鳴門教育大学研究紀要 (教育科学編) 第 四 巻 2003
2次関数の最大・最小におけるつまずきの分析および指導
-.
OHP
シ ー ト を 利 用 し た 個 別 指 導 の 実 践 を 通 し て-丸 林 英 俊 ぺ 川 上 雅 子 * *
(キーワード:2次 関 数 最 大 ・ 最 小 つ ま ず き , 教 材 ・ 教 具 )1
.はじめに
日頃の実践の中で,高等学校(普通科)に入学して間 も な い 生 徒 が わ か ら な いJ,r
むずかしい」というのが この 2次関数の最大・最小の特に文字を含む問題につい てである。近年,数学ぎらいが叫ばれているが,この問 題を理解できるかできないかが,彼らにとって高校3年 間の数学が好きになれるかどうかを決定する重要な問題 であると考える。実際 H2次関数」の指導上の問題点』 の中で,高校1
年で約1
割の生徒たちが,数学ができな くなったと感じており そのつまずき始めの教材が「関 数」であることを指摘している([3J
)
。 そこで,事前調査として下記のような2次関数の最大・ 最小の文字を含む 2つの典型的な問題を解かせ,つまず きの分析を行コた。その結果つまずきの主な原因が「区 間の場合分けの複雑さ」と「関数と区間が同時に動いて いると錯覚することJ にあることがわかった。 本論文では,r
場合分け」の視点から生徒を3レベル: ①全くわからない②最大・最小の一方がわかる③ほとん どわかる,に分類し 2つの問題とも同じレベルに属する 生徒を各1名,さらに2つの問題のレベルが異なる生徒 の代表として1名,合計4名を選出した。そして,彼ら に最大・最小の問題を解決させるため 基本的問題を繰 り返し練習させる教材とOHP
シートを利用した教具を 開発し,個別指導を行った。ここでの個別指導の方法は Borasi ([ 1 ])を参考にした。これらの教材・教具が2 次関数の最大・最小の文字を含む問題を解決するのに有 効かどうかを検証した。この論文は, ([2J)をまとめた ものである。2
.
事前調査
平成13年 12月中旬 徳島県立J高等学校普通科1年 生(
4
0
人)において,2
次関数の最大・最小に関する問 題についてテストを実施し,生徒の実態を把握した。 問題1一文字係数の2 次関数の最大・最小の問題-2次関数 y=が-2似 (0 壬 x壬 2)における 最大値M仰)と最小値m(a)を求めよ。 また,そのときのxの値を求めよ。 問題2一区間に文字を含む2 次関数の最大・最小の問題-2次関数 y =r-
2x + 3 (t三五x三五t+ 2 )の 最大値と最小値を求めよ。3
. つまずきの分析
上記問題1,問題2は 区 間 の 場 合 分 けJをみる問題 である。したがって以下の表では つまずきを分析する ために「区間の場合分けに関するもの」と「その他Jに 分けてまとめた。 問題lにおけるつまずき ① 区間の場合分けに関するもの つ ま ず き 人 数 (1) 全くわからない-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-. 2次関数のグラフがわかっていない 2 -平方完成とグラフまで 1 -不明 1 (2)最大値・最小値を同時に求める場合-
-
-
-
-
-
-
-
--最大値のみに着目 1 -最小値のみに着目 7 (3) 最大値・最小値を分けて考える場合-
-
-
-
-
-
-
-
--最大値不十分 1 (4) グラフとαの範囲が一致しない l (5) xの値まで求める場合-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-• a = 0, 2のとき分けて考えた 2 • a = 1のとき分けずに考えた 11 • a = 0, 1, 2を除いた 1 • a 詮Oの範囲だけ考えた 2 • xの値まで求めていない 1 *鳴門教育大学自然系(数学)教育講座 **鳴門教育大学大学院 Q d ヴ t丸 林 英 俊 ・ 川 上 雅 子 ② その他 つ ま ず き (1 ) 計算ミス (2) α= 1としながらxの値や最大値,最小値 が文字のまま 問題2におけるつまずき ① 区間の場合分けに関するもの つ ま ず き 人 数 (1) 全くわからない
~
. 2次関数のグラフがわかっていない 1 -不明 2 -無解答(分からない気持ちを答案に書いている) 1 (2) 最大値・最小値を同時に求める場合~
-最大値のみに着目 3 -最小値のみに着目 6 (3) グラフとtの範聞が一致しない l (4) xの値まで求める場合~
. t=
-
1, 1のとき分けて考えた 1 . t=
0のとき分けずに考えた 8 . tコ ー1,0, 1を除いた 1 . tの範囲不十分 3 . tの範囲簡単にせず 3 (5)xの値まで求めない場合~
. t=
0のとき分けて考えた 1 ② その他 つ ま ず き (1 ) ミス(計算ミス,符号ミスなど) (2) t = 0としながらxの値や最大値,最小値 が文字のまま (問題1,2において一人の生徒が,複数のつまずきを している場合もある。) 答案や表から次のことがいえる。(
1
)
問題1,2においてそれぞれ「最大値と最小値を求め よ」という問いには,各区間での場合分けが正しいか 正しくないかは別として 生徒のほとんどが各区間の 中で同時に最大値と最小値を求めていた。実際,別々 に分けて考えたのはわずかで,問題1で2人,問題2 で1人であった。また 無解答は問題2の1人だけで あった。 (2) 最大値と最小値を同時に求めるのに最小値だけを考 えて区間を場合分けしている答案が非常に多かった。 実際,一方しか考えずに場合分けしてつまずいた者の うち最小値で場合分けした者は,問題1では8人中7 人,問題2では9人中6人であった。生徒にとっては 最大値よりも最小値に着目した区間の場合分けが思考 しやすいと考えられる。今回は問題1,2とも,問題の 2次関数が下に凸ばかりであったので次回は上に凸の 場合についても調査し,最大値に着目して場合分けす る生徒が多いかどうかを検証したい。(表:問題1の① の(2),問題2の①の(2)参照) (3) 区間の場合分けに関するものの中で,tの範囲をでき るだけ簡単な形にしていない解答もみられた。例えば, -l<t<Oをt+1<1<t+2など図で表したまま の状態になっているのが 問題2で3人いた。これは 式を変形するのが面倒でそのままにしているのか,あ るいは簡単に表すことができないのかは生徒により異 なると考える。(表:問題2の①の(4)参照) (4) 場合分けした区間の端点が 場合分けした区間のど ちらに含まれるか あるいは分けて考えなければなら ないかをきちんと場合分けで、きていない生徒も多かっ た。特に,成り立っときの xの値まで求めるとき分 けて考えなければならないところをまとめていた。こ の点については問題 1では 11人,問題 2では8人と多 い。また,端点をどのように判断してよいかわからな いため,あえて場合分けの区間から除いたと考えられ る答案もみられた。(表:問題1の①の(
5
)
,問題2の① の(4)参照) (5) 問題としてどこに文字がはいっているか(関数が文 字係数か,あるいは区間が文字を含むか)の違いはあっ ても,各区間で同時に最大値と最小値を考える場合い ずれも解答は,xの値まで求めるときは区間が5
つに 分かれ,Xの値まで求めなければ4つに分かれる。別々 に分けて最大値と最小値を考える場合,最大値はxの 値まで求めるときは3つに分かれ,xの値まで求めな いときは2つに分かれる。このときどちらの場合も最 小値は3つに分かれたままで変わらない。(ただし,問 題 1,2の場合)一般に問題1,2とも同じ生徒では両 問題に共通する解き方をしているため同様のつまずき が見られた。 (6) 各区間での最大値と最小値が正しいか正しくないか は別として,成り立っときのxの値まで求めていない 生徒は,問題1では1人,問題2では3人であった。 問題1で少ないのは問題に fxの値まで求めよ」とあ るからだと考えられる。以前は問題にxのあるなしに かかわらずxの値まで求めるよう指導してきた。最近 はなくてもまちがいではないということで,書かない 生徒が増えた。しかし問題2では書くか書かないかで 区間の場合分けが(5)で触れたように変わってくる。 (4) とも関連するが,この点での生徒のつまずきは非常に 多く,細かい指導が一層必要となるところである。(表: 問題1の①の(5),問題2の①の(4),(5)参照) (7) 場合分けには直接関係なく,答えとしてまちがいで はないが,数学的に気になるところとしては,問題1 において「最大値M仰)と最小値m(ω
を求めよjとあ ハ U 0 02次関数の最大・最小におけるつまずきの分析および指導一OHPシートを利用した個別指導の実践を通して一 るのに M仰)やm(α)を使わずに最大値はとか,最小値 は,などのように言葉で答えを書いている生徒が, 10 人もいたことである。これは慣れない文字に対する理 解が不十分で,使用するのに抵抗があったためではな いだろうか。実はこの問題の続きに, rM(a) , m(a)の グラフをかけ」とあり,正確にグラフがかけたものは 少なかった。調査テストに rM(a)やm(a)の意味がわ からないJ,
r
求めた最大値や最小値が一体何なのかわ からないJと書いた生徒もいた。 xとyを使って関数 を表すことには慣れているが,xとf(x)の関係以上に αとM(α)あるいはαとm(ω
の関係は捉えにくいようで ある。 以上の分析結果から,つまずきのレベルを①区間の場 合分けが全くわからない②最大・最小の一方の区間の場 合分けがわかる③区間の場合分けは基本的にはわかって いるが細かいミスをしている,の3段階に分けた。細か いミスには,区間の場合分けにおいて等号をつける位置 の問題や,区間を表す不等式を簡単にしていないものな どがある。 以下の表は問題1,2のつまずきがつまずきのレベルの どれにあたるかを場合分けしたものである。 つまずきのレベル 問題1問題2 ①区間の場合分けが全くわからない ①-(1) ①一(1) ②最大・最小の一方の区間の場合分けがわ ①一(2) ①一(2) かる ①一(3) ③区間の場合分けは基本的にはわかってい ①一(4) ①一(3) ①一(5) ①一(4) るが細かいミスをしている ①一(5) こういった生徒に対して 実際にどのように指導すれ ば生徒のつまずきをなくすことができるか,次章で考察 することにした。4
.
指導法の考察
3章におけるつまずきの分析から下記のようにつまず きの原因と対策を図に表した。 生徒はなぜ 文字係数の2次関数や区間に文字を含む2次関数の 最大・最小の問題でつまずくのか 円V
円V
原因1 最大・最小を同時に考 えて区間の場合分けを しようとするから 原因2 関数と区間が同時に動 いているように感じる から円 八 ﹀
4
教材の開発 教具の開発 次に具体的な教材・教具の開発について述べる。 (1 ) かわらばん教材の開発 “かわらばん"とは平成10年度から日頃の教材とし て使用しているプリントのネーミングである。生徒に江 戸時代の庶民の新聞のように数学のプリントに慣れ親し んでもらいたいという気持ちを込めて作成したもので, 今回はそれを改良し使用した。改良点は2点ある。 1点 目は生徒にわかりやすく理解させるために,教材プリン トで扱う関数や区間はできるだけシンプルなものを選び, 文字のあるこの問題の本質が見やすい形にした。具体的 には, 2次関数のぷの係数は 1ま た は -1,そして区間 も真ん中を考えるときに分数にならないようにするため に幅2または4とした。 2点目は,つまずきの最大の原 因が各区間において「最大・最小の問題を同時に考えよ うとするところ」にあると考えた。これにより「場合分 けが複雑Jになり理解できない生徒が多いのだと考える。 そこでかわらばんの各プリントでは,小間を3題っくり r(l)最大値(2)最小値(3)最大値と最小値を求めよ」という 形にした。この小間(1).(2)では「区間の場合分けの複雑 さ」を解消するために最大値と最小値を別々に分けて一 方だけ考えさせた。また (3)では最大値と最小値を別々 に考えた上で,解答の美しさの視点や同時に2つのこと を考えられるという視点からも あわせて考えられるよ うにした。 また,今回のかわらばん教材は,文字係数の 2次関数 の最大・最小に関する問題としてNO.1から NO.4までの 4 題,また区間に文字を含む2次関数の最大・最小の問題 としてNO.5から NO.8の 4題で構成されている。資料とし て各問題を簡単に表したものを最後のページに載せた。 これは,紙面の関係で8枚のプリントを最後のページに まとめた。実際のかわらばんでは 各々の問題をA 4サ イズにプリントしている。 上記 2点について考慮し プリント教材かわらばんを 作成した。 (2) 0 H Pシートを利用した教具の開発 つまずきの2つ自の原因が「関数と区間が同時に動い ていると錯覚すること」により起こると考え,問題の本 質を見極めるため,視覚的に容易に捉えられるよう動く もの(関数と区間)を, OHPシートを用いて表すこと にした。 まず,教具の開発その1一文字係数の2次関数の最大・ 最小の問題に関する教具一(関数を表すシート)は,材 料としてOHPシート,方眼紙,はさみ,油性マジック (黒)を用いた。作成の手順は次のとおりである。 ①方眼紙に関数y= x2のグラフをかく。。 。
丸 林 英 俊 ・ ) 11上 雅 子 ②
OHP
シートに①のグラフを黒の油性マジックを使っ (1)個別指導の実際 てなぞる。 全くわからない生徒 A子の例 ③このグラフがきちんとはいる大きさにシートを切る。 A子の答案 問題1司
次に,教具の開発その2-
区間に文字を含む2
次関数 の最大・最小の問題に関する教具一(区間を表すシート) を開発した。 材料として,OHP
シート,はさみ,ものさし,油性 マジック(赤)を用いた。作成の手順は,次のとおりで ある。 ①OHP
シートを6cmX 2
c
m
の長方形に切る。 ②このシートを赤の油性マジックで塗る。 6c
m
仁
今
ヲ
z
「
これらの教材・教具を実際に用いた個別指導の実践に ついて詳述する。5
.
個別指導について
3章で分類したように,事前調査のテストの分析結果 から「場合分け」の視点で ①全くわからない ②最大・最小の一方がわかる ③ほとんどわかる という 3つのレベルに分けた。 問題1,2で同じレベルのまちがいをしている生徒を中 心に,各レベルの代表として, A子, B子,c
夫の 3人 を, 2つの問題の答えのレベルが異なる生徒の代表とし てD子を取り上げ, 3章で述べた教材と教具を使って個 別指導を行った。 D子は,問題 1のレベルは③,問題 2 のレベルは①である。 ~ .; 0 1¥t ,~ 長 ~~JM
(
a
)
j,=Ortt! 0 ~: l~ -~)-
~J
;
o
・0母
、
川
f
"
.
,1,1
1
m
(~)川匂 u
-+向 1 ; 2 町 t~ 問題 2 1~ も町 t.\ 』 ュt
$
,z
t
4
3
~
t
し
1)¥2t
:
t
l
2司L'いい
2
;
,山{l ) ~う t"H~ ヰ- ~t' 斗 tJ ~ t~ ~ 2 t tウ ~tt 争l) q ゑ~!
l
t'けもけih4j t
1
J
t
'
1
問題1,問題2に共通していることは, 2次関数の最大 値と最小値を求めるのに 1次関数のように捉えて区間の 両端の値を代入して比較し,自分が大きいと思う方を最 大値,小さいと思う方を最小値としている。また,両問 題とも答案にグラフを全くかいていないところから,関 数を幾何学的に捉えることをせずに問題を解こうとして いる。そこで中学校の1
次関数と簡単な2
次関数のグラ フをもとにした最大・最小の問題を解くことから復習す ることにした。 A子の個別指導 ①頭で考えるだけでなくグラフをかくことにより,関数 の幾何学的イメージづくりができるように, 1次関数と 簡単な2次関数の最大値と最小値について下記の問題を 解かせた。 次 の 関 数 に お い て -1
~玉 x 孟 2 のとき最大値・最小 値を求めよ。(1)y=x+1 (2)y=ω (3)Y=X2+ 1 (4)y=ω2 調査テストでの結果が信じられないほどすらすら解け た。 A子は、最大値と最小値について2次関数の場合, 最大値は一番高いところ,最小値は一番低いところ,つ まり, これらは区間の両端または頂点が候補になってい ることに気づいた。また, (2), (4)のαについても正,負 の場合分けができグラフもきちんとかけた。 ②次の 4つの基本の 2次関数について,頂点の座標, (1) のグラフとの位置関係について考えさせた。
(1)y=ax2, (2)y=
α
μ
_p)2, (3)y=ax2+q,(4)y =α(X-p)2+q A子は, (2)から(4)の頂点の座標について答えることが できなかった。しかし これらすべてのグラフの開き具 つ -0 0
2次関数の最大・最小におけるつまずーきの分析および、指導一OHPシートを利用した個別指導の実践を通して一 合は同じであることはわかっていた。 ③文字係数の2次関数の最大・最小の問題について,教 材であるかわらばんNo.1からNo.4と関数を表すシートを 使用して指導した。その結果, A子は下に凸のグラフで は最大値は区間の真ん中を基準に考え,最小値は区間に 頂点が入っているかいないかで場合分けすればよいとい うことに気づいた。また,グラフが上に凸,下に凸かで 最大値,最小値の求め方が逆転していることにも気づい た。最後には,シートがなくても問題を解くことができ るようになった。 ④区間に文字を含 む最大・最小の問 題を解くために, 教材No.5から NO.8 のかわらばんと教 具である区間を表 すシート使用した。 区間が動くという ,;::..},¥";:;"'" 写真 1 区間を表すシートを使用してか ことはどういっ - わらばんを解いているところ とかを,ビジュア ルに理解させるため実際に自分でシートを動かすことで 実験させた。また,シートの幅が 2cmということの理由 について(特に区間が 4のとき グラフの目もりを 5mm にすることでこのシートが使えることを)考えさせた。 ③のときと同様に下に凸のグラフでは,最大値は区間の 真ん中を基準に考え,最小値は区間に頂点が入っている かいないかで考えれぼょいということに A子は気づ、いた。 また,この場合もグラフが上に凸 下に凸かで最大値や 最小値の求め方が逆転していることに気づいた。そして, シートがなくても問題を解くことができるようになった。 ⑤最後に②の指導時に4つの2次関数について浬解が十 分でなかったので,今度は具体的な 4つの関数について 考えさせた。問題は次の 4つである。各問題について, グラフをかかせ,頂点の座標,軸, (1)のグラフとの位置 関係を考えさせた。 (1)y = x2,.(2)y = (x-1l, (3)y =μ-1)2+3, (4)y=x2-1 具体的な問題であったためか,②のときとは違ってス ムーズに正確に全部解くことができた。そして,(1),(2), (3), (4)のグラフは平行移動によりすべて重ねあわせることが できることや関数を表すシートが一つである理由につい ても理解できた。 最大・最小の一方がわかる生徒 B子の例 B子の答案(最大のみの場合) 問題 1 1包(1.-rl)2_O~
物
(l:letを. Mlt 0 (1=0,2舟'(.!J 似 I~ -1{x: I ~ 't!} a く Iqt老、 Mtl イ~ti (1=2のt!J 帆 4主 、0: (1::/lの'la) (j..>/の 'i~. M'i 0 (1= 0由ra) 世¥1,1'.
o
.
a 0=0.の'l'
l
問題21
干('1・1)'+2川 山
W
W
M
が州lド::I ~品 2 臼.(x
糾=
z叫1骨附悦J♂
.
t
tl< 1 t'lM..
t
<
0喝tli
t
.
!
jt
lJil(1:μw
最小~l ,tlt1t刊 lx~ .tUØl~!) れ1)1h:~t 止 >0 Ø1(~‘ l~幅約~1,,'1
(t=l付拘U) れ 信 仰 が1(t:.h'(lJ 2つの答案に共通していることは,区間を最大値のみ を基準にして場合分けし,各区間で同時に最大値と最小 値を求めていて,最小値を基準にした場合分けをまった く考えていないことである。また,上のグラフには,一 つの図の中に5
つのグラフがかかれていているが答案で の場合分けは3つになっている。生徒は,最大値と最小 値の問題について5つの場合に分けなければならないこ とは,知っていると考えられる。実際に個別指導の中で インタビ、ユーしてみると関数と区間の位置関係について は答案の図が示すように5
つになることは,はっきりわ かっていたがいざ場合分けしようとすると実際にどう したらよいかわからないJと い っ て い た 。 ま た 最 小 値 に着目して区間の場合分けをする生徒がほとんどであっ たのに,なぜ B子は,最大値のみを意識して場合分けを 考えたのかJと聞いてみると「区間のちょうど真ん中に 頂点がくると両端が同じ値になる。この形が好きなのだ」 と言っていた。これは,生徒は言葉ではうまく表現でき 』なかったが, 2次関数の軸を中心とした対称性の美しさ に惹かれたのではないかと考える。 B子の個別指導 ①上記 2つの答案からこの分類だと最大値のみの場合分 けしか考えていないことに気付かせた。 ②また,一つの図の中に複数のグラフをかくと何がなん だかわからなくなるので,見やすくするために分けてか くように指導した。 ③文字係数の 2次関数の問題について最大値と最小値を q u o o丸 林 英 俊 ・ 川 上 雅 子 別々に考えさせるため,かわらばんNO.1から NO.4を使用 した。さらに,最大値と最小値の区間の場合分けをそれ ぞれ数直線にあらわして一度にあわせて考えるには,ど のような場合分けになるかを考えさせた。 ④区間に文字を含む 2次関数の問題について最大値と最 小値を別々に考えさせるため かわらばんNo.5から NO.8 を使用し区間を表すシートも使用した。この場合も,最 大値と最小値の場合分けを数直線にあらわして(③と同 様)一度に考えるには,どのような場合分けになるかを 考えさせた。 ⑤最後にこれまでの学習が身についたかどうかをまとめ の問題により確認した。 2回の個別指導が終わった後 インタビューの中でB 子はこの 2次関数の最大・最小の問題に対して,わかっ たことと自分なりの解法について述べた。 「まず,それぞれの問題に対する答えの書き方で, 4つ に場合分けする場合と 5つに場合分けする場合の違いに ついてわかった。 次に,区間と 2次関数のグラフの 5つの位置関係は シートを左右に動かして説明できるが,最初から一度に 場合分けするのは非常に難しい。そこで,最大値と最小 値の場合分けのみをそれぞれだしておいて,その 2つを あわせた範囲を場合分けし,その区間で最大値と最小値 をそれぞれ求めたいJと言っていた。 ほとんど理解していると思われる生徒 C夫の例 C夫の答案 問題 1 ~"t.'-2Dtぞ (O~)(t~) 佐くわがけをえ, ~ (ズ_~ }l_ ~l 官官わけれ E き句ち~¥1¥1 lM(&I,イ 5,('中崎汁')
~71d'~ 1l'''ヰ~
r
t
-
"
.
.
,〆
4市(4 o崎川::0 問題2 1~ X:ヒ2!Ct う .以栴11''t2 鮎(I.l) dt2 帯.;"r-2tt} 司~,..i"'A り 首¥1
1
i
r
¥
~
i¥!ノ ,i'..l. 1 t町 内十イ ittLl担 Eいw
t
ふ がいi桝t
孟│川 t,
l (1仰が t.叫 'X:かeild州t
:
討。 t<o,
tt I>i,t刷、t州f-'Jb; 寸前E助 tl.材~J 1.' t川糊F 向。 i‘ 1.H. ~ìll ~ r-一一一¥ l.' IQthM '2 Ali ヤiパ 11'.!i"J制自町内{ 可¥:11 河‘at 1:'一h
イI
,l'U,
.
r
t
開F向ゅ{柿9
1
H
, t 1初怜x,la\t 咽;~2 I 'I'Hl わ汁~4l章tかv
l)h2,
1 .~'S t・,1酬を 1.-\ 骨糊t~'坑吟 問題1
,2
とも答案にあるグラフには1<a<2としな がらも, 1<αとしているようなまちがいが, 2カ所ずつ 見られる。また,問題2では t= 0のとき具体的な値を 代入せずに文字のままになっている。図としては,関数 のグラフと区間の位置関係をきちんとかくことができて いるにもかかわらず,式として場合分けができていない のはなぜか。生徒にインタビューしてみると「塾で習っ た方法をただ何となく使っただけではっきりと,わから ないJ といっていた。答案の両方に見られるように場合 分けに関して不安な気持ちがよくあらわれている。そこ で次のような個別指導を行った。 人 が か な リ か い ' を 一 信 ゼ ら ﹂ て ろ な で か は 白 い か れ し こ し の う ず く た わ っ 明 比 習 る ど ま な き か い 日 川 練 困 か と て の り い 口 か は た で 何 つ い 味 一 灯 し で き の ﹁ ' や よ ミ シ 解 題 の で な 。 で く ら い 川 す を 問 う 解 走 た 麦 な た 図 表 ん な 凶 哩-f
f
1
m
刀L
i
a
r
f
し E 一 生 せ た と え 弓 を 同 的 と 一 一 蜘 仲 間 持 ロ 閥 抗 駄U
M
て を を た け そ 2 ' け 解 き 題 題 を 分 一 真 は 解 を で 問 問 法 合 丸 写 て と 題 ぼ の の 方 場 フ ' い い 問 ほ1
ん た て 、 ︿ り 間 関 を 。 っ た う の つ な 似 導 は 恥 ば っ し む な 区 ' ト た か っ の ん 。 に が 類 指 て ん ら 習 に こ に と ト 一 し わ だ 問 ば た ん ト で 別 し ば わ で 準 う と ん 一 シ 導 度 徒 時 ら け ば 一 し 個 と ら か 塾 基 い こ ば シ す 指 程 生 短 わ 解 ら シ ・ な た の 案 わ の ' を と う ら す 表 て る る ' か が わ ' ト し 夫 答 か こ い 何 J い わ 表 を つ あ い で に 題 か め 一 認 C ① で ② な ら い と か を 数 使 ③ て の ち 問 ④ た シ 確 問題1,2の答えのレベルが異なる生徒 D子の例 D子の答案 問題1(レベル③):
l
J
d
j
-
a
)
'
.
l
l
l
(a ,a.')'"'1司;~,d~M) iのが・域紛i川行,!I}'d'i
J
ぷ
.
.
, 品/
V
L
J
ぷ
;
i
1
d
;
い
ii)ヰa
〆〆'0仰μf何川
粁a
州:μ
汁削{
申吋哨3鴻伽a
れ告1
?
j
a削μ州山4〆内山r什印1<附<aωa~υ1μ師鴻
野
告
I _ Ii;i)よく4角地令;
;
!
;
引
;
r
a
j
M
o
i
判。
町JJ
t
z
ι
:
;
!
と
, ) ,ム~1
lI%1
&
~
{~
L l ふ.~(f\~'1二 1':t_"-184-2次関数の最大・最小におけるつまずきの分析および指導一OHPシートを利用した個別指導の実践を通して一 問題2 (レベル①)
u
b
!
似(
t
.
t
)
t
,
d~ <(.¥
1
,
l
'
好
l
t
~ i ~ t ~2
)
~ ~~仰 A~')t ~1f,~, 11,~/1J'(f1i人j
a
Lldfi ,ttM:E1tJfZ 仰'{1~ J(d~t~/(jJ.めJSI
1
1
? 川 (~ビれ, ~なぜな~0 ~q,品川'1 合的1ll l)iJ'øI
I
J
~I ろんな :t! 党主 r ~I ~ Y 、~{〆:"t
'fl {'t
+l,
ニ
%
で
川 i 持続~ Æ~ けぽ oþ\ ~なぐなョ τt t
7
_0dA
t
岬 れ れt
~ ~! .:'命{t;t~M1均三とf
1ト 問題1
については ほとんどできている。成り立つと きの xの値まで求める必要がなければ 区間の場合分け はこれでよいが,ここでは求めなければならないので α = 1のときは分けて書く必要がある。問題2については 頂点から先に進むことができない全くわからない状態を 素直に書いている。そこで次のように指導した。 D子の個別指導 D子の場合は両方わからないわけではないが,問題2 の問題を中心に他の生徒と同じように,かわらばんN
o
.
1
からN
o
.
8
まで,区間を表すシートと関数を表すシートの 両方を使用し,問題解決させた。最後に類似問題を解か せ,できるようになったかを確認した。 以上4名の生徒の個別指導を平成14年1月から 2月 にかけて1人につき2回,合計2時間から2時間半程度 行った。かわらばん(教材)の指導の順は生徒の実態に 合わせて変えた。平成13年12月の調査テストで特に理 解のレベルの低かったA子に対しては 教師の指導のレ ベルを最初から最大値と最小値を別々に分けて考えると ころまでにとどめた。他の生徒については,最大値と最 小値をあわせて考えさせるところまで指導した。した がって生徒がわかったことでは A子がわかったことに 加えて,他の生徒については関数が動いて区間が動く場 合も,区間が動いて関数が動く場合も向じであることに 気づき,関数と区間の位置関係が5
つになることがわ かった。6
.
生徒の感想
全個別指導が終了してから生徒に感想を書かせた。以 下の感想は原文のままである。 教材プリントの構成の仕方,使用の順序について .とてもわかりやすかった。 -数学が好きになれました。 ・問題が少ないので集中力が切れなくてすむ0 .少しわかるようになった。 ・上級編として,難しい問題を用意しておいて簡単な問 題を理解した後ですぐにやってみる。 関数のシー卜,区間を表すシートの作成および利用につ いて -グラフが見やすくなった。 ・あれがないと解けません。→その後,別の問題でシー トなしでも解くことができるようになった。 -わかりやすかったです。 -考え方がわかった。 -確実に問題が解ける。 自由感想 -個別指導は,とてもたのしかった。 ・これからも数学に対して積極的に解いていきたい。7
.
成果と今後の課題
この 4人の個別指導を通して 教師として生徒にわか るように教えるにはどうすればよいかを考えることで教 材・教具の工夫ができた。生徒は 紙と鉛筆だけでなく 簡単な材料を用いてできる教具を作成し使用することで 問題解決でき,意欲的に個別指導にのぞんだ。そして, かわらばんの問題を解くのに座標軸をかき,関数を表す シートや区間を表すシートをうまく使用して迷いもなく, 問題解決できるようになった。さらには,シートがなく ても同じような問題を解くことができるようになった。 さて, 2次関数の最大-・最小の文字を含む問題の1つ に,区間に文字を含む最大・最小の問題として次のよう な問題がある。 O三玉x孟 kにおける2次関数y=〆-
8x+
7の 最大値と最小値を求めよ。 これは,平成13年12月中旬に実施した調査問題の1 つであったが,問題1
,2
のようにOHP
シートを利用し ての教具が当初考えつかなかったので本研究から除いて いた。また,これまでこの問題についてのかわらばん教 材は上記の問題どおりに同時に最大値と最小値を解かせ ていた。しかし,この問題も調査結果の分析の結果,や はり「区間の場合分けに関するつまず、き」が多くみられ た。そこで研究を行った結果,この問題についても教材・ 教具の開発をすることができた。具体的な教材と教具の 開発であるが,教材についてはかわらばんN
o
.
5
からN
o
.
8
のxの範囲をO豆x壬 kと変えて使用すればよい。また,OHP
シートを利用した教具については,次のように作 成し,使用すればよいと考える。 ①上述の教材かわらぱんに問題の関数のグラフをかく。 ②縦軸に沿ってはさみで5
c
m
ほどの切れ込みを入れる。 ③OHP
シートを5cmX 8
c
m
に切り,赤の油性マジック で塗りつぶす。 ④このシートを切れ込みを入れたy軸に差し込んで左右 に動かし区間を自由に変化させ問題解決させる。。 。
丸 林 英 俊 ・ 川 上 雅 子 これは4章,指導法の考察の(2)OHPシートを利用 した教具の開発その 2の応用である。自由に区間の幅 を変えるにはどうしたらよいかということに着目して, 他の教具と同じ材料のOHPシートで開発することが できた。
参考文献
[1] Ra旺'aellaBorasi Reconceving Mathematics Instruction: A Foucus on Errors 1996 [2 ]川上雅子 2次関数の最大・最小におけるつまずき を生かした指導 日 本 数 学 教 育 学 会 誌 臨 時 増 刊 号 最後に,本研究は4人の生徒の実践にすぎない。今後 2002 40入学級において,この新しい教材と教具を含めて [3]丸林英俊・三原茂雄 f2次関数」の指導上の問題点 生徒がつまずかないよう関数を表すシートと区間を表す 鳴門教育大学研究紀要(教育科学編)1994 シートの3つ(問題2の区間を表すシートについては, 平成10年度に実践済み)をあわせて使用し実践を行い その成果を検証したい。 資料:かわらぱんについて かわらばんNO.1 2次関数f(x)= (x-a)2のO三五x三五2において (1) 最大値 M仰)を求めよ。 (2) 最小値m仰)を求めよ。 (3) 最大値M(a)と最小値m仰)を求めよ。 かわらばんNO.2 2次関数f(x)= (x-a)2の0;;玉x三五4において (1)最大値M仰jを求めよ。 (2) 最小値m(α)を求めよ。 (3)最大値M仰)と最小値m(αjを求めよ。 かわらばんNo.3 2次関数f(x)= -(x-a)2のO三五x孟2において (1) 最大値M(a)を求めよ。 (2) 最小値m(α)を求めよ。 (3)最大値M(a)と最小値m(α)を求めよ。 かわらばんNo.4 2次関数f(x)=-(x-a)2のO三五x三五4において (1) 最大値M仰)を求めよ。 (2) 最小値m(a)を求めよ。 (3) 最大値M仰)と最小値m(a)を求めよ。 かわらばんNO.5 2次関数f(x)=(x-1)2のα三五x孟α+2において (1)最大値M(α)を求めよ。 (2) 最小値m(ω
を求めよ。 (3)最大値M(a)と最小値m(a)を求めよ。 かわらばんNO.6 2次関数f(x)=(X-2)2のα孟 x壬a + 2において ( 1)最大値M仰)を求めよ。 (2) 最小値m(a)を求めよ。 (3) 最大値M仰)と最小値m(α)を求めよ。 かわらばんNO.7 2次関数f(x)=-μ-1)2のα三五x豆α+2において (1) 最大値M仰)を求めよ。 (2) 最小値m(a)を求めよ。 (3) 最大値M仰)と最小値m(α)を求めよ。 かわらばんNO.8 2次関数f(x)=
一(X-2)2のG豆x壬α+2において (1 ) 最大値M(a)を求めよ。 (2) 最小値m(a)を求めよ。 (3) 最大値M仰)と最小値m(α)を求めよ。 (提出日 2002年 9月 30日)円 。
00On
The Guidance and A
n
a
l
y
s
i
s
t
o
S
t
u
d
e
n
t
s
Who Have D
i
f
f
i
c
u
l
t
i
e
s
i
n
U
n
d
e
r
s
t
a
n
d
i
n
g
on Maximum and Minimum i
n
Q
u
a
d
r
a
t
i
c
F
u
n
c
t
i
o
n
s
一 一 Practicallndividual Guidance by Usage of OHP -Sheets一 一
H
i
d
e
t
o
s
h
i
MARUBAYASHI*
,
Masako KAWAKAMI**
We have known from the teaching experience that many students meet first1y the difficulties in understanding on the problem of maximum and minimum in quadratic functions after they entered to senior high school. So we analyzed answer papers on quadratic functions and knew that the main reasons of difficulties in understanding were caused by “complexity in dividing the intervals" and “illusion that the intervals and the graph of the quadratic functions were moving at the same. time" . We exploited teaching materials (so called“Kawaraban") and tools so that students could easily understand the problem above and we have individually guided four students with the teaching materials and tools. We found out that the methods were very useful for students to understand the problem. * Department of Mathematics,Naruto Univeristy of Education ホ*Graduate student ,Naruto Univeristy of Education