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湖水による光の吸牧率
一びわ湖に関した雨’量と透明度の関係一
松
本
政
彦
The Absorption CoeMcieRt of Lake Water
−The Corelation of the Transparency and Rain on Lake Biwa
Masahiko ISfatsumoto Measurernents of th3 under water illurnination were made during the tirne from Jane to September. On the discussion of this result, it is thought that the absorption coefficient of each part is not same. The larger absorption coe一 伍cient vories with the quantity of rain. And the smaller absorption coe魚ciellt varies with the transporeney. びわ湖の潮水の透明度はSecchi板による方法で既 (1.Li) にいろいろの人達によって調査されている。透明度が 季節によって変化ナる事はよく知られているが,それ は勿論湖の周囲の地質や雨量の影響をうける。けれど も今までに得られている結果では外的な条件と透明度 (2) との関係がト分明らかにされていない。叉此様な調査 も稀である。此調査の目的ぽ降雨量と透明度の関係を しらべ水層の各層で光の吸収がどの様に起っているか を調査する事である。六月中旬から九月中旬まで最も 湖水の吸収率が烈しく変ると思われる期間を選んで水 中光度を測定した。使用した光電管はマツダ瓦斯入セ シウム光電管PT−25−GI型(色温度2870 K:。)であ る。メーターは島津製作所のミクロアソメーターを使 用した。測定場所は測定に便利のよい而も浮游する油 や塵の少い点で大津市と其対岸の中山,滋賀県庁と三 上山を結ぶ線上を選んだ。びわ湖ぽ場所によって透明 度が異るけれども或特定の場所での変化をしらべる点 では別に差支ほないQ 第一節では吸収率が純水による部分とRayleigh散 乱にだけよるものと仮定して単位体積中に含まれる膠 質粒子の数を求めてみる。第コ節では吸収率がちがっ た二つ以上の成分が集って全体の吸収率を決定してい ると考え,其等各々の吸収率を求める方法を述べる。 此方法を使って:測定結果を整理し,最も強く光を吸収 する部分は降雨量と密接な関係がある事を第三節で述 べる○此水中光度曲線の分析法と透明度との関係を第 四節に,そして菊池氏が提出された吸収率と透明度と の関係式と今の方法との比較をする。 1.吸収率と浮游粒子 光が或吸収層を通過した後其通過光の強度は吸収率 に比例して減少する。水面での光の強度をf。とする と水面下Xメートルの所での水中光度ば次の様に示さ (r,) れる。 h (x) == 1, ezp(一kxx) ・… 一・・… 一・・・・・・… 一一・・(1) 々λは波長λの光の吸収率で湖水の様な複雑な成分を もつ水では蒸溜水による吸収の外に膠質粒子による Rayleigh散乱に相当する項及び有機,無機質の浮游 粒子等による吸収を全部含めたものである○この中, 蒸溜水による吸収率は正確に測定されているので第一 C−1) 表に引用する。 第一表 水の吸収率(蒸溜水1メート ]v r.ついて) 波長λ 436e,ti 1 s46yy 1 s7spy 1 612yt, kx O.O115 1 O.e34 [ e.064 O.23 そこで蒸溜水による吸収を差引いた残りの吸収率の 値ぼすべて水中に含まれる膠質粒子による光の散乱で きまるものと仮定して,逆に吸収率から単位体積当り に含まれる粒子の数を勘定してみる○膠質粒子の半径 を0.1y乃至O.OOly,電媒常数ε。が1、4,7,10の各場 (;]) 合に分けて夫々吸収率が2.34になるために必要な粒 子の数を第二表に示した。 (1) (2) (3) ({1) (5) 神戸海洋気象台1926びわ湖i調査報告。 菊池健三1932びわ湖の透明度と受水量。陸水学雑誌2。 吉村信吉湖沼学。 Smithonian Physical Table !933. 第一図の吸収率の中で一番大きいものをとった。20 滋 大 紀 要
箏 3 号
1 9 5 4 第二表 単位立方糎中に含まれる膠質粒子の数 粒子半径レ・一・ 0ユロ 1.60×10i3 L o.ooly 1 L60xlo:b Eo=4 E,==7 1 E,=lo 2.73 × !oi4 2.73 × 10:6 1.00 × 10i5 i 1.87 × IOi5 i 1.00 × 10r’7 [ 1.87 × 1027 1 此様な数の粒子が含まれている場合,湖水の比重が 1乃至1.02(海水の比重は1.026)である為にほ膠質 粒子を作る物質は極めて比重の小さなものでなくては ならない事になる。湖水が大きな吸収率をもつ事は膠 質粒子だけで片附く問題でなく,むしろ答は化学的な 方法が与えてくれるであろ5。 第一図 7jく中光度曲線 O f 2 3 4 ら oo W0c46
fOσ O6 7 8(M
C20 ㎝鰯㎜鱗 A 6 A a 一2顕工 一〇B4X ・a27工 Im==040e to30e to30e 凸 d e ○測定値 △菊池による値 水深7mまで水中光度を測定した結果を示す。水 面での光霞と各深さに於ける光度との比を従軸に 横軸は,水深(メー1・・ ]v単位)である。但し,縦 軸は対数.目盛。2.水中光度曲線の分析
湖水によって光が吸収される有様を現象論的に考え てみる。先ず測定した結果の中特に深い所まで測った (ci) ものを代表的に第一図に示すq此は横軸に水面から測 った深さをとり縦軸に1・/f/。を対数目盛で印したもの である〇十分深い所まで測定されたものでは此曲線ば (7) 略直線と見倣されるが水面近く(0∼4m)では一本の 直線で表す事はできない。云い換えればInl−lnl。は xの一次函数でないと云う事である。蒸溜水だけの吸 収では第一衷からもわかる様に曲線ほ浮いてしまって 第一図の様に下らない。吸収率の大きい原因を捜す代 りに,一様でない吸収率による水中光度曲線を分析し よう。そして吸収の強い部分と弱い部分が十割分で混 り合って,全体として第一図の様な吸収を示すものと 考えてみる。此考に従って水中光度曲線を近似的にX の函数で表わす。即ち lx=Ae−aX十Be−7}x 一一………・一一・一・…(2) a,bは吸収率でA, Bは水面に於てA+B=」。にな る。さて測定した水中光度曲線にあう様にa,b, A, B を定めねばならないQそれには任意にxの値を四箇所 選んで連立方程式を解けばよい。計算に便利な様に xは0,ξ,2ξ,4ξ,にとると,bは次の式から求められ る○ α12ノ爵一1乙1∼)exp(一4bξ) 十(21L,glt:?一k=.lo2−lo12=.2)exp(一2bk) 一2(f,〕為る葦一1当」甦∼)exp(一bξ)竃孟∼ム葦一ムξ3… (3) 但しf。,取は水面及びnCメー・1・ルでの光度である。此bを使ってaは
exp(一a4) == (lgexp[ 一b’g] 一ILi一一.) / (1,exp[ 一bE] 一 1..) 一一一e一一一一一一一一一一一t−t一一一一一一一一一一一一(1) で又 ∠4=(f“;一Joexp[一bt])/(exp[一aξ] 一exp[一b4])・・・… i・・j一・・・・・・・・・・・… 一・・一・… (5) B;L〕一ノ1 ・・・・・・・・・・・・・… 」・・・・・・・・・・・・… 。・・・… (6♪ によってノ4,Bを定める事ができる。止ヒ様にして水中 光度曲線は(3),(4),(5),(6)から求めた係数を使っ て(2)の形で近似できる。例えば第一図の曲線は次 の様に表わされる0 1「一=O.40eXp[一2.34X]十〇.30eXp[一〇.87X] 十〇.30exp[一〇.27κ] 此様な方法にどの様な利点があるかと云うと二つ或 は多くて三つの異る吸収率を使って而もよい近似で水 中光度曲線が表おせる事である。もしも水中光度曲線 をそのまま使って各層で夫々吸収率の平均(例えばX メートルと(x+1)メー1・ルの間の吸収率)を求める 様な事をすると一回の測定二三に沢山の吸収率が現れ る。従って他の現象との関係をしらべたりするときは 徒らに繁雑なばかりで有効とは云えない。此点で今の 分析方法はすぐれている。3.降雨量と吸収率
前節での分析に使った係数についてしらべるQ六月 から九月までの間光電管を使って測定した水中光度の 値を,水面での光度を1にとって対数目盛のグラフに 書くと第一・図に似た曲線が沢山得られる○一々図示す るのぽ,紙面を費すので前節の方式に従って近似函数 に直したものを第三表に掲げるQ 降雨量と此等四箇の係数との問にどの様な関連があ るかを調べた。降雨量は比叡山観測所の値を借用して 各係数と比較してみると最もよく降雨量と関連して動 くのはaである事がわかった○第二図には毎日の雨 量を棒グラフで,aの値は線でつないで示してあるQ (6) 近泣二舞子∼中て疎則定○ (7) 菊池健三 湖水の水中光度と透明度との関係。陸水学雑誌5巻.4号121Q湖水によ る光の吸収率 (松本)
2! 第=二表 係数 ご∼,わ,∠1,B と透明度 測定月目 6.22 6.29 7.13 7.16 7.23 7.27 8. 3 8.13 8.21 9. 7 9.14 O.94 1.61 2.00 2.34 1.34 2.20 1.30 2.10 1.15 2.70 2.25 O,30 0.3no O.37 0.3.?. O.62 0.15 0.34 0.50 0.25 0.80 0.60 b 透明.度B
(m) O.3S O.61 6 3ti O.625 0.22 0.45 0.63 e.40 0.35 0.40 0.48 O.70 0.64 0.63 0.68 0.34 0.85 0.66 0.50 0.75 0.20 0.40聞如5030肺妬ao如認蝸%
第二図 降雨量と幽閉率aの関係 雨量袴重﹄卜濯 α ﹂㎜ゆ価90濁706D90⑳孤罰10
⑳ 一5 @ m G15 an as 30 5 10 V5 Z’O 2S 15 f’O t5 20 2’5 i S iO 6目 一一、ト←一一一一 7 月 一一一一引帰で一一一一一 8月 一一一一一t一一^十∈一 9日 6,月中は一日当りの降雨量は多くないが殆んど連日 雨が降っている。このところでは降雨量の最大の時よ り暫く遅れてaの値に最大が現れる〇七月も全く同 じである。四月は測定の下川が疎であまり正確な事は 云い難いが九月初めにも同じ様な事が成立っているQ 結局降雨後数日たってから雨の影響がaに現れてく る事が見られ而も,aの変化は降雨量につれて敏感に 起る事がわかった。其他の係数は降雨量とaほどに 密接な関係は認められない。4.透明度と吸収率
菊池氏の結果によると水中にSeCchi白円板を沈め てそれが水面上から認められなくなるときの深さでの 水中光度ほ水面での光度の12.5乃至18.52〈・一セン の (o)トである。又Juday CとBirgeは4乃至6パーセ
(10) ント,Atkinsは16パーセントと夫々発表している。 既差異は光電管の特性によるであろうし,測定個入誤 差も関係ずるから使用する装置について確めておく必 要があるQ今使用している光電管をSecchi板測定と 対応させた結果は10乃至12パーセントであったQ さて測定した光度曲線から透明度を求めるには曲線 の10乃至12パーセントに当る深さをとればよい。 大津周辺では透明度が4メー・トル以上になると湖底に Secch1板がついても明らかに認められるから,透明 度ぽ水中光度曲線を利用するより外に求められない。 即ち外挿法によるのである。こうして水中光度曲線の 10乃至12パーセン1・から求めた透明度を第三表に 示した。 透明度の逆数を係数a、b, A, Bと比較すると此度 はbが同じ変り方をする事がわかる。(第三図) 加 Q6 as ot O3 Gユ at 第 三、図 菊池の公式との比較 菊池氏は透明度と水中光度の 関係について吸収率kは透明度Xと次式によって関 係している事を示された。 2,3 fe=一 ; ln・ =fi一 ・一一・・一…・一一・一・・一‘一一・・一・ (7) 此式と我々の(2)式との関留ま(2)式を次の様に書 変えてみるとよくわかる。 ト÷卜・(ム A万 兀.exp[一”x])一1・県] ここでAII,exp[一ax]は多の大きいところでは早く 減衰するから省略してよい。(7)式と比べて(7)式で 1. Bは・2・3倍になっているの・b: tln’i,『加わるだけの ちがいである。このちがいは,(7)式が透明度何十米 と云う場合を問題にしているのに対し,今の場合は比 較的浅い所を取扱っている事から生じたものである。 (8)松本,黒川,西崎,透明度測定について。滋賀大学論集II (9) Juday C and Birge E. A. 1933. T. W. A. S. 28 205. The Transparency the color and :pecific conductance ef the lake water of Northeastern XVisconsin. (10) Atkins W. R. G. 193.?., Jour du conseil 7. 171. Solar Radjation and lts transrnission through air and Water.22 滋 大 紀 要 第 3 号 1 9 5 4 5.結 論 水中光度を分析した結果吸収率の異る二つ以上の部 分を合せる事によって光度曲線で近似的に表わせるQ その中最も大きい吸収率には降雨量の変化が敏感に現 れる○小さいものほ透明度と同じ変り:方をする事がわ かった。併し何が光を吸収するかと云う疑問ぽまだ解 けていない。又A,Bがもつ意味もはっきりさせねば ならない事柄であるQ 今年ぽ特に雨量の多い点で特別な年であったから測 定には非常に不便であったが,降雨量と比較がよくで きる点で幸であった。雨量の少いとき水中光度の変化 の様相を知る事も興味ある事であろう。一時的な豪雨 による変化の好例として台風13号後のデーターは貴 重なものだが,未整理のため聞に合わなかった。 此研究について特に文献を見せていただいたり,資 料の提供をして下さった臨湖実験所及び実験に協力し ていただいた西崎先生,北村君にお礼を申し上げる。