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GPUを用いた行列演算ソフトウェアの開発

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2014-CSEC-65 No.7 Vol.2014-IOT-25 No.7 2014/5/22. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. GPU を用いた行列演算ソフトウェアの開発 土居 主尚1,a). 坂部 啓. 概要:大規模疫学データを解析する状況で数万人のデータに対し統計解析モデルを用いる場合,一般に条 件分岐が少なく大規模なデータに対し同じ計算を行う.我々は画像処理を専門とする GPU(Graphics processing unit) がこのような計算に適していることに着目し,GPU による汎用の数値計算 (General-purpose computing on graphics processing units, GPGPU) を用いた統計解析ソフトウェアの開発に着手した.こ のソフトウェアは統計解析パッケージとして有名な R のライブラリとして実装した.既存の R プログラ ムも最低限の書き換えで本ソフトウェアの恩恵を受けれるよう,R の機能である演算子のオーバーライド を利用し,既存の関数を本ソフトウェアの関数に置き換える機能を持たせた.またデータを GPU が使用 するビデオメモリ領域に転送するオーバーヘッドを削減するため,一度ビデオメモリに転送した後はその まま保持できるようにした.またコンピュータのメインメモリに比べ容量が小さなビデオメモリを有効に 活用するため,ビデオメモリでしばらく使われなかったデータを自動的にメインメモリに戻すことでビデ オメモリの利用効率改善を図っている.. 1. はじめに 近年,統計解析の分野では従来よりも大規模なデータを. GPU に適した多量のデータに対し同一の処理を行うもの であることに着目し、統計解析への GPGPU の適用を検討 した。適用対象ソフトウェアとして、統計パッケージ「R」. 扱ったり,またベイズ統計学のように反復計算を前提とし. を選択した。R は解析の現場で頻繁に用いられるが,それ. た手法が頻繁に用いられるようになっている.このため一. は R が無償で利用できるだけでなく,開発者とユーザーが. つの計算に数日かかることもあり、計算の高速化が望まれ. 比較的近く,多くの解析手順が利用可能となっているから. ている。しかし、計算を行っている CPU の動作速度は近年. である.R では自分自身が書いた R のコードをパッケー. 伸び悩んでおり、CPU を使う限りは著しい計算の高速化は. ジと呼ばれる拡張ソフトウェアとして提供することで,世. 困難である。一方、グラフィック描画のための専用計算機. 界中の R ユーザーが容易に利用できるようになっており,. である GPU(Graphics processing unit) は近年の三次元グ. 2014 年 4 月 14 日現在で 5,000 を越えるパッケージが利. ラフィックス性能の向上と共にその性能を向上させている.. 用可能となっている.しかしながら,R がデフォルトで. GPU は CPU が有している条件分岐などのオーバーヘッド. 用いる計算用のスレッド数は 1 であり,マルチコア CPU. を隠蔽するための機構を省略し,その分のリソースを演算. の残りのコアや,汎用計算に利用可能な GPU は利用しな. プロセッサに割り当てることにより浮動小数点演算性能を. い.また R のパッケージとして,GPU を利用するものも. 高めている.また、グラフィック描画のために多量のデー. いくつか存在するが,実装されている関数は多くなく,ま c の R から容易に利用可能なものは存在しな た Windows⃝. タに対し同一の処理を行うよう多数のプロセッサを集積 し、これに適したメモリ構造としている.GPU はこのよ. い.そこで本研究では GPU を計算に用いる Windows 向. うな特徴を有しているため、グラフィック描画と同様に大. け R パッケージの開発を試みた.. 量のデータに対し同一の処理を行う状況では高いパフォー マンスを発揮する。そのため、汎用の数値演算に GPU を 用いる GPGPU (General-purpose computing on graphics. processing units) が近年注目を浴びている。. 2. 本パッケージの特徴 現状で本パッケージは開発中であるが,以下の特徴を備 えるものが完成する見込みである.. 本研究では、統計解析の分野で用いられる手法の多くが. 2.1 Windows 版 R から利用可能 1. a). 独立行政法人放射線医学総合研究所 千葉県千葉市稲毛区穴川 4-9-1 [email protected]. c 2014 Information Processing Society of Japan ⃝. Windows は多くのパーソナルコンピュータ上で動作す る OS であり,その上で容易に利用可能となることにより,. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-CSEC-65 No.7 Vol.2014-IOT-25 No.7 2014/5/22. 多くのユーザーが利用可能となる.. 2.2 データ転送の最小化 GPGPU にて計算をする際,メインメモリにあるデータ を GPU から扱えるビデオメモリに転送が必要であるが, この転送のための所要時間の占める割合が比較的大きいこ とが知られている.そこで,計算のために一度ビデオメモ リに転送されたデータは,ビデオメモリ上に留め,次に利 用される際には転送することなくそのまま計算に利用可能 とした.そのために,R のオブジェクトの外部ポインタと いう仕組みを利用した.. 2.3 既存の R コードの最小限の変更 R には演算子のオーバーライドという機能があり,既存 の関数を上書きすることが可能である.そこで,R の既存 の関数を GPU を用いるコードで上書きすることにより, 既存の R のコードを変更箇所を最小限に留めて,高速化す ることが可能である.. 2.4 ビデオメモリの有効活用 ビデオメモリ上にあるデータは転送のコストなく利用可 能である一方で,その容量には限りがある.そこでビデオ メモリの容量が不足した際や,不足が予想されそうな際, 最も長い間参照されなかったデータをメインメモリに戻す 機能を実装した.. 2.5 マルチ GPU への対応 しばしば複数の GPU を搭載可能なコンピュータも存在 する.そのようなコンピュータで,GPU の搭載個数に応 じてパフォーマンスが向上すれば理想的である.しかしな がら,他の GPU に搭載されたビデオメモリへのアクセス には通常データ転送が必要となる.従ってデータを分割し て転送し,別の GPU で計算を行った後,その結果を再度 転送したのでは,大きなパフォーマンスの向上は望めない. そこで本パッケージではデータを分割しての複数 GPU へ の対応はせず,一連の計算処理の中でメモリ転送が比較的 少なくなるレベルでの分割を検討している.. 3. おわりに 現状では,このパッケージは開発中である.研究報告会 では,今後の方向性などについて意見を頂ければ幸いで ある.. c 2014 Information Processing Society of Japan ⃝. 2.

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