134 (54) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
オ ザキ マコト尾崎 眞(昭和2
博士(医学) 乙第1218号平成3年10月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
術後シバリングおよびその対策 (主査)教授 藤田 昌雄 (副査)教授 武田 佳彦,小柳 仁論 文 内 容 の 要 旨
目的 全身麻酔の合併症の一つとして麻酔覚醒後のシバリ ングは,酸素消費量を300~800%増加するといわれ, 混合静脈血酸素含量の減少,ひいては組織への酸素の 供給量を減少させ,組織の低酸素症を増悪させる結果 となり,特に中枢神経系の低酸素状態により覚醒遅延 を引き起こすおそれもあるため,その対策が苦心され ているが,決定的なものはない.今回,術後シバリン グを呈している患者の中枢温,末梢温の経時的な測定 を非シバリング患者と比較し,その成因に関しての臨 床的解析を行い,また新しく温風吹送式加温器のシパ リングへの治療効果に関して検討を加えた. 対象および方法 生体腎移植ドナーを対象とし,8人のシバリング「な し」群と16人のシバリングを呈した「あり」群を無作 為に抽出し,「あり」群に対して,6人は温枕保温(平 均湯温は45℃),10人は温風吹送式加温器(Bair HuggerTM:43.1℃で990L/分Air吹送)を使用した. 麻酔方法は,NLAで行った.歯群の平均年齢・男女 比・輸液量に有意差はなかった. 体温測定は,急流補償型プローブにより中枢温とし て前額部深部温を,末梢温として手掌部と足底部の深 部体温を術後60分間連続測定した. 統計学的比較検定にはMann-Whitney U検定を行 い,p<0.05以下を有意差とした. 結果・考察 シバリングを呈した群での末梢温は非シバリング群 と比較して有意に低く(p〈0。01),中枢温一末梢温度 較差も有意に(p<0.01)大きかった.麻酔直後はNLA 麻酔後でも,吸入麻酔後でも体温調節中枢経由の遠心 系の促通路,抑制路ともに抑えられていることが判明 しており,脊髄と末梢皮膚の冷却がシバリングをトリ ガーすることが推察されている.すなわち,シバリン グ「あり群」では手掌部と足底部の温度が平均30℃以 下であり,中枢温・末梢温較差が平均で4℃以上を示 しシバリングの誘因となっているのであろうと考えら れた. 以上から,皮膚冷受容器からの求心性刺激を感じる ことが臨床的なシバリングの効果的対策であると考え られ,効果的加温方法として,温枕加温と温風吹送式 加温器を比較した.足底部末梢温入室60分後のもので は,温枕加温群では平均31.1℃,温風吹送式加温器加 温群では33.9℃と有意な(p<0.05)差があった.また 入室60分後の前額一手掌部温度差で温枕加温群と温風 吹送式加温器群間で,温度較差4.4±1.4℃対2.5± 2.3℃,また同じ時点での前額一足底部温度差でも較差 4.8±1.8℃対2.4±2.5℃で有意に(p<0.05)温風吹送 式加温器群で温度差が小さかった.即ち,温風吹送式 加温器による加温が有意に末梢温を上昇させているこ とを示しており,シバリング消失までの時間が温風吹 送式加温器群で有意に(p<0.01)短かった(24.0±6.9 分対121.7±81.3分). 結論 全身麻酔後のシバリングの原因としては,中枢一末 梢体温較差の拡大,ことに後者が前者より著しく低下 することであり,これに対して温風吹送式加温器が有 一738一135 用であった.