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林業低迷期における伝統的森林経営の構造変化に関する研究 - 奈良県川上村における山守の分析を中心として -

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Academic year: 2021

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Title

林業低迷期における伝統的森林経営の構造変化に関する研

究 - 奈良県川上村における山守の分析を中心として -( 内容

の要旨 )

Author(s)

井戸田, 祐子

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第358号

Issue Date

2005-03-14

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2699

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本(国)籍) 学 位 の 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 井戸田 祐 子 (愛知県) 博士(農学) 農博甲第358号 平成17年3月14日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 信州大学 林業低迷期における伝統的森林経営の構造変化に 関する研究 一奈良県川上村における山守の分析を中心として一 主査 信州大学 教 授 木 達 人 副査 信州大学 教 授 野 口 副査 静岡大学 教 授 小 鴫 睦 雄 副査 岐阜大学 教 授 安 部 淳 論 文 の 内 容 の 本論文は、わが国の林業が長期にわたり低迷を続ける今日、国内林業を代表するとも いわれる吉野林業地域を対象として、対象地における伝統的森林経営の形態である山守 制度に着目し、その役割の再評価と今後の課題を、山を造る技術である施業とそれを担 う山守の置かれている社会的な生産関係の両側面から解明しようと試みたものであ る。 山守制度とは、村外者の所有山林を村内者(山守という)が委託を受け管理■(山林の見 回りと施業の代行)し、原則として皆伐時に立木価格の5%が報酬として山守に支払わ

れるというものである。対象地が人工林経営の長い歴史を嘩有する地域であること.か

ら、歴史的展開を踏まえ、詳細な現地調査にもとづく現状分析をおこなっている。 山守制度は、近世における村内の強力な共同体規制等の社会・経済的条件のもと、村 外山林所有者にとって所有山林のもっとも安全で確実な管理方法として確立された。山 守は村落共同体規制を背景に、山守料のほかにも伐採立木の優先的な払い下げなどの利

得を慣例として所有者から獲待した。山守は管理山林において育林業と素材生産喪の両

方を統一的に担っており、これは長期的な視点に立った林地の生産力を損なわない集約 な生産技術め適用を支える重要な要件である。今日の施業の特徴として、植栽密度の低 下と植栽樹種のヒノキへ甲偏重がみられる。また、4∼14齢級を中心に約半数の林分で 間伐の実施が遅れる傾向にある。間伐遅れの林分では、均一な年輪構成をもつ良質材を 生産することは困難になりつつあると判断されるだけでなく、林内相対光量子量が低

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く、樹冠の欝閉が進んでいる。しかし、近年実施された間伐事例は、山守および大規模 村外山林所有者のいずれが中心に選木等がなされる場合でも、残存木の形質、配置は良 好で、将来的な林分の価値上昇が期待できるものであった。また、施業体系についても・、 山林所有者との関係が良好で育林経営をある程度山守に任せられている場合には、山守 は現在も高い生産技術と山林に関する知識を保持し、・通直、完満、均一な年輪幅をもつ 優良大径材を生産しようという施業が維持されている。 比較的規模の大きい所有者層では、すでに山守によって管理することができなくなっ た山林について自ら管理することでそれを補う傾向がみられるが、山守制度の管理上の 利便性は所有者からもー定の評価を受けている○しかし、と・くに小規模な山守から廃業

が進んでおり.、他に主となる生計手段をもつ兼業的山守では、高齢化や山林管痙能力の

低下がみられ、これまでのように素材生産者、施業代行者、山林管理者としての機能を

複合的に果たすことは難しく、単なる境界管理者となる可能性が高いと考えられる。一

方、管理面積が100ba以下と小さくとも常用労働力を雇用し、比較的活発に活動してい る山守は、村外など管理山林以外の山瀬でも素材生産業をおこなっている。管理面積 300ba以上の山守であっても事業量は減少傾向にあり、今後、場合によっては管理山林 外での素材業により事業量を補填するなど、安定的な事業量確保への取り組みが求めら

れる。

審 査 結 果 の 要 旨 本論文は、吉野林業地域における山守と山林所有者との生産関係および生産技術について、歴史 的検討と実証的分析から森林経営の特質・特徴と問題点を明らかにし、今後の吉野林業の展望を指 し示したその結果、審査委負からの指摘・質問にたいし的確な回答がなされ、加えて十分な学力 水準を有するものであることが認められ、論文内容および人物評価とも高い評肺を得たなお、基 礎となる学術論文は以下のとおりである。 ・奈良県川上村におけるスギ人工林施業の分析 一高原地区・A氏の事例を中心と

して一俵林計画学全盛Ⅶ.36Nb.1(2002),井戸田祐子・植木達人・石川善朗・小鹿勝利)

・奈良県川上村における森林管理の現状と山守制度の課題 一山林所有者へのアンケート調査を中 心に- (森林計画学会誌「ゐ1.38 Nb.2(2do4),井戸田祐子) 以上について、審査委員全員一敦で本論文が岐鼻大学大学院連合農学研究科の学位論文として十 分価値あるものと認めた。

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