日本の小売業における規模の経済に関する考察
著者
峰尾 美也子
著者別名
Mineo Miyako
雑誌名
経営論集
号
66
ページ
141-158
発行年
2005-11
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00004773/
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日本の小売業における規模の経済に関する考察
峰 尾 美也子
Ⅰ はじめに Ⅱ 従業者規模別に捉えた日本の小売業における規模の経済 Ⅲ 売場面積規模別に捉えた日本の小売業における規模の経済 Ⅳ おわりにⅠ はじめに
日本の小売業における規模の経済の存在の有無に関しては、既に拙稿(2000、2004a、2004b)で、
従業者規模別および売場面積規模別に小売店舗を捉え、『商業統計表』による時系列データを用い
た分析・考察を行ってきた。しかしながら、実証分析におけるデータ数の少なさ等に起因する分析
上のいくつかの限界が今後の課題として残されていた。本論文は、これらの課題に対し、クロスセ
クション・データを用い、異なる角度から分析し、補完的考察を行うものである。
Ⅱ 従業者規模別に捉えた日本の小売業における規模の経済
1.
『商業統計表』による時系列データを用いた分析
[1]分析に用いる従業者規模区分およびモデル
本論文においては、零細規模(従業者1人~4人)、小規模(従業者5人~9人)
、中規模(従業
者10人~49人)、大規模(従業者50人以上)という4区分の店舗規模を設定し
1、『商業統計表』の
データを使用して筆者が算出したデータを用いた分析を行う。
また,拙稿(2000、2004b)と同様、Ingene(1984)のモデル
2を援用し、各従業者規模において如
何なる規模の経済が存在しているかを明らかにするための分析を行う。
Ingene(1984)のモデルとは、コブ=ダグラス生産関数(Cobb-Douglas production function)
3を採
用した
S
=
AK
b1L
b2(S:店舗あたり年間販売額、A:使用された技術を反映するような定数項、
1 この零細規模、小規模、中規模、大規模という従業者規模の4区分は、本論文が拙稿(2000、2004b)を補完する内容の論文 であることから、同様の設定とした。 2 詳しくは、拙稿(2000)、pp.105-106 を参照のこと。 3 コブ=ダグラス生産関数とは、産出量をV、資本を K、労働を L とした場合に、V=AKα Lβ で示される生産関数である(金 森・荒・森口(2002)、p.421)。
K:店舗あたり資本(具体的には売場面積)、L:店舗あたり従業者数、b
i:i 番目のインプットに
関連した年間販売額の弾力性)というモデルであり、帰無仮説は
H
0:
∑
b
i= 1
、対立仮説は
∑
b
≠ 1
:
H
1 iとなる。ちなみに、
∑
b
i< 1
の場合が規模に関して収穫逓減、
∑
b
i= 1
の場合が規模
に関して収穫不変(一定)
、
∑
b
i> 1
の場合が規模に関して収穫逓増を意味する。
本節では、Ingene(1984)のモデルを使用し(S:1店舗あたり実質年間販売額(万円)、K:1
店舗あたり平均売場面積(㎡)、L:1店舗あたり平均従業者数(人)
4)
、売場面積と従業者数の双
方を包含した小売業の生産性に関する分析を行う。実際には、この非線型モデルを両辺の対数をと
ることで線形化した両対数モデルを使用する。両対数モデルは
logS=logA+b
1logK+b
2logL となり、
logS=S´、logA=α、b
1logK=β
1K´(ただし、b
1=β
1)、b
2logL=β
2L´(ただし、b
2=β
2)と
すれば、S´=α+β
1K´+β
2L´という回帰式になる。
[2]分析結果
5拙稿(2004b)において、『商業統計表』(1979年、1982年、1985年、1988年、1991年、1994年、
1997年、2002年)を使用し、年平均増減率を算出することにより作成した1979年から2002年までの
24年分データを用いて提示した分析結果は【表1】の通りであった。各規模において、単純最小自
乗法(OLS)の結果と系列相関除去作業後の最終段階の結果のみを示している。全段階の結果およ
び結果の解釈は、拙稿(2004b)を参照されたい。なお、表中の a から d は、a:1%水準で有意、
b:5%水準で有意、c:10%水準で有意、d:15%水準で有意を意味する。
【表1】従業者規模別回帰分析(24年分データ使用) ①零細規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 4.067 11.561a 売場面積(K´) 0.086 0.116 0.796 従業者数(L´) 4.188 0.821 5.641a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.840 0.825 55.145a 0.305 Cochrane-Orcutt Procedure[Step3]の結果[n=21、自由度=18] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.294 4.023a 売場面積(K´) -0.207 -0.128 -0.539 従業者数(L´) -0.225 -0.031 -0.132 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.016 -0.093 0.146 2.0334 従業者数に関しては、売場面積を有する店舗に限定して算出することが『商業統計表』にデータとして掲載されていないた め不可能である。よって、年間販売額、売場面積、従業者数の変数全て、全店舗を対象にした数値を用いた。 5 吉野・高橋(1990)の付録であるBLUE プログラムを使用して時系列分析を行った。
②小規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 16.634 4.220a 売場面積(K´) 0.751 1.887 2.566a 従業者数(L´) -5.895 -1.531 -2.082b 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.306 0.240 4.628b 0.127 Cochrane-Orcutt Procedure[Step2]の結果[n=22、自由度=19] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.976 16.471a 売場面積(K´) 0.527 0.304 4.151a 従業者数(L´) -11.335 -0.936 -12.797a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.900 0.889 85.312a 1.698 ③中規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -17.647 -4.392a 売場面積(K´) -0.721 -0.657 -6.101a 従業者数(L´) 10.953 0.820 7.614a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.779 0.758 36.957a 0.824 Cochrane-Orcutt Procedure[Step3]の結果[n=21、自由度=18] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -3.303 -1.972b 売場面積(K´) -0.004 -0.003 -0.014 従業者数(L´) 11.827 0.556 2.836a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.309 0.232 4.022b 1.677 ④大規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 17.102 1.394c 売場面積(K´) -1.027 -0.342 -1.045 従業者数(L´) 0.729 0.222 0.677 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.291 0.224 4.315b 0.181 Cochrane-Orcutt Procedure[Step2]の結果[n=22、自由度=19] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.015 0.232 売場面積(K´) 0.915 0.516 2.701a 従業者数(L´) 0.837 0.174 0.910 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.324 0.253 4.549b 1.739
吉野・高橋(1990)
6によれば、系列相関の除去は何度でも繰り返して行なうことができ、ρ
6 系列相関の除去作業は、1 回繰り返すごとに本論文で使用したソフトの場合にはStep の次に表示される数字が 1 つずつ増え
(誤差項の一次の系列相関係数)の推定値が収束するまで系列相関の除去作業を繰り返すことにな
るとされている。しかしながら、【表1】の分析においては、系列相関の除去作業を2回から3回
繰り返さねば「系列相関なし」と判断されるに至らない。好ましいダービン・ワトソン値が得られ
なかった理由として、一般的に①misspecification、②dynamics などの点が挙げられるため、売場面
積と従業者数以外の変数(例えば、商品回転率や商品在庫率など)を加えて分析を行う等の試行錯
誤を繰り返したが、ダービン・ワトソン値の低さという問題はやはり解消されなかった。調査間隔
の不均一性およびデータ数(1979年から2002年における8年度分のデータ)の少なさを解消するた
めに、各規模のデータにおける年平均増減率を求め、調査対象外の年度の数値を算出し作成した
1979年から2002年までの24年分のデータを用いて分析を行った(つまり、調査の行われた年度間の
増減率から算出した年平均増減率を用いて空白期間の値を推定しているため、非常に大きな前期の
値の影響を必然的に受けることになる)点が、好ましいダービン・ワトソン値を得られなかった一
番の理由だと思われる。
かくして、調査間隔の不均一性および8サンプルというデータ数の少なさの問題はあるが、1979
年、1982年、1985年、1988年、1991年、1994年、1997年、2002年の『商業統計表』から算出した
データのみを用いて、
【表1】と同様の分析を行う。結果は、
【表2】(表中
a から d は【表1】と
同じ)にまとめられるが、ダービン・ワトソン値による検定結果を踏まえながら、系列相関の除去
作業は1回だけ行う。
【表2】従業者規模別回帰分析(8年分データ使用) ①零細規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 4.143 4.988a 売場面積(K´) 0.069 0.086 0.250 従業者数(L´) 4.171 0.815 2.363b 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.783 0.697 9.042b 2.093 系列相関なし ②小規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 18.336 2.433b 売場面積(K´) 0.906 16.075 1.540c 従業者数(L´) -7.202 -1.617 -1.321d 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.345 0.082 1.314 0.850 正の系列相関ありていく(吉野・高橋(1990)、pp.205-206)。
Cochrane-Orcutt Procedure[Step1]の結果[n=7、自由度=4] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 10.867 12.388a 売場面積(K´) 0.776 0.102 4.450a 従業者数(L´) -10.795 -11.411 -7.690a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.940 0.910 31.514a 2.510 系列相関の有無判断不可 ③中規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -17.045 -1.535c 売場面積(K´) -0.686 -0.536 -2.018b 従業者数(L´) 10.681 0.725 2.731b 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.661 0.525 4.875c 3.467 負の系列相関あり Cochrane-Orcutt Procedure[Step1]の結果[n=7、自由度=4] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -30.968 -4.347a 売場面積(K´) -0.806 -0.747 -5.941a 従業者数(L´) 11.185 0.944 7.507a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.945 0.917 34.262a 2.068 系列相関なし ④大規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 8.123 0.359 売場面積(K´) -0.256 0.088 -0.143 従業者数(L´) 1.345 0.386 0.631 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.208 -0.109 0.657 1.184 系列相関の有無判断不可 Cochrane-Orcutt Procedure[Step1]の結果[n=7、自由度=4] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.457 0.037 売場面積(K´) 0.258 0.044 0.150 従業者数(L´) 2.045 0.570 0.720 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.115 -0.328 0.259 1.183 系列相関の有無判断不可
【表2】の結果からは、中規模小売店舗における分析結果以外は十分な解釈が出来ないが、中規
模小売店舗の(β
1+β
2)の値は10.379(1%水準で有意
7)であることから、中規模小売店舗は規
7 S=AKb1Lb2において、Σb i<1 の場合が規模に関して収穫逓減、Σbi=1 の場合が規模に関して収穫不変(一定)、Σbi>1 の場 合が規模に関して収穫逓増を意味するため、S=AKb1Lb2におけるΣb i(つまり、b1+b2)を求めることにより規模の経済、規模
模に関して収穫逓増であると考えられ、中規模小売店舗における規模の経済の存在が推測される
8。
『商業統計表』による時系列データを用いた分析からは、データの入手可能性に起因する様々な
限界から各規模における統計的に有意な結果が十分には得られないため、補完的分析として、次に
クロスセクション・データを用いた分析を行うことにする。
2.クロスセクション・データを用いた分析
[1]分析に用いるデータおよびモデル
クロスセクション・データとしては、『流通会社年鑑1985年版』『流通会社年鑑1995年版』『小
売・卸売企業年鑑2005年版』に掲載された全小売店舗のデータを用いた
9。掲載されている全小売
店舗(事業所)データのうち、年間販売額・売場面積・従業者数(パート人員数データ含む)が全
て示されている小売店舗(事業所)のみを抽出し、零細規模(従業者1人~4人)、小規模(従業
者5人~9人)、中規模(従業者10人~49人)
、大規模(従業者50人以上)の4区分の店舗規模に分
類した
10。
また分析には、前節と同様、Ingene(1984)のモデル(S:店舗あたり年間販売額(百万円)、
K:店舗あたり売場面積(㎡)、L:店舗あたり従業者数(人))を使用した。実際の分析に用いた
の不経済の存在を把握することが可能になる。Σbiを求めるには、実際に分析で使用した両対数モデルS´=α+β1K´+β2L´ において、b1=β1、b2=β2より、Σβi(つまり、β1+β2)を求めることになる。詳しくは、Ingene(1984)、pp.57-59 の TABLE5、TABLE6、TABLE7を参照のこと。 また、S=AKb1Lb2において仮説検定を行う。帰無仮説H0:Σb i=1、対立仮説 H1:Σbi≠1 であったので、帰無仮説の制約下 での両対数モデルは次のように展開される。 β1+β2=1 より、 S´=α+β1K´+β2L´=α+β1K´+(1-β1)L´=α+β1(K´-L´)+L´ よって、 S´-L´=α+β1(K´-L´) (S´-L´)を従属変数、(K´-L´)を独立変数とした制約下モデルの残差平方和と制約なしモデルの残差平方和を用い て検定統計量を算出しF 検定を行う。 8 参考までに、【表1】の小規模小売店舗の(β1+β2)の値は-10.808(1%水準で有意)である。 9 『小売・卸売企業年鑑 2005 年版』は 1975 年(1976 年版)から発行されてきた『流通会社年鑑』の名称が変更されたもので ある。また、原則として掲載された店舗データは、『流通会社年鑑 1985 年版』は 1984 年度、『流通会社年鑑 1995 年版』は 1993 年度、『小売・卸売企業年鑑 2005 年版』は 2004 年度データとなっている。 10 掲載されている従業者データは、『小売・卸売企業年鑑 2005 年版』では従業者数に8時間換算されたパート人員数が内数と して含まれているが、『流通会社年鑑 1985 年版』および『流通会社年鑑 1995 年版』は従業者数と8時間換算されたパート人員 数が別々に記載されているため、従業者数とパート人員数を合算した上で従業者規模の区分を行なった。また、分析に用いら れる従業者数の変数(L)としても、従業者数と8時間換算されたパート人員を合算した数値を使用した。
両対数モデルも先の分析と同一である。
[2]分析結果
11『流通会社年鑑1985年版』
『流通会社年鑑1995年版』『小売・卸売企業年鑑2005年版』に掲載され
た全小売店舗のデータによる分析結果は、【表3】から【表5】
(表中
a から d は【表1】と同じ)
に示される。
【表3】『流通会社年鑑1985年版』のデータによる分析結果 ①零細規模(n=466) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.922 8.324a 売場面積(K´) 0.438 0.460 11.167a 従業者数(L´) 0.362 0.156 3.795a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.222 0.219 66.138a 0.800c ②小規模(n=703) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.844 8.924a 売場面積(K´) 0.273 0.294 8.626a 従業者数(L´) 1.078 0.358 10.503a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.291 0.289 143.511a 1.351a ③中規模(n=1917) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.317 24.318a 売場面積(K´) 0.311 0.344 19.327a 従業者数(L´) 0.709 0.510 28.695a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.563 0.563 1232.800a 1.020a ④大規模(n=1624) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.332 27.997a 売場面積(K´) 0.264 0.290 16.084a 従業者数(L´) 0.785 0.651 36.140a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.807 0.806 3382.831a 1.049a 【表4】『流通会社年鑑1995年版』のデータによる分析結果 ①零細規模(n=275) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.122 4.780a 売場面積(K´) 0.665 0.735 18.271a 従業者数(L´) 0.393 0.126 3.141a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.560 0.556 172.801a 1.05811
②小規模(n=905) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.144 4.934a 売場面積(K´) 0.852 0.739 32.684a 従業者数(L´) -0.234 -0.054 -2.386b 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.542 0.541 534.281a 0.618a ③中規模(n=1914) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.293 3.553a 売場面積(K´) 0.740 0.756 57.611a 従業者数(L´) 0.473 0.197 15.000a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.783 0.782 3442.176a 1.213a ④大規模(n=986) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.577 11.955a 売場面積(K´) 0.590 0.677 36.643a 従業者数(L´) 0.412 0.299 16.185a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.738 0.738 1386.419a 1.002a 【表5】『小売・卸売企業年鑑2005年版』のデータによる分析結果 ①零細規模(n=44) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.795 5.482a 売場面積(K´) 0.414 0.640 5.340a 従業者数(L´) -0.133 -0.057 -0.478 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.412 0.383 14.339a 0.281b ②小規模(n=210) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.254 7.610a 売場面積(K´) 0.412 0.631 11.121a 従業者数(L´) 0.494 0.151 2.655a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.523 0.519 113.557a 0.906 ③中規模(n=578) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.963 10.862a 売場面積(K´) 0.462 0.614 20.951a 従業者数(L´) 0.475 0.270 9.214a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.553 0.551 355.402a 0.937 ④大規模(n=244) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.819 6.134a 売場面積(K´) 0.406 0.418 15.420a 従業者数(L´) 0.872 0.602 22.184a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.932 0.931 1651.378a 1.278a
【表3】より,中規模小売店舗においては決定係数が多少低いものの(β
1+β
2)の値は1.020、
大規模小売店舗においては1.049であることから、規模に関して収穫逓増であると考えられ、規模
の経済の存在が認められる。零細規模小売店舗および小規模小売店舗においては、決定係数および
自由度調整済み決定係数が低く好ましくはないが、Prob>F は共に0.000であったため、結果を解
釈すれば、零細規模小売店舗は規模に関して収穫逓減、小規模小売店舗は規模に関して収穫逓増と
考えられる。
【表4】を見れば、小規模小売店舗に規模の不経済の存在が認められるが、中規模および大規模
小売店舗は規模に関して収穫逓増であり、規模の経済の存在が認められる。ともに(β
1+β
2)の
値は1.000以上ではあるが、中規模小売店舗(1.213)が大きな値を示している一方、大規模小売店
舗は1.002とほぼ規模に関して収穫一定の状況に過ぎない点は、注目に値する。
そして【表5】からは、小規模小売店舗における規模の不経済、大規模小売店舗における規模の
経済の存在が認められ
12、(β
1+β
2)の値は1.000を大きく上回る1.278を示している。大規模小売
店舗においては、本来であれば、かなりの大きさの規模の経済が存在しているべきところ、【表
3】および【表4】においては、わずかに1.000を上回る程度であり、ほぼ規模に関して収穫一定
と同じに過ぎなかった。大規模小売店舗は、その効率性の悪さから、様々な改善に取組んでいるの
が現状である。その効率性改善への取り組みが最新データには反映されたのではないかと推測する
が、この点については、今後数年間のデータを追っていく必要があろう。
Ⅲ 売場面積規模別に捉えた日本の小売業における規模の経済
1.
『商業統計表』による時系列データを用いた分析
[1]分析に用いる売場面積規模区分およびモデル
本章においては、零細規模(100㎡未満)、小規模(100㎡以上500㎡未満)、中規模(500㎡以上
1000㎡未満)
、大規模(1000㎡以上3000㎡未満)
、超大規模(3000㎡以上)の5区分の店舗規模を設
定し、各売場面積規模に対し、前章の従業者規模別の分析と同様のモデル・分析手法を用いた分析
を行う
13。
12 中規模小売店舗の(β1+β2)の値 0.937 は、有意確率が 21%であるため、規模に関して収穫逓減であり、規模の不経済が 存在するとは判断できない。 13 この零細規模、小規模、中規模、大規模、超大規模という売場面積規模の5区分は、本論文が拙稿(2004a)を補完する内 容の論文であることから、同様の設定とした。
[2]分析結果
14前章の従業者規模別の分析と同一のモデルを用いた分析を行う。拙稿(2004a)において、『商業
統計表』(1979年、1982年、1985年、1988年、1991年、1994年、1997年、2002年)を使用し、年平
均増減率を算出することにより作成した1979年から2002年までの24年分データを用いて提示した分
析結果は【表6】の通り(結果の表記および表中
a から d は【表1】と同じ)であった。全段階の
結果と結果の解釈は、拙稿(2004a)を参照されたい。
【表6】売場面積規模別回帰分析(24年分データ使用) ①零細規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.885 3.608a 売場面積(K´) 1.827 1.289 9.290a 従業者数(L´) -0.494 -0.365 -2.629a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.934 0.928 148.426a 0.311 Cochrane-Orcutt Procedure[Step2]の結果[n=22、自由度=19] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.308 4.171a 売場面積(K´) -0.703 -0.265 -1.067d 従業者数(L´) 0.064 0.091 0.367 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.102 0.008 1.083 1.813 ②小規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.791 1.168d 売場面積(K´) 1.503 0.902 4.365a 従業者数(L´) -0.161 -0.166 -0.805 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.615 0.578 16.763a 0.237 Cochrane-Orcutt Procedure[Step2]の結果[n=22、自由度=19] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.322 5.814a 売場面積(K´) 0.015 0.013 0.055 従業者数(L´) -0.158 -0.154 -0.668 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.025 -0.078 0.240 1.57114 前章と同様、吉野・高橋(1990)の付録であるBLUE プログラムを使用して時系列分析を行った。
③中規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 11.966 3.644a 売場面積(K´) -1.003 -0.360 -1.629c 従業者数(L´) 1.740 0.830 3.761a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.424 0.369 7.725a 0.894 Cochrane-Orcutt Procedure[Step2]の結果[n=22、自由度=19] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -0.101 -2.631a 売場面積(K´) 2.444 0.567 4.225a 従業者数(L´) 0.868 0.420 3.125a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.891 0.879 77.259a 1.613 ④大規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 13.559 8.257a 売場面積(K´) -0.309 -0.309 -1.201d 従業者数(L´) 0.040 0.070 0.274 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.075 -0.013 0.855 0.440 Cochrane-Orcutt Procedure[Step2]の結果[n=22、自由度=19] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.893 1.552c 売場面積(K´) -0.213 -0.065 -0.184 従業者数(L´) 0.371 0.327 0.927 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.078 -0.019 0.803 1.554 ⑤超大規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=24、自由度=21] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -52.651 -7.140a 売場面積(K´) 6.781 0.454 8.172a 従業者数(L´) 0.989 0.776 13.969a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.937 0.931 156.871a 0.172 Cochrane-Orcutt Procedure[Step2]の結果[n=22、自由度=19] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -0.821 -6.061a 売場面積(K´) 4.907 0.757 7.451a 従業者数(L´) 0.756 0.344 3.386a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.815 0.795 41.805a 1.554
ここでも,前章【表1】と同様のダービン・ワトソン値の問題が生じているため、調査間隔の不
均一性および8サンプルというデータ数の少なさの問題はあるが、1979年、1982年、1985年、1988
年、1991年、1994年、1997年、2002年の『商業統計表』から算出したデータのみを用いて、【表
6】と同様の分析を行う。結果は、
【表7】
(表中
a から d は【表1】と同じ)にまとめられるが、
ダービン・ワトソン値による検定結果を踏まえながら、系列相関の除去作業は1回だけ行う。
【表7】売場面積規模別回帰分析(8年分データ使用) ①零細規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.325 2.233b 売場面積(K´) 1.658 1.172 4.290a 従業者数(L´) -0.342 -0.252 -0.923 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.916 0.883 27.379a 1.688 系列相関なし ②小規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.107 0.670 売場面積(K´) 1.417 0.811 2.069b 従業者数(L´) -0.094 -0.094 -0.240 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.566 0.393 3.263d 1.504 系列相関の有無判断不可 Cochrane-Orcutt Procedure[Step1]の結果[n=7、自由度=4] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 3.076 1.161 売場面積(K´) 1.083 0.650 1.529d 従業者数(L´) -0.200 -0.202 -0.475 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.370 0.054 1.172 1.897 系列相関なし ③中規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 11.387 1.356d 売場面積(K´) -0.998 -0.285 -0.643 従業者数(L´) 1.917 0.854 1.926c 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.477 0.268 2.284 1.635 系列相関なし ④大規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 14.209 3.339b 売場面積(K´) -0.424 -0.338 -0.648 従業者数(L´) 0.094 0.150 0.288 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.079 -0.289 0.214 2.459 系列相関なし⑤超大規模 単純最小自乗法:OLS の結果[n=8、自由度=5] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -49.966 -3.552a 売場面積(K´) 6.504 0.495 4.089a 従業者数(L´) 0.951 0.718 5.936a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.931 0.904 33.774a 1.136 系列相関の有無判断不可 Cochrane-Orcutt Procedure[Step1]の結果[n=7、自由度=4] 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -25.105 -3.588b 売場面積(K´) 5.767 0.584 4.052a 従業者数(L´) 1.114 0.589 4.086a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 ダービン・ワトソン値 0.927 0.890 25.333a 1.773 系列相関なし
【表7】の結果からは、ダービン・ワトソン値の問題は解決されているものの、超大規模小売店
舗以外は、十分な解釈が出来ない。超大規模小売店舗の(β
1+β
2)の値は6.881(5%水準で有
意)と非常に大きな値を示していることから、超大規模小売店舗においては規模に関して収穫逓増
であると考えられ、規模の経済の存在が推測される
15。
前章と同様、『商業統計表』による時系列データを用いた分析からは、データの入手可能性に起
因する様々な限界から統計的に有意な結果が十分には得られないため、補完的分析として、クロス
セクション・データを用いた分析を行うこととする。
2.クロスセクション・データを用いた分析
[1]分析に用いるデータおよびモデル
クロスセクション・データとしては、『流通会社年鑑1985年版』『流通会社年鑑1995年版』『小
売・卸売企業年鑑2005年版』に掲載された全小売店舗のデータを用いた。分析に用いたサンプルは、
前章で行なった従業者規模別の分析と同一であり、売場面積規模を零細規模(100㎡未満)
、小規模
(100㎡以上500㎡未満)、中規模(500㎡以上1000㎡未満)、大規模(1000㎡以上3000㎡未満)
、超大
規模(3000㎡以上)の5区分の店舗規模に分類した。また、分析に用いたモデル・変数も全て同一
である。
15 参考までに、【表6】の(β1+β2)の値は、中規模小売店舗 3.31(1%水準で有意)、超大規模小売店舗 5.66(1%水準で 有意)である。
[2]分析結果
16『流通会社年鑑1985年版』
『流通会社年鑑1995年版』『小売・卸売企業年鑑2005年版』に掲載され
た全小売店舗のデータによる分析結果は、
【表8】から【表10】に示される。
【表8】『流通会社年鑑1985年版』のデータによる分析結果 ①零細規模(n=235) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.833 7.209a 売場面積(K´) 0.079 0.045 0.874 従業者数(L´) 0.992 0.619 12.020a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.385 0.379 72.514a 1.071 ②小規模(n=1412) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.039 11.549a 売場面積(K´) 0.320 0.184 8.706a 従業者数(L´) 0.784 0.658 31.182a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.617 0.617 1136.914a 1.104a ③中規模(n=711) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.316 4.678a 売場面積(K´) 0.307 0.104 3.947a 従業者数(L´) 0.723 0.703 26.707a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.544 0.543 422.911a 1.030a ④大規模(n=1229) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 3.003 10.692a 売場面積(K´) 0.271 0.144 6.825a 従業者数(L´) 0.607 0.649 30.717a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.495 0.494 601.523a 0.878a ⑤超大規模(n=1123) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.233 5.959a 売場面積(K´) 0.462 0.315 14.030a 従業者数(L´) 0.656 0.623 27.752a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.806 0.806 2329.408a 1.118a16
【表9】『流通会社年鑑1995年版』のデータによる分析結果 ①零細規模(n=272) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 4.335 9.657a 売場面積(K´) -0.084 -0.047 -0.753 従業者数(L´) 0.364 0.388 6.246a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.138 0.131 21.497a 0.280a ②小規模(n=1720) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -1.057 -6.843a 売場面積(K´) 1.014 0.635 38.009a 従業者数(L´) 0.401 0.296 17.702a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.524 0.524 945.321a 1.415a ③中規模(n=395) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.324 1.635c 売場面積(K´) 0.648 0.213 5.277a 従業者数(L´) 0.401 0.553 13.705a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.365 0.361 112.472a 1.049 ④大規模(n=710) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 2.664 5.621a 売場面積(K´) 0.492 0.248 7.547a 従業者数(L´) 0.324 0.407 12.404a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.267 0.265 128.812a 0.816a ⑤超大規模(n=983) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -0.131 -0.481 売場面積(K´) 0.831 0.545 22.923a 従業者数(L´) 0.313 0.354 14.905a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.663 0.662 964.147a 1.144a 【表10】『小売・卸売企業年鑑2005年版』のデータによる分析結果 ①零細規模(n=163) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 3.601 7.765a 売場面積(K´) 0.016 0.008 0.136 従業者数(L´) 0.706 0.715 12.541a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.513 0.507 84.436a 0.722b
②小規模(n=291) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 1.747 6.648a 売場面積(K´) 0.335 0.256 6.883a 従業者数(L´) 0.775 0.692 18.618a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.622 0.620 237.342a 1.110c ③中規模(n=187) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) -1.020 -0.653 売場面積(K´) 0.803 0.200 3.345a 従業者数(L´) 0.635 0.534 8.920a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.372 0.365 54.403a 1.438c ④大規模(n=293) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 3.021 3.556a 売場面積(K´) 0.385 0.163 3.340a 従業者数(L´) 0.382 0.521 10.347a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.310 0.305 65.063a 0.767b ⑤超大規模(n=142) 回帰係数 標準化回帰係数 t 値 定数項(α) 0.210 0.484 売場面積(K´) 0.594 0.397 8.849a 従業者数(L´) 0.652 0.600 13.383a 決定係数 自由度調整済み決定係数 F 値 β1+β2 0.925 0.924 854.061a 1.246a
【表8】から【表10】より、各規模における(β
1+β
2)の値を見れば
17、小規模および超大規
模小売店舗は規模に関して収穫逓増であり、一貫した規模の経済の存在が認められる。大規模小売
店舗においては、決定係数および自由度調整済み決定係数が低いが
Prob>F は0.000であるため、
結果を解釈すれば、一貫して規模に関して収穫逓減であり、規模の不経済の存在が推測されよう。
また、中規模小売店舗においては、【表9】の(β
1+β
2)の値は統計的に有意ではない
18ため結果
の解釈が出来ないが、【表8】【表10】の結果
19からは、規模に関して収穫逓増であり、規模の経済
が存在すると言えよう。
超大規模・中規模・小規模小売店舗には規模の経済、大規模小売店舗には規模の不経済が存在す
るとの結果は、規模に関して十分な収穫逓増を実現するためには、売場面積3000㎡以上が必要であ
17 零細規模小売店舗は、売場面積(K´)の係数β1が統計的に有意ではないため(β1+β2)の値を解釈できない。 18 有意確率は 70%である。 19 【表 10】における中規模小売店舗の決定係数および自由度調整済み決定係数は 0.365 と高い値ではないが、Prob>F は 0.000 であるため、結果を解釈した。
り、それ以下の店舗規模であるならば、むしろ売場面積1000㎡未満という店舗規模の方が逆に効率
的であるケースも十分に存在するということを示唆していよう。本章で設定した大規模小売店舗は、
売場面積1000㎡以上3000㎡未満という店舗規模であり、この1000㎡という店舗面積は、売場面積を
めぐる法律の変遷を見れば、1994年の大店法の規制緩和における基準面積(1000㎡未満の店舗の出
店は原則調整不要)、1998年制定・2000年施行の大店立地法の基準面積(1000㎡以上の店舗面積が
対象)である。この規制の対象となる境界線の店舗規模であるという点が、他規模との競争関係の
なかで、規模の効率性に何らかの影響をもたらしているのではないかと考えられるが、この点に関
しては更なる分析・考察が必要と思われる。
Ⅳ おわりに
本論文では、小売店舗を従業者規模別および売場面積規模別に捉え、各々において如何なる規模
の経済が存在するか、その特徴を分析した。本論文の分析においては、従業者数と売場面積という
2つの尺度から小売店舗の規模を分類し、個別に分析を行ったが、従業者数と売場面積を組合わせ
た尺度による詳細な規模区分(本論文の設定であれば従業者4規模×売場面積5規模の計20規模区
分)を設定し分析を行えば、より精緻な考察が加えられると思われる。また、同規模でも業態に
よってその特徴は大きく異なるはずである。今後の課題としては、以上の点を含んだ更なる分析・
考察が求められよう。
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