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企業におけるセキュリティ対策運用の定量的評価

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Academic year: 2021

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企業におけるセキュリティ対策運用の定量的評価

山﨑 孝、村澤 靖 荒井 麗子 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所、三菱電機情報ネットワーク株式会社

1.はじめに

近年、コンピュータウィルスの巧妙化やモバイル PC の利用等による利用形態の多様化に伴い、企業内 システムのセキュリティ脅威は増大している。 このようなセキュリティ脅威に対応するため、セ キュリティホール対策パッチ適用などのセキュリテ ィ対策運用を、確実かつ低コストで実現することが 必要となっている。 本稿では、ウィルスを中心としたセキュリティ脅 威に対するセキュリティホール対策をターゲットと した、セキュリティ対策運用システムの実現と、そ の評価について述べる。

2.セキュリティ対策運用

企業内で使われている PC は、その導入時期などの 影響で、OSやアプリケーションのバージョンは統 一されていない場合が多い。このような環境では、 セキュリティホール対策パッチ適用などのセキュリ ティ対策はPC毎に作業が異なる。そのため、セキ ュリティ対策を行うには、各々の PC に合わせたパ ッチを各々の条件に合わせた手順で実行していく必 要があり、一様な指示により対策を行う事は難しい。 そこで、図1に示すように、セキュリティ対策の 指示は行うが、パッチの適用の可否・適用について は PC 管理者に任せるセキュリティ運用を行ってい る所もある。この場合、以下の手順に従って作業が 行われている。 1) セキュリティ管理部門が、各部門の部門責任者 経由で、PC 管理者に対策実施の指示を出す。 2) PC 管理者はその指示を基に、各自が管理する PC への適用の要否の判断・対策を実施し、各部 門の部門責任者経由でセキュリティ管理部門に 報告する。(この作業が全体の 80%を占める) しかしながら、このような運用では、部門数や部 門階層の増大に伴い、対策指示の連絡伝達の時間が 増加し、対策実施完了までに時間がかかる。また、 すべての PC 管理者に指示されるため、実際は対策 が不要なPC を管理していても、管理する PC に対 しセキュリティ対策の要否の判断を行う作業が発生 する。これらの時間は、実質的なセキュリティ対策 に寄与しない時間であり、削減すべきコストとなる。 セキュリティ情報を収集する セキュリティ情報を収集する セキュリティ情報を収集する 危険度を判断 該当するマシンにパッチを当てる 該当するマシンにパッチを当てる 該当するマシンにパッチを当てる 実施完了報告 実施完了報告 実施完了報告 パッチ適用・報告手順を作成 該当するマシンを判別 各部門宛にメールで依頼 パッチ適用指示の準備をする パッチ適用指示の準備をする パッチ適用指示の準備をする 情報を蓄積 パッチ適用・再起動 実施を報告 各PC管理者に実施依頼 部門内報告の取りまとめ 未実施マシンのフォロー 全社でまとめ 全社でまとめ 全社でまとめ 全社報告の取りまとめ資料 部門責任者 セキュリティ管理部門 セキュリティ管理部門 PC管理者 セキュリティ管理部門 部門責任者 作業比率 50% 10% 10% 30% 図1システム化前のセキュリティ運用フロー 上記運用の課題であるコスト削減・対策時間の短 縮を、図2の形の様なセキュリティ運用フローを実 現するシステムを構築して解決した。 このフローでは、以下の点を改良している。 1) セキュリティ管理部門でPC のセキュリティ対 策の要否の判断を行い、PC 管理者による判断を 不要とした。 2) 該当 PC の管理者にメールにて直接指示を送る 事により、対策指示経路を短縮した。 セキュリティ情報を収集する セキュリティ情報を収集する セキュリティ情報を収集する 危険度を判断 該当するマシンにパッチを当てる 該当するマシンにパッチを当てる 該当するマシンにパッチを当てる 実施完了報告 実施完了報告 実施完了報告 パッチ適用・報告手順を作成 該当するマシンを判別 該当PC管理者宛にメールで依頼 パッチ適用指示の準備をする パッチ適用指示の準備をする パッチ適用指示の準備をする 情報を蓄積 パッチ適用・再起動 実施を報告 未実施マシンのフォロー 全社でまとめ 全社でまとめ 全社でまとめ 全社報告の取りまとめ資料 セキュリティ管理部門 セキュリティ管理部門 PC管理者 セキュリティ管理部門 自動化部位 図 2システム化後のセキュリティ運用フロー

3.システムの概要

本システムは、Webと、メールを組み合わせて

Takashi Yamazaki,Yasushi Murasawa

Information Technology R&D Center, Mitsubishi Electric Corporation Reiko Arai,

Mitsubishi Electric Information Network Corporation

3−193

(2)

実現するワークフローシステムである。 図3にシステムの概要を示す。セキュリティ管理 部門は、ベンダーのセキュリティ情報と全 PC の OS・アプリケーションのバージョン、適用済みパッ チ情報(インベントリ情報)から、対策の必要なPC を抽出する。対象となったPC の管理者に対しては、 メールが自動的に直接通知される。PC の管理者がW eb画面を使って処置完了報告を行うと、セキュリ ティ管理部門のインベントリ情報・実施状況を格納 したデータベースが更新され、セキュリティ管理部 門は実施状況が把握できる。これによって連絡伝達 経路の短縮による対策時間の短縮と、PC の管理者に よるセキュリティ対策の要否の判断を不要とするこ とによるコスト削減を実現している。 特長2 インベントリ 情報の収集 各マシン 対策指示 画面 ベンダーのセキュ リティ情報 統計データ 統計データ セキュリティ情報キュー 該当マシン抽出 条件スクリプト IF∼ THEN∼ ELSE トラブル トラブル チケット 発行 報告フォー ム 全PCインベン トリ情報 各PC管理者へメール送信 メール 送信 適用実施 チケット 各マシン 実施報告入力 PC管理者 PC管理者 特長3 実施状況 の管理 特長1 ルールに基づいた PCの抽出 危険 セキュリティ セキュリティ 管理部門 管理部門 インベントリ DB 対策情報 DB 図3 システム概要

4.システムの特長

(1)ルールに基づいたPC の抽出 セキュリティ管理部門で、セキュリティ対策の必 要な PC の管理者だけに指示を行うためには、ベン ダーのセキュリティ情報に記載された条件をもとに 対象 PC を抽出する必要がある。しかし、セキュリ ティ情報は、対象となるOS・アプリケーションのバ ージョンや前提となるパッチなどが複雑に記述され ており、単純なデータマッチングで対象を抽出する ことは難しい。 本システムでは、セキュリティ情報の条件をスク リプトとして記述し、PC のインベントリ情報と照合 することで、対策の必要な PC を自動的に抽出する 機能を実現した。このスクリプトは、セキュリティ 管理部門が、セキュリティ情報に記載された条件を、 雛形の中に順に当てはめて作成する。これにより、 セキュリティ情報に記載された条件が複雑であって も、自動的にPC を抽出する事が出来るようになる。 (2)インベントリ情報の収集 PC の抽出を自動的に行うためには、正確なインベ ントリ情報が必要である。このインベントリ情報を、 PC の管理者に登録させるとすると、OS などのバー ジョン・パッチ状況を、1つずつ確認しながら登録 していくこととなり、作業時間がかかる。 本システムでは、PC管理者が行う処置完了報告 に合わせ、その時点の最新のインベントリ情報を自 動的に収集し、セキュリティ管理部門のデータベー スを更新する機能を実現した。これにより PC 管理 者はインベントリ情報の更新作業が不要になる。 (3)実施状況の管理 セキュリティ実施状況管理には、セキュリティ対 策の推進という運用管理の視点と、セキュリティ対 策のコスト管理という経営的視点がある。 本システムでは、対策情報DBを使って、セキュ リティ管理部門が的確なセキュリティ対策実施フォ ローを行えるように、部門別、所在別などの視点か ら実施状況を確認する機能を実現している。また、 経営的視点でセキュリティ対策をチェックできるよ うに、セキュリティ対策作業時間についても同様に 確認する事が出来る。

5.本システムの評価指標

本システム導入の目的である、コスト削減・対策 時間の短縮を、以下の指標で評価する。 (1)コスト削減の評価 システムに記録された作業の開始画面と完了画面 の表示時刻から算出した作業時間、完了報告で申告 された作業時間をもとに、セキュリティ対策に要し た時間を累計する。これをシステム化後の値とする。 システム化前の値は、作業時間アンケートなどの調 査データから累計する。これをコストに換算し、シ ステム化前とシステム化後の比較の評価指標とする。 (2)対策時間の短縮の評価 セキュリティ対策開始から完了までの経過時間を、 システム化後の対策時間とする。システム化前の実 施時間は、過去の運用記録から、セキュリティ対策 開始日から各部門の完了報告日の差を対策時間とす る。この対策時間を、システム化前とシステム化後 の評価指標とする。

6.実システムにおける評価

数千台規模で PC が接続されているイントラネッ ト環境において、この評価指標を用いた運用評価を 予定している。 現時点の試算において、総PC 数 2000 台、部門 管理者 35 人、対策要 PC 350 台、該当部門管理者 28 人の状況では、システム導入により、導入前におけ る作業の 30%を占める部門管理者 35 人分の作業の 削減、同20%を占める 1650 台分のセキュリティ対 策実施判断作業が削減でき、これにより、セキュリ ティ管理部門のべ作業時間と PC セキュリティ対策 作業のべ時間の合計時間が、50%程度削減できると 予想している。

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参照

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