から「健やかに老いる」ことに,発展的な方向転換を迫られている。高齢期においても社 会的な役割を持ち続けることの重要性が指摘されているが,実際の社会参加は未だ十分とはいえず,高齢 者の社会参加に関する態鼠意欲に関する研究もきわめて少ない。 本研究は,地域における在宅高齢者の生活志向性のうち特に活動志向性に注目し,これと実際の社会活 動との間の関連性を検証したものである。また,各個人の活動志向性にどのような要因が影響を及ぼして いるかについての解析が加えられている。 対象は岐阜市の65歳以上の在宅高齢者(約45,500人)であり,1992年に同居家族の有無によって層化して 無作為に抽出した205人に対して訪問面接調査を行い,157人(77%)から回答を得た。しかし,主要な回 答項目に欠損値のあったものを解析から除外したので,最終的な対象者数は,男53人女92人の計145人, 同居家族の有無別内訳はあり93人,なし52人であった。同居家族の有鰍こよる回答率に差はない。データ の解析に当たってはt検鼠一元配置の分散分析による差の検定を行うとともに,必要に応じ共分散分析を 行った。また,活動志向性に影響を与える因子については重回帰分析を適用した。これらすべての統計解 析にはPC-SASを用いた。 得られた結果の主なものは次の通りである。 1)男女とも,仕事あり群ではなし群に比べて有意に活動志向性得点が高かった(男では2.75対1.46,女 では2.78対1.85,ともにP<0.01)。また,男性では,趣晩旅行においてもあり群でなし群に比べて有意に 高い活動志向性得点が認められたが,女性ではこの傾向は認められなかった。 2)婚姻状態や同居家族形態の違いによる活動志向性得点には,男女とも差が見られなかった。 3)活動志向性得点を従属変数とした重回帰分析では,男女ともPGCモラール(Philadelphia Geriatric CenterMoraleScale)得点,つまり主観的幸福感の強さとの問に有意な正の相関が認められた(p<0.05)。 男性では年齢が活動志向性得点と負の相関を示した(p<0.05)。女性では,親和志向性が正の,社会的支 援の満足度が負の相関を示した(p<0.05)。これらの傾向はADLや慢性疾患の有無を調整しても変わらな かった。 以上の結果より,著者らは,「女性は家を守るもの」と考えられていたこの年代の女性は,活動志向性が あっても家族,特に配偶者の同意が得られないと実行に移しにくいなどの制約が存在する可能性があるも のと考察している。 また,活動志向性得点に影響を及ぼす要因として,男性では年齢が負の相関を示したにもかかわらず,-173-女性ではこの傾向は全く見られなかったことより,高齢期に入って仕事から離れる男性では.専業主婦を 続ける場合が多い女性に比べて,社会的地位や役割の喪失感が大きいためと考察している。 活動志向性得点とPGCモラール得点は男女とも正の相関を示し,主観的幸福感と活動意欲とは関連が強 いとする先行研究の結果に一致した。しかし,両者の因果関係についてはまだ明らかにされておらず,今 回の研究においても未解決な部分でありt 今後の縦断的な研究が期待される。