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2. 港 湾 タイでは 伝 統 的 に 河 川 や 運 河 を 利 用 する 水 運 が 輸 送 手 段 として 利 用 されてきたが 道 路 整 備 が 進 むにしたがい その 利 用 度 合 いは 低 下 してきており バンコク 近 辺 ではチャオ プラヤ 川 やその 支 流 において 農 産

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第20章 物流・インフラ

この章では物流(港湾、空港、道路、鉄道)とインフラ(電力、通信)を紹介する。

1.主要な国際空港と港湾の位置

図表 20-1では、タイの主要な7 つの国際空港と 4 つの主要港湾の位置を表している。 図表 20-1 タイの主要港湾と国際空港 (出所)各種資料より作成 ●国際空港 ①新バンコク(スワンナプーム) ②バンコク(ドンムアン) ③チェンマイ ④チェンライ ⑤ハジャイ ⑥プーケット ⑦サムイ ●主要港湾 Ⓐ レムチャバン港 Ⓑ クロントイ港 Ⓒ マプタプット港 Ⓓ ソンクラー港    空港 港湾 ④チェンライ ③チェンマイ ①スワンナプーム ②ドンムアン ⑥プーケット ⑦サムイ ⑤ハジャイ Ⓐレムチャバン Ⓒマプタプット Ⓑクロントイ Ⓓソンクラー

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2.港 湾

タイでは、伝統的に河川や運河を利用する水運が輸送手段として利用されてきたが、道 路整備が進むにしたがい、その利用度合いは低下してきており、バンコク近辺ではチャオ プラヤ川やその支流において農産物輸送等に利用されている程度である。もともと港湾設 備は十分ではなかったが、1980 年代以降、外国資本の流入に伴い、タイの経済発展が続き、 貿易量も急速に拡大し、港湾設備の整備・拡充が急速に図られることとなった。現在のタ イの主要港湾は、Ⓐレムチャバン港、Ⓑクロントイ港、Ⓒマプタプット港、Ⓓソンクラー 港等である。 Ⓐレムチャバン港は、バンコクの南東約130km のチョンブリ県シラチャに 1991 年に開港 した。タイ港湾庁(PAT)が管轄する深海港で、同国で最も重要な港湾として位置付けられ ている。レムチャバン港にはA から D まで 4 つのターミナルがあり、それぞれの運営は民 間会社に任されている。水深が14m と深く、5 万重量トンの大型船の入港が可能である。 後背地に輸出加工型企業や軽工業企業を抱え、一部地域とは鉄道で結ばれている。現在で は、クロントイ港を抜いてタイ最大のコンテナ取扱港となっている。 Ⓑクロントイ港は、チャオプラヤ川を28km さかのぼった所にあり、1951 年に開港して以 来、タイの海上輸送のベースとして発展を遂げてきた。しかし、同港は水路が狭くまた水 深も8.5mしかないため、1 万トン以上の大型船が入港できない。このため、1991 年にレム チャバン港が開港して以来、貨物の取扱シェアは低下している。 図表 20-2 クロントイ港とレムチャバン港の輸送重量(左図)と輸送コンテナ数(右図)の推移 0 1 2 3 4 5 6 7 8 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (暦年) (100万TEU) クロントイ港 レムチャバン港 0 10 20 30 40 50 60 70 80 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (暦年) (100万t) クロントイ港 レムチャバン港

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Ⓒマプタプット港は、バンコクの南東約180km のラヨン県マプタプットに、工業団地と併 せて東部臨海開発の基盤インフラとして整備され、1992 年に開港した。公共港湾ではある が、管理はタイ工業団地公社(IEAT)が、運営は民間企業が行っている。後背地に、鉄鋼、 化学、石油化学等の重化学工業地帯を抱え、レムチャバン港の商業港に対して、マプタプ ット港は工業港的色彩が強いのが特徴である。浚渫と埋め立てによって造成された港で、 水深は10m、6 万重量トンの大型船の入港が可能であるとされる。 Ⓓソンクラー港は、タイ南部マレーシア国境に近いソンクラー県のシャム湾側に位置し、 南部臨海開発計画の一環として1988 年に開港した。商業・通信省港湾局が同港を管轄して いるが、実際の運営は民間のオペレーターに委託されている。海から港へ進入するために は、幅120m、水深 9m の進入路を通る必要があるため、7.5m 水深以上の船舶は入港でき ない。

3.空 港

タイには、バンコク(①スワンナプーム、②ドンムアン)、③チェンマイ、④チェンライ、 ⑤ハジャイ、⑥プーケット、⑦サムイの7つの国際空港がある。この内、⑦サムイを除く 6つの国際空港の管理、運営はタイ空港会社(AOT)が行っている。2010 年度(2009 年 10 月∼2010 年 9 月)の輸送実績は、乗降客数が 5,743 万人、輸送貨物量(トランジットを 除く)は134 万トン。中でも、バンコクのスワンナプーム空港が乗降客数(4,250 万人)で 全体の74%、輸送貨物量(127 万トン)で 95%を占めている。 図表 20-3 タイの国際空港の乗降客数と輸送貨物量(2010 年 9 月期) (万人) (構成比) (千トン) (構成比) スワンナプーム 4,250 74.0% 1,274 94.8% プーケット 680 11.8% 26 1.9% チェンマイ 318 5.5% 21 1.5% ドンムアン 276 4.8% 7 0.5% ハジャイ 146 2.6% 13 1.0% チェンライ 72 1.3% 3 0.2% 合計 5,743 100.0% 1,343 100.0% 輸送貨物量 乗降客数 (出所)AOT 資料より作成 ①スワンナプーム(Suvarnabhumi)国際空港は、バンコクの新しい空港として、2006 年 9 月に全面的に操業を開始した。同空港はバンコクの東に約 30km 離れたサムットプラカン 県に位置している。同空港は2 本の滑走路を持ち、最大で 1 時間に 76 便の飛行機を発着さ せることが可能で、年間最大4,500 万人の旅客と 300 万トンの貨物処理能力がある。計画

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では4 本の滑走路を建設することになっており、年間 1 億人の輸送が可能になる模様。 ②ドンムアン(Don Muang)国際空港は、バンコク中心部の北に約20km 離れた位置にある。 スワンナプーム国際空港が開港した2006 年以前は、同空港がタイの国際旅客と国際貨物の ほとんどを取り扱っていたが、空港の混雑状況が著しく、また2005 年には実際に取り扱っ た貨物が設備容量を上回る等、処理能力は完全に飽和状態にあった。 この他、タイの第 2 の都市で北部の文化・経済の中心であるチェンマイ、タイ最北の県 の県庁所在地チェンライ、マレーシア国境よりわずか約 60km の地点にあるタイ南部屈指 の商業都市ハジャイ、アンダマン海に浮かぶタイ最大の島であると同時にタイ第 3 の都市 プーケット、国内で 3 番目に大きい島にありリゾート開発の進むサムイに国際空港が置か れている。 図表 20-4 バンコク 2 国際空港の乗降客数(左図)と輸送貨物量(右図)の推移 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (暦年) (1,000t) ドンムアン スワンナプーム 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (暦年) (100万人) ドンムアン スワンナプーム

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4.チャネル別物流量(国内)

タイ国内の貨物輸送量は、1997 年のアジア通貨危機による不況で一時的に低迷したもの の、1992 年の 3.2 億トンから 2005 年には 5.2 億トンまで増加した。ただし、足下の貨物輸 送量は5 億トンをやや上回る水準で横ばいとなっている。 陸運、鉄道、水運(内航海運及び内陸水路)のチャネル別でみると、陸運の占める割合 が最も高い。2009 年では全体の 84%を占めている。また、水運の貨物量も増加基調にあり、 同年のシェアは14%と 1999 年(9%)に比べて伸びている。一方、鉄道の貨物輸送量はほ とんど増えていない。 図表 20-5 タイ国内のチャネル別輸送貨物量の推移 0 100 200 300 400 500 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (暦年) (100万t) 陸運 鉄道 水運(内航海運+内陸水路)

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5.道 路

タイでは、1960 年代以降、ベトナ ム戦争時にアメリカ軍の基地がタイ 国内に置かれたため、道路整備が急 がれ、全国で約 6.7 万 km 以上の自 動車専用道路が建設され(現在、舗 装率 98%以上)、高速道路網も整備 されている。このためタイの道路事 情は、バンコク首都圏を除けば、良 好である。鉄道整備の遅れを主要都 市間を結ぶ長距離トラック便や長距 離バスがカバーし、国内貨物・旅客 輸送の多くを道路輸送が担っており、 道路が国内物流の核となっている。 近隣諸国を結ぶ国際幹線道路網と しての「アジアハイウェイ」のうち、 タイ国内の路線は 9 路線で26、約 5,000km に達する。全てが 2 車線以 上で、舗装済みである。将来、近隣 諸国の整備が進めば道路輸送の一層 の発展が期待できる。 ただ、急速なモータリゼーション の進行で、バンコクでは、運河を埋 め立てて造った道路網では、急増す る交通量をさばききれないという事 実がある。 26 AH1(701km)、AH2(1,549km)、AH3(117km)、AH12(511km)、AH13(555km)、AH15 (243km)、AH16(708km)、AH18(268km)、AH19(459km)の 9 路線。 (出所)国土交通省ホームページより作成 図表 20-6 タイのアジアハイウェイ路線網

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図表 20-7 道路距離と舗装率の推移 35 40 45 50 55 60 65 70 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (暦年) (1,000km) 65% 70% 75% 80% 85% 90% 95% 100% 道路距離(左軸) 舗装率(右軸) (出所)Ministry of Transport 資料より作成 タイのハイウェイ(地方一般道)の風景

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6.鉄 道

タイの鉄道は、1889 年に開業し、第 2 次世界大戦後の 1951 年にタイ国有鉄道として統 合されたが、道路ほど整備は進んでいない。タイ国鉄の主要路線は、おおまかに、①北線、 ②東北線、③東線、④南線の4 線に分けられ、営業路線は延べ約 4,000km であるが、その 大半が単線であり、物流インフラとしてはあまり期待できない状況である(図表 20-8)。 ①北線は、バンコクから北の終点チェンマイまでを結ぶ全長751km の路線で、所要時間 は11∼13 時間。 ②東北線は、バンコクから東北にナコンラチャシマまで行き(264km)、そこから北方向 のノンカイ行き(624km)とタイ東端のウボンラチャタニ行き(575km)の 2 線に分かれ ている。所要時間はノンカイまでが11 時間、ウボンラチャタニまでが 10∼13 時間。 ③東線は、バンコクからカンボジア国境アランヤプラテートまでを結ぶ全長255km の路 線で、所要時間は5 時間 30 分。 ④南線は、マレー半島を南下して、南部最大の都市ハート・ヤイに行き(945km)、ここ で東南方向のスンガイ・コーロク行き(1,159km)と、さらに南下し、パダン・ブサール行 き(990km)に分岐している。パダン・ブサールまでの所要時間は 17 時間。 図表 20-8 タイ国鉄の鉄道網 東線 東北線 北線 南線 チェンマイ サワンカローク ピサヌローク ノンカイ ウボンラチャタニ ナコンラチャシマ スパンブリ ナムトク バンプルタルアン バンコク アランヤプラテート ノンブラドゥック ナコンシータマラート スンガイ・コーロク パダン・ブサール ハート・ヤイ キラッタニコム スラタニ カオチュムトン ガンタン トゥンソン トゥンポー メークローン チャチェンサオ タノンチラ ブアヤイ ケンコイ バンパチ バンダラ バンスー (出所)各種資料より作成

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7.高架鉄道(BTS)・地下鉄

タイでは、首都のバンコク近郊に人口が集中し、バンコクにおける自動車中心の交通シ ステムが、長年に亘る深刻な交通渋滞と自動車の排ガスによる大気汚染の原因となってい る。こうした交通渋滞・大気汚染の問題緩和を目的に、バンコクで自動車に代わる交通手 段として誕生したのが、高架鉄道(BTS、通称:スカイトレイン)と地下鉄(MRT)であ る。BTS は東西に、地下鉄は南北に延びており、スクムビットで交差してバンコク市内を カバーしている。

タイ政府は、今後の同国の都市型鉄道網について、Mass Rapid Transit Master Plan in Bangkok Metropolitan Region(2010∼2029)に沿って、12 路線(495 km)の構築を計 画している。同マスタープランでは、2006 年 11 月閣議決定によって既に承認されている、 レッド、パープル、ブルー、グリーン(2 路線延長)ラインの計 5 路線の建設を優先的に実 施する予定となっている。 ①BTS: BTS は、1999 年 12 月 5 日に開通した高架式の鉄道である。現在、スクムビット線(モ チット∼オンヌット)、及びシーロム線(ナショナルスタジアム∼ウオンウィアンヤイ)の 2 路線(総距離 25.7km)が運行している。初乗りは 15 バーツで、距離に応じて 5 バーツ 刻みで加算。最高40 バーツ。列車は 3 両編成で 6 時∼24 時まで運行している。 2009 年にシーロム線のサパンタクシン∼ウオンウィアンヤイの拡張工事が完了し、同年 8 月から運行を開始している。2011 年 2 月時点では、スクムビット線のオンヌットからベ アリング駅までの拡張工事が行われており、同年8 月の正式開通を予定している。 ②地下鉄(MRT): BTS に加えて、2004 年 7 月 3 日にはタイで初となる地下鉄が開通した。現在は、フアラ ンポーンからバンスー駅(総距離20km)を結ぶ 1 路線が開通している。列車は 3 両編成で 6 時∼24 時まで運行している。初乗りは 15 バーツで、一駅ごとに 1-2 バーツが加算され、 最高39 バーツである。 BTS

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図表 20-9 BTS、地下鉄の路線図      BTSスクムウィット線      BTSスクムウィット線          (建設中)      BTSシーロム線      地下鉄 Bang Sue Kamphaeng Phet Chatuchak Park Phahon Yotin Lat Phrao Ratchadaphisek Sutthisan Huai Khwang

Thailand Cultural Centre

Phra Ram 9

Phetchaburi

Sukhumvit

Queen Sirikit

National Convention Centre Lumphini Si Lom Sam Yan Khlong Toei Hua Lamphong Mo Chit Saphan Khwai Ari Sanam Pao Victory Monument Phaya Thai Ratchathewi

Siam Chit LomPhloen Chit Nana Asok Phrom Phong Thong Lo Ekkamai Phra Khanong On Nut Bang Chak Punnawithi Udom Suk Bang Na Bearing Ratchadamri Chong Nonsi Surasak Saphan Taksin Thon Buri Wongwian Yai Sala Daeng National Stadium

(出所)Bangkok Mass Transit System Public Company Limited より作成

ひとくちメモ (18): タイのインフラ受注競争

タイ政府は、景気刺激策(Stimulus Package II)として、2010 年∼2012 年の 3 年間で鉄道整備、 原子力発電所建設、代替エネルギー開発を含めた 3.7 兆円相当の投資を計画している。主要なプロジ

ェクトには、交通インフラ(約 1 兆 540 億円)、水道整備(約 6,470 億円)等が含まれる。新興国に

おけるインフラ受注競争が激化する中、タイのインフラ事業は日本企業にとって重要な商機となる。 しかし足下では、日本企業の苦戦が目立っている。例えば、下表は、2009 年に公示された交通イン

フラ建設事業である、「バンコク大量輸送網整備事業(パープルライン)I」(発注者:タイ高速度交

通公社(MRTA))の受注企業を示したものである。Section1 では、東急建設と Ch. Karnchang Public Company Limited の合弁企業が落札しているものの、Section2、3 についてはいずれもタイ企業が受 注しており、日本企業は関与できなかった。 (注)日本の ODA 事業(円借款)として実施される事業。2008 年 3 月 31 日に調印され、借款金額 は 624 億 4,200 万円。青いシャドーで表示した企業が落札。 事業名 応札企業名 (百万バーツ)応札額 東急建設/Ch. Karnchang(タイ) 16,725 Sino-Thai Engineering(タイ) 17,100 Italian Thai Development (タイ) 17,917 Sino-Thai Engineering(タイ) 15,320 東急建設/Ch. Karnchang(タイ) 15,601 Italian Thai Development(タイ)/ 大林組 (日本)/

他1社(タイ) 16,351 Ascon Construction 他2社(タイ) 6,400 Italian Thai Development(タイ) 6,878 東急建設/Ch. Karnchang(タイ) 7,637 竹中工務店 (日本)/竹中土木(日本)/Ritta (タイ) 8,810 バンコク大量輸送網整備事業(パープルライン)(I) Section1 Section2 Section3 (出所)JICA

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タイの建設業界では、13 社が上場しており(2011 年 2 月現在)、イタリアン・タイディベロップメ ント等の大手企業にいたっては、海外案件を多く受注することで順調に業績を伸ばしている。同社は インド、ミャンマー等で業務実績を有しており、その他の企業についても、単独で事業を受注できる 実力を持っている。 日本企業については、交通、運輸面での技術力が高く評価されているものの、タイ地場企業に加え、 中国企業のコスト競争力を前に苦戦を強いられている。実際に、レッドライン(バンスー∼タリンチ ャン間)については、香港の Chun Wo Construction and Engineering がタイ企業(Unique Engineering and Construction)との合弁で受注を果たしている。また、中国企業については高速道 路の調査団等を頻繁に派遣する等、公共事業獲得に向けた動きを活発化させ、意思決定も早い。これ らのことも、日系企業の苦戦の一因となっているようだ。

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8.電 力

電力消費量の伸びは、景気の変動に大きく影響を受ける。1990 年以降、タイの電力消費 量が前年を下回ったのはアジア通貨危機翌年の1998 年とリーマン・ショック翌年の 2009 年だが、いずれも実質GDP 成長率はマイナスを記録していた。 図表 20-10 電力消費量の伸びと実質 GDP 成長率の推移 -15% -10% -5% 0% 5% 10% 15% 20% 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (暦年) 電力消費量(変化率) 実質GDP成長率

(出所)The Department of Civil Aviation 資料より作成

場所によっては月1∼2 回の瞬間停電はあるものの、復旧は早く、タイの電力事情は安定 している。瞬間停電は雨季(6∼10 月)に多くなる傾向にあるが、日系企業へのヒアリング によると、概ね数秒、長くても 1 時間以内には回復しているようである。熱帯性気候のも とにあるタイでは、例年、暑い季節にあたる3 月から 5 月にかけて最大需要電力が発生す る27が、需給調整のための計画停電等はない。停電時間が長くなるのは、トラック等が事故 で電柱に衝突するようなケースのようである。電力料金の2009 年の平均小売価格は、1kWh あたり3.17 バーツ(約 8.5 円)である(タイ電力公社:Electricity Generating Authority of Thailand、以下、EGAT)。 この他に、タイの電力で特徴的なのは、エネルギーの供給源の約7 割が天然ガスであるこ とである。次いで石炭が約2 割で、水力や石油に依存する度合いは低い。 27 EGAT のアニュアル・レポートによると 2008・2009 年の最大需要電力は、2008 年は 4 月 21 日の 22,568MW、2009 年は 4 月 24 日の 22,044MW であった。

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図表 20-11 タイのエネルギー供給の内訳(2009 年) 供給源 100万kWh 構成比 天然ガス 104,228 71.8% 石炭 28,717 19.8% 水力 6,964 4.8% 再生可能エネルギー 2,116 1.5% 石油 607 0.4% 輸入 2,601 1.8% 合計 145,233 100.0% (出所)EGAT 資料より作成 電力の供給体制については、1990 年代初めから、電力事業の国際競争力の強化、財政負 担の軽減を目指して、電力事業の自由化方針が打ち出され、これまで独占体制にあった EGAT の部分的民営化が進められ、1992 年以降、EGCO、RATCH 等の民営電力会社が EGAT から分離・設立された。他方、大型発電所を有する独立系発電事業者(IPP)や工業 団地向けの発電を行っている小規模発電事業者(SPP)が新たに参入してきている。2009 年、EGAT のシェアは約 5 割となっている 図表 20-12 タイの電力供給体制 (MW) (%) 電力総供給(2009年) 29,212.02 100.0 国内電力供給 28,572.02 97.81 タイ電力公社(EGAT) 14,328.13 49.05 民間電力会社 14,243.89 48.76 独立系発電事業者(IPP) 12,151.59 41.60 小規模発電事業者(SPP) 2,092.30 7.16 輸入等(ラオス等) 640.00 2.19 電力供給体制 電力供給能力(2009) (出所)JETRO・バンコク・センター資料より作成

9.通 信

タイの通信事業は、従来、タイ電話公社(旧TOT)とタイ通信公社(旧 CAT)が、それ ぞれ国内・国際電話サービスおよび郵便事業を独占的に担ってきた。しかし、電気通信サ ービスの高度化・多様化により新たなサービス展開が可能となり、民間セクター(例えば、 TRUE(1990 年発足、旧テレコム ASIA)や TT&T(1992 年発足))でも提供されるよう になり、それに併せてこれらの公的機関も民営化され、2002 年にタイ電話会社(TOT)が、 そして2003 年に旧 CAT を改組したタイ郵便会社(THP)が、それぞれ発足した。タイ郵

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便会社の発足に際して、国際電話、データ通信、携帯電話部門は分離独立させて、新たに 設立したCAT テレコムが担うこととなった。 (1) 電 話 ①固定電話 固定電話の契約数は2006 年をピークに微減傾向にあり、2009 年時点の人口 100 人当た りの固定電話数は10.6 件(日本は 34.1 件)である。官公庁や民間事業者のみならず一般家 庭にも固定電話が普及しているバンコク市内でみると、37.0 件と日本全体を上回る水準に ある。主な固定電話事業者は、市内・長距離・国際通話を扱うタイ電話会社(TOT)、バン コク市内をカバーするTRUE、バンコク以外をカバーする TT&T の 3 社である。 通話料は、TOT の代表的な料金プラン(基本料金は月額 100 バーツ)の場合、バンコク 市内との通話は 1 回当たり 3 バーツである。長距離電話については、距離や利用時間帯に 応じて1 分当たり 1∼9 バーツの料金が課金される。他にも IP 電話などの格安料金も扱っ ている。 国際電話は、ダイヤル直通とオペレーター通話(主要言語に対応)、コレクトコール等が ある。国際通信サービスを提供するCAT を利用した場合、日本への通話料はダイヤル直通 で1 分間 20 バーツ程度。ただし、インターネット国際電話(番号の前に 009 を加えてダイ ヤル)を利用すれば3 分間 21 バーツで通話できるなど、格安のサービスもある28 ②携帯電話 携帯電話の2009 年時点の人口 100 人当たりの携帯電話契約数は 97.3 件(日本は 91.5 件) で、固定電話をはるかに凌いでいる。主な携帯電話会社としては、AIS、DTAC、True Move 等があり、3 社で契約件数の 9 割以上を占めている。例えば AIS の法人パッケージプラン の場合、月額使用料は299 バーツで、AIS 同士であれば 23 時∼17 時であれば最初の 1 時 間は無料で通話できる。国際電話は東京まで1 分間約 20 バーツ(AIN、CAT、TOT 等の サービスを経由する必要がある)。通話可能エリアは地方部でも随時拡大している。なお、 各社とも料金プランは頻繁に変更されるため、事前に確認することが望ましい。 28 JETRO「第 20 回アジアの主要都市・地域の投資関連コスト比較」より

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図表 20-13 タイの主要携帯電話会社

事業者 システム 加入者数(万)

アドバンス・インフォ・サービス(AIS) NMT、GSM、W-CDMA 2,790

トータル・アクセス・コミュニケーション(DTAC) AMPS、GSM、W-CDMA 1,920

True Move GSM、W-CDMA 1,525

Hutchinson CAT Wireless Multimedia CDMA2000 101

CAT Telecom AMPS、CDMA、CDMA2000 35

Thai Mobile GSM、W-CDMA 4

(出所)総務省ホームページ「世界情報通信事情」より作成 (2) 郵便・宅配 郵便事情は良好である。郵便局は民営化されてタイ郵便会社(THP)という民間企業に なり、タイ全土をネットワークしている。国内では書留・速達・受取通知等の各種郵便も 利用可能である。ただし、配達員は事務所までは配達してくれるが、アパートの部屋まで は来てくれない。日本への郵便物もほとんど問題なく届く。日本までの所要日数は航空便 が4∼7 日、船便が 1 ヵ月前後である。料金は図表 20-14の通りである。国際宅配サービス は、郵便局の国際エクスプレス・メール(EMS)や民間の宅配サービスが利用できる。料 金は、船便で1kg=370 バーツから 20kg=1,010 バーツまで、航空便は 1kg=400 バーツから 10kg=1,570 バーツまで。 図表 20-14 タイの郵便料金 タイ国内向け 日本向け はがき 1.5バーツ∼ 15バーツ 手紙 2バーツ∼ 14バーツ∼ 書留・速達(EMS) 15バーツ∼ 330バーツ∼ (出所)国際協力機構のホームページより作成 (3) インターネット タイのインターネット利用者数は、2009 年時点で、1,748 万人(人口 100 人当たりの加 入者数は25.8 人(日本は 78.0 人))にすぎず、ADSL、衛星回線などのブロードバンド契 約者数も 100 万人程度とされているが、最近急速に増加している。ただし、ブロードバン ド加入者はバンコク市内に集中しており、地方部では依然としてダイヤル・アップ・アク セスが中心となっている。 主要なインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)として、True、TOT、CAT テ レコム、CS ロックスインフォ、3BB などが、回線速度や価格で激しい競争をしている。 ADSL は最速で 20Mbps を提供するプロバイダーもあるが(3BB)、料金は月額 2,990 バー ツとかなり高額である。ただし、速度ではこれに劣るものの、月額料金が 1,000 バーツを 下回るサービスもあり、普及が進んできた。なお、True 社は Wi-Fi 接続サービスを展開し ており、全国で約1.7 万ヵ所にホットスポットを設置している。

図表  20-7  道路距離と舗装率の推移  3540455055606570 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (暦年)(1,000km) 65%70%75%80%85%90%95% 100%  道路距離(左軸)  舗装率(右軸) (出所) Ministry of Transport 資料より作成  タイのハイウェイ(地方一般道)の風景
図表  20-9  BTS、地下鉄の路線図       BTSスクムウィット線      BTSスクムウィット線          (建設中)      BTSシーロム線      地下鉄Bang SueKamphaeng PhetChatuchak ParkPhahon YotinLat PhraoRatchadaphisekSutthisan Huai Khwang
図表  20-11  タイのエネルギー供給の内訳(2009 年)  供給源 100万kWh 構成比 天然ガス 104,228 71.8%  石炭 28,717 19.8%  水力 6,964 4.8%  再生可能エネルギー 2,116 1.5%  石油 607 0.4%  輸入 2,601 1.8%  合計 145,233 100.0%  (出所) EGAT 資料より作成  電力の供給体制については、1990 年代初めから、電力事業の国際競争力の強化、財政負 担の軽減を目指して、電力事業の自由化方針が打ち出
図表  20-13  タイの主要携帯電話会社

参照

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