高精度GPS移動計測装置三菱モービルマッピングシステム
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(2) Vol.2011-CVIM-176 No.20 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. ヤ回転計)を加えた 3 種のセンサの密結合方式 (Tightly-Coupled 方式)を採用している. IMU データは,測量車両の加速度,角加速度の運 動量であり,これをストラップダウン演算処理によ り,測量車両の位置・姿勢を計算する.この計算は 積分を含む処理であり,測位結果は, 「状態量真値 x」 +「低周波誤差成分δx 」としてモデル化される. GPS・IMU・オドメトリ複合計算の目的は,GPS 単独の位置計算に含まれる高周波ノイズの影響と, IMU 単独の位置計算に含まれる低周波誤差成分の 図1. 影響,およびオドメトリによる距離計算に含まれる. モービルマッピングシステム外観. 尚,FKP 方式とは,. スケールファクタの誤差を相互に補完して正確に見. . 広域でも均一な精度の位置計算が可能. 積ることと言える.. . 移動体での位置計算が可能. . 同方式を用いた RTK 測量は国内での公共測. ながら IMU やオドメータの学習・校正をおこなう.. 量実績を持つ. ビル影やトンネル内など GPS が十分に捕捉できな. といった特徴を持つ.. い所では,IMU とオドメータで位置計算を行ない,. これにより,車両中心位置で水平方向に 1~2cm. 精度を保つようにしている.. GPS 捕捉中は上記精度で位置および姿勢を計算し. 精度,垂直方向に 5cm 精度(いずれも公共座標値と. 通常,GPS による位置計算は時間経過に沿って行. のずれ)を達成している.また,補正のための基準. うが,MMS 後処理は GPS,IMU,オドメトリとの. 点には国土地理院が全国に設置している電子基準点. 融合処理を正順(フォワード),逆順(バックワード). を用いているため,国内であれば,利用者は基準点. 両方の計算を行なっている.これにより位置・姿勢. を建てることなく,また,一定の初期化さえ行えば. の精度を向上させている. 図 2 は位置・姿勢計算を正逆両方で行ったときの. 後はどれだけ走行しても複数の基準点データを用い て位置計算が可能である.. 効果を示したものである.この後処理では推定され. GPS と IMU の複合計算は一般的には粗結合方式 ( Loosely-Coupled. る誤差量を計算し,位置・姿勢と合わせて測位誤差. 方 式 ) と 密 結 合 方 式. 量を出力している.公共測量など特に精度が要求さ. (Tightly-Coupled 方式)の 2 種類に大別される.. れる場合は,この測位誤差量を考慮に入れ,精度の. 粗結合方式は,GPS,IMU それぞれのセンサで別個. 良い部分のみ成果にすることで精度を確保する手段. に位置・姿勢計算し,それらの結果をさらに調整計. がとられている.また,現場での計測中でもこの誤. 算を行なう方式である.. 差量が予め予測できるように車内には計測精度を予. 一方,密結合方式は,GPS,IMU それぞれのセン. 測する誤差モニタが表示されている.計測時はこの. サより基本観測量を求め,両者合わせて一括して位. モニタを見て,誤差が多いようなら,近傍で GPS の. 置・姿勢計算を行なう方式である.. 再捕捉行ったりすることで,計測の失敗を予防して. GPS が十分に捕捉されている環境下においては粗. いる. 図 3 はこのイメージを示した図で,計測時は. 結合,密結合の測位精度に大差は見られないが,捕. 警告線の上に予測誤差がでないようにし,後処理後. 捉衛星が少なくなる場合において,密結合の方が精. はデータに支障がでる部分は成果として利用しない. 度保持しやすいという特徴がある.. 等の工夫を行う(図中 FIX とは GPS による測位の. MMS では GPS,IMU に加えてオドメトリ(タイ. 精密解が求まっている状態を云う) .. 2. ⓒ 2011 Information Processing Society of Japan.
(3) Vol.2011-CVIM-176 No.20 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. ラメータと,MMS 車両の位置原点との相対位置, MMS の位置・姿勢から,MMS 車両の位置原点から 見た画像平面上での位置に変換する.つぎに,レン ズ中心と画像平面上の位置の 2 点を通る LOS (Line Of Sight)を計算し,レーザによる三次元点群からこ の LOS ベクトルを囲う最も近い 3 点を選ぶ.この 3 点がなす平面と LOS との交点を計測対象の位置と して求めることで,精度はレーザの計測精度を保ち ながら,位置の空間分解能はレーザのスキャンレー トを超えてカメラ画像の画素ピッチと同等のレベル 図 2 正逆による位置・姿勢計算の効果. で得ることが可能である.. 図 3 測位誤差. 図 4 カメラ画像とレーザ計測点の関係. 3.画像・レーザ複合による地物位置計測. 一般に写真測量ではカメラは被計測物と正対し 撮影する.これに対し,MMS の場合は,図 5 に示. MMS に標準で搭載されているレーザスキャナは, 1 秒あたり 13575 点の計測を行う性能を持つ.同レ. すようにカメラ LOS と地表面の相対角度が浅く,図. ーザスキャナでは 40 ㎞/h で走行した場合,レーザ計. 4 の画像座標系の各画素(U,V)の位置によって,対. 測点は走行方向に 14 ㎝程度,横断方向に 9 ㎝程度の. 応する実距離のスケールファクタが極端に異なる.. 間隔がある.レーザスキャナの欠点として,移動し. 図 5 において,1 枚の画像上で,車両近傍が写って. ながらのスキャン計測はどうしてもサンプル点の計. いる画像下方部は,1 画素に対する道路上の距離(A). 測となり計測対象のエッジが捕捉できない.. が短いが,画像上方部は,車両から遠方部分が写っ. 一方,カメラ画像では物体のエッジ情報を容易に. ており,同じ1画素に対する道路上の距離(B)が長. 取得可能であるが,距離情報が得られない.そこで,. い.すなわち,1 画素当りの距離誤差量が画像の位. レーザ計測と画像を複合することで,両者の特徴を. 置により異なる.. 活かした高精度な 3 次元地物計測を行うことが可能 になる[4]. 以下,レーザ計測とカメラ画像の位置合わせ手法 について述べる.カメラ画像は,あらかじめレンズ 歪補正を行った画像上で対象のピクセル位置を画像 認識やユーザによる指示により求める.そのピクセ. 図 5 MMSにおけるカメラ撮影. ル位置を焦点距離,CCD 素子サイズなどのカメラパ. 図 6 は2M ピクセルカメラ(1600(H)×1200(V)). 3. ⓒ 2011 Information Processing Society of Japan.
(4) Vol.2011-CVIM-176 No.20 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. の MMS 設置例での縦,横それぞれの1画素に対応. ー社製MMS-TRACERTM)の例を図8に示す.本例. する路面での実距離を示したものである.横軸に,. に示すように,地物属性をウインドウ上の候補から. カメラの画素位置, (横方向はカメラ中心位置からの. 選択し,画像上の該当エッジ位置をマウスクリック. 左右の画素位置,縦方向は底部から上方に向かった. するだけで計測が可能であり,操作も直感的かつ容. 画素位置を示す),縦軸に実距離を示している.画像. 易である事がわかる.. 下方部では,1 画素は1cm以下に相当するが,特 に半分より上の部分では 1 画素が 10 ㎝程度に急増す ることがわかる.これは,カメラ画像上での 1 画素 のずれに対する計測誤差と等しい. 図 7 は MMS での実際のカメラ画像に実際の距離 と画素の関係を示したものである.図中,青線は, 2mピッチに対応する画素ピッチを示す.画像手前 では,2m間隔が 426 画素に対応するが,画面中央 付近では,同じ2m間隔でも 102 画素に過ぎず,画 像上部では同じ距離に対応する画素がさらに少なく なっていることがわかる.. 図8. デスクトップサーベイツール. また,首都高中央環状線(山手トンネル)の大橋 JCTを計測した色付き点群の例を図9に示す.本 図のような色付き点群処理では,一定の距離で画像 シャッターを切るとともに,最も近接した画像を用 いてレーザ点に対して色情報を選択するため,道路 渋滞で常に車速が変わっても常に均一の精度で色付 図 6 カメラ画像 1 画素に対する実距離. き点群を得ることができる.地下トンネルでありな がら,相対形状とエッジの連続性が保たれているこ とがわかる.. 首都高中央環状線 (山手トンネル) 首都高3号渋谷線. 図 7 実際の画像における距離と画素の関係 MMSはこのような特性を有しているので,所望の. 大橋JCT. 地物標定精度に応じて,ユーザインタフェース上で 標定に使用する画像エリアを制限して,精度管理を. 図9. 色付き点群の例. 可能にしている.尚,実際にデスクトップサーベイ (机上測量)に用いるツール(アイサンテクノロジ. 4. ⓒ 2011 Information Processing Society of Japan.
(5) Vol.2011-CVIM-176 No.20 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 4.MMSによる公共測量. いった属性を付与し,さらにそれら個々をオブジェ. ・NETIS 登録. クトとして 3 次元モデル化する技術開発を今後進め. 国土交通省は公共工事等において活用が期待でき. る予定である.これらの 3 次元空間データが,道路. る民間が開発した新しい技術の情報をデータベース. 周辺インフラ維持管理や計画立案,防災用途に利用. 化している.これが新技術情報提供システム(New. され,安全・安心な生活及び,地球環境保全に向け. Technology Information System:NETIS)である.. たエコロジーにつながることを期待している.. MMS は調査試験・測量・地上測量のカテゴリーにお. 参考文献. いて登録申請し,2009 年に NETIS 登録された (KK-090011). [1]. ・ 公共測量への利用. 吉田光伸. ほか,「モービルマッピングシステ Vol.81,No.8,2007. ム」;三菱電機技報. 測量法第5条に「測量に要する費用の全部又は一. [2]. 部を国又は公共団体が負担し,又は補助して実施す. 吉田光伸. ほか, 「モービルマッピングを用いた. 道路三次元情報の活用」;三菱電機技報. る測量」を公共測量と定め,この成果は今後の工事,. Vol.83,. 取引等に使われる可能性があるため,一定の精度を. No.5,2009. 保つことが必要であることから,測量の方法につい. [3]. て利用する機器や作業方法などをマニュアルで規程. ステムにおける GPS/IMU/オドメトリ複合航法のデ. 瀧口. 純一,橋詰. 匠.モービルマッピングシ. ータ処理と精度管理,日本信頼性学会誌「信頼性」. している.. Vol.32. 一方で技術の急速な進歩により,より効率的・低. No.2,2010.3 月号,2010. コストで高精度な測量技術が出現している為,これ. [4]. Ishikawa. ら新技術を用いて公共測量を実現する道も開いてい. Takumi Hashizume, Takiguchi Jun-ichi, A Study. る.これは「機器等及び作業方法に関する特例」と. of Precise Road Feature Localization using Mobile Mapping. して国土交通省公共測量作業規程の準則第 17 条で. Kiichiro,. Amano. Yoshiharu,. System,. IEEE/ASME. International. on. Advanced. Intelligent. 定めているもので,計画機関(自治体等)より国土. Conference. 地理院に独自測量マニュアルを提出し,技術的な助. Mechatronics.2007.9, ETH Zurich, Switzerland. 言・承認を得ることにより新技術を利用した測量が. [5]. 認められる.MMSが測量の主体としての公共測量は,. 西川. 啓一・瀧口. 精度 GPS 移動計測装置. 純一・石川. 貴一朗,「高. 三菱モービルマッピングシ. 上郡町の下水道計画のための地図作成や,豊中市の. ステム(MMS)」 ;画像ラボ Vol.22 No.1 P74,2011. 道路台帳付図作成に利用[5] され,その後複数の自治. 年 1 月号. 体からの届出により,その成果について順次,国土 地理院の承認を受けている.MMSを導入することに より台帳付図の効率的な作成ができることはもとよ り,交差点の見通し改善や道路面のワダチの把握, 看板や樹木のはみ出しのチェックなど,取得した 3 次元データからまた別の維持管理業務も可能となる.. 5.結言 以上,画像・レーザ複合を特徴とする MMS によ る 3 次元空間計測について述べた.MMS では膨大 な点群と対応した画像が取得できる.それを例えば, 道路面,ガードレール,マンホール,電柱,信号と. 5. ⓒ 2011 Information Processing Society of Japan.
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