214 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(46) オオ ワ ダ カズ ヒロ大和田一博(昭和
博士(医学) 乙第1293号平成4年7月17日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Dual energy X・ray absorptiometryを用いたインスリン非依存型糖尿病患 者の骨密度に関する研究 (主査)教授 大森 安恵 (副査)教授 重田 帝子,田村 敦子論 文 内 容 の 要 旨
目的 糖尿病は骨減少のリスクファクターのひとつにあげ られている.一般に骨減少は皮質骨より海綿骨のほう が強いと言われており,海綿骨での評価が望まれてき た.最近、dual energy X-ray absorptiometry(DEXA) 法により海綿骨を多く含む腰椎での骨密度が測定可能 となった.しかし,糖尿病に関する報告はまだない. 糖尿病者の骨減少を知る目的で,DEXA法を用いた腰 椎骨密度を測定し検討した. 対象および方法 対象はインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)119名, 男性60名,女性59名である.年齢は男性40~68歳,平 均54.4±:6.6歳(M±SD),女性40~69歳,平均55.5± 7.8歳であった.また,対照として年齢をマッチさせた 正常男性24名40~68歳,平均53.0±8.8歳,正常女性52 名40~69歳,平均53.0±8.4歳を用いた. 骨密度測定は,米国ノーランド社製XR26を用い た.被検者は,仰臥位にて正面方向から第2,3,4 腰椎体を一度にまとめて測定し,その平均骨密度を算 出した. 同時に,血清カルシウム,リン,アルカリフォスファ ターゼ,副甲状腺ホルモン,カルシトニンを測定し骨 代謝への関与を観察した. 結果 1.正常者の腰椎骨密度は,男性で0.980±0.112g/ cm2,女性で0.981±0.162g/cm2であった. 2.正常者における腰椎骨密度は,男女とも加齢によ る減少を認めた. 3.糖尿病患者の腰椎骨密度は,男性では0.975± 0.160g/cm2で,正常男性と差を認めなかった.女性で は0.842±0.154g/cm2で,正常女性に比べ有意に減少 していた. 4.糖尿病患者の腰椎骨密度は,男性では加齢による 減少を認めず,女性は加齢による減少を認めた. 5.糖尿病性合併症(神経障害,網膜症)の有無と骨 密度の関係は,男性で差を認めず,女性において合併 症を有する群で明らかに骨密度の減少を認めたゼ 6.糖尿病男女とも,腰椎骨密度とアルカリフォス ファターゼとの間に有意な負の相関を認めた.しかし, 推定罹病期間や血清カルシウムなどの骨代謝パラメー ターとの相関は認められなかった,また,血糖コント ロールと骨密度との関係は,過去1年間の平均HbAI, でみる限り,相関がなかった. 考察 DEXA法による骨密度の測定は,簡便で侵襲が少な く臨床的に有用であった.しかし,男性糖尿病患老の 腰椎骨密度は正常者との間に差がなく,加齢による影 響も認めなかった.男性は女性より高血圧有病率,喫 煙率,高コレステロール血症など動脈硬化進展因子を 高頻度に有し,腹部大動脈硬化の進展が推測された. そのため,正面方向からの腰椎骨密度測定に影響を及 ぼした可能性が考えられた. 糖尿病女性は骨密度減少が著しく,神経障害や網膜 症の存在はさらに骨密度減少の進展因子になることが 一848一215 示された. 結論 糖尿病者におけるDEXA法による骨密度の測定は 有用であるが,高度の腹部大動脈硬化の存在が予想さ れる場合,動脈の石灰化の影響を避けて,側面方向か らの測定が望ましいことが示唆された.